JP4165026B2 - プラテンを汚すことなく印刷媒体の端部まで行う印刷 - Google Patents

プラテンを汚すことなく印刷媒体の端部まで行う印刷 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ドット記録ヘッドを用いて記録媒体の表面にドットの記録を行う技術に関し、特に、プラテンを汚すことなく印刷用紙の端部まで印刷を行う技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、コンピュータの出力装置として、印刷ヘッドのノズルからインクを吐出するプリンタが広く普及している。図28は、従来のプリンタの印刷ヘッドの周辺を示す側面図である。印刷用紙Pは、プラテン26o上でヘッド28oに向かい合うように支持される。そして、印刷用紙Pは、プラテン26oの上流に配された上流側紙送りローラ25p,25q、およびプラテン26の下流に配された下流側紙送りローラ25r,25sによって、矢印Aの方向に送られる。ヘッドからインクが吐出されると、印刷用紙P上に順次、ドットが記録されて、画像が印刷される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記のようなプリンタにおいて印刷用紙の端まで画像を印刷しようとすると、印刷用紙の端が印刷ヘッド下方、すなわちプラテン上に位置するように印刷用紙を配し、印刷ヘッドからインク滴を吐出させる必要がある。しかし、そのような印刷においては、印刷用紙の送りの誤差やインク滴の着弾位置のずれなどによって、インク滴が本来着弾すべき印刷用紙端部からはずれてプラテン上に着弾してしまう場合がある。そのような場合には、プラテン上に着弾したインクによって、その後にプラテン上を通過する印刷用紙が、汚されてしまう。
【0004】
この発明は、従来技術における上述の課題を解決するためになされたものであり、プラテンにインク滴を着弾させることなく印刷用紙の端部まで印刷を行う技術を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
上述の課題の少なくとも一部を解決するため、本発明では、インク滴を吐出する複数のドット形成要素からなるドット形成要素群が設けられたドット記録ヘッドを用いて印刷媒体の表面にドットの記録を行うドット記録装置を対象として、所定の処理を行う。このドット記録装置は、ドット記録ヘッドと印刷媒体の少なくとも一方を駆動して主走査を行う主走査駆動部と、主走査の最中に複数のドット形成要素のうちの少なくとも一部を駆動してドットの形成を行わせるヘッド駆動部と、主走査の行路の少なくとも一部において複数のドット形成要素と向かい合うように、主走査の方向に延長して設けられ、印刷媒体をドット記録ヘッドと向かい合うように支持するプラテンと、主走査の合間に印刷媒体を主走査の方向と交わる方向に駆動して副走査を行う副走査駆動部と、各部を制御するための制御部と、を備えている。
【0006】
このドット記録装置のプラテンは、複数のドット形成要素の一部のドット形成要素からなる第1の部分ドット形成要素群と向かい合う位置に主走査の方向に延長して設けられ、印刷媒体を支える第1の支持部と、複数のドット形成要素のうち第1の部分ドット形成要素群よりも副走査の方向の下流側に設けられる第2の部分ドット形成要素群と向かい合う位置に、主走査の方向に延長して設けられる第1の溝部と、複数のドット形成要素のうち第2の部分ドット形成要素群よりも副走査の方向の下流側に設けられる第3の部分ドット形成要素群と向かい合う位置に主走査の方向に延長して設けられ、印刷媒体を支える第2の支持部と、複数のドット形成要素のうち第3の部分ドット形成要素群よりも副走査の方向の下流側に設けられる第4の部分ドット形成要素群と向かい合う位置に、主走査の方向に延長して設けられる第2の溝部と、を有している。
【0007】
このような態様においては、副走査の方向の上流からプラテン上に送られてくる印刷媒体は、その上端部を第1の支持部に支えられる。このため、副走査の過程において、上端部が第1の溝部内に落ち込んでしまう可能性が低い。また、第1の溝部と向かい合う第2の部分ドット形成要素群と、第2の溝部と向かい合う第4の部分ドット形成要素群とを使用して、プラテンを汚すことなく、印刷媒体の端部まで余白なく印刷を行うことができる。
【0008】
なお、第2の部分ドット形成要素群のノズルが、第1の部分ドット形成要素群のノズルよりも、印刷媒体上のドット形成位置の平均ズレ量が小さい場合には、第1の溝部と向かい合う第2の部分ドット形成要素群を使用して印刷媒体の端部まで余白なく印刷を行う際に、高品質な印刷を行うことができる。
【0009】
また、そのようなドット記録装置において、印刷媒体の上端と下端の少なくとも一方について余白を設けずに端まで画像を印刷する第1の画像印刷モードにおいて、第1の部分ドット形成要素群を使用せずに、第2ないし第4の部分ドット形成要素群を使用して印刷媒体上にドットを形成する。そして、印刷媒体の上端および下端に余白を設けて画像を印刷する第2の画像印刷モードにおいて、第1ないし第4の部分ドット形成要素群を使用して印刷媒体上にドットを形成する。このような態様とすれば、第1の画像印刷モードにおいては、溝部と向かい合う位置に設けられたドット形成要素を活用して、プラテンにインク滴を着弾させることなく、印刷媒体の端に余白を設けない印刷を行うことができる。そして、第2の画像印刷モードにおいては、第1の画像印刷モードで使用するドット形成要素群に加えて、第1の部分ドット形成要素群をも使用するので、第1の画像印刷モードによりも高速に印刷を行うことができる。
【0010】
なお、第2ないし第4の部分ドット形成要素群のノズルが、第1の部分ドット形成要素群のノズルよりも、印刷媒体上のドット形成位置の平均ズレ量が小さい場合には、第1の画像印刷モードにおいて次のような印刷を行うことができる。すなわち、第2ないし第4の部分ドット形成要素群よりもドット形成位置の精度の劣る第1の部分ドット形成要素群のノズルを使用しないで、印刷を行うことができる。よって、第1の画像印刷モードにおいて、用紙の端部で色目が変わることなく高品質な印刷を行うことができる。
【0011】
印刷ヘッドに、第4の部分ドット形成要素群よりも副走査の方向の下流側に設けられる第5の部分ドット形成要素群を設けた場合で、第2ないし第4の部分ドット形成要素群のノズルが、第5の部分ドット形成要素群のノズルよりも、印刷媒体上のドット形成位置の平均ズレ量が小さい場合には、以下のようにすることが好ましい。すなわち、第1の画像印刷モードにおいて、第1の部分ドット形成要素群および第5のドット形成要素群を使用せずに、第2ないし第4の部分ドット形成要素群を使用して印刷媒体上にドットを形成し、第2の画像印刷モードにおいて、第1ないし第5の部分ドット形成要素群を使用して印刷媒体上にドットを形成することが好ましい。
【0012】
このような態様とすれば、第1の画像印刷モードにおいて、第2ないし第4の部分ドット形成要素群よりもドット形成位置の精度の劣る第1および第5の部分ドット形成要素群のノズルを使用しないで、ドットを形成することができる。よって、第1の画像印刷モードにおいて、用紙の端部で色目が変わることなく高品質な印刷を行うことができる。また、第2の画像印刷モードにおいては、第2ないし第4の部分ドット形成要素群のノズルに加えて第1および第5の部分ドット形成要素群のノズルも使用してドットを形成するため、高速に印刷を行うことができる。
【0013】
また、印刷媒体の表面領域を、印刷媒体の上端を含む上端部と、印刷媒体の下端を含む下端部と、上端部と下端部との間に存在する中間部とに区分したときに、以下のような印刷を行うことが好ましい。すなわち、印刷媒体の上端部にドットを形成する際には、第1ないし第3の部分ドット形成要素群を使用せずに、第4の部分ドット形成要素群を使用して、ドットを形成することが好ましい。そして、印刷媒体の中間部にドットを形成する際には、第1の部分ドット形成要素群を使用せずに、第2ないし第4の部分ドット形成要素群を使用して、ドットを形成することが好ましい。さらに、印刷媒体の下端部にドットを形成する際には、第1、第3および第4の部分ドット形成要素群を使用せずに、第2の部分ドット形成要素群を使用して、ドットを形成することが好ましい。ここで、「部分ドット形成要素群を使用する」とは、ある画像の印刷において、その部分度と形成要素群の少なくとも一部のドット形成要素を使用するということである。そして、「部分ドット形成要素群を使用しない」とは、ある画像の印刷において、その部分ドット形成要素群のすべてのドット形成要素を一度も使用しないということである。
【0014】
このような態様においては、印刷媒体の上端部の印刷に第4の部分ドット形成要素群を使用するので、吐出したインク滴が上端部から外れても、そのインク滴は第2の溝部に着弾することとなり、プラテンの支持部を汚すことがない。同様に、下端部の印刷に第2の部分ドット形成要素群を使用するので、インク滴が下端部から外れても、そのインク滴は第1の溝部に着弾することとなり、プラテンの支持部を汚すことがない。よって、プラテンの支持部を汚すことなく、印刷媒体の上端および下端までドットを形成することができる。そして、中間部の印刷においては、第2ないし第4の部分ドット形成要素群を使用するため、高速に印刷を行うことができる。
【0015】
なお、ドット記録ヘッドが、主走査の方向に並ぶように設けられ、それぞれ異なるインクを吐出する複数のドット形成要素群を有している場合には、次のようにすることが好ましい。すなわち、第1の溝部を、複数のドット形成要素群の第2の部分ドット形成要素群と向かい合うように一つ設け、第2の溝部を、複数のドット形成要素群の第4の部分ドット形成要素群と向かい合うように一つ設ける。このような態様とすれば、第1の画像印刷モードにおいて、異なるインクを使用してドットを形成することができる。
【0016】
なお、本発明は、以下に示すような種々の態様で実現することが可能である。
(1)ドット記録装置、印刷制御装置、印刷装置。
(2)ドット記録方法、印刷制御方法、印刷方法。
(3)上記の装置や方法を実現するためのコンピュータプログラム。
(4)上記の装置や方法を実現するためのコンピュータプログラムを記録した記録媒体。
(5)上記の装置や方法を実現するためのコンピュータプログラムを含み搬送波内に具現化されたデータ信号。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下で、本発明の実施の形態を実施例に基づいて以下の順序で説明する。
A.実施形態の概要:
B.第1実施例:
B1.装置の全体構成:
B2.画像印刷モードの選択:
B3.印刷開始前の副走査送り:
B4.印刷中の副走査送り:
C.第2実施例:
D.変形例:
D1.変形例1:
D2.変形例2:
D3.変形例3:
D4.変形例4:
D5.変形例5:
D6.変形例6:
【0018】
A.実施形態の概要:
図1は、本発明の実施の形態におけるインクジェットプリンタの印刷ヘッドの周辺の構造を示す側面図である。このプリンタのプラテン26は、副走査方向の上流から順に、上流側支持部26sf、上流側溝部26f、中央支持部26c、下流側溝部26rを有している。このプリンタは、印刷用紙の上端および下端について用紙の端まで余白なく印刷を行う第1の画像印刷モードと、印刷の際に印刷用紙の上端および下端に余白ができる通常の印刷を行う第2の画像印刷モードと、を有している。第2の画像印刷モードでは、印刷用紙への印刷全体を通じて印刷ヘッド28の全ノズル#1〜#11(ノズル群Nr,Ni,Nh,Nf)が使用される。これに対して、第1の画像印刷モードでは、印刷ヘッド28のノズル#1〜#8(ノズル群Nr,Ni,Nh)のみが使用される。
【0019】
第1の画像印刷モードにおいては、印刷用紙Pの上端(前端)Pfを印刷する際には、印刷用紙Pの上端部Pfが下流側溝部26r上に配される。そして、下流側溝部26r上のノズル#1,#2(ノズル群Nr)で上端部の印刷が行われる。印刷用紙Pの中間部分については、ノズル#1〜#8(ノズル群Nr,Ni,Nh)で印刷が行われる。印刷用紙Pの下端(後端)を印刷する際には、印刷用紙Pの下端が上流側溝部26f上に配される。そして、上流側溝部26f上のノズル#8,#9(ノズル群Nh)で印刷が行われる。
【0020】
図1に示す態様では、プラテン26は、上流側溝部26fよりも上流に上流側支持部26sfを備えている。このため、最初に印刷用紙Pが上流側紙送りローラ25a,25bによって送られてきた際、印刷用紙Pは、上流側紙送りローラ25a,25bと上流側支持部26sfとの2点で支持されることになる。このため、印刷用紙Pの前端部Pfは、比較的水平に近い姿勢を保って中央支持部26cに向かって送られる。よって、最初の副走査送りにおいて、印刷用紙Pの前端Pfが上流側溝部26f内に落ち込んでしまう可能性が低いという利点がある。
【0021】
また、印刷用紙Pの上端部の印刷の際には、下流側溝部26r上のノズル群Nrを使用し、下端部の印刷の際には、上流側溝部26f上のノズル群Nhを使用する。よって、プラテン26を汚すことなく、印刷用紙の上端および下端まで余白なく画像を印刷することができる。そして、中間部の印刷においては、ノズル群Nr,Nh、およびその間のノズル群Niを使用して印刷を行うので、高速に印刷を行うことができる。また、時系列的には、最初に下流側のノズル群Nrで印刷を行い、次にノズル群Nr,Ni,Nhで印刷を行い、最後に上流側のノズル群Nhで印刷を行う。すなわち、印刷において使用するノズルが副走査方向の下流から上流に向けてスムーズに移行する。よって、印刷用紙の副走査送りにおいて逆送りなどが必要なく、印刷結果の品質が高いという利点がある。
【0022】
B.第1実施例:
B1.装置の構成:
図2は、本印刷装置のソフトウェアの構成を示すブロック図である。コンピュータ90では、所定のオペレーティングシステムの下で、アプリケーションプログラム95が動作している。オペレーティングシステムには、ビデオドライバ91やプリンタドライバ96が組み込まれており、アプリケーションプログラム95からは、これらのドライバを介して、プリンタ22に転送するための画像データDが出力されることになる。画像のレタッチなどを行うアプリケーションプログラム95は、スキャナ12から画像を読み込み、これに対して所定の処理を行いつつビデオドライバ91を介してCRT21に画像を表示している。スキャナ12から供給されるデータORGは、カラー原稿から読み取られ、レッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)の3色の色成分からなる原カラー画像データORGである。
【0023】
このアプリケーションプログラム95が、マウス13やキーボードから入力される指示に応じて印刷命令を発すると、コンピュータ90のプリンタドライバ96が、画像データをアプリケーションプログラム95から受け取り、これをプリンタ22が処理可能な信号(ここではシアン、マゼンタ、ライトシアン、ライトマゼンタ、イエロ、ブラックの各色についての多値化された信号)に変換している。図2に示した例では、プリンタドライバ96の内部には、解像度変換モジュール97と、色補正モジュール98と、ハーフトーンモジュール99と、ラスタライザ100とが備えられている。また、色補正テーブルLUT、ドット形成パターンテーブルDTも記憶されている。
【0024】
解像度変換モジュール97は、アプリケーションプログラム95が扱っているカラー画像データの解像度、即ち、単位長さ当りの画素数をプリンタドライバ96が扱うことができる解像度に変換する役割を果たす。こうして解像度変換された画像データは、まだRGBの3色からなる画像情報であるから、色補正モジュール98は色補正テーブルLUTを参照しつつ、各画素ごとにプリンタ22が使用するシアン(C)、マゼンタ(M)、ライトシアン(LC)、ライトマゼンタ(LM)、イエロ(Y)、ブラック(K)の各色のデータに変換する。
【0025】
色補正されたデータは、例えば256階調等の幅で階調値を有している。ハーフトーンモジュール99は、ドットを分散して形成することによりプリンタ22で、この階調値を表現するためのハーフトーン処理を実行する。ハーフトーンモジュール99は、ドット形成パターンテーブルDTを参照することにより、画像データの階調値に応じて、それぞれのインクドットのドット形成パターンを設定した上で、ハーフトーン処理を実行する。こうして処理された画像データは、ラスタライザ100によりプリンタ22に転送すべきデータ順に並べ替えられ、最終的な印刷データPDとして出力される。印刷データPDは、各主走査時のドットの記録状態を表すラスタデータと副走査送り量を示すデータとを含んでいる。本実施例では、プリンタ22は印刷データPDに従ってインクドットを形成する役割を果たすのみであり画像処理は行っていないが、勿論これらの処理をプリンタ22で行うものとしても差し支えない。
【0026】
次に、図3によりプリンタ22の概略構成を説明する。図示するように、このプリンタ22は、紙送りモータ23によって用紙Pを搬送する機構と、キャリッジモータ24によってキャリッジ31を摺動軸34の軸方向に往復動させる機構と、キャリッジ31に搭載された印刷ヘッド28を駆動してインクの吐出およびインクドットの形成を行う機構と、これらの紙送りモータ23、キャリッジモータ24、印刷ヘッド28および操作パネル32との信号のやり取りを司る制御回路40とから構成されている。
【0027】
キャリッジ31をプラテン26の軸方向に往復動させる機構は、印刷用紙Pの搬送方向と垂直な方向に架設され、キャリッジ31を摺動可能に保持する摺動軸34とキャリッジモータ24との間に無端の駆動ベルト36を張設するプーリ38と、キャリッジ31の原点位置を検出する位置検出センサ39等から構成されている。
【0028】
キャリッジ31には、黒インク(K)用のカートリッジ71とシアン(C),ライトシアン(LC)、マゼンタ(M),ライトマゼンダ(LM)、イエロ(Y)の6色のインクを収納したカラーインク用カートリッジ72が搭載可能である。キャリッジ31の下部の印刷ヘッド28には計6個のインク吐出用ヘッド61ないし66が形成されており、キャリッジ31に黒(K)インク用のカートリッジ71およびカラーインク用カートリッジ72を上方から装着すると、各インクカートリッジから吐出用ヘッド61ないし66へのインクの供給が可能となる。
【0029】
図4は、印刷ヘッド28におけるインクジェットノズルNの配列を示す説明図である。これらのノズルの配置は、ブラック(K)、シアン(C)、ライトシアン(LC)、マゼンタ(M)、ライトマゼンダ(LM)、イエロ(Y)各色ごとにインクを吐出する6組のノズルアレイから成っており、それぞれ48個のノズルが一定のノズルピッチkで一列に配列されている。これらの6組のノズルアレイは主走査方向に沿って並ぶように配列されている。より詳しく言えば、各ノズルアレイの対応するノズル同士は、同一の主走査ライン上に並ぶように配されている。これらのノズルアレイ(ノズル列)が特許請求の範囲にいう「ドット形成要素群」に相当する。なお、「ノズルピッチ」とは、印刷ヘッド上に配されるノズルの副走査方向の間隔が何ラスタ分(すなわち、何画素分)であるかを示す値である。例えば、間に3ラスタ分の間隔をあけて配されているノズルのピッチkは4である。「ラスタ」とは、主走査方向に並ぶ画素の列である。そして、「画素」とは、インク滴を着弾させドットを記録する位置を規定するために、印刷媒体上に(場合によっては印刷媒体の端を超えて)仮想的に定められた方眼状の升目である。なお、図4は、各ノズルの配置を大まかに示したものであり、実施例のヘッドの寸法やノズルの正確な個数を反映したものではない。
【0030】
各ノズルアレイ内のノズルは、副走査方向の上流から順に4個のサブグループに分類される。このサブグループが特許請求の範囲にいう「部分ドット形成要素群」である。以下、各ノズルアレイのサブグループを、副走査方向の上流から順にまとめて、ノズル群Nf,Nh,Ni,Nrと呼ぶ。なお、ここでは、各ノズルアレイの部分ドット形成要素群をまとめて取り扱って、それぞれノズル群Nf,Nh,Ni,Nrとしている。これらのノズル群は、主走査において印刷ヘッド28と向かい合う位置に設けられているプラテン26の、溝部や支持部などの構成部分と対応するように定められている。プラテン26の、溝部や支持部などの構成部分と各ノズル群の対応については後述する。
【0031】
図5は、プラテン26の周辺を示す平面図である。プラテン26は、主走査の方向に印刷用紙Pの幅よりも長く設けられている。そして、プラテン26の上流には、上流側紙送りローラ25a、25bが設けられている。上流側紙送りローラ25aが一つの駆動ローラであるのに対し、上流側紙送りローラ25bは自由に回転する複数の小ローラである。また、プラテンの下流には、下流側紙送りローラ25c、25dが設けられている。下流側紙送りローラ25cが駆動軸に設けられた複数のローラであり、下流側紙送りローラ25dは自由に回転する複数の小ローラである。下流側紙送りローラ25dは、外周面に放射状に歯(溝と溝の間の部分)を有しており、回転軸方向から見た場合に歯車状の形状に見える。この下流側紙送りローラ25dは、通称「ギザローラ」と呼ばれ、印刷用紙Pをプラテン26上に押しつける役割を果たす。なお、下流側紙送りローラ25cと上流側紙送りローラ25aとは、外周の速さが等しくなるように同期して回転する。
【0032】
印刷ヘッド28は、これらの上流側紙送りローラ25a、25bおよび下流側紙送りローラ25c、25dに挟まれたプラテン26上を主走査において往復動する。印刷用紙Pは、上流側紙送りローラ25a、25bおよび下流側紙送りローラ25c、25dに保持され、その間の部分をプラテン26の上面によって印刷ヘッド28のノズル列と向かい合うように支持される。そして、上流側紙送りローラ25a、25bおよび下流側紙送りローラ25c、25dによって副走査送りを実施されて、印刷ヘッド28のノズルから吐出されるインクにより順次画像を記録される。
【0033】
また、プラテン26には、副走査方向の上流側および下流側にそれぞれ上流側溝部26fと下流側溝部26rが設けられている。上流側溝部26fと下流側溝部26rは、それぞれ主走査方向に沿って、このプリンタ22で使用される印刷用紙Pの最大幅よりも長く設けられている。またこれらの溝部26f,26rの底部にはそれぞれインク滴Ipを受けてこれを吸収するための吸収部材27f,27rが配されている。プラテン26の上流側溝部26fよりも上流側の部分を、上流側支持部26sfと呼ぶ。そして、プラテン26の上流側溝部26fと下流側溝部26rの間の部分を中央支持部26cと呼ぶ。また、プラテンの下流側溝部26rよりも下流の部分を下流側支持部26srと呼ぶ。
【0034】
副走査方向の上流側から順に説明すると、まず、上流側支持部26sfは、印刷ヘッド28上のノズルのうちで最も上流側にある第1のノズル群Nfと向かい合う位置に、主走査の方向に延長して設けられている。この上流側支持部26sfは、上面を平らに設けられている。次に、上流側溝部26fは、第1のノズル群Nfの下流側に位置する第2のノズル群Nhと向かい合う位置に、主走査の方向に延長して設けられている。そして、中央支持部26cは、第2のノズル群Nhの下流側に位置する第3のノズル群Niと向かい合う位置に、主走査の方向に延長して設けられている。下流側溝部26rは、第3のノズル群Niの下流側に位置する第4のノズル群Nrと向かい合う位置に、主走査の方向に延長して設けられている。最後に、下流側支持部26srは、印刷ヘッド28上のノズルのうち副走査の方向の下流の端に位置するノズルよりも副走査方向の下流側の位置に、主走査の方向に延長して設けられている。なお、図5に示す印刷ヘッド28において、ノズル群Nf,Nh,Ni,Nrは、それぞれ異なる向きおよび間隔の斜線を引いた部分として示されている。
【0035】
次に、プリンタ22の制御回路40(図3参照)の内部構成を説明する。制御回路40の内部には、CPU41、PROM42、RAM43の他、コンピュータ90とのデータのやり取りを行うPCインタフェース45と、インク吐出用ヘッド61〜66にインクドットのON、OFFの信号を出力する駆動用バッファ44などが設けられており、これらの素子および回路はバスで相互に接続されている。制御回路40は、コンピュータ90で処理されたドットデータを受け取り、これを一時的にRAM43に蓄え、所定のタイミングで駆動用バッファ44に出力する。
【0036】
以上説明したハードウェア構成を有するプリンタ22は、紙送りモータ23により用紙Pを搬送しつつ、キャリッジ31をキャリッジモータ24により往復動させ、同時に印刷ヘッド28の各ノズルユニットのピエゾ素子を駆動して、各色インク滴Ipの吐出を行い、インクドットを形成して用紙P上に多色の画像を形成する。
【0037】
なお、後述する第1の画像印刷モードにおいては、印刷用紙Pの上端Pfを下流側溝部26r上で印刷し、下端Prを上流側溝部26f上で印刷するために、印刷用紙の上端近傍と下端近傍において、印刷用紙の中間部分とは異なる印刷処理が行われる。この明細書では、印刷用紙の中間部分における印刷処理を「中間処理」と呼び、また、印刷用紙の上端近傍における印刷処理を「上端処理」、印刷用紙の下端近傍における印刷処理を「下端処理」と呼ぶ。また、上端処理と下端処理とをまとめて呼ぶときには「上下端処理」と呼ぶ。
【0038】
上流側溝部26fおよび下流側溝部26rの副走査方向の幅Wは、次の式で定めることができる。
【0039】
W=p×n+α
【0040】
ここで、pは、上下端処理における副走査送りの1回の送り量である。nは、上端処理、下端処理それぞれにおいて実施する副走査送りの回数である。αは、上端処理、下端処理それぞれにおいて想定される副走査送りの誤差である。上流側溝部26fにおけるαの値(下端処理における誤差)は、下流側溝部26rにおけるαの値(上端処理における誤差)よりも大きく設定しておくことが好ましい。上記のような式でプラテンの溝部の幅を定めることとすれば、上下端処理の際にノズルから吐出されるインク滴を十分受け止められるだけの幅を有する溝部を設けることができる。
【0041】
B2.画像印刷モードの選択:
図6は、印刷処理の手順を示すフローチャートである。プリンタ22は、印刷用紙Pに上下端の余白を設けずに印刷を行う第1の画像印刷モードと、印刷用紙Pの上下端に余白を残して印刷を行う第2の画像印刷モードとを有している。プリンタ22は、第2の画像印刷モードにおいては、すべてのノズル群のノズルを使用して印刷を行うのに対して、第1の画像印刷モードでは、第2のノズル群Nhと、第2のノズル群Nhよりも副走査方向の下流に位置する第3のノズル群Ni,Nrのみで印刷を行う。なお、ここでいう「ノズルを使用する」とは、「ノズルを必要に応じて使用することができる」という意味である。したがって、ノズル群のうちの少なくとも一部のノズルが使用されていればよく、印刷する画像のデータによっては、他の一部のノズルが使用されない場合もある。
【0042】
ユーザは印刷に際してまず第1の画像印刷モードと第2の画像印刷モードのいずれかを選択する。そして、コンピュータ90(図2参照)に接続されたキーボード14、マウス13などの入力機器を通じてアプリケーション95に対して画像印刷モードの選択情報を入力する。アプリケーション95、プリンタドライバ96は、選択された画像印刷モードに応じて印刷データPDを準備する。
【0043】
図7は、第1の画像印刷モードにおける画像データDと印刷用紙Pとの関係を示す平面図である。第1の画像印刷モードでは、印刷用紙Pの上端Pfを超えて印刷用紙Pの外側まで画像データDを設定する。また、下端側についても、同様に、印刷用紙Pの下端Prを超えて印刷用紙Pの外側まで画像データDを設定する。したがって、第1の画像印刷モードにおいては、画像データDと印刷用紙Pの大きさ、及び印刷時の画像データDと印刷用紙Pの配置の関係は、図7に示すようになる。
【0044】
本明細書では、印刷用紙Pに記録する画像データの上下に対応させて印刷用紙Pの端を呼ぶ場合は、「上端(部)」、「下端(部)」の語を使用するが、プリンタ22上での印刷用紙Pの副走査送りの進行方向に対応させて印刷用紙Pの端を呼ぶ場合は、「前端(部)」、「後端(部)」の語を使用することがある。本明細書では、印刷用紙Pにおいて「上端(部)」が「前端(部)」に対応し、「下端(部)」が「後端(部)」に対応する。
【0045】
図8は、第2の画像印刷モードにおける、画像データD2と印刷用紙との関係を示す平面図である。図8に示すように、第2の画像印刷モードにおいては、画像データD2は、印刷用紙Pよりも小さい領域に画像を形成するためのデータである。そして、画像は、印刷用紙P上に上下左右に余白を設けて印刷される。
【0046】
B3.印刷開始前の副走査送り:
図9は、印刷用紙Pの前端Pfがプラテン26上に送られてくるときの状態を示す説明図である。ここでは、説明を簡単にするため、1列のノズル列は11個のノズルを有するものとして説明する。ここで、各ノズルアレイのノズル#1,#2が第4のノズル群Nrを構成し、ノズル#3〜#6が第3のノズル群Niを構成する。そして、ノズル#7,#8が第2のノズル群Nhを構成し、ノズル#9〜#11が第1のノズル群Nfを構成する。
【0047】
印刷用紙Pは、最初に上流側紙送りローラ25a、25bによってプラテン26上に副走査送りされてくると、その前端部Pfを上流側支持部26sfによって支持される。その後、前端部Pfは、上流側溝部26f上を通過し、図9に示すように中央支持部26c上に至る。そして、前端部Pfは、中央支持部26c上を通って下流側溝部26r上に至る。第1の画像印刷モードの場合は、そこで副走査送りが停止され、インク滴の吐出が開始される。すなわち、上端処理が開始される。ただし、画像データのうち印刷用紙Pの前端Pfを超えて設定される部分(図7参照)のラスタ数がある程度以上大きい場合は、前端Pfが下流側溝部26r上に至る前に副走査送りが停止され、インク滴の吐出が実施されることもある。一方、第2の画像印刷モードの場合には、前端Pfが下流側紙送りローラ25c、25dに噛み込まれてからインク滴の吐出が開始される。
【0048】
図9の態様では、印刷用紙Pは、上流側紙送りローラ25a、25bから送り出された後、上流側支持部26sfに支持される。印刷用紙Pの前端部Pfが上流側溝部26f上を通過する際には、印刷用紙Pは上流側紙送りローラ25a、25bと上流側支持部26sfの少なくとも2点で支持されていることとなり、上流側紙送りローラ25a、25bから先の部分が一定の姿勢に保たれる。よって、前端部Pfが上流側溝部26f内に落ち込んでしまう可能性が小さい。
【0049】
また、上流側支持部26sfは、第1のノズル群Nfと向かい合う位置に設けられており、副走査方向について所定の長さRsfを有している。このため、印刷用紙Pは、上流側紙送りローラ25a、25bと、副走査方向に所定の長さを有する上流側支持部26sfとによって、所定の距離にわたって支持されることとなる。よって、印刷用紙Pは、上流側紙送りローラ25a、25bから先の部分がより確実に一定の姿勢に保たれ、前端部Pfが上流側溝部26f内に落ち込んでしまう可能性が小さくなる。
【0050】
さらに、上流側支持部26sfは上面を平らに設けられており、印刷用紙Pは、上流側支持部26sfにあるとき、自重によって平らな上流側支持部26sfの上面に沿うような形状に近づく。よって、この点からも印刷用紙Pの上流側紙送りローラ25a、25bから先の部分が平らな形状に近づくこととなり、前端部Pfが上流側溝部26f内に落ち込んでしまう可能性が小さくなる。
【0051】
図10は比較例のプリンタにおいて、印刷用紙Pの前端Pfがプラテン26上に送られてくるときの状態を示す説明図である。第1実施例のプリンタでは、ノズル#9から最上流のノズル#11までと向かい合う位置には、上流側支持部26sfが設けられていた。しかし、図10のプリンタでは、最上流のノズル#11とノズル#10とに向かい合う位置には、上流側溝部26fc1が設けられており、印刷用紙Pを支持する部分が設けられていない。ただし、上流側溝部26fc1の上流側にはプラテン26の一部26sc1が存在する。他の点は、第1実施例のプリンタと同様である。
【0052】
比較例のプリンタにおいては、印刷用紙Pを支える上流側紙送りローラ25a,25bとプラテン26の一部26sc1とは、ともに印刷ヘッド28よりも上流にあり、その間隔は第1実施例よりも短い。このような態様においては、印刷用紙Pは、最初に上流側紙送りローラ25a、25bによってプラテン26上に副走査送りされてくると、その前端部Pfは、上流側溝部26foに落ち込んでしまう可能性が高い。特に、印刷用紙Pがロール紙であり、印刷用紙Pに上に凸の形状に曲がりやすい「くせ」が付いている場合には、前端部Pfが上流側溝部26foに落ち込んでしまう可能性が高くなる。なお、プラテン26の一部26sc1が副走査方向の上流側に向けて十分な長さを有していれば、前端部Pfが上流側溝部26foに落ち込む可能性も小さくなるが、そのような態様とするとプリンタが副走査方向に大きくなってしまう。
【0053】
B4.印刷中の副走査送り:
第1の画像印刷モードと第2の画像印刷モードとでは、印刷の際の副走査送りのパターンが異なる。第1の画像印刷モードでは、上端処理、中間処理、下端処理で副走査送りパターンが異なるのに対して、第2の画像印刷モードにおいては、副走査送りパターンは一定である。以下では、第1の画像印刷モードの上端処理と中間処理、第1の画像印刷モードの下端処理、そして第2の画像印刷モードに分けて、副走査送りについて説明する。
【0054】
(1)第1の画像印刷モードの上端処理と中間処理:
図11は、印刷用紙の上端(先端)近傍において、各ラスタがどのノズルによってどのように記録されていくかを示す説明図である。ここでは、説明を簡単にするため、1列のノズル列のみを使用して説明する。そして、1列のノズル列はそれぞれ3ラスタ分の間隔を開けて11個のノズルを有する。しかし、第1の画像印刷モードで使用されるノズルは、副走査方向下流側の8個のノズルのみである。なお、図11では、印刷に使用されるそれら8個のノズルのみ示されており、使用されないノズルは図示を省略されている。
【0055】
図11において、縦に並ぶ1列の升目は、印刷ヘッド28を表している。各升目の中の1〜8の数字が、ノズル番号を示している。明細書中では、これらの番号に「#」を付して各ノズルを表す。図11では、時間とともに副走査方向に相対的に送られる印刷ヘッド28を、順に左から右にずらして示している。太枠で囲まれたノズルが、ラスタにドットを記録するノズルである。
【0056】
図11に示すように、上端処理においては、1ドットづつの副走査送りを7回繰り返す。この上端処理を、「第1の記録モード」とも呼ぶ。なお、副走査送り量の単位の「ドット」は、副走査方向の印刷解像度に対応する1ドット分のピッチを意味しており、これはラスタのピッチとも等しい。
【0057】
その後、中間処理に移行して、5ドット、2ドット、3ドット、6ドットの送りをその順に繰り返す。この中間処理を、「第2の記録モード」とも呼ぶ。このように異なる送り量を組み合わせて副走査を行う方式を「変則送り」という。
【0058】
上記のような副走査送りを実施すると、一部のラスタを除き、各ラスタはそれぞれ二つのノズルで記録される。例えば、図11において、上から5番目のラスタは、#2のノズルと#1のノズルとで記録される。この際、#2のノズルは例えば偶数アドレスの画素を記録し、#1のノズルは奇数アドレスの画素を記録する。また、上から9番目のラスタは、#3のノズルと#2のノズルとで記録される。このように、一つのラスタ内の画素を複数のノズルで分担して印刷する方式を「オーバーラップ印刷」という。オーバーラップ印刷においては、一つのラスタは、印刷ヘッドに対する印刷用紙の副走査方向の位置が互いに異なる複数回の主走査において、そのラスタ上を通過する複数のノズルによってドットを記録される。
【0059】
一方、図11において、最上段から4本のラスタは、印刷の際の主走査において#1のノズルが1度通過するだけである。したがって、これらのラスタについては、二つのノズルで画素を分担して印刷することができない。よって、第1の画像印刷モードでは、これら4本のラスタは、画像を記録するために使用することはしないものとする。すなわち、第1の画像印刷モードにおいて画像を記録するために使用できるラスタは、印刷ヘッド28上のノズルがドットを記録しうるラスタのうち、副走査方向上流の端から5番目以降のラスタとする。この画像を記録するために使用できるラスタの領域を「印刷可能領域」と呼ぶ。また、画像記録のために使用しないラスタの領域を「印刷不可領域」と呼ぶ。図11においては、印刷ヘッド28上のノズルがドットを記録しうるラスタについて、上から順に付した番号を、図の左側に記載している。以降、上端処理のドットの記録を説明する図面においても同様である。
【0060】
また、図11において、上から13番目や15番目のラスタは、印刷の際の主走査において3個のノズルが通過する。そのような、印刷において三つ以上のノズルが通過するラスタについては、その中の二つのノズルのみがドットを記録するものとする。それらのラスタは、できるだけ中間処理に移行した後にそのラスタ上を通過するノズルで記録することが好ましい。中間処理においては、変則送りが行われており、隣り合うラスタ上を通過するノズルの組み合わせが違ってくるため、1ドットづつの定則送りが行われる上端処理に比べて、印刷結果が高画質となることが期待できるからである。
【0061】
以上のような印刷を行う結果、印刷ヘッドがドットを記録しうる最上段のラスタから数えて、5番目のラスタから8番目のラスタまでの領域は、ノズル#1と#2(第4のノズル群Nr)のみで記録されることとなる。そして、9番目以降のラスタは、#1〜#8(ノズル群Nr,Ni,Nh)を使用して記録される。以下でこれらのラスタと印刷用紙Pとの関係およびその効果について説明する。
【0062】
第1の画像印刷モードでは、印刷用紙の上端まで余白なく画像を記録する。前述のように、第1の画像印刷モードにおいては、印刷ヘッド28上のノズルがドットを記録しうるラスタのうち、副走査方向上流の端から5番目以降のラスタ(印刷可能領域)を使用して、画像を記録することができる。したがって、印刷用紙の上端ぎりぎりの位置に上記端から5番目のラスタが位置するように、印刷ヘッド28に対して印刷用紙を配置してドットの記録を開始することとすれば、理論上は、印刷用紙の上端いっぱいまで画像を記録することができる。しかし、副走査送りの際には送り量について誤差が生じる場合がある。また、印刷ヘッドの製造誤差などによりインク滴の吐出方向がずれる場合もある。そのような理由から印刷用紙上へのインク滴の着弾位置がずれた場合についても、印刷用紙の上端に余白が生じないようにすることが好ましい。よって第1の画像印刷モードでは、印刷に使用する画像データDは、印刷ヘッド28上のノズルがドットを記録しうるラスタのうち、副走査方向上流の端から5番目のラスタから設定し、一方で、印刷用紙Pの上端が、副走査方向上流の端から7番目のラスタの位置にある状態から印刷を開始することとする。したがって、印刷開始時の各ラスタに対する印刷用紙上端の想定位置は、図11に示すように、副走査方向上流の端から7番目のラスタの位置である。すなわち、第1実施例の第1の画像印刷モードでは、印刷用紙Pの上端Pfを超えて印刷用紙Pの外側まで設定する画像データDの部分の幅(図7参照)は、2ラスタ分である。また、印刷用紙Pの下端Prを超えて印刷用紙Pの外側まで設定する画像データDの部分の幅も、同様に2ラスタ分である。下端側のラスタについては後述する。
【0063】
図12は、印刷開始時の印刷ヘッド28と印刷用紙Pの関係を示す側面図である。ここでは、プラテン26の中央支持部26cは、印刷ヘッド28の#2のノズルから数えて2ラスタ分上流側の位置から、#7のノズルから数えて2ラスタ分下流側の位置までの範囲R26に設けられている。上流側溝部26fは、#7のノズルから数えて1ラスタ分下流側の位置から、#8のノズルから数えて2ラスタ分前上流側の位置までの範囲に設けられている。そして、下流側溝部26rは、#1のノズルから数えて2ラスタ分下流側の位置から、#2のノズルから数えて2ラスタ分前上流側の位置までの範囲に設けられている。このため、印刷用紙がない状態で各ノズルからインク滴Ipを吐出させた場合でも、ノズル#1,#2のインク滴は下流側溝部26rに着弾し、ノズル#7,#8のインク滴は下流側溝部26rに着弾する。すなわち、それらのノズルからのインク滴はプラテン26の中央支持部26cに着弾することはない。なお、図12では、第1の画像印刷モードにおいて使用されない#9〜#11のノズルは、黒く塗りつぶされている。
【0064】
先に図4および図5において示した第4のノズル群Nrが、図12における#1、#2のノズルである。主走査の際にそれらのノズルが通過する部分の下方には、下流側溝部26rが設けられている(図5参照)。そして、図12において、下流側溝部26r上の実線で示す位置に印刷用紙Pの上端Pfがあるときに、印刷が開始される。
【0065】
前述のように、印刷開始時において、印刷用紙Pの上端Pfは、印刷ヘッド28上のノズルがドットを記録しうるラスタのうち、副走査方向上流の端から7番目のラスタの位置にある。すなわち、図12を使用して説明すれば、印刷用紙Pの上端は、#1のノズルから数えて6ラスタ分後ろの位置にあることとなる。なお、図12においては、画像データ上に想定されたラスタの位置を破線で示している。しがたって、この状態から印刷を開始することとすると、印刷可能領域の最上段のラスタ(図11において、上から5番目のラスタ)が#2のノズルで記録されるはずであるが、#2のノズル下方にはまだ印刷用紙Pはない。したがって、印刷用紙Pが上流側紙送りローラ25a,25bによって正確に送られていれば、#2のノズルから吐出されたインク滴Ipは、そのまま下流側溝部26rに落下することとなる。また、この印刷可能領域の最上段のラスタは、図11に示すように、4回の1ドット送りの後、#1のノズルによっても記録されることとなっている。しかし、同様に、4回の1ドット送りが実施された段階では、#1のノズル下方にはまだ印刷用紙Pはない。よって、そのときに#1のノズルから吐出されるインク滴Ipも、そのまま下流側溝部26rに落下することとなる。印刷可能領域の上から2番目のラスタ(図11において、上から6番目のラスタ)を記録する場合についても、同様のことがいえる。
【0066】
しかし、何らかの理由により、印刷用紙Pが本来の送り量よりも多く送られてしまった場合には、印刷用紙Pの上端が印刷可能領域の上から2番目のラスタや、印刷可能領域の最上段のラスタの位置に来てしまう場合もある。第1の画像印刷モードでは、そのような場合でも、#1、#2のノズルがそれらのラスタに対してインク滴Ipを吐出しているため、印刷用紙Pの上端に画像を記録することができ、余白ができてしまうことがない。すなわち、印刷用紙Pが本来の送り量よりも多く送られてしまった場合でも、図12において一点鎖線で示すように、その余分の送り量が2ラスタ分以下である場合には、印刷用紙Pの上端に余白ができてしまうことがない。
【0067】
逆に、何らかの理由により、印刷用紙Pが本来の送り量よりも少なく送られてしまうことも考えられる。そのような場合には、本来印刷用紙があるべき位置に印刷用紙がないこととなり、インク滴Ipが下方の構造物に着弾してしまうこととなる。しかし、図11に示すように、第1の画像印刷モードにおいては、用紙の想定上端位置から2ラスタは、#1と#2のノズルで記録されることとなっている。これらのノズルの下方には下流側溝部26rが設けられており、仮に、インク滴Ipが印刷用紙Pに着弾しなかったとしても、そのインク滴Ipは下流側溝部26rに落下し、吸収部材27rに吸収されることとなる。したがって、インク滴Ipがプラテン26上面部に着弾して、のちに印刷用紙を汚すことはない。すなわち、第1の画像印刷モードにおいては、印刷開始時に、印刷用紙Pの上端Pfが想定上端位置よりも後ろにある場合でも、想定上端位置からのずれ量が2ラスタ以下である場合には、インク滴Ipがプラテン26上面部に着弾して、のちに印刷用紙Pを汚すことはない。
【0068】
以上に説明した効果は、印刷用紙Pの上端を印刷する際、印刷用紙Pの上端が下流側溝部26rの開口上にあるときに、第4のノズル群Nr(第4の部分ドット形成要素群)の少なくとも一部からインク滴を吐出させて、印刷用紙P上にドットを形成することによって得られる。
【0069】
印刷用紙Pは、上流側紙送りローラ25a,25bおよび下流側紙送りローラ25c,25dの二組のローラにより保持され、副走査送りされることが望ましい。一方のローラのみで保持され、副走査送りされる場合に比べ、より正確に副走査送りをすることができるからである。しかし、印刷用紙の上端Pfを印刷する際には、印刷用紙Pは上流側紙送りローラ25a,25bのみによって保持され、副走査送りをされる。第1の画像印刷モードにおいては、印刷ヘッド28上のノズルがドットを記録しうるラスタのうち副走査方向上流の端から7番目のラスタの位置に、印刷用紙の上端Pfが位置する状態で印刷を開始する(図11および図12参照)。したがって、図12に示すように、その位置から、印刷用紙上端Pfが下流側紙送りローラ25c,25dに保持されるまでのあいだ、すなわち、図12において示すL31の距離だけ印刷用紙が送られる間、上流側紙送りローラ25a,25bのみによって副走査送りがされ、印刷が実行される。第1の画像印刷モードにおいては、上流側溝部26fではなく下流側溝部26r上において上端Pfの記録が行われるため、上流側紙送りローラ25a,25bのみによって副走査送りがされ、印刷が実行される区間が比較的短い。よって、印刷結果が高画質となる。なお、上記のような態様に限らず、副走査方向の下流側の端の近傍のノズルで印刷用紙の上端Pf近傍を印刷する態様とすれば、上記の効果を奏することができる。そして、特に、上流副走査駆動部(上流側紙送りローラ25a,25b)の送り精度が比較的低い場合に有効である。
【0070】
さらに、上端部分の印刷を行う際、印刷用紙Pは、上流側紙送りローラ25a,25bとプラテン26の上流側支持部26sf、中央支持部26cの3カ所で支えられている。このため下流側溝部26r上において比較的、印刷用紙Pの上端部分が下方に撓みにくい。よって、印刷用紙の撓みによって上端部分の印刷結果の品質が悪化する可能性が小さい。
【0071】
以上で説明したような、第4のノズル群Nr(ノズル#1,#2)による印刷用紙Pの上端部の印刷、およびノズル群Nr,Ni,Nh(ノズル#1〜#8)による中間部の印刷は、CPU41(図3参照)によって行われる。すなわち、CPU41が特許請求の範囲にいう「上端印刷部」、「中間印刷部」として機能する。これらCPU41の機能部としての上端印刷部41fと中間印刷部41gを図3に示す。
【0072】
(2)第1の画像印刷モードの下端処理:
図13は、下端処理において、各ラスタがどのノズルによってどのように記録されていくかを示す説明図である。図13においては、n+1回目の副走査送りが行われたところから最後のn+17回目の副走査送りをするところまでを示している。第1の画像印刷モードでは、図13に示すように、中間処理においてn+8回目までの副走査送りで5ドット、2ドット、3ドット、6ドットの送りをその順に繰り返したのち、下端処理において、最後の9回、すなわちn+9回目からn+17回目までの副走査送りを、1ドットづつの送りで行う。その結果、主走査方向に沿った各ラスタは、一部のものを除いてそれぞれ二つのノズルで記録される。なお、図13においては、印刷ヘッド28上のノズルがドットを記録しうるラスタについて、下から順に付した番号を、図の右側に記載している。以降、下端処理のドットの記録を説明する図面において同様である。
【0073】
図13において、最下段から4本のラスタは、印刷において#8のノズルが1度通過するだけである。そして、最下段から5本目以上のラスタは二以上のノズルで記録されうる。したがって、印刷用紙の下端部分における印刷可能領域は、最下段から5本目以上のラスタの領域である。
【0074】
また、図13において、下から9番目や10番目のラスタなどは、印刷の際の主走査において3個以上のノズルが通過する。そのような、印刷において三つ以上のノズルが通過するラスタについては、中間処理においてそのラスタ上を通過するノズルで記録することが好ましい。1ドットづつの定則送りが行われる下端処理に比べて、印刷結果が高画質となることが期待できるからである。
【0075】
以上のような印刷を行う結果、印刷ヘッドがドットを記録しうる最下段のラスタから数えて、5番目のラスタから10番目のラスタまでの領域は、ノズル#7と#8(第2のノズル群Nh)のみで記録されることとなる。そして、9番目以上のラスタは、#1〜#8(ノズル群Nr,Ni,Nh)を使用して記録される。以下でこれらのラスタと印刷用紙Pとの関係およびその効果について説明する。
【0076】
第1の画像印刷モードでは、上端の場合と同様、下端についても余白なく画像を記録する。前述のように、第1の画像印刷モードにおいては、印刷ヘッド28上のノズルがドットを記録しうるラスタのうち、副走査方向下流の端から5番目以上のラスタ(印刷可能領域)を使用して、画像を記録することができる。しかし、副走査送りの際に送り量について誤差が生じる場合等を考慮して、副走査方向下流の端から7番目のラスタから印刷用紙上に記録するものとする。すなわち、印刷用紙の下端が、副走査方向上流の端から7番目のラスタの位置にある状態で、5番目と6番目のラスタについてもインク滴Ipの吐出を行い、印刷の際の最後の主走査を行う。したがって、印刷終了時の各ラスタに対する印刷用紙下端の想定位置は、図13に示すように、副走査方向下流の端から7番目のラスタの位置である。
【0077】
図14は、印刷用紙Pの下端部Prの印刷をする際の上流側溝部26fと印刷用紙Pの関係を示す平面図である。図14において、印刷ヘッド28の斜線で示した部分の第2のノズル群Nhが、#7、#8のノズルである。主走査の際にそれらのノズルが通過する部分の下方には、上流側溝部26fが設けられている。そして、上流側溝部26f上の一点鎖線で示す位置に印刷用紙Pの下端Prがあるときに、印刷を終了する。
【0078】
図15は、印刷用紙Pの下端部Prの印刷をする際の印刷ヘッド28と印刷用紙Pの関係を示す側面図である。前述のように、印刷用紙Pの下端部Prの印刷をする際、印刷用紙Pの下端Prは、印刷ヘッド28上のノズルがドットを記録しうるラスタのうち、副走査方向下流の端から7番目のラスタの位置にある(図13参照)。すなわち、印刷用紙Pの下端は、#8のノズルから数えて6ラスタ分前の位置にあることとなる。しがたって、この状態で、印刷可能領域の最下段および最下段から2番目のラスタ(図13において、下から6番目および5番目のラスタ)の記録を行うこととすると、#7,#8のノズルから吐出されたインク滴Ipは、そのまま上流側溝部26fに落下することとなる。
【0079】
何らかの理由により、印刷用紙Pが本来の送り量よりも少なく送られてしまった場合にも、#7、#8のノズルが印刷用紙Pの下端Prを超えて設定されるラスタ(図13において、下から5番目および6番目のラスタ)に対してインク滴Ipを吐出しているため、印刷用紙Pの下端Prに画像を記録することができ、余白ができてしまうことがない。すなわち、図15において一点鎖線で示すように、その不足の送り量が2ラスタ分以下である場合には、印刷用紙Pの下端に余白ができてしまうことがない。
【0080】
そして、用紙の想定下端位置から上の4ラスタ(図13において、下から7番目から10番目のラスタ)は、#7と#8のノズルで記録されることとなっている。よって、何らかの理由により、印刷用紙Pが本来の送り量よりも多く送られてしまった場合にも、吐出されたインク滴Ipは上流側溝部26fに落下し、プラテン26上面部に着弾することがない。
【0081】
以上に説明した効果は、印刷用紙Pの下端を印刷する際、印刷用紙Pの下端が上流側溝部26fの開口上にあるときに、第2のノズル群Nh(第2の部分ドット形成要素群)の少なくとも一部からインク滴を吐出させて、印刷用紙P上にドットを形成することによって得られる。また、下端処理に先立つ中間処理でも、第2のノズル群Nh(ノズル#7,#8)と第3のノズル群Ni(ノズル#3〜#6)と第4のノズル群Nr(ノズル#1,#2)のみを使用している。すなわち、下端処理において使用する第2のノズル群Nhよりも上流側に位置する第1のノズル群Nfを使用していない。このため、中間処理において第1のノズル群Nfを含むすべてのノズル(ノズル#1〜#11)を使用する場合に比べて、中間処理から下端処理への移行をスムーズに行うことができる。
【0082】
また、第1の画像印刷モードにおいては、印刷ヘッド28上のノズルがドットを記録しうるラスタのうち副走査方向下流の端から7番目のラスタの位置(すなわち、図15において、ノズル#7の2ラスタ分前の位置)に、印刷用紙の下端Prが位置する状態で印刷用紙上の最後のラスタを記録し印刷を終了する(図13参照)。したがって、印刷用紙Pの下端Prが上流側紙送りローラ25a,25bを離れてから図15に示す位置までの、L41の距離だけ印刷用紙Pが送られる間、下流側紙送りローラ25c,25dのみによって副走査送りがされ、印刷が実行される。第1の画像印刷モードにおいては、下流側溝部26rではなく上流側溝部26f上において下端Prの記録が行われるため、下流側紙送りローラ25c,25dのみによって副走査送りがされ、印刷が実行される区間が比較的短い。よって、印刷結果が高画質となる。特に、下流側紙送りローラ25dは歯車状のローラであり、下流側紙送りローラ25c,25dの組み合わせは上流側紙送りローラ25a,25bに比べて送り精度が低い。このため、下流側紙送りローラ25c,25dのみによって副走査送りがされ、印刷が実行される区間が比較的短いことは、印刷結果の品質向上に大変有効である。なお、上記のような態様に限らず、副走査方向の上流側の端の近傍のノズルで印刷用紙の下端Pr近傍を印刷する態様とすれば、上記の効果を奏することができる。そして、特に、下流副走査駆動部(下流側紙送りローラ25c,25d)の送り精度が比較的送り低い場合に有効である。
【0083】
さらに、下端部分の印刷を行う際、印刷用紙Pは、下流側紙送りローラ25c,25dとプラテン26の中央支持部26c、下流側支持部26srの3カ所で支えられている。このため上流側溝部26f上において比較的、印刷用紙Pの下端部分が下方に撓みにくい。よって、印刷用紙の撓みによって下端部分の印刷結果の品質が悪化する可能性が小さい。
【0084】
以上で説明したような、第2のノズル群Nh(ノズル#7,#8)による印刷用紙Pの下端部の印刷は、CPU41(図3参照)によって行われる。すなわち、CPU41が特許請求の範囲にいう「下端印刷部」として機能する。そして、以上に説明したように、第1の画像印刷モードにおいて各部を制御して印刷を行うのも、CPU41である。すなわち、CPU41が特許請求の範囲にいう「第1の画像印刷部」として機能する。これらCPU41の機能部としての第1の画像印刷部41dと下端印刷部41hを図3に示す。
【0085】
(3)第2の画像印刷モード:
図16は、第2の画像印刷モードにおいて、各ラスタがどのノズルによってどのように記録されていくかを示す説明図である。第2の画像印刷モード(図6参照)においては、#1〜#11までのすべてのノズルが使用される。なお、ここでいう「ノズルが使用される」とは、「ノズルが必要に応じて使用可能である」という意味である。したがって、印刷する画像のデータによっては、あるノズルが使用されない場合もある。
【0086】
図16に示すように、第2の画像印刷モードにおいては、印刷全体にわたって、5ドットと6ドットの副走査送りが交互に繰り返される。その結果、印刷用紙Pの上端と下端には、それぞれ第1の画像印刷モードに比べて広い印刷不可領域ができる。例えば、図11においては、上端側の印刷不可領域は上端から4ラスタ分であったが、図16においては35ラスタ分である。ノズルがドットを記録しうる最上段のラスタの位置を用紙の想定上端位置とすると、この35ラスタ分の部分(印刷不可領域)が印刷用紙Pの上端における余白となる。
【0087】
また、印刷可能領域についても、その上端部および下端部は特に限定されたノズルでドットを形成されるわけではない。しかし、印刷用紙Pの端部に余白を残して印刷を行う第2の画像印刷モードにおいては、画像の上端および下端近辺を溝上のノズル(#1,#2,#7,#8)のみで印刷する必要がないため、不都合はない。一方で、第2の画像印刷モードにおいては、#1〜#11までのすべてのノズルを使用するため、限定されたノズルで印刷を行う第1の画像印刷モードに比べて、高速な印刷を実現できる。
【0088】
以上に説明したように、第2の画像印刷モードにおいて、各部を制御して印刷を行うのはCPU41である。すなわち、CPU41が特許請求の範囲にいう「第2の画像印刷部」として機能する。これらCPU41の機能部としての第2の制御部41eを図3に示す。
【0089】
C.第2実施例:
図17は、第2実施例における印刷ヘッド28aと上流側溝部26faおよび下流側溝部26raの関係を示す側面図である。ここでは、第1実施例とはノズルの数および各ラスタの記録方法が異なる例について説明する。第2実施例では、1列のノズル列が13個のノズルを有する。ここで使用する印刷装置では、上流側支持部26sfは、副走査方向について、ノズル#12と#13(第1のノズル群Nfa)に向かい合う位置に設けられる。また、上流側溝部26faは、ノズル#9〜#11(第2のノズル群Nha)と向かい合う位置に設けられる。中央支持部26caは、ノズル#4〜#8(第3のノズル群Nia)と向かい合う位置に設けられる。そして、下流側溝部26raは、ノズル#1〜#3(第4のノズル群Nra)と向かい合う位置に設けられる。他の点は第1実施例の印刷装置と同様の構成である。
【0090】
第2実施例における第1のノズル群Nfaが特許請求の範囲にいう「第1の部分ドット形成要素群」の集まりであり、第2のノズル群Nhaが特許請求の範囲にいう「第2の部分ドット形成要素群」の集まりである。第3のノズル群Niaが特許請求の範囲にいう「第3の部分ドット形成要素群」の集まりであり、第4のノズル群Nraが特許請求の範囲にいう「第4の部分ドット形成要素群」の集まりである。
【0091】
この第2実施例では、オーバーラップ印刷を行わない。すなわち、各ラスタは1度の主走査において一つのノズルで記録される。そして、第1の画像印刷モードで使用されるノズルは、ノズル#1〜#11(ノズル群Nra,Nia,Nha)であり、第2の画像印刷モードで使用されるノズルは、ノズル#1〜#13(ノズル群Nra,Nia,Nha,Nfa)である。
【0092】
(1)第1の画像印刷モードの上端処理と中間処理:
図18および図19は、第2実施例の上端処理において、各ラスタがどのノズルによってどのように記録されていくかを示す説明図である。図18と図19は、ヘッドがラスタを記録していく様子を上下二つに分割して示している。図18の下部が、図19の上部につながる。なお、上から38番目から42番目までのラスタは、図18および図19において重複して記載されている。
【0093】
図18に示すように、第2実施例の上端処理においては、3ドットづつの副走査送りを11回繰り返す。この上端処理を「第1の記録モード」とも呼ぶ。この上端処理においては、印刷ヘッド28aの#1〜#3のノズル(第4のノズル群Nra)以外のノズルは使用されない。なお、図において太枠で囲まれたノズルが、ラスタにドットを記録するノズルである。
【0094】
その後、すぐに中間処理を行うのではなく、中間処理を行う前に「移行処理」が行われる。この移行処理においては、上端処理のときと同じく3ドットづつの副走査送りが4回行われる。移行処理においては、#1〜#11のノズル(ノズル群Nra,Nia,Nha)が使用される。その後、図19に示すように、中間処理に移行して、#1〜#11のノズル(ノズル群Nra,Nia,Nha)を使用して、11ドットの定則送りが繰り返される。この中間処理を、「第2の記録モード」とも呼ぶ。
【0095】
図18において、最上段から2番目、3番目、6番目のラスタは、印刷の際の主走査においてノズルが通過しない。したがって、最上段から6番目までのラスタについては、隣り合うラスタに連続して画素を印刷することができない。第1の画像印刷モードでは、これら6本のラスタが「印刷不可領域」である。また、上から13番目や16番目のラスタのような、2以上のノズルが通過するラスタについては、最後にラスタを通過するノズルのみがドットを記録するものとする。
【0096】
第2実施例では、印刷ヘッド28上のノズルがドットを記録しうるラスタのうち、副走査方向上流の端から7番目以降のラスタ(印刷可能領域)を使用して、画像を記録することができる。よって、印刷に使用する画像データDは、副走査方向上流の端から7番目のラスタから設定する。しかし、第1実施例と同様の理由から、印刷は、印刷用紙Pの上端が副走査方向上流の端から7番目の位置にあるときではなく、23番目のラスタの位置にあるときから開始する。すなわち、印刷開始時の各ラスタに対する印刷用紙Pの上端の想定位置は、図18に示すように、副走査方向上流の端から23番目のラスタの位置である。よって、第2実施例においては、想定される印刷用紙Pの上端の位置を越えて16ラスタ分だけ画像データDが設けられる。このため、印刷用紙Pの送りに誤差が生じて印刷用紙Pが余分に送られてしまっても、その誤差が16ラスタ分以内であれば、印刷用紙Pの上端まで余白なく画像を形成することができる。
【0097】
また、第2実施例においては、想定される印刷用紙Pの上端の位置を越えて設定される16ラスタ、および上端の位置からの20ラスタはノズル#1〜#3(第4のノズル群Nra)のみで記録される。そして、ノズル#1〜#3の下方には、下流側溝部26raが設けられている。よって、印刷用紙Pの上端の想定位置をこえて(すなわち、印刷用紙が存在しない範囲に)設定された、上述の16ラスタに対してインク滴を吐出しても、プラテン26a上にインク滴を着弾させてしまうことがない。また、印刷用紙Pの送りに誤差が生じて印刷用紙Pが想定位置まで送られなかった状態で、印刷用紙Pの上端部に割り当てられたラスタに対してインク滴を吐出しても、送りの誤差が20ラスタ分以内であれば、プラテン26a上にインク滴を着弾させてしまうことがない。
【0098】
(2)第2の画像印刷モードの下端処理:
図20および図21は、第2実施例の下端処理において、各ラスタがどのノズルによってどのように記録されていくかを示す説明図である。図20においては、n+1回目以降の副走査送りについて示している。図20と図21は、ヘッドがラスタを記録していく様子を上下二つに分割して示している。図20の下部が、図21の上部につながる。なお、下から45番目から40番目までのラスタは、図20および図21において重複して記載されている。
【0099】
第1の画像印刷モードでは、図20および図21に示すように、中間処理においてn+1回目からn+3回目までの副走査送りで11ドットの定則送りを繰り返したのち、移行処理においてノズル#1〜#11(ノズル群Nra,Nia,Nha)を使用して3ドットの送りを4回繰り返す。そして、その後、下端処理において、ノズル#9〜#11(第2のノズル群Nha)のみを使用して3ドットの送りを行う。
【0100】
なお、第2実施例では、図21に示すように、印刷ヘッド28上のノズルがドットを記録しうるラスタのうち、下から7番目以上のラスタ(印刷可能領域)を使用して画像を記録することができる。しかし、第2実施例では、下から8番目以上のラスタを使用して画像を記録する。すなわち、図21の下から8番目以上のラスタが印刷領域であり、それらのラスタに対して画像データが設定される。
【0101】
また、図21において、下から13番目や16番目などのラスタは、印刷の際の主走査において2個以上のノズルが通過する。そのような、印刷において2以上のノズルが通過するラスタについては、最初にそのラスタ上を通過するノズルがドットを記録する。
【0102】
第2実施例では、印刷ヘッド28上のノズルがドットを記録しうるラスタのうち、副走査方向下流の端から7番目以上のラスタを使用して、画像を記録することができる。そして、印刷に使用する画像データDは、8番目のラスタまで設定する。しかし、第1実施例と同様の理由から、印刷は、印刷用紙Pの下端が副走査方向下流の端から8番目の位置にあるときではなく、38番目のラスタの位置にあるときに終了する。すなわち、印刷終了時の各ラスタに対する印刷用紙Pの下端の想定位置は、図21に示すように、副走査方向下流の端から38番目のラスタの位置である。よって、第2実施例においては、想定される印刷用紙Pの下端の位置を越えて30ラスタ分だけ画像データDが設けられている。このため、印刷用紙Pの送りに誤差が生じて印刷用紙Pが想定位置まで送られなくても、その誤差が30ラスタ分以内であれば、下端まで余白なく画像を形成することができる。
【0103】
また、第2実施例においては、想定される印刷用紙Pの下端の位置を越えて設定される30ラスタ、および下端の位置から上流側の20ラスタはノズル#9〜#11(第2のノズル群Nha)のみで記録される。そして、ノズル#9〜#11の下方には、上流側溝部26faが設けられている。よって、印刷用紙Pの下端の想定位置をこえて(すなわち、印刷用紙が存在しない範囲に)設定されたラスタに対してインク滴を吐出しても、プラテン26a上にインク滴を着弾させてしまうことがない。また、印刷用紙Pの送りに誤差が生じて印刷用紙Pが余分に送られてしまった状態で、印刷用紙Pの下端部に割り当てられたラスタに対してインク滴を吐出しても、送りの誤差が20ラスタ分以内であれば、プラテン26a上にインク滴を着弾させてしまうことがない。
【0104】
なお、印刷用紙Pの下端側を記録するときには、印刷用紙Pの上端側を記録したときに比べて、印刷用紙Pが長い距離を送られている。したがって、印刷用紙Pの下端側を記録する際には、印刷用紙Pの上端側を記録した際に比べて、印刷用紙Pの位置の誤差が大きくなっている可能性が高い。また、下流側紙送りローラ25dは歯車状のローラであり、下流側紙送りローラ25c,25dの組み合わせは上流側紙送りローラ25a,25bに比べて送り精度が低い。よって、この点からも上端側を記録する際の印刷用紙Pの位置の誤差よりも、下端側を記録する際の誤差の方が大きい可能性が高い。よって、第2実施例のように、印刷用紙Pの下端部において上流側溝部26fa上のノズル#9〜#11(第2のノズル群Nha)のみによって記録されるラスタの数を、印刷用紙Pの上端部において下流側溝部26ra上のノズル#1〜#3(第4のノズル群Nra)のみによって記録されるラスタの数よりも多く設定することが好ましい。そして、画像データDにおいて、印刷用紙Pの下端をこえて設定するラスタの数を、印刷用紙Pの上端をこえて設定するラスタの数よりも多く設定することが好ましい。
【0105】
(3)第2の画像印刷モード:
図22は、第2実施例の第2の画像印刷モードにおいて、各ラスタがどのノズルによってどのように記録されていくかを示す説明図である。第2の画像印刷モードにおいては、#1〜#13までのすべてのノズル(ノズル群Nra,Nia,Nha,Nfa)が使用される。図22に示すように、第2の画像印刷モードにおいては、印刷全体にわたって、13ドットの副走査送りが繰り返される。その結果、印刷用紙Pの上端と下端には、それぞれ第1の画像印刷モードに比べて広い印刷不可領域ができる。例えば、図18においては、上端側の印刷不可領域は上端から6ラスタ分であったが、図22においては、印刷不可領域は36ラスタ分である。ノズルがドットを記録しうる最下段のラスタの位置を用紙の想定下端位置とすると、この36ラスタ分(印刷不可領域)が印刷用紙Pの上端における余白となる。また、印刷可能領域についても、その上端部および下端部は特に限定されたノズルでドットを形成されるわけではない。この第2の画像印刷モードにおいては、#1〜#13までのすべてのノズルが使用されるため、限定されたノズルで印刷を行う第1の画像印刷モードに比べて、高速な印刷を実現できる。
【0106】
D.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0107】
D1.変形例1:
(1)プリンタの構成および効果:
第1実施例では、ノズル#1と#2の下方に下流側溝部26rを設け、第1の画像印刷モードにおいて、ノズル#1と#2で上端部の印刷を行った。そして、第2実施例では、同様に溝上のノズル#1〜#3で上端部の印刷を行った。しかし、印刷用紙の上端部を印刷するノズルと下流側溝部との関係はこれらに限られるものではない。例えば、ノズル列のノズル数が48個である態様において、#1〜#5の下方に下流側溝部を設けて、ノズル#1〜5(第4の部分ドット形成要素群)で上端部の印刷を行うこととしてもよい。すなわち、下流側溝部の開口上にある第4のノズル群Nr(第4の部分ドット形成要素群)を使用して印刷媒体の上端部にドットを形成するものであれば、余白なく上端部を印刷することができ、しかもプラテンを汚さないという効果を奏することができる。
【0108】
また、第1実施例では、ノズル#7と#8の下方に上流側溝部26fを設け、第1の画像印刷モードにおいて、ノズル#7と#8で下端部の印刷を行った。そして、第2実施例では、同様に溝上のノズル#9〜#11で下端部の印刷を行った。しかし、印刷用紙の下端部を印刷するノズルと上流側溝部との関係は、第1および第2実施例に示したもの限られない。例えば、ノズル列のノズル数が48個である態様において、#31〜#34の下方に上流側溝部を設けて、ノズル#31〜34(第2の部分ドット形成要素群)で下端部の印刷を行うこととしてもよい。すなわち、上流側溝部の開口上にある第2の部分ドット形成要素群を使用して印刷媒体の下端部にドットを形成するものであれば、余白なく下端部を印刷することができ、しかもプラテンを汚さないという効果を奏することができる。なお、第1から第4の各ノズル群は、それぞれ1以上のノズルを有するものであればよい。
【0109】
図23は、副走査方向に配された各ノズルの性能の違いを示したグラフである。図23(a)は、副走査方向に配された各ノズルのインク滴の吐出速度を示したグラフである。ノズルのインク滴の吐出速度Vkの設計値Vk0からのばらつきは、端のノズルほど大きい傾向にある。変形例1の場合は、中央のノズル#24の近辺のノズルについては、比較的吐出速度は設計値Vk0に近いが、副走査方向の端のノズル#1やノズル#48の近辺のノズルは比較的吐出速度の設計値Vk0からのずれが大きい。ここでは、端のノズルほどインク滴の吐出速度Vkが設計値Vk0よりも大きくなる場合を実線で示したが、一点差線で示すように、端のノズルほどインク滴の吐出速度が設計値よりも小さくなる場合もある。また、一方の端については、端のノズルほどインク滴の吐出速度が設計値よりも小さくなり、他方の端については、端のノズルほど吐出速度が大きくなる場合もある。
【0110】
また、インク滴の吐出速度のばらつきだけでなく、各ノズルからインク滴を吐出する向きのばらつきも、副走査方向の端のノズルほど大きくなる場合がある。このように、様々な理由によって、副走査方向の端のノズルほど印刷用紙上のドット形成位置のズレが大きくなる場合がある。
【0111】
図23(b)は、副走査方向に配された各ノズルから吐出されるインク滴の重量を示したグラフである。インク滴の重量Iwについても、端のノズルほど設計値Iw0からのばらつきが大きい。そのばらつきの傾向については、図23(b)において実線で示すように、端のノズルほどインク滴の重量が大きくなる場合もあり、また、一点差線で示すように、端のノズルほどインク滴の重量が小さくなる場合もある。また、一方の端については、端のノズルほどインク滴の重量が小さくなり、他方の端については、端のノズルほど重量が大きくなる場合もある。インク滴の重量がばらつくと、印刷用紙上のドットの大きさがばらつくこととなる。したがって、印刷において端部近辺のノズルを使用することで、印刷結果の品質が低下する可能性がある。
【0112】
そのような場合に、第2の画像印刷モードにおいて、ノズル群Nr,Ni,Nhのノズル(ノズル#1〜#34)のみを使用し、印刷用紙上のドット形成位置のズレが大きいノズル群Nf(ノズル#35〜#48)を使用しないこととすれば、高品質の印刷を行うことができる。
【0113】
また、端部の印刷を行う際には、印刷用紙Pの端部Pf,Prは溝上にあり支持部に支持されていない。このため、印刷用紙はわずかながら上方にふくらんだり下方に撓んだりしている可能性がある。このため、インク滴が正確に吐出されても印刷用紙上の正確な位置に着弾しない可能性がある。よって、もともとインク滴の吐出が正確に行われない場合には、印刷用紙の中央部の印刷にくらべてよりドット形成位置が大きくずれてしまう可能性がある。よって、印刷用紙の端部の印刷においては、インク滴の吐出を高精度に行う要請が、印刷用紙の中央部の印刷に比してさらに高い。この変形例1では、印刷用紙の下端部を印刷するノズル群Nhは、比較的ドット形成位置のズレが小さいノズル群である。このため、印刷用紙全体としての印刷結果の品質がより高いものとなる。
【0114】
なお、個々のノズルの印刷用紙上のドット形成位置のズレやインク滴吐出速度のズレは、図23に示したようなグラフのカーブに必ずしも一致する必要はない。すなわち、ノズル群Nr,Ni,Nhのノズルの印刷媒体上のドット形成位置の平均位置ズレが、ノズル群Nfのドット形成位置の平均位置ズレよりも小さければ、第2の画像印刷モードにおいて第1の画像印刷モードよりも高品質な印刷を行うことができる。同様に、ノズル群Nhのノズルが、ノズル群Nfのノズルよりも、インク滴の吐出速度の平均ズレ量が小さいものであれば、結果として印刷媒体上のドット形成位置の平均位置ズレ量が小さいノズルを使用して、高品質な印刷を行うことができる。
【0115】
(2)ドット形成位置のズレ量の決定:
図24は、振動板検査法の原理を示す説明図である。図24には、ドット抜け検査部42を構成する振動板42aとマイクロフォン42bも描かれている。各ノズルnに設けられたピエゾ素子PEは、ノズルnまでインクを導くインク通路80に接する位置に設置されている。ピエゾ素子PEにインク滴吐出信号が送られると、ピエゾ素子PEはインク通路80の一側壁を変形させ、インク滴Ipをノズルnの先端から吐出させる。そのインク滴Ipが振動板42aに到達すると、振動板42aが振動する。マイクロフォン42bは、この振動板42aの振動を電気信号に変換する。この電気信号と、ピエゾ素子PEに送られたインク滴吐出信号との間の時間差を求めれば、実質的に、インク滴Ipの飛翔時間tiを求めることができる。
【0116】
ドット形成位置のズレは、次のようにして計算することができる。ノズルnから振動板42aまでの距離をLsとすると、インク滴Ipの飛翔速度Vkは、次の式で計算できる。このVkを各ノズルについて並べて記録すると、図23(a)のようなグラフとなる。
【0117】
Vk=Ls/ti ・・・(1)
【0118】
図25は、インク滴を吐出するノズルの位置と、インク滴の着弾位置の関係を示す説明図である。印刷ヘッド28上のノズルnは、主走査によって図の左から右に向かって速度Vsで送られる。印刷の際のノズルnから印刷用紙Pまでの距離をLpとすると、Lpを先に求めたVkで割ることで、インク滴Ipが吐出されてから印刷用紙Pに着弾するまでの時間tpが求められる。
【0119】
tp=Lp/Vk ・・・(2)
【0120】
さらに、インク滴を吐出した時のノズルの主走査方向の位置と、インク滴の着弾位置との差Dmは、印刷ヘッド28の主走査速度Vsから、次の式で求めることができる。
【0121】
Dm=Vs×tp ・・・(3)
【0122】
印刷ヘッド28のノズルの中から基準ノズルを一つ定めて、そのノズルのインク滴の吐出位置とインク滴の着弾位置の差Dmを、Dm0とする。すると、各ノズルのドット形成位置の主走査方向のズレDdは、次の式で定められる。
【0123】
Dd=Dm−Dm0 ・・・(4)
【0124】
ノズル群のドット形成位置の平均ズレ量は、このDdをノズル群ごとに平均して求めることができる。なお、ここでは、基準となるノズルを一つ決めて、そのノズルのインク滴の吐出位置とインク滴の着弾位置の差Dmを基準値Dm0とした。しかし、Dm0は他の方法で定めることもできる。たとえば、全てのノズルまたは所定の一部のノズルのDmの平均値をDm0とすることもできる。
【0125】
また、ここでは、ドット形成位置のズレ量は、インク滴の飛翔時間から計算して求めたが、他の方法で求めることもできる。例えば、複数のノズルに、同一のタイミングでインク滴吐出信号を送る。そして、実際に印刷用紙にドットを形成させて、そのドット形成位置を測定することとしてもよい。例えば、印刷ヘッド28のノズルの中から、基準となるノズルを一つ定める。他のノズルが形成するドットの本来の位置(想定位置)は、その基準ノズルが形成したドットの位置から設計値に基づいて求められるはずである。その想定位置と実際のドットの位置とのズレを、主走査方向および副走査方向について測定して、ドット形成位置のズレ量を求めることができる。この場合、光学センサで各ドットの位置を自動的に読みとることが好ましい。
【0126】
各ノズル群のドット形成位置ズレの平均を求めて大小を評価する際には、ドットの想定位置と実際の位置の距離Dを基準とすることができる。主走査方向のドット形成位置ズレ量をDdとし、副走査方向のドット形成位置ズレ量をDeとしたとき、ドットの想定位置と実際の位置の距離Dは次の式で定めることができる。
【0127】
D=(Dd2+De21/2 ・・・(5)
【0128】
このような態様においては、主走査方向のドット形成位置ズレだけでなく、副走査方向のドット形成位置ずれも考慮することができる。ただし、実際にプリンタにドットを形成させてドットの形成位置を測定してズレ量を評価する場合にも、主走査方向または副走査方向のいずれか一方のズレのみを基準とすることもできる。
【0129】
D2.変形例2:
図26は、変形例2のインクジェットプリンタの印刷ヘッドの周辺の構造を示す側面図である。変形例2のプリンタでは、印刷ヘッド上のノズルは、副走査方向の下流から順に、第5のノズル群Ns(ノズル#1〜#14),第4のノズル群Nr(ノズル#15〜#18),第3のノズル群Ni(ノズル#19〜#30),第2のノズル群Nh(ノズル#31〜#34),第1のノズル群Nf(ノズル#35〜#48)に分けられる。ノズル群Nfと向かい合う位置には上流側支持部26sfが設けられており、ノズル群Nhと向かい合う位置には上流側溝部26fが設けられており、ノズル群Niと向かい合う位置には中央支持部26cが設けられている。そして、ノズル群Nrと向かい合う位置には下流側溝部26rが設けられており、ノズル群Nsと向かい合う位置には下流側支持部26srが設けられている。端部に余白なく印刷を行う第2の画像印刷モードにおいては、上流側支持部26sfと向かい合うノズル群Nfだけでなく、下流側支持部26srと向かい合うノズル群Nsも使用されない。他の点は変形例1のプリンタと同様である。
【0131】
図27は、副走査方向に配された各ノズルの性能の違いを示したグラフである。図27(a)は、各ノズルのインク滴の吐出速度を示したグラフである。図27(b)は、各ノズルのインク滴の重量を示したグラフである。図27(a)に示すように、変形例2のプリンタも、副走査方向の端のノズルほどインク滴の吐出速度Vkの設計値Vk0からのズレが大きい。このため、端のノズルほどドット形成位置のズレ量も大きい。また、図27(b)に示すように、副走査方向の端のノズルほど、インク滴の重量Iwの設計値Iw0からのズレが大きい。このため、端のノズルほどドットの大きさのずれが大きい。
【0132】
変形例2のプリンタは、下流側溝部26rも、上流側溝部26fと同様により副走査方向中央に近いノズルと対向する位置に設けている。そして、図27(a),(b)に示すように、第2の画像印刷モードにおいては、下流側溝部26rに向かい合うノズル群Nrから上流側溝部26fと向かい合うノズル群Nhにかけての、比較的ドット形成位置のズレ量が小さく、ドットの大きさのずれも小さいノズルのみを使用する。このため、第2の画像印刷モードにおいては、高品質な印刷を行うことができる。一方で、第1の画像印刷モードにおいては、ノズル群Ni,Nh,Nfに加えてノズル群Nf,Nsも使用して、高速な印刷を行うことができる。
【0133】
D3.変形例3:
第1実施例の第1の画像印刷モードでは、上端処理と下端処理では1ドットづつの定則送りを行い、第2実施例の第1の画像印刷モードでは3ドットづつの送りの定則送りを行った。しかし、上端処理と下端処理の送りはこれに限られるものではなく、ノズル列中のノズル数やノズルピッチに応じて、2ドットや4ドットの定則送りとすることもできる。また、変則送りを採用することも可能である。すなわち、最大の副走査送り量が中間処理における最大の副走査送り量よりも小さいものであれば、他の送り方法であってもよい。ただし、上端処理の副走査送りの送り量が小さいほど、より副走査方向の下流側のノズルで印刷用紙の上端を記録することができる。そのため、より下流側溝部を狭くすることができ、印刷用紙を支えるプラテン上面を広く取ることができる。同様に、下端処理の副走査送りの送り量が小さいほど、より上流側のノズルで印刷用紙の上端を記録することができる。そのため、より上流側溝部を狭くすることができ、印刷用紙を支えるプラテン中央部の上面を広く取ることができる。
【0134】
また、第1の画像印刷モードの中間処理における送りも、実施例に示したような5ドット、2ドット、3ドット、6ドットの送りをその順に繰り返す変則送りや、11ドットの定則送りに限られるものではない。例えば、第1実施例に示した構成において、5ドット、3ドット、2ドット、6ドット送りとしてもよい。また、ノズル数、ノズルピッチなどに応じて他の送り量の組み合わせを採用することもでき、他の送り量の定則送りを実施することとしてもよい。すなわち、最大の副走査送り量が上端処理か下端端処理における最大の副走査送り量よりも大きいものであれば、どのような副走査送りを行ってもよい。
【0135】
D4.変形例4:
上記実施例では、印刷用紙の端を超えて設定される画像は、第1実施例においては上端側および下端側とも2ラスタ分であり、第2実施例においては上端側が16ラスタ、下端側が30ラスタであった。しかし、印刷用紙の端を超えて設定される画像の大きさは、これに限られるものではない。例えば、印刷用紙Pの上端Pfを超えて印刷用紙Pの外側ま設定する画像データDの部分の幅は、下流側溝部26rの幅の1/2相当分とすることができる。同様に、印刷用紙Pの下端Prを超えて印刷用紙Pの外側ま設定する画像データDの部分の幅は、上流側溝部26fの幅の1/2相当分とすることができる。すなわち、印刷用紙の端を超えて印刷用紙の外側まで設定する画像データの部分の幅は、上端側については、下流側溝部26rの幅よりも小さければよく、下端側については、上流側溝部26fの幅よりも小さければよい。そのようにすれば、印刷用紙Pの端が想定した位置にない場合にも、印刷用紙Pを超えて設定した画像を記録するためのインク滴Ipが、プラテン26上面に着弾してしまうことがない。ただし、溝部の幅の1/2とすれば、印刷用紙Pが上流側にずれる場合についても下流側にずれる場合についても、同程度のずれ量を許容することができる。
【0136】
D5.変形例5:
この発明はカラー印刷だけでなくモノクロ印刷にも適用できる。また、この発明は、インクジェットプリンタのみでなく、一般に、複数のドット形成要素アレイを有する記録ヘッドを用いて記録媒体の表面に記録を行うドット記録装置に適用することができる。ここで、「ドット形成要素」とは、インクジェットプリンタにおけるインクノズルのように、ドットを形成するための構成要素を意味する。
【0137】
D6.変形例6:
上記実施例において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。例えば、CPU41(図3)の機能の一部をホストコンピュータ90が実行するようにすることもできる。
【0138】
このような機能を実現するコンピュータプログラムは、フロッピディスクやCD−ROM等の、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録された形態で提供される。ホストコンピュータ90は、その記録媒体からコンピュータプログラムを読み取って内部記憶装置または外部記憶装置に転送する。あるいは、通信経路を介してプログラム供給装置からホストコンピュータ90にコンピュータプログラムを供給するようにしてもよい。コンピュータプログラムの機能を実現する時には、内部記憶装置に格納されたコンピュータプログラムがホストコンピュータ90のマイクロプロセッサによって実行される。また、記録媒体に記録されたコンピュータプログラムをホストコンピュータ90が直接実行するようにしてもよい。
【0139】
この明細書において、ホストコンピュータ90とは、ハードウェア装置とオペレーションシステムとを含む概念であり、オペレーションシステムの制御の下で動作するハードウェア装置を意味している。コンピュータプログラムは、このようなホストコンピュータ90に、上述の各部の機能を実現させる。なお、上述の機能の一部は、アプリケーションプログラムでなく、オペレーションシステムによって実現されていても良い。
【0140】
なお、この発明において、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスクやCD−ROMのような携帯型の記録媒体に限らず、各種のRAMやROM等のコンピュータ内の内部記憶装置や、ハードディスク等のコンピュータに固定されている外部記憶装置も含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態におけるインクジェットプリンタの印刷ヘッドの周辺の構造を示す側面図。
【図2】本印刷装置のソフトウェアの構成を示すブロック図。
【図3】プリンタ22の概略構成を示す説明図。
【図4】印刷ヘッド28におけるインクジェットノズルNの配列の例を示す説明図。
【図5】プラテン26の周辺を示す平面図。
【図6】印刷処理の手順を示すフローチャート。
【図7】第1の画像印刷モードにおける画像データDと印刷用紙Pとの関係を示す平面図。
【図8】第2の画像印刷モードにおける画像データD2と印刷用紙Pとの関係を示す平面図。
【図9】印刷用紙Pの前端Pfがプラテン26上に送られてくるときの状態を示す説明図。
【図10】比較例のプリンタにおいて、印刷用紙Pの前端Pfがプラテン26上に送られてくるときの状態を示す説明図。
【図11】印刷用紙の上端(先端)近傍において、各ラスタがどのノズルによってどのように記録されていくかを示す説明図。
【図12】印刷開始時の印刷ヘッド28と印刷用紙Pの関係を示す側面図。
【図13】下端処理において、各ラスタがどのノズルによってどのように記録されていくかを示す説明図。
【図14】印刷用紙Pの下端部Prの印刷をする際の上流側溝部26fと印刷用紙Pの関係を示す平面図。
【図15】印刷用紙の最下端の印刷をする際の印刷ヘッド28と印刷用紙Pの関係を示す側面図。
【図16】第2の画像印刷モードにおいて、各ラスタがどのノズルによってどのように記録されていくかを示す説明図。
【図17】第2実施例における印刷ヘッド28aと上流側溝部26faおよび下流側溝部26raの関係を示す側面図。
【図18】第2実施例の上端処理において、各ラスタがどのノズルによってどのように記録されていくかを示す説明図。
【図19】第2実施例の上端処理に続く移行処理および中間処理において、各ラスタがどのノズルによってどのように記録されていくかを示す説明図。
【図20】第2実施例の下端処理に先立つ移行処理および下端処理において、各ラスタがどのノズルによってどのように記録されていくかを示す説明図。
【図21】第2実施例の下端処理において、各ラスタがどのノズルによってどのように記録されていくかを示す説明図。
【図22】第2実施例の第2の画像印刷モードにおいて、各ラスタがどのノズルによってどのように記録されていくかを示す説明図。
【図23】副走査方向に配された各ノズルの性能の違いを示したグラフ。
【図24】振動板検査法の原理を示す説明図。
【図25】インク滴を吐出するノズルの位置と、インク滴の着弾位置の関係を示す説明図。
【図26】変形例2のインクジェットプリンタの印刷ヘッドの周辺の構造を示す側面図。
【図27】副走査方向に配された各ノズルの性能の違いを示したグラフ。
【図28】従来のプリンタの印刷ヘッドの周辺を示す側面図。
【符号の説明】
12…スキャナ
13…マウス
14…キーボード
21…CRT
22…プリンタ
23…紙送りモータ
24…キャリッジモータ
25a,25b…上流側紙送りローラ
25c,25d…下流側紙送りローラ
25p,25q…上流側紙送りローラ
25r,25s…下流側紙送りローラ
26,26a…プラテン
26c,26ca…中央支持部
26f,26fa,26fc1,26fo…上流側溝部
26o…プラテン
26r,26ra…下流側溝部
26sc1…一部
26sf…上流側支持部
26sr…下流側支持部
27f,27r…吸収部材
28,28a,28o…印刷ヘッド
31…キャリッジ
32…操作パネル
34…摺動軸
36…駆動ベルト
38…プーリ
39…位置検出センサ
40…制御回路
41…CPU
41d…第1の画像印刷部
41e…第2の制御部
41f…上端印刷部
41g…中間印刷部
41h…下端印刷部
42…PROM
43…RAM
44…駆動用バッファ
45…PCインタフェース
61〜66…インク吐出用ヘッド
71…ブラックインク用カートリッジ
72…カラーインク用カートリッジ
90…ホストコンピュータ
91…ビデオドライバ
95…アプリケーションプログラム
96…プリンタドライバ
97…解像度変換モジュール
98…色補正モジュール
99…ハーフトーンモジュール
100…ラスタライザ
A…矢印
CVk…インク滴の吐出速度ベクトルと主走査の速度ベクトルの合成速度ベクトル
D…画像データ
D2…画像データ
Dm…インク滴を吐出した時のノズルの主走査方向の位置と、インク滴の着弾位置との差
DT…ドット形成パターンテーブル
Ip…インク滴
Ls…ノズルnから振動板42aまでの距離
Lp…ノズルnから印刷用紙Pまでの距離
LUT…色補正テーブル
N,n…インクジェットノズル
Nf,Nfa…第1のノズル群
Nh,Nha…第2のノズル群
Ni,Nia…第3のノズル群
Nr,Nra…第4のノズル群
Ns…第5のノズル群
ORG…原カラー画像データ
P…印刷用紙
PE…ピエゾ素子
PD…印刷データ
Pf…印刷用紙の上端(部)
Pr…印刷用紙の下端(部)
R26…プラテンの中央支持部の範囲
Vk…インク滴の吐出速度
Vk0…インク滴の吐出速度の設計値
Vs…主走査の速度
k…ノズルピッチ

Claims (2)

  1. インク滴を吐出する複数のドット形成要素が設けられたドット記録ヘッドを用いて印刷媒体ドットの記録を行うドット記録装置において、前記ドット記録ヘッドと前記印刷媒体の少なくとも一方を移動させて主走査を行い、前記複数のドット形成要素のうちの少なくとも一部を駆動してドットの形成を行い、前記印刷媒体を前記主走査の方向と交わる方向に移動させて副走査を行い、前記印刷媒体の前記副走査の方向の端部について余白なくドットの記録を行うドット記録方法であって、
    前記ドット記録装置は、
    前記副走査の方向について、前記複数のドット形成要素よりも上流の位置において前記印刷媒体を支持する上流側支持部と、
    前記副走査の方向について、前記複数のドット形成要素よりも下流の位置において前記上流側支持部とは離れて設けられ、前記印刷媒体を支持する下流側支持部と、
    前記副走査の方向について前記上流側支持部と前記下流側支持部との間の位置において前記印刷媒体を介して前記複数のドット形成要素の一部に対向する位置で前記印刷媒体を支持可能な支持部と、を有しており、
    前記ドット記録方法は、
    前記上流側支持部と前記中支持部とで前記印刷媒体を支持し、前記副走査の方向について、前記印刷媒体の下流側の端部が、前記中央支持部より下流で、かつ、前記複数のドット形成要素のうち下流側の端のドット形成要素より上流に位置するように、前記印刷媒体を配置して、前記印刷媒体の下流側の端部にドットを形成する工程を備える、ドット記録方法。
  2. インク滴を吐出する複数のドット形成要素が設けられたドット記録ヘッドを用いて印刷媒体ドットの記録を行うドット記録装置において、前記ドット記録ヘッドと前記印刷媒体の少なくとも一方を移動させて主走査を行い、前記複数のドット形成要素のうちの少なくとも一部を駆動してドットの形成を行い、前記印刷媒体を前記主走査の方向と交わる方向に移動させて副走査を行い、前記印刷媒体の前記副走査の方向の端部について余白なくドットの記録を行うドット記録方法であって、
    前記ドット記録装置は、
    前記副走査の方向について、前記複数のドット形成要素よりも上流の位置において前記印刷媒体を支持する上流側支持部と、
    前記副走査の方向について、前記複数のドット形成要素よりも下流の位置において前記上流側支持部とは離れて設けられ、前記印刷媒体を支持する下流側支持部と、
    前記副走査の方向について前記上流側支持部と前記下流側支持部との間の位置において前記印刷媒体を介して前記複数のドット形成要素の一部に対向する位置で前記印刷媒体を支持可能な支持部と、を有しており、
    前記ドット記録方法は、
    前記下流側支持部と前記中央支持部とで前記印刷媒体を支持し、前記副走査の方向について、前記印刷媒体の上流側の端部が、前記中央支持部より上流で、かつ、前記複数のドット形成要素のうち上流側の端のドット形成要素より下流に位置するように、前記印刷媒体を配置して、前記印刷媒体の上流側の端部にドットを形成する工程を備える、ドット記録方法。
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