JP4370830B2 - プラテンを汚すことなく印刷用紙の端部まで行う印刷 - Google Patents

プラテンを汚すことなく印刷用紙の端部まで行う印刷 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ドット記録ヘッドを用いて記録媒体の表面にドットの記録を行う技術に関し、特に、プラテンを汚すことなく印刷用紙の端部まで印刷を行う技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、コンピュータの出力装置として、図27に示すような、印刷ヘッドのノズルからインクを吐出するプリンタが広く普及している。このようなプリンタにおいては、印刷用紙の上下端まで余白なく画像を記録しようとすると、図27に示すように、印刷用紙の外にインク滴が着弾して、プラテンが汚れることがあった(図27のノズル#5から吐出されたインク滴Ip参照)。そのようなプリンタにおいて、印刷用紙の上下端まで余白なく画像を記録する技術として、特開2002−103584号公報に開示された技術がある。特開2002−103584号公報のプリンタでは、印刷用紙を支えるプラテンに設けられた溝の上に印刷用紙の端部を配し、溝部と向かい合うノズルからインク滴を吐出して、印刷用紙端部の画像の印刷を行っている。そして、印刷用紙の中間部分の印刷においては、溝部と向かい合うノズル以外のノズルも使用して印刷を行っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記のようなプリンタにおいては、印刷用紙の端部の印刷が完了した際には、印刷用紙の端部と中間部の境界近辺には、ドットの記録が済んでいる主走査ラインと、まだドットが記録されていない主走査ラインとが複雑に入り組んで並ぶことがあった。このため、副走査の送り量が異なる端部と中間部の印刷モードの切換には、複雑な処理が必要であった。
【0004】
この発明は、従来技術における上述の課題を解決するためになされたものであり、プラテンにインク滴を着弾させることなく印刷用紙の端部まで印刷において、端部と中間部の印刷モードの切換を容易に行える技術を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
上述の課題の少なくとも一部を解決するため、本発明では、印刷媒体の表面にドットの記録を行うドット記録装置において、所定の処理を行う。このドット記録装置は、印刷媒体の表面にドットの記録を行うドット記録装置であって、インク滴を吐出する複数のノズルが設けられたドット記録ヘッドと、ドット記録ヘッドと印刷媒体の少なくとも一方を駆動して主走査を行う主走査駆動部と、複数のノズルのうちの少なくとも一部を駆動してドットの形成を行わせるヘッド駆動部と、印刷媒体を主走査の方向と交わる方向に駆動して副走査を行う副走査駆動部と、印刷媒体をドット記録ヘッドと向かい合うように支持するプラテンと、主走査駆動部、ヘッド駆動部および副走査駆動部を制御する制御部と、を備える。
【0006】
このドット記録装置のプラテンは、複数のノズルの一部のノズルと向かい合う位置に主走査の方向に延長して設けられる第1の溝部と、副走査の方向に沿って、少なくとも複数のノズルからのインク滴の着弾範囲を含む範囲に設けられ、ドット記録装置で印刷可能な印刷媒体の幅とほぼ等しい間隔を開けて設けられる一対の第2の溝部と、を有する。
【0007】
なお、ドット記録装置は、さらに、印刷媒体がプラテンに支持され、かつ、印刷媒体の両側端がそれぞれ第2の溝部の開口上にある位置を保つように、主走査の方向について印刷媒体を位置決めするためのガイド部を備えることが好ましい。
【0008】
そのようなドット記録装置において、印刷媒体の前端または後端の主走査ラインにドットを記録する場合に、前端または後端が第1の溝部の開口上にあるときに、第1の溝部と向かい合う位置にあるノズルからなる溝部ノズル群の少なくとも一部からインク滴を吐出させる、端部処理を実行する。
【0009】
さらに、端部処理内で行う主走査においては、端部処理で使用するノズルが、プラテンに支持された印刷媒体と向かい合う位置にあるとき、および、プラテンに支持された印刷媒体の外側でかつ第1と第2の溝部の少なくとも一方と向かい合う位置にあるときに、端部処理で使用するノズルからインク滴を吐出させる。
【0010】
なお、主走査において、ノズルが印刷媒体の外側でかつ溝部と向かい合う位置にあるときに、ノズルからインク滴を吐出しない場合があってもよい。すなわち、主走査の行程の少なくとも一部において、ノズルが印刷媒体の外側でかつ溝部と向かい合う位置にあるときに、ノズルからインク滴を吐出させるものであれば、「ノズルが、印刷媒体の外側でかつ溝部と向かい合う位置にあるときに、ノズルからインク滴を吐出させる」に該当する。
【0011】
また、端部処理においては、1回以上の主走査を行って互いに隣接する2以上の主走査ラインを含む複数の主走査ラインにドットを記録する第1の単位スキャン動作を、複数回実行して、第1の送り量による端部処理用副走査を各第1の単位スキャン動作の合間に行う。
【0012】
このような態様とすれば、溝部と向かい合う位置にあるノズルを使用して、プラテンにインク滴を着弾させることなく、印刷媒体の端部まで余白なく印刷を行うことができる。余白なく印刷を行うことができる端部は、印刷媒体の前端と後端の少なくとも一方、および、その近傍の側端である。また、このような態様とすれば、端部と中間部の印刷モードの切換を容易に行うことができる。
【0013】
なお、第1の単位スキャン動作は、複数の主走査と、各主走査の合間に行われ、端部処理用副走査の送り量よりも小さい送り量の副走査と、を含む態様とすることができる。このような態様とすれば、印刷結果の品質の高い印刷を行うことができる。
【0014】
また、端部処理にくわえ、さらに、以下のような中間処理を行うことが好ましい。中間処理とは、印刷媒体の中間部の主走査ラインにドットを記録する場合に、前端および後端が溝部の開口上にないときに、端部処理よりも多数のノズルを使用してドットの記録を行う処理である。
【0015】
中間処理中で行う主走査においては、中間処理で使用するノズルが、プラテンに支持された印刷媒体と向かい合う位置にあるとき、および、プラテンに支持された印刷媒体の外側でかつ第1と第2の溝部の少なくとも一方と向かい合う位置にあるときに、中間処理で使用するノズルからインク滴を吐出させて印刷媒体上にドットの記録を行うことが好ましい。
【0016】
また、中間処理においては、1回以上の主走査を行って互いに隣接する2以上の主走査ラインを含む複数の主走査ラインにドットを記録する第2の単位スキャン動作を、複数回実行して、端部処理用副走査の送り量よりも大きい送り量による中間処理用副走査を各第2の単位スキャン動作の合間に行うことが好ましい。このような態様とすれば、印刷媒体の中間部へのドットの記録を高速に行うことができる。
【0017】
なお、第2の単位スキャン動作は、複数の主走査と、各主走査の合間に行われる中間処理用副走査の送り量よりも小さい送り量の副走査と、を含む態様とすることができる。
【0018】
また、ドット記録装置は、所定の検出地点における印刷媒体の有無を検出することができるセンサを備える構成とすることもできる。そのようなドット記録装置において、以下のような処理を行うことが好ましい。
【0019】
すなわち、検出地点に印刷媒体がない状態から印刷媒体の副走査を開始し、センサが印刷媒体を検知した場合に副走査の方向に関して所定の副走査位置で印刷媒体の副走査を停止させ、印刷媒体が所定の副走査位置にある状態で、ノズルからインク滴を吐出させつつ主走査を開始して、印刷媒体の前端の主走査ラインにドットを記録する、第1の端部処理を実行する。
【0020】
また、印刷媒体の後端が溝部の開口上にあるときに、溝部と向かい合う位置にあるノズルからなる溝部ノズル群の少なくとも一部からインク滴を吐出させて、後端の主走査ラインにドットを記録する、第2の端部処理を実行する。
【0021】
第1および第2の端部処理においては、1回以上の主走査を行って互いに隣接する2以上の主走査ラインを含む複数の主走査ラインにドットを記録する第1の単位スキャン動作を、複数回実行して、それぞれ所定の送り量による端部処理用副走査を各第1の単位スキャン動作の合間に行うことが好ましい。
【0022】
このような態様としても、プラテンにインク滴を着弾させることなく、印刷媒体の端部まで余白なく印刷を行うことができる。
【0023】
また、以下のような態様とすることもできる。すなわち、印刷媒体の前端が溝部の開口上にあるときに、溝部と向かい合う位置にあるノズルからなる溝部ノズル群の少なくとも一部からインク滴を吐出させて、前端の主走査ラインにドットを記録する、第1の端部処理を実行する。
【0024】
そして、検出地点に印刷媒体がある状態においてノズルからインク滴を吐出させて印刷媒体の後端の主走査ラインにドットの記録を行い、センサが印刷媒体を検知しなくなった後、後端の主走査ラインへのドットの記録を終了する、第2の端部処理を実行する。
【0025】
このような態様としても、プラテンにインク滴を着弾させることなく、印刷媒体の端部まで余白なく印刷を行うことができる。
【0026】
さらに、以下のような複数の印刷モードを備える態様とすることもできる。このドット記録装置は、主走査において、溝部と向かい合う位置にあるノズルからなる溝部ノズル群の少なくとも一部からインク滴を吐出させ、1回以上の主走査を行って互いに隣接する2以上の主走査ラインを含む複数の主走査ラインにドットを記録する第1の単位スキャン動作を、複数回実行して、第1の送り量による端部処理用副走査を各第1の単位スキャン動作の合間に行う、端部処理を実行することができる。
【0027】
また、このドット記録装置は、主走査において端部処理の場合よりも多数のノズルからインク滴を吐出させ、1回以上の主走査を行って互いに隣接する2以上の主走査ラインを含む複数の主走査ラインにドットを記録する第2の単位スキャン動作を、複数回実行して、第1の送り量よりも大きい第2の送り量による中間処理用副走査を各第2の単位スキャン動作の合間に行う中間処理を実行することができる。
【0028】
そして、このドット記録装置は、以下のような二つのドット記録モードを有する。第1のドット記録モードは、印刷媒体の前端または後端が溝部の開口上にあるときに端部処理を実行して前端または後端の主走査ラインにドットを記録し、前端および後端が溝部の開口上にないときに中間処理を実行して印刷媒体の中間部の主走査ラインにドットを記録するモードである。第2のドット記録モードは、印刷媒体にドットの記録を行う際に、端部処理を実行せずに中間処理を実行して、印刷媒体の主走査ラインにドットを記録するモードである。このような態様とすれば、ユーザは、印刷媒体の端部に余白を設けずに印刷を行う第1のドット記録モードと、端部に余白を設けて印刷を行う第2のドット記録モードと、を選択することができる。
【0029】
また、上述の課題の少なくとも一部を解決するため、所定のドット記録装置において、以下のような処理を行うこともできる。このドット記録装置は、インク滴を吐出する複数のノズルが設けられたドット記録ヘッドと、ドット記録ヘッドと印刷媒体の少なくとも一方を駆動して主走査を行う主走査駆動部と、主走査の最中に複数のノズルのうちの少なくとも一部を駆動してドットの形成を行わせるヘッド駆動部と、主走査の合間に印刷媒体を主走査の方向と交わる方向に駆動して副走査を行う副走査駆動部と、主走査駆動部、ヘッド駆動部および副走査駆動部を制御する制御部と、を備える。このドット記録装置は、さらに、主走査の行路の少なくとも一部においてノズルと向かい合うように、主走査の方向に延長して設けられ、印刷媒体をドット記録ヘッドと向かい合うように支持するプラテンであって、複数のノズルの一部のノズルと向かい合う位置に主走査の方向に延長して設けられる溝部を有しているプラテンを有している。
【0030】
そのようなドット記録装置において、印刷媒体の前端または後端の主走査ラインにドットを記録する場合に、前端または後端が溝部の開口上にあるときに、溝部と向かい合う位置にあるノズルからなる溝部ノズル群の少なくとも一部からインク滴を吐出させる、端部処理を実行する。なお、端部処理において、1回以上の主走査を行って互いに隣接する2以上の主走査ラインを含む複数の主走査ラインにドットを記録する第1の単位スキャン動作を、複数回実行して、第1の送り量による端部処理用副走査を各第1の単位スキャン動作の合間に行う。このような態様とすれば、溝部と向かい合う位置にあるノズルを使用して、プラテンにインク滴を着弾させることなく、印刷媒体の端部まで余白なく印刷を行うことができる。そして、端部と中間部の印刷モードの切換を容易に行うことができる。
【0031】
なお、第1の単位スキャン動作は1回の主走査から構成されている態様とすることができる。このような態様とすれば、高速に印刷を行うことができる。
【0032】
また、第1の単位スキャン動作が、複数の主走査と、各主走査の合間に行われる第1の送り量よりも小さい第2の送り量の副走査と、を含む態様とすることもできる。このような態様とすれば、印刷結果の品質の高い印刷を行うことができる。
【0033】
また、第1の送り量は、直前の第1の単位スキャン動作で溝部ノズル群によってドットを記録された主走査ラインの束であって、互いに隣接し合う主走査ラインの束の後端の主走査ラインの後方に隣接する主走査ライン上に、溝部ノズル群の前端のノズルが位置するような送り量であることが好ましい。このような態様とすれば、各主走査ライン間に隙間を作ることなく、効率的にドットを記録することができる。
【0034】
なお、端部処理においては、印刷媒体に対して、記録すべき画像が、端部処理が実施される端部を超えて印刷媒体の外側まで設定された画像データに基づいて、ドットを形成することが好ましい。そのようにすれば、印刷媒体とドット記録ヘッドとの相対位置の位置決め誤差が存在する場合にも、印刷媒体の外側に設定された画像に基づいて、想定位置からはみ出た部分の印刷媒体に印刷を行うことができる。
【0035】
また、端部処理においては、溝部ノズル群以外のノズルからはインク滴を吐出させないことが好ましい。このような態様とすれば、印刷媒体が想定よりも少なく、または多く送られた場合に、インク滴が溝部以外のドット記録装置の構造物に着弾する可能性を低減することができる。
【0036】
また、印刷媒体の中間部の主走査ラインにドットを記録する場合に、前端または後端が溝部の開口上にないときに、端部処理の場合よりも多数のノズルからインク滴を吐出させる、中間処理を実行することが好ましい。そして、中間処理においては、1回以上の主走査を行って互いに隣接する2以上の主走査ラインを含む複数の主走査ラインにドットを記録する第2の単位スキャン動作を、複数回実行して、第1の送り量よりも大きい第3の送り量による中間処理用副走査を各第2の単位スキャン動作の合間に行うことが好ましい。このような態様とすれば、印刷媒体の中間部へのドットの記録を高速に行うことができる。
【0037】
なお、第2の単位スキャン動作は1回の主走査から構成される態様とすることができる。また、第2の単位スキャン動作は、複数の主走査と、各主走査の合間に行われる第3の送り量よりも小さい第4の送り量の副走査と、を含む態様とすることもできる。また、中間処理用副走査の第3の送り量は、直前の第2の単位スキャン動作で溝部ノズル群によってドットを記録された主走査ラインの束であって、互いに隣接し合う主走査ラインの束の後端の主走査ラインの後方に隣接する主走査ライン上に、中間処理に使用されるノズルの中の前端のノズルが位置するような送り量であることが好ましい。
【0038】
なお、印刷媒体の前端が溝部の開口上にあるときに、印刷媒体の前端の主走査ラインについて端部処理を実行する場合には、次のような処理を行うことができる。すなわち、印刷媒体の前端が溝部の開口上にあるときの前端の主走査ラインについての端部処理において、次に端部処理用副走査と第1の単位スキャン動作とを行うと仮定したときに、1回の第1の単位スキャン動作で溝部ノズル群が記録できる主走査ラインの集合である端部処理単位ラインの前端の主走査ラインが、印刷媒体の前端から所定の距離にある主走査ラインよりも後方に位置する場合には、以下のような副走査を行う。すなわち、中間処理に使用されるノズルが1回の第2の単位スキャン動作によって副走査の方向について隙間なく記録できる主走査ラインの束である中間処理単位バンドの前端の主走査ラインが、印刷媒体の前端から所定の距離にある主走査ラインの後方に隣接する主走査ラインと一致するような相対位置に、副走査を行う。そして、第2の単位スキャン動作を行って、中間処理に移行する。このような態様とすれば、効率的に端部処理から中間処理に移行することができる。
【0039】
また、印刷媒体の前端が溝部の開口上にあるときの印刷媒体の前端の主走査ラインについての端部処理において、端部処理単位ラインの前端の主走査ラインが、印刷媒体の前端から所定の距離にある主走査ラインよりも後方に位置する場合には、以下のような処理を行うこともできる。すなわち、端部処理用副走査を行う。そして、第2の単位スキャン動作を行って、中間処理に移行する。このような態様としても、効率的に端部処理から中間処理に移行することができる。
【0040】
また、印刷媒体の後端が溝部の開口上にあるときに、印刷媒体の後端の主走査ラインについて端部処理を実行する場合には、次のような処理を行うことができる。すなわち、次に中間処理用副走査と第2の単位スキャン動作とを行うと仮定したときに、1回の第2の単位スキャン動作で、中間処理に使用されるノズルが副走査の方向について隙間なく記録できる主走査ラインの束である中間処理単位バンドの後端の主走査ラインが、印刷媒体の後端から所定の距離にある主走査ラインよりも後方に位置する場合には、以下のような副走査を行う。すなわち、端部処理単位バンドの後端の主走査ラインが、印刷媒体の後端から所定の距離にある主走査ラインと一致するような相対位置に、副走査を行う。そして、第1の単位スキャン動作を行って、端部処理に移行する。このような態様とすれば、効率的に中間処理から端部処理に移行することができる。
【0041】
なお、本発明は、以下に示すような種々の態様で実現することが可能である。
(1)ドット記録方法、印刷制御方法、印刷方法。
(2)ドット記録装置、印刷制御装置、印刷装置。
(3)上記の装置や方法を実現するためのコンピュータプログラム。
(4)上記の装置や方法を実現するためのコンピュータプログラムを記録した記録媒体。
(5)上記の装置や方法を実現するためのコンピュータプログラムを含み搬送波内に具現化されたデータ信号。
【0042】
【発明の実施の形態】
以下で、本発明の実施の形態を実施例に基づいて以下の順序で説明する。
A.実施形態の概要:
B.第1実施例:
B1.装置の構成:
B2.印刷データ:
B3.印刷:
C.第2実施例:
D.第3実施例:
E.変形例:
E1.変形例1:
E2.変形例2:
E3.変形例3:
E4.変形例4:
E5.変形例5:
E6.変形例6:
【0043】
A.実施形態の概要:
図1は、本発明の実施の形態における、印刷用紙の前端部分の印刷を示す側面図である。図1においては、印刷用紙Pが上流側紙送りローラ25a,25bに保持されて、送られており(副走査送り)、その前端Pfが上流側溝部26f上およびプラテン26上を通過して、下流側溝部26rの開口の上に至っている。このとき溝部と向かい合うノズル#1〜#3からインク滴Ipを吐出して印刷を開始する。印刷用紙Pの前端Pfがノズル#1よりも上流にあるときに印刷を開始するので、多少の紙送り誤差があっても、印刷用紙Pの前端部Pfに余白を作ることなく端まで画像を印刷することができる。印刷用紙Pに着弾しなかったインク滴は、吸収部材27に吸収される。
【0044】
上記のような印刷を行って印刷用紙の前端部分の印刷を行った後、ノズル#1〜#13を使用して印刷用紙の中間部分の印刷を行う。ノズル#1〜#3を使用する印刷用紙の前端部分の印刷においても、ノズル#1〜#13を使用する中間部分の印刷においても、印刷は、印刷用紙の送り方向について所定の幅を有するバンドの単位で行われてゆく。このため、ノズル#1〜#3のみを使用する前端部分の印刷から、ノズル#1〜#13を使用する中間部分の印刷に移行する際に、バンド単位で効率的に印刷の切換えを行うことができる。印刷用紙の中間部分の印刷と、後端部分の印刷についても、同様である。
【0045】
B.第1実施例:
B1.装置の構成:
図2は、本印刷装置のソフトウェアの構成を示すブロック図である。コンピュータ90では、所定のオペレーティングシステムの下で、アプリケーションプログラム95が動作している。オペレーティングシステムには、ビデオドライバ91やプリンタドライバ96が組み込まれており、アプリケーションプログラム95からは、これらのドライバを介して、プリンタ22に転送するための画像データDが出力されることになる。画像のレタッチなどを行うアプリケーションプログラム95は、スキャナ12から画像を読み込み、これに対して所定の処理を行いつつビデオドライバ91を介してCRT21に画像を表示している。スキャナ12から供給されるデータORGは、カラー原稿から読み取られ、レッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)の3色の色成分からなる原カラー画像データORGである。
【0046】
このアプリケーションプログラム95が、印刷命令を発すると、コンピュータ90のプリンタドライバ96が、画像データをアプリケーションプログラム95から受け取り、これをプリンタ22が処理可能な信号(ここではシアン、マゼンタ、ライトシアン、ライトマゼンタ、イエロ、ブラックの各色についての多値化された信号)に変換している。図2に示した例では、プリンタドライバ96の内部には、解像度変換モジュール97と、色補正モジュール98と、ハーフトーンモジュール99と、ラスタライザ100とが備えられている。また、色補正テーブルLUT、ドット形成パターンテーブルDTも記憶されている。
【0047】
解像度変換モジュール97は、アプリケーションプログラム95が扱っているカラー画像データの解像度、即ち、単位長さ当りの画素数をプリンタドライバ96が扱うことができる解像度に変換する役割を果たす。こうして解像度変換された画像データは、まだRGBの3色からなる画像情報であるから、色補正モジュール98は色補正テーブルLUTを参照しつつ、各画素ごとにプリンタ22が使用するシアン(C)、マゼンタ(M)、ライトシアン(LC)、ライトマゼンタ(LM)、イエロ(Y)、ブラック(K)の各色のデータに変換する。なお、「画素」とは、インク滴を着弾させドットを記録する位置を規定するために、印刷媒体上に(場合によっては印刷媒体の外側にまで)仮想的に定められた方眼状の升目である。
【0048】
色補正されたデータは、例えば256階調等の幅で階調値を有している。ハーフトーンモジュール99は、ドットを分散して形成することによりプリンタ22で、この階調値を表現するためのハーフトーン処理を実行する。ハーフトーンモジュール99は、ドット形成パターンテーブルDTを参照することにより、画像データの階調値に応じて、それぞれのインクドットのドット形成パターンを設定した上で、ハーフトーン処理を実行する。こうして処理された画像データは、ラスタライザ100によりプリンタ22に転送すべきデータ順に並べ替えられ、最終的な印刷データPDとして出力される。印刷データPDは、各主走査時のドットの記録状態を表すラスタデータと副走査送り量を示すデータとを含んでいる。本実施例では、プリンタ22は印刷データPDに従ってインクドットを形成する役割を果たすのみであり画像処理は行っていないが、勿論これらの処理をプリンタ22で行うものとしても差し支えない。
【0049】
次に、図3によりプリンタ22の概略構成を説明する。図示するように、このプリンタ22は、紙送りモータ23によって用紙Pを搬送する機構と、キャリッジモータ24によってキャリッジ31を用紙Pの搬送方向と垂直な方向に往復動させる機構と、キャリッジ31に搭載された印刷ヘッド28を駆動してインクの吐出およびインクドットの形成を行う機構と、これらの紙送りモータ23、キャリッジモータ24、印刷ヘッド28および操作パネル32との信号のやり取りを行ってこれらを制御する制御回路40とから構成されている。
【0050】
キャリッジ31をプラテン26の軸方向に往復動させる機構は、印刷用紙Pの搬送方向と垂直な方向に架設され、キャリッジ31を摺動可能に保持する摺動軸34と、キャリッジ31とキャリッジモータ24との間に無端の駆動ベルト36を張設するプーリ38と、キャリッジ31の原点位置を検出する位置検出センサ39等から構成されている。
【0051】
キャリッジ31には、黒インク(K)用のカートリッジ71とシアン(C),ライトシアン(LC)、マゼンタ(M),ライトマゼンダ(LM)、イエロ(Y)の6色のインクを収納したカラーインク用カートリッジ72が搭載可能である。キャリッジ31の下部の印刷ヘッド28には計6個のインク吐出用ヘッド61ないし66が形成されており、キャリッジ31に黒(K)インク用のカートリッジ71およびカラーインク用カートリッジ72を上方から装着すると、各インクカートリッジから吐出用ヘッド61ないし66へのインクの供給が可能となる。
【0052】
図4は、印刷ヘッド28におけるインクジェットノズルNzの配列を示す説明図である。これらのノズルの配置は、ブラック(K)、シアン(C)、ライトシアン(LC)、マゼンタ(M)、ライトマゼンダ(LM)、イエロ(Y)各色ごとにインクを吐出する6組のノズルアレイから成っており、それぞれ13個のノズルが一定のノズルピッチkで一列に配列されている。これらの6組のノズルアレイは主走査方向に沿って並ぶように配列されている。なお、「ノズルピッチ」とは、印刷ヘッド上に配されるノズルの副走査方向の間隔が何ドット分(すなわち、何画素分)であるかを示す値である。
【0053】
図5は、プラテン26の周辺を示す平面図である。プラテン26は、矢印MSで示す主走査の方向について、このプリンタ22で使用可能な印刷用紙Pの最大幅よりも長く設けられている。そして、プラテン26の上流には、上流側紙送りローラ25a、25bが設けられている。上流側紙送りローラ25aが一つの駆動ローラであるのに対し、上流側紙送りローラ25bは自由に回転する複数の小ローラである。また、プラテンの下流には、下流側紙送りローラ25c、25dが設けられている。下流側紙送りローラ25cが駆動軸に設けられた複数のローラであり、下流側紙送りローラ25dは自由に回転する複数の小ローラである。下流側紙送りローラ25dの外周面には、回転軸方向に平行に溝が設けられている。すなわち、下流側紙送りローラ25dは、外周面に放射状に歯(溝と溝の間の部分)を有しており、回転軸方向から見た場合に歯車状の形状に見える。この下流側紙送りローラ25dは、通称「ギザローラ」と呼ばれ、印刷用紙Pをプラテン26上に押しつける役割を果たす。なお、下流側紙送りローラ25cと上流側紙送りローラ25aとは、外周の速さが等しくなるように同期して回転する。
【0054】
印刷ヘッド28を搭載したキャリッジ31は、これらの上流側紙送りローラ25a、25bおよび下流側紙送りローラ25c、25dに挟まれたプラテン26上を主走査において矢印MSの方向に往復動する。印刷用紙Pは、上流側紙送りローラ25a、25bおよび下流側紙送りローラ25c、25dに保持され、その間の部分をプラテン26の上面によって印刷ヘッド28のノズル列と向かい合うように支持される。そして、上流側紙送りローラ25a、25bおよび下流側紙送りローラ25c、25dによって矢印SSの方向に副走査送りを実施されて、印刷ヘッド28のノズルから吐出されるインクにより順次画像を記録される。なお、本明細書においては、この上流側紙送りローラ25a、25bを「上流側副走査駆動部」ということがあり、下流側紙送りローラ25c,25dを「下流側副走査駆動部」ということがある。
【0055】
また、プラテン26には、副走査方向の上流側および下流側にそれぞれ上流側溝部26fと下流側溝部26rが設けられている(図1参照)。上流側溝部26fと下流側溝部26rは、それぞれ矢印MSで示す主走査方向に沿って、このプリンタ22で使用可能な印刷用紙Pの最大幅よりも長く設けられている。
【0056】
下流側溝部26rは、印刷ヘッド28上のノズルNzのうち最下流のノズルを含む下流側の一部のノズル群Nr(図5において斜線で示す部分のノズル)と向かい合う位置に設けられている。そして、上流側溝部26fは、印刷ヘッド28上のノズルのうち最上流のノズルを含む上流側の一部のノズル群Nf(図5において図示せず)と向かい合う位置に設けられている。具体的には、図1に示すように、下流側溝部26rと向かい合う位置にあるノズル群Nrは、各ノズル列のノズル#1〜#3である。そして、上流側溝部26fと向かい合う位置にあるノズル群Nfは、各ノズル列のノズル#10〜#13である。
【0057】
このプリンタ22は、印刷用紙Pの副走査の際に、印刷用紙Pが主走査方向の所定の位置を保つようにガイドするガイド29a,29bを備えている。また、プラテン26には、上流側溝部26fと下流側溝部26rとのそれぞれの両端を結ぶように副走査方向に沿って延びる、左側溝部26aと右側溝部26bとが設けられている。左側溝部26aと右側溝部26bとは、印刷ヘッド上のノズル列からのインク滴の着弾範囲よりも長く副走査の方向の範囲に設けられている。そして、左側溝部26aと右側溝部26bは、それぞれの中心線同士の(主走査方向の)間隔が、プリンタ22で印刷可能な印刷用紙Pの主走査方向の幅に等しくなるように設けられている。
【0058】
これら上流側溝部26f、下流側溝部26r、左側溝部26aおよび右側溝部26bは互いに接続されており、四辺形の溝部を構成する。そして、その底部にはインク滴Ipを受けてこれを吸収するための吸収部材27が配されている(図1参照)。
【0059】
印刷用紙Pは、上流側紙送りローラ25a、25bおよび下流側紙送りローラ25c、25dによって副走査送りを実施されているときには、上流側溝部26fと下流側溝部26rの開口上を通過していく。また、印刷用紙Pは、プラテン26上において、左側端部Paは左側溝部26a上に位置し、右側端部Pbは右側溝部26b上に位置するように、ガイド29a,29bによって主走査方向について位置決めされている。よって、副走査送りの際には、印刷用紙Pの両側端がそれぞれ左側溝部26a、右側溝部26bの開口上にある位置を保って送りがなされる。
【0060】
次に、図3を使用して、プリンタ22の制御回路40の内部構成を説明する。制御回路40の内部には、CPU41、PROM42、RAM43の他、コンピュータ90とのデータのやり取りを行うPCインタフェース45と、インク吐出用ヘッド61〜66にインクドットのON、OFFの信号を出力する駆動用バッファ44などが設けられており、これらの素子および回路はバスで相互に接続されている。制御回路40は、コンピュータ90で処理されたドットデータを受け取り、これを一時的にRAM43に蓄え、所定のタイミングで駆動用バッファ44に出力する。
【0061】
以上説明したハードウェア構成を有するプリンタ22は、紙送りモータ23により用紙Pを搬送しつつ、キャリッジ31をキャリッジモータ24により往復動させ、同時に印刷ヘッド28の各ノズルユニットのピエゾ素子を駆動して、各色インク滴Ipの吐出を行い、インクドットを形成して用紙P上に多色の画像を形成する。
【0062】
B2.印刷データ:
図6は、画像の記録領域Rと印刷用紙Pとの関係を示す説明図である。本実施例では、印刷用紙Pの前端Pfを超えて印刷用紙Pの外側まで画像の記録領域Rを設定する。また、印刷用紙Pの下端Pr、左側端Pa、右側端Pbについても同様に、印刷用紙Pの端を超えて印刷用紙Pの外側まで画像の記録領域Rを設定する。したがって、本実施例においては、印刷時の画像の記録領域Rと印刷用紙Pの大きさ、および記録領域Rの想定位置と印刷用紙Pの配置の関係は、図6に示すようになる。以下、画像の記録領域を「拡張領域R」と呼ぶ。なお、印刷用紙Pの左側端Pa、右側端Pbの左右の名称については、プリンタ22の左右の名称と対応させたため、印刷用紙Pにおいては、図6の左右と左側端Pa、右側端Pbの名称とが逆になっている。
【0063】
第1実施例において、拡張領域Rの、印刷用紙Pの左側端Pa、右側端Pbを超えて設定される部分の主走査方向(図6の左右方向)の寸法は、印刷用紙の種類によらず一定であるものとする。したがって、印刷用紙の主走査方向の幅をWp(用紙の種類によって異なる)、左側端Paを超えて設定される拡張領域Rの部分の幅をWa(一定値)、右側端Pbを超えて設定される拡張領域Rの部分の幅をWb(一定値)とすると、拡張領域の幅Wrは、Wr=Wp+Wa+Wbの式で定まる。なお、この拡張領域Rの幅Wrは、印刷用紙Pの左右の幅を超える幅を有し、かつ、左側溝部26aと右側溝部26bの外側の側壁同士の間隔を超えない幅である。
【0064】
これに対して、拡張領域Rの、印刷用紙Pの前端Pf、下端Prを超えて設定される部分の副走査方向(図6の上下方向)の寸法は、印刷用紙Pの副走査方向の寸法および材質(紙以外の素材の場合も含む)によって異なる。拡張領域Rのうちの、印刷用紙Pの前端Pfを超えて設定される部分を、記録領域の外前端部Rfpと呼び、下端Prを超えて設定される部分を、記録領域の外後端部Rrpと呼ぶ。
【0065】
外前端部Rfpは、印刷ヘッド28に設けられたノズル列のうち、下流側溝部26rと向かい合う位置にあるノズルからなる下流側溝部ノズル群Nrのみで記録される(図1参照)。また、拡張領域Rのうち、印刷用紙Pの前端Pfから内側で外前端部Rfpと隣接する部分も、外前端部Rfpと同じ、下流側溝部ノズル群Nrのみで記録される。この部分を内前端部Rfqと呼ぶ。そして、外前端部Rfpと内前端部Rfqとをあわせて、拡張領域Rの前端部Rfと呼ぶ。例えば、プリンタ22で使用可能な最大幅を有するある印刷用紙Pにおいて、外前端部Rfpの副走査方向の幅Lfpは主走査ライン8本分であり、内前端部Rfqの副走査方向の幅Lfqは主走査ライン12本分である。
【0066】
一方、外後端部Rrpは、印刷ヘッド28に設けられたノズル列のうち、上流側溝部26fと向かい合う位置にある上流側溝部ノズル群Nfのみで記録される(図1参照)。印刷用紙Pの下端Prから内側で外後端部Rrpと隣接する部分も、外後端部Rrpと同じ、上流側溝部ノズル群Nfのみで記録される。この部分を内後端部Rrqと呼ぶ。そして、外後端部Rrpと内後端部Rrqとをあわせて、拡張領域Rの後端部Rrと呼ぶ。例えば、プリンタ22で使用可能な最大幅を有するある印刷用紙Pにおいて、外後端部Rrpの副走査方向の幅Lrpは主走査ライン12本分であり、内後端部Rrqの副走査方向の幅Lrqは主走査ライン10本分である。
【0067】
B3.印刷:
(1)中間処理:
本実施例のプリンタにおいては、印刷用紙Pの前端Pfを下流側溝部26r上で印刷し、後端Prを上流側溝部26f上で印刷するために、印刷用紙の前端近傍と後端近傍において、印刷用紙の中間部分とは異なる印刷処理が行われる。この明細書では、印刷用紙の中間部分における印刷処理を「中間処理」と呼び、印刷用紙の前端近傍における印刷処理を「前端処理」、印刷用紙の後端近傍における印刷処理を「後端処理」と呼ぶ。また、前端処理と後端処理とをまとめて呼ぶときには「前後端処理」と呼ぶ。
【0068】
なお、本明細書では、印刷用紙Pに記録する画像データの上下に対応させて印刷用紙Pの端を呼ぶ場合は、「上端(部)」、「下端(部)」の語を使用することがあり、プリンタ22上での印刷用紙Pの副走査送りの進行方向に対応させて印刷用紙Pの端を呼ぶ場合は、「前端(部)」、「後端(部)」の語を使用する。ノズル群(ノズル列)中のノズルの位置を示す場合も、印刷用紙Pに記録する画像データの上下に対応させてノズルの位置を示す場合は、「上端(部)」、「下端(部)」の語を使用することがあり、プリンタ22上での印刷用紙Pと印刷ヘッドの副走査送りの進行方向に対応させてノズルの位置を示す場合は、「前端(部)」、「後端(部)」の語を使用する。本明細書では、印刷用紙Pにおいて「上端(部)」が「前端(部)」に対応し、「下端(部)」が「後端(部)」に対応する。印刷用紙を搬送する場合の印刷用紙の送りの方向で言うと、「上端」および「前端」が副走査送りの下流の方向に位置する端であり、「下端」および「後端」が副走査送りの上流の方向に位置する端である。また、本明細書では、印刷用紙上へのドットの記録を説明する際には、印刷用紙Pが紙送りモータ22によって送られる際の前端の方向を「上方」と呼び、後端の方向を「下方」と呼ぶことがある。
【0069】
図7は、中間処理における単位スキャン動作による主走査ラインへのドットの記録を示す説明図である。「主走査ライン」とは、主走査の方向に並ぶ画素の集合である。実際には、印刷用紙Pが印刷ヘッドに対して搬送されて両者の相対位置が変わるが(図1参照)、図7では、説明を簡単にするために、印刷ヘッドが印刷用紙Pに対して下方に移動するかのように、表示している。なお、升目の中に#を付して記載されている番号は、各主走査ラインを記録するノズルの番号である。以下、主走査ラインの記録について説明する各図において同様である。
【0070】
各主走査ラインは、それぞれ図7の左右方向に延びる画素の列である。上下方向に隣り合う主走査ライン間の間隔はDである。図7からわかるように、印刷ヘッド上の各ノズルの上下方向(副走査方向)のピッチは、4×Dである。本明細書では、隣り合う主走査ラインの間隔を「1ドット」と表記する。したがって、印刷ヘッド上の各ノズルのピッチkは、4ドットである。また、副走査送りの送り量を表記する場合も、この主走査ライン間の間隔を基準として「ドット」単位で表記する。
【0071】
第1実施例における印刷では、各主走査の合間に送り量が1ドットずつの微小送り(副走査)を行ってk回(kはノズルピッチ)の主走査を行う単位スキャン動作を行う。この単位スキャン動作によって、副走査方向に隣り合う複数の主走査ラインで構成されるバンド内にドットが記録される。そして、単位スキャン動作と単位スキャン動作の合間に大きな送りを行って、印刷用紙上に、順に主走査ラインの束の単位で記録を行ってゆく。第1実施例の前端処理では、図7に示すように、1ドット送りを3回繰り返して4回の主走査を行うことで、一つの単位スキャン動作が完了する。なお、1回の主走査を「パス」と呼ぶ。
【0072】
図7に示すように、各ノズル列13個のすべてのノズルを使用して単位スキャン動作を行った場合に各インクによって記録される主走査ラインであって、副走査の方向について隙間なく並ぶ主走査ラインの数L1は、52である。なお、各ノズル列のすべてのノズルを使用して単位スキャン動作を行った場合に記録される主走査ラインの集合を「中間処理単位ライン」と呼び、そのうち、副走査の方向について隙間なく並ぶ主走査ラインの束を「中間処理単位バンド」と呼ぶ。第1実施例では、各主走査の合間に1ドットずつの送りを行うため、「中間処理単位ライン」と「中間処理単位バンド」とは一致する。各ノズル列のすべてのノズルを使用して単位スキャン動作を行う中間処理においては、一つの単位スキャン動作が終わったあと、次の単位スキャン動作を行う前に、送り量Smが49ドットの「中間処理用副走査」が行われる。図7に示すように、単位スキャン動作内においては、送り量Smiが1ドットの送りが3回行われるので、前端処理用副走査と、単位スキャン動作が行われた場合には、印刷ヘッド28は合計で52ドット送られることになる。
【0073】
なお、「(すべての)ノズルを使用する」とは、そのモードの印刷において、そのノズルを使用することが可能である、という意味である。したがって、送られてきた印刷データの内容によっては、実際には、そのノズルが使用されないこともある。また、副走査の都合で、すでにある色のインクで記録が行われた主走査ラインの上を、同じ色のインクを吐出するノズルが通過する場合は、実際には、そのノズルが使用されないこともある。なお、印刷データには、画像データのほか、想定している画素のピッチのデータや副走査送り量のデータなどが含まれる。本発明の説明において「画像」という場合には、絵のほかに、文字や符号、線図など、印刷媒体上に記録するあらゆる形態の対象を含むものとする。
【0074】
(2)前端処理:
図8は、前端処理における単位スキャン動作による主走査ラインへのドットの記録を示す説明図である。前端処理においては、各ノズル列について、下流側溝部26rと向かい合うノズル#1〜#3のみを使用してドットの記録を行う(図1および図5参照)。図8においては、印刷に使用するノズル#1〜#3のノズルの位置のみを図中に示し、印刷に使用しないノズルの位置は、「*」で示した。
【0075】
図8に示すように、下流側溝部ノズル群を使用して単位スキャン動作を行った場合に副走査方向について隙間なく記録される主走査ラインの数L2は、12である。なお、1回の単位スキャン動作で下流側溝部ノズル群Nrが副走査の方向について記録できる主走査ラインの集合を、特に「前端処理単位ライン」と呼ぶ。そして、1回の単位スキャン動作で下流側溝部ノズル群Nrが副走査の方向について隙間なく記録できる主走査ラインの束を、特に「前端処理単位バンド」と呼ぶ。前端処理においては、一つの単位スキャン動作が終わったあと、次の単位スキャン動作を行う前に、送り量が9ドットの「前端処理用副走査」が行われる。図8に示すように、単位スキャン動作内においては、送り量Sfiが1ドットの送りが3回行われるので、前端処理用副走査と、単位スキャン動作が行われた場合には、印刷ヘッド28は合計で12ドット送られることになる。
【0076】
前端処理においては、下流側溝部と向かい合う位置にあるノズルのみを使用して印刷が行われる(図1および図5参照)。よって、各ノズルから吐出されたインク滴が、印刷用紙上に着弾しなかった場合にも、プラテンにインク滴が着弾することがない。よって、印刷用紙が正確に送られていなかった場合にも、前端処理においては、プラテンにインク滴が着弾することがない。
【0077】
なお、前端処理においては、印刷用紙の前端が溝部の開口上にあるときだけでなく、その前後にも、すなわち、印刷用紙の前端が溝部の開口上にないときにも、溝部と向かい合うノズルのみを使用してドットの記録を行う。
【0078】
(3)後端処理:
図9は、印刷用紙Pの後端部Prの印刷をする際の上流側溝部26fと印刷用紙Pの関係を示す側面図である。そして、図10は、印刷用紙Pの後端部Prの印刷をする際の上流側溝部26fと印刷用紙Pの関係を示す平面図である。図10において、印刷ヘッド28の斜線で示した部分が、上流側溝部26fと向かい合う位置にあるノズル#10〜#13(上流側溝部ノズル群Nf)が位置する部分である。後端処理においては、各ノズル列について、上流側溝部26fと向かい合うノズル#10〜#13のみを使用して印刷を行う。
【0079】
図11は、後端処理における単位スキャン動作による主走査ラインへのドットの記録を示す説明図である。図11に示すように、上流側溝部ノズル群を使用して単位スキャン動作を行った場合に隙間なく記録される主走査ラインの数L3は、16である。なお、1回の単位スキャン動作で上流側溝部ノズル群が副走査の方向について隙間なく記録できる主走査ラインの束を、特に「後端処理単位バンド」と呼ぶ。後端処理においては、一つの単位スキャン動作が終わったあと、次の単位スキャン動作を行う前に、送り量が13ドットの「後端処理用副走査」が行われる。図11に示すように、単位スキャン動作内においては、送り量Sriが1ドットの送りを3回行われるので、前端処理用副走査と、単位スキャン動作が行われた場合には、印刷ヘッド28は合計で16ドット送られることになる。前端処理、中間処理、後端処理において、単位スキャン動作の合間に行われる副走査の送り量と、単位スキャン動作内で行われる全副走査の送り量の合計は、単位スキャン動作を行った場合に記録される主走査ラインの数に等しい。
【0080】
後端処理においては、下流側溝部と向かい合う位置にあるノズルのみを使用して印刷が行われる(図9および図10参照)。よって、各ノズルから吐出されたインク滴が、印刷用紙上に着弾しなかった場合にも、プラテンにインク滴が着弾することがない。よって、印刷用紙が正確に送られていなかった場合にも、後端処理においては、プラテンにインク滴が着弾することがない。
【0081】
なお、前端処理および後端処理において、単位スキャン動作内で行われる副走査送りの送り量は、第1実施例のように1ドットであることが好ましい。このようにすれば、ドット記録ヘッドにおいて副走査方向の端部に近いノズルで印刷媒体の端部を記録することができる。
【0082】
なお、後端処理においては、印刷用紙の後端が溝部の開口上にあるときだけでなく、その前後にも、すなわち、印刷用紙の前端が溝部の開口上にないときにも溝部と向かい合うノズルのみを使用してドットの記録を行う。前端処理は、前端処理部41aによって実行され、中間処理は、中間処理部41bによって実行される。そして、後端処理は、後端処理部41cによって実行される(図3参照)。
【0083】
(4)前端処理から中間処理への移行:
図12は、前端処理における手順を示すフローチャートである。そして、図13は、印刷用紙の前端部と中間部に相当する画像データの領域がどのように記録されるかを示す説明図である。図13の例では、第1〜18ラインが前端部Rfであり、第19ライン以下が中間部Rmである(図6参照)。また、図13では、縦方向の一つの列が1回の主走査に対応している。
【0084】
前端処理においては、図13のステップS22において、次に前端処理用副走査を行って単位スキャン動作を行ったと仮定した場合に、前端処理単位ラインに、どのような主走査ラインが含まれるかを検討する。その結果、ステップS24において前端部ライン(前端部Rfに含まれる主走査ラインをいう。以下同じ。)があるとされた場合には、ステップS26で送り量Sfの前端処理用副走査を行い、ステップS28で下流側溝部ノズル群Nr(ノズル#1〜#3)を使用して単位スキャン動作を行う。図13の例では、第8パスまでの印刷が、このルーチンに従って実行される。
【0085】
なお、前端処理において、次に行うことを検討している所定の副走査とその後の単位スキャン動作を実施することによって記録される単位ラインや単位バンド中に、前端部ラインが含まれる場合には、単位ラインや単位バンドの前端の主走査ラインが前端部Rfに位置すると考えられる。そして、そのような単位ラインや単位バンドに前端部ラインが含まれない場合には、検討した単位ラインや単位バンドの前端の主走査ラインが中間部Rmに位置するものと考えられる。
【0086】
一方、ステップS24で、次の前端処理単位ライン中に前端部ラインがないとされた場合には、ステップS30で、送り量Sf1の位置合わせ送りを行う。この位置合わせ送りは、中間処理単位バンドの上端の主走査ラインが、中間部の上端の主走査ラインと一致するような相対位置になるように、行われる。その後、ステップS32でノズル#1〜#13のすべてのノズルを使用して単位スキャン動作を行い、中間処理に移行する。図13の例では、第8パスの後の副走査送りがステップS30における位置合わせ送りである。図13の例では、位置合わせ送りの送り量Sf1は3ドットである。そして、第9〜12パスを含む単位スキャン動作が、ステップS38でいう単位スキャン動作である。そして、前端部Rfの後端の主走査ライン(図13の例では第18ライン)が、特許請求の範囲にいう「印刷媒体の前端から所定の距離にある主走査ライン」に相当する。なお、このような前端処理から中間処理への移行は、前端処理部41aの移行部41a1(図3参照)によって実行される。
【0087】
図13の例においては、第19〜第24ラインは、印刷の際の主走査において2個のノズルが通過する。そのような、印刷において2以上のノズルが通過する主走査ラインについては、本実施例では、最後にその主走査ライン上を通過するノズルでドットを記録する。したがって、図13の例では、第19〜第24ラインは、第5〜第8パスでは記録されず、第9〜第12パスで記録される。
【0088】
本実施例では、印刷用紙の前端まで余白なく画像を記録する。本実施例においては、印刷ヘッド28上のノズルがドットを記録しうる主走査ラインのうち、副走査方向上流の端のライン(図13の例における第1ライン)から、隙間なく各主走査ラインにドットを記録することができる。このため、印刷用紙Pの前端Pfぎりぎりの位置に上記第1ラインが位置するように、印刷ヘッド28に対して印刷用紙Pを配置してドットの記録を開始することとすれば、理論上は、印刷用紙の前端いっぱいまで画像を記録することができる。しかし、副走査送りの際には送り量について誤差が生じる場合がある。また、印刷ヘッドの製造誤差などによりインク滴の吐出方向がずれる場合もある。そのような理由から印刷用紙上へのインク滴の着弾位置がずれた場合についても、印刷用紙の前端に余白が生じないようにすることが好ましい。よって本実施例では、印刷に使用する画像データDは、印刷ヘッド28上のノズルがドットを記録しうる主走査ラインのうち、副走査方向上流の端の第1ラインから設定し、一方で、印刷用紙Pの前端が、副走査方向上流の端から9番目の主走査ラインの位置にある状態から印刷を開始することとする。したがって、印刷開始時の各主走査ラインに対する印刷用紙前端Pfの想定位置は、図13に示すように、副走査方向上流の端から9番目の主走査ラインの位置である。
【0089】
前述のように、印刷開始時において、印刷用紙Pの前端Pfは、印刷ヘッド28上のノズルがドットを記録しうる主走査ラインのうち、副走査方向上流の端から9番目の主走査ラインの位置にある。すなわち、図1を使用して説明すれば、印刷用紙Pの前端の主走査ラインは、#3のノズルの直下にあることとなる(図13参照)。なお、画像データは、図1において破線で示している範囲(ノズル#1の直下)まで用意されている。したがって、この状態から印刷を開始することとすると、印刷可能領域の最上段の主走査ライン(図13において、第1ライン)が#1のノズルで記録されるはずであるが、図1に示すように、#1のノズル下方にはまだ印刷用紙Pはない。したがって、印刷用紙Pが上流側紙送りローラ25a,25bによって正確に送られていれば、#1のノズルから吐出されたインク滴Ipは、そのまま下流側溝部26rに落下することとなる。第5ラインを記録するはずのノズル#2についても同様である(図13参照)。これら、ノズル#1およびノズル#2から吐出されるインク滴は、印刷用紙Pが上流側紙送りローラ25a,25bによって正確に送られていれば、第4パスまでは、印刷用紙Pに着弾しない(図1参照)。
【0090】
しかし、何らかの理由により、印刷用紙Pが本来の送り量よりも多く送られてしまった場合には、印刷開始時に印刷用紙Pの前端が印刷可能領域の第1〜第8ラインの位置に来てしまう場合もある(図13および図1参照)。本実施例では、そのような場合でも、#1、#2のノズルがそれらの主走査ラインに対してインク滴Ipを吐出するため、印刷用紙Pの前端に画像を記録することができ、余白ができてしまうことがない。すなわち、印刷用紙Pが本来の送り量よりも多く送られてしまった場合でも、その余分の送り量が8ライン分以下である場合には、印刷用紙の前端が図1において破線で示す画像データの範囲内にあり、印刷用紙Pの前端に余白ができてしまうことがない。
【0091】
逆に、何らかの理由により、印刷用紙Pが本来の送り量よりも少なく送られてしまうことも考えられる。そのような場合には、本来印刷用紙があるべき位置に印刷用紙がないこととなり、インク滴Ipが下方の構造物に着弾してしまうこととなる。しかし、図13に示すように、本実施例においては、用紙の想定前端位置から10ライン(第9〜第18ライン)は、#1〜#3のノズルで記録されることとなっている。これらのノズルの下方には下流側溝部26rが設けられており、仮に、インク滴Ipが印刷用紙Pに着弾しなかったとしても、そのインク滴Ipは下流側溝部26rに落下し、吸収部材27に吸収されることとなる。したがって、インク滴Ipがプラテン26上面部に着弾して、のちに印刷用紙を汚すことはない。すなわち、本実施例においては、印刷開始時に、印刷用紙Pの前端Pfが想定前端位置よりも後ろにある場合でも、想定前端位置からのずれ量が10ライン以下である場合には、インク滴Ipがプラテン26上面部に着弾して、のちに印刷用紙Pを汚すことはない。
【0092】
印刷用紙Pは、上流側紙送りローラ25a,25bおよび下流側紙送りローラ25c,25dの二組のローラにより保持され、副走査送りされることが望ましい。一方のローラのみで保持され、副走査送りされる場合に比べ、より正確に副走査送りをすることができるからである。しかし、印刷用紙の前端Pfを印刷する際には、印刷用紙Pは上流側紙送りローラ25a,25bのみによって保持され、副走査送りをされる(図1参照)。
【0093】
本実施例においては、印刷ヘッド28上のノズルがドットを記録しうる主走査ラインのうち副走査方向上流の端から9番目の主走査ラインの位置に、印刷用紙の前端Pfが位置する状態で印刷を開始する(図1および図13参照)。したがって、図1に示すように、その位置から、印刷用紙前端Pfが下流側紙送りローラ25c,25dに保持されるまでのあいだ、すなわち、図1に示すL31の距離だけ印刷用紙が送られる間、上流側紙送りローラ25a,25bのみによって副走査送りがされ、印刷が実行される。本実施例においては、下流側の一部のノズルのみを使用する前端処理が行われるため、上流側紙送りローラ25a,25bのみによって副走査送りがされ、印刷が実行される区間が比較的短い。このため、印刷結果が高画質となる。なお、上記のような態様に限らず、副走査方向の下流側の端の近傍のノズルで印刷用紙の前端Pf近傍を印刷する態様とすれば、上記の効果を奏することができる。そして、特に、上流副走査駆動部(上流側紙送りローラ25a,25b)の送り精度が比較的低い場合に有効である。
【0094】
また、本実施例では、前端処理においては幅L2の前端処理単位バンドの単位で順に画像データが記録され、中間処理においては、幅L1の中間処理単位バンドの単位で順に画像データが記録される(図7および図8参照)。よって、上端部と中間部の境界近辺に未記録の主走査ラインを残すことなく、バンド単位で容易に前端処理から中間処理に移行することができる。そして、上端部と中間部の境界近辺に未記録領域を残さずに前端処理から中間処理に移行するために、逆向きの副走査送りを行う必要もない。
【0095】
また、第1実施例のような態様で、前端処理から中間処理への移行を行えば、中間部の上端部と接している部分を記録する際の、前端処理用副走査、中間処理用副走査および位置合わせ送りの回数を少なくすることができる。例えば、図13において、第19〜24パスで第19〜第24ラインを記録した場合は、中間部の第19〜第70ラインは、間に1回の位置合わせ用副走査を挟んだ2回の単位スキャン動作で記録されることになる。これに対して、第1実施例の態様では、第19〜第70ラインは、第9〜12パスの一度の単位スキャン動作で記録されている。前端処理用副走査、中間処理用副走査および位置合わせ送りは、単位スキャン動作内において行う送り量Sfi,Smiの微小送り(図7および図8参照)に比べて送り量が大きいので、送り誤差も大きくなる。よって、同じ領域を印刷する際のこれらの送りの回数が多くなるほど印刷結果の品質が低下するおそれが大きくなる。第1実施例では、これらの送りの回数を少なくすることができるので、中間部の、前端部との境界近辺の部分の印刷結果の品質を高くすることができる。
【0096】
(5)中間処理から後端処理への移行:
図14および図15は、印刷用紙の中間部と下端部に相当する画像データの領域がどのように記録されるかを示す説明図である。本実施例においては、印刷ヘッド28上のノズルがドットを記録しうる主走査ラインのうち、副走査方向下流の端から11番目以上の主走査ラインを使用して、画像を記録する。図14、図15では、副走査方向下流の端から11番目以上の主走査ラインを第1ラインとして、そこから印刷用紙の前端に向かって主走査ラインにつけた番号を図の左側に示している。また、上段に示している各パスに付された番号は、便宜上の番号であり、実際の印刷開始時からのパス数を表すものではない。
【0097】
図16は、中間処理における手順を示すフローチャートである。中間処理においては、ステップS52において、次に中間処理用副走査を行うと仮定したときの中間処理単位バンドに、どのような主走査ラインが含まれるかを検討する。その結果、ステップS54において後端部ライン(後端部に含まれる主走査ラインをいう。以下同じ。)がないとされた場合には、ステップS56で中間処理用副走査を行い、ステップS58でノズル#1〜#13のすべてのノズルを使用して単位スキャン動作を行う。その後、ステップS52に戻る。図14および図15の例においては、第4パスまでの印刷がこのルーチンに従って実行される。
【0098】
すなわち、中間処理では、次に中間処理用副走査を行った場合の中間処理単位バンドに、下端部の主走査ラインが含まれない限り、ステップS56およびS58が繰り返され、中間処理が実行される。
【0099】
なお、中間処理において、次に行うことを検討している所定の副走査とその後の単位スキャン動作を実施することによって記録される単位ラインや単位バンド中に、後端部ラインが含まれる場合には、検討した単位ラインや単位バンドの下端の主走査ラインが下端部Rrに位置すると考えられる。そして、そのような単位ラインや単位バンドに後端部ラインが含まれない場合には、単位ラインや単位バンドの下端の主走査ラインが中間部Rmに位置すると考えられる。
【0100】
ステップS54において後端部ラインがあるとされた場合には、ステップS60で、送り量がSm1の位置合わせ送りを行う。この位置合わせ送りによって、その後、ノズル#1〜#13を使用して単位スキャン動作を1回行ったときの中間処理単位バンドの下端の主走査ラインが、中間部Rmの下端の主走査ラインと一致するような相対位置に、印刷用紙が配される。そして、ステップS62で、ノズル#1〜#13のすべてのノズルを使用して単位スキャン動作を行い、その後、後端処理に移行する。図14および図15の例では、第4パスの後の副走査が、ステップS60で行う副走査である。ここでは、副走査の送り量Sm1は、12ドットである。そして、第5〜8パスを含む単位スキャン動作が、ステップS62で行う単位スキャン動作である。そして、中間部Rmの後端の主走査ライン(図14および図15の例では第23ライン)が、特許請求の範囲にいう「印刷媒体の後端から所定の距離にある主走査ライン」に相当する。
【0101】
なお、図14および図15の例では、第38〜第74ラインは、印刷の際の主走査において2個のノズルが通過する。そのような、印刷において2以上のノズルが通過する主走査ラインについては、本実施例では、最後にその主走査ライン上を通過するノズルでドットを記録する。したがって、図14および図15の例では、第38〜第74ラインは、第1〜第4パスでは記録されず、第5〜第8パスで記録される。なお、このような中間処理から後端処理への移行処理は、中間処理部41bの移行部41b1(図3参照)によって実行される。
【0102】
本実施例では、前端の場合と同様、後端についても余白なく画像を記録する。本実施例においては、前述のように、印刷ヘッド28上のノズルがドットを記録しうる主走査ラインのうち、副走査方向下流の端から11番目以上の主走査ラインを使用して、画像を記録する。さらに、副走査送りの際に送り量について誤差が生じる場合等を考慮して、正確な副走査送りがなされた場合に、印刷用紙の後端を越えて12ライン分(図15において第1〜第12ライン)の記録が行われるように、印刷用紙の想定位置と画像データの関係を定める。したがって、印刷終了時の各主走査ラインに対する印刷用紙後端の想定位置は、図15に示すように、第13ラインの位置である。
【0103】
第9パスにおいて印刷用紙Pの後端部の印刷を終了する際(図15の第16パス)、印刷用紙Pの後端Prは、#8のノズルよりも1ライン分下流(図15の上方)の位置にあることとなる(図9参照)。なお、画像データは、図9において破線で示している範囲(ノズル#10直下のラインの2ライン上流)まで用意されている。しがたって、この状態で、最後の第16パスでドットの記録を行うこととすると、ノズル#10〜#13から吐出されたインク滴Ipは、そのまま上流側溝部26fに落下することとなる。
【0104】
しかし、何らかの理由により、印刷用紙Pが本来の送り量よりも少なく送られてしまった場合には、印刷終了時に印刷用紙Pの後端が図15の第12〜第1ラインの位置に来てしまう場合もある。本実施例では、そのような場合でも、#10〜#13のノズルがそれらの主走査ラインに対してインク滴Ipを吐出するため、印刷用紙Pの前端に画像を記録することができ、余白ができてしまうことがない。すなわち、印刷用紙Pが本来の送り量よりも少なく送られてしまった場合でも、その不足分の送り量が12ライン分(図15の第1〜第12ライン)以下である場合には、印刷用紙の後端が図9において破線で示す画像データの範囲内にあり、印刷用紙Pの後端に余白ができてしまうことがない。
【0105】
そして、用紙の想定後端位置から上の10ライン(図15おいて、第13〜第22ライン)は、ノズル#10〜#13で記録されることとなっている。よって、何らかの理由により、印刷用紙Pが本来の送り量よりも多く送られてしまった場合にも、吐出されたインク滴Ipは上流側溝部26fに落下し、プラテン26上面部に着弾することがない。
【0106】
また、本実施例においては、印刷ヘッド28上のノズル#8から1ドット上流の位置(すなわち、図15において、第13ラインの位置)に、印刷用紙の後端Prが位置する状態で印刷用紙上の最後の主走査ラインを記録し印刷を終了する。したがって、図9に示すように、印刷用紙Pの後端Prが上流側紙送りローラ25a,25bを離れてから第13ラインに位置するまでの、L41の距離だけ印刷用紙Pが送られる間、下流側紙送りローラ25c,25dのみによって副走査送りがされ、印刷が実行される。本実施例においては、上流側の一部のノズルのみを使用する後端処理が行われるため、この下流側紙送りローラ25c,25dのみによって副走査送りがされ、印刷が実行される区間が比較的短い。このため、印刷結果が高画質となる。特に、下流側紙送りローラ25dは歯車状のローラであり、下流側紙送りローラ25c,25dの組み合わせは上流側紙送りローラ25a,25bに比べて送り精度が低い。このため、下流側紙送りローラ25c,25dのみによって副走査送りがされ、印刷が実行される区間が比較的短いことは、印刷結果の品質向上に大変有効である。なお、上記のような態様に限らず、副走査方向の上流側の端の近傍のノズルで印刷用紙の後端Pr近傍を印刷する態様とすれば、上記の効果を奏することができる。そして、特に、下流副走査駆動部(下流側紙送りローラ25c,25d)の送り精度が比較的送り低い場合に有効である。
【0107】
また、本実施例では、中間処理においては、幅L1の中間処理単位バンドの単位で順に画像データが記録され、後端処理においては幅L3の後端処理単位バンドの単位で順に画像データが記録される(図7および図11参照)。よって、中間部と下端部の境界近辺に未記録の主走査ラインを残すことなく、バンド単位で容易に中間処理から後端処理に移行することができる。そして、中間部と下端部の境界近辺に未記録領域を残さずに中間処理から後端処理に移行するために、逆向きの副走査送りを行う必要もない。
【0108】
(6)左右側端部の印刷:
図17は、印刷用紙Pの左右側端部の印刷を示す説明図である。本実施例では、前端処理および後端処理を含め、印刷用紙Pへの画像の記録全体を通じて、印刷用紙Pの左右端部にも余白を設けないように印刷を行う。その際、印刷ヘッド28は、主走査において、一方の端については、全てのノズルが印刷用紙Pの端を越えて印刷用紙Pの外側に位置するところまで送られ、他方の端についても、やはり全てのノズルが印刷用紙Pの他方の端を越えて印刷用紙Pの外側に位置するところまで送られる。そして、ノズルNzが印刷用紙P上にあるときだけでなく、ノズルNzが印刷用紙Pの端を超えた位置であって、かつ、左側溝部26aまたは右側溝部26b上にあるときにも、画像データDにしたがってそのノズルNzからインク滴を吐出する。なお、画像データDの画像記録領域(拡張領域R)は、印刷用紙Pの左右の端を超える幅を有し、かつ、左側溝部26aと右側溝部26bの外側の側壁同士の間隔を超えない幅を有する。このため、ノズルが印刷用紙Pと向かい合う位置にあるときだけでなく、ノズルが印刷用紙Pの外側で左側溝部26aまたは右側溝部26b上にあるときにも、画像データDにしたがってインク滴を吐出することができる。
【0109】
このような印刷を行うことで、多少印刷用紙Pが主走査方向に多少ずれた場合にも、印刷用紙Pの左右の両端に余白を作ることなく画像を形成することができる。そして、印刷用紙の両側端部を印刷するノズルは左側溝部26aまたは右側溝部26b上に位置するノズルであるため、インク滴が印刷用紙Pからはずれた場合にも、インク滴はプラテン26の中央部26cに着弾することなく、左側溝部26aまたは右側溝部26bに着弾する。よって、プラテン26の中央部26cに着弾したインク滴によって、印刷用紙Pが汚されることがない。
【0110】
C.第2実施例:
図18は、第2実施例の前端処理における手順を示すフローチャートである。図12に示す第1実施例の処理では、前端処理単位ライン中に前端部ラインがない場合には(ステップS24)、ステップS32の位置合わせ送りを行った(図13の第8パス後の副走査送り参照)。しかし、第2実施例では、前端処理から後端処理に移行する際には、位置合わせ送りを行わずに、ステップS31で、それまでと同様に前端処理用副走査を行う。他の点は、ハードウェア構成および処理手順とも第1実施例と同様である。
【0111】
図19は、第2実施例において、印刷用紙の前端部と中間部に相当する画像データの領域がどのように記録されるかを示す説明図である。第8パスまでは第1実施例の図13と同様に行われる。第8パスの後、図15のステップS24では、次に前端処理用副走査を行った場合の前端処理単位バンド中に前端部ラインがないと判断される。すると、ステップS31で、送り量Sfの前端処理用副走査が行われ、ステップS32でノズル#1〜#13を使用して単位スキャン動作が行われる。第9〜第12パスを含む単位スキャン動作が、ステップS32の単位スキャン動作である。このような態様としても、効率的に前端処理から後端処理に移行することができる。このような態様とすれば、中間部Rmの前端部Rfとの境界近傍の主走査ライン上を、複数回ノズルが通過することがない。よって、各主走査ラインに効率的にドットを記録することができる。
【0112】
D.第3実施例:
第1実施例、第2実施例では、主走査ラインピッチは、ノズルピッチよりも小さかった。しかし、第3実施例では、主走査ラインピッチは、ノズルピッチに等しい。すなわち、ノズルピッチは1ドットである。そして、上端処理、中間処理、下端処理それぞれにおいて、単位スキャン動作は1回の主走査で構成される。他の点はハードウェア構成、印刷の処理手順とも第1実施例と同様である。
【0113】
図20は、印刷用紙の前端部と中間部に相当する画像データの領域がどのように記録されるかを示す説明図である。図20の例では、記録領域の外前端部Rfpは第1〜第5ラインであり、内前端部Rfqは、第6〜第10ラインである。中間部Rmは第11〜第45ラインである。記録領域の内後端部Rrqは第46〜第52ラインであり、外後端部Rrpは、第53〜第59ラインである。
【0114】
図20の例では、第4パスまでが上端処理である。そして、第4パスの後に行われる副走査が図12のステップS30の位置合わせ送りである。第5パスがステップS32の単位スキャン動作である。第5パス後の副走査と第6パスが中間処理である。そして、第6パス後に行われる副走査が、図16のステップS60の位置合わせ送りであり、第7パスがステップS62の単位スキャン動作である。その後のパスおよび副走査が後端処理である。
【0115】
また、前端部Rfの後端の主走査ライン(図20では第10ライン)が、特許請求の範囲にいう「印刷媒体の前端から所定の距離にある主走査ライン」に相当する。そして、中間部Rmの後端の主走査ライン(図20では第45ライン)が、特許請求の範囲にいう「印刷媒体の後端から所定の距離にある主走査ライン」に相当する。
【0116】
第3実施例のように、主走査ラインピッチがノズルピッチと等しい印刷を行えば、同じ印刷ヘッドを使用して、主走査ラインピッチがノズルピッチよりも小さい印刷を行う場合に比べて、同じ面積を少ない主走査回数で印刷することができる。よって、高速に印刷を行うことができる。
【0117】
E.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0118】
E1.変形例1:
図21は、他の例の印刷ヘッドおよび中間処理を示す説明図である。この例では、ノズルは各色について180個設けられており、印刷はノズルピッチの1/2の主走査ラインピッチで行われる。すなわち、ノズルピッチは、2ドットである。そして、この例では、単位スキャン動作は、2回の主走査と、その間に行われる1回の3ドットの副走査とで構成される。そして、1回の単位スキャン動作で副走査方向について隙間なく記録される主走査ラインの数L1は、358ドットである。各単位スキャン動作の間に行われる中間処理用副走査の送り量Smは、357ドットである。
【0119】
このように、主走査ラインピッチは、ノズルピッチよりも小さければどのような値でもよい。よって、ノズルピッチを主走査ラインピッチで表した場合には、ノズルピッチは、2ドット,4ドット以外にも、6ドット,8ドットなど他の値とすることもできる。すなわち、ノズルピッチk[ドット]は、2以上の整数であればよい。言い換えれば。主走査ラインピッチが、ノズルピッチの整数分の一の関係であることが好ましい。
【0120】
また、単位スキャン動作内において行われる副走査の送り量は、第1実施例のように1ドットに限られるものではなく、図21のように3ドットとすることもでき、さらに、他の送り量でもよい。ただし、単位スキャン動作内において行われる副走査の送り量と、ノズルピッチとを、それぞれ[ドット]で表したとき、互いに疎であることが好ましい。
【0121】
また、第1〜第3実施例では、前端処理、中間処理、後端処理における単位スキャン動作は、同じ処理であった。しかし、前端処理、中間処理、後端処理それぞれにおいて、各単位スキャン動作内において行われる副走査の送り量を変えてもよい。たとえば、前端処理および後端処理については、各単位スキャン動作内において行われる副走査の送り量を1ドットとし、中間処理については、5ドットとすることもできる。また、前端処理と後端処理とで、各単位スキャン動作内において行われる副走査の送り量を変えてもよい。すなわち、各処理において行われる単位スキャン動作は、1回以上の主走査を行って互いに隣接する2以上の主走査ラインを含む複数の主走査ラインにドットを記録する第2の単位スキャン動作であればよい。ただし、前端処理および後端処理の単位スキャン動作内において行われる副走査の送り量は、中間処理の単位スキャン動作内において行われる副走査の送り量以下の値であることが好ましい。なお、主走査ラインが「互いに隣接する」とは、印刷が完了したときに、二つの主走査ラインのそれぞれに記録されたドット列の間に、主走査方向に並ぶ他のドット列が設けられていない状態を言う。
【0122】
そして、前端処理の単位スキャン動作内の副走査送りの送り量が小さいほど、より副走査方向の下流側のノズルで印刷用紙の前端を記録することができる。そのため、より下流側溝部を狭くすることができ、印刷用紙を支えるプラテン上面を広く取ることができる。同様に、後端処理の単位スキャン動作内の副走査送りの送り量が小さいほど、より上流側のノズルで印刷用紙の前端を記録することができる。そのため、より上流側溝部を狭くすることができ、印刷用紙を支えるプラテン上面を広く取ることができる。
【0123】
さらに、前端処理、中間処理、後端処理における各単位スキャン動作内で行う主走査の回数を変えてもよい。たとえば、ノズルピッチkが4[ドット]であるとき、前端処理と後端処理においては、単位スキャン動作内でそれぞれ4回の主走査を行い、中間処理では、単位スキャン動作内で8回の主走査を行うこととしてもよい。その際、中間処理においては、主走査ライン内の画素を交互に異なる主走査で記録する態様とすることができる。また、前端処理、中間処理、後端処理のいずれの単位スキャン動作においても、ノズルピッチkのn倍(nは整数)の主走査を行って、各主走査ライン内の画素をn回の主走査で分担して記録する態様とすることもできる。
【0124】
また、第1〜第3実施例では、各単位スキャン動作の間に行われる副走査は、直前の単位スキャン動作でドットを記録された主走査ラインのうち、後端の主走査ラインの後方に隣接する主走査ラインに、ノズル列の前端のノズルが位置するように行われていた。しかし、単位スキャン動作内で行われる副走査の送り量が1ドットよりも大きい場合には、直前の単位スキャン動作でドットを記録された主走査ラインのうち、後端の主走査ラインよりも前方に、ノズル列の前端のノズルが位置するように行われる。すなわち、単位スキャン動作の合間に行われる副走査は、直前の単位スキャン動作でドットを記録された主走査ラインのうち、副走査方向について隙間なく並ぶ主走査ラインの束の後端の主走査ラインの後方に隣接する主走査ラインに、ノズル列の前端のノズルが位置するように行うことができる。
【0125】
なお、第1実施例では、印刷において2以上のノズルが通過する主走査ラインについては、最後にその主走査ライン上を通過するノズルがドットを記録することとした。しかし、印刷において2以上のノズルが通過する主走査ラインについて、最初にその主走査ライン上を通過するノズルがドットを記録する態様とすることもできる。また、印刷において2以上のノズルが通過する主走査ラインについて、最初や最後にその主走査ライン上を通過するノズル以外のノズルがドットを記録する態様とすることもできる。さらに、2以上のノズルが通過する主走査ラインについて、その主走査ラインに含まれる画素を各ノズルで分担して記録する態様とすることもできる。
【0126】
また、第1実施例においては、左側溝部26aと右側溝部26bは、印刷用紙Pが所定の主走査位置にあるとき、その側端部が左側溝部26aと右側溝部26bの中心線上にあるように設けられていた。しかし、左側溝部26aと右側溝部26bは、印刷用紙Pがガイド29a,29bによってガイドされる所定の主走査位置にあるとき、印刷用紙Pの主走査の方向の一方の側端部Paが左側溝部26aの開口上に位置し、他方の側端部Pbが右側溝部26bの開口上に位置するように設けられていればよい。したがって、印刷用紙Pの側端部が左側溝部26aと右側溝部26bの中心線よりも内側や外側に位置するように設けられていてもよい。ただし、左側溝部26aと右側溝部26bは、それぞれの中心線同士の間隔が、プリンタで印刷可能な印刷媒体の幅とほぼ等しい間隔であることが好ましい。ここで、「印刷媒体の幅とほぼ等しい間隔」とは、印刷媒体の幅の90〜110%の間隔をいう。さらに、左側溝部26aと右側溝部26bは、それぞれの中心線同士の間隔が、プリンタで印刷可能な印刷媒体の幅の95〜105%であることがより好ましい。
【0127】
E2.変形例2:
図22は、印刷装置の他の例の側面図である。第1実施例では、プラテンの溝は、上流側と下流側に二つ設けられていた。しかし、図22に示すように、プラテンに溝部を一つだけ設ける態様とすることもできる。このような態様においては、前端処理および後端処理においては、溝部26mと向かい合う位置にあるノズル#5〜#9のみを使用してドットの記録を行う。そして、中間処理においては、ノズル#1〜#13を使用してドットの記録を行う。このような態様としても、プラテンを汚すことなく、印刷用紙の端まで余白なくドットを記録することができる。
【0128】
なお、上記各実施例の印刷装置においても、図22の印刷装置においても、印刷用紙の端部の印刷を行う際には、溝部と向かい合うノズルだけではなく、他のノズルを使用することもできる。すなわち、印刷用紙の前端を印刷しているときには、溝部と向かい合うノズル以外にも、溝部よりも上流に位置するノズルを使用することもできる。また、印刷用紙の後端を印刷しているときには、溝部と向かい合うノズル以外にも、溝部よりも下流に位置するノズルを使用することもできる。
【0129】
E3.変形例3:
上記実施例では、印刷用紙の端を超えて設定される画像は、第1実施例においては前端側が8ライン、後端側が12であり、第3実施例においては前端側が5ライン、後端側が7ラインであった。しかし、印刷用紙の端を超えて設定される画像の大きさは、これに限られるものではない。例えば、印刷用紙Pの前端Pfを超えて印刷用紙Pの外側ま設定する記録領域の幅は、下流側溝部26rの幅の1/2相当分とすることができる。同様に、印刷用紙Pの後端Prを超えて印刷用紙Pの外側ま設定する記録領域の幅は、上流側溝部26fの幅の1/2相当分とすることができる。
【0130】
E4.変形例4:
図23は、印刷用紙の有無を検出することができるセンサ33f、33rを備えた印刷装置を示す図である。図23に示す印刷装置は、下流側溝部26r上の位置であって、下流側溝部26r上にあるノズルで最も上流側にあるノズル#3と、下流側溝部26r上にないノズル#4との間の位置に、フォトリフレクタ33rを備えている。また、この印刷装置は、上流側溝部26f上の位置であって、上流側溝部26f上にあるノズルで最も上流側にあるノズル#13のさらに上流側の位置に、フォトリフレクタ33fを備えている。
【0131】
フォトリフレクタ33r、33fは、発光ダイオード33dとフォトトランジスタ33tを一体として設けたものである。発光ダイオード33dは、所定の検出地点に向けて光を射出し、フォトトランジスタ33tは、その反射光を受けて光量の変化を電流の変化に変換する。制御回路40内のCPU41は、印刷用紙Pによって反射された反射光を、フォトトランジスタ33tが受光したか否かに応じて、印刷用紙Pの一部が検出地点(図23においてppf,pprで示す。)にあるか否かを判定する。
【0132】
このような態様の印刷装置においては、下流側溝部26r上の位置ppr(図23においてフォトリフレクタ33rから下方に伸びる破線で示した、副走査方向の位置)に、印刷用紙がない状態から副走査を開始して、その後、印刷用紙の前端Pfが侵入したことを検出することができる。フォトリフレクタ33rが前述のような位置に設けられているため、検出位置pprは、溝部26rの上流側の端の近傍の位置である。よって、フォトリフレクタ33rは、下流側溝部26r上に印刷用紙の前端Pfが達した直後に、印刷用紙の前端Pfを検出することができる。このような態様とすれば、印刷用紙の前端Pfを検出した後、必要に応じて所定の時間だけ副走査を続行し、印刷用紙の前端Pfが下流側溝部26r上にある位置で副走査を停止して、その状態から中間処理による印刷で全体の印刷処理を開始することができる。すなわち、このような印刷装置においては、前端処理を行わない印刷を実行することができる。
【0133】
前端処理は、中間処理に比べて使用するノズルの数が少なく印刷速度が遅い。また、ドット形成位置ずれや用紙の送りのずれが生じても印刷用紙の前端に余白が生じないようにするため、前端処理開始直後の数回の主走査においては、高い確率で印刷用紙外に着弾するインク滴を少なくとも一部のノズルから吐出する。このため、前端処理を行う場合には、前端処理を行わない場合に比べて主走査の回数が増え、印刷に長い時間を要する傾向にある。しかし、上記のような態様とすれば、前端処理を行わない印刷を実行することができる。このため、印刷に要する時間を短くすることができる。
【0134】
同様に、このような態様の印刷装置においては、上流側溝部26f上の位置ppf(図23においてフォトリフレクタ33fから下方に伸びる破線で示した、副走査方向の位置)に、印刷用紙がある状態から副走査を開始して、その後、位置ppfで印刷用紙が検出されなくなったこと、すなわち、印刷用紙の後端Prが侵入したことを検知することができる。フォトリフレクタ33fは前述のような位置に設けられているため、検出位置ppfは、溝部26fの上流側の端の近傍の位置である。よって、フォトリフレクタ33fは、上流側溝部26f上に印刷用紙の後端Prが達した直後に、印刷用紙の後端Prを検出することができる。このような態様とすれば、印刷用紙の後端Prを検出した後、必要に応じて所定の時間だけ印刷を続行し、その後、印刷用紙の後端Prが上流側溝部26f上にある状態で中間処理による印刷を終了して、全体の印刷処理を終了することができる。すなわち、このような印刷装置においては、後端処理を行わない印刷を実行することができる。
【0135】
前端処理と同様に、後端処理も、中間処理に比べて使用するノズルの数が少なく印刷速度が遅い。また、ドット形成位置ずれや用紙の送りのずれが生じても印刷用紙の後端に余白が生じないようにするため、後端処理終了直前の数回の主走査においては、高い確率で印刷用紙外に着弾するインク滴を少なくとも一部のノズルから吐出する。このため、後端処理を行う場合には、後端処理を行わない場合に比べて主走査の回数が増え、印刷に長い時間を要する傾向にある。しかし、上記のような態様とすれば、前端処理を行わない印刷を実行することができる。このため、印刷に要する時間を短くすることができる。
【0136】
以上に示したように、前端処理と後端処理は、必要に応じていずれか一方のみを実行するようにしてもよい。すなわち、印刷装置は、印刷において、前端処理を行わずに中間処理と後端処理を行う態様とすることもでき、前端処理と中間処理を行って後端処理を行わない態様とすることもできる。また、印刷処理全体を通じて前端処理のみ実行する態様としてもよいし、印刷処理全体を通じて後端処理のみ実行する態様としてもよい。さらに、印刷装置は、前端処理、中間処理、後端処理のうちの少なくとも一つをそれぞれ含む複数の印刷モードを有する態様とすることもできる。
【0137】
さらに、印刷用紙の前端Pfが溝部上にあることを検出してから印刷を開始することができる印刷装置においては、前端処理を行う場合にも、次のような前端処理を行うことができる。すなわち、溝部と向かい合う位置にあるノズル(図23においてノズル#1〜#3)だけでなく、溝部よりも上流側にあるノズル(図23においてノズル#4〜#13のいずれか)を使用して、前端処理を行うことができる。
【0138】
なお、変形例4で説明した、センサ33rを使用した印刷用紙の前端部分の印刷は、CPU41の機能部である前端処理部41a(図3参照)が実現する。また、センサ33fを使用した印刷用紙の後端部分の印刷は、CPU41の機能部である後端処理部41c(図3参照)が実現する。
【0139】
なお、変形例4では、印刷用紙を検出するためのセンサとしてフォトリフレクタ33f、33rをキャリッジ上に有している印刷装置について説明した。しかし、印刷用紙を検出するためのセンサとしては、他のセンサを使用することもできる。すなわち、他の光学式センサでを使用することもでき、音波センサなどの光学センサ以外の非接触式センサを使用することもできる。さらに、印刷用紙が所定の部材に接触することで印刷用紙を検出することができる接触式センサを使用することもできる。また、印刷用紙を検出するセンサは、前述のような位置のほか、キャリッジ上であって溝部と向かい合う他の位置に設けてもよく、さらには、プラテン上や、印刷ヘッドの上流側において印刷用紙を支える上流側支持部上など、キャリッジ以外の部位に設けることもできる。
【0140】
E5.変形例5:
上記実施例においては、印刷用紙Pの外周に余白を設けない印刷について説明した。しかし、プリンタ22は、印刷用紙Pの外周に余白を設けずに印刷を行うモードと、印刷用紙Pの外周に余白を設けて印刷を行うモードと、の二つのモードを有していてもよい。変形例5においては、そのような態様のプリンタについて説明する。なお、変形例5のプリンタのハードウェア構成は第1実施例と同じである。
【0141】
図24は、変形例5における印刷処理の手順を示すフローチャートである。変形例5のプリンタ22は、印刷用紙Pの外周、すなわち上下左右の端に余白を設けずに印刷を行う第1の画像印刷モードと、印刷用紙Pの外周に余白を残して印刷を行う第2の画像印刷モードとを有している。
【0142】
図25は、第2の画像印刷モードにおける、画像の記録領域R2と印刷用紙Pとの関係を示す平面図である。図25に示すように、第2の画像印刷モードにおいては、画像データは、印刷用紙Pよりも小さい領域R2に画像を形成するためのデータである。これに対して、第1の画像印刷モードにおける画像データは、図6に示したように、印刷用紙Pよりも大きい領域Rに画像を形成するためのデータである。
【0143】
変形例5のプリンタ22は、第1の画像印刷モードにおいては、第1実施例で説明した印刷と同じ印刷を行う。すなわち、前端処理、中間処理、および後端処理を含む印刷を行う(図12〜図16参照)。そして、第2の画像印刷モードにおいては、第1実施例で説明した中間処理で、印刷用紙上に印刷すべきすべての画像を印刷する。
【0144】
図26は、第1の画像印刷モードと第2の画像印刷モードのいずれかをユーザに選択させるためのユーザインターフェイス画面を示す説明図である。ユーザは印刷に際しては、図24のステップS72で、まず第1の画像印刷モードと第2の画像印刷モードのいずれかを選択する。具体的には、コンピュータ90(図2参照)に接続されたキーボード14、マウス13などの入力機器を通じてプリンタドライバ96に対して画像印刷モードの選択情報を入力する。たとえば、第1の画像印刷モードを選択する場合には、図26の右上に示された「四辺フチなし(M)」のチェックボックスにチェックを入れる。そして、第2の画像印刷モードを選択する場合には、「四辺フチなし(M)」のチェックボックスのチェックをはずす。
【0145】
ステップS72において第1の画像印刷モードが選択された場合には、プリンタドライバ96は、ステップS74において、画像の記録領域Rの大きさが印刷用紙Pの大きさよりも大きい印刷データPD(図6参照)を準備する。そして、プリンタ22のCPU41は、その印刷データPDに基づいて、第1の画像印刷モードで印刷を行う。第2の画像印刷モードにおける印刷は、第2実施例で説明した印刷と同じである。
【0146】
ステップS72において、第2の画像印刷モードが選択された場合には、プリンタドライバ96は、ステップS76において、画像の記録領域R2の大きさが印刷用紙Pの大きさよりも小さい印刷データPD(図25参照)を準備する。そして、プリンタ22のCPU41は、その印刷データPDに基づいて、第2の画像印刷モードで印刷を行う。第1の画像印刷モードにおける印刷は、第1実施例で説明した中間処理と同じである。
【0147】
前端処理および後端処理の印刷においては、使用するノズルが中間処理よりも少ないため、同じ画像データを印刷するのに中間処理における印刷よりも時間を要する。よって、第1の画像印刷モードで印刷を行う場合には、第2の画像印刷モードで印刷を行う場合に比べて、印刷により多くの時間を要する。また、印刷用紙の外周近傍に余白を設けずに印刷を行うためには、印刷用紙全体および印刷用紙の端を越えた領域にインク滴を吐出する必要がある。よって、この点からも、第1の画像印刷モードで印刷を行う場合には、第2の画像印刷モードで印刷を行う場合に比べて、印刷により多くの時間を要する。このため、変形例5のような態様とすれば、ユーザは、余白を設けてもよい場合には、第2の画像印刷モードを選択して、短時間で画像の印刷を行うことができる。
【0148】
E6.変形例6:
上記実施例において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。例えば、CPU41(図3)の機能の一部をコンピュータ90が実行するようにすることもできる。
【0149】
このような機能を実現するコンピュータプログラムは、フロッピディスクやCD−ROM等の、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録された形態で提供される。コンピュータ90は、その記録媒体からコンピュータプログラムを読み取って内部記憶装置または外部記憶装置に転送する。あるいは、通信経路を介してプログラム供給装置からコンピュータ90にコンピュータプログラムを供給するようにしてもよい。コンピュータプログラムの機能を実現する時には、内部記憶装置に格納されたコンピュータプログラムがコンピュータ90のマイクロプロセッサによって実行される。また、記録媒体に記録されたコンピュータプログラムをコンピュータ90が直接実行するようにしてもよい。
【0150】
この明細書において、コンピュータ90とは、ハードウェア装置とオペレーションシステムとを含む概念であり、オペレーションシステムの制御の下で動作するハードウェア装置を意味している。コンピュータプログラムは、このようなコンピュータ90に、上述の各部の機能を実現させる。なお、上述の機能の一部は、アプリケーションプログラムでなく、オペレーションシステムによって実現されていても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態におけるインクジェットプリンタの印刷ヘッドの周辺の構造を示す側面図。
【図2】 本印刷装置のソフトウェアの構成を示すブロック図。
【図3】 プリンタ22の概略構成を示す図。
【図4】 印刷ヘッドユニット60における各色ごとのノズルユニットの配列の例を示す平面図。
【図5】 プラテン26の周辺を示す平面図。
【図6】 画像の記録領域Rと印刷用紙Pとの関係を示す説明図。
【図7】 中間処理における単位スキャン動作による主走査ラインへのドットの記録を示す説明図。
【図8】 前端処理における単位スキャン動作による主走査ラインへのドットの記録を示す説明図。
【図9】 印刷用紙Pの後端部Prの印刷をする際の上流側溝部26fと印刷用紙Pの関係を示す側面図。
【図10】 印刷用紙Pの後端部Prの印刷をする際の上流側溝部26fと印刷用紙Pの関係を示す平面図。
【図11】 後端処理における単位スキャン動作による主走査ラインへのドットの記録を示す説明図。
【図12】 前端処理における手順を示すフローチャート。
【図13】 印刷用紙の前端部と中間部に相当する画像データの領域がどのように記録されるかを示す説明図。
【図14】 印刷用紙の中間部と下端部に相当する画像データの領域がどのように記録されるかを示す説明図。
【図15】 印刷用紙の中間部と下端部に相当する画像データの領域がどのように記録されるかを示す説明図。
【図16】 中間処理における手順を示すフローチャート。
【図17】 印刷用紙Pの左右側端部の印刷を示す説明図。
【図18】 第2実施例の前端処理における手順を示すフローチャート。
【図19】 第2実施例において、印刷用紙の前端部と中間部に相当する画像データの領域がどのように記録されるかを示す説明図。
【図20】 印刷用紙の前端部と中間部に相当する画像データの領域がどのように記録されるかを示す説明図。
【図21】 他の例の印刷ヘッドおよび中間処理を示す説明図。
【図22】 印刷装置の他の例の側面図。
【図23】 印刷用紙の有無を検出することができるセンサを備えた印刷装置を示す図。
【図24】 変形例5における印刷処理の手順を示すフローチャート。
【図25】 第2の画像印刷モードにおける、画像の記録領域R2と印刷用紙Pとの関係を示す平面図。
【図26】 第1の画像印刷モードと第2の画像印刷モードのいずれかをユーザに選択させるためのユーザインターフェイス画面を示す説明図。
【図27】 従来のプリンタの印刷ヘッドの周辺を示す側面図。
【符号の説明】
12…スキャナ
21…CRT
22…プリンタ
22…紙送りモータ
23…紙送りモータ
24…キャリッジモータ
25a,25b…上流側紙送りローラ
25c,25d…下流側紙送りローラ
25p,25q…上流側紙送りローラ
25r,25s…下流側紙送りローラ
26,26o…プラテン
26a…左側溝部
26b…右側溝部
26c…中央部
26f…上流側溝部
26m…溝部
26r…下流側溝部
27…吸収部材
28,28o…印刷ヘッド
29a,29b…ガイド
31…キャリッジ
32…操作パネル
33d…発光ダイオード
33r、33f…フォトリフレクタ
33t…フォトトランジスタ
34…摺動軸
36…駆動ベルト
38…プーリ
39…位置検出センサ
40…制御回路
41…CPU
41a…前端処理部
41a1…移行部
41b…中間処理部
41b1…移行部
41c…後端処理部
42…PROM
43…RAM
44…駆動用バッファ
45…PCインタフェース
60…印刷ヘッドユニット
61〜66…インク吐出用ヘッド
71…ブラックインク用カートリッジ
72…カラーインク用カートリッジ
90…コンピュータ
91…ビデオドライバ
95…アプリケーションプログラム
96…プリンタドライバ
97…解像度変換モジュール
98…色補正モジュール
99…ハーフトーンモジュール
100…ラスタライザ
A…矢印
D…画像データ
DT…ドット形成パターンテーブル
Ip…インク滴
LUT…色補正テーブル
MS…主走査方向を示す矢印
Nf…上流側溝部ノズル群
Nr…下流側溝部ノズル群
Nz…インクジェットノズル
ORG…原カラー画像データ
P…印刷用紙
PD…印刷データ
Pa…印刷用紙の左側端
Pb…印刷用紙の右側端
Pf…印刷用紙の前端
Pr…印刷用紙の後端
R…拡張領域(記録領域)
Rf…前端部
Rfp…外前端部
Rfq…内前端部
Rm…中間部
Rr…後端部
Rrp…外後端部
Rrq…内後端部
SS…副走査方向を表す矢印
Sf…前端処理用副走査の送り量
Sf1…位置合わせ送りの送り量
Sfi…前端処理の単位スキャン動作内の副走査の送り量
Sm…中間処理用副走査の送り量
Sm1…位置合わせ送りの送り量
Smi…中間処理の単位スキャン動作内の副走査の送り量
Sr…後端処理用副走査の送り量
Sri…後端処理の単位スキャン動作内の副走査の送り量
k…ノズルピッチ
ppf…フォトリフレクタ33fの印刷用紙の検出位置
ppr…フォトリフレクタ33rの印刷用紙の検出位置

Claims (25)

  1. 印刷媒体の表面にドットの記録を行うドット記録装置であって、
    インク滴を吐出する複数のノズルが設けられたドット記録ヘッドと、
    前記ドット記録ヘッドと印刷媒体の少なくとも一方を駆動して主走査を行う主走査駆動部と、
    前記複数のノズルのうちの少なくとも一部を駆動してドットの形成を行わせるヘッド駆動部と、
    前記印刷媒体を前記主走査の方向と交わる方向に駆動して副走査を行う副走査駆動部と、
    前記印刷媒体を前記ドット記録ヘッドと向かい合うように支持するプラテンと、
    前記主走査駆動部、前記ヘッド駆動部および前記副走査駆動部を制御する制御部と、を備え、
    前記プラテンは、
    前記複数のノズルの一部のノズルと向かい合う位置に前記主走査の方向に延長して設けられる第1の溝部と、
    前記副走査の方向に沿って、少なくとも前記複数のノズルからのインク滴の着弾範囲を含む範囲に設けられ、前記ドット記録装置で印刷可能な印刷媒体の幅とほぼ等しい間隔を開けて設けられる一対の第2の溝部と、を有し、
    前記制御部は、
    前記印刷媒体の前端または後端の主走査ラインにドットを記録する場合に、前記前端または前記後端が前記第1の溝部の開口上にあるときに、前記第1の溝部と向かい合う位置にあるノズルからなる溝部ノズル群の少なくとも一部を使用してドットの記録を行う端部処理を実行する端部処理部を備え、
    前記端部処理部は、
    主走査において、前記端部処理で使用するノズルが、前記プラテンに支持された前記印刷媒体と向かい合う位置にあるとき、および、前記プラテンに支持された前記印刷媒体の外側でかつ前記第1と第2の溝部の少なくとも一方と向かい合う位置にあるときに、前記端部処理で使用するノズルからインク滴を吐出させて前記印刷媒体上にドットの記録を行い、
    1回以上の主走査を行って互いに隣接する2以上の主走査ラインを含む複数の主走査ラインにドットを記録する第1の単位スキャン動作を、複数回実行して、第1の送り量による端部処理用副走査を前記各第1の単位スキャン動作の合間に行う、ドット記録装置。
  2. 請求項1記載のドット記録装置であって、
    前記第1の単位スキャン動作は1回の主走査から構成される、ドット記録装置。
  3. 請求項1記載のドット記録装置であって、
    前記第1の単位スキャン動作は、複数の主走査と、前記各主走査の合間に行われ、前記端部処理用副走査の送り量よりも小さい送り量の副走査と、を含む、ドット記録装置。
  4. 請求項1記載のドット記録装置であって、
    前記端部処理用副走査の送り量は、直前の前記第1の単位スキャン動作で前記溝部ノズル群によってドットを記録された主走査ラインの束であって、互いに隣接し合う主走査ラインの束の後端の主走査ラインの後方に隣接する主走査ライン上に、前記溝部ノズル群の前端のノズルが位置するような送り量である、ドット記録装置。
  5. 請求項1記載のドット記録装置であって、
    前記制御部は、前記印刷媒体に対して、記録すべき画像が、前記端部処理が実施される端部を超えて前記印刷媒体の外側まで設定された画像データを格納する記憶部を備える、ドット記録装置。
  6. 請求項1記載のドット記録装置であって、
    前記端部処理部は、前記溝部ノズル群以外のノズルからはインク滴を吐出させない、ドット記録装置。
  7. 請求項1記載のドット記録装置であって、
    前記制御部は、さらに、
    前記印刷媒体の中間部の主走査ラインにドットを記録する場合に、前記前端および前記後端が前記溝部の開口上にないときに、前記端部処理よりも多数のノズルを使用してドットの記録を行う中間処理を実行する中間処理部を備え、
    前記中間処理部は、
    前記主走査において、前記中間処理で使用するノズルが、前記プラテンに支持された前記印刷媒体と向かい合う位置にあるとき、および、前記プラテンに支持された前記印刷媒体の外側でかつ前記第1と第2の溝部の少なくとも一方と向かい合う位置にあるときに、前記中間処理で使用するノズルからインク滴を吐出させて前記印刷媒体上にドットの記録を行い、
    1回以上の主走査を行って互いに隣接する2以上の主走査ラインを含む複数の主走査ラインにドットを記録する第2の単位スキャン動作を、複数回実行して、前記端部処理用副走査の送り量よりも大きい送り量による中間処理用副走査を前記各第2の単位スキャン動作の合間に行う、ドット記録装置。
  8. 請求項7記載のドット記録装置であって、
    前記第2の単位スキャン動作は1回の主走査から構成される、ドット記録装置。
  9. 請求項7記載のドット記録装置であって、
    前記第2の単位スキャン動作は、複数の主走査と、前記各主走査の合間に行われる前記中間処理用副走査の送り量よりも小さい送り量の副走査と、を含む、ドット記録装置。
  10. 請求項7記載のドット記録装置であって、
    前記中間処理用副走査の送り量は、直前の前記第2の単位スキャン動作でドットを記録された主走査ラインの束であって、互いに隣接し合う主走査ラインの束の後端の主走査ラインの後方に隣接する主走査ライン上に、前記中間処理に使用されるノズルの中の前端のノズルが位置するような送り量である、ドット記録装置。
  11. 請求項7記載のドット記録装置であって、
    前記端部処理部は、
    前記印刷媒体の前記前端の主走査ラインについて前記端部処理を実行する前端処理部と、
    前記前端の主走査ラインについての前記端部処理において、次に前記端部処理用副走査と前記第1の単位スキャン動作とを行うと仮定したときに、1回の前記第1の単位スキャン動作で前記溝部ノズル群が記録できる主走査ラインの集合である端部処理単位ラインの前端の主走査ラインが、前記印刷媒体の前記前端から所定の距離にある主走査ラインよりも後方に位置する場合には、
    前記中間処理に使用される前記ノズルが1回の前記第2の単位スキャン動作によって前記副走査の方向について隙間なく記録できる主走査ラインの束である中間処理単位バンドの前端の主走査ラインが、前記印刷媒体の前記前端から所定の距離にある主走査ラインの後方に隣接する主走査ラインと一致するような相対位置に、前記副走査を行い、前記第2の単位スキャン動作を行って、前記中間処理に移行する移行部と、を備えるドット記録装置。
  12. 請求項7記載のドット記録装置であって、
    前記端部処理部は、
    前記印刷媒体の前記前端の主走査ラインについて前記端部処理を実行する前端処理部と、
    前記前端の主走査ラインについての前記端部処理において、次に前記端部処理用副走査と前記第1の単位スキャン動作とを行うと仮定したときに、1回の前記第1の単位スキャン動作で前記溝部ノズル群が記録できる主走査ラインの集合である端部処理単位ラインの前端の主走査ラインが、前記印刷媒体の前記前端から所定の距離にある主走査ラインよりも後方に位置する場合には、
    前記端部処理用副走査を行い、前記第2の単位スキャン動作を行って、前記中間処理に移行する移行部と、を備えるドット記録装置。
  13. 請求項7記載のドット記録装置であって、
    前記端部処理部は、前記印刷媒体の前記後端の主走査ラインについて前記端部処理を実行する後端処理部を備え、
    前記中間処理部は、次に前記中間処理用副走査と前記第2の単位スキャン動作とを行うと仮定したときに、1回の前記第2の単位スキャン動作で、前記中間処理に使用される前記ノズルが前記副走査の方向について隙間なく記録できる主走査ラインの束である中間処理単位バンドの後端の主走査ラインが、前記印刷媒体の前記後端から所定の距離にある主走査ラインよりも後方に位置する場合には、前記中間処理単位バンドの後端の主走査ラインが、前記印刷媒体の前記後端から所定の距離にある前記主走査ラインと一致するような相対位置に、前記副走査を行い、前記第1の単位スキャン動作を行って、前記印刷媒体の前記後端の主走査ラインについての前記端部処理に移行する移行部と、を備えるドット記録装置。
  14. 印刷媒体の表面にドットの記録を行うドット記録装置であって、
    インク滴を吐出する複数のノズルが設けられたドット記録ヘッドと、
    前記ドット記録ヘッドと印刷媒体の少なくとも一方を駆動して主走査を行う主走査駆動部と、
    前記複数のノズルのうちの少なくとも一部を駆動してドットの形成を行わせるヘッド駆動部と、
    前記印刷媒体を前記主走査の方向と交わる方向に駆動して副走査を行う副走査駆動部と、
    前記印刷媒体を前記ドット記録ヘッドと向かい合うように支持するプラテンであって、前記複数のノズルの一部のノズルと向かい合う位置に前記主走査の方向に延長して設けられる溝部を有しているプラテンと、
    所定の検出地点における前記印刷媒体の有無を検出することができるセンサと、
    前記主走査駆動部、前記ヘッド駆動部および前記副走査駆動部を制御する制御部と、を備え、
    前記制御部は、
    前記検出地点に前記印刷媒体がない状態から前記印刷媒体の前記副走査を開始し、前記センサが前記印刷媒体を検知した場合に前記副走査の方向に関して所定の副走査位置で前記印刷媒体の前記副走査を停止させ、前記印刷媒体が前記所定の副走査位置にある状態で、前記ノズルからインク滴を吐出させつつ前記主走査を開始して、前記印刷媒体の前端の主走査ラインにドットを記録する、第1の端部処理を実行する第1の端部処理部と、
    前記印刷媒体の後端が前記溝部の開口上にあるときに、前記溝部と向かい合う位置にあるノズルからなる溝部ノズル群の少なくとも一部からインク滴を吐出させて、前記後端の主走査ラインにドットを記録する、第2の端部処理を実行する第2の端部処理部と、を備え、
    前記第1および第2の端部処理部は、前記第1および第2の端部処理において、1回以上の主走査を行って互いに隣接する2以上の主走査ラインを含む複数の主走査ラインにドットを記録する第1の単位スキャン動作を、複数回実行して、それぞれ所定の送り量による端部処理用副走査を前記各第1の単位スキャン動作の合間に行う、ドット記録装置。
  15. 印刷媒体の表面にドットの記録を行うドット記録装置であって、
    インク滴を吐出する複数のノズルが設けられたドット記録ヘッドと、
    前記ドット記録ヘッドと印刷媒体の少なくとも一方を駆動して主走査を行う主走査駆動部と、
    前記複数のノズルのうちの少なくとも一部を駆動してドットの形成を行わせるヘッド駆動部と、
    前記印刷媒体を前記主走査の方向と交わる方向に駆動して副走査を行う副走査駆動部と、
    前記印刷媒体を前記ドット記録ヘッドと向かい合うように支持するプラテンであって、前記複数のノズルの一部のノズルと向かい合う位置に前記主走査の方向に延長して設けられる溝部を有しているプラテンと、
    所定の検出地点における前記印刷媒体の有無を検出することができるセンサと、
    前記主走査駆動部、前記ヘッド駆動部および前記副走査駆動部を制御する制御部と、を備え、
    前記制御部は、
    前記印刷媒体の前端が前記溝部の開口上にあるときに、前記溝部と向かい合う位置にあるノズルからなる溝部ノズル群の少なくとも一部からインク滴を吐出させて、前記前端の主走査ラインにドットを記録する、第1の端部処理を実行する第1の端部処理部と、
    前記検出地点に前記印刷媒体がある状態において前記ノズルからインク滴を吐出させて前記印刷媒体の後端の主走査ラインにドットの記録を行い、前記センサが前記印刷媒体を検知しなくなった後、前記後端の主走査ラインへのドットの記録を終了する、第2の端部処理を実行する第2の端部処理部と、を備え、
    前記第1および第2の端部処理部は、前記第1および第2の端部処理において、1回以上の主走査を行って互いに隣接する2以上の主走査ラインを含む複数の主走査ラインにドットを記録する第1の単位スキャン動作を、複数回実行して、それぞれ所定の送り量による端部処理用副走査を前記各第1の単位スキャン動作の合間に行う、ドット記録装置。
  16. 印刷媒体の表面にドットの記録を行うドット記録装置であって、
    インク滴を吐出する複数のノズルが設けられたドット記録ヘッドと、
    前記ドット記録ヘッドと印刷媒体の少なくとも一方を駆動して主走査を行う主走査駆動部と、
    前記複数のノズルのうちの少なくとも一部を駆動してドットの形成を行わせるヘッド駆動部と、
    前記印刷媒体を前記主走査の方向と交わる方向に駆動して副走査を行う副走査駆動部と、
    前記印刷媒体を前記ドット記録ヘッドと向かい合うように支持するプラテンであって、前記複数のノズルの一部のノズルと向かい合う位置に前記主走査の方向に延長して設けられる溝部を有しているプラテンと、
    前記主走査駆動部、前記ヘッド駆動部および前記副走査駆動部を制御する制御部と、を備え、
    前記制御部は、
    主走査において、前記溝部と向かい合う位置にあるノズルからなる溝部ノズル群の少なくとも一部からインク滴を吐出させ、1回以上の主走査を行って互いに隣接する2以上の主走査ラインを含む複数の主走査ラインにドットを記録する第1の単位スキャン動作を、複数回実行して、第1の送り量による端部処理用副走査を前記各第1の単位スキャン動作の合間に行う、端部処理を実行する端部処理部と、
    前記主走査において前記端部処理の場合よりも多数のノズルからインク滴を吐出させ、1回以上の主走査を行って互いに隣接する2以上の主走査ラインを含む複数の主走査ラインにドットを記録する第2の単位スキャン動作を、複数回実行して、前記第1の送り量よりも大きい第2の送り量による中間処理用副走査を前記各第2の単位スキャン動作の合間に行う中間処理を実行する中間処理部と、を備え、
    前記印刷媒体の前端または後端が前記溝部の開口上にあるときに前記端部処理を実行して前記前端または前記後端の主走査ラインにドットを記録し、前記前端および前記後端が前記溝部の開口上にないときに前記中間処理を実行して前記印刷媒体の中間部の主走査ラインにドットを記録する第1のドット記録モードと、
    前記印刷媒体にドットの記録を行う際に、前記端部処理を実行せずに前記中間処理を実行して、前記印刷媒体の主走査ラインにドットを記録する第2のドット記録モードと、を有する、ドット記録装置。
  17. 印刷媒体の表面にドットの記録を行うドット記録方法であって、
    (a)ドット記録装置を用意する工程であって、
    インク滴を吐出する複数のノズルが設けられたドット記録ヘッドと、
    印刷媒体を前記ドット記録ヘッドと向かい合うように支持するプラテンであって、前記複数のノズルの一部のノズルと向かい合う位置に主走査の方向に延長して設けられる第1の溝部と、副走査の方向に沿って、少なくとも前記複数のノズルからのインク滴の着弾範囲を含む範囲に設けられ、前記ドット記録装置で印刷可能な印刷媒体の幅とほぼ等しい間隔を開けて設けられる一対の第2の溝部と、を有するプラテンと、を備えるドット記録装置を用意する工程と、
    (b)前記印刷媒体の前端または後端の主走査ラインにドットを記録する場合に、前記前端または前記後端が前記第1の溝部の開口上にあるときに、前記第1の溝部と向かい合う位置にあるノズルからなる溝部ノズル群の少なくとも一部からインク滴を吐出させる、端部処理を実行する工程と、を備え、
    前記工程(b)は、
    (b1)1回以上の主走査を行って互いに隣接する2以上の主走査ラインを含む複数の主走査ラインにドットを記録する第1の単位スキャン動作を、複数回実行して、第1の送り量による端部処理用副走査を前記各第1の単位スキャン動作の合間に行う工程を含み、
    前記工程(b1)は、
    (b2)前記主走査において、前記端部処理で使用するノズルが、前記プラテンに支持された前記印刷媒体と向かい合う位置にあるとき、および、前記プラテンに支持された前記印刷媒体の外側でかつ前記第1と第2の溝部の少なくとも一方と向かい合う位置にあるときに、前記端部処理で使用するノズルからインク滴を吐出させる工程を含む、ドット記録方法。
  18. 請求項17記載のドット記録方法であって、さらに
    (c)前記印刷媒体の中間部の主走査ラインにドットを記録する場合に、前記前端および前記後端が前記溝部の開口上にないときに、前記端部処理よりも多数のノズルを使用してドットの記録を行う中間処理を実行する工程を備え、
    前記工程(c)は、
    (c1)1回以上の主走査を行って互いに隣接する2以上の主走査ラインを含む複数の主走査ラインにドットを記録する第2の単位スキャン動作を、複数回実行して、前記端部処理用副走査の送り量よりも大きい送り量による中間処理用副走査を前記各第2の単位スキャン動作の合間に行う工程を含み、
    前記工程(c1)は、
    (c2)前記主走査において、前記中間処理で使用するノズルが、前記プラテンに支持された前記印刷媒体と向かい合う位置にあるとき、および、前記プラテンに支持された前記印刷媒体の外側でかつ前記第1と第2の溝部の少なくとも一方と向かい合う位置にあるときに、前記中間処理で使用するノズルからインク滴を吐出させる工程を含む、ドット記録方法。
  19. 印刷媒体の表面にドットの記録を行うドット記録方法であって、
    (a)インク滴を吐出する複数のノズルが設けられたドット記録ヘッドと、
    印刷媒体を前記ドット記録ヘッドと向かい合うように支持するプラテンであって、前記複数のノズルの一部のノズルと向かい合う位置に主走査の方向に延長して設けられる溝部を有しているプラテンと、
    所定の検出地点における前記印刷媒体の有無を検出することができるセンサと、を備えるドット記録装置を用意する工程と、
    (b)前記検出地点に前記印刷媒体がない状態から前記印刷媒体の副走査を開始し、前記センサが前記印刷媒体を検知した場合に前記副走査の方向に関して所定の副走査位置で前記印刷媒体の前記副走査を停止させ、前記印刷媒体が前記所定の副走査位置にある状態で、前記ノズルからインク滴を吐出させつつ前記主走査を開始して、前記印刷媒体の前端の主走査ラインにドットを記録する、第1の端部処理を実行する工程と、
    (c)前記印刷媒体の後端が前記溝部の開口上にあるときに、前記溝部と向かい合う位置にあるノズルからなる溝部ノズル群の少なくとも一部からインク滴を吐出させて、前記後端の主走査ラインにドットを記録する、第2の端部処理を実行する工程と、を備え、
    前記第1および第2の端部処理は、1回以上の主走査を行って互いに隣接する2以上の主走査ラインを含む複数の主走査ラインにドットを記録する第1の単位スキャン動作を、複数回実行して、それぞれ所定の送り量による端部処理用副走査を前記各第1の単位スキャン動作の合間に行う処理である、ドット記録方法。
  20. 印刷媒体の表面にドットの記録を行うドット記録方法であって、
    (a)インク滴を吐出する複数のノズルが設けられたドット記録ヘッドと、
    印刷媒体を前記ドット記録ヘッドと向かい合うように支持するプラテンであって、前記複数のノズルの一部のノズルと向かい合う位置に主走査の方向に延長して設けられる溝部を有しているプラテンと、
    所定の検出地点における前記印刷媒体の有無を検出することができるセンサと、を備えるドット記録装置を用意する工程と、
    (b)前記印刷媒体の前端が前記溝部の開口上にあるときに、前記溝部と向かい合う位置にあるノズルからなる溝部ノズル群の少なくとも一部からインク滴を吐出させて、前記前端の主走査ラインにドットを記録する、第1の端部処理を実行する工程と、
    (c)前記検出地点に前記印刷媒体がある状態において前記ノズルからインク滴を吐出させて前記印刷媒体の後端の主走査ラインにドットの記録を行い、前記センサが前記印刷媒体を検知しなくなった後、前記後端の主走査ラインへのドットの記録を終了する、第2の端部処理を実行する工程と、を備え、
    前記第1および第2の端部処理は、1回以上の主走査を行って互いに隣接する2以上の主走査ラインを含む複数の主走査ラインにドットを記録する第1の単位スキャン動作を、複数回実行して、それぞれ所定の送り量による端部処理用副走査を前記各第1の単位スキャン動作の合間に行う処理である、ドット記録方法。
  21. 印刷媒体の表面にドットの記録を行うドット記録方法であって、
    (a)インク滴を吐出する複数のノズルが設けられたドット記録ヘッドと、
    印刷媒体を前記ドット記録ヘッドと向かい合うように支持するプラテンであって、前記複数のノズルの一部のノズルと向かい合う位置に主走査の方向に延長して設けられる溝部を有しているプラテンと、を備えるドット記録装置を用意する工程と、
    (b)前記印刷媒体の前端と後端との少なくとも一方に余白を設けずに印刷を行う第1のドット記録モードと、前記前端および前記後端に余白を残して印刷を行う第2のドット記録モードと、のいずれか一方を選択する工程と、
    (c)前記第1のドット記録モードが選択された場合に、前記前端または前記後端が前記溝部の開口上にあるときに端部処理を実行して前記前端または前記後端の主走査ラインにドットを記録し、前記前端および前記後端が前記溝部の開口上にないときに中間処理を実行して前記印刷媒体の中間部の主走査ラインにドットを記録する工程であって、
    前記端部処理は、主走査において、前記溝部と向かい合う位置にあるノズルからなる溝部ノズル群の少なくとも一部からインク滴を吐出させ、1回以上の主走査を行って互いに隣接する2以上の主走査ラインを含む複数の主走査ラインにドットを記録する第1の単位スキャン動作を、複数回実行して、第1の送り量による端部処理用副走査を前記各第1の単位スキャン動作の合間に行う処理であり、
    前記中間処理は、前記主走査において前記端部処理の場合よりも多数のノズルからインク滴を吐出させ、1回以上の主走査を行って互いに隣接する2以上の主走査ラインを含む複数の主走査ラインにドットを記録する第2の単位スキャン動作を、複数回実行して、前記第1の送り量よりも大きい第2の送り量による中間処理用副走査を前記各第2の単位スキャン動作の合間に行う中間処理を実行する処理である工程と、
    (d)前記第2のドット記録モードが選択された場合に、前記端部処理を実行せずに前記中間処理を実行して、前記印刷媒体の主走査ラインにドットを記録する、ドット記録方法。
  22. ドット記録装置に接続されたコンピュータに、印刷媒体の表面にドットの記録を行わせるためのコンピュータプログラムであって、
    前記ドット記録装置は、
    インク滴を吐出する複数のノズルが設けられたドット記録ヘッドと、
    印刷媒体を前記ドット記録ヘッドと向かい合うように支持するプラテンであって、前記複数のノズルの一部のノズルと向かい合う位置に主走査の方向に延長して設けられる第1の溝部と、副走査の方向に沿って、少なくとも前記複数のノズルからのインク滴の着弾範囲を含む範囲に設けられ、前記ドット記録装置で印刷可能な印刷媒体の幅とほぼ等しい間隔を開けて設けられる一対の第2の溝部と、を有するプラテンと、を備えており、
    前記コンピュータプログラムは、前記印刷媒体の前端または後端の主走査ラインにドットを記録する場合に、前記前端または前記後端が前記第1の溝部の開口上にあるときに、前記第1の溝部と向かい合う位置にあるノズルからなる溝部ノズル群の少なくとも一部からインク滴を吐出させる、端部処理をコンピュータに実行させる第1のサブプログラムを含み、
    前記第1のサブプログラムは、前記端部処理において、1回以上の主走査を行って互いに隣接する2以上の主走査ラインを含む複数の主走査ラインにドットを記録する第1の単位スキャン動作を、複数回実行して、第1の送り量による端部処理用副走査を前記各第1の単位スキャン動作の合間に行う処理を前記コンピュータに実行させる第2のサブプログラムを含み、
    前記第2のサブプログラムは、
    前記主走査において、前記端部処理で使用するノズルが、前記プラテンに支持された前記印刷媒体と向かい合う位置にあるとき、および、前記プラテンに支持された前記印刷媒体の外側でかつ前記第1と第2の溝部の少なくとも一方と向かい合う位置にあるときに、前記端部処理で使用するノズルからインク滴を吐出させる第3のサブプログラムを含む、コンピュータプログラム。
  23. ドット記録装置に接続されたコンピュータに、印刷媒体の表面にドットの記録を行わせるためのコンピュータプログラムであって、
    前記ドット記録装置は、
    インク滴を吐出する複数のノズルが設けられたドット記録ヘッドと、
    印刷媒体を前記ドット記録ヘッドと向かい合うように支持するプラテンであって、前記複数のノズルの一部のノズルと向かい合う位置に主走査の方向に延長して設けられる溝部を有しているプラテンと、所定の検出地点における前記印刷媒体の有無を検出することができるセンサと、を備えており、
    前記コンピュータプログラムは、
    前記検出地点に前記印刷媒体がない状態から前記印刷媒体の副走査を開始し、前記センサが前記印刷媒体を検知した場合に前記副走査の方向に関して所定の副走査位置で前記印刷媒体の前記副走査を停止させ、前記印刷媒体が前記所定の副走査位置にある状態で、前記ノズルからインク滴を吐出させつつ前記主走査を開始して、前記印刷媒体の前端の主走査ラインにドットを記録する、第1の端部処理をコンピュータに実行させる第1のサブプログラムと、
    前記印刷媒体の後端が前記溝部の開口上にあるときに、前記溝部と向かい合う位置にあるノズルからなる溝部ノズル群の少なくとも一部からインク滴を吐出させて、前記後端の主走査ラインにドットを記録する、第2の端部処理を前記コンピュータに実行させる第2のサブプログラムと、を含み、
    前記第1および第2の端部処理は、1回以上の主走査を行って互いに隣接する2以上の主走査ラインを含む複数の主走査ラインにドットを記録する第1の単位スキャン動作を、複数回実行して、それぞれ所定の送り量による端部処理用副走査を前記各第1の単位スキャン動作の合間に行う処理である、コンピュータプログラム。
  24. ドット記録装置に接続されたコンピュータに、印刷媒体の表面にドットの記録を行わせるためのコンピュータプログラムであって、
    前記ドット記録装置は、
    インク滴を吐出する複数のノズルが設けられたドット記録ヘッドと、
    印刷媒体を前記ドット記録ヘッドと向かい合うように支持するプラテンであって、前記複数のノズルの一部のノズルと向かい合う位置に主走査の方向に延長して設けられる溝部を有しているプラテンと、所定の検出地点における前記印刷媒体の有無を検出することができるセンサと、を備えており、
    前記コンピュータプログラムは、
    前記印刷媒体の前端が前記溝部の開口上にあるときに、前記溝部と向かい合う位置にあるノズルからなる溝部ノズル群の少なくとも一部からインク滴を吐出させて、前記前端の主走査ラインにドットを記録する、第1の端部処理を前記コンピュータに実行させる第1のサブプログラムと、
    前記検出地点に前記印刷媒体がある状態において前記ノズルからインク滴を吐出させて前記印刷媒体の後端の主走査ラインにドットの記録を行い、前記センサが前記印刷媒体を検知しなくなった後、前記後端の主走査ラインへのドットの記録を終了する、第2の端部処理をコンピュータに実行させる第2のサブプログラムと、を含み、
    前記第1および第2の端部処理は、1回以上の主走査を行って互いに隣接する2以上の主走査ラインを含む複数の主走査ラインにドットを記録する第1の単位スキャン動作を、複数回実行して、それぞれ所定の送り量による端部処理用副走査を前記各第1の単位スキャン動作の合間に行う処理である、コンピュータプログラム。
  25. ドット記録装置に接続されたコンピュータに、印刷媒体の表面にドットの記録を行わせるためのコンピュータプログラムであって、
    前記ドット記録装置は、
    インク滴を吐出する複数のノズルが設けられたドット記録ヘッドと、
    印刷媒体を前記ドット記録ヘッドと向かい合うように支持するプラテンであって、前記複数のノズルの一部のノズルと向かい合う位置に主走査の方向に延長して設けられる溝部を有しているプラテンと、を備えており、
    前記コンピュータプログラムは、
    前記印刷媒体の前端と後端との少なくとも一方に余白を設けずに印刷を行う第1のドット記録モードと、前記前端および前記後端に余白を残して印刷を行う第2のドット記録モードと、のいずれか一方をユーザに選択させる処理をコンピュータに実行させる第1のサブプログラムと、
    前記第1のドット記録モードが選択された場合に実行されるサブプログラムであって、前記前端または前記後端が前記溝部の開口上にあるときに端部処理を実行して前記前端または前記後端の主走査ラインにドットを記録し、前記前端および前記後端が前記溝部の開口上にないときに中間処理を実行して前記印刷媒体の中間部の主走査ラインにドットを記録する処理を前記コンピュータに実行させる、第2のサブプログラムと、
    前記第2のドット記録モードが選択された場合に実行されるサブプログラムであって、前記端部処理を実行せずに前記中間処理を実行して、前記印刷媒体の主走査ラインにドットを記録する処理を前記コンピュータに実行させる、第3のサブプログラムと、を含み、
    前記端部処理は、主走査において、前記溝部と向かい合う位置にあるノズルからなる溝部ノズル群の少なくとも一部からインク滴を吐出させ、1回以上の主走査を行って互いに隣接する2以上の主走査ラインを含む複数の主走査ラインにドットを記録する第1の単位スキャン動作を、複数回実行して、第1の送り量による端部処理用副走査を前記各第1の単位スキャン動作の合間に行う処理であり、前記中間処理は、前記主走査において前記端部処理の場合よりも多数のノズルからインク滴を吐出させ、1回以上の主走査を行って互いに隣接する2以上の主走査ラインを含む複数の主走査ラインにドットを記録する第2の単位スキャン動作を、複数回実行して、前記第1の送り量よりも大きい第2の送り量による中間処理用副走査を前記各第2の単位スキャン動作の合間に行う中間処理を実行する処理である、コンピュータプログラム。
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