JP4368988B2 - Mri装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置に関し、更に詳しくは、灌流強調画像を得るための画像化領域や反転領域を的確に計画することが出来るMRI装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のMRI装置におけるスキャン計画では、画像化領域を囲む大きな領域について組織を撮影し、組織画像を生成し表示し、その表示した組織画像を用いて画像化領域を計画している。
灌流(Perfusion:毛細血管内の血流)を撮影する場合も、組織画像を用いて画像化領域や反転領域やコントロール領域を計画している。
前記画像化領域とは、毛細血管が存在する領域である。
前記反転領域とは、前記毛細血管に流入する血液を供給する血管が存在する領域である。ここで、反転領域では毛細血管に流入する血液の磁化に目印(タグ)をつけるための励起を行うが、その励起RFパルスとして反転パルスを用いるため、この領域を反転領域という。ただし、毛細血管に流入する血液の磁化に目印をつけることが出来ればよいので、例えば飽和パルスを用いてもよい。しかし、これは本質的な違いでないため、表現上、簡単に反転領域ということとする。
前記コントロール領域とは、前記毛細血管に流入する血液を供給する血管が存在しない領域である。このコントロール領域は、磁化移動(Magnetization Transfer)の影響をキャンセルするために、前記反転領域と同様の励起を行う領域である。なお、画像化領域を含む全体をコントロール領域とする場合は特に計画する必要はない。
【0003】
MRI装置におけるスキャン計画の手順は、例えば特開平9−24032号公報や実開平6−66629号公報に開示されている。
また、MRI装置で灌流を撮影する手法は、例えば「Radiology,1994,vol.192,pp.513-520」や「Magnetic Resonance in Medicine,1995,vol.34,pp.293-301」に開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来、組織画像を用いて画像化領域や反転領域を計画しているが、組織画像では血管が判然としないため、組織から経験的に血管の位置を推測し、画像化領域や反転領域を計画せざるを得ず、計画した画像化領域や反転領域が不的確になりやすい問題点があった。
そこで、本発明の目的は、灌流強調画像を得るための画像化領域や反転領域を的確に計画することが出来るMRI装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
第1の観点では、本発明は、RFパルス送信手段と、勾配パルス印加手段と、NMR信号受信手段と、前記各手段を駆動してデータを収集し画像を再構成する処理手段とを具備したMRI装置であって、血流撮影パルスシーケンスにより血流を撮影し血流画像を生成し表示する血流撮影画像生成表示手段と、その表示した血流画像上で画像化領域および反転領域を設定する領域設定手段と、前記画像化領域および反転領域の設定を反映させた灌流強調画像撮影シーケンスにより前記画像化領域の灌流を撮影し灌流画像を生成する灌流撮影画像生成手段とを具備したことを特徴とするMRI装置を提供する。
上記第1の観点によるMRI装置では、組織画像を用いるのではなく、血流画像を用いて画像化領域や反転領域を計画し、その計画を灌流強調画像撮影シーケンスに反映させる。このため、毛細血管が存在する領域やその毛細血管に流入する血液を供給する血管が存在する領域やその毛細血管に流入する血液を供給する血管が存在しない領域を視認して的確に画像化領域や反転領域を計画することが出来る。
なお、別の観点では、本発明は、血流画像を表示し、その表示した血流画像を用いて画像化領域や反転領域を計画し、その計画を反映させた灌流強調画像撮影シーケンスにより前記画像化領域内の灌流を撮影することを特徴とする灌流強調画像撮像方法を提供する。
【0006】
第2の観点では、本発明は、上記第1の観点のMRI装置において、前記血流撮影画像生成表示手段は、3次元的に血流を撮影し、所望の視線方向から見た如き血流画像を生成し表示することを特徴とするMRI装置を提供する。
上記第2の観点によるMRI装置では、3次元的に撮影した血流を所望の視線方向から見た如き血流画像を生成し表示するので、画像化領域や反転領域を3次元的に視認しながら計画することが出来る。
【0007】
第3の観点では、本発明は、上記第1または第2の観点のMRI装置において、組織撮影パルスシーケンスにより組織を撮影し組織画像を生成し表示する組織撮影画像生成表示手段とをさらに具備し、前記血流画像と前記組織画像をオーバーラップ表示することを特徴とするMRI装置を提供する。
上記第3の観点によるMRI装置では、血流画像と組織画像をオーバラップさせて表示するので、血管と組織との対応を視認でき、より的確に画像化領域や反転領域などを計画することが出来る。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図に示す本発明の実施の形態により本発明をさらに詳しく説明する。なお、これにより本発明が限定されるものではない。
【0009】
−第1の実施形態−
図1は、本発明の第1の実施形態にかかるMRI装置を示す構成ブロック図である。
このMRI装置100において、マグネット1は、内部に被検体を挿入するためのボア(空間部分)を有し、このボアを取りまくようにして、勾配磁場を形成する勾配コイル1Gと、被検体内の原子核のスピンを励起するためのRFパルスを印加する送信コイル1Tと、被検体からのNMR信号を検出する受信コイル1Rと、静磁場を形成する永久磁石対1Mとを具備して構成されている。
なお、永久磁石対1Mの代わりに超電導マグネットを用いても良い。
【0010】
前記勾配コイル1Gは、勾配コイル駆動回路3に接続されている。さらに、前記送信コイル1Tは、RF電力増幅器4に接続されている。また、前記受信コイル1Rは、前置増幅器5に接続されている。
【0011】
シーケンス記憶回路8は、計算機7からの指令に従い、TOF(Time Of Flight)法,PC(Phase Contrast)法等の血流画像撮像シーケンスや、FAIR(Flow sensitive Alternating Inversion Recovery)法,EPISTAR(Echo Planar Imaging and Signal Targetting with Alternating Redio frequency)法等の灌流強調画像撮像シーケンスや、グラディエント・エコー法,スポイルド・グラディエント・エコー法,スピン・エコー法等の組織画像撮像シーケンスに基づいて、前記勾配コイル駆動回路3を操作し、前記勾配コイル1Gにより勾配磁場を形成させると共に、ゲート変調回路9を操作し、RF発振回路10からの高周波出力信号を所定タイミング・所定包絡線のパルス状信号に変調し、それを励起パルスとしてRF電力増幅器4に加え、RF電力増幅器4でパワー増幅した後、前記マグネット1の送信コイル1Tに印加し、RFパルスを送信する。
【0012】
前記前置増幅器5は、前記マグネット1の受信コイル1Rで検出された被検体からのNMR信号を増幅し、位相検波器12に入力する。位相検波器12は、前記RF発振回路10の出力を参照信号とし、前記前置増幅器5からのNMR信号を位相検波して、A/D変換器11に与える。前記A/D変換器11は、位相検波後のアナログ信号をデジタル信号のMRデータに変換して、計算機7に入力する。
【0013】
計算機7は、MRデータに対して画像再構成演算を行い、画像化領域の画像を生成する。この画像は、表示装置6の画面に表示される。
また、計算機7は、操作卓13からの入力された情報を受け取るなどの全体的制御を受け持つ。
【0014】
図2は、本発明の第1の実施形態にかかる灌流強調画像撮像手順を示すフロー図である。
ステップF1では、推定した画像化領域を囲む大きな領域について3D血流画像撮像シーケンスまたは2Dマルチスライス血流画像撮像シーケンスによりスキャンし、3D血流画像データを得る。
ステップF2では、計画しやすい視線方向を操作者が指定し、その視線方向から見た如き血流画像を生成し、表示する。
ステップF3では、操作者は、マウスやトラックボールなどを用いて、図3に示すように、表示された血流画像上に、画像化領域Aiおよび反転領域Arを設定する。また、必要に応じてコントロール領域Acを設定する。
ステップF4では、別の視線方向を操作者が指定し、その視線方向から見た如き血流画像を生成し、設定された画像化領域Ai,反転領域Arおよびコントロール領域Acを反映させて表示する。または、異なる複数の視線方向からそれぞれ見た如きを血流画像を連続的に表示するシネ表示を行い、設定された画像化領域Ai,反転領域Arおよびコントロール領域Acを反映させて表示する。
ステップF5では、操作者は、設定を変更するか否かを指令する。変更するなら前記ステップF2に戻り、変更しないならステップF6へ進む。
【0015】
ステップF6では、設定された画像化領域Aiおよび反転領域Arを反映させたパルスシーケンスによりスキャンし、第1画像データを得る。
図4の(a)に、このときのパルスシーケンスを示す。
まず、反転領域Arを選択して反転励起し、次いでスポイラを加え、その後、適当な撮像シーケンス(例えばEPI法)で画像化領域Aiをスキャンし、第1画像データを得る。
【0016】
ステップF7では、設定された画像化領域Aiおよびコントロール領域Acを反映させたパルスシーケンスによりスキャンし、第2画像データを得る。
図4の(b)に、このときのパルスシーケンスを示す。
まず、コントロール領域Acを選択して反転励起し、次いでスポイラを加え、その後、適当な撮像シーケンス(例えばEPI法)で画像化領域Aiをスキャンし、第2画像データを得る。
【0017】
ステップF8では、第1画像データから第1画像を生成し、第2画像データから第2画像を生成し、差を取り、灌流強調画像を得る。差を取るのは、反転領域Arに加える反転励起パルスによる磁化移動の影響を、コントロール領域Acに加える反転励起パルスによる磁化移動の影響でキャンセルするためである。
【0018】
上記第1の実施形態のMRI装置100によれば、血流画像を用いて画像化領域Ai,反転領域Arおよびコントロール領域Acを計画し、その計画を灌流強調画像撮影シーケンスに反映させるため、毛細血管が存在する領域やその毛細血管に流入する血液を供給する動脈が存在する領域を視認して的確に画像化領域Aiや反転領域Arやコントロール領域Acを計画でき、好適に灌流強調画像を撮像することが出来る。また、3次元的に撮影した血流を所望の視線方向から見た如き血流画像を生成し表示するので、画像化領域Aiや反転領域Arやコントロール領域aCを3次元的に視認しながら計画することが出来る。
【0019】
−第2の実施形態−
第2の実施形態にかかるMRI装置の構成は第1の実施形態にかかるMRI装置100と基本的に同じである。
【0020】
図5は、本発明の第2の実施形態にかかる灌流強調画像撮像手順を示すフロー図である。
ステップS1では、推定した画像化領域を囲む大きな領域について3D血流画像撮像シーケンスまたは2Dマルチスライス血流画像撮像シーケンスによりスキャンし、3D血流画像データを得る。
ステップS2では、推定した画像化領域を囲む大きな領域について3D組織画像撮像シーケンスまたは2Dマルチスライス組織画像撮像シーケンスによりスキャンし、3D組織画像データを得る。
ステップS3では、計画しやすい視線方向を操作者が指定し、その視線方向から見た如き血流画像を生成し、表示する。
ステップS4では、前記視線方向から見た如き組織画像を生成し、前記血流画像とオーバラップして表示する。
ステップS5では、操作者は、マウスやトラックボールなどを用いて、図6に示すように、表示された血流画像および組織画像上に、画像化領域Aiおよび反転領域Arを設定する。
ステップS6では、別の視線方向を操作者が指定し、その視線方向から見た如き血流画像および組織画像を生成し、設定された画像化領域Aiおよび反転領域Arを反映させて表示する。または、異なる複数の視線方向からそれぞれ見た如きを血流画像および組織画像を連続的に表示するシネ表示を行い、設定された画像化領域Aiおよび反転領域Arを反映させて表示する。
ステップS7では、操作者は、設定を変更するか否かを指令する。変更するなら前記ステップS3に戻り、変更しないならステップS8へ進む。
【0021】
ステップS8では、設定された画像化領域Aiおよび反転領域Arを反映させたパルスシーケンスによりスキャンし、第1画像データを得る。
【0022】
ステップS9では、設定された画像化領域Aiおよびコントロール領域Acを反映させたパルスシーケンスによりスキャンし、第2画像データを得る。
【0023】
ステップS10では、第1画像データから第1画像を生成し、第2画像データから第2画像を生成し、差を取り、灌流強調画像を得る。
【0024】
上記第2の実施形態のMRI装置によれば、血流画像と組織画像をオーバラップさせて表示するので、血管と組織との対応を視認でき、より的確に画像化領域Aiや反転領域Arなどを計画でき、好適に灌流強調画像を撮像することが出来る。
【0025】
なお、血流画像と組織画像をオーバラップするのではなく、横に並べて表示し、血流画像上で設定された画像化領域Aiおよび反転領域Arを、組織画像上に反映させて表示してもよい。
また、操作者の指示により、組織画像の表示をオン/オフできるようにしてもよい。
【0026】
【発明の効果】
本発明の灌流強調画像撮像方法およびMRI装置によれば、血流画像を用いて画像化領域を計画し、その計画を灌流強調画像撮影シーケンスに反映させるため、毛細血管が存在する領域やその毛細血管に流入する血液を供給する動脈が存在する領域を視認して的確に画像化領域を計画でき、好適に灌流強調画像を撮像することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかるMRI装置を示す構成ブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態にかかる灌流強調画像撮像手順を示すフロー図である。
【図3】血流画像上で画像化領域および反転領域を設定する画面の例示図である。
【図4】画像化領域および反転領域を反映させたパルスシーケンスの概念図である。
【図5】本発明の第2の実施形態にかかる灌流強調画像撮像手順を示すフロー図である。
【図6】血流画像および組織画像上で画像化領域および反転領域を設定する画面の例示図である。
【符号の説明】
7 計算機
100 MRI装置
Ai 画像化領域
Ar 反転領域
Claims (3)
- RFパルス送信手段と、勾配パルス印加手段と、NMR信号受信手段と、前記各手段を駆動してデータを収集し画像を再構成する処理手段とを具備したMRI装置であって、血流撮影パルスシーケンスにより血流を撮影し血流画像を生成し表示する血流撮影画像生成表示手段と、その表示した血流画像上で画像化領域および反転領域を設定する領域設定手段と、前記画像化領域および反転領域の設定を反映させた灌流強調画像撮影シーケンスにより前記画像化領域の灌流を撮影し灌流画像を生成する灌流撮影画像生成手段とを具備したことを特徴とするMRI装置。
- 請求項1に記載のMRI装置において、前記血流撮影画像生成表示手段は、3次元的に血流を撮影し、所望の視線方向から見た如き血流画像を生成し表示することを特徴とするMRI装置。
- 請求項1または請求項2に記載のMRI装置において、組織撮影パルスシーケンスにより組織を撮影し組織画像を生成し表示する組織撮影画像生成表示手段とをさらに具備し、前記血流画像と前記組織画像をオーバーラップ表示することを特徴とするMRI装置。
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