JP4369539B2 - キナクリドン固溶体の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
本発明は、キナクリドンの固溶体の新規な製造方法に関する。更に詳細には、酸化剤として過酸化水素を用いた、水性塩基性アルコール系中の微細に分割した6,13−ジヒドロキナクリドン塩の酸化による、キナクリドン及び6,13−ジヒドロキナクリドンを含むキナクリドン固溶体の新規な製造方法、並びに赤色高性能有機顔料としてのこの固溶体の用途に関する。
【0002】
ある条件下では、優れた性質を有する2つ以上のキナクリドン顔料の固溶体が得られることが知られている。このような固溶体は、例えば、US-3,160,510、US-3,298,847、US-3,647,494及びUS-3,681,100に記載されている。
【0003】
多くのプロセスが、例えば、m−ニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム塩のようなニトロベンゼン誘導体、セレン、硫黄、ヨウ素、酸素又は空気のような種々の酸化剤での酸化による、6,13−ジヒドロキナクリドンから出発するキナクリドンの調製を記載している。別の方法では、キナクリドンは、ポリリン酸中の2,5−ジフェニルアミノテレフタル酸の環化により得られる。これらの方法は、一般に大量の有機溶媒、強塩基又は強酸を必要とするため、環境に優しくない。更に、これらは、しばしば、還元された有機副生物類のような大量の廃棄物を与える、環境に優しくない酸化剤を利用する。
【0004】
本発明は、酸化剤として過酸化水素を用いた水性塩基性アルコール媒体中でのの6,13−ジヒドロキナクリドンの酸化による、式(I):
【0005】
【化3】
Figure 0004369539
【0006】
を有するよく知られている顔料のキナクリドン(5,12−ジヒドロキノ〔2,3−b〕アクリジン−7,14−ジオンとも呼ばれる)及び式(II):
【0007】
【化4】
Figure 0004369539
【0008】
で示される6,13−ジヒドロキナクリドンを含むことを特徴とする固溶体の調製方法、並びに赤色高性能有機顔料としてのこの固溶体の用途を記載する。
【0009】
キナクリドンは、3つの主な多形の形態として存在することが知られている:α型(US-2,844,484に開示されている);γ型(US-2,844,581及びUS-2,969,366に開示されている);及びβ型(US-2,844,485及びUS-4,857,646に記載されている)。α及びγ多形は、赤色顔料類であるが、一方β多形は、バイオレット〜マゼンタの色相を有する。
【0010】
γ多形自体は、3つの形態:帯青赤色のγII型(US-2,844,581に開示されている)、及びγI及びγIII型と命名される2つの帯黄赤色型(各々US-3,074,950及びUS-5,233,624に開示されている)で存在することが知られている。
【0011】
3つのγ型のキナクリドンの各々は、別個のX線回折パターンを有する。帯青赤色のγII型は、6.6、13.9及び26.3に3つの強い線;13.2、13.4、23.6、25.2及び28.3に5つの中程度の線;並びに17.1及び20.4°の2θ(2倍伏角)に2つの弱い線を有するX線回折パターンを示す。帯黄赤色のγI型は、6.6、13.9及び26.5に3つの強い線;13.2、13.5及び23.8に中程度の強度の3つの線;並びに17.1、20.5、25.2及び28.6°の2θ(2倍伏角)に4つの弱い線を有するX線回折パターンを示す。帯黄赤色のγIII型は、6.7、13.3、14.0及び26.6に4つの強い線;13.6に1つの中程度の線;並びに17.2、20.6、21.9、24.0、25.3、28.1及び28.8°の2θ(2倍伏角)に7つの比較的弱い線を有するX線回折パターンを示す。
【0012】
幾つかのプロセスは、例えば、粗生成キナクリドンから出発し、粉砕し、次にある種の有機溶媒中で再結晶するか、又は例えば、塩基性DMSO若しくはポリリン酸からの沈殿のような沈殿法を用いる、γキナクリドン顔料の調製に関して記載されている。
【0013】
本発明は、6,13−ジヒドロキナクリドン塩の特別な形態が酸化剤の添加の前に生成されるならば、キノン触媒の存在下で、過酸化水素を酸化剤として用いた、水性塩基性アルコール媒体中の6,13−ジヒドロキナクリドンの酸化により、γIキナクリドンの結晶構造を有する高彩度キナクリドン/6,13−ジヒドロキナクリドン固溶体が得られることの発見に基づいている。更には、γIIキナクリドンの結晶構造を有する高度に飽和した不透明なキナクリドン/6,13−ジヒドロキナクリドン固溶体が、過酸化水素の添加の前に触媒量の芳香族ニトロ化合物を加えるならば、実質的に同じプロセスにより調製できることも発見された。
【0014】
即ち、異なる色相を有する2つの異なるキナクリドン高性能顔料が、事実上同様の環境に優しい経路により調製することができるため、本発明の方法は有用である。本発明の方法は、また、一貫した生成物を入手するための制御が容易であり、かつ製造用の高価な粉砕及び合成装置を必要としない、単一ポット(single
pot)法である。
【0015】
本発明は、γI又はγII結晶形のキナクリドン/6,13−ジヒドロキナクリドン固溶体顔料の調製方法に関し、この方法は、
(a)大粒度6,13−ジヒドロキナクリドン塩を調製し、
(b)大粒度6,13−ジヒドロキナクリドン塩を小粒度6,13−ジヒドロキナクリドン塩に変換し、
(c)γII結晶形を目的とするならば、場合により、触媒有効量の芳香族ニトロ化合物を加え、
(d)有効触媒量のキノン触媒の存在下で過酸化水素の添加により、小粒度6,13−ジヒドロキナクリドン塩を酸化し、そして
(e)γI又はγIIキナクリドン/6,13−ジヒドロキナクリドン固溶体顔料を単離することを特徴とする。
【0016】
式(II)の6,13−ジヒドロキナクリドン出発物質は、その調製方法と同様にキナクリドン顔料の分野でよく知られている。
【0017】
「固溶体」という表現は、個々の成分のX線回折パターンの合計とは異なるX線回折パターンを有する顔料組成物を意味するとして本出願では使用される。即ち、固溶体という表現は、「ゲスト−ホスト」固溶体(1つの成分顔料のX線回折パターンを有する)、及び「固体混合物(solid compounds)」又は「混晶」(個々の成分のいずれのX線回折パターンとも異なり、また個々の成分のX線回折パターンの合計とも異なるX線回折パターンを有する)を含む。
【0018】
一般に、キナクリドン/6,13−ジヒドロキナクリドン固溶体は、そのγI結晶形では約25重量%までの6,13−ジヒドロキナクリドンを含有し、そしてキナクリドン/6,13−ジヒドロキナクリドン固溶体は、そのγII結晶形では約15重量%までの6,13−ジヒドロキナクリドンを含有する。得られた固溶体は、各々γI及びγIIキナクリドンのピークに実質的に対応するピークのX線回折パターンを有する。しかしながら、ピークの位置は、わずかにシフトしていることもある。このような固溶体は、固体混合物として文献に報告されている。
【0019】
通常、本発明により調製されるγI結晶相のキナクリドン/6,13−ジヒドロキナクリドン固溶体は、キナクリドンと6,13−ジヒドロキナクリドンを合わせた重量に基づき、約75〜95重量%、好ましくは78〜94重量%、そして最も好ましくは80〜92重量%のキナクリドン、及び5〜25重量%、好ましくは6〜22重量%、そして最も好ましくは8〜20重量%の6,13−ジヒドロキナクリドンを含有する。これとは対照的に、本発明により調製されるγII結晶相のキナクリドン/6,13−ジヒドロキナクリドン固溶体は、キナクリドンと6,13−ジヒドロキナクリドンを合わせた重量に基づき、通常約85〜98重量%、好ましくは90〜98重量%、そして最も好ましくは93〜98重量%のキナクリドン、及び2〜15重量%、好ましくは2〜10重量%、そして最も好ましくは2〜7重量%の6,13−ジヒドロキナクリドンを含有する。
【0020】
即ち、本発明は、固溶体の形態のγI又はγIIキナクリドンを提供するプロセスに関し、ここで、γIキナクリドン/6,13−ジヒドロキナクリドン固溶体は、6.6±0.2、13.9±0.2及び26.5±0.2の強い線;13.2±0.2、13.5±0.2、23.8±0.2、25.2±0.2及び28.6±0.2の中程度の線;並びに17.1±0.2及び20.5±0.2度の2θ(2倍伏角)(ここで、13.2及び13.5度の2θ(2倍伏角)のピークは、重複ピークとして現れることもある)を特徴とするX線回折パターンを有し、そしてγIIキナクリドン/6,13−ジヒドロキナクリドン固溶体は、6.6±0.2、13.9±0.2及び26.3±0.2の強い線;13.2±0.2、13.4±0.2、25.2±0.2、23.6±0.2及び28.3±0.2の中程度の線;並びに17.1±0.2及び20.4±0.2度の2θ(2倍伏角)(しかしここで、13.2及び13.4度の2θ(2倍伏角)のピークは、しばしば13.3度の2θ(2倍伏角)の重複ピークとして現れる)を特徴とするX線回折パターンを有する。
【0021】
本発明の方法により調製されるキナクリドン/6,13−ジヒドロキナクリドン固溶体顔料は、一般に多形として均質であり、このことは、本生成物が、非置換キナクリドンの他の結晶形を実質的に含まないことを意味している。
【0022】
有利には、式(II)の6,13−ジヒドロキナクリドンの塩は、モノ−若しくはジアルカリ金属塩又はその混合物である。ジアルカリ金属塩、詳細には、二ナトリウム及び/又は二カリウム塩が好適であり、そして最も好適な塩は、二ナトリウム塩である。
【0023】
6,13−ジヒドロキナクリドン塩は、例えば、塩基性媒体(例えば、水とアルコールの塩基性混合物)中の6,13−ジヒドロキナクリドンを約30℃以上の温度、好ましくは40〜60℃、そして最も好ましくは50℃〜対応する還流温度の間で、5分〜3時間、好ましくは20分〜2時間撹拌することにより調製される。
【0024】
6,13−ジヒドロキナクリドン塩の結晶状態が、生じるキナクリドン最終生成物の結晶相に大きな影響を及ぼすことが見い出された。本発明の方法において、6,13−ジヒドロキナクリドン塩は、例えば、塩基性媒体(例えば、水とアルコールの塩基性混合物)中の6,13−ジヒドロキナクリドンを約30℃以上、好ましくは40〜60℃で、5分〜2.5時間、好ましくは20分〜1.5時間撹拌することにより生成し、斜方晶形及び25μmまでの比較的大粒度を有する6,13−ジヒドロキナクリドンが得られる。
【0025】
得られた6,13−ジヒドロキナクリドン塩は、酸、好ましくは無機酸(例えば、塩酸又はリン酸)、そして最も好ましくは硫酸の添加により活性化される。
【0026】
この酸の量及びその濃度は、両方とも重要である。一般に、この酸は、濃縮した形態で加えられる。使用量は、6,13−ジヒドロキナクリドンのモノ−又は好ましくはジアルカリ金属塩を生成するのに使用される塩基の過剰分のほんの一部を中和するのに充分な量である。有利には、次に反応混合物を、濃酸の添加後、6,13−ジヒドロキナクリドン100重量部に基づき、水30〜150、好ましくは80〜130重量部で直ちに希釈する。次に得られた反応混合物を、好ましくは還流しながら30分〜1.5時間撹拌する。この手順により、大粒度6,13−ジヒドロキナクリドン塩は、約0.05〜2μmの粒度を有する小粒度6,13−ジヒドロキナクリドン塩に変換される。
【0027】
6,13−ジヒドロキナクリドンの塩を形成することができる任意の塩基を反応媒体中で使用することができる。好ましくは、この塩基は、水酸化カリウム若しくはナトリウム又はその混合物のような、アルカリ金属水酸化物である。
【0028】
6,13−ジヒドロキナクリドンに対する塩基のモル比は、6,13−ジヒドロキナクリドン1モル当たり、好ましくは塩基2.2〜4モルである。有利には、反応媒体は、6,13−ジヒドロキナクリドン1モル当たり塩基2.3〜3モルを含有する。
【0029】
濃厚酸、好ましくは硫酸は、当初存在した塩基の少なくとも20%を中和するのに充分な量で使用される。好ましくは、6,13−ジヒドロキナクリドン1モル当たり塩基2モルを超える塩基の過剰分を中和するのに少なくとも充分な量で使用される。有利には、6,13−ジヒドロキナクリドン1モル当たり塩基1.5〜2モルの間に塩基の量を調整するのに充分な量で使用される。
【0030】
6,13−ジヒドロキナクリドン塩の生成及び活性化は、容易に観察することができる。変換は、光学顕微鏡下で、6,13−ジヒドロキナクリドン塩結晶の結晶形と粒度の形成と変化を容易に追跡することができる。
【0031】
一般に、酸化は、実質的に6,13−ジヒドロキナクリドン、触媒、塩基及び適切な液相(ここに過酸化水素の水溶液が加えられる)からなるスラリーを合わせることにより得られる反応媒体中で行われる。
【0032】
一般に、適切な液相は、酸化反応を促進し、かつ過酸化水素酸化剤と顕著には反応しない任意の液体媒体である。
【0033】
有利には、液相は、6,13−ジヒドロキナクリドン100部当たり、水150〜500部、好ましくは200〜350部、及びアルコール250〜750部、好ましくは300〜600部を含有する、アルコールと水との混合物である(部は、液相として重量部である)。
【0034】
アルコールは、例えば、C1−C8アルキル−アルコール、好ましくはC1−C3アルキル−アルコール、特にメタノールである。反応媒体は、好ましくは他の有機溶媒を実質的に含まない。しかし、反応媒体中の有機溶媒は、6,13−ジヒドロキナクリドン塩生成又は酸化反応を妨害しない限り許容される。
【0035】
安全上の理由により、及び副反応の可能性を回避するため、更には制御が容易なプロセスのために、本酸化反応は、好ましくは不活性ガス流(例えば、窒素流)下で行われる。
【0036】
好適なプロセスにおいて、γI又はγIIキナクリドン/6,13−ジヒドロキナクリドン固溶体への酸化は、過酸化水素酸化剤の水性溶液を、5分〜8時間の時間間隔にわたり約50℃〜約100℃の温度で、好ましくは30分〜6時間にわたり60℃以上の温度、好ましくは約70℃、そして最も好ましくは還流温度で、水性アルコールと触媒の塩基性混合物中の6,13−ジヒドロキナクリドンのスラリーに加え、次に場合により、酸化を終了して顔料の再結晶を促進するための時間、撹拌しながら高温で反応媒体を維持することにより行われる。
【0037】
過酸化水素の添加後、更に好ましくは、50℃以上の温度、最も好ましくは還流温度で、5分〜5時間、特に10分〜2時間、場合により加圧下で、反応媒体を維持する。次に顔料は、濾過、アルコール又は温水による洗浄及び乾燥により単離される。塩基及びアルコールは、濾液から容易に再生することができる。有利には、反応媒体及び洗浄のために同じアルコールを使用する。
【0038】
過酸化水素の水溶液は、一般に過酸化水素1〜50重量%、好ましくは5〜30重量%、そして最も好ましくは10〜25重量%を含有する。
【0039】
過酸化水素による、6,13−ジヒドロキナクリドン塩の対応するキナクリドン/6,13−ジヒドロキナクリドン固溶体への酸化は、灰色から赤色への反応混合物の色変化により視覚的に追跡される。
【0040】
有利には、小過剰の過酸化水素を使用する。モル比は、例えば、6,13−ジヒドロキナクリドン1モル当たり、好ましくは過酸化水素1.1〜5モル、更に好ましくは1.2〜3.5モルである。
【0041】
酸化工程の間の酸化促進触媒の存在は、キナクリドンの収量を上昇させる。更には、上述の酸化条件下の触媒の存在により、実質的にキナクリドンキノンを含まないキナクリドン生成物が得られる。典型的には、キナクリドン固溶体生成物は、キナクリドンキノン2.5重量%未満を含有する。しかし、生成物中の少量のキナクリドン−キノンは、その存在が最終キナクリドン顔料の飽和度を実質的に低下させない限り許容される。
【0042】
本反応条件下の6,13−ジヒドロキナクリドンの酸化を触媒することができる任意の化合物は、触媒として使用することができる。本発明の方法に使用するのに特に適切な触媒は、例えば、6,13−ジヒドロキナクリドンのキナクリドンへの空気酸化に使用されるキノン化合物である。このようなキノン触媒は、当該分野でよく知られている。詳細には、適切な触媒は、アントラキノン化合物、特にアントラキノン、及びアントラキノン−2,6−ジスルホン酸若しくは好ましくはアントラキノン−2−スルホン酸、又はその塩(特にナトリウム又はカリウム塩)のようなアントラキノンスルホン酸誘導体を含む。アントラキノン−2−スルホン酸のナトリウム又はカリウム塩は、特に好適である。キノン触媒は、酸化反応を触媒するのに有効な量、例えば、6,13−ジヒドロキナクリドンの重量の0.005〜0.1倍、そして最も好ましくは6,13−ジヒドロキナクリドンの重量の0.01〜0.05倍で反応媒体中に存在する。
【0043】
予期せぬことに、ニトロベンゼン又はその誘導体、例えば、ニトロフェノール、ニトロ安息香酸及び特にニトロベンゼンスルホン酸、又はその塩、特にm−ニトロベンゼンスルホン酸のような、芳香族ニトロ化合物は、触媒として作用し、そしてキノン触媒と組合せて使用すると、キナクリドンの収量を増大させうることが発見された。
【0044】
驚くべきことに、芳香族ニトロ化合物の存在は、また、得られるキナクリドン/6,13−ジヒドロキナクリドン固溶体の結晶相をγII型とする。
【0045】
芳香族ニトロ化合物は、キナクリドンのγII型への変換を誘導するのに有効な量、例えば、6,13−ジヒドロキナクリドンの重量の0.004〜0.04倍、そして最も好ましくは6,13−ジヒドロキナクリドンの重量の0.01〜0.03倍で反応媒体中に存在するとよい。
【0046】
芳香族ニトロ化合物の添加後で、かつキノン触媒及び過酸化水素の添加の前に、有利には、反応媒体を還流下で3〜15分間、特に5〜10分間撹拌する。
【0047】
本発明を何ら特定の理論に限定するわけではないが、芳香族ニトロ化合物が、少量の6,13−ジヒドロキナクリドンを酸化して、過酸化水素の緩やかな添加による連続酸化の間に種晶として作用しうるγIIキナクリドン結晶が得られると考えられる。また、キノン触媒は、6,13−ジヒドロキナクリドンを酸化するために作用し、そしてそれ自体が対応するロイコ化合物に還元され、次に過酸化水素により再生すると考えられる。
【0048】
液相の組成、再結晶時間及び温度により、透明な小粒度又は不透明な大粒度のキナクリドン顔料が生成する。低温と短時間は、小粒度の透明生成物に都合がよく、一方高温と長時間は、大粒度の不透明生成物に都合がよい。
【0049】
この点に関して、有利には、水性塩基、好ましくは水酸化ナトリウムを、酸化剤の添加の間に、又は特に高度の結晶化度若しくは大粒度の不透明型の本発明のγI若しくはγIIキナクリドン固溶体の形成に特に都合のよい添加の終了直後に、反応混合物に連続的に加えることができる。添加される塩基の量は、6,13−ジヒドロキナクリドン塩1モル当たり、好ましくは0.1〜1.0モルである。
【0050】
更に、酸化されたキナクリドン/6,13−ジヒドロキナクリドン固溶体顔料の粒度を制御するための、工程(a)又は工程(b)の6,13−ジヒドロキナクリドン塩生成の前又は後の粒子成長阻害剤(particle growth inhibitor)の添加は、各々そのγI若しくはγII結晶形のキナクリドン/6,13−ジヒドロキナクリドン固溶体の生成、又は酸化反応を妨害しない限り許容される。
【0051】
抗凝集剤(antiflocculating)又はレオロジー改善剤としても知られている粒子成長阻害剤は、よく知られている。適切な粒子成長阻害剤は、例えば、フタルイミドメチル−キナクリドン、イミダゾリルメチルキナクリドン、ピラゾリルメチルキナクリドン、キナクリドンスルホン酸及びその塩、例えば、アルミニウム塩、又は1,4−ジケト−3,6−ジフェニルピロロ〔3,4−c〕ピロールスルホン酸及びその塩を含む。
【0052】
最適な効果を達成するために、粒子成長阻害剤は、6,13−ジヒドロキナクリドンに基づき0.05〜8%、好ましくは0.1〜5%の量で、好ましくは6,13−ジヒドロキナクリドン塩形成の前に加える。
【0053】
更には、他の置換キナクリドン、例えば、2,9−若しくは4,11−ジクロロキナクリドン、2,9−ジメチルキナクリドン又は2,9−ジメトキシキナクリドンの存在は、各々γI又はγII結晶形のキナクリドン/6,13−ジヒドロキナクリドン固溶体の形成を妨害しない限り許容される。好ましくは、置換キナクリドンは、対応する6,13−ジヒドロキナクリドン誘導体から生成される。これらは、好ましくは、本プロセスの開始時、即ち、工程(a)の6,13−ジヒドロキナクリドン塩形成の前に加えられる。
【0054】
6,13−ジヒドロキナクリドン塩生成及び酸化反応は、有利には同じ容器で逐次行われるため、事実上操作による損失は発生しない。即ち、本発明による方法は、高収量でキナクリドン生成物を与える。
【0055】
不均一な反応媒体中で行われるにもかかわらず、本発明のプロセスは、粒度分布の狭いキナクリドン顔料を与える。高純度及び望ましく狭い粒度分布のため、得られるキナクリドン顔料は、例えば、高彩度のような、優れた顔料の性質を示す。
【0056】
驚くべきことに、無色の6,13−ジヒドロキナクリドンの存在にもかかわらず、本発明のキナクリドン/6,13−ジヒドロキナクリドン固溶体は、高い色強度、及び特に高度に飽和した魅力的な上色(masstone)の色を表現する。更に、これらは、優れた熱安定性、光安定性及び耐候安定性を示す。
【0057】
最終用途に応じて、色調改善剤及び/又はレオロジー改善剤を、例えば顔料の単離前に、好ましくは水性圧縮塊中に混和することにより、加えることが有利であろう。適切な色調改善剤は、特に、炭素原子18個以上の脂肪酸、例えば、ステアリン酸若しくはベヘン酸又はそのアミド若しくは金属塩、好ましくはカルシウム若しくはマグネシウム塩、更には可塑剤、ロウ、アビエチン酸のような樹脂酸又はその金属塩、コロホニウム、アルキルフェノール又はステアリルアルコールのような脂肪族アルコール又はドデカン−1,2−ジオールのようなビシナルジオール、並びに改質コロホニウム/マレイン酸樹脂又はフマル酸/コロホニウム樹脂又はポリマー性分散剤である。キナクリドン顔料と合わせるこのような色調改善剤の用途は、よく知られている。これらの色調改善剤は、最終生成物に基づき、好ましくは0.1〜30重量%、最も好ましくは2〜15重量%の量で加えられる。
【0058】
適切なレオロジー改善剤は、例えば上述抗凝集剤であり、これを、最終生成物に基づき、好ましくは2〜10重量%、最も好ましくは3〜8重量%の量で加えられる。
【0059】
本発明のキナクリドン固溶体顔料は、単独で、又は他の有機若しくは無機の顔料若しくは着色剤の存在下で、無機又は有機基質用の色素として適している。これらは、注型若しくは成形品に加工することができるか、又は溶媒若しくは水性被覆剤(例えば、自動車被覆剤)のようなインク及び被覆組成物に使用される、高分子量材料の着色に適している。
【0060】
適切な高分子量有機材料は、熱可塑性材料、熱硬化性プラスチック又はエラストマー、例えば、単独又は混合物の、セルロースエーテル;エチルセルロースのようなセルロースエステル;線状又は架橋ポリウレタン;線状、架橋又は不飽和ポリエステル;ポリカーボネート;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン又はポリ−4−メチルペンタ−1−エンのようなポリオレフィン;ポリスチレン;ポリスルホン;ポリアミド;ポリシクロアミド;ポリイミド;ポリエーテル;ポリフェニレンオキシドのようなポリエーテルケトン;及びポリ−p−キシレン;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン又はポリテトラフルオロエチレンのようなポリビニルハロゲン化物;ポリアクリル酸類、ポリメタクリル酸類又はポリアクリロニトリルのようなアクリルポリマー;ゴム;シリコーンポリマー;フェノール/ホルムアルデヒド樹脂;メラミン/ホルムアルデヒド樹脂;尿素/ホルムアルデヒド樹脂;エポキシ樹脂;スチレンブタジエンゴム;アクリロニトリル−ブタジエンゴム又はクロロプレンゴムを含む。
【0061】
一般に、本顔料は、有効着色量、例えば、着色すべき高分子量有機材料の重量に基づき、0.01〜30重量%、好ましくは0.1〜10重量%で使用される。即ち、本発明は、また、プラスチック材料、及び有効着色量の本発明の方法により調製された顔料又は顔料固溶体を含むことを特徴とする、着色されたプラスチック組成物、並びに該着色されたプラスチック組成物の調製方法に関する。
【0062】
本顔料は、容易に分散可能であり、かつ容易に有機マトリックスに組み込んで、高い飽和度並びに優れた耐光及び耐候堅牢性を有する均質な着色物を得ることができる。
【0063】
高分子量有機材料は、ロールミル又は混合若しくは粉砕装置を含む高剪断法を用いて、必要であればマスターバッチの形態で、基材中に顔料を混合することにより、本発明の顔料によって着色する。次に着色された材料は、カレンダー加工、加圧、押出し、ブラッシング(brushing)、注型又は射出成形のような、既知の方法により目的の最終形態にする。
【0064】
以下の実施例は、本発明の幾つかの実施態様を記載しているが、本発明はこれらに限定されるものではない。これらの実施例において、与えられる全ての部は、他に記載がなければ重量部である。X線回折パターンは、リガク・ガイガーフレックス(RIGAKU GEIGERFLEX)回折計D/MaxII v BX型で測定した。
【0065】
実施例1:温度計、スターラー、冷却器及びガス導入管を取り付けた1リットルフラスコに、6,13−ジヒドロキナクリドン50.0g及びメタノール250mlを充填した。反応混合物の上部に位置するガス流出口から、撹拌混合物に窒素をゆっくり導入した。次に50%水酸化ナトリウム29.8gを加え、続いて50〜55℃に加熱した。この灰色の懸濁液を50〜55℃で1時間撹拌して、25μmまでの粒度の6,13−ジヒドロキナクリドン塩を得た。次に濃硫酸(96%)5.0gを撹拌懸濁液に加え、続いて水40mlを加えた。混合物を加熱還流し、還流しながら1時間撹拌して、約0.02〜2μmの粒度を有する6,13−ジヒドロキナクリドン塩を得た。次にアントラキノン−2−スルホン酸ナトリウム塩0.5gを反応混合物に加えた。
【0066】
150mlビーカーに35%過酸化水素44.0g及び冷水40mlを充填して、18.33%過酸化水素水溶液84gを得た。この過酸化水素溶液を、コール・パーマー・マスターフレックス(Cole-Parmer Masterflex)(登録商標)蠕動ポンプ(管型:6404−14、ポンピング速度:0.3ml/分)を用いて、ビーカーから還流及び窒素流下のフラスコ中の撹拌反応混合物に移した。
【0067】
過酸化水素の全移送時間は、約3時間50分であった。6,13−ジヒドロキナクリドンは連続的に酸化した。酸化は、過酸化水素添加の終わりには事実上完了した。この反応混合物は、最初は粘性が大きかったが容易に撹拌可能であった。一般に、懸濁液は、時間と共に粘性は小さくなった。過酸化水素が反応混合物を直撃した場合でさえ、泡立ちは観察しなかった。
【0068】
顔料懸濁液を窒素流下で更に10分間還流しながら撹拌した。次に冷水70mlで希釈して、高温で真空濾過した。このプレスケークを温水5リットルで洗浄して8.0〜8.5のpHにした。濾過及び洗浄は、比較的迅速に行った。生成物を90℃のオーブンで一晩乾燥して、赤色の顔料48.8gを得た。
【0069】
分光光度法によるこの赤色キナクリドン顔料の分析的評価により、キナクリドン含量79%及び6,13−ジヒドロキナクリドン含量21%であることが判明した。γIキナクリドンのパターンを示すX線回折パターン(6,13−ジヒドロキナクリドンのピークの存在しない)は、下記の回折線により特徴づけられている:
【0070】
【表1】
Figure 0004369539
【0071】
ASTM法D−387−60により平版印刷のワニス中にこすり取ることにより、顔料は、不透明の帯黄赤色の上色及びTiO2増量で強い赤色を示した。プラスチック又は塗料に組み込むと、本顔料は、優れた堅牢性を有する帯黄赤色を与えた。
【0072】
実施例2:温度計、スターラー、冷却器及びガス導入管を取り付けた1リットルフラスコに、6,13−ジヒドロキナクリドン50.0g及びメタノール250mlを充填した。反応混合物の上部に位置するガス流出口から、撹拌混合物に窒素をゆっくり導入し;次に50%水酸化ナトリウム29.8gを加え、続いて50〜55℃に加熱した。この灰色の懸濁液を50〜55℃で1時間撹拌して、25μmまでの粒度の6,13−ジヒドロキナクリドン塩を得た。次に濃硫酸5.0gを加え、続いて水40mlを加えた。混合物を加熱還流し、還流しながら1時間撹拌して、約0.02〜2μmの粒度を有する6,13−ジヒドロキナクリドン塩を得た。次にm−ニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム塩1gを加え、反応混合物を還流しながら5分間撹拌し、続いてアントラキノン−2−スルホン酸ナトリウム塩0.5gを加えた。
【0073】
150mlビーカーに35%過酸化水素44.0g及び冷水40mlを充填して、18.33%過酸化水素水溶液84gを得た。この過酸化水素溶液を、コール・パーマー・マスターフレックス(Cole-Parmer Masterflex)(登録商標)蠕動ポンプ(管型:6404−14、ポンピング速度:0.3ml/分)を用いて、ビーカーから還流及び窒素流下のフラスコ中の撹拌反応混合物に移した。
【0074】
過酸化水素の全移送時間は、約3時間50分であった。6,13−ジヒドロキナクリドンは連続的に酸化した。酸化は、過酸化水素添加の終わりには事実上完了した。この反応混合物は、最初は粘性が大きかったが容易に撹拌可能であった。一般に、懸濁液は、時間と共に粘性は小さくなった。過酸化水素が反応混合物を直撃した場合でさえ、泡立ちは観察しなかった。
【0075】
顔料懸濁液を窒素流下で更に10分間還流しながら撹拌した。次に冷水70mlで希釈して、高温で真空濾過した。このプレスケークを温水5リットルで洗浄して8.0〜8.5のpHにした。濾過及び洗浄は、比較的迅速に行った。生成物を90℃のオーブンで一晩乾燥して、赤色の顔料48.8gを得た。
【0076】
分光光度法によるこの赤色キナクリドン顔料の分析的評価により、キナクリドン含量94.6%、6,13−ジヒドロキナクリドン含量5.3%及びキナクリドンキノン含量0.1%であることが判明した。X線回折パターンは、γIIキナクリドンの特徴的なパターンを示し、6,13−ジヒドロキナクリドンのピークは存在しなかった。これは、下記の回折線により特徴づけられている:
【0077】
【表2】
Figure 0004369539
【0078】
ASTM法D−387−60により平版印刷のワニス中にこすり取ることにより、顔料は、不透明の帯青赤色の上色及びTiO2増量で強い赤色を示した。プラスチック又は塗料に組み込むと、本顔料は、優れた堅牢性を有する帯青赤色を与えた。
【0079】
実施例3:本実施例では、実施例2により得られた、そのγII結晶形のキナクリドン/6,13−ジヒドロキナクリドン固溶体の、自動車用塗料システムへの組み込みを例示した。
【0080】
・粉砕ベース配合物(mollbase formulation)
下記の成分を、分散手段して980gの4mmロッドを有する1/2パイントのジャーに加えた:
アクリロウレタン樹脂 66.0g
AB−分散剤 14.5g
ソルベッソ100(SOLVESSO 100) 58.1g及び
実施例2によるキナクリドン/
6,13−ジヒドロキナクリドン固溶体 26.4g
【0081】
上記混合物を64時間回転することにより、本顔料を分散した。顔料分散液を分散手段から分離して、48.0%の全固体含量、及び0.5の顔料対結合剤比を有する16.0%キナクリドン顔料固溶体を含有する均質な「粉砕ベース分散物(millbase dispersion)」を得た。
【0082】
実施例3A:上記粉砕ベース47.3g、メラミン樹脂触媒、非水性分散樹脂、UV吸収剤を含有する溶液36.4g、及びポリエステルウレタン樹脂を含有する樹脂溶液16.3gを混合し、キシレン76部、ブタノール21部及びメタノール3部を含有する溶媒混合物で、#2フィッシャーカップ(Fisher Cup)により測定したとき20〜22sのスプレー粘度になるまで希釈した。
【0083】
赤色の樹脂/顔料分散物を、下塗として1.5分の間隔でパネル上に2回スプレーした。2分後、透明塗料樹脂を下塗上に1.5分の間隔で2回スプレーした。次にスプレーしたパネルをフラッシュキャビネット中で空気で10分間フラッシュし、次にオーブンで121℃(250°F)で30分間「焼いて」、優れた耐候性を有する高彩度の帯青赤色のパネルを得た。
【0084】
実施例3B:(淡彩(tint color))
・白色ベース(white base)
缶中で下記の成分を混合することにより、TiO2分散物を調製した:
TiO2顔料 604.1g
アクリロウレタン樹脂 129.8g及び
ソルベッソ100(SOLVESSO 100) 161.1g
【0085】
次に、1.26cmセラミック球体473ml(1USパイント)を加えた。次いでこの分散物を24時間粉砕した。この白色の顔料分散物を球体から分離して、77.4%の全固体含量を有する顔料67.5%を含有する「TiO2分散物」を得た。
【0086】
・淡彩色(tint shade)
下記の成分を混合することにより、10/90淡彩色を調製した:
粉砕ベース15.7g、白色ベース33.4g、メラニン樹脂触媒、非水性分散樹脂、及びUV吸収剤を含有する樹脂溶液20.0g並びにポリエステルウレタン樹脂を含有する樹脂溶液30.9g。
この塗料は、0.7の顔料/結合剤比及び60.9%の全不揮発性成分含量を有する顔料25.1%を含有する。
【0087】
この赤色の顔料/TiO2/樹脂分散物をパネル上にスプレーし、次に実施例3Aに記載されたように透明塗料をスプレーして、優れた耐候性を有する高光沢の赤色パネルを得た。
【0088】
実施例4a(PVCシートへのキナクリドン/6,13−ジヒドロキナクリドン固溶体顔料の組み込み):ポリ塩化ビニル63.0g、エポキシ化ダイズ油(PARAPLEX G-62:The C.P. Hall Company)3.0g、バリウム/カドミウム熱安定剤2.0g、フタル酸ジオクチル32.0g及び実施例1によるγI結晶相キナクリドン/6,13−ジヒドロキナクリドン固溶体1.0gを、撹拌ロッドを用いてガラスビーカー中で一緒に混合した。この混合物を、一定の折り曲げ、剥離及び送りにより、160℃の温度、25rpmのローラー速度及び1:1.2の摩擦で、2つの実験用ロールミルで8分間圧延することにより、約0.4mmの厚さで軟質PVCシートに形成した。得られた軟質PVCシートは、熱、光及び移染に対する優れた堅牢性を有する魅力的な帯黄赤色の色調に着色された。
【0089】
実施例4b:実施例2のγII結晶相キナクリドン/6,13−ジヒドロキナクリドン固溶体顔料を使用する他は、実施例4aの手順により、帯青赤色の色調のPVCシートの調製を達成した。
【0090】
実施例5a(HDPEへのキナクリドン/6,13−ジヒドロキナクリドン固溶体顔料の組み込み):実施例1によるγI結晶形キナクリドン/6,13−ジヒドロキナクリドン固溶体顔料5g、ヒンダードアミン光安定剤2.5g、ベンゾトリアゾールUV吸収剤1.0g、ヒンダードフェノール抗酸化剤1.0g及び亜リン酸エステル加工安定剤1.0g(全てCIBA Specialty Chemicals Inc.)を、高密度ポリエチレン(U.S.I. QUANTUM Chemicals)1000gと一緒に溶融後30秒間175〜200rpmの速度で混合した。溶融した着色樹脂を暖かく展延可能なうちに細断し、次に造粒機により送り出した。得られた顆粒を射出成形機で5分の保圧時間及び30秒のサイクル時間で、204、260及び316℃の温度で成形した。各温度で同様な色調で、優れた光安定性の、明るい帯黄赤色を示す均質に着色したチップを得た。
【0091】
実施例5b:実施例2のγII結晶相キナクリドン/6,13−ジヒドロキナクリドン固溶体顔料を使用するほかは、実施例5aの手順により、帯青赤色の色調と、同様に良好な光及び熱安定性を有するHDPEチップを得た。
【0092】
実施例6a(ポリプロピレン繊維へのγII結晶形のキナクリドン/6,13−ジヒドロキナクリドン固溶体顔料の組み込み):ポリプロピレン顆粒(DAPLEN PT-55)(登録商標)、Chemie Linz)1000g及び実施例2によるキナクリドン/6,13−ジヒドロキナクリドン固溶体顔料10gを、混合ドラム中で完全に混合した。こうして得られた顆粒を260〜285℃で溶融紡糸して、良好な光堅牢性と紡織繊維性の赤色のフィラメントを得た。

Claims (15)

  1. 式(I):
    Figure 0004369539
    で示されるキナクリドン及び式(II):
    Figure 0004369539
    で示される6,13−ジヒドロキナクリドンを含むことを特徴とするキナクリドンのγI又はγII結晶形のキナクリドン/6,13−ジヒドロキナクリドン固溶体を製造する方法であって、
    (a)25μmまでの粒度を有する6,13−ジヒドロキナクリドン塩を調製し、
    (b)25μmまでの粒度を有する6,13−ジヒドロキナクリドン塩を0.05〜2μmの粒度を有する6,13−ジヒドロキナクリドン塩に変換し、
    (c)γII結晶形を目的とするならば、場合により、触媒有効量の芳香族ニトロ化合物を加え、
    (d)有効触媒量のキノン触媒の存在下で過酸化水素の添加により、0.05〜2μmの粒度を有する6,13−ジヒドロキナクリドン塩を酸化し、そして
    (e)γI又はγIIキナクリドン/6,13−ジヒドロキナクリドン固溶体顔料を単離することを特徴とする方法。
  2. 該キナクリドン/6,13−ジヒドロキナクリドン固溶体が、γIキナクリドンの結晶相を有し、かつキナクリドンと6,13−ジヒドロキナクリドンを合わせた重量に基づいて、キナクリドン80〜92%及び6,13−ジヒドロキナクリドン8〜20%よりなる、請求項1記載の方法。
  3. 該キナクリドン/6,13−ジヒドロキナクリドン固溶体が、γIIキナクリドンの結晶相を有し、かつキナクリドンと6,13−ジヒドロキナクリドンを合わせた重量に基づいて、キナクリドン93〜98%及び6,13−ジヒドロキナクリドン2〜7%よりなる、請求項1記載の方法。
  4. 6,13−ジヒドロキナクリドン塩が、モノ−又はジアルカリ金属塩であり、かつ25μmまでの粒度を有する6,13−ジヒドロキナクリドン塩を調製するために、6,13−ジヒドロキナクリドン1モル当たりアルカリ金属水酸化物2.2〜4モルを使用する、請求項1記載の方法。
  5. 換が、酸の添加により行われる、請求項1記載の方法。
  6. 酸化工程が、6,13−ジヒドロキナクリドン塩、キノン触媒、芳香族ニトロ化合物(存在する場合)、塩基及び液相を含むことを特徴とするスラリーを、60℃以上の温度で過酸化水素の水性溶液と合わせることにより行われる、請求項1記載の方法。
  7. 液相が、6,13−ジヒドロキナクリドン100重量部当たり実質的に水150〜500重量部及びC1−C8アルキル−アルコール250〜750重量部よりなる、請求項6記載の方法。
  8. 該C 1 −C 8 アルキルアルコールが、C1−C3アルキル−アルコールである、請求項7記載の方法。
  9. キノン触媒が、6,13−ジヒドロキナクリドン重量0.005〜0.1倍の量で存在する、請求項1記載の方法。
  10. 酸化工程が、過酸化水素の水性溶液5〜30重量%により行われ、かつ6,13−ジヒドロキナクリドン1モル当たり過酸化水素1.1〜5モルを合わせる、請求項6記載の方法。
  11. 過酸化水素の水性溶液を、60℃〜還流温度で5分〜8時間の時間間隔にわたりスラリーに加え、次に反応媒体を、50℃〜還流温度で10分〜2時間撹拌する、請求項6記載の方法。
  12. 6,13−ジヒドロキナクリドンの重量の0.01〜0.03倍の量の芳香族ニトロ化合物を、キノン触媒及び過酸化水素酸化剤の添加の前に加える、請求項記載の方法。
  13. 芳香族ニトロ化合物が、ニトロフェノール、ニトロ安息香酸及びニトロベンゼンモノスルホン酸、及びそれらの塩よりなる群から選択される、請求項12記載の方法。
  14. 酸化工程が、6,13−ジヒドロキナクリドンに基づいて、0.05〜8重量%の粒子成長阻害剤の存在下で行われる、請求項1記載の方法。
  15. 高分子量物質及び有効顔料化量の請求項1記載のキナクリドン/6,13−ジヒドロキナクリドン固溶体顔料を含むことを特徴とする組成物。
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