JP3207384B2 - コンバインド発電プラント - Google Patents

コンバインド発電プラント

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JP3207384B2
JP3207384B2 JP02567398A JP2567398A JP3207384B2 JP 3207384 B2 JP3207384 B2 JP 3207384B2 JP 02567398 A JP02567398 A JP 02567398A JP 2567398 A JP2567398 A JP 2567398A JP 3207384 B2 JP3207384 B2 JP 3207384B2
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光男 栗山
正輝 諏訪
了市 金子
敏美 丹
武志 小野田
康雄 渡辺
英史 梶原
平賀  良
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規な高低圧一体型
蒸気タービンを用いたコンバインド発電プラントに関す
る。
【0002】
【従来の技術】一般に、高温(蒸気温度:約538℃)の
蒸気にさらされる高圧ロータ材としては、ASTM規格
材Cr−Mo−V鋼(Designation:A470−84,Cl
ass8)が、低圧(蒸気温度:約100℃)ロータ材として
は、ASTM規格材3.5NiCrMoV鋼(Designation:A4
70−84,Class7)が使用されている。前者のCr
−Mo−V鋼は高温強度が高いが、低温靭性が低い。後
者の3.5Ni−Cr−Mo−V鋼は低温靭性が高い
が、高温強度が低い。
【0003】大容量タービンは、蒸気条件により高圧
部,中圧部及び低圧部からなっており、高圧及び中圧ロ
ータはCr−Mo−V鋼で、低圧ロータは3.5Ni−
Cr−Mo−V鋼で一般に作製されている。
【0004】10万KW未満の小容量及び10〜30万
KW中容量タービンは、ロータサイズが小さいことか
ら、上記の高圧ロータ材と低圧ロータ材の長所を兼ね備
えた材料があれば、高圧部から低圧部までを一体化(同
一材料の作製)することができる。一体化すると、ター
ビン全体がコンパクトとなり、著しい減価低減効果があ
る。この高低圧一体化ロータ材の一例が特開昭53−3091
5 号公報,同60−224766号公報に開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記現有ロータ材で一
体化しようとすると、Cr−Mo−V鋼では低温の靭性
が低いために低圧部の脆性破壊に対する安全性が確保で
きず、3.5Ni−Cr−Mo−V鋼では高温強度が低
いために高温部のクリープ破壊に対する安全性が確保で
きない。
【0006】また、前述の特開昭53−30915 号公報には
C0.15〜0.3%,Si0.1%以下,Mn1.0%以
下,Cr0.5〜1.5%,Ni0.5〜1.5%,Mo
0.5%を超え1.5% 以下,V0.15〜0.30%,
Nb0.01〜0.1%,残部Feからなる高低圧一体ロ
ータが開示されているが、高温で長時間加熱後における
靭性が十分でなく、76.2cm以上の長翼を植設する
ことができない。
【0007】特開昭60−224766号公報には、C0.10
〜0.35%,Si0.1% 以下,Mn1.0%以下,N
i1.5〜2.5%,Cr1.5〜3.0%,Mo0.3〜
1.5%,V0.05〜0.25%,残部Feからなる蒸気
タービンロータが開示され、更にこれにNb0.01〜
0.1%,N0.02〜0.1%を含むことが開示されて
いる。しかし、このロータはクリープ破断強度が低い。
【0008】特開昭62−189301号公報には高低圧一体型
蒸気タービンが開示されているが、ロータシャフトは靭
性が低いが高温強度の高い材料と高温強度は低いが靭性
の高い材料を機械的に結合したロータシャフトが用いら
れており、同じ組成で一体型のものにはなっていない。
このような機械的な結合では十分な強度を確保するには
大がかりな構造となり、小型化できないだけでなく、信
頼性が劣ってしまう。本発明の目的は単機で小型高出力
及び高い熱効率を有する高低圧一体型蒸気タービン及び
ガスタービンを備えたコンバインド発電プラントを提供
するにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、高低圧一体型
蒸気タービン,ガスタービン及び発電機を備えたコンバ
インド発電プラントにおいて、前記ガスタービンは空気
を圧縮する圧縮機、該圧縮された空気を用いて燃焼ガス
を形成する燃焼器、該燃焼ガスを所定の方向に導く静翼
及び該導かれた燃焼ガスを植設された動翼に導入し回転
するロータを備え、前記蒸気タービンはベーナイト組織
を有するNi−Cr−Mo−V低合金鋼からなる一体の
ロータシャフトに蒸気の高圧側初段ブレードから低圧側
最終段ブレードにかけて多段に植設されたロータ、該ロ
ータの前記高圧側と低圧側とを支持する軸受及び前記ロ
ータを被い前記ブレードに対応する位置に植設された静
翼を有するケーシングを備え、前記初段ブレードへの蒸
気入口温度が530〜566m℃及び低圧側最終段ブレードは
その翼部長さが前記ロータシャフトの回転数3000rpmに
対して101.6〜118.11cm(40〜46.5
インチ又は3600rpmに対し85.09〜101.
6cm(33.5〜40インチであること、また高温
高圧タービン部と、該高温高圧タービン部を出た蒸気を
再熱して高温で中圧となった蒸気を流入させる中圧ター
ビン部と、該中圧タービン部を出た蒸気を流入させる低
圧タービン部とを有し、前記低合金鋼は重量で、C0.
15〜0.4%,Ni1.5〜2.5%,Cr0.8〜2.
5%,Mo0.8〜2.5%及びV0.1〜0.5%を含む
ことを特徴とする。
【0010】本発明に係る再熱型高低圧一体型蒸気ター
ビンは、一体のロータシャフトに蒸気の高圧側より低圧
側にかけて多段にブレードを植設されており、そのロー
タシャフトは重量比で(Mn/Ni)比が0.12以下
又は(Si+Mn)/Ni比が0.18 以下であるベー
ナイト組織を有し、Ni−Cr−Mo−V低合金鋼から
なるものが好ましい。
【0011】前記ロータシャフトは重量でC0.15〜
0.4%,Si0.1% 以下,Mn0.05〜0.25
%,Ni1.5〜2.5%,Cr0.8〜2.5%,Mo
0.8〜2.5%及びV0.1〜0.35%を含む、(Mn
/Ni)比が0.12以下又は(Si+Mn)/Ni比が
0.18 以下であるベーナイト組織を有するNi−Cr
−Mo−V低合金鋼からなるものが好ましい。
【0012】本発明に係るコンバインド発電プラント
は、高低圧一体型蒸気タービンが初段ブレードへの蒸気
入口温度が530℃以上、最終段ブレードでの出口温度
が好ましくは100℃以下であり、前記ブレードの少な
くとも最終段の翼部長さが前記ロータシャフトの回転数
3000rpmに対して101.6〜118.11cm
40〜46.5インチ又は3600rpmに対し85.
09〜101.6cm(33.5〜40インチのもの
であり、前記ロータシャフトはその中心部のFATTが
前記蒸気出口温度以下の60℃以下の温度及び500
℃,3000時間加熱後のVノッチ衝撃値が3.0kg−m/c
m2以上又は前記加熱前のVノッチ衝撃値が3.75kg−
m/cm2 以上の特性と538℃,10万時間クリープ破
断強度が11kg/mm2 以上特に、12kg/mm2以上での
特性とを有するベーナイト組織を有するNi−Cr−M
o−V低合金鋼からなり、該低合金鋼は重量で、C0.
15〜0.4%,Ni1.5〜2.5%,Crm0.8〜2.
5%,Mo0.8〜2.5%及びV0.1〜0.5%を含む
ものである。
【0013】本発明に係る上述の高低圧一体型蒸気ター
ビンにおいては、初段ブレードへの蒸気入口温度が53
0℃以上及び最終段ブレードでの出口温度が100℃以
下であり、ロータシャフトの軸受間の長さ(L)と最終
段ブレード部分のブレード先端間の直径(D)との比
(L/D)が1.4〜2.3であり、前記ブレードは少な
くとも最終段で前述の長さとするものである。
【0014】前記ロータシャフトは前記530℃以上の
蒸気温度に耐える高温強度と前記100℃以下の蒸気温
度で前述の長さのブレードの植設に耐える衝撃値を有す
るベーナイト組織を有するNi−Cr−Mo−V低合金
鋼からなるものである。
【0015】高圧側のブレードは低圧側のそれよりクリ
ープ破断強度が高い高Crマルテンサイト鋼からなり、
低圧側のブレードは高圧側のそれより靭性の高い高Cr
マルテンサイト鋼が好ましい。
【0016】本発明に係る前述のブレードには後述する
Ti基合金又はマルテンサイト鋼が用いられ、そのマル
テンサイト鋼として、76.2cm(30インチ以上
の長さのブレードは、重量でC0.08〜0.15%,S
i0.5%以下,Mn1.5%以下,好ましくは1.0%
以下、Cr10〜13%,Mo1〜2.5%,好ましく
は1から2%、V0.2〜0.5% ,N0.02〜0.1
%、好ましくは0.02〜0.08%を含むもの、更に
これにNi1.5〜3.5%を含む焼き戻し全マルテン
サイト組織を有するマルテンサイト鋼が好ましい。ま
た、3段までの高圧側動翼又は静翼は重量で、C0.2
〜0.3%,Si0.5% 以下,Mn1%以下,Cr1
0〜13%,Ni0.5% 以下,Mo0.5〜1.5%,
W0.5〜1.5%,V0.10〜0.35%を含むマルテ
ンサイト鋼が好ましく、それ以降、76.2cm未満の
低圧側動翼又は静翼は重量で、C0.05〜0.15%,
Si0.5% 以下,Mn1%以下、好ましくは0.2〜
1.0%,Cr10〜13%,Ni0.5%以下及びMo
0.5%以下を含む焼戻し全マルテンサイト組織を有す
るマルテンサイト鋼が好ましい。
【0017】最終段のブレードの先端リーデングエッチ
部にはCo基合金からなるエロージョン防止層が設けら
れているのが好ましい。具体的な翼の長さとして、前述
ものを用いることができる。
【0018】本発明は、一体のロータシャフトに蒸気の
高圧側より低圧側にかけて多段にブレードを植設したロ
ータと、該ロータを被うケーシングとを備え、前記蒸気
が前記高圧側と低圧側とで各々異なった方向に流れる高
低圧一体型蒸気タービンが好ましい。
【0019】本発明におけるケーシングは、重量でC
0.15〜0.30%,Si0.5% 以下,Mn1%以
下,Cr1〜2%,Mo0.5〜1.5%,V0.05〜
0.2%,Ti0.05% 以下を含むベーナイト組織を
有するCr−Mo−V鋳鋼よりなるのが好ましい。
【0020】本発明に係る高低圧一体型蒸気タービン
は、そのロータシャフトが重量で、C0.15〜0.4
%,Si0.1%以下,Mn0.05〜0.25%,Ni
1.5〜2.5%,Cr0.8〜2.5%,Mo0.8〜2.
5% 及びV0.10〜0.35%を含むNi−Cr−M
o−V低合金鋼、又はこれにAl,Zr,Ca及び希土
類元素の1種以上を合計で0.001〜0.1%とを含む
Ni−Cr−Mo−V鋼、より好ましくはMn/Ni比
は0.12 以下又は(Si+Mn)/Ni比が0.18
以下であるベーナイト組織を有するNi−Cr−Mo−
V鋼からなるものが好ましい。
【0021】本発明に係るロータシャフトは、重量で、
C0.15〜0.4% ,Si0.1%以下,Mn0.05
〜0.25%,Ni1.5〜2.5%,Cr0.8〜2.5
%,Mo0.8〜2.5%及びV0.10〜0.35%と、
Nb及びTaの1種以上0.005〜0.15%とを含む
Ni−Cr−Mo−V鋼からなること、より好ましくは
Mn/Ni比が0.12以下又は(Si+Mn)/Ni
比が0.18以下である主にベーナイト組織を有するN
i−Cr−Mo−V鋼からなるものが好ましい。
【0022】本発明に係るロータシャフトは、重量で、
C0.15〜0.4% ,Si0.1%以下,Mn0.05
〜0.25%,Ni1.5〜2.5%,Cr0.8〜2.5
%,Mo0.8〜2.5%及びV0.10〜0.35%と、
Al,Zr,Ca及び希土類元素の1種以上を合計で
0.001〜0.1%と、Nb及びTaの1種以上を0.
005〜0.15%とを含むNi−Cr−Mo−V鋼か
らなること又はMn/Ni比が0.12以下又は(Si
+Mn)/Ni比が0.18以下であるベーナイト組織
を有するNi−Cr−Mo−V鋼からなるものが好まし
い。
【0023】本発明に係るロータシャフトは前述の組成
において、(V+Mo)/(Ni+Cr)比を0.45
〜0.7とすることが好ましい。
【0024】本発明に係る高低圧一体型蒸気タービンは
そのロータシャフトは、重量で、C0.15〜0.4%,
Si0.1%以下,Mn0.05〜0.5%,Ni1.6〜
2.5% ,Cr0.8〜2.5%,Mo0.8〜2.5%及
びV0.1〜0.5%を含み、Nb0.005〜0.15
%,Ta0.005〜0.15%,Al0.001 〜0.
1%,Zr0.001〜0.1%,Ca0.001〜0.1
%,希土類元素0.001〜0.1% ,W0.1〜1.0%,
Ti0.001〜0.1%,B0.001〜0.1%の少な
くとも1種を含むNi−Cr−Mo−V鋼、また好まし
くは、(V+Mo)/(Ni+Cr)比を0.45〜0.
7とするのが好ましい。
【0025】更に、前述に記載のCr−Mo−V低合金
鋼の酸素量が25ppm以下であるのが好ましい。
【0026】前述に記載の組成を有するCr−Mo−V
鋼は、その鋼塊を特にエレクトロ再溶解又はアーク炉に
て大気中溶解後に真空炭素脱酸した鋼塊を製造し、該鋼
塊を熱間鍛造し、次いでオーステナイト化温度に加熱し
所定の冷却速度で冷却する焼入れを施した後焼戻し処理
を施し、主にベーナイト組織を有することが好ましい。
【0027】焼入れ温度は900〜1000℃、焼戻し
温度は630〜700℃が好ましい。
【0028】本発明に係る蒸気タービンは特に10〜3
0万KW級の中容量火力発電に最も小型で熱効率の向上
の点から好適である。特に、最長翼として長さが85.
09cm(33.5 インチで、全周が90本以上のも
のとすることができる。
【0029】本発明のコンバインド発電プラントにおけ
る高低圧一体型蒸気タービンのロータシャフトを構成す
る低合金鋼の組成及び熱処理条件の限定理由について説
明する。
【0030】Cは焼入性を向上し強度を確保するのに必
要な元素である。その量が0.15%以下では十分な焼
入性が得られず、ロータ中心に軟らかいフェライト組織
が生成し、十分な引張強さ及び耐力が得られにくい。ま
た0.4% 以上になると靭性を低下させるので、Cの範
囲は0.15〜0.4%が好ましい。特にCは0.20〜
0.28%の範囲が好ましい。
【0031】Si及びMnは従来脱酸剤として添加して
いたが、真空C脱酸法及びエレクトロスラグ再溶解法な
どの製鋼技術によれば、特に添加しなくとも健全なロー
タが溶製可能である。長時間使用による脆化の点から、
Si及びMnは低目が好ましく、それぞれ0.1%及び
0.5%以下、特にSi0.05%以下,Mn0.25%
以下、より0.20%以下が好ましい。
【0032】一方、適量のMn添加は、鋼中に不純物元
素として存在し熱間加工性を悪くする有害なSを、硫化
物MnSとして固定する作用がある。このために、Mn
の適量添加は、前述のSの害を減少する効果があるの
で、蒸気タービン用ロータシャフトのような大型鍛造品
の製造においては0.05% 以上が好ましい。特に、
0.08〜0.25%、より0.1〜0.2%が好ましい。
【0033】Niは焼入性を向上させ、靭性向上に不可
欠の元素である。1.5% 未満では靭性向上効果が十分
でない。また2.5% を超える多量の添加は、クリープ
破断強度を低下させてしまう。特に1.5 %を超え、
1.6〜2.0%の範囲が好ましい。
【0034】Crは焼入性を向上させ、靭性及び強度向
上効果がある。また蒸気中の耐食性も向上させる。0.
8% 未満ではこれらの効果が十分でなく、2.5% を
超える添加は、クリープ破断強度を低下させる。特に
1.2〜1.9%が好ましい。
【0035】Moは焼戻し処理中に結晶粒内に微細炭化
物を析出させ、高温強度向上及び焼戻し脱化防止効果が
ある。0.8% 未満ではこれらの効果が十分でなく、
2.5%を超える多量の添加は靭性を低める。特に靭性
の点からは1.2〜1.5%、強度の点からは1.5%を
超え2.0%以下が好ましい。
【0036】Vは、焼戻し処理中に結晶粒内に微細炭化
物を析出させ、高温強度及び靭性向上効果がある。0.
1% 未満ではこれらの効果が十分でなく、0.35%
を超える添加は効果が飽和してしまう。特に0.20〜
0.30%の範囲が好ましい。
【0037】上述のNi,Cr,V及びMoは靭性及び
高温強度に大きく関与し、本発明鋼においては、複合的
に作用することが実験的に明らかにされた。即ち、高い
高温強度と高い低温靭性を兼ね備えた材料を得るために
は、炭化物生成元素であり高温強度向上効果のあるVと
Moの和と、焼入性を向上し靭性向上効果のあるNiと
Crの和との比が、(V+Mo)/(Ni+Cr)=
0.45〜0.7が好ましい。
【0038】また上記の組成からなる低合金を溶製する
ときに、希土類元素、Ca,Zr及びAlのいずれかを
添加することにより靭性が向上する。希土類元素は0.
05%未満では効果が不十分で、0.4 %を超える添加
はその効果が飽和する。Caは小量の添加で靭性向上効
果があるが、0.0005% 未満では効果が不十分で、
0.01% を超える添加はその効果が飽和する。Zrは
0.01% 未満では靭性向上効果が不十分であり、0.
2% を超える添加はその効果が飽和する。Alは0.0
01 %未満では靭性向上効果が不十分であり、0.02
% を超える添加はクリープ破断強度低下させる。
【0039】さらに、酸素は高温強度に関与し、本発明
鋼においては、O2 を5〜25ppmの範囲に制御するこ
とにより、より高いクリープ破断強度が得られる。
【0040】Nb及びTaの少なくとも1種が0.00
5〜0.15%添加するのが好ましい。これらの含有量
が0.005% 未満では強度の向上に十分な効果が得ら
れず、逆に0.15% を超えると蒸気タービン用ロータ
シャフトの如く大形構造物ではこれらの巨大な炭化物が
晶出し強度及び靭性を低めるので、0.005〜0.15
%が好ましい。特に0.01〜0.05%が好ましい。
【0041】Wは強度を高めるため0.1% 以上加えら
れるが、1.0% を超えると大型鋼塊においては偏析の
問題が生じる等強度を低めるので、0.1〜1.0%が好
ましい。より好ましくは0.1〜0.5%である。
【0042】Mn/Ni比又は(Si+Mn)/Ni比
は各々0.12又は0.18以下が好ましい。これによ
り、ベーナイト組織を有するNi−Cr−Mo−V低合
金鋼における加熱脆化を顕著に防止でき、高低圧一体型
ロータシャフトとして適用できる。
【0043】(V+Mo)/(Ni+Cr)比を0.4
5〜0.7とすることによりクリープ破断強度が高く、
衝撃値が高い両者の特性を備えた鋼を得ることができ、
本発明の高低圧一体型ロータシャフトにおいてブレード
として前述の長さのものを植設することができる。
【0044】このような新しい材料をロータシャフトと
して使用することにより、最終段ブレードとして30イ
ンチ以上の長翼を植設できるとともに、ロータシャフト
軸受間の長さ(L)と翼直径(D)との比(L/D)を
1.4〜2.3とコンパクトにでき、好ましくは1.6〜
2.0とすることができる。又、ロータシャフト最大径
(d)と最終段長翼の長さ(l)との比(d/l)を
1.5〜2.0とすることができ、これにより蒸気量をロ
ータシャフトの特性との関係から最大限に増すことがで
き、小型で大容量の発電が可能となる。特に、この比を
1.6〜1.8とすることが好ましい。1.5 以上とする
ことはブレード数との関係から求められ、その数は多い
程よいが、遠心力による強度上の点から2.0 以下が好
ましい。
【0045】本発明の高低圧一体型ロータシャフトを用
いた蒸気タービンは小型で10〜30万KWの発電出力
が可能であり、そのロータシャフトとして軸受間距離を
発電出力として1万KW当り0.8m 以下の非常に短い
軸受間距離とすることができる。好ましくは1万KW当
り0.25〜0.6mである。
【0046】前述のCr−Mo−V低合金鋼を高低圧一
体型ロータシャフトに用いることにより少なくとも最終
段に3000rpm及び3600rpmに対して各々前
述の長さの動翼を植設することができ、単機出力を増加
することができるとともに、小型化ができる。
【0047】
【発明の実施の形態】〔実施例1〕 以下、本発明のコンバイント発電プラントに係る高低圧
一体型蒸気タービン用ロータシャフトについて、実施例
により説明する。表1は靭性及びクリープ破断試験に供
した代表的な試料の化学組成を示す。試料は高周波溶解
炉で溶解・造塊し、温度850〜1150℃で30mm角
に熱間鍛造した。試料No.1〜No.3及びNo.7〜No.
11は本発明に係る材料である。試料No.4〜No.6は
発明材と比較のため溶製したものであり、No.5はAS
TM規格A470class 8相当材、No.6はASTM規
格A470class7 相当材である。これら試料は、高低
圧一体型蒸気タービンロータシャフト中心部の条件をシ
レートして、950℃に加熱しオーステナイト化し
た後、100℃/hの速度で冷却し焼入した。ついで、
665℃×40h加熱し炉冷し、焼戻し処理した。本発
明に係るCr−Mo−V鋼はフェライト相を含まず、全
ベーナイト組織であった。
【0048】本発明に係る鋼のオーステナイト化温度は
900〜1000℃にする必要である。900℃未満で
は高い靭性が得られるもので、クリープ破断強度が低く
なってしまう。1000℃を超える温度では高いクリー
プ破断強度が得られるものの、靭性が低くなってしま
う。焼戻し温度は630℃〜700℃にする必要があ
る。630℃未満では高い靭性が得られず、700℃を
超える温度では高いクリープ破断強度が得られない。
【0049】
【表1】
【0050】表2は引張,衝撃及びクリープ破断試験結
果を示す。靭性は温度20℃で試験したVノッチシャル
ピー衝撃吸収エネルギーで示した。クリープ破断強度は
ラルソンミラー法で求めた538℃,105h 強度で示
した。表から明らかなように本発明材は、室温の引張強
さが88kg/mm2以上,0.2%耐力70kg/mm2以上,
FATT40℃以下、衝撃吸収エネルギーが加熱前後で
いずれも2.5kg−m以上及びクリープ破断強度が約1
1kg/mm2以上と高く、高低圧一体型タービンロータと
してきわめて有用であると言える。特に、85.09c
m(33.5 インチ長翼を植設するタービンロータ材
としては約15kg/mm2 以上の強度を有するものがよ
い。
【0051】
【表2】
【0052】図2は試料No.1〜No.6のデータを、炭
化物生成元素であるVとMoの和と焼入性向上元素であ
るNiとCrの和の比とクリープ破断強度及び衝撃吸収
エネルギーとの関係を示す。クリープ破断強度は、成分
比(V+Mo)/(Ni+Cr)が約0.7 までは、成
分比が大きくなるにつれて高くなる。衝撃吸収エネルギ
ーは上記の成分比が大きくなるにつれて低くなることが
わかる。高低圧一体型タービンロータとして必要な靭性
(vE20 2.5kg/m)及びクリープ破断強度(σR
11kg/mm2)は(V+Mo)/(Ni+Cr)=0.45〜
0.7にすることによって得られることがわかる。また
発明に係る材料No.2,比較材No.5(現用高圧ロータ
相当材)及びNo.6(現用低圧ロータ材)の脱化特性を調
べるため、500℃×3000h脱化処理前後の試料に
ついて衝撃試験を行い50%破面遷移温度(FATT)を
調べた。比較材No.5のFATTは119℃から135
℃に(ΔFATT=16℃),No.6のFATTは−20
℃から18℃に(ΔFATT=38℃)、脆化処理によって
FATTが上昇(脆化)してしまう。これに対し、本発
明に係る材料No.3のFATTは、脆化処理前後とも3
8℃で、脆化しないことも確認された。
【0053】本発明に係る材料No.8〜No.11は、そ
れぞれ、希土類元素(La−Ce),Ca,Zr、及び
Al添加材であるが、これらの元素添加により靭性が向
上する。特に希土類元素の添加が靭性向上に有効であ
る。La−CeのほかY添加材についても調べ、著しい
靭性向上効果のあることを確認している。
【0054】表3は本発明に係る材料のクリープ破断強
度に及ぼす酸素の影響を調べるために溶製した試料の化
学組成と、そのクリープ破断強度を示す。これら試料の
溶製・鍛造方法は前述の試料No.1〜11と同じであ
る。
【0055】
【表3】
【0056】熱処理は950℃に加熱しオーステナイト
化した後、100℃/hで冷却し焼入れした。ついで、
660℃×40h加熱の焼戻しを行った。表4に前述と
同様に538℃クリープ破断強度を示す。図3はクリー
プ破断強度と酸素の関係を示す線図である。O2 を10
0ppm以下にすることにより約12kg/mm2以上の高い強
度が得られ、特に80ppm以下で15kg/mm2 以上で、
更に40ppm以下で18kg/mm2以上の高いクリープ破断
強度が得られることがわかる。
【0057】
【表4】
【0058】図4は538℃,105 時間クリープ破断
強度とNi量との関係を示す線図である。図に示すよう
にNi量が増加するにつれてクリープ破断強度は急激に
低下することがわかる。特に、Ni量が2%以下では約
11kg/mm2以上の強度を示す。特に、1.9% 以下で
は12kg/mm2以上の強度を有する。
【0059】図5は500℃,3000時間加熱後の衝
撃値とNi量との関係を示す線図である。図に示す如く
本発明の(Si+Mn)/Ni比が0.18 以下又はM
n/Ni比が0.12 以下のものはNi量の増加によっ
て高い衝撃値が得られるが、比較のNo.12〜No.14
の(Si+Mn)/Ni比が0.18 を超えるもの又は
Mn/Ni比が0.12を超えるものは2.4kg−m以下
の低い値であり、Ni量が高くてもあまり関係しない。
【0060】図6は同じく加熱脆化後の衝撃値とNi量
1.6〜1.9%を含むもののMn量又はSi+Mn量と
の関係を示す線図である。図に示す如く、特定のNi量
において衝撃値に及ぼすMn又はSi+Mnの影響がき
わめて大きいことが明らかである。Mn量が0.2% 以
下又はSi+Mn量が0.25 以下できわめて高い衝撃
値を有することがわかる。
【0061】図7は同じくNi量が1.52〜2.0%を
含むもののMn/Ni又は(Si+Mn)/Ni比との
関係を示す線図である。図に示す如く、Mn/Ni比が
0.12以下、Si+Mn/Ni比が0.18以下で2.5kg
−m以上の高い衝撃値を示す。
【0062】〔実施例2〕 表5は実験に供した代表的な試料の化学組成(重量%)
を示す。
【0063】試料は高周波溶解炉で溶解・造塊し、温度
850〜1250℃で30mm角に熱間鍛造した。試料N
o.21及びNo.22は本発明に係る材料と比較するため
のものである。No.23〜No.32は本発明に係る高靭
性ロータシャフト用材料である。
【0064】これら試料No.23〜No.32は、高低圧
一体型蒸気タービンロータシャフト中心部の条件をシミ
レートして、950℃に加熱しオーステナイト化した
後、100℃/hの速度で冷却し焼入した。ついで、6
50℃/50h加熱し炉冷し、焼戻し処理した。本発明
に係るCr−Mo−V鋼はフェライト相を含まず、全ベ
ーナイト組織であった。
【0065】本発明に係る鋼のオーステナイト化温度は
900〜1000℃にする必要がある。900℃未満で
は、高い靭性が得られるものの、クリープ破断強度が低
くなってしまう。1000℃を超える温度では高いクリ
ープ破断強度が得られるものの、靭性が低くなってしま
う。焼戻し温度は630℃〜700℃にする必要があ
る。630未満では高い靭性が得られず、700℃を超
える温度では高いクリープ破断強度が得られない。
【0066】
【表5】
【0067】表6は引張,衝撃及びクリープ破断試験結
果を示す。靭性は温度20℃で試験したVノッチシャル
ピー衝撃吸収エネルギー及び50%破面遷移温度(FA
TT)で示した。
【0068】切欠クリープ破断試験は、切欠底半径6.
6mm ,切欠外径9mm,45°Vノッチ形状(ノッチ底
先端r=0.16mm)を用い実施した。
【0069】クリープ破断強度はラルソンミラー法で求
めた538℃,105h 強度で示した。表から明らかな
ように本発明材は、室温引張強さが88kg/mm2 以上、
衝撃吸収エネルギーが5kg−m以上、50%FATTが
40℃以下及びクリープ破断強度が17kg/mm2 以上と
高く、高低圧一体型タービン用ロータ材料としてきわめ
て有用であると言える。
【0070】これら本発明に係る鋼は、現用の高圧ロー
タシャフト相当材(試料No.21)に比べ著しく靭性が
改善(衝撃吸収エネルギーが高く、FAAが低い)され
ている。また現用低圧ロータ相当材(試料No.22)に
比べると、本発明に係る材料は538℃,105h 切欠
クリープ破断強度が著しく高い。
【0071】
【表6】
【0072】炭化物生成元素であるVとMoの和と焼入
性向上元素であるNiとCrの和の比とクリープ破断強
度及び衝撃吸収エネルギーとの関係成分比(V+Mo)
/(Ni+Cr)が約0.7 までは、成分比が大きくな
るにつれて高くなる。衝撃吸収エネルギーは上記の成分
比が大きくなるにつれて低くなる。高低圧一体型タービ
ンロータとして必要な靭性(vE20 2.5kg−m)及び
クリープ破断強度(σR≧11kg/mm2)は(V+Mo)
/(Ni+Cr)0.45〜0.7にすることによって得
られる。また発明材,比較材No.21(現用高圧ロータ
相当材)及びNo.22(現用低圧ロータ材)の脆化特性
を調べるため、500℃/3000h脆化処理前後の試
料について衝撃試験を行い50%破断遷移温度(FAT
T)を調べた結果、比較材No.21のFATTは119
℃から135℃に(ΔFATT=16℃),No.2のF
ATTは−20℃から18℃に(ΔFATT=38
℃)、脆化処理によってFATTが上昇(脆化)してし
まう。これに対し、本発明材のFATTは、脆化処理前
後とも39℃以下で、脆化しないことも確認された。
【0073】本発明に係る材料No.27〜No.32は、
それぞれ、希土類元素(La−Ce),Ca,Zr、及び
Al添加材であるが、これらの元素添加により靭性が向
上する。特に希土類元素の添加が靭性向上に有効であ
る。La−CeのほかY添加材についても調べ、著しい
靭性向上効果のあることを確認している。
【0074】また、538℃,105 時間クリープ破断
強度とNi量との関係を調べた結果、Ni量が増加する
につれてクリープ破断強度は急激に低下することがわか
る。特に、Ni量が2%以下では約11kg/mm2 以上の
強度を示す。特に、1.9%以下では12kg/mm2 以上
の強度を有する。
【0075】更に、500℃,3000時間加熱後の衝
撃値とNi量との関係を調べた結果、本発明の(Si+
Mn)/Ni比が0.18 以下のものはNi量の増加に
よって高い衝撃値が得られるが、比較の0.18 を超え
るものは2.4kg−m 以下の低い値であり、Ni量が高
くてもあまり関係しない。
【0076】加熱脆化後の衝撃値とNi量1.6〜1.9
%を含むもののMn量又はSi+Mn量との関係を調べ
た結果、特定のNi量において衝撃値に及ぼすMn又は
Si+Mnの影響がきわめて大きく、Mn量が0.2%
以下又はSi+Mn量が0.07〜0.25 できわめて
高い衝撃値を有することがわかった。
【0077】Ni量が1.52〜2.0%を含むもののM
n/Ni又は(Si+Mn)/Ni比との関係を調べた
結果、Mn/Ni比が0.12 以下、Si+Mn/Ni
比が0.04〜0.18で2.5kg−m 以上の高い衝撃値
を示すことが分った。
【0078】〔実施例3〕 図1に本発明に係る高低圧一体型蒸気タービンの部分断
面図を示す。従来の主蒸気入口部の蒸気条件は圧力80
atg ,温度480℃の高温高圧から排気部の圧力722
mmHg,温度33℃の低温低圧の蒸気を一本のタービン
ロータで消費する蒸気タービンに対し、この高低圧一体
型蒸気タービンの主蒸気入口部の蒸気圧力100atg ,
温度536℃に上昇させることによりタービンの単機出
力の増加を図ることができる。単機出力の増加は、最終
段動翼の翼長を増大し、蒸気流量を増す必要がある。例
えば、最終段動翼の翼長を66.04cm(26イン
から85.09cm(33.5 インチ長翼にする
と環帯面積が1.7 倍程度増える。したがって、従来出
力100MWから170MWに、さらに101.6cm
まで翼長を長くすれば、単機出力を2倍以上に増大する
ことができる。
【0079】この85.09cm以上の長さのロータシ
ャフト材として、0.5% Niを含むCr−Mo−V鋼
を高低圧一体ロータに使用した場合、本ロータ材は、も
ともと高温部域に使用するため、高温強度,クリープ特
性に優れているため、主蒸気入口部の蒸気圧力,温度の
上昇に対しては充分対応することが出来る。低温部域、
特に最終段動翼部のタービンロータ中心孔に、定格回転
状態にて生ずる接線方向応力は、66.04cm長翼の
場合、応力比(作用応力/許容応力)で約0.95であ
り、また85.09cm長翼の場合では約1.1 とな
り、使用に耐えない。一方、3.5% Ni−Cr−Mo
−V鋼を使用した場合には、本ロータ材は低温域にて靭
性を有する材料であると共に、Cr−Mo−V鋼よりも
低温度域での抗張力,耐力が14%程度高いことから、
85.09cm長翼を使用しても、前記する応力比は約
0.96 である。また101.6cm長翼を使用した場
合、前記の応力比は1.07 となり使用に耐えない。高
温度域に於いては、クリープ破断応力がCr−Mo−V
鋼の0.3 倍程度であることから高温強度不足となり使
用に耐えない。
【0080】この様に高出力化を図るためには、高温度
域ではCr−Mo−V鋼、低温度域ではNi−Cr−M
o−V鋼の優れた特性を兼ね備えたロータ材が必要であ
る。76.2cm以上101.6cmクラスの長翼を使
用する場合、従来のNi−Cr−Mo−V鋼(ASTM
A470class7)では、前記の如く応力比が1.07 と
なるために、引張強さ88kg/mm2 以上の材料が必要で
ある。
【0081】さらに、76.2cm以上の長翼を取付け
る高低圧一体型蒸気タービンロータ材としては、高圧側
の高温破壊に対する安全性確保の点から538℃,10
5hクリープ破断強度15kg/mm2 以上、低圧側の脱性
破壊に対する安全性確保の点から室温の衝撃吸収エネル
ギー2.5kg−m(3kg−m/cm2)以上の材料が必要で
ある。
【0082】このような観点から本発明に係る耐熱鋼は
前述の特性を満足したものが得られ、前述の如く単機出
力で高出力化が図れる。
【0083】本実施例の高低圧一体型蒸気タービンは高
低圧一体型ロータシャフト3に植設されたブレード4を
13段備えており、蒸気は蒸気コントロールバルブ5を
通って蒸気入口1より前述の如く538℃,88atg の
高温高圧で流入する。蒸気は入口1より一方向に流れ、
蒸気温度33℃,722mmHgとなって最終段のブレー
ド4より出口2より排出される。本比較例に係る高低圧
一体型ロータシャフト3は538℃蒸気から33℃の温
度までさらされるので、実施例1で記載した特性のNi
−Cr−Mo−V低合金鋼の鍛鋼が用いられる、ロータ
シャフト3のブレード4の植込み部はディスク状になっ
ており、ロータシャフト3より一体に切削されて製造さ
れる。ディスク部の長さはブレードの長さが短いほど長
くなり、振動を少なくするようになっている。
【0084】本発明に係るロータシャフト3は実施例1
で示したNo.16及び実施例2で示したNo.24の合金
組成の鍛造をエクレトロスラグ再溶解によって各々製造
し、直径1.2m に鍛造し、950℃,10時間加熱保
持した後、中心部で100℃/hとなるようにシャフト
を回転しながら水噴霧冷却を行った。次いで665℃で
40時間加熱保持の焼戻しを行った。このロータシャフ
ト中心部より試験片を切り出しクリープ破断試験、加熱
前後(500℃,3000時間加熱後)のVノッチ衝撃
試験(試験片の断面積0.8cm2 )、引張試験を行った
が、実施例1及び2とほぼ同一の値であった。
【0085】本実施例における各部の材料組成は次の通
りである。
【0086】(1)ブレード 高温高圧側の3段の長さが約40mmで、重量でC0.2
0〜0.30%,Ni0.5% 以下,Cr10〜13
%,Mo0.5〜1.5%,W0.5〜1.5%,V0.1
〜0.35%,Si0.5% 以下,Mn1%以下及び残
部Feからなるマルテンサイト鋼の鍛鋼で構成した。
【0087】中圧部は低圧側になるに従って徐々に長さ
が大きくなり、重量でC0.05〜0.15%,Mn1%
以下,Si0.5% 以下,Cr10〜13%,Mo0.
5%以下,Ni0.5% 以下,残部Feからなるマルテ
ンサイト鋼の鍛造で構成した。
【0088】最終段として、長さ85.09cmでは、
一周で約90本あり、重量でC0.08〜0.15%,Mn
1%以下,Si0.5% 以下,Cr10〜13%,Ni
1.5〜3.5% ,Mo1〜2%,V0.2〜0.5%,
N0.02〜0.08%,残部Feからなるマルテンサイ
ト鋼の鍛造によって構成した。また、この最終段にはス
テライト板からなるエロージョン防止のシールド板が溶
接によってその先端で、リーデングエッジ部に設けられ
る。またシールド板以外に部分的な焼入れ処理が施され
る。更に、101.6cm以上の長いものにはAl5〜
7%,V3〜5%を含むTi翼が用いられる。
【0089】これらのブレードは各段で4〜5枚をその
先端に設けられた突起テノンのかしめによる同材質から
なるシュラウド板によって固定される。
【0090】3000rpm では101.6cmの長さで
も上述の12%Cr鋼が用いられ、3600rpm では10
1.6cmではTi翼となるが、85.09cmまでは
12%Cr鋼が用いられる。
【0091】(2)翼7には、高圧の3段までは動翼と同
じ組成のマルテンサイト鋼が用いられるが、他には前述
の中圧部の動翼材と同じものが用いられる。
【0092】(3)ケーシング6には、重量でC0.15〜
0.3%,Si0.5% 以下,Mn1%以下,Cr1〜
2%,Mo0.5〜1.5%,V0.05〜0.2%,Ti
0.1以下のCr−Mo−V鋳鋼が用いられる。
【0093】8は発電機であり、この発電機により10
〜20万KWの発電ができる。本実施例におけるロータ
シャフトの軸受12の間は約520cm、最終段ブレード
における外径316cmであり、この外径に対する軸間比
が1.65 である。発電容量として10万KWが可能で
ある。この軸受間の長さは発電出力1万KW当り0.52m
である。
【0094】また、本実施例において、最終段ブレード
として101.6cmを用いた場合の外径は365cmと
なり、この外径に対する軸受間比が1.43 となる。こ
れにより発電出力20万KWが可能であり、1万KW当
りの軸受間距離が0.26mとなる。
【0095】これらの最終段ブレードの長さに対するロ
ータシャフトのブレード植込み部の外径との比は85.
09cmのブレードでは1.70及び101.6cm
ブレードでは1.71 である。
【0096】本実施例では蒸気温度を566℃としても
適用でき、その圧力を121,169及び224atg の各々の
圧力でも適用できる。
【0097】〔実施例4〕 図8は本発明のコンバインド発電プラント用再熱型高低
圧一体型蒸気タービンの構成例を示す一部切欠断面図で
ある。538℃,126atg の蒸気は入口1から入り、
ロータシャフト3の高圧部を通って9より温度367
℃,38atg となって出て、更に10より538℃,3
5atg に加熱された蒸気がロータシャフト3の中圧部か
ら低圧部へと通り、約46℃,0.1atgの蒸気として出
口2より排出される再熱型のものである。9から出た蒸
気は一部他の熱源として使用され、10よりタービンの
熱源として再び供給される。実施例1の試料No.5で高
低圧一体型蒸気タービン用ロータを構成した場合には蒸
気入口1附近……a部……の高温強度は充分であるがロ
ータシャフト3中芯部の延性脆性遷移温度が80〜12
0℃と高いため蒸気出口2附近……b部……の温度が5
0℃程度であるタービンロータについては脆性破壊に対
する安全性を充分に保障し得ないと言う欠点がある。一
方試料No.6で構成した場合にはロータシャフト3中芯
部の延性脆性遷移温度が室温以下と低いことから蒸気出
口2附近……b部……のロータシャフト3の脆性破壊に
対する安全性を充分確保しうる反面、蒸気入口1附近…
…a部……の高温強度が充分でなく、且つ構成合金がニ
ツケルを多量含むことから高温での長時間使用(運転)
において脆性し易いと言う不都合さがある。即ち、試料
5,6のいずれを用いても構成された高低圧一体型蒸気
タービン用ロータには一長一短があり、実用に供し難い
と言う不都合さがある。尚図において4は動翼を、7は
静翼を、6はケーシングをそれぞれ示す。高圧部は5
段、低圧部は6段である。
【0098】本実施例においても前述の実施例3と同様
にロータシャフト3,動翼4の高圧側,低圧側の全段,
静翼7の全段,ケーシング6の材料は同じものが用いら
れる。最終段の動翼は85.09cm以上の長さのもの
が用いられ、発電出力12万KWが可能である。そし
て、比較例と同様にこのブレードには12%Cr鋼又は
Ti合金翼が用いられる。軸受12間は約545cmであ
り、最終段ブレードとして85.09cmでは直径31
6cmで、この外径に対する軸受間比は1.72 である。
また、最終段として101.6cmブレードを用いた場
合には、発電出力20万KWが可能である。ブレード部
は直径365cmで、直径に対する軸受間比は1.49で
ある。軸受間距離は発電出力1万KW当り前者が0.4
5m、後者が0.27m である。本実施例でも前述の蒸
気温度及び圧力での適用が可能である。
【0099】〔実施例5〕 高低圧一体型蒸気タービンとして実施例3のシングルフ
ロー型のうち、ロータシャフトの中圧部に一部の蒸気を
暖房等の熱源として使用する方式のものにも本発明の高
低圧一体型ロータシャフトを用いることができる。本実
施例に使用されるロータシャフト,動翼,静翼,ケーシ
ングのいずれにも実施例3に記載と同様の材料を用いる
ことができる。
【0100】〔実施例6〕 実施例4及び4に記載の再熱型高低圧一体型蒸気タービ
ンには発電機が直結される。この発電機に対してガスタ
ービンが直結され、そのガスタービンの燃焼排ガスによ
って排熱回収ボイラを用いて蒸気を作り、その蒸気によ
って蒸気タービンを回転するコンバインド発電システム
に適用したものである。このコンバインド発電システム
によりガスタービンが約4万KW、蒸気タービンにより
6万KWのトータルで10万KWの発電を得ることがで
き、本実施例における蒸気タービンはコンパクトとなる
ので、大型蒸気タービンに比べ同じ発電容量に対し経済
的に製造可能となり、発電量の変動に対して経済的に運
転できる大きなメリットが得られる。
【0101】ガスタービンはコンプレッサによって圧縮
された空気が燃焼器に送られ、燃焼ガス温度1100℃
以上の高い温度に燃焼され、その燃焼ガスがブレードを
植設されたディスクを回転させるものである。ディスク
は3段設けられ、動翼には重量で、C0.04〜0.1
%,Cr12〜16%,Al3〜5%,Ti3〜5%,
Mo及びNbが各々2〜5%を含むNi基鋳造合金が用
いられ、静翼にはC0.25〜0.45% ,Cr20〜30
%,Mo及びWの少なくとも1種が2〜5%,Ti及び
Nbの少なくとも1種が0.1〜0.5%を含むCo基鋳
造合金が用いられる。燃焼器ライナーには重量でC0.
05〜0.15%,Cr20〜30%,Ni30〜45
%,Ti及びNbの少なくとも1種が0.1〜0.5%及
びMo及びWの少なくとも1種が2〜7%を含むFe−
Ni−Crオーステナイト合金を用いられる。このライ
ナーには外表面にY22安定化ジルコニア溶射層の遮熱
コーティング層が火炎側に設けられ、合金とジルコニア
層との間にAl2〜5%,Cr20〜30%,Y0.1
〜1%を含むFe,Ni及びCoの1種以上からなるM
CrAlY合金層が用いられる。
【0102】また、前述の動翼及び静翼にはAl拡散コ
ーティング層が設けられる。
【0103】タービンディスク材には重量で、C0.1
5 〜0.25%,Si0.5%以下,Mn0.5% 以
下,Ni1〜2%,Cr10〜13%,Nb及びTaの
少なくとも1種0.02〜0.1%,N0.03 〜0.1
% ,Mo1.0〜2.0%を含むマルテンサイト鍛鋼が
用いられ、同じくタービンスペーサ,ディスタントピー
ス,コンプレッサディスクの最終段に各々前述のマルテ
ンサイト鋼が用いられる。
【0104】〔実施例7〕 図9は本発明に係る再熱型高低圧一体型蒸気タービンの
部分断面図である。本実施例に使用した高低圧一体型ロ
ータシャフト3は比較例に記載の全ベーナイト組織を有
するNi−Cr−Mo−V鋼からなり、図中左側が高圧
側で、右側が低圧側で、最終段ブレードが85.09c
又は101.6cmの長さのブレードが用いられる。
左側の高圧側のブレードには比較例に記載のもの、最終
段のブレードも前述と同様である。本実施例での入口蒸
気温度は538℃,圧力102kg/cm2 、出力は温度4
6℃以下で、常圧以下で、2よりコンデンサーに入る。
本実施例におけるロータシャフト材はFATTが40℃
以下、室温のVノッチ衝撃値が4.8kg−m(断面積0.
8cm2)以上、室温引張強さ81kg/mm2以上,0.2%
耐力63kg/mm2以上,伸び率16%以上,絞り率45
%以上,538℃,105時間クリープ破断強度11kg
/mm2 以上を有するものである。蒸気は14より入り、
高圧側ブレードを通って15より出て再熱器13に入
り、538℃,35atg の高温蒸気となって16より低
圧側に入る。12は軸受で、両端に2ケあり、軸受間は
約6mである。本実施例での回転数3600rpm であ
り、発電出力は12万KWである。ブレード4は高圧側
が6段、低圧側が10段である。本実施例では発電出力
1万KW当り0.5mであり、従来の1.1mに比較し約
40%短くなる。
【0105】また、本実施例において最終段ブレードと
して85.09cmの直径は316cmで、この直径に対
する軸間の比が2.22 である。更に、101.6cm
の最終段ブレードにおいては直径365cmに対する軸間
の比が1.92 となる。最終段ブレードを101.6c
長さとすることにより発電出力として20万KWが得
られる。従って、本実施例における軸受間距離を発電出
力1万KW当り0.3m となり、きわめてコンパクト化
ができる。
【0106】
【発明の効果】本発明によれば、前述の特定の長さの最
終段翼を取り付けた高低圧一体型蒸気タービンが製作可
能となるので、小型で単機出力を著しく増大できるコン
バインド発電プラントが得られ、また発電コストの低減
及びプラント建設コストの低減効果がある。また、本発
明によれば高温強度が高く、加熱脆化の少ないロータシ
ャフトを用いているので、特に前述の長さのブレードを
植設した高低圧一体型ロータシャフトにおいて高い信頼
性を有するコンバインド発電プラントが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 比較の高低圧一体型蒸気タービンの一部断面
図。
【図2】 (V+Mo)/(Ni+Cr)比とクリープ
破断強度と衝撃値との関係を示す線図。
【図3】 クリープ破断強度と酸素との関係を示す線
図。
【図4】 クリープ破断強度とNiとの関係を示す線
図。
【図5】 加熱脆化後のVノッチ衝撃値とNi,Mn,
Si+Mn,Mn/Ni比,(Si+Mn)/Ni比と
の関係を示す線図。
【図6】 加熱脆化後のVノッチ衝撃値とNi,Mn,
Si+Mn,Mn/Ni比,(Si+Mn)/Ni比と
の関係を示す線図。
【図7】 加熱脆化後のVノッチ衝撃値とNi,Mn,
Si+Mn,Mn/Ni比,(Si+Mn)/Ni比と
の関係を示す線図。
【図8】 本発明の再熱型高低圧一体型蒸気タービンの
一部断面図。
【図9】 本発明の再熱型高低圧一体型蒸気タービンの
一部断面図。
【符号の説明】
1…蒸気入口、2…蒸気出口、3…高低圧一体型ロータ
シャフト、4…動翼(ブレード)、5…蒸気コントロー
ルバルブ、6…ケーシング、7…静翼、8…発電機、1
1…くし歯、12…軸受、13…再熱器、17…安全
弁。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 前野 良美 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社 日立製作所 日立研究所内 (72)発明者 高橋 慎太郎 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社 日立製作所 日立研究所内 (72)発明者 栗山 光男 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社 日立製作所 日立研究所内 (72)発明者 諏訪 正輝 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社 日立製作所 日立研究所内 (72)発明者 金子 了市 茨城県日立市幸町3丁目1番1号 株式 会社 日立製作所 日立工場内 (72)発明者 丹 敏美 茨城県日立市幸町3丁目1番1号 株式 会社 日立製作所 日立工場内 (72)発明者 小野田 武志 茨城県日立市幸町3丁目1番1号 株式 会社 日立製作所 日立工場内 (72)発明者 渡辺 康雄 茨城県勝田市堀口832番地の2 株式会 社 日立製作所 勝田工場内 (72)発明者 梶原 英史 茨城県勝田市堀口832番地の2 株式会 社 日立製作所 勝田工場内 (72)発明者 平賀 良 東京都千代田区神田駿河台4丁目6番地 株式会社 日立製作所内 (56)参考文献 特開 昭58−167811(JP,A) 特開 昭62−189301(JP,A) 特開 昭62−165512(JP,A) 特開 昭62−83451(JP,A) 特開 昭53−30915(JP,A) 特公 昭63−38420(JP,B2) 特公 昭47−29090(JP,B1)

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】高低圧一体型蒸気タービン,ガスタービン
    及び発電機を備えたコンバインド発電プラントにおい
    て、前記ガスタービンは空気を圧縮する圧縮機、該圧縮
    された空気を用いて燃焼ガスを形成する燃焼器、該燃焼
    ガスを所定の方向に導く静翼及び該導かれた燃焼ガスを
    植設された動翼に導入し回転するロータを備え、前記蒸
    気タービンはベーナイト組織を有するNi−Cr−Mo
    −V低合金鋼からなる一体のロータシャフトに蒸気の高
    圧側初段ブレードから低圧側最終段ブレードにかけて多
    段に植設されたロータ、該ロータの前記高圧側と低圧側
    とを支持する軸受及び前記ロータを被い前記ブレードに
    対応する位置に植設された静翼を有するケーシングを備
    え、前記初段ブレードへの蒸気入口温度が530〜56
    6℃及び低圧側最終段ブレードはその翼部長さが前記ロ
    ータシャフトの回転数3000rpmに対して101.6
    〜118.11cm又は3600rpmに対し85.09
    〜101.6cmであり、高温高圧タービン部と、該高
    温高圧タービン部を出た蒸気を再熱して高温で中圧とな
    った蒸気を流入させる中圧タービン部と、該中圧タービ
    ン部を出た蒸気を流入させる低圧タービン部とを有し、
    前記低合金鋼は重量で、C0.15〜0.4%,Ni1.
    5〜2.5%,Cr0.8〜2.5%,Mo0.8〜2.5
    %及びV0.1〜0.5%を含むことを特徴とするコンバ
    インド発電プラント。
  2. 【請求項2】高低圧一体型蒸気タービン,ガスタービン
    及び発電機を備えたコンバインド発電プラントにおい
    て、前記ガスタービンは空気を圧縮する圧縮機、該圧縮
    された空気を用いて燃焼ガスを形成する燃焼器、該燃焼
    ガスを所定の方向に導く静翼及び該導かれた燃焼ガスを
    植設された動翼に導入し回転するロータを備え、前記蒸
    気タービンはベーナイト組織を有するNi−Cr−Mo
    −V低合金鋼からなる一体のロータシャフトに蒸気の高
    圧側初段ブレードから低圧側最終段ブレードにかけて多
    段に植設されたロータ、該ロータの前記高圧側と低圧側
    とを支持する軸受及び前記ロータを被い前記ブレードに
    対応する位置に植設された静翼を有するケーシングを備
    え、前記初段ブレードへの蒸気入口温度が530〜56
    6℃及び低圧側最終段ブレードはその翼部長さが前記ロ
    ータシャフトの回転数3000rpmに対して101.6
    〜118.11cm又は3600rpm に対し85.09
    〜101.6cmであり、前記低合金鋼は重量で、C
    0.15〜0.4%,Ni1.5〜2.5%,Cr0.8〜
    2.5%,Mo0.8〜2.5%及びV0.1〜0.5%を
    含むことを特徴とするコンバインド発電プラント。
  3. 【請求項3】前記ガスタービンを出た燃焼排ガスによっ
    て前記蒸気タービンを駆動する水蒸気を得る排熱回収ボ
    イラを備えている請求項1又は2記載のコンバインド発
    電プラント。
  4. 【請求項4】前記蒸気タービンはそのロータシャフト軸
    受間の長さ(L)と最終段ブレード先端間の翼直径
    (D)との比(L/D)が1.4〜2.3である請求項1
    〜3のいずれかに記載のコンバインド発電プラント。
  5. 【請求項5】前記蒸気タービンはその発電出力1万KW
    当りの前記ロータシャフトの軸受間距離が0.25〜0.
    8mである請求項1〜4のいずれかに記載のコンバイン
    ド発電プラント。
  6. 【請求項6】前記蒸気タービンは低圧側最終段ブレード
    がTi基合金又はCr10〜13重量%を含むマルテン
    サイト鋼からなる請求項1〜5のいずれかに記載のコン
    バインド発電プラント。
  7. 【請求項7】前記低圧側最終段ブレードはそのリーデン
    グエッヂ部にエロージョン防止部材が設けられている請
    求項6に記載のコンバインド発電プラント。
  8. 【請求項8】前記ガスタービンはそのタービンディスク
    がCr10〜13重量%を含むマルテンサイト鋼からな
    る請求項1〜7のいずれかに記載のコンバインド発電プ
    ラント。
  9. 【請求項9】高低圧一体型蒸気タービン,ガスタービン
    及び発電機を備えたコンバインド発電プラントにおい
    て、前記蒸気タービンは一体のロータシャフトに蒸気の
    高圧側初段ブレードから低圧側最終段ブレードにかけて
    多段に植設されたロータ、該ロータの前記高圧側と低圧
    側とを支持する軸受及び前記ロータを被い前記ブレード
    に対応した位置に植設された静翼を有するケーシングを
    備え、前記初段ブレードへの蒸気入口温度が530〜5
    66℃及び少なくとも低圧側最終段ブレードの翼部長さ
    が前記ロータシャフトの回転数3000rpmに対して
    01.6〜118.11cm又は3600rpmに対し
    5.09〜101.6cmであり、高温高圧タービン部
    と、該高温高圧タービン部を出た蒸気を再熱して高温で
    中圧となった蒸気を流入させる中圧タービン部と、該中
    圧タービン部を出た蒸気を流入させる低圧タービン部と
    を有し、前記ロータシャフトは500℃,3000時間
    加熱後のVノッチ衝撃値が3.0kg−m/cm2以上又はF
    ATTが60℃以下及び前記加熱前のVノッチ衝撃値が
    3.75kg−m/cm2 以上の特性と、538℃,10万
    時間クリープ破断強度が11kg/mm2 以上の特性とを有
    し、ベーナイト組織を有するNi−Cr−Mo−V低合
    金鋼からなり、該低合金鋼は重量で、C0.15〜0.4
    %,Ni1.5〜2.5%,Cr0.8〜2.5%,Mo
    0.8〜2.5%及びV0.1〜0.5%を含むことを特徴
    とするコンバインド発電プラント。
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