JP4368872B2 - 高低圧一体型蒸気タービン用動翼とそれを用いた高低圧一体型蒸気タービン及び複合発電プラント - Google Patents

高低圧一体型蒸気タービン用動翼とそれを用いた高低圧一体型蒸気タービン及び複合発電プラント Download PDF

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Description

本発明は、新規な耐熱鋼を用いた高低圧一体型蒸気タービン用動翼とそれを用いた高低圧一体型蒸気タービン及び複合発電プラントに関する。
現在、蒸気タービン用翼には12Cr−Mo−Ni−V−N鋼が使用されている。近年、省エネルギーの観点から火力プラントの熱効率の向上が、省スペースの観点から機器のコンパクト化が望まれている。
熱効率を向上及び機器のコンパクト化には蒸気タービン翼の長翼化が有効な手段である。そのために低圧蒸気タービン最終段の翼長は年々上昇の傾向にある。これに伴って、蒸気タービンの翼の使用条件も厳しくなり、これまでの12Cr−Mo−Ni−V−N鋼では強度不足で、より強度の高い材料が必要である。長翼材の強度としては、機械的特性の基本である、引張強さが要求される。また、破壊に対する安全性確保の観点から、ある程度の靭性も要求される。
引張強さが従来の12Cr−Mo−Ni−V−N鋼(マルテンサイト系鋼)より高い構造材料として、Ni基合金及びCo基合金が一般に知られているが、熱間加工性,切削性及び振動減衰特性が劣るので、翼材としては望ましくない。ガスタービン用ディスク材として特許文献1があるが、高い引張強さは得られていない。
また、10万KW未満の小容量及び10から30万KWの中容量のタービン省スペースの観点から、高圧部から低圧部まで一体化した、いわゆる一体型タービンが実用化される様になってきた。この一体型タービンの最終段翼長は、ロータ及び翼材の強度の制約から、高々33.5インチである。しかし、この翼長は、出力向上のために、もっと長くしたい。特許文献2に12%Cr系鋼を用いた高低圧一体型蒸気タービン用翼が開示されている。
特開昭63−171856号公報 特開平3−130502号
本発明は、近年の低圧蒸気タービン翼の長大化に対処するために、特許文献2に記載の鋼では引張強さが低いものである。
本発明の目的は、引張強さの高いマルテンサイト系鋼を用いた高低圧一体型蒸気タービン用動翼とそれを用いた高低圧一体型蒸気タービン及び複合発電プラントを提供することにある。
本発明は、重量で、C0.13〜0.2%,Si0.25%以下,Mn1.00%以下,Cr8.0〜13.0%,Ni2〜3%,Mo1.8〜3.0%,V0.05〜0.35%,Nb及びTaの一種又は二種の合計量が0.02〜0.20%、及びN0.02〜0.10%を含有するマルテンサイト系鋼からなり、その室温の引張強さが1176.7N/mm 120kg/mm 以上であり、〔翼部長さ(インチ)×蒸気タービン回転数(rpm)〕が120,000以上であることを特徴とする高低圧一体型蒸気タービン用動翼にある。
又、本発明は、一体のロータシャフトに蒸気の高圧側より低圧側にかけて多段に動翼を植設したロータと、該ロータを被うケーシングとを備えた高低圧一体型蒸気タービンにおいて、重量で、C0.13〜0.2%,Si0.25%以下,Mn0.90% 以下,Cr8.0〜13.0%,Ni2〜3%,Mo1.8〜3.0%,V0.05〜0.35%,Nb及びTaの一種又は二種の合計量が0.02〜0.20%、及びN0.02〜0.10%を含有するマルテンサイト系鋼からなり、その室温の引張強さが1176.7N/mm 120kg/mm 以上であり、〔翼部長さ(インチ)×蒸気タービン回転数(rpm)〕が120,000以上である動翼を有することを特徴とする。
前記回転数3000rpm(50サイクル発電用)に対して前記翼部長さを40インチ以上、好ましくは43インチ以上、又は、前記回転数3600rpm(60サイクル発電用)に対して前記翼部長さを33.3インチ以上、好ましくは35インチ以上とする。
前述のマルテンサイト系ステンレス鋼は、重量比で、C0.13〜0.20%,Si0.25%以下,Mn1.00%以下,Cr8.0〜13.0%,Ni2.1を越え3%以下,Mo1.5〜3.0%,V0.05〜0.35%,Nb及びTaの一種又は二種の合計量が0.02〜0.20%、及びN0.02〜0.10%を含有するものが好ましい。
更に本発明は、重量比で、C0.18〜0.28%,Si0.1%以下,Mn0.1〜0.3%,Cr1.5〜2.5%,Ni1.5〜2.5%,Mo1〜2%,V0.1〜0.35%及びO0.003%以下を有し、高圧部の538℃・10h平滑及び切欠クリ−プ破断強度が13kg/mm以上、低圧部の引張強さが823.7N/mm 84kg/mm 以上、破面遷移温度が35℃であるマルテンサイト系耐熱鋼からなるロータシャフトに、引張強さ128.5kg/mm以上の前述の動翼を取り付けた高低圧一体型蒸気タービンにある。
本発明は、一体のロータシャフトに蒸気の高圧側より低圧側にかけて多段に動翼を植設したロータと、該ロータを被うケーシングとを備えた高低圧一体型蒸気タービンにおいて、初段動翼への蒸気入口温度が530℃以上であり、前記ロータシャフトは高圧側の強度が低圧側の強度より高く、又は低圧側の靭性が高圧側の靭性より高いベーナイト組織を有するNi−Cr−Mo−V低合金鋼よりなり、回転数3000rpmでは前記動翼の翼部長さを40インチ以上好ましくは43インチ以上とした前述の8〜13重量%Crを含むマルテンサイト系ステンレス鋼からなること、又は、回転数3600rpmに対しては前記動翼の翼部長さを33.3インチ以上、好ましくは35インチ以上とした前述の8〜13重量%Crを含むマルテンサイト系ステンレス鋼からなることが好ましい。
本発明は、蒸気タービン及びガスタービンによって発電機を駆動する複合発電プラントにおいて、前記蒸気タービンは一体のロータシャフトに蒸気の高圧側より低圧側にかけて多段に動翼を植設したロータと、該ロータを被うケーシングとを備え、初段動翼入口の前記蒸気温度が530℃以上であり、前記ロータシャフトは高圧側の強度が低圧側の強度より高く、又は低圧側の靭性が高圧側の靭性より高く、又、前記高圧側の初段動翼を植設する部分の中心部の538℃,10万時間クリープ破断強度が117.6N/mm(12kg/mm)以上及び前記低圧側の最終段動翼を植設する部分の中心部において室温引張強さが823.7N/mm以上で、前記中心部において50%脆性破面遷移温度が35℃以下、FATTが20℃以下又は室温のVノッチ衝撃値が39.2×10 J/m(4kg−m/cm)以上であるベーナイト組成を有するNi−Cr−Mo−V低合金鋼からなり、前記動翼は〔翼長さ(インチ)×回転数(rpm)〕が120,000以上である前述のCr8〜13重量%を含むマルテンサイト鋼からなることを特徴とする。
本発明は、蒸気タービン及びガスタービンによって発電機を駆動する複合発電プラントにおいて、前記蒸気タービンは一体のロータシャフトに蒸気の高圧側より低圧側にかけて多段に動翼を植設したロータと、該ロータを被うケーシングとを備え、初段動翼入口の前記蒸気温度が530℃以上、前記動翼は〔翼部長さ(インチ)×回転数(rpm)〕が120,000以上、及び前述のCr8〜13重量%を有するマルテンサイト鋼よりなり、前記ロータシャフトは前記高圧側のクリープ破断強度が前記低圧側の強度より高く、又は前記低圧側の靭性が前記高圧側の靭性より高く、前記ガスタービンの初段ブレード入口での燃焼ガス温度が1300℃以上であることを特徴とする複合発電プラントにある。
更に、本発明は高速で流れる燃焼ガスによって駆動されるガスタービンと、該ガスタービンの排ガスのエネルギーによって水蒸気を得る排熱回収ボイラと、前記水蒸気によって駆動される蒸気タービンと、前記ガスタービン及び蒸気タービンによって駆動される発電機とを備えた複合発電プラントにおいて、前記ガスタービンはブレードが3段以上、前記燃焼ガスのタービン入口温度が1200℃以上、タービン出口の排ガス温度が530℃以上であり、前記排熱回収ボイラによって530℃以上の水蒸気とし、前記蒸気タービンは高低圧一体型ベーナイト組織を有するNi−Cr−Mo−V低合金鋼よりなり、高圧側の高温強度が低圧側のそれより高いロータシャフトと〔翼部長さ(インチ)×回転数(rpm)〕が120,000以上の前述のCr8〜13重量%を有するマルテンサイト鋼よりなる動翼を有することを特徴とする。
高低圧一体型蒸気タービン用動翼材の成分限定理由
本発明は、重量比で、C0.13〜0.20%,Si0.25%以下,Mn0.90%以下,Cr8.0〜13.0%,Ni2〜3%,Mo1.5〜3.0%,V0.05〜0.35%,Nb及びTaの一種又は二種の合計量が0.02〜0.20%、及びN0.02〜0.10%を含有するマルテンサイト鋼からなることを特徴とする高低圧一体型蒸気タービン用長翼にある。動翼材の引張強さは120kgf/mm以上、好ましくは128.5kgf/mm以上である。
この蒸気タービン動翼は、高速回転による高い遠心応力と振動応力に耐えるため引張強さが高いと同時に、高サイクル疲労強度が高くなければならない。そのために、翼材の金属組織は、有害なδフェライトが存在すると、疲労強度を著しく低下させるので、全焼戻しマルテンサイト組織でなければならない。
本発明鋼は前述した式で計算されるCr当量が10以下になるように成分調整され、δフェライト相を実質的に含まないようにすることが必要である。
また均質で高強度の蒸気タービン長翼材を得るために、調質熱処理として、溶解・鍛造後に、1000℃〜1100℃(好ましくは1000〜1055℃)で好ましくは0.5〜3時間加熱保持後室温まで急冷する(特に油焼入れが好ましい)焼入れを行い、次に、550〜620℃で焼戻し、特に550℃〜570℃で好ましくは1〜6時間加熱保持後室温まで冷却する1次焼戻しと、560℃〜590℃で好ましくは1〜6時間加熱保持後室温まで冷却する2次焼戻しの2回以上の焼戻し熱処理が施されるのが好ましい。2次焼戻し温度は1次焼戻し温度より高くするのが好ましく、特に10〜30℃高くするのが好ましく、より15〜20℃高くするのが好ましい。
本発明は、低圧タービン最終段翼動翼の翼部長さ914mm(36インチ)以上、好ましくは965mm(38インチ)以上にした60サイクル発電用の3600rpm蒸気タービン及び低圧タービン最終段翼長を1092mm(43インチ)以上、好ましくは1168mm(46インチ)以上にした50サイクル発電用の3000rpm蒸気タービンにし、〔翼部長さ(インチ)×回転数(rpm)〕値を125,000以上、好ましくは138,000以上とするのが好ましい。
また、本発明の耐熱鋼からなる動翼材においては、全マルテンサイト組織となるように合金組成を調整して高い強度と低温靭性並びに疲労強度を得るために、次式の各元素の含有量を重量%として計算されるCr当量を4〜10に成分調整することが好ましい。
Cr当量=Cr+6Si+4Mo+1.5W+11V+5Nb−40C−30N−30B−2Mn−4Ni−2Co+2.5Ta
Cは高い引張強さを得るために最低0.13%必要である。あまりCを多くすると、靭性を低下させるので0.2%以下にしなければならない。特に、0.13〜0.18%が好ましい。より、0.13〜0.16%が好ましい。
Siは脱酸剤、Mnは脱硫酸・脱酸剤で鋼の溶解の際に添加するものであり、少量でも効果がある。Siはδフェライト生成元素であり、多量の添加は、疲労及び靭性を低下させる有害なδフェライト生成の原因になるので、0.25%以下にしなければならない。なお、カーボン真空脱酸法及びエレクトロスラグ溶解法などによればSi添加の必要がなく、Si無添加がよい。特に、0.10%以下、より0.05%以下が好ましい。
小量のMn添加は靭性を向上するが多量の添加は靭性を低下させるので、0.9%以下にすべきである。特に、Mnは脱酸剤として有効なので、靭性向上の点から0.4%以下、より0.2%以下が好ましい。
Crは耐食性と引張強さを高めるが、13%以上添加するとδフェライト組織生成の原因になる。8%より少ないと耐食性と引張強さが不十分なので、Crは8〜13%に決定された。特に強度の点から10.5〜12.5%が、より11〜12%好ましい。
Moは固溶強化及び析出強化作用によって引張強さを高める効果がある。Moは引張強さ向上効果が不十分であり3%以上になるとδフェライト生成原因になるので1.5〜3.0%に限定される。特に、1.8〜2.7%、より2.0〜2.5%が好ましい。なお、W及びCoもMoと同じ様な効果がある。
V及びNbは炭化物を析出し引張強さを高めると同時に靭性向上効果がある。V0.05%,Nb0.02%以下ではその効果が不十分であり、V0.35%,Nb0.2%以上ではδフェライト生成の原因となる。特にVは0.15〜0.30%、より0.25〜0.30%、Nbは0.04〜0.15%、より0.06〜0.12%が好ましい。Nbの代わりにTaを全く同様に添加でき、複合添加することができる。
Niは低温靭性を高めると共に、δフェライト生成の防止効果がある。この効果は、Ni2%以下では不十分で、3%を越える添加で効果が飽和する。特に、2.3〜2.9%が好ましい。より好ましくは2.4〜2.8%である。
Nは引張強さの向上及びδフェライトの生成防止に効果があるが0.02%未満ではその効果が十分でなく、0.1%を越えると靭性を低下させる。特に、0.04〜0.08%、より0.06〜0.08%の範囲で優れた特性が得られる。Si,P及びSの低減は、引張強さを損なわず、低温靭性を高める効果があり、極力低減することが望ましい。低温靭性向上の点からSi0.1%以下,P0.015%以下,S0.015%以下が好ましい。特に、Si0.05%以下,P0.010%以下,S0.010%以下が望ましい。Sb,Sn及びAsの低減も、低温靭性を高める効果があり、極力低減することが望ましいが、現状製鋼技術レベルの点から、Sb0.0015%以下,Sn0.01%以下、及びAs0.02%以下に限定した。特に、Sb0.001%以下,Sn0.005%及びAs0.01%以下が望ましい。
さらに、本発明においては、Mn/Ni比を0.11以下にするのが好ましい。
本発明材の熱処理は、まず完全なオーステナイトに変態するに十分な温度,最低1000℃,最高1100℃に均一加熱し、急冷し(好ましくは油冷)、次いで550〜570℃の温度に加熱保持・冷却し(第1次焼戻し)、次いで560〜680℃の温度に加熱保持し第2次焼戻しを行い、全焼戻しマルテンサイト組織とするものが好ましい。
(2)本発明の高低圧一体型蒸気タービンロータを構成する低合金鋼の組成及び熱処理条件の限定理由について説明する。
Cは焼入性を向上し強度を確保するのに必要な元素である。その量が0.15%以下では十分な焼入性が得られず、ロータ中心に軟らかいフエライト組織が生成し、十分な引張強さ及び耐力が得られない。また0.4%以上になると靭性を低下させるので、Cの範囲は0.15〜0.4%に限定される。特にCは0.20〜0.28%の範囲が好ましい。
Si及びMnは従来脱酸剤として添加していたが、真空C脱酸法及びエレクトロスラグ再溶解法などの製鋼技術によれば、特に添加しなくとも健全なロータが溶製可能である。長時間使用による脆化の点から、Si及びMnは低目にすべきであり、それぞれ0.1%及び0.5%以下に限定され、特にSi0.05%以下,Mn0.05〜0.25%、より前者が0.01%以下,後者が0.20%以下が好ましい。
一方、極少量のMn添加は、熱間加工性を悪くする有害なSを、硫化物MnSとして固定する作用があるために、Mnの極微量添加は、前述のSの害を減少する効果があるので、蒸気タービン用ロータシャフトのような大型鍛造品の製造においては0.01%以上含有するのが好ましい。しかし、製鋼上Sを少なくできればMnの添加は靭性,高温強度を低めるので、S及びP量を低めるスパークリーン化できればゼロがよく、0.01〜0.2%が好ましい。
Niは焼入性を向上させ、靭性向上に不可欠の元素である。1.5%未満では靭性向上効果が十分でない。また2.7%を越える多量の添加は、クリープ破断強度を低下させてしまう。特に1.6〜2.0%より1.7〜1.9%の範囲が好ましい。更に、Ni量はCr量より0.20%まで高く又はCr量より0.30%以下に低くする範囲内とすることにより高い高温強度と靭性とを兼ね備えた特性が得られる。
Crは焼入性を向上させ、靭性及び強度向上効果がある。また蒸気中の耐食性も向上させる。1.5%未満ではこれらの効果が十分でなく、2.5%を越える添加は、クリープ破断強度を低下させる。特に1.7〜2.3%、より1.9〜2.1%が好ましい。
Moは焼戻し処理中に結晶粒内に微細炭化物を析出させ、高温強度向上及び焼戻し脆化防止効果がある。0.8%未満ではこれらの効果が十分でなく、2.5%を越える多量の添加は靭性を添加させる。特に強度と靭性の点から1.0〜1.5%、より1.1〜1.3%が好ましい。
Vは、焼戻し処理中に結晶粒内に微細炭化物を析出させ、高温強度及び靭性向上効果がある。0.15%未満ではこれらの効果が十分でなく、0.35%を越える添加は効果が飽和してしまう。特に0.20〜0.30%、より0.25を越え0.30%以下の範囲が好ましい。
また、上記の組成からなる低合金を溶製するときに、希土類元素,Ca,Zr及びAlのいずれかを添加することにより靭性が向上する。希土類元素は0.05%未満では効果が不十分で、0.4%を越える添加はその効果が飽和する。Caは少量の添加で靭性向上効果があるが、0.0005%未満では効果が不十分で、0.01%を越える添加はその効果が飽和する。Zrは0.01%未満では靭性向上効果が不十分であり、0.2%を越える添加はその効果が飽和する。Alは0.001%未満では靭性向上効果が不十分であり、0.02%を越える添加はクリープ破断強度を低下させる。
さらに、酸素は高温強度に関与し、本発明鋼においては、Oを5〜25ppmの範囲に制御することにより、より高いクリープ破断強度が得られる。
Nb及びTaの少なくとも1種を0.005〜0.15%添加するのが好ましい。これらの含有量が0.005%未満では強度の向上に十分な効果が得られず、逆に0.15%を越えると蒸気タービン用ロータシャフトの如く大型構造物ではこれらの巨大な炭化物が晶出し強度及び靭性を低めるので0.005〜0.15%とする。特に0.01〜0.05%が好ましい。
Wは強度を高めるため0.1%以上加えるのが好ましいが、1.0%を越えると大型鋼塊においては偏析の問題が生じる等強度を低めるので、0.1〜1.0%とするのが好ましい。好ましくは0.1〜0.5%である。
Mn/Ni比又は(Si+Mn)/Ni比は各々0.13又は0.18以下が好ましい。これにより、ベーナイト組織を有するNi−Cr−Mo−V低合金鋼における加熱脆化を顕著に防止でき、高低圧一体型ロータシャフトとして適用できる。また、(Ni/Mo)比が1.25以上及び(Cr/Mo)比が1.1以上、又は(Cr/Mo)比が1.45以上及び(Cr/Mo)比が〔−1.11×(Ni/Mo)+2.78〕によって求められる値以上とすることにより全体を同じ条件で熱処理することにより538℃,105時間クリープ破断強度が12kg/mm以上の高い強度が得られる。
また、Ni量をCr量に対して特定の範囲で含有させることにより高圧側でより高強度で、低圧側でより靭性の高い強度とを兼ね備えたものが得られる。
本発明は、高低圧一体型蒸気タービン用ロータシャフトとして、その高圧部の538℃,10h平滑及び切欠クリープ破断強度が13kg/mm以上、低圧部の引張強さが84kg/mm以上、破面遷移温度が35℃以下とするのが好ましい。このように優れた機械的性質を得るため次の様な傾斜調質熱処理を施すのが好ましい。この調質熱処理を施す前に、金属組織を微細にするために、650℃〜710℃で70時間以上保持のパーライト処理を施すのが好ましい。
ロータシャフトの高圧部:高い高温強度を得る。
焼入れ:930〜970℃に加熱・保持後冷却
焼戻し:570〜670℃に加熱・保持後徐冷(2回焼戻しが好ましく、うち1回は650〜670℃に加熱・保持するのが好ましい)
ロータシャフトの低圧部:高い引張強さと低温靭性を得る。
焼入れ:880〜910℃に加熱・保持後急冷
焼戻し:570〜640℃に加熱・保持後徐冷(2回焼戻しが好ましく、うち1回は615〜635℃に加熱・保持するのが好ましい)
即ち、本発明は高圧側を低圧側より高い焼入温度で焼入れすることにより高圧側では550℃,30kg/mmで180hr以上のクリープ破断時間が得られるように低圧側より高温強度を高くし、低圧側は高圧側より遷移温度を中心孔で10℃以下とするように傾斜熱処理することが好ましい。焼戻温度においても高圧側を低圧側にくらべ高い温度で焼戻しするのがよい。
このようにクリープ破断強度が高く、衝撃値が高い両者の特性を備えた鋼を得ることができ、本発明の高低圧一体型ロータシャフトにおいてブレードとして50サイクル発電に対しては40インチ以上好ましくは43インチ以上、60サイクル発電に対しては33インチ以上好ましくは35インチ以上の長さのものを植設することができる。
このような新しい材料をロータシャフトとして使用することにより、最終段ブレードとして上述の長翼を植設できるとともに、ロータシャフト軸受間の長さ(L)と翼直径(D)との比(L/D)を1.4〜2.3とコンパクトにでき、好ましくは1.6〜2.0とすることができる。又、ロータシャフト最大径(d)と最終段長翼の長さ(l)との比(d/l)を1.5〜2.0とすることができ、これにより蒸気量をロータシャフトの特性との関係から最大限に増すことができ、小型で大容量の発電が可能となる。特に、この比を1.6〜1.8とすることが好ましい。1.5以上とすることはブレード数との関係から求められ、その数は多い程よいが、遠心力による強度上の点から2.0以下が好ましい。
本発明の高低圧一体型ロータシャフトを用いた蒸気タービンは小型で10〜30万KWの発電出力が可能であり、そのロータシャフトとして軸受間距離を発電出力として1万KW当り0.8m以下の非常に短い軸受間距離とすることができる。好ましくは1万KW当り0.25〜0.6mである。
前述のNi−Cr−Mo−V低合金鋼を高低圧一体型ロータシャフトに用いることにより少なくとも最段階に30インチ以上、特に33.5インチ以上の長さの動翼を設けることができ、単機出力の向上と効率の向上とともに、小型化できる。
本発明の蒸気タービンにおける動翼及び静翼は次のとおりである。前述の高圧側動翼は初段又は初段〜3段を重量で、C0.2〜0.3%,Si0.5%以下,Mn1%以下,Cr10〜13%,Ni0.5%以下,Mo0.5〜1.5%,W0.5〜1.5%,V0.15〜0.35%を含むマルテンサイト鋼、それ以外の翼部長さが26インチ未満の低圧側動翼は重量で、C0.05〜0.15%,Si0.5%以下,Mn1%以下、好ましくは0.2〜1.0%,Cr10〜13%,Ni0.5%以下,Mo0.5%以下を含むマルテンサイト鋼が好ましい。
最終段動翼の先端リーデングエッチ部にはエロージョン防止層が設けられているのが好ましい。具体的な翼部の長さとして、33.5″,40″,46.5″等が該当する。
本発明における静翼は重量で、C0.05〜0.15%,Si0.5%以下,Mn0.2〜1%,Cr10〜13%,Ni0.5%以下,Mo0.5%以下を含む焼戻し全マルテンサイト鋼からなるものが好ましい。
本発明におけるケーシングは、重量でC0.10〜0.20%,Si0.75%以下,Mn1%以下,Cr1〜2%,Mo0.5〜1.5%,V0.05〜0.2%,Ti0.05%以下を含むベーナイト組織を有するCr−Mo−V鋳鋼よりなるものが好ましい。
前述に記載の組成を有するNi−Cr−Mo−V鋼からなるロータシャフトは、その鋼塊を特にエレクトロ再溶解又はアーク炉にて大気中溶解後に取鍋下部より非酸化性ガス(特にArガス)を吹き込みを行った後、真空炭素脱酸した鋼塊を製造し、該鋼塊を熱間鍛造し、次いでオーステナイト化温度に加熱し所定の冷却速度で冷却する焼入れを施した後焼戻し処理を施し、主にベーナイト組織を有するものとするのがよい。
本発明に係るガスタービンは、ディスク,デイスタントピース,タービンスペーサ,タービンスタッキングボルト,コンプレッサスタッキングボルト及びコンプレッサディスクの少なくとも最終段の1種以上を重量でC0.05〜0.2%,Si0.5%以下,Mn1%以下,Cr8〜13%,Ni3%以下,Mo1.5〜3%,V0.05〜0.3%,Nb0.02〜0.2%,N0.02〜0.1%を含む全焼戻しマルテンサイト組織を有する耐熱鋼によって構成することができる。
これらの部品の全部をこの耐熱鋼によって構成することによってより高いガス温度にすることができ、熱効率の向上が得られる。特にこれらの部品の少なくとも1種は重量で、C0.05〜0.2%,Si0.5%以下,Mn0.6%以下,Cr8〜13%,Ni2〜3%,Mo1.5〜3%,V0.05〜0.3%,Nb0.02〜0.2%,N0.02〜0.1%を含み、(Mn/Ni)比が0.13以下、特に0.04〜0.10が好ましく、全焼戻しマルテンサイト組織を有する耐熱鋼によって構成するのが好ましい。
尚、これらの部品に使用する材料として450℃での10hクリープ破断強度が40kg/mm以上で、20℃Vノッチシャルピー衝撃値が5kg−m/cm以上のマルテンサイト鋼が用いられるが、特に好ましい組成においては450℃での10hクリープ破断強度が50kg/mm以上及び500℃で10h加熱後の20℃Vノッチシャルピー衝撃値が5kg−m/cm以上を有するものが得られる。
これらの材料には更に、W1%以下,Co0.5%以下,Cu0.5%以下,B0.01%以下,Ti0.5%以下,Al0.3%以下,Zr0.1%以下,Hf0.1%以下,Ca0.01%以下,Mg0.01%以下,Y0.01%以下,希土類元素0.01%以下の少なくとも1種を含むことができる。
コンプレッサディスクの少なくとも最終段又はその全部を前述の耐熱鋼によって構成することができるが、初段から中心部まではガス温度が低いので、他の低合金鋼を用いることができ、中心部から最終段までを前述の耐熱鋼を用いることができる。空気上流側の初段から中心部までの上流側を重量で、C0.15〜0.30%,Si0.5%以下,Mn0.6%以下,Cr1〜2%,Ni2.0〜4.0%,Mo0.5〜1%,V0.05〜0.2%を含み、室温の引張強さ80kg/mm以上,室温のVノッチシャルピー衝撃値が20kg−m/cm以上のNi−Cr−Mo−V鋼、中心部から少なくとも最終段を除き重量で、C0.2〜0.4%,Si0.1〜0.5%,Mn0.5〜1.5%,Cr0.5〜1.5%,Ni0.5%以下,Mo1.0〜2.0%,V0.1〜0.3%を含み、室温の引張強さが80kg/mm以上,伸び率18%以上,絞り率50%以上を有するCr−Mo−V鋼を用いることができる。
コンプレッサスタブシャフト及びタービンスタブシャフトは上述のCr−Mo−V鋼を用いることができる。
本発明のコンプレッサ用ロータはディスク状又は複数段のブレードを一体にした分割型、全ブレードを一体型のいずれでも良く、ディスク状、分割型には外側部分にスタッキングボルト挿入用の穴が複数個全周に設けられる。
コンプレッサ用ロータ材の一例として、17段からなる場合には初段から12段目までを前述のNi−Cr−Mo−V鋼,13段目から16段目をCr−Mo−V鋼及び17段目を前述のマルテンサイト鋼によって構成することができる。コンプレッサのブレードはC0.07〜0.15%,Si0.15%以下,Mn1%以下,Cr10〜13%又はこれにMo0.5%以下及び、Ni0.5%以下を含むマルテンサイト鋼によって構成されるのが好ましい。
タービンブレードの先端部分と摺動接触しリング状に形成されるシュラウドの初段部分には重量で、C0.05〜0.2%,Si2%以下,Mn2%以下,Cr17〜27%,Co5%以下,Mo5〜15%,Fe10〜30%,W5%以下,B0.02%以下を含むNi基鋳造合金が用いられ、他の部分には重量で、C0.3〜0.6%,Si2%以下,Mn2%以下,Cr20〜27%,Ni20〜30%以下,Nb0.1〜0.5%,Ti0.1〜0.5%を含むFe基鋳造合金が好ましい。これらの合金は複数個のブロックによってリング状に構成されるものである。
タービンノズルを固定するダイヤフラムには初段のタービンノズル部分が重量で、C0.05%以下,Si1%以下,Mn2%以下,Cr16〜22%,Ni8〜15%を含むオーステナイト鋳鋼、他のタービンノズル部分には高C−高Ni系鋼鋳物によって構成するのが好ましい。
タービンブレードは重量で、C0.07〜0.25%,Si1%以下,Mn1%以下,Cr12〜20%,Co5〜15%,Mo1.0〜5.0%,W1.0〜5.0%,B0.005〜0.03%,Ti2.0〜7.0%,Al3.0〜7.0%と、Nb1.5%以下,Zr0.01〜0.5%,Hf0.01〜0.5%,V0.01〜0.5%の1種以上とを含み、オーステナイト相基地にγ′相及びγ″相が析出したNi基鋳造合金が用いられる。
また、タービンブレードは高温の燃焼ガスによる腐食を防止するためにAl,Cr又はAl+Cr拡散コーテングを施すこと、更にその上に安定化ZrO2系セラミックスからなる遮熱コーテング層を設けるのが好ましい。コーテング層の厚さは30〜150μmで、ガスに接する翼部に設けるのが好ましい。
ガスタービン用ノズルにはNi基超合金及びCo基合金が用いられる。燃焼ガス温度が1260℃以下に対ししては初段に以下のNi基合金及び初段以外には重量で、C0.20〜0.60%,Si2%以下,Mn2%以下,Cr25〜35%,Ni5〜15%,W3〜10%,B0.003〜0.03%及び残部が実質的にCoからなり、又は更にTi0.1〜0.3%,Nb0.1〜0.5%及びZr0.1〜0.3%の少なくとも1種を含み、オーステナイト相基地に共晶炭化物及び二次炭化物を含むCo基鋳造合金が好ましい。これらの合金はいずれも溶体処理された後時効処理が施され、前述の析出物を形成させ、強化される。
ガスタービン用ノズルの初段には、重量でC0.05〜0.20%,Co15〜25%,Cr15〜25%,Al1.0〜3.0%,Ti1.0〜3.0%,Nb1.0〜3.0%,W5〜10%を含み、42%以上のNiを含むNi基鋳造合金が好ましい。特に、Al+Ti量とW量とは、A(2.5%,10%),B(5%,10%),C(5%,5%),D(3.5%,5%),E(2.5%,7.5%)の各点を結ぶ範囲内のものが好ましい。特に、Cが0.08〜0.16%、Coが20〜25%、Al+Tiが3.0〜5.0%、Ti/Alが0.7〜1.5%、Nbが0.6〜1.0%、Taが0.9〜1.3%、Zrが0.05%以下、Bが0.001〜0.03%、Wが6〜8%、Reが2%以下、Y,Scの1種以上0.5%以下とするのが好ましい。Si,Mnは0.5%以下、より0.01〜0.1%が好ましい。
本実施例のNi基鋳造合金は900℃,14kg/mmで300時間以上の破断強度を有し、特に1000〜5000時間有するものが好ましい。
本発明に係るガスタービンは、燃焼ガス温度1300℃以下では燃焼ガス入口側の初段又は全段を重量でC0.05〜0.20%,Co20〜25%,Cr15〜25%,Al1.0〜3.0%,Ti1.0〜3.0%,Nb1.0〜3.0%,W5〜10%及び42%以上のNiを含むNi基鋳造合金よりなること、初段に該Ni基合金を用い、2段目以降が重量でC0.2〜0.6%,Si2%以下,Mn2%以下,Cr25〜35%,Ni5〜15%,W3〜10%,B0.003〜0.03%及びCo50%以上を有するCo基鋳造合金よりなることが好ましい。また、燃料ガス温度1300℃を越える場合には初段を除き2段,3段に前述のNi基合金又はCo基合金が好ましい。初段はNi基又はCo基合金の単結晶合金鋳物が好ましい。以上のノズルの構成によりその定検を年に1度行っていたものを少なくとも2年に1度にできる。Ni基合金にはMo2%以下,Zr0.3%以下,Hf0.5%以下,Re0.5%以下,Y0.2%以下の少なくとも1種を含むことが好ましい。
燃焼器はタービンの周囲に複数個設けられるとともに、外筒と内筒との2重構造からなり、内筒は重量でC0.05〜0.2%,Si2%以下,Mn2%以下,Cr20〜25%,Co0.5〜5%,Mo5〜15%,Fe10〜30%,W5%以下,B0.02%以下を含むNi基合金又はFeの代りにNi25〜40%を含む耐熱鋼からなり、板厚2〜5mmの塑性加工材を溶接又は一体鋳造,遠心鋳造によって構成され、円筒体全周にわたって空気を供給する三ケ月形のルーバ孔又は外表面に冷却フィンが設けられ、全オーステナイト組織を有する溶体化処理材が用いられる。冷却フィンは円筒体外周に所定の間隔と高さで一体にリング状に形成することによりルーバ孔なしに出来る。特にら旋状に形成するのも好ましい。鋳造管においては厚さ2〜5mmとなるのが好ましい。
本発明によれば、より高温度で、翼部長さが33.3インチ以上である動翼を有する高低圧一体型蒸気タービンが製作できるので、小型で単機出力が増大でき、その結果熱効率の向上は勿論発電コストの低減効果が得られる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を具体的な実施例によって説明する。
表1は高低圧一体型蒸気タービン用動翼材に係る12%Cr鋼の化学組成(重量%)を示すものである。試料No.1〜No.6はそれぞれ150kg真空高周波溶解し、1150℃に加熱し鍛造して実験素材とした。試料No.1は、1000℃で1h加熱後油焼入れにより室温まで冷却し、次いで、570℃に加熱し、2h保持後室温まで空冷した。No.2は、1050℃で1h加熱後油焼入れにより室温まで冷却し、次いで、570℃に加熱し2h保持後室温まで空冷した。試料No.3〜No.7は、1050℃で1h加熱後油焼入れにより室温まで冷却し、次いで、560℃に加熱し2h保持後室温まで空冷し(1次焼戻し)、更に580℃に加熱し2h保持後室温まで炉冷した(2次焼戻し)。
Figure 0004368872
表1において、No.3,4,5及び7は本発明材、No.6は比較材,No.1及び2は、現用の長翼材である。
表2はこれら試料の室温の機械的性質を示す。本発明材(No.3,4,5及び7)は、蒸気タービン用長翼材として要求される引張強さが120kgf/mm以上又は128.5kgf/mm以上であり、)又、No.5を除き低温靭性(20℃Vノッチシャルピー衝撃値4kgf−m/cm以上)を十分満足することが確認された。
これに対し、比較材のNo.1及び6は、蒸気タービン用長翼に使用するには、引張強さと衝撃値とで示される両方又はいずれかの値が低い。比較材No.2は、引張強さ及び靭性が低い。No.5は、衝撃値が3.8kgf−m/cm2と若干低く、43インチ以上に対しては4kgf−m/cm以上の要求に若干不足である。
Figure 0004368872
図1は(Ni−Mo)量と引張強さとの関係を示す線図である。本実施例においてはNiとMo量とは同等の含有量で含有させることによって低温における強度と靭性とをともに高めるものであり、両者の含有量の差が大きくなるに従って強度が低下する傾向を示す。Ni量がMo量より0.6%以上少なくなると急激に強度が低下し、逆に1.0%以上多くなることによっても急激に強度が低下する。従って、(Ni−Mo)量が−0.6〜1.0%が高い強度を示す。
図2は(Ni−Mo)量と衝撃値との関係を示す線図である。図に示す如く、(Ni−Mo)量は−0.5%付近で衝撃値が低下するがその前後では高い値を示す。
図3〜図6は、試料No.3の引張強さ及び衝撃値に及ぼす熱処理条件(焼入れ温度及び2次焼戻し温度)の影響を示す線図である。焼入れ温度は975〜1125℃,1h焼戻し550〜560℃で行った後、2次焼戻し温度は560〜590℃である。図に示すように、長翼材として要求される特性(引張強さ≧128.5kgf/mm2,20℃ノッチシャルピー衝撃値≧4kgf−m/cm)を、満足することが確認された。尚、図3及び図5の2次焼戻し温度は、575℃であり、図4及び図6の焼入れ温度は1050℃である。
本発明に係る12%Cr鋼は特に、C+Nb量が0.18〜0.35%で(Nb/C)比が0.45〜1.00、(Nb/N)比が0.8〜3.0が好ましい。
表3は実施例1と同様に蒸気タービン用動翼材に係る12%Cr系鋼の化学組成(重量%)を示すものである。各試料は真空アーク溶解し、1150℃付近で鍛造したものである。
表4は各試料の熱処理とその室温の機械的性質及び金属組織を示すものである。全試料とも全焼戻しマルテンサイト組織を有している。各試料の平均結晶粒径は粒度番号(GSNo.)で5.5〜6.0である。
Figure 0004368872
Figure 0004368872
図7は実施例1の試料と合せて20℃Vノッチシャルピー衝撃値と引張強さとの関係を示す線図である。図に示すように本実施例での衝撃値はいずれも2.5kgf−m/cm以上の高い値であり、更に衝撃値(y)は77.2から引張強さ(x)に0.6倍した値を差し引いた値以上とするのが好ましく、より80.4から同様に差し引いた値以上、特に84.0から差し引いた値以上とするのがより好ましい。
図8は0.2%耐力と引張強さとの関係を示す線図である。本発明に係る材料は特に、0.2%耐力(y)が36.0に引張強さ(x)を0.5倍した値を加えた値以上とするものが好ましい。
図9は0.2%耐力と0.02%耐力との関係を示す線図である。本発明に係る材料は特に0.2%耐力(y)が58.4に0.02%耐力(x)を0.54倍した値を加えた値以上とするものが好ましい。
表5は本発明に係る高低圧一体型蒸気タービンロータの靭性及びクリープ破断試験に供した代表的な試料の化学組成を示す。試料は真空高周波溶解炉で溶解・造塊し、温度850〜1150℃で30mm角に熱間鍛造した。試料No.21〜No.23及びNo.27〜No.31は本発明に係る材料である。試料No.24〜No.26は比較のため溶製したものであり、No.25はASTM規格A470class8相当材、No.26はASTM規格A470class7相当材である。これら試料は、高低圧一体型蒸気タービンロータシャフト中心部の条件をシミレートして、950℃に加熱しオーステナイト化した後、100℃/hの速度で冷却し焼入した。ついで、665℃×40h加熱し炉冷し、焼戻し処理した。本発明に係るCr−Mo−V鋼はフエライト相を含まず、全ベーナイト組織であつた。
Figure 0004368872
本発明に係る鋼のオーステナイト化温度は900〜1000℃にする必要である。900℃未満では高い靭性が得られるもので、クリープ破断強度が低くなってしまう。1000℃を越える温度では高いクリープ破断強度が得られるものの、靭性が低くなってしまう。焼戻し温度は630℃〜700℃にする必要がある。630℃未満では高い靭性が得られず、700℃を越える温度では高いクリープ破断強度が得られない。
表6は引張,衝撃及びクリープ破断試験結果を示す。靭性は温度20℃で試験したVノッチシャルピー衝撃吸収エネルギーで示した。クリープ破断強度はラルソンミラー法で求めた538℃,10h強度で示した。表から明らかなように本発明に係る材料は、室温の引張強さが88kg/mm以上,0.2%耐力70kg/mm以上,FATT40℃以下、衝撃吸収エネルギーが加熱前後でいずれも2.5kg−m以上及びクリープ破断強度が約11kg/mm以上と高く、高低圧一体型タービンロータとしてきわめて有用であると言える。特に、33.5インチ長翼を植設するタービンロータ材としては約15kg/mm以上の強度を有するものがよい。
Figure 0004368872
また、No.2,No.5(現用高圧ロータ相当材)及びNo.6(現用低圧ロータ材)の脆化特性を調べるため、500℃×3000h脆化処理前後の試料について衝撃試験を行い50%破面遷移温度(FATT)を調べた。No.5のFATTは119℃から135℃に(ΔFATT=16℃),No.6のFATTは−20℃から18℃に(ΔFATT=38℃)、脆化処理によってFATTが上昇(脆化)してしまう。これに対し、本発明に係るNo.3のFATTは、脆化処理前後とも38℃で、脆化しないことも確認された。
No.8〜No.11は、それぞれ、希土類元素(La−Ce),Ca,Zr、及びAl添加材であるが、これらの元素添加により靭性が向上する。特に希土類元素の添加が靭性向上に有効である。La−CeのほかY添加材についても調べ、著しい靭性向上効果のあることを確認している。
また、Oを100ppm以下にすることにより約12kg/mm以上の高い強度が得られ、特に80ppm以下で15kg/mm以上で、更に40ppm以下で18kg/mm以上の高いクリープ破断強度が得られる。
538℃,10時間クリープ破断強度は、Ni量が増加するにつれて低下傾向を示し、特に、Ni量が2%以下では約11kg/mm以上の強度を示す。特に、1.9%以下では12kg/mm以上の強度を有する。
図10は500℃,3000時間加熱後の衝撃値とNi量との関係を示す線図である。図に示す如く(Si+Mn)/Ni比が0.18以下又はMn/Ni比が0.12以下のものはNi量の増加によって高い衝撃値が得られるが、比較のNo.12〜No.14の(Si+Mn)/Ni比が0.18を越えるもの又はMn/Ni比が0.12を越えるものは2.4kg−m以下の低い値であり、Ni量が高くてもあまり関係しない。また、特定のNi量において衝撃値に及ぼすMn又はSi+Mnの影響がきわめて大きいことが明らかである。Mn量が0.2%以下又はSi+Mn量が0.25以下できわめて高い衝撃値を有する。従って、Mn/Ni比が0.12以下、(Si+Mn)/Ni比が0.18以下で2.5kg−m以上の高い衝撃値を示す。
炭化物生成元素であるVとMoの和と焼入性向上元素であるNiとCrの和の比とクリープ破断強度及び衝撃吸収エネルギーとの関係成分比(V+Mo)/(Ni+Cr)が約0.7までは、成分比が大きくなるにつれて高くなる。衝撃吸収エネルギーは上記の成分比が大きくなるにつれて低くなる。高低圧一体型タービンロータとして必要な靭性及びクリープ破断強度は(V+Mo)/(Ni+Cr)0.45〜0.7にすることによって優れた特性が得られる。
加熱脆化後の衝撃値とNi量1.6〜1.9%を含むもののMn量又はSi+Mn量との関係を調べた結果、特定のNi量において衝撃値に及ぼすMn又はSi+Mnの影響がきわめて大きく、Mn量が0.2%以下又はSi+Mn量が0.07〜0.25できわめて高い衝撃値を有することがわかった。
Ni量が1.52〜2.0%を含むもののMn/Ni又は(Si+Mn)/Ni比との関係を調べた結果、Mn/Ni比が0.12以下、Si+Mn/Ni比が0.04〜0.18で2.5kg−m以上の高い衝撃値を示すことが分った。
図11に本発明に係る高低圧一体型蒸気タービンの部分断面図を示す。この高低圧一体型蒸気タービンの主蒸気入口部の蒸気圧力100atg,温度536に上昇させることによりタービンの単機出力の増加を図ることができる。単機出力の増加は、最終段動翼の翼長を増大し、蒸気流量を増す必要がある。例えば、最終段動翼の翼長を26インチから33.5インチ長翼にすると環帯面積が1.7倍程度増える。したがって、従来出力100MWから170MWに、さらに40インチまで翼長を長くすれば、単機出力を2倍以上に増大することができる。
発電サイクルに応じて33インチ以上又は40インチ以上の長翼を使用する場合、高低圧一体型ロータシャフト材として引張強さ88kg/mm以上、538℃,10hクリープ破断強度15kg/mm以上、低圧側の脆性破壊に対する安全性確保の点から室温の衝撃吸収エネルギー2.5kg−m(3kg−m/cm)以上の材料が好ましい。
本発明に係る蒸気タービンは高低圧一体型ロータシャフト3に植設された動翼4を13段備えており、蒸気は蒸気コントロールバルブ5を通って蒸気入口1より前述の如く538℃,88atgの高温高圧で流入する。蒸気は入口1より一方向に流れ、蒸気温度33℃,722mmHgとなって最終段の動翼4より蒸気出口2より排出される。本発明に係る高低圧一体型ロータシャフト3は538℃蒸気から33℃の温度までさらされるので、本実施例で記載した特性のNi−Cr−Mo−V低合金鋼の鍛鋼が用いられる、高低圧一体型ロータシャフト3の動翼4の植込み部はディスク状になっており、高低圧一体型ロータシャフト3より一体に切削されて製造される。ディスク部の長さは動翼の長さが短いほど長くなり、振動を少なくするようになっている。本実施例における各部の材料組成は次の通りである。
(1)ロータシャフト
ロータシャフト材としてNo.2の合金組成をエクレトロスラグ再溶解によって各々製造し、直径1.2mに鍛造し、950℃,10時間加熱保持した後、中心部で約100℃/hとなるようにシャフトを回転しながら水噴霧冷却を行った。次いで665℃で40時間加熱保持の焼戻しを行った。このロータシャフト中心部より試験片を切り出しクリープ破断試験、加熱前後(500℃,3000時間加熱後)のVノッチ衝撃試験(試験片の断面積0.8cm)、引張試験を行ったが、前述とほぼ同等の値であった。
(2)動翼
高温高圧側の3段の翼部長さが約40mmで、重量でC0.20〜0.30%,Cr10〜13%,Mo0.5〜1.5%,W0.5〜1.5%,V0.1〜0.3%,Si0.5%以下,Mn1%以下及び残部Feからなるマルテンサイト鋼の鍛鋼で構成した。
中圧部は低圧側になるに従って徐々に長さが大きくなり、重量でC0.05〜0.15%,Mn1%以下,Si0.5%以下,Cr10〜13%,Mo0.5%以下,Ni0.5%以下,残部Feからなるマルテンサイト鋼の鍛造で構成した。
最終段として、60サイクルに対して翼部長さ35インチでは、一周で約90本あり、重量でC0.13〜0.20%,Mn1%以下,Si0.25%以下,Cr8〜13%,Ni2.0〜3.5%,Mo1.5〜3.0%,V0.05〜0.35%,N0.02〜0.10%,Nb及びTaの1種以上を合計量で0.02〜0.20%を含むマルテンサイト鋼の鍛造によって構成した。特に、本実施例では実施例1の表1のNo.2の合金を用いた。また、この最終段にはステライト板からなるエロージョン防止のシールド板が溶接によってその先端で、リーデングエッヂ部に設けられる。またシールド板以外に部分的な焼入れ処理が施される。更に、50サイクルには43インチ以上の翼部長さのものが同様のマルテンサイト鋼の鍛造材が用いられる。
これらの動翼は各段で4〜5枚をその先端に設けられた突起テノンのかしめによる同材質からなるシュラウド板によって固定される。
(3)静翼7には、高圧の3段までは動翼と同じ組成のマルテンサイト鋼が用いられるが、他には前述の中圧部の動翼材と同じものが用いられる。
(4)ケーシング6には、重量でC0.15〜0.3%,Si0.5%以下、Mn1%以下,Cr1〜2%,Mo0.5〜1.5%,V0.05〜0.2%,Ti0.1%以下のCr−Mo−V鋳鋼が用いられる。
発電機8により10〜20万KWの発電ができる。本実施例におけるロータシャフトの軸受12の間は約520cm、最終段ブレードにおける外径316cmであり、この外径に対する軸間比が1.65である。発電容量として10万KWが可能である。この軸受間の長さは発電出力1万KW当り0.52mである。
また、本実施例において、最終段動翼として40インチを用いた場合の外径は365cmとなり、この外径に対する軸受間比が1.43となる。これにより発電出力20万KWが可能であり、1万KW当りの軸受間距離が0.26mとなる。
これらの最終段動翼の長さに対するロータシャフトのブレード植込み部の外径との比は33.5インチでは1.70及び40インチでは1.71である。
本実施例では蒸気温度を566℃としても適用でき、その圧力を121,169及び224atgの各々の圧力でも適用できる。
表7は本発明に係る高低圧一体型蒸気タービン用ロータシャフトに係る代表的な試料の化学組成(重量%)である。No.41及び42は各々高圧ロータシャフト及び低圧ロータシャフトとして使用されている従来鋼,No.43〜52が本発明に係る鋼である。本発明に係る鋼はいずれも高周波真空溶解炉にて溶解後、造塊後900〜1150℃で熱間鍛造を行った。これら試料は、高低圧一体型蒸気タービンロータシャフト中心部の条件をシミレートして、950℃に加熱しオーステナイト化した後、100℃/hの速度で冷却し焼入した。次いで、665℃×40h加熱し炉冷し、焼戻し処理した。本発明に係るNi−Cr−Mo−V鋼はフェライト相を含まず、全ベーナイト組織であった。
Figure 0004368872
本発明に係る鋼のオーステナイト化温度は870〜1000℃にする必要がある。870℃未満では高い靭性が得られるもので、クリープ破断強度が低くなってしまう。1000℃を越える温度では高いクリープ破断強度が得られるものの、靭性が低くなってしまう。焼戻し温度は610℃〜700℃にする必要がある。61℃℃未満では高い靭性が得られず、700℃℃越える温度では高いクリープ破断強度が得られない。
表8は引張,衝撃及び切欠クリープ破断試験結果を示す。靭性は温度20℃で試験したVノッチシャルピー衝撃吸収エネルギーで示した。クリープ破断強度はラルソンミラー法で求めた538℃,10h強度で示した。表から明らかなように本発明材は、室温の引張強さが88kg/mm以上,0.2%耐力70kg/mm以上,FATT40℃以下,衝撃吸収エネルギーが加熱前後でいずれも2.5kg−m以上及びクリープ破断強度が約12kg/mm以上と高く、高低圧一体型タービンロータとしてきわめて有用であると言える。特に、33.5インチ長翼を植設するタービンロータ材としては約15kg/mm以上の強度を有するものがよい。
Figure 0004368872
試料No.47〜No.52は、それぞれ、希土類元素(La−Ce),Ca,Zr、及びAl添加材であるが、これらの元素添加により靭性が向上する。特に希土類元素の添加が靭性向上に有効である。La−CeのほかY添加材についても調べ、著しい靭性向上効果のあることを確認している。
更に、(Ni/Mo)比が1.25以上及び(Cr/Mo)比が1.1以上、又は(Cr/Mo)比が1.45以上、及び(Cr/Mo)比が〔−1.11×(Ni/Mo)+2.78〕によって求められる値以上とすることにより全体を同じ熱処理とすることにより538℃,10時間クリープ破断強度が12kg/mm以上の高い強度が得られる。
図12に本発明に係る再熱型高低圧一体型蒸気タービンの部分断面図を示す。本発明に係る蒸気タービンは再熱型で高低圧一体型のロータシャフト3に植設された動翼4を高圧部6段,中圧部4段,低圧部4段の14段備えており、高圧蒸気は蒸気のコントロールバルブ5を通って蒸気入口21より前述の如く538℃,169atgの高温高圧側に流入する。蒸気は入口より左側方向に流れ、高圧蒸気出口22より出て、再び538℃に加熱されて再熱蒸気入口23より中圧タービン部に送られる。中圧タービン部に入った蒸気は低圧タービン部へと送られるとともに低圧蒸気入口24からも蒸気が送られる。そして蒸気温度33℃,722mmHgとなって最終段の動翼4より排出される。
本発明に係る高低圧一型体ロータシャフト3は538℃蒸気から33℃の温度までさらされるので、前述した特性のNi−Cr−Mo−V低合金鋼の鍛鋼が用いられる。高低圧一体型ロータシャフト3の動翼4の植込み部はディスク状になっており、高低圧一体型ロータシャフト3より一体に切削されて製造される。ディスク部の長さは動翼の長さが短いほど長くなり、振動を少なくするようになっている。蒸気入口に対し高圧側の動翼4は5段以上の6段あり、2段以降同じ間隔で配置され、初段と2段との間隔は2段以降の間隔の1.5〜2.0倍であり、更に動翼植込部の軸方向の幅は初段が最も厚く、2段目より最終段にかけて段階的に徐々に厚く、初段の厚さは2段目の厚さの2〜2.6倍である。
蒸気入口に対して中圧側の動翼4は4段あり、動翼植込部の軸方向の幅は初段と最終段が同等の厚さで最も厚く、2段及び3段目と下流側に向って大きくなる。低圧部は4段で、動翼植込部の軸方向の幅は最終段の厚さはその直前の厚さの2.7〜3.3倍、最終段の直前の厚さはその直前の厚さの1.1〜1.3倍である。中圧部の初段から4段目までの動翼の中心間の間隔はほぼ同じ間隔であり、低圧部は初段以降最終段にかけて間隔が大きくなり、各段の間隔の前段の間隔に対する比が下流側で大きくなっており、更に初段の間隔が前段の間隔に対する比が1.1〜1.2倍及び最終段と前段との間隔の前段における間隔に対する比が1.5〜1.7倍である。
動翼の長さは中圧・低圧側が初段から最終段にかけて徐々に大きくなり、各段の前段に対する長さは1.2〜2.1倍有し、5段目まで1.2〜1.35倍で長くなり、低圧部2段目が1.5〜1.7倍、3段及び4段が各々1.9〜2.1倍である。
本実施例における各段の長さは中圧部より2.5″,3″,4″,5″,6.3″,10″,20.7″及び40″である。14は内部ケーシング、15は外部ケーシングである。
図13は本発明に係る高低圧一体型ロータシャフトの形状である。本実施例のロータシャフトは表9に示す合金組成の鍛鋼をアーク溶解炉にて溶解後、取鍋に注湯し、次いで取鍋の下部よりArガスを吹き込み真空精錬して、造塊した。次いで、900〜1150℃で最大直径1.7m,長さ約8mに鍛造し、高圧側16を950℃,10時間,中圧・低圧側17を880℃,10時間加熱保持した後、中心部で約100℃/hとなるようにシャフトを回転しながら水噴霧冷却を行った。次いで高圧側6を650℃で40時間,低圧側7を625℃で40時間加熱保持の焼戻しを行った。このロータシャフト中心部より試験片を切り出しクリープ破断試験,Vノッチ衝撃試験(試験片の断面積0.8cm),引張試験を行った。表10は試験結果を示すものである。
尚、図に示すように高圧側16及び中圧・低圧側17の各ブレードの植込み部18の軸方向の幅と間隔は前述のとおりである。19は軸受の部分、20はカップリングである。
Figure 0004368872
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高圧部の動翼部及び静翼部における直径は各段において同一であり、中圧部から低圧部においては動翼部では徐々に直径が大きくなり、中圧部初段から4段までは静翼部での直径は同じ、4段〜6段間での静翼部での直径は同じ、6段〜8段までの静翼部での直径は同じで、後段になるにつれて直径が大きくなった。
また、最終段の翼植込部の軸方向幅は翼部長さに対し0.3倍であり、0.28〜0.35倍とするのが好ましい。ロータシャフトはその最終段での翼部直径が最も大きく、その直径は翼部長さの1.72倍であり、1.60〜1.85倍とするのが好ましい。更に、軸受間長さは最終段動翼における翼部先端間の直径に対して1.65倍であり、1.55〜1.75倍とするのが好ましい。
本実施例では発電機により10〜20万KWの発電ができる。本実施例におけるロータシャフトの軸受32の間は約520cm、最終段動翼における外径316cmであり、この外径に対する軸間比が1.65である。この軸受間の長さは発電出力1万KW当り0.52mである。
また、本実施例において、最終段動翼として40インチを用いた場合の外径は365cmとなり、この外径に対する軸受間比が1.43となる。これにより発電出力20万KWが可能であり、1万KW当りの軸受間距離が0.26mとなる。
これらの最終段動翼の翼部長さに対するロータシャフトの動翼植込み部の外径との比は33.5インチでは1.70及び40インチでは1.71である。本実施例では蒸気温度を566℃としても適用でき、その圧力を121,169及び224atgの各々の圧力に適用できる。
図14は再熱型高低圧一体型蒸気タービンの構成例を示す断面図である。538℃,126atgの蒸気は入口21から入り、高低圧一体型ロータシャフト3の高圧部を通って温度367℃,38atgとなって高圧蒸気出口22より出て、更に再熱器により538℃,35atgに加熱された蒸気が再熱蒸気入口23より入り高低圧一体型ロータシャフト3の中圧部へと入るとともに低圧へと通り、約46℃,0.1atgの蒸気として出口より排出される再熱型のものである。22から出た蒸気は一部他の熱源として使用され、24よりタービンの熱源として再び供給される。
本実施例においても前述の実施例2又は3と同様に高低圧一体型ロータシャフト3,動翼4,静翼7,ケーシング6の材料は同じものが用いられる。最終段動翼は43インチの翼部長さのものが用いられ、発電出力は125万KWである。最終段の動翼は実施例3と同様のマルテンサイト鋼が用いられる。軸受12間は約655cmであり、最終段動翼として43インチでは直径382cmで、この外径に対する軸受間比は1.72である。
本発明に係る蒸気タービンは再熱型で高低圧一体型ロータシャフト3に植設された動翼4を高圧側7段,中圧側6段,低圧側5段の18段備えている。高圧蒸気は蒸気のコントロールバルブを通って蒸気入口21より前述の如く538℃,169atgの高温高圧側に流入する。高圧蒸気は入口より一方向に流れ、高圧蒸気出口22より出て、再び538℃に加熱されて再熱蒸気入口23より中圧タービン部に送られる。中圧タービン部に入った蒸気は低圧タービン部へと送られるとともに低圧蒸気入口24からも蒸気が送られる。そして蒸気温度33℃,722mmHgとなって最終段の動翼4より排出される。本発明に係る高低圧一型体ロータシャフト3は538℃蒸気から33℃の温度までさらされるので、前述した特性のNi−Cr−Mo−V低合金鋼の鍛鋼が用いられる。高低圧一体型ロータシャフト3の動翼4の植込み部はディスク状になっており、高低圧一体型ロータシャフト3より一体に切削されて製造される。ディスク部の長さは動翼の長さが短いほど長くなり、振動を少なくするようになっている。
蒸気入口に対し高圧タービン部の動翼は5段以上の7段あり、初段から最終段の前まではほぼ同じ間隔で配置され、最終段とその前との間隔は2段以降の間隔の1.1〜1.3倍である。更に動翼植込部の軸方向の幅は初段及び最終段が最も厚く、初段と最終段を除きほぼ同じ厚さである。初段の厚さは2段目の厚さの2〜2.6倍である。
中圧タービン部は6段あり、動翼中心間間隔は初段と2段目までが最も大きく、2段目以降最終段までほぼ同じ間隔である。初段と2段目との間隔はそれ以降の間隔の1.1〜1.5倍である。
蒸気入口に対して低圧タービン部の動翼は5段である。中心部での間隔は初段から最終段にかけて徐々に広くなり最終段は初段の4.0〜4.8倍である。ブレード植込部の軸方向の幅は最終段が最も厚く、最終段より上流側に向って段階的に小さくなり、最終段の厚さはその直前の厚さの2.0〜2.8倍、最終段の直前の厚さはその直前の厚さの1.0〜1.5倍である。初段は、最終段の0.20〜0.25倍の厚さである。
動翼の翼部長さは低圧側タービン部が初段から最終段にかけて徐々に大きくなり、最終段の長さは43インチの長さを有し、最終段の前段に対する長さは1.8〜2.2倍、その前段はその前段の1.7〜2.1倍有し以降前段に対し1.1〜1.5倍で長くなる。
中圧側タービン部のブレードの翼部長さは初段より最終段にかけて除々に大きくなり、最終段は初段の3〜3.5倍である。
本実施例における中圧部25から低圧部26の各段の長さは1.6″,2.1″,2.1″,2.6″,3″,4.7″,6.2″,9.3″,11.9″,22.2″及び43″である。14は内部ケーシング、15は外部ケーシングである。
図15は本発明に係る高低圧一体型ロータシャフト3の形状である。本実施例のロータシャフトは表9に示す合金組成とほぼ同一の鍛鋼を実施例4と同様の方法によって各々製造し、最大直径1.7m,長さ約8mに鍛造し、高圧と中圧側を950℃,10時間,低圧側7を880℃,10時間加熱保持した後、中心部で約100℃/hとなるようにシャフトを回転しながら水噴霧冷却を行った。次いで高圧と中圧側を655℃で40時間,低圧側7を620℃で40時間加熱保持の焼戻しを行った。このロータシャフト中心部より試験片を切り出しクリープ破断試験,Vノッチ衝撃試験(試験片の断面積0.8cm),引張試験を行った試験結果は実施例4と同様である。
最終段動翼部の直径は380cmであり、その直径に対する軸受間比は1.72であり、1.60〜1.85が好ましい。軸受間距離は発電出力1万KW当り前者が0.52mであり、0.45〜0.70が好ましい。
高圧部及び中圧部での動翼部及び静翼部でのロータシャフト直径は各動翼の段で同じであり、中圧部での動翼最終段で若干その直径が大きくなっている。低圧部での直径は動翼部及び静翼部で段階的に大きくなっており、最終段とその前での直径はいずれも同じである。最終段動翼の翼部長さに対する翼植込部の軸方向幅は0.30倍で、0.28〜0.32倍とするのが好ましい。また、最終段での翼植込部直径は翼部長さに対し1.50倍で、1.46〜1.55倍とするのが好ましい。
図16は1092mm(43インチ)の翼部長さを有する動翼の斜視図である。本実施例の動翼は、高速蒸気が突き当たる翼部51、ロータシャフトへの植込部52、翼の遠心力を支えるためのピンを挿入する穴53、蒸気中の水滴によるエロージョンを防止するためのエロージョンシールド54(Co基合金のステライト板を溶接で接合)、カバー57を有する。本実施例においては全体一体の鍛造後に切削加工によって形成されたものである。尚、カバー57は機械的に一体に形成することもできる。
43インチの翼部長さを有する動翼は、エレクトロスラグ再溶解法により溶製し、鍛造熱・処理を行ったものである。鍛造は850〜1150℃の温度範囲内で、熱処理は実施例1に示した条件(焼入:1050℃,1次焼きもどし:560℃,2次焼きもどし:580℃)で行った。表1のNo.7はこの長翼材の化学組成(重量%)を示す。この長翼の金属組織は全焼戻しマルテンサイト組織であった。
表1のNo.7には室温引張及び20℃Vノッチシャルピー衝撃値を示す。本43インチ長翼の機械的性質は、要求される特性,引張強さ128.5kgf/mm以上,20℃Vノッチシャルピー衝撃値4kgf−m/cm以上を有し、十分満足することが確認された。
図17は本実施例におけるエロージョンシールド(ステライト合金)54を電子ビーム溶接又はTIG溶接56によって接合した状態を示す断面と斜視図である。図に示すようにシールド54は表と裏側との2個所で溶接される。
図18はガスタービン2台と、実施例3〜5の高低圧一体型蒸気タービン1台と併用した多軸型コンバインドサイクル発電システムを示す概略図である。
ガスタービンを利用して発電を行う場合、近年では液化天然ガス(LNG)を燃料としてガスタービンを駆動するとともにガスタービンの排ガスエネルギーを回収して得た水蒸気で蒸気タービンを駆動し、この蒸気タービンとガスタービンとで発電機を駆動するようにした、いわゆる複合発電方式を採用する傾向にある。この複合発電方式を採用すると、従来の蒸気タービン単独の場合の熱効率40%に比べ約44%と熱効率を大幅に向上させることが可能となる。
このような複合発電プラントにおいて、最近ではさらに、液化天然ガス(LNG)専焼から液化石油ガス(LPG)との両用を図ったり、LNG,LPGの混焼の実現によって、プラント運用の円滑化,経済性の向上化を図ろうとするものである。
まず、空気は吸気フィルタと吸気サイレンを通ってガスタービンの空気圧縮機に入り空気圧縮機は、空気を圧縮し圧縮空気を低NOx燃焼器へ送る。そして、燃焼器では、この圧縮空気の中に燃料が噴射され燃焼して1200℃以上の高温ガスを作りこの高温ガスは、タービンで仕事をし動力が発生する。
タービンから排出された530℃以上の排気は、排気消音装置を通って排熱回収ボイラへ送られ、ガスタービン排気中の熱エネルギーを回収して530℃以上の高圧水蒸気を発生する。このボイラには乾式アンモニア接触還元による脱硝装置が設けられている。排ガスは3脚集合型の数百mもある煙突から外部に排出される。発生した高圧および低圧の蒸気は高低圧一体型ロータからなる蒸気タービンに送られる。蒸気タービンは以後に示される。
また、蒸気タービンを出た蒸気は、復水器に流入し、真空脱気されて復水になり、復水は、復水ポンプで昇圧され給水となってボイラへ送られる。そして、ガスタービンと蒸気タービンは夫々、発電機をその両軸端から駆動して、発電が行われる。このような複合発電に用いられるガスタービン翼の冷却には、冷却媒体として蒸気タービンで利用される蒸気を用いることもある。
一般には翼の冷却媒体としては空気が用いられているが、蒸気は空気と比較して比熱が格段に大きく、また重量が軽いため冷却効果は大きい。比熱が大きいために冷却に利用された蒸気を主流ガス中に放出すると主流ガスの温度低下がはげしくプラント全体の効率を低下させるので蒸気タービン内の比較的低温(例えば約300〜400℃程度)の蒸気をガスタービン翼の冷却媒体供給口から供給し、翼本体を冷却,熱交換して比較的高温になった冷却媒体を回収して蒸気タービンに戻すように構成して、主流ガス温度(約1300℃〜1500℃程度)の低下を防止すると共に蒸気タービンの効率向上、ひいてはプラント全体の効率を向上させることができる。
この多軸型コンバインド発電システムによりガスタービンが5〜30万KW、蒸気タービンにより5〜20万KWのトータルで10〜50万KWの発電を得ることができ、本実施例における蒸気タービンはコンパクトとなり、また複数のガスタービン及び蒸気タービン全体で70〜100万KWの発電が可能で、大型蒸気タービンに比べ同じ発電容量に対し経済的に製造可能となり、発電量の変動に対して経済的に運転できる大きなメリットが得られる。
図19は本実施例のガスタービンの回転部分の部分断面図である。本実施例のガスタービンはコンプレッサディスク36が17段あり、又タービンブレード33が2段〜4段のものがあり、タービンスタブシャフト30、タービンブレード33、タービンスタッキングボルト43、タービンスペーサ38、ディスタントピース39、タービンノズル40、コンプレッサディスク36、コンプレッサブレード37、コンプレッサスタッキングボルド48、コンプレッサスタブシャフト39、タービンディスク34を有する。
本実施例におけるガスタービンは3段のノズルとブレードとを有し、初段ノズル40a,初段ブレード33aは燃焼ガス流に沿った翼部長さが入口及び出口側ともに同じであるが、2段目以降のノズル及びブレードともに翼部長さが入口側より出口側が長くなる。2段ノズル40bは1.25〜1.45倍、2段ブレード33bは1.0〜1.2倍、3段ノズル40cは1.1〜1.3倍、3段ブレード33cは1.00〜1.05倍いずれも出口側が入口側より長くなる。ノズルとブレードの軸間距離は初段に対し、2段目が1.85〜2.05倍、3段目が2.3〜2.5倍の距離を有する。
タービンブレード33はいずれも翼部,プラットフォーム,シャンク及びタービンディスク34への植込部となる逆クリスマストリー型のダブティルを有し、シャンク部にシールフィン41が設けられ、更に内部に空気又は水蒸気冷却用の冷却孔が設けられる。冷却孔は初段では翼部の先端とトレーリングエッジとから外部に冷却媒体が出るように設けられ、2段ブレードは先端部に出るように設けられる。シールフィン41は初段には両側に2ケずつ、2段,3段には1ケずつ設けられる。2段,3段の先端にはシュラウド50との摺動が円滑に行われるように2ケの突起を有するシール用部材が設けられる。
タービンノズル40は初段が翼部にリーデングエッジ,トレーリングエッジに冷却媒体が外部に出るように冷却孔が設けられ、翼部表面に冷却媒体による層流が得られるように設けられる。2段目にはトレーリングエッジに冷媒が出るように冷却孔が設けられる。3段目には冷却孔は設けていないが、燃焼ガス温度が1300℃を越える場合には2段目と同様に冷却孔を設けるのが好ましい。
本実施例におけるガスタービンは、主な形式がヘビーテューティ形,一軸形,水平分割ケーシング,スタッキング式ロータからなり、圧縮機が17段軸流形,タービンブレードが3段インパルス形,1,2段空気冷却による静動翼,燃焼器がバースフロー形,16缶,スロットクール方式を有するものである。
表11に示す材料(重量%)について実物相当の大形鋼を、エレクトロスラグ再溶解法により溶製し、鍛造・熱処理を行った。鍛造は850〜1150℃の温度範囲内で、熱処理は表10に示す条件で行った。表11には試料の化学組成(重量%)を示す。これら材料の顕微鏡組織は、No.60〜63が全焼戻しマルテンサイト組織、No.64及び65が全焼戻しベーナイト組織であった。No.20はディスタントピース及び最終段のコンプレッサディスクに使用し、前者は厚さ60mm×幅500mm×長さ1000mm、後者は直径1000mm,厚さ180mm、No.61はディスクとして直径1000mm×厚さ180mmに、No.62はスペーサとして外径1000mm×内径400mm×厚さ100mmに、No.63はタービン,コンプレッサのいずれのスタッキングボルトとして直径40mm×長さ500mm、No.63の鋼を用い同様にディスタントピースとコンプレッサディスクとを結合するボルトも製造した。No.64及び65はそれぞれタービンスタブシャフト及びコンプレッサスタブシャフトとして直径250mm×長さ300mmに鍛伸した。更に、No.64の合金をコンプレッサディスク6の13〜16段に使用し、No.65の鋼をコンプレッサ6の初段から12段まで使用された。これらはいずれもタービンディスクと同様の大きさに製造した。試験片は熱処理後、試料の中心部分から、No.63を除き、軸(長手)方向に対して直角方向に採取した。この例は長手方向に試験片を採取した。
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本発明に係るNo.60〜63(12Cr鋼)を見ると、450℃,10hクリープ破断強度が51kg/mm以上,20℃Vノッチシャルピー衝撃値が7kg−m/cm以上であり、高温ガスタービン用材料として必要な強度を十分満足することが確認された。
次にスタブシャフトのNo.64及び65(低合金鋼)は、450℃クリープ破断強度は低いが、引張強さが86kg/mm以上,20℃Vノッチシャルピー衝撃値が7kg−m/cm以上であり、スタブシャフトとして必要な強度(引張強さ81kg/mm,20℃Vノッチシャルピー衝撃値5kg−m/cm)を十分満足することが確認された。
このような条件におけるディスタントピースの温度及び最終段のコンプレッサディスクの温度は最高450℃となる。前者は25〜30mm及び後者は40〜70mmの肉厚が好ましい。タービン及びコンプレッサディスクはいずれも中心に貫通孔が設けられる。タービンディスクには貫通孔に圧縮残留応力が形成される。
更に、本発明のガスタービンはタービンスペーサ34,ディスタントピース49及びコンプレッサディスク36の最終段に重量で、C0.12%,Si0.04%,Mn0.21%,Cr11.10%,Ni2.55%,Mo2.03%,Nb0.04%,V0.23%,N0.05%を含む全焼戻マルテンサイ鋼からなる耐熱鋼を用い、構成した結果、圧縮比14.7,温度350℃以上,圧縮効率86以上,初段ノズル入口のガス温度が1260℃と可能となり、32%以上の熱効率が得られるとともに、前述の如くクリープ破断強度及び加熱脆化後の高い衝撃値が得られ、より信頼性の高いガスタービンが得られるものである。
タービンディスク34は3段有しており、ガス流の上流側より初段及び2段目には中心孔が設けられている。更に、本実施例ではコンプレッサディスク36のガス流の下流側での最終段、ディスタントピース49,タービンスペーサ38,タービンスタッキングボルト43及びコンプレッサスタッキングボルト48に表12に示す耐熱鋼を用いたものである。その他のタービンブレード33,タービンノズル40,燃焼器のライナ,コンプレッサブレード37,コンプレッサノズル,ダイヤフラム及びシュラウドを表12に示す合金によって構成した。特に、タービンノズル40及びタービンブレード33は鋳物によって構成される。
タービンブレード33には初段に重量で、C0.15〜0.20%,Si0.5%以下,Mn0.5%以下,Cr15〜17%,Co7.5〜9.5%,Mo1.5〜2.5%,B0.005〜0.015%,W2.1〜3.0%,Ti3〜4%,Al3〜4%,Nb0.5〜1.5%,Zr0.2%以下,Ta1.5〜2.5%を含むNi基合金、2段,3段にC0.10〜0.2%,Si0.5%以下,Mn0.5%以下,Cr14〜16%,Co8〜10%,Mo2.5〜3.7%,B0.01〜0.02%,W2.5〜4.5%,Ti3.5〜4.5%,Al4〜6%,Zr0.1%以下を含むNi基合金で、γ相にγ′相を含むものが好ましい。
タービンノズルには表12に示す初段がNi基合金、2,3段がCo基鍛造合金が好ましい。初段は翼部が1つであるが、2,3段は2ケとした。全段を1ケとしてもよい。
コンプレッサディスク36は各1連のブレードに対応した分割のもの、3連〜5連を一体にした分割のもの、全体を一体にしたもののいずれも可能であり、これらの材料に蒸気タービン用ロータシャフトに用いた材料を用いることができ、本実施例において同様に達成される。
シュラウドセグメント(1)はガス上流側の1段目に使用したもので、(2)は2段及び3段目に使用したものである。
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ライナー,動翼及び静翼には外表面にY安定化ジルコニア溶射層の遮熱コーテング層が火炎に接する部分に設けられる。特に、ベース金属とコーテング層との間に重量でAl2〜5%,Cr20〜30%,Y0.1〜1%を含む残部Ni又はNi+Coからなる合金層が設けられる。
以上の構成によって、圧縮比14.7,温度350℃以上,圧縮効率86%以上,初段タービンノズル入口のガス温度1260℃,排気温度530℃が可能になり、32%以上の熱効率が得られるとともに、タービンディスク,ディスタントピース,スペーサ,コンプレッサディスクの最終段,スタッキングボルトを前述の如く高いクリープ破断強度及び加熱脆化の少ない耐熱鋼が使用されるとともに、タービンブレードにおいても高温強度が高く、タービンノズルは高温強度及び高温延性が高く、燃焼器ライナは同様に高温強度及び耐疲労強度が高い合金が使用されているので、総合的により信頼性が高くバランスされたガスタービンが得られるものである。使用燃料として、天然ガス,軽油が使用される。
ガスタービンにはインタークーラーがあるものがほとんどであるが、本発明はインタークーラーのない場合ノズルがより高温になるので、それに特に好適である。本実施例でのタービン用ノズルは全周で初段で40ケ前後設けられる。
ガスタービン用ノズルはワックス模型をメチルエチルケトンにアクリル樹脂を溶解した液に浸漬し、通風乾燥した後、スラリー(ジルコンフラワー+コロイダルシリカ+アルコール)に浸漬してスタック(初層ジルコンサンド,2層以降シャモットサンド)を吹き付け、これを何回か繰返して鋳型を形成した。鋳型は脱ろうした後に900℃で焼成した。
次に、この鋳型を真空炉に設けるとともに、真空溶解によってNo.7の合金組成のものを溶解し、真空中で鋳型に鋳込んだ。このノズルは初段がサイドウォール間の翼部の幅が約74mm,長さ110mm,最も厚い部分で25mm,肉厚が3〜4mmで、先端で約0.7mmの空気通路のスリットが設けられている鋳物である。本実施例におけるノズルはピンフィン冷却,インピジメント冷却及びフィルム冷却用の穴が設けられている。先端のスリット部の肉厚は約1mmである。得られたノズルは前述と同様に溶体化処理を時効処理が非酸化性雰囲気中で行われる。
本実施例のノズルは1段及び2段目,3段目が表に示す構成であるが、2段及び3段目にも同様にNi基合金からなる2つの翼部からなるノズルとすることもできる。1段ノズルは両端が拘束されるが、2段,3段目は片側拘束である。2段目,3段目は1段のものより翼部幅が大きくなる。
インピジメント冷却孔を有するSUS304ステンレス管は本体に全周にわたってTIG溶接され、その部分より冷却空気が流入され、溶接部からの空気もれのないようにする。燃焼ガス出口側の内側にも冷却空気が出る穴が設けられている。
1段ノズルはサイドウォール両端で拘束される構造を有するが、2段目以降はサイドウォール外周側の片側で拘束される構造を有する。
また、プラントの構成として、ガスタービン,排熱回収ボイラ,蒸気タービン,発電機各1基からなる1組の発電システムを6組組み合わせた1軸型とすることもできる。
本実施例では、ガスタービン2台に蒸気タービン1台の多軸型であるが、4〜6台の各ガスタービンにて発電するとともに、各ガスタービンに設置された排熱回収ボイラより得た蒸気を1つにまとめて蒸気タービンを回転し発電する多軸型とすることもできる。
ガスタービンでは、空気を圧縮してこの中でLNGを燃焼させ、高温度の燃焼ガスにして、タービンを回すものである。
排熱回収ボイラでは、ガスタービンから出てくる燃焼ガスの熱を有効に回収して、蒸気を発生させ、この蒸気を蒸気タービンに導き、発電機を駆動するものである。
発電出力の割合は、約2/3をガスタービンが、残りの約1/3を蒸気タービンが分担させた。以上の複合発電方式には次のような効果が得られた。
従来の火力発電に比べ熱効率が2〜3%高くなります。また、部分負荷でもガスタービンの運転台数を減らすことにより、運転中の設備を熱効率の高い定格負荷付近で運転することが出来るため、プラント全体として高い熱効率が維持出来た。
複合発電は、起動停止が短時間で容易なガスタービンと小型で単純な蒸気タービンの組み合わせで成立っており、このため、出力調整が容易に出来、需要の変化に即応した中間負荷火力として最適である。
ガスタービンの信頼性は、最近の技術の発展により飛躍的に増大しており、また、複合発電プラントは、小容量機の組み合わせでシステムを構成しているので、万一故障が発生してもその影響を局部にとどめることが出来、信頼性の高い電源である。
複合発電の蒸気タービンの分担する出力は、プラント全体の約3分の1と小さいため、温排水量は同容量の従来汽力に比べ7割程度となる。
引張強さと(Ni−Mo)との関係を示す線図である。 衝撃値と(Ni−Mo)との関係を示す線図である。 引張強さと焼入温度との関係を示す線図である。 引張強さと焼戻温度との関係を示す線図である。 衝撃値と焼入温度との関係を示す線図である。 衝撃値と焼戻温度との関係を示す線図である。 衝撃値と引張強さとの関係を示す線図である。 0.2%耐力と引張強さとの関係を示す線図である。 0.2%耐力と0.02%耐力との関係を示す線図である。 加熱後の衝撃値とNiとの関係を示す線図である。 本発明に係る高低圧一体型蒸気タービンの断面図である。 本発明に係る高低圧一体型蒸気タービンの断面図である。 本発明に係る高低圧一体型蒸気タービン用ロータシャフトの断面図である。 本発明に係る高低圧一体型蒸気タービンの断面図である。 本発明に係る高低圧一体型蒸気タービン用ロータシャフトの断面図である。 本発明に係る最終段動翼の斜視図である。 本発明に係る動翼先端部の斜視図である。 本発明に係る複合発電プラントの全体図である。 本発明に係るガスタービンの断面図である。
符号の説明
1,21…蒸気入口、2…蒸気出口、3…高低圧一体型ロータシャフト、4…動翼、5…コントロールバルブ、6…ケーシング、7…静翼、8…発電機、12…軸受、14…内部ケーシング、15…外部ケーシング、22…高圧蒸気出口、23…再熱蒸気入口、24…低圧蒸気入口、30…タービンスタブシャフト、33…タービンブレード、34…タービンディスク、36…コンプレッサディスク、37…コンプレッサブレード、38…タービンスペーサ、40…タービンノズル、43…タービンスタッキングボルト。

Claims (8)

  1. 重量で、C0.13〜0.2%,Si0.25%以下,Mn1.00%以下,Cr8.0〜13.0%,Ni2〜3%,Mo1.8〜3.0%,V0.05〜0.35%,Nb及びTaの一種又は二種の合計量が0.02〜0.20%、及びN0.02〜0.10%を含有するマルテンサイト系鋼からなり、その室温の引張強さが1176.7N/mm以上であり、〔翼部長さ(インチ)×蒸気タービン回転数(rpm)〕が120,000以上であることを特徴とする高低圧一体型蒸気タービン用動翼。
  2. 一体のロータシャフトに蒸気の高圧側より低圧側にかけて多段に動翼を植設したロータと、該ロータを被うケーシングとを備えた高低圧一体型蒸気タービンにおいて、重量で、C0.13〜0.2%,Si0.25%以下,Mn0.90% 以下,Cr8.0〜13.0%,Ni2〜3%,Mo1.8〜3.0%,V0.05〜0.35%,Nb及びTaの一種又は二種の合計量が0.02〜0.20%、及びN0.02〜0.10%を含有するマルテンサイト系鋼からなり、その室温の引張強さが1176.7N/mm以上であり、〔翼部長さ(インチ)×蒸気タービン回転数(rpm)〕が120,000以上である前記動翼を有することを特徴とする高低圧一体型蒸気タービン。
  3. 請求項2において、前記回転数3000rpmに対して前記翼部長さが40インチ以上、又は、前記回転数3600rpmに対して前記翼部長さが33.3インチ以上であることを特徴とする高低圧一体型蒸気タービン。
  4. 請求項2又は3おいて、初段動翼への蒸気入口温度が530℃以上であり、前記ロータシャフトは高圧側のクリープ破断強度が低圧側のクリープ破断強度より高く又は低圧側の靭性が高圧側の靭性より高いベーナイト組織を有するNi−Cr−Mo−V低合金鋼よりなることを特徴とする高低圧一体型蒸気タービン。
  5. 請求項2〜4のいずれかにおいて、前記ロータシャフトは、重量で、C0.18〜0.28%,Si0.1%以下,Mn0.1〜0.3%,Cr1.5〜2.5%,Ni1.5〜2.5%,Mo1〜2%,V0.1〜0.35%,O0.003%以下を含有するNi−Cr−Mo−V低合金鋼からなることを特徴とする高低圧一体型蒸気タービン。
  6. 請求項2〜5のいずれかにおいて、前記ロータシャフトは、前記高圧側の初段動翼を植設する部分の中心部において538℃,10万時間クリープ破断強度が117.6N/mm以上及び前記低圧側の最終段動翼を植設する部分の中心部において室温引張強さが823.7N/mm以上で、前記中心部において50%脆性破面遷移温度が35℃以下、FATTが20℃以下及び室温のVノッチ衝撃値が39.2×10 J/m以上の少なくとも1つの特性を有することを特徴とする高低圧一体型蒸気タービン。
  7. 高速で流れる燃焼ガスによって駆動されるガスタービンと、該ガスタービンの排ガスのエネルギーによって水蒸気を得る排熱回収ボイラと、前記水蒸気によって駆動される高低圧一体型蒸気タービンと、前記ガスタービン及び高低圧一体型蒸気タービンによって駆動される発電機とを備えた複合発電プラントにおいて、前記高低圧一体型蒸気タービンは請求項2〜5のいずれかに記載の高低圧一体型蒸気タービンからなることを特徴とする複合発電プラント。
  8. 請求項7において、前記ガスタービンは、ブレードが3段以上、前記燃焼ガスのタービン入口温度が1200℃以上、前記ガスタービン出口の排ガス温度が50℃以上であり、前記排熱回収ボイラによって530℃以上の前記水蒸気を形成し、前記高低圧一体型蒸気タービンは初段動翼入口の前記蒸気温度が530℃以上であることを特徴とする複合発電プラント。
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