JP4368773B2 - 真空濾過装置の洗浄方法および真空濾過装置 - Google Patents
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Description
また、トレイ洗浄液が真空トレイから溢れ出ないで、該真空トレイ内で所定の高さの液面を有して保持された状態となると、この液面に位置するトレイ洗浄液は、前記洗浄の過程で冷却されて温度低下を生じる虞があり、このため、前記液面に位置するトレイ洗浄液中の溶解した結晶成分が、この液面と接触している真空トレイの壁面に再析出する場合がある。
しかしながら、前述のように、前記真空トレイからトレイ洗浄液を溢れ出させると、前記液面が形成されることはなく、真空トレイの前記壁面に、トレイ洗浄液中に含まれる溶解した結晶成分が再析出することを防止することができるとともに、真空トレイ内に位置されるトレイ洗浄液の温度低下を抑制することが可能になり、前記グリッド板等に滞積付着している結晶成分のトレイ洗浄液中への溶解を促進させることができ、洗浄不足を防止することができる。
しかも、真空トレイからトレイ洗浄液が溢れ出る高さを前記濾布の下面近くに位置させることにより、前記グリッド板のみならず濾布の下面をもトレイ洗浄液に浸漬させることが可能になり、前記濾布の下面に滞積付着した前記スラリーの結晶成分をも洗浄、除去することができる。
これらの場合、洗浄を要する真空トレイに限定して洗浄を行うことが可能になり、洗浄液の浪費を防止することができるとともに、高効率な洗浄を実現することができる。
この場合、脱液用の真空トレイにおいては、スラリー自体に含まれる母液の量が少なく、吸引されるガス量が多いため濾液の温度が低下し、前記グリッド板等に結晶成分が特に析出し易いが、この析出が生じ易い真空トレイに真空圧測定手段および洗浄液供給手段が備えられているので、真空濾過装置に析出した結晶成分を効果的に溶解除去することができる。
本実施形態の真空濾過装置では、図1に示すように、装置本体10と真空ライン20と真空吸引装置30と室温制御ライン50とを備える概略構成とされている。以下、これら10、20、30、50の詳細について説明する。
まず、装置本体10では、図2に示すように、無端ベルト状の濾布11が複数のロール12の間に巻き掛けられ、この濾布11の上側部分は水平方向に延びるように配置された濾過部11Aとされている。そして、この濾過部11Aの一端側(図1および図2において右側)において濾布11が巻き掛けられるロール12Aは図示しない駆動装置に連結されていて、この駆動装置によって前記ロール12Aが図中時計回り方向に回転駆動されることにより、濾布11もロール12間を連続的に周回駆動され、これに伴い濾布11の濾過部11Aは図中に矢線Fで示す走行方向に連続的に走行させられる。
なお、前記複数の真空トレイ16はそれぞれ、図3に示すように、濾過部11Aの表面に沿って延びるとともに、上面が濾過部11Aの下面に密着する平面部16Fと、平面部16Fの幅方向両端部から、上方に向かうに従い前記幅方向の両外側に向けてそれぞれ広がるように延在した壁部16G、16Gとを備えている。平面部16Fは、板状体16Hと、表面に多数の貫通孔16Jが形成されたグリッド板16Iとがこの順に積層された積層体とされている。
そして、グリッド板16Iの表面側に濾過部11Aの下面が密着する一方、裏面側に前記真空吸引装置30と連通された真空ライン20が連結された構成となっている。
また、気液分離槽31〜33と冷却器35との間には、前記ガスの温度が測定可能とされた第1温度測定器42が備えられ、第1温度測定器42の測定結果に基づき、制御弁CV1の開度が操作されて冷却器35が制御され、これにより前記ガスの温度が制御できるようになっている。
なお、以下説明の便宜のため、第3ヘッダー管24において、前記仕切られた各空間のうち、第1脱液用トレイ16Cと連通された部分を「第3ヘッダー管24A」といい、第2脱液用トレイ16Dと連通された部分を「第3ヘッダー管24B」といい、また、第3脱液用トレイ16Eと連通された部分を「第3ヘッダー管24C」という。
なお、各々の真空圧測定手段27A〜27Cの測定結果に基づいて、自動弁SV5〜SV7およびSV8〜SV10が各別に開閉され、第1〜第3脱液用トレイ16C〜16Eそれぞれが各別に洗浄されるようになっている。すなわち、第1真空圧測定手段28Aの測定結果に基づいて自動弁SV5およびSV8が開閉され、第2真空圧測定手段28Bの測定結果に基づいて自動弁SV6およびSV9が開閉され、また、第3真空圧測定手段28Cの測定結果に基づいて自動弁SV7およびSV10が開閉されるようになっている。
まず、通常運転時には、従来同様、スラリー供給手段13によって、ケーキ形成用トレイ16A上に位置する濾過部11AにスラリーSを供給し、該トレイ16Aに作用される真空圧によりスラリーSの濾液を吸引濾過してケーキ層を形成する。その後、該ケーキ層は濾過部11Aにより洗浄用トレイ16B上に位置されて、ケーキ洗浄装置21によりケーキ洗浄液Lが供給され、これにより前記ケーキ層は洗浄される。さらに、このケーキ層は濾過部11Aにより第1〜第3脱液用トレイ16C〜16Eに順次位置されることにより、脱液される。この際に各真空トレイ16において回収された濾液は、それぞれ、ヘッダー管22〜24を通過した後に、気液分離槽31〜33に各別に導かれて気液分離される。
以下、第1脱液用トレイ16Cに結晶成分が滞積付着した場合について説明する。この場合、第1脱液用トレイ16Cに位置する濾過部11Aの下面と、真空吸引装置30との間の真空圧が高くなる。そして、この真空圧が所定値を超えたことを第3ヘッダー管24Aに設けられた第1真空圧測定手段27Aが検出した際、該真空圧測定手段27Aからの出力信号が、前記制御部を介して自動弁SV8、SV5および前記ポンプに送信される。これにより、自動弁SV8が開くとともに、自動弁SV5が閉じられ、この第1脱液用トレイ16Cによる吸引濾過が停止された状態で、該トレイ16Cに、トレイ洗浄液供給手段26により流量および温度が制御されたトレイ洗浄液が供給される。なお、この場合にあっても、他の真空トレイ16(16A、16B、16D、および16E)による前記濾過吸引は継続して実施される。
また、第1脱液用トレイ16Cについて前記洗浄を行っている間に、他の真空トレイ16D、16Eでは脱液を継続して行うようにすることにより、真空濾過装置による濾液の吸引濾過を停止することなく前記洗浄を行うことが可能になり、高効率な洗浄を実現することができる。さらに、前記グリッド板16Iをトレイ洗浄液に浸漬させた状態で、真空濾過装置による前記吸引濾過を継続して行うので、この際に、トレイ洗浄液が機械的に揺すられて前記洗浄を効果的に実施することができる。
しかしながら、本実施形態のように、真空トレイ16からトレイ洗浄液を溢れ出させると、前記液面が形成されることはなく、真空トレイ16の前記壁面に、トレイ洗浄液中に含まれる溶解した結晶成分が再析出することを防止することができるとともに、真空トレイ16内に位置されるトレイ洗浄液の温度低下を抑制することが可能になり、前記グリッド板16I等に滞積付着している結晶成分のトレイ洗浄液中への溶解を促進させることができ、洗浄不足を防止することができる。
しかも、真空トレイ16からトレイ洗浄液が溢れ出る高さを前記濾過部11Aの下面近くに位置させることにより、グリッド板16Iのみならず濾過部11Aの下面をもトレイ洗浄液に浸漬させることが可能になり、濾過部11Aの下面に滞積付着したスラリーSの結晶成分をも洗浄、除去することができる。特に、本実施形態では、トレイ洗浄液の温度を、前記結晶成分の再結晶化が行われる温度以上に保持するので、前記結晶のトレイ洗浄液中への溶解をさらに促進することが可能になる。
また、前記実施形態では、自動でトレイ洗浄液を真空トレイ16に供給する構成を示したが、真空圧測定手段27A〜27Cを前記密閉室Rの外部に配設し、前記真空圧を目視可能とし、オペレーターにより手動でトレイ洗浄液供給手段26等を作動させるようにしてもよい。
11 濾布
16 真空トレイ
16I グリッド板
20 真空ライン
26 洗浄液供給手段
27A〜27C 真空圧測定手段
30 真空吸引装置
F 走行方向
S スラリー
Claims (6)
- 装置本体に略水平に走行可能に設けられた濾布の下に、真空ラインを介して真空吸引装置に連結された真空トレイが前記濾布の走行方向に複数設けられ、この濾布上に供給されたスラリーを前記真空トレイによって前記濾布を介して真空吸引することにより濾過する構成とされた真空濾過装置の洗浄方法であって、
前記真空ラインの真空圧に基づいて、前記真空トレイ内にトレイ洗浄液を供給して、該真空トレイ内にトレイ洗浄液を浸漬させ、かつ該真空トレイからトレイ洗浄液をこの真空トレイに隣接する他の真空トレイに溢れ出させながら、この真空トレイを洗浄することを特徴とする真空濾過装置の洗浄方法。 - 請求項1記載の真空濾過装置の洗浄方法において、
前記複数の真空トレイのうち少なくとも一の真空トレイにおける前記真空ラインの真空圧に基づいて当該真空トレイを洗浄することを特徴とする真空濾過装置の洗浄方法。 - 請求項1または2に記載の真空濾過装置の洗浄方法において、
複数の前記真空トレイにおける前記真空ラインそれぞれについての真空圧を測定し、該真空圧が所定値を超えた前記真空トレイのみを洗浄することを特徴とする真空濾過装置の洗浄方法。 - 請求項1から3のいずれかに記載の真空濾過装置の洗浄方法において、
前記トレイ洗浄液の温度を、前記スラリーの結晶成分の再結晶化が行われる温度以上に保持することを特徴とする真空濾過装置の洗浄方法。 - 装置本体に略水平に走行可能に設けられた濾布の下に、真空ラインを介して真空吸引装置に連結された真空トレイが前記濾布の走行方向に複数設けられ、この濾布上に供給されたスラリーを前記真空トレイによって前記濾布を介して真空吸引することにより濾過する構成とされた真空濾過装置であって、
前記複数の真空トレイのうち少なくとも一の真空トレイにおける前記真空ラインには、該真空ライン内の真空圧を測定する真空圧測定手段が備えられるとともに、当該真空トレイに、トレイ洗浄液を供給する洗浄液供給手段が備えられ、
前記真空圧測定手段により測定された真空圧に基づいて、前記洗浄液供給手段により前記真空トレイにトレイ洗浄液を供給して、該真空トレイ内にトレイ洗浄液を浸漬させ、かつ該真空トレイからトレイ洗浄液をこの真空トレイに隣接する他の真空トレイに溢れ出させながら、この真空トレイを洗浄することを特徴とする真空濾過装置。 - 請求項5記載の真空濾過装置において、
前記複数の真空トレイは、ケーキ形成用、ケーキ洗浄用、および脱液用として用いられるとともに、前記真空圧測定手段および前記洗浄液供給手段は、少なくとも前記脱液用の真空トレイの前記真空ラインに備えられていることを特徴とする真空濾過装置。
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