JP4367905B2 - 摺動部材用樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、車両、家電製品、建材、雑貨等の分野で幅広い用途に使用される摺動部材用樹脂組成物に関する。
自動車用ドアのガラス窓の内周等に設置されるグラスランやウエザーストリップ、あるいは建具の引き戸や窓サッシに用いられるタイト材は、雨・風等の侵入を防止して、気密性を保持し、且つ、窓ガラスや下枠レールと摺動できるようにするために、リップと呼ばれる摺動部材を具備している。従来、このリップの摺動性を向上させる(摩擦抵抗を低くする)手段として、シリコーンオイル、脂肪族アマイド等の摺動剤、あるいは溶融粘度の高い樹脂粒子をリップの構成材料に添加したり、リップを二層構造とし、その表層を硬化させる試みがなされている(例えば、特許文献1、2参照)。
特公昭62−12262号公報 特公昭64−11238号公報
しかしながら、上記の従来技術には、摺動部材を繰り返し摺動させると、摺動する際における摩擦抵抗が上昇して、スムーズな摺動ができなくなり、振動、異音が発生する等の問題点がある。
本発明は、かかる問題点を解決すること、すなわち、摺動部材を繰り返し摺動させても、摺動する際の摩擦抵抗が上昇せず、スムーズな摺動を行うことができる摺動部材用樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、従来技術の問題点について鋭意探求した結果、摺動部材を繰り返し摺動させることによって、摺動する際の摩擦抵抗が上昇する理由は、(1)摺動部材を構成する樹脂中に単純な練り込みによって添加された摺動剤は、ブリードアウトする速度が速く、また、摺動する相手部材(ガラス、アルミ製レール等)や、相手部材との間に挟まれた雨水、土砂等の異物によって、掻き取られるため、消失しやすいこと、(2)溶融粘度の高い樹脂粒子を摺動部材の構成材料に添加した場合、摺動部材の成形時に該樹脂粒子が溶融してしまい、相手部材との接触面積を減らすのに有効な凹凸部を形成しにくいこと、及び(3)従来技術で形成された摺動部材表面の凸部は、繰り返し摺動させることによって、平坦に変形しやすいこと、であることを見出した。
さらに、本発明者らは、摺動剤を含有する架橋粒子を用いて、これを熱可塑性樹脂中に分散させることにより、摺動剤の溶融・摩滅・消失を防止し、持続性のある優れた摺動性能が得られることを発見し、かかる知見に基づき、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、炭化水素基を有する分子架橋体の中に摺動剤を含む架橋粒子を、熱可塑性樹脂に配合してなる摺動部材用樹脂組成物であって、該摺動剤が、長鎖アルキル基又は長鎖不飽和基を有する滑剤、及びシリコーン化合物から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする摺動部材用樹脂組成物である。
本発明の樹脂組成物は、摺動剤を樹脂中に練り込む際の作業性が良好で、製品を製造する場合に、摺動剤の分離不具合(プレートアウト、ウエルド)の発生を防止することができる。また、本発明の樹脂組成物を用いることにより、繰り返し摺動させても、摩滅しにくい凹凸部を有し、摺動性能の持続性に優れた摺動部材を得ることができる。
以下、本発明について詳細に説明する。本発明の樹脂組成物は、前記したように、所定の架橋粒子を熱可塑性樹脂に配合してなるものであるが、この熱可塑性樹脂に関しては、特に制限はなく、各種の汎用熱可塑性樹脂、特殊汎用熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、エンジニアリング樹脂、特殊エンジニアリング樹脂、生分解性樹脂等、公知の熱可塑性樹脂を用いればよい。
本発明の樹脂組成物を、例えば、前述したグラスラン、ウエザーストリップ、サッシ用気密材のリップ材料として用いて、摺動させる相手部材との良好な保持性、追従性を発現させるには、該樹脂組成物の硬度は、デュロメーターD(JIS−K7215)で、60以下の低硬度が好ましい。したがって、本発明の樹脂組成物の硬度が、かかる範囲となるような熱可塑性樹脂を選択するのがよい。
上記範囲の硬度に適合する熱可塑性樹脂としては、具体的には、スチレン系、オレフィン系、塩ビ系、ウレタン系、エステル系、ポリアミド系、フッ素系、シリコーン系の各熱可塑性エラストマー、これらのブレンド物、及びこれらの共重合物を挙げることができる。さらに、これらの熱可塑性エラストマーに、汎用熱可塑性樹脂(LDPE、LLDPE、VLDPE、MDPE、HDPE、PP、GPPS、HIPS、SAN、ABS、PVC、PMMA、PET等)、特殊汎用熱可塑性樹脂(PVDC、E/VAL、アイオノマー、A/CPE/S、ASA、A/EPDM/S等)、エンジニアリング樹脂、特殊エンジニアリング樹脂を添加したものが挙げられる。
近年の風潮として、自動車部材や建材のオレフィン化が進められていることから、グラスラン、ウエザーストリップ、サッシ用気密材等のリップ材には、現時点で、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)を主材にすることが最も望ましい。
オレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、主組成がポリプロピレン系樹脂(PP)とエチレン−プロピレン−非共役ジエンゴム(EPDM)からなり、これらに硫黄、有機過酸化物、フェノール樹脂、又はヒドロシリル化架橋剤を添加して、動的にEPDMを架橋した組成物;これに、ビニル芳香族重合体ブロックと共役ジエン重合体ブロックからなる共重合体に水素添加して得られる水添ブロック共重合体、LDPE、LLDPE、VLDPE、MDPE、HDPE、EVA、EEA等のエチレン系樹脂、種々のPPを混練した組成物;ビニル芳香族重合体ブロックと共役ジエン重合体ブロックからなる共重合体に水素添加して得られる水添ブロック共重合体と、種々のPPを主成分とする組成物、特にビニル芳香族重合体がポリスチレンであるところのスチレン系熱可塑性エラストマー自体が例示される。本発明の樹脂組成物をオレフィン系とする場合は、これらのオレフィン系熱可塑性エラストマーを選択する。
本発明で用いられる架橋粒子は、摺動剤である長鎖アルキル基又は長鎖不飽和基を有する滑剤、あるいはシリコーン化合物を、炭化水素基を有する分子架橋体の中に含むものである。
長鎖アルキル基又は長鎖不飽和基を有する滑剤において、長鎖アルキル基又は長鎖不飽和基は、連続する炭素数が8〜30の範囲にあるものが好ましい。この連続する炭素数が8未満では、摺動性能の持続性に乏しく、逆に、炭素数が30を超えると、素原料が高価になる傾向がある。また、炭素数が100を超えると安価なポリエチレンを使うことができるが、摺動性が低下する。なお、連続する炭素数は、炭素以外との結合、例えば、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合等を中間に挟んだ場合は、連続で数えない。
長鎖アルキル基又は長鎖不飽和基を有する滑剤の具体例としては、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、セトレイン酸、エルカ酸、リグノセリン酸、12−ヒドロキシオクタテカン酸、12−ヒドロキシ−9−オクタデセン酸等からなる脂肪酸類、オクチルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチンアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ミリシルアルコール等からなるアルコール類、上記脂肪酸やアルコール中の長鎖アルキル基又は長鎖不飽和基を持つ脂肪酸クロライド類、アミン類、金属石鹸類、アミド類、エステル類、シラン類が挙げられる。
また、上記滑剤は、融点又は滴点が140℃以下、特に好ましくは110℃以下のものが、摺動性能の持続性、異音発生防止性に優れているため好ましい。
好ましい滑剤の具体例としては、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、ファルパックZ−MK(日本油脂社製、商品名)、エレガンA−102(日本油脂社製、商品名)、ステアリン酸アマイド、オレイン酸アマイド、エルカ酸アマイド、Loxiol G32(コグニクスジャパン社製、商品名)、Loxiol GVPN963(コグニクスジャパン社製、商品名)が挙げられる。
本発明に用いられる前記シリコーン化合物は、一般には、シリコーンオイル又はシリコーンガム(ゴム)、及びシリコーン系共重合体である。
該シリコーンオイル又はシリコーンガム(ゴム)としては、ジメチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン、及び5mol%以下のビニル基を有するそれらのシリコーン、ハイドロジェンポリシロキサン、アルキル変性、高級脂肪酸エステル変性、フッ素変性等の変性シリコーンオイルが挙げられる。また、これらの分子量は102〜106であることが好ましい。
特には、ビニル基含有量が1mol%未満で、分子量が102〜106の鎖状ジメチルポリシロキサン(ジメチルシリコーンオイル、ガム)、鎖状メチルハイドロジェンポリシロキサン、アルキレン基を有するメチルハイドロジェンポリシロキサンが、摺動性能の持続性や耐候性の点で優れているため好ましい。
一方、前記シリコーン系共重合体は、シリコーンオイル又はシリコーンガム(ゴム)の所で述べた各種シリコーンと他の樹脂を共重合させたものであり、その分子量は103〜106が好ましい。このシリコーン系共重合体は、市販の共重合体を用いてもよいし、反応物を作製してもよく、具体例としては、シリコーン−アクリル共重合体「シャリーヌ」(日信化学社製、商品名)、シリコーン−オレフィン共重合体「シリコーンコンセントレート」(東レ・ダウコーニング社製、商品名)、ビニル基の含有量が0〜1mol%含有のジメチル・ビニルポリシロキサンと、不飽和基の含有量が0〜5重量%のEPDM、SBS、SISとの部分架橋物が挙げられる。シリコーン系共重合体を用いる場合は、シリコーン含有量が30重量%を超えるものが好ましく、それよりも少ないと十分な摺動性が得られないことがある。
前記した長鎖アルキル基又は長鎖不飽和基を有する滑剤、及びシリコーン系共重合体は、それぞれ2種以上用いてもよく、また、両者を併用することもできる。
架橋粒子中における、これらの摺動剤の好ましい含有量は、架橋粒子全組成物中に0.05〜40重量%、好ましくは0.5〜40重量%、最も好ましくは3〜40重量%である。0.05重量%未満では優れた摺動性の効果が十分に得られず、40重量%を超えると、耐摩耗性が悪くなる場合がある。
本発明で用いられる架橋粒子は、炭化水素基を有する分子架橋体の中に、上記摺動剤の少なくとも1種を含む粒子状物あるいは粉状物である。すなわち、この架橋粒子は、分子架橋体が有する三次元網目架橋構造の中に、上記摺動剤を閉じ込めたものである。
本発明の樹脂組成物は、このような架橋粒子を用いることによって、摺動性能に優れ、且つ、その持続性が高く、また、摺動剤の練り込み時の作業性が良好で、製品製造の際に摺動剤の分離不具合(プレートアウト、ウエルド)が発生しにくくなるという、本発明の最も特徴的な効果が得られる。また、本発明の樹脂組成物は、摺動部材を成形する際であっても、摺動剤を配合した粒子が溶融することなく、該樹脂組成物中に粒子のまま残るため、摺動部材を繰り返し摺動させても、摩滅しにくい凹凸部を形成することができる。
これらの優れた効果が得られる理由は、上記架橋粒子を用いることにより、単体の摺動剤を用いた場合に比べて、多量の摺動剤を熱可塑性樹脂に練り込めること、架橋粒子同士の融着がないことから、熱可塑性樹脂中に摺動剤を均一に分散させることができること、相手部材との接触点又はその極近傍に摺動剤を供給できること、摺動剤のブリード速度が遅延すること、及び摺動剤の保持力が高いことによるものと考えられる。
架橋粒子の大きさは、任意であり、通常は、1〜2000μm程度のものを使用すればよい。また、架橋粒子の形状も任意である。架橋粒子の大きさ、形状は、求められる製品の外観や表面粗さに応じて、適宜決定する。
炭化水素基を有する分子架橋体は、例えば、有機過酸化物、アゾ化合物、ヒドロシリル化架橋剤、電子線、紫外線、熱、イミド化合物、硫黄、硫黄同族体、キノンジオキシム誘導体、フェノール樹脂、プロトン酸、水、ハロゲン化金属、安定カルボニウムイオン、アルカリ金属、アルカリ水酸化物、グリニャール試薬、有機金属ハロゲン化合物、有機金属塩、有機金属化合物、イソシアネート、エポキシ化合物、カルボン酸、酸無水物、アルデヒド、アルコール、アミン、メラミン、アルコキシド等と反応する官能基と、炭化水素基を有するモノマーあるいはポリマーを架橋させて得られるものである。
オレフィン化の潮流に従ったグラスラン、ウエザーストリップ、サッシ用気密材等に適する上記分子架橋体の組成は、オレフィン系あるいはスチレン系熱可塑性エラストマーに添加した場合に、分散させやすく、密着性のあるものが好ましい。
このような分子架橋体としては、エチレン基、ブテン基、ペンテン基、ヘキセン基等の炭素数2〜12のα・オレフィン基;イソプレン基、ブタジエン基、ペンタジエン基、エチリデンノルボルネン基等の炭化水素ジエン基;スチレン基、α・メチルスチレン基、ビニルトルエン基、ジビニルベンゼン基等の芳香族ビニル化合物残基;シクロヘキサン基、ノルボルネン基等の脂肪族環状化合物残基;炭素数4〜12のアルキル基;炭素数4〜12の直鎖メチレン基;フェニル基、トリル基等のアリール基;アラルキル基等を、主鎖又は側鎖に有する三次元ポリマーが挙げられる。
そして、この分子架橋体の三次元ポリマー中のCH、CH2、及びCH3の含有量は40重量%以上、特に50〜100重量%が好適である。
摺動剤の含有の確実性、オレフィン系熱可塑性エラストマーとの密着性、及び架橋粒子の製造容易性の点からは、高濃度のCH、CH2、及びCH3をもつ分子架橋体の具体的な原材料として、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体、ビニル芳香族重合体ブロックと共役ジエン重合体ブロックからなる共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、HDPEが挙げられる。中でも低摩擦性、耐磨耗性、汎用性の点から、スチレン40〜90重量%、ブタジエン10〜60重量%、ブテン及びエチレン0〜25重量%のスチレン−ブタジエン共重合体がよい。このブタジエン部(不飽和部)を利用して架橋する。
架橋粒子の製造方法としては、架橋する官能基と炭化水素基を有するモノマーあるいはポリマーからなる原料に、摺動剤を混合してから、架橋操作を行う方法、該原料と摺動剤の混合操作と架橋操作を同時に行う方法、分子架橋体に膨潤させた後、無圧ないし加圧状態で、摺動剤を挿入する方法があるが、前者二つの方法が、簡便で、摺動剤が確実に含有される点で好ましい。
例えば、スチレン−ブタジエン共重合体からなる架橋粒子の製造方法としては、少なくとも一種類の前記摺動剤とスチレン−ブタジエン共重合体ペレットを、一旦押出機で混練して摺動剤の分散を行い、これに有機過酸化物又はヒドロシリル化剤等の架橋剤を添加し、押出機を用いて、架橋剤の分散・架橋・粒子化を行う方法がある。
架橋粒子を製造するための架橋操作としては、懸濁重合法、乳化重合法、溶液重合法、スラリー重合法、気相重合法、バルク重合法等で、モノマーの重合まで行い、その後の次工程で架橋してもよいし、多官能モノマー等の架橋剤を添加し、モノマーの重合と同時に架橋を行ってもよい。重合体(ポリマー)を後から架橋する方法としては、架橋剤を付着・混合させて、電子線・紫外線照射、加熱、あるいは誘電加熱を行う炉で連続式に処理を行ったり、押出機で架橋・粒子化を行う連続処理等、多くの方法がある。
また、架橋粒子を製造するための粒子化は、これらの重合方法による重合・架橋と同時に直接粒子化してもよいし、架橋したものを粉砕して粒子化してもよい。
架橋粒子組成の確認は、摺動剤を含んでいない分子架橋体部分だけを単離又は選択して行う。架橋粒子が架橋構造を有しているかどうかは、固体NMR分析や各種溶剤に不溶であるかどうかで確認できる。簡易的には、摺動剤を除いた分子架橋体だけを、製品成形予定温度である180〜300℃に加熱保温したシート作製用金型に入れ、20〜150kg/cm2の圧力を1〜5分掛けることにより架橋構造の有無を判定することができる。その場合、分子架橋体が架橋構造を有していれば、シートを成形することができない。
架橋粒子が炭化水素基を有するかどうかは、IR等の化学分析で確認することができる。摺動剤を含有しているかどうかも、IR、溶剤抽出してGPC分離等してIR、NMR分析で確認することができる。なお、時間の経過や、摺動操作による製品表面の摺動剤成分の消費によって、架橋粒子内からの摺動剤の放出が進み、摺動剤の含有量が当初の添加量より少なくなる場合がある。
本発明の樹脂組成物中における架橋粒子の割合は、極少量でも、指触感でべたつきのない、さらっとした感触にして、摺動性、耐傷つき性等を改善できる場合があるが、本発明の目的である摺動性能の持続性を持たせるためには、本発明の樹脂組成物中に、5重量%以上、好ましくは5〜70重量%添加するのがよい。70重量%より多いと、本発明の樹脂組成物の流動性が悪くなる恐れがある。
本発明で用いる架橋粒子には、摺動剤、炭化水素基を有する分子架橋体以外に、その目的に反しない範囲で、顔料、シリカ、カーボンブラック等の補強剤、酸化防止剤、耐候剤、熱可塑性樹脂、防徽剤、抗菌剤、難燃剤等を添加混合することができる。
本発明の樹脂組成物は、これまでに説明した熱可塑性樹脂、架橋粒子等を、タンブラー、バンバリーミキサー、スーパーミキサー、各種押出機、加圧ニーダー等を用いて混練することによって作製される。
本発明の樹脂組成物には、さらに摺動性能を高めるために、熱可塑性樹脂、架橋粒子以外に、架橋粒子中に添加することができる前記シリコーン化合物と同一のシリコーン化合物を添加するのがよい。これによって、熱可塑性樹脂中にも有効な摺動成分を分散させることになり、さらに摺動持続性が向上する。熱可塑性樹脂にシリコーン化合物を分散させる場合は、架橋粒子に担持させる場合より、一般的にブリード性(放出性)が高くなるので、熱可塑性樹脂に分散させるシリコーン化合物は、分子量が104〜106のシリコーンオイル又はシリコーンガム(ゴム)、シリコーン系共重合体がよい。また、その添加量は、熱可塑性樹脂中に5〜30重量%が好ましい。
また、本発明の樹脂組成物は、その目的に反しない範囲で、顔料、シリカ、カーボンブラック等の補強剤、酸化防止剤、耐候剤、防微剤、抗菌剤、難燃剤等を添加混合することができる。
本発明の樹脂組成物は、押出成形、射出成形、真空成形等の各種加工方法により、任意の形態の摺動部材に成形され、車両分野、建材分野、日用雑貨分野等に広く利用される。
(実施例1〜3、比較例1〜2)
(架橋粒子の作製)
表1に示した配合処方のうち、有機過酸化物を除いた原材料を、190℃に加温した二軸押出機に投入し、スクリューを回転させて、混練物ペレットを作製した。
次に、この混練物ペレットに、有機過酸化物:2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンを2重量部添加・撹拌して、付着させた後、200℃に加温した二軸押出機に投入し、スクリューを回転させて混練と粉砕を行い、ダイスを付けずに、シリンダーヘッドから、架橋した粒子を排出させて、粒子A、粒子B、粒子C、粒子Dを作製した。
これらの粒子を200℃の金型に入れて、5分間加熱し、さらに昇圧して100kg/cm2・5分間のプレスを行った。その結果、いずれの粒子も溶融溶着することなく粉状の状態であったことから、十分架橋していることが確認できた。
なお、表1中、TR2250(JSR社製、商品名)は、スチレン−ブタジエンブロック共重合体(SBS)を示す。
Figure 0004367905
(摺動部材用樹脂組成物の作製)
表2に示す配合処方に従って、各原材料を配合し、190〜200℃に加温した二軸押出機で混練して、摺動部材用樹脂組成物のペレットを作製した(実施例1〜3、比較例1〜2)。
なお、表2中、ミラストマー7030B(三井化学社製、商品名)は、オレフィン系熱可塑性エラストマー、J−700GP(出光化学工業社製、商品名)は、ポリプロピレン、X−22−2101(信越化学工業社製、商品名)は、シリコーンマスターペレット(シリコーンガムをポリプロピレンに混練した樹脂)を示す。
Figure 0004367905
(試験サンプル)
押出機二台をダイスに接続し、片方の押出機に上記ペレットを投入し、もう片方の押出機にミラストマー7030B(前出)のペレットを投入して、押出機190℃、ダイス200℃の条件で、二層成形を行い、表層に摺動部材用樹脂組成物の厚さが100μmとなるようにし、下層にオレフィン系熱可塑性エラストマーの厚さが1.8mmとなるようにして、各試験サンプルを作製した。この試験サンプルの表層部に対して、以下の摺動試験を行った。
(摺動試験)
図1に示したように、摺動試験機1を使用し、モーターによって水平可動するガラス2の下に試験サンプル3を固定し、ガラス2が可動する際、垂直方向に荷重がかかるように錘4を載せて、水平往復運動を行った。そして、ロードセル5を配置して、ガラス2の可動中(水平往復運動が初期(約50回)、5000回、10000回、15000回)における抵抗値(N)を求めた。なお、ガラス2と試験サンプル3の面が接触する面積は約500mm2、ガラス2の平均可動速度150mm/秒、荷重1.7Nの条件で摺動試験を行った。摺動試験の結果を表3に示す。
Figure 0004367905
(摺動試験の評価)
表3からわかるように、本発明の樹脂組成物を用いて作製した試験サンプルは、摺動性能、及びその持続性のいずれの点においても優れていた。
摺動試験について示す概略説明図である(実施例)。
符号の説明
1…摺動試験機
2…ガラス
3…試験サンプル
4…錘
5…ロードセル

Claims (2)

  1. 炭化水素基を有する分子架橋体の中に摺動剤を含む架橋粒子を、熱可塑性樹脂に配合してなる摺動部材用樹脂組成物であって、
    該炭化水素基を有する分子架橋体が、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体、ビニル芳香族重合体ブロックと共役ジエン重合体ブロックからなる共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、または、HDPEを原材料とする分子架橋体であり、
    該摺動剤が、長鎖アルキル基又は長鎖不飽和基を有する滑剤、及びシリコーン化合物から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする摺動部材用樹脂組成物。
  2. 請求項1記載の摺動部材用樹脂組成物を用いて得られた摺動部材。
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