JP2003082023A - オレフィン系熱可塑性エラストマーおよびその製造方法、オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物およびその製造方法並びに成形品 - Google Patents

オレフィン系熱可塑性エラストマーおよびその製造方法、オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物およびその製造方法並びに成形品

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JP2003082023A JP2002185706A JP2002185706A JP2003082023A JP 2003082023 A JP2003082023 A JP 2003082023A JP 2002185706 A JP2002185706 A JP 2002185706A JP 2002185706 A JP2002185706 A JP 2002185706A JP 2003082023 A JP2003082023 A JP 2003082023A
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明彦 森川
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来のオレフィン系熱可塑性エラストマーと
同様のゴム弾性、柔軟性および成形加工性を有し、しか
も、機械的特性および耐摩耗性が良好で、特に耐傷付性
に優れたオレフィン系熱可塑性エラストマーおよびその
製造方法、このオレフィン系熱可塑性エラストマーを含
有する組成物およびその製造方法、並びにそれらの成形
品を提供すること。 【解決手段】 本発明のオレフィン系熱可塑性エラスト
マーは、エチレン、炭素数が3〜10のα−オレフィ
ン、官能基を有する不飽和単量体、および必要に応じて
非共役ジエンが共重合されてなるオレフィン系ランダム
共重合体と、このオレフィン系ランダム共重合体を架橋
する金属イオンとよりなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、オレフィン系熱可
塑性エラストマーおよびその製造方法、オレフィン系熱
可塑性エラストマー組成物およびその製造方法並びに成
形品に関し、さらに詳しくはゴム弾性、柔軟性、機械的
物性、耐傷付性、耐摩耗性、成形加工性、耐熱性、耐候
性に優れたオレフィン系熱可塑性エラストマーおよびそ
の製造方法、オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物
およびその製造方法並びに成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、オレフィン系熱可塑性エラストマ
ーとしては、オレフィン系樹脂とオレフィン系共重合ゴ
ムとを混合してなるもの、オレフィン系樹脂とオレフィ
ン系共重合ゴムとを、架橋剤によって部分的に架橋させ
てなるものなどが知られている。このようなオレフィン
系熱可塑性エラストマーは、耐熱性、耐候性、耐寒性お
よび成形加工性に優れ、しかも、比較的安価な材料であ
ることから、特に自動車部品などの分野において、軽量
化を主目的とした金属部品の代替材料、部品寿命の向上
およびコストダウンを主目的としたRIMウレタン部品
の代替材料、加工工程の簡素化、リサイクル性およびコ
ストダウンを主目的とした加硫ゴムの代替材料、或いは
部品寿命の向上および地球環境保全を主目的とした軟質
ポリ塩化ビニルの代替材料などとして注目されており、
当該オレフィン系熱可塑性エラストマーの需要も年々増
加している。
【0003】しかしながら、従来のオレフィン系熱可塑
性エラストマーは、耐表面傷付性(耐傷付性)が低いも
のであるため、耐傷付性が必要とされる成形品、例えば
インナーパネル、コンソールボックス等の表皮材の材料
としては、不適なものである、という問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上のよう
な事情に基づいてなされたものであって、その目的は、
従来のオレフィン系熱可塑性エラストマーと同様のゴム
弾性、柔軟性および成形加工性を有し、しかも、機械的
特性および耐摩耗性が良好で、特に耐傷付性に優れたオ
レフィン系熱可塑性エラストマーおよびその製造方法、
このオレフィン系熱可塑性エラストマーを含有する組成
物およびその製造方法、並びにそれらの成形品を提供す
ることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明のオレフィン系熱
可塑性エラストマーは、エチレン、炭素数が3〜10の
α−オレフィン、官能基を有する不飽和単量体、および
必要に応じて非共役ジエンが共重合してなるオレフィン
系ランダム共重合体と、このオレフィン系ランダム共重
合体を架橋する金属イオンとよりなることを特徴とす
る。
【0006】本発明のオレフィン系熱可塑性エラストマ
ーにおいては、官能基を有する不飽和単量体における当
該官能基が、カルボキシル基、水酸基、エポキシ基また
はスルホン酸基であることが好ましい。また、本発明の
オレフィン系熱可塑性エラストマーにおいては、官能基
を有する不飽和単量体が、下記一般式(1)で表される
官能性環状化合物であることが好ましい。
【0007】
【化2】
【0008】[一般式(1)において、R1 は、水素原
子または炭素数1〜10の炭化水素基を示し、Y1 、Y
2 およびY3 は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数
1〜10の炭化水素基または−COOHを示し、Y1
2 およびY3 のうち少なくとも一つは−COOHであ
り、また、Y1 、Y2 およびY3 のうち2つ以上が−C
OOHである場合は、それらは互いに連結して形成され
た酸無水物(−CO−(O)−CO−)であってもよ
い。oは0〜2の整数であり、pは0〜5の整数であ
る。]
【0009】また、本発明のオレフィン系熱可塑性エラ
ストマーにおいては、オレフィン系ランダム共重合体
は、エチレン35〜94.99モル%、炭素数が3〜1
0のα−オレフィン5〜50モル%、上記一般式(1)
で表される官能性環状化合物0.01〜5モル%、およ
び非共役ジエン0〜10モル%が共重合されてなること
が好ましい。また、本発明のオレフィン系熱可塑性エラ
ストマーにおいては、金属イオンは、カリウム、ナトリ
ウム、アルミニウム、マグネシウム、バリウム、亜鉛、
鉄、カルシウム、チタンおよび鉛よりなる群から選ばれ
た少なくとも一種の金属のイオンであることが好まし
い。また、本発明のオレフィン系熱可塑性エラストマー
においては、温度が230℃で荷重が10kgの条件で
測定されたメルトフローレートが0.5g/10min
以上、永久伸びが30%以下、デュロメータA硬度が9
6以下であることが好ましい。
【0010】本発明のオレフィン系熱可塑性エラストマ
ーの製造方法は、エチレン35〜94.99モル%、炭
素数が3〜10のα−オレフィン5〜50モル%、上記
一般式(1)で表される官能性環状化合物0.01〜5
モル%、および非共役ジエン0〜10モル%が共重合さ
れてなるオレフィン系ランダム共重合体100重量部が
溶媒に溶解されてなる溶液と、金属化合物0.1〜20
重量部が溶媒に溶解または分散されてなる液とを20℃
以上の温度で混合し、その後、得られた混合液から溶媒
を除去することを特徴とする。
【0011】また、本発明のオレフィン系熱可塑性エラ
ストマーの製造方法は、エチレン35〜94.99モル
%、炭素数が3〜10のα−オレフィン5〜50モル
%、上記一般式(1)で表される官能性環状化合物0.
01〜5モル%、および非共役ジエン0〜10モル%が
共重合されてなるオレフィン系ランダム共重合体100
重量部と、金属化合物0.1〜20重量部とを、温度1
20〜350℃、ずり速度10〜2000s-1の条件で
動的熱処理することを特徴とする。
【0012】本発明のオレフィン系熱可塑性エラストマ
ー組成物は、上記のオレフィン系熱可塑性エラストマー
と、熱可塑性樹脂およびゴムから選ばれた高分子化合
物、および/または軟化剤とを含有してなり、前記オレ
フィン系熱可塑性エラストマーを構成するオレフィン系
ランダム共重合体100重量部に対して、前記高分子化
合物が300重量部以下で、軟化剤が100重量部以下
であることを特徴とする。
【0013】また、本発明のオレフィン系熱可塑性エラ
ストマー組成物においては、温度が230℃で荷重が1
0kgの条件で測定されたメルトフローレートが0.5
g/10min以上、永久伸びが30%以下、デュロメ
ータA硬度が96以下であることが好ましい。
【0014】本発明のオレフィン系熱可塑性エラストマ
ー組成物の製造方法は、エチレン35〜94.99モル
%、炭素数が3〜10のα−オレフィン5〜50モル
%、上記一般式(1)で表される官能性環状化合物0.
01〜5モル%、および非共役ジエン0〜10モル%が
共重合されてなるオレフィン系ランダム共重合体100
重量部と、金属化合物0.1〜20重量部と、熱可塑性
樹脂およびゴムから選ばれた高分子化合物300重量部
以下および/または軟化剤100重量部以下とを、温度
120〜350℃、ずり速度10〜2000s-1の条件
で動的熱処理することを特徴とする。
【0015】本発明の成形品は、上記のオレフィン系熱
可塑性エラストマーまたは上記のオレフィン系熱可塑性
エラストマー組成物よりなることを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。本発明のオレフィン系熱可塑性エラ
ストマーは、少なくともエチレン、炭素数が3〜10の
α−オレフィン、および官能基を有する化合物が共重合
されてなるオレフィン系ランダム共重合体(以下、「特
定の官能基含有共重合体」という。)と、この特定の官
能基含有共重合体を架橋する金属イオンとよりなるもの
である。
【0017】[特定の官能基含有共重合体]本発明のオ
レフィン系熱可塑性エラストマーを構成する特定の官能
基含有共重合体においては、必須の単量体成分としてエ
チレンが用いられる。エチレンの使用割合は、単量体成
分全体の35〜94.99モル%であることが好まし
く、より好ましくは40〜89.99モル%、特に好ま
しくは45〜84.99モル%である。エチレンの使用
割合が35モル%未満である場合には、後述する官能性
環状化合物を共重合することが困難となることがある。
一方、エチレンの使用割合が94.99%を超える場合
には、熱可塑性エラストマーとして必要なゴム弾性を得
ることが困難となることがある。
【0018】また、特定の官能基含有共重合体において
は、必須の単量体として炭素数が3〜10のα−オレフ
ィン(以下、「特定のα−オレフィン」という。)が用
いられる。炭素数が10以下のα−オレフィンを用いる
ことにより、当該α−オレフィンとそれ以外の単量体と
の共重合性が良好となる。特定のα−オレフィンの具体
例としては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、
4−メチル−ペンテン−1,1−ヘキセン、1−ヘプテ
ン、1−オクテン、1−デセン等を挙げることができ
る。これらの中では、プロピレン、1−ブテン、1−ヘ
キセン、1−オクテンが好ましく、プロピレン、1−ブ
テンがさらに好ましい。これらの化合物は、1種単独で
または2種以上を組合わせて用いることができる。
【0019】特定のα−オレフィンの使用割合は、単量
体成分全体の5〜50モル%であることが好ましく、よ
り好ましくは10〜45モル%、特に好ましくは15〜
40モル%である。特定のα−オレフィンの使用割合が
5モル%未満である場合には、熱可塑性エラストマーと
して必要なゴム弾性を得ることが困難となることがあ
る。一方、特定のα−オレフィンの使用割合が50モル
%を超える場合には、得られるエラストマーは耐久性が
低いものとなることがある。
【0020】さらに、特定の官能基含有共重合体におい
ては、必須の単量体成分として、金属イオンと架橋し得
る官能基を有する不飽和単量体(以下、「官能基含有不
飽和単量体」という。)が用いられる。この官能基含有
不飽和単量体は、官能基としてカルボキシル基、水酸
基、エポキシ基またはスルホン酸基を有するものが好ま
しい。このような官能基含有不飽和単量体としては、上
記一般式(1)で表される官能性環状化合物(以下、
「特定の官能性環状化合物」という。)を用いることが
好ましい。
【0021】特定の官能性環状化合物を示す一般式
(1)において、R1 は、水素原子または炭素数1〜1
0の炭化水素基であり、Y1 、Y2 およびY3 は、それ
ぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基
または−COOHであり、Y1 、Y2 およびY3 のうち
少なくとも一つは−COOHである。また、Y1 、Y2
およびY3 のうち2つ以上が−COOHである場合は、
それらは互いに連結して形成された酸無水物(−CO−
(O)−CO−)であってもよい。ここで、炭素数1〜
10の炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル
基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、
ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基を挙げる
ことができる。また、繰り返し数oは0〜2の整数であ
る。この繰り返し数oが3以上である場合には、当該環
状化合物を他の単量体と共重合させることが困難となる
ことがある。また、繰り返し数pは0〜5の整数であ
る。
【0022】このような特定の官能性環状化合物は、シ
クロペンタジエンと官能基含有不飽和化合物とをディー
ルス・アルダー反応によって縮合させることにより製造
することができる。特定の官能性環状化合物の具体例と
しては、5,6−ジメチル−5,6−ジカルボキシ−ビ
シクロ〔2.2.1〕−2−ヘプテン、5,6−ジエチ
ル−5,6−ジカルボキシ−ビシクロ〔2.2.1〕−
2−ヘプテン、5,6−ジメチル−5,6−ビス(カル
ボキシメチル)−ビシクロ〔2.2.1〕−2−ヘプテ
ン、5,6−ジエチル−5,6−ビス(カルボキシメチ
ル)−ビシクロ〔2.2.1〕−2−ヘプテン、5−メ
チル−5−カルボキシ−ビシクロ〔2.2.1〕−2−
ヘプテン、5−エチル−5−カルボキシ−ビシクロ
〔2.2.1〕−2−ヘプテン、5−カルボキシ−5−
カルボキシメチル−ビシクロ〔2.2.1〕−2−ヘプ
テン、5−メチル−5−カルボキシメチル−ビシクロ
〔2.2.1〕−2−ヘプテン、5−エチル−5−カル
ボキシメチル−ビシクロ〔2.2.1〕−2−ヘプテ
ン、8,9−ジメチル−8,9−ジカルボキシ−テトラ
シクロ[4.4.0.12, 5 .17,10]−3−ドデセ
ン、8,9−ジエチル−8,9−ジカルボキシ−テトラ
シクロ[4.4.0.12, 5 .17,10]−3−ドデセ
ン、8−メチル−8−カルボキシ−テトラシクロ[4.
4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−エチル
−8−カルボキシ−テトラシクロ[4.4.0.
2,5 .17,10]−3−ドデセン等を挙げることができ
る。
【0023】官能基含有不飽和単量体の使用割合は、単
量体成分全体の0.01〜5モル%であることが好まし
く、より好ましくは0.01〜4モル%である。官能基
含有不飽和単量体の使用割合が0.01モル%未満であ
る場合には、得られるオレフィン系熱可塑性エラストマ
ーは、架橋密度が低く、機械的強度および耐熱性が低い
ものとなりやすい。一方、官能基含有不飽和単量体の使
用割合が5モル%を超える場合には、得られるオレフィ
ン系熱可塑性エラストマーは、架橋密度が高すぎて、硬
度が高すぎて脆いものとなったりするため、好ましくな
い。
【0024】特定の官能基含有共重合体においては、上
記の必須の単量体成分以外に、任意の単量体成分として
非共役ジエンを用いることができる。この非共役ジエン
の具体例としては、1,4−ヘキサジエン、1,6−ヘ
キサジエン、1,5−ヘキサジエン等の直鎖の非環状ジ
エン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、3,7−ジ
メチル−1,6−オクタジエン、5,7−ジメチルオク
タ−1,6−ジエン、3,7−ジメチル−1,7−オク
タジエン、7−メチルオクタ−1,6−ジエン、ジヒド
ロミルセン等の分岐連鎖の非環状ジエン、テトラヒドロ
インデン、メチルテトラヒドロインデン、ジシクロペン
タジエン、ビシクロ[2,2,1]−ヘプタ−2,5−
ジエン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−エチリ
デン−2−ノルボルネン、5−プロペニル−2−ノルボ
ルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5
−シクロヘキシリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル
−2−ノルボルネン等の脂環式ジエン等を挙げることが
できる。これらの化合物は、1種単独でまたは2種以上
を組合わせて用いることができる。また、上記の非共役
ジエンのうち好ましいものとしては、1,4−ヘキサジ
エン、ジシクロペンタジエン、5−エチリデン−2−ノ
ルボルネン等を挙げることができる。非共役ジエンの使
用割合は、全単量体成分の0〜10モル%であることが
好ましい。この共役ジエンの使用割合が10モル%を超
える場合には、得られるエラストマーは耐久性が低いも
のとなることがある。
【0025】特定の官能基含有共重合体は、ゲルパーミ
エーションクロマトグラフィー(GPC)で測定される
ポリスチレン換算重量平均分子量Mwが、通常1,00
0〜3,000,000、好ましくは3,000〜1,
000,000、さらに好ましくは5,000〜70
0,000である。また、特定の官能基含有共重合体
は、温度が230℃で荷重が10kgの条件で測定され
たメルトフローレート(MFR)が、0.01〜100
g/10minであることが好ましく、より好ましくは
0.05〜50g/10minである。また、特定の官
能基含有共重合体は、ガラス転移温度は−90〜50
℃、特に−70〜10℃であることが好ましい。また、
特定の官能基含有共重合体は軟化剤が重合時に添加され
た油展ポリマーであってもよい。
【0026】[金属イオン]本発明に用いられる金属イ
オンは、特定の官能基含有共重合体における官能基に対
してイオン結合することにより、当該特定の官能基含有
共重合体の分子間に架橋構造を形成するものである。こ
のような金属イオンとしては、リチウム、カリウム、ナ
トリウム、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、
バリウム、セシウム、ストロンチューム、ルビジウム、
チタン、亜鉛、銅、鉄、錫、鉛などの周期表第I〜VIII
族の金属のイオンを挙げることができる。これらの中で
は、カリウム、ナトリウム、アルミニウム、マグネシウ
ム、バリウム、亜鉛、鉄、カルシウム、チタン、鉛の金
属イオンが好ましい。
【0027】本発明のオレフィン系熱可塑性エラストマ
ーは、以下のようにして製造することができる。先ず、
エチレン、特定のα−オレフィン、官能基含有不飽和単
量体、および必要に応じて非共役ジエンが共重合されて
なる特定の官能基含有共重合体を製造する。特定の官能
基含有共重合体の具体的な製造方法としては、特に限定
されないが、特開2001−247629号公報に記載
された方法を好適に利用することができる。
【0028】次いで、特定の官能基含有共重合体(以
下、「(A)成分」ともいう。)と、これを架橋するた
めの金属イオンを供給する金属化合物(以下、「(B)
成分」ともいう。)とを、架橋構造が形成され得る適宜
の条件下に混合することにより、本発明のオレフィン系
熱可塑性エラストマーが得られる。(B)成分を構成す
る金属化合物としては、金属酸化物、金属水酸化物、金
属塩および金属錯体などを用いることができる。(B)
成分として用いられる金属酸化物の具体例としては、C
uO、MgO、BaO、ZnO、Al2 3 、Fe2
3 、SnO、CaO、TiO2 などが挙げられる。ま
た、(B)成分として用いられる金属水酸化物の具体例
としては、LiOH、NaOH、KOH、Cu(OH)
2 、Cu2 O(OH)2 、Mg(OH)2 、Mg2
(OH)2 、Ba(OH)2 、Zn(OH)2 、Sn
(OH)2 、Ca(OH)2 などが挙げられる。これら
の金属化合物は、(A)成分である特定の官能基含有共
重合体に対する分散性を高めるために、シランカップリ
ング剤や高級脂肪酸で処理されたものであってもよい。
これらの金属化合物は、1種単独で、または2種以上組
み合わせて使用することができる。
【0029】(B)成分として用いられる金属化合物の
使用割合は、(A)成分である特定の官能基含有共重合
体100重量部に対し、通常0.1〜20重量部、好ま
しくは0.2〜15重量部、特に0.5〜5重量部であ
る。この割合が0.1重量部未満である場合には、得ら
れるオレフィン系熱可塑性エラストマーは、架橋密度が
低く、機械的強度および耐熱性が低いものとなやすい。
一方、この割合が20重量部を超える場合には、得られ
るオレフィン系熱可塑性エラストマーは、架橋密度が高
すぎて、硬度が高すぎて脆いものとなったりするため、
好ましくない。
【0030】さらに、特定の官能基含有共重合体に対す
る金属化合物の混和性および得られるオレフィン系熱可
塑性エラストマーの耐熱性を向上させるために、(B)
成分として用いられる金属化合物以外に、活性剤として
カルボン酸の金属塩を添加することができる。カルボン
酸の金属塩としては、1価のカルボン酸の金属塩を用い
ることが好ましく、当該カルボン酸が炭素数3〜23の
ものであることが更に好ましい。かかるカルボン酸の具
体例としては、プロピオン酸、アクリル酸、酪酸、メタ
クリル酸、吉草酸、ヘキサン酸、オクタン酸、2ーエチ
ルヘキサン酸、デカン酸、パルミチン酸、ミリスチン
酸、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘン
酸、ナフテン酸、安息香酸などが挙げられる。また、活
性剤として用いられる金属塩における金属成分として
は、前述のオレフィン系熱可塑性エラストマーを構成す
る金属イオンとして例示した金属成分から選択して用い
ることができるが、(B)成分として用いられる金属化
合物における金属成分と同種の金属成分による金属塩を
用いることが好ましい。
【0031】活性剤として用いられる金属塩の使用割合
は、(A)成分である特定の官能基含有共重合体100
重量部に対し、通常0.3〜20重量部、好ましくは1
〜15重量部である。この割合が0.3重量部未満であ
る場合には、活性剤を用いることによる効果が十分に発
揮されず、一方、この割合が20重量部を超える場合に
は、得られるオレフィン系熱可塑性エラストマーの耐油
性および機械的強度が著しく低下することがある。
【0032】上記の(A)成分、(B)成分および必要
に応じて用いられる活性剤を混合する方法としては、各
成分の溶液または分散液を調製し、これらを混合する方
法、一般的に使用される溶融混練装置を用いる方法な
ど、種々の方法を利用することができるが、安定した特
性を有するオレフィン系熱可塑性エラストマーが得られ
る点で、加熱下に混合する方法が好ましく、具体的に
は、以下の(I)および(II)の方法を挙げることがで
きる。 (I)適宜の溶媒中に(A)成分である特定の官能基含
有共重合体を溶解した溶液と、適宜の溶媒中に(B)成
分である金属化合物および必要に応じて用いられる活性
剤を溶解または分散した溶液または分散液とを、加熱下
に混合し、その後、得られた混合液から溶媒を除去する
方法。 (II)(A)成分である特定の官能基含有共重合体と、
(B)成分である金属化合物と、必要に応じて用いられ
る活性剤と混合し、得られた混合物に対して動的熱処理
を施す方法。
【0033】上記(I)の方法に用いられる溶媒として
は、特に限定されないが、特定の官能基含有共重合体が
容易に溶解する点で、例えば脂肪族炭化水素類、脂環式
炭化水素類、芳香族炭化水素類およびこれらのハロゲン
化物を用いることが好ましく、その具体例としては、ブ
タン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、2−ブタン、2
−メチル−2−ブタン、シクロペンタン、メチルシクロ
ペンタン、シクロヘキサン、イソオクタン、ベンゼン、
トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロメタ
ン、ジクロロエタンなどを挙げることができる。また、
用いられる(B)成分および活性剤の上記溶媒に対する
溶解性が低い場合には、(B)成分および活性剤を溶媒
中にけん濁状態で分散した分散液を調製してもよく、ま
た、(B)成分および活性剤を溶解するために他の溶媒
や添加剤を加えてもよい。溶液中における特定の官能基
含有共重合体の割合は、0.1〜60重量%であること
が好ましく、より好ましくは0.2〜50重量%であ
る。溶液または分散液中における(B)成分および活性
剤の割合は、両者の合計で0.01〜60重量%である
ことが好ましく、より好ましくは0.05〜50重量%
である。溶液または分散液の混合は、一般的に用いられ
る溶液撹拌装置によって行うことができ、混合する際の
温度は、20℃以上であることが好ましく、より好まし
くは30℃以上である。また、溶液または分散液を混合
する際には、金属架橋反応を促進するために、適宜の触
媒を加えてもよい。このようにして得られる混合液か
ら、加熱、減圧、水蒸気蒸留などの周知の方法により溶
媒を除去することにより、本発明のオレフィン系熱可塑
性エラストマーが得られる。また、この混合液を適宜の
基体上に流延した後、溶媒を除去することにより、本発
明のオレフィン系熱可塑性エラストマーをフィルムとし
て得ることもできる。
【0034】上記(II)の方法において、「動的熱処
理」とは、剪断力を加える処理および加熱処理の両方を
行う処理をいう。このような動的熱処理は、例えば、溶
融混練装置を用いて行うことができる。この溶融混練装
置は、バッチ式のものであっても連続式のものであって
もよい。溶融混練装置の具体例としては、開放型のミキ
シングロール、非開放型のバンバリーミキサー、ニーダ
ー等のバッチ式溶融混練装置、一軸押出機、同方向回転
型連続式二軸押出機、異方向回転型連続式二軸押出機等
の連続式溶融混練装置を挙げることができる。具体的な
方法としては、下記の(II−1)および(II−2)の方
法を挙げることができる。 (II−1)(A)成分である特定の官能基含有共重合体
と、(B)成分である金属化合物と、必要に応じて用い
られる活性剤とを含有する混合物に対し、二軸押出機に
よって連続的に剪断発熱による動的熱処理を施すことに
より、本発明のオレフィン系熱可塑性エラストマーが得
られる。 (II−2)(A)成分である特定の官能基含有共重合体
と、(B)成分である金属化合物と、必要に応じて用い
られる活性剤とを含有する混合物に対し、バッチ式ニー
ダーによって剪断発熱による動的熱処理を施すことによ
り、本発明のオレフィン系熱可塑性エラストマーが得ら
れる。
【0035】動的熱処理における処理条件は、(A)成
分として用いられる特定の官能基含有共重合体の融点、
(B)成分として用いられる金属化合物の種類、溶融混
練装置の種類などによって異なるが、処理温度は120
〜350℃、好ましくは150〜290℃であり、処理
時間は20秒間〜320分間、好ましくは30秒間〜2
5分間である。また、混合物に加える剪断力は、ずり速
度で10〜2000/sec、好ましくは100〜10
00/secである。
【0036】このようにして得られる本発明のオレフィ
ン系熱可塑性エラストマーは、温度が230℃で荷重が
10kgの条件で測定されたメルトフローレート(MF
R)が0.5g/10min以上、好ましくは1g/1
0min以上であり、永久伸びが30%以下、好ましく
は20%以下であるため、従来のオレフィン系熱可塑性
エラストマーと同様のゴム弾性および成形加工性を有す
ると共に、後述する実施例から明らかなように、良好な
柔軟性、機械的強度および耐摩耗性を有し、特に耐傷付
性に優れたものである。
【0037】[オレフィン系熱可塑性エラストマー組成
物]本発明のオレフィン系熱可塑性エラストマーは、熱
可塑性樹脂およびゴムから選ばれた高分子化合物(以
下、「(C)成分」ともいう。)と混合されることによ
り、オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物として使
用することができる。(C)成分として用いられる熱可
塑性樹脂およびゴムとしては、特定の官能基含有共重合
体以外のものであれば、特に限定されず種々のものを用
いることができ、その具体例としては、ポリエチレンお
よびその無水マレイン酸グラフト重合体、ポリイソブチ
レン、エチレン酢ビ共重合体、エチレンアクリレート、
エチレンアクリル酸共重合体、ポリプロピレンおよびそ
の無水マレイン酸グラフト重合体、ポリイソブチレン、
塩素化ポリプロピレン、4−メチルペンテン−1樹脂、
ポリスチレン、ABS樹脂、AS樹脂、アクリル樹脂、
メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹
脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート、エチレン・α
−オレフィン共重合体ゴムおよびその無水マレイン酸グ
ラフト重合体、エチレン・α−オレフィン・非共役ジエ
ン共重合体ゴム、スチレン・ブタジエンゴムおよびその
水添物、スチレン・ブタジエンゴムの水添物の無水マレ
イン酸グラフト重合体、ブタジエンゴムおよびその水添
物、ブタジエンゴムの水添物の無水マレイン酸グラフト
重合体、イソプレンゴムおよびその水添物、イソプレン
ゴムの水添物の無水マレイン酸グラフト重合体、スチレ
ン・イソプレンゴムおよびその水添物、スチレン・イソ
プレンゴムの水添物の無水マレイン酸グラフト重合体、
ニトリルゴムおよびその水添物、アクリルゴム、シリコ
ーンゴム、フッ素ゴム、ブチルゴム、天然ゴムが挙げら
れ、特にポリエチレンおよびポリプロピレンが好まし
い。これらの高分子化合物は、一種単独でまたは二種以
上組み合わせて(C)成分として用いることができる。
(C)成分である高分子化合物の使用割合は、オレフィ
ン系熱可塑性エラストマーを構成する特定の官能基含有
共重合体100重量部に対し、300重量部以下、好ま
しくは1〜200重量部である。
【0038】また、本発明のオレフィン系熱可塑性エラ
ストマーは、軟化剤(以下、「(D)成分」ともい
う。)が添加されることにより、オレフィン系熱可塑性
エラストマー組成物として使用することができる。
(D)成分として用いられる軟化剤は、オレフィン系熱
可塑性エラストマーを構成する特定の官能基含有共重合
体を得るための単量体溶液中に添加されてもよく、ま
た、オレフィン系熱可塑性エラストマーを製造する際に
または製造後に添加されてもよい。(D)成分として用
いられる軟化剤は、通常用いられるゴム用軟化剤であれ
ば特に限定されず、例えば、パラフィン系、ナフテン
系、芳香族系の鉱物油系炭化水素、および、ポリブテン
系、ポリブタジエン系等の低分子量の炭化水素等が挙げ
られる。これらの中では、鉱物油系炭化水素が好まし
く、また、重量平均分子量で300〜2,000、特に
は500〜1,500の分子量を有するものが好まし
い。鉱物油系炭化水素からなるゴム用軟化剤は、一般
に、芳香族系炭化水素、ナフテン系炭化水素およびパラ
フィン系炭化水素の三者の混合物であって、パラフィン
炭化水素の炭素数が全炭素数中の50%以上を占めるも
のがパラフィン系オイル、ナフテン系炭化水素の炭素数
が全炭素数中の30〜45%のものがナフテン系オイ
ル、芳香族系炭化水素の炭素数が全炭素数中の30%以
上のものが芳香族系オイルとして、それぞれ分類されて
いる。本発明においては、パラフィン系のものが好まし
く、特に水添パラフィン系のものが好ましい。また、鉱
物油系炭化水素は、40℃の動粘度が20〜800cS
t、特には50〜600cStであるものが好ましく、
また、流動点が−40〜0℃、特には−30〜0℃であ
るものが好ましい。(D)成分である軟化剤の使用割合
は、オレフィン系熱可塑性エラストマーを構成する特定
の官能基含有共重合体100重量部に対し、100重量
部以下、好ましくは1〜67重量部である。
【0039】本発明のオレフィン系熱可塑性エラストマ
ー組成物は、上記のオレフィン系熱可塑性エラストマー
に、(C)成分である高分子化合物および/または
(D)成分である軟化剤を添加して加熱混合することに
よって製造することもできるが、好ましい製造方法とし
て、下記(III )および(IV)の方法を挙げることがで
きる。 (III )適宜の溶媒中に(A)成分である特定の官能基
含有共重合体を溶解した溶液と、適宜の溶媒中に(B)
成分である金属化合物および必要に応じて用いられる活
性剤を溶解または分散した溶液または分散液と、(C)
成分である高分子化合物および/または(D)成分であ
る軟化剤を溶解または分散した溶液または分散液とを、
加熱下に混合し、その後、得られた混合液から溶媒を除
去する方法。この方法に用いられる溶媒としては、特に
限定されないが、特定の官能基含有共重合体が容易に溶
解する点で、例えば脂肪族炭化水素類、脂環式炭化水素
類、芳香族炭化水素類およびこれらのハロゲン化物を用
いることが好ましく、その具体例としては、ブタン、ペ
ンタン、ヘキサン、ヘプタン、2−ブタン、2−メチル
−2−ブタン、シクロペンタン、メチルシクロペンタ
ン、シクロヘキサン、イソオクタン、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロメタン、ジク
ロロエタンなどを挙げることができる。また、用いられ
る(B)成分および活性剤の上記溶媒に対する溶解性が
低い場合には、(B)成分および活性剤を溶媒中にけん
濁状態で分散した分散液を調製してもよく、また、
(B)成分および活性剤を溶解するために他の溶媒や添
加剤を加えてもよい。(C)成分および(D)成分の上
記溶媒に対する溶解性が低い場合には、溶媒中にけん濁
状態で分散させてもよく、(C)成分および(D)成分
を溶解するために他の溶媒や添加剤を加えてもよく、ま
たは、溶媒を除去した後に(C)成分および(D)成分
を添加して、これを動的熱処理してもよい。溶液または
分散液の混合は、一般的に用いられる溶液撹拌装置によ
って行うことができ、混合する際の温度は、20℃以上
であることが好ましく、より好ましくは30℃以上であ
る。また、溶液または分散液を混合する際には、金属架
橋反応を促進するために、適宜の触媒を加えてもよい。
このようにして得られる混合液から、加熱、減圧、水蒸
気蒸留などの周知の方法により溶媒を除去することによ
り、本発明のオレフィン系熱可塑性エラストマーが得ら
れる。また、この混合液を適宜の基体上に流延した後、
溶媒を除去することにより、本発明のオレフィン系熱可
塑性エラストマーをフィルムとして得ることもできる。
【0040】(IV)(A)成分である特定の官能基含有
共重合体と、(B)成分である金属化合物と、必要に応
じて用いられる活性剤と、(C)成分である高分子化合
物および/または(D)成分である軟化剤とを混合し、
得られた混合物に対して動的熱処理を施す方法。この方
法における動的熱処理の処理条件は、(A)成分として
用いられる特定の官能基含有共重合体の融点、(B)成
分として用いられる金属化合物の種類、(C)成分とし
て用いられる高分子化合物の融点、溶融混練装置の種類
などによって異なるが、処理温度は120〜350℃、
好ましくは150〜290℃であり、処理時間は20秒
間〜320分間、好ましくは30秒間〜25分間であ
る。また、混合物に加える剪断力は、ずり速度で10〜
2000s-1、好ましくは100〜1000s-1であ
る。
【0041】このようにして得られる本発明のオレフィ
ン系熱可塑性エラストマー組成物は、温度が230℃で
荷重が10kgの条件で測定されたメルトフローレート
(MFR)が0.5g/10min以上、好ましくは1
g/10min以上であり、永久伸びが30%以下、好
ましくは20%以下で、デュロメータA硬度が96以
下、好ましくは90以下であるため、従来のオレフィン
系熱可塑性エラストマー組成物と同様のゴム弾性、柔軟
性および成形加工性を有すると共に、後述する実施例か
ら明らかなように、良好な機械的強度および耐摩耗性を
有し、特に耐傷付性に優れたものである。
【0042】本発明のオレフィン系熱可塑性エラストマ
ー組成物には、必要に応じて各種添加剤、例えば滑剤、
老化防止剤、熱安定剤、耐候剤、金属不活性剤、紫外線
吸収剤、光安定剤、銅害防止剤などの安定剤、防菌・防
かび剤、分散剤、可塑剤、結晶核剤、難燃剤、粘着付与
剤、発泡助剤、酸化チタン、カーボンブラックなどの着
色剤、フェライトなどの金属粉末、ガラス繊維、金属繊
維などの無機繊維、炭素繊維、アラミド繊維などの有機
繊維、複合繊維、チタン酸カリウムウィスカーなどの無
機ウィスカー、ガラスビーズ、ガラスバルーン、ガラス
フレーク、アスベスト、マイカ、炭酸カルシウム、タル
ク、シリカ、ケイ酸カルシウム、ハイドロタルサイト、
カオリン、けい藻土、グラファイト、軽石、エボ粉、コ
ットンフロック、コルク粉、硫酸バリウム、フッ素樹
脂、ポリマービーズなどの充填剤またはこれらの混合
物、ポリオレフィンワックス、セルロースパウダー、ゴ
ム粉、木粉などの充填剤、低分子量ポリマーなどを配合
して用いることができる。
【0043】本発明のオレフィン系熱可塑性エラストマ
ーおよびその組成物によれば、特定の官能基含有共重合
体が金属イオンによって架橋されているため、射出成
形、押出成形、中空成形、圧縮成型、真空成形、積層成
形、カレンダー成形等の溶融成形による加工が容易であ
り、ゴム弾性、柔軟性および機械的物性に優れた熱可塑
性エラストマー成形品を得ることができる。また、本発
明のオレフィン系熱可塑性エラストマーおよびその組成
物よりなる成形品は、通常のオレフィン系加硫ゴム成形
品やオレフィン系熱可塑性エラストマー成形品に接合し
て或いは多層化して用いることもできる。本発明のオレ
フィン系熱可塑性エラストマーおよびその組成物は、優
れたゴム弾性、柔軟性、成形加工性および耐傷付性を有
することから、従来のオレフィン系熱可塑性エラストマ
ーが使用されている自動車のバンパー、外装用モール、
ウィンドシール用ガスケット、ドアシール用ガスケッ
ト、トランクシール用ガスケット、ルーフサイドレー
ル、エンブレム、インナーパネル、ドアトリム、コンソ
ールボックス等の内外装表皮材、ウエザーストリップ
等、耐傷付性の必要とされるレザーシート、航空機・船
舶用のシール材および内外装表皮材等、土木・建築用の
シール材、内外装表皮材あるいは防水シート材等、一般
機械・装置用のシール材等、弱電部品のパッキン、表
皮、あるいはハウジング等、情報機器用ロール、クリー
ニングブレード、電子部品用フィルム、シール材、写真
などの画像保護膜、建材用化粧フィルム、医療用機器部
品、電線、日用雑貨品、スポーツ用品等の一般加工品に
も幅広く利用することができる。
【0044】
【実施例】以下、本発明の具体的な実施例について説明
するが、本発明はこれらに限定されるものではない。ま
た、下記の実施例および比較例において用いた各種の成
分は以下の通りである。
【0045】[オレフィン系ランダム共重合体] (1)特定の官能基含有系共重合体(A−1):エチレ
ンに由来する構造単位の含量が77.4モル%、プロピ
レンに由来する構造単位の含量が21.8モル%、5−
エチリデン−2−ノルボルネンに由来する構造単位の含
量が0モル%、5−メチル−5−カルボキシ−ビシクロ
〔2.2.1〕−2−ヘプテン含量に由来する構造単位
が0.8モル%で、重量平均分子量(Mw)が13.1×
104 である特定の官能基含有共重合体。 (2)特定の官能基含有共重合体(A−2):エチレン
に由来する構造単位の含量が75.8モル%、プロピレ
ンに由来する構造単位の含量が22.4モル%、5−エ
チリデン−2−ノルボルネンに由来する構造単位の含量
が1.2モル%、5−メチル−5−カルボキシ−ビシク
ロ〔2.2.1〕−2−ヘプテンに由来する構造単位の
含量が0.6モル%で、重量平均分子量(Mw)が18.
6×104 である特定の官能基含有共重合体。 (3)特定の官能基含有共重合体(A−3):エチレン
に由来する構造単位の含量が86.1モル%、プロピレ
ンに由来する構造体の含量が10.6モル%、5−エチ
リデン−2−ノルボルネンに由来する構造単位の含量が
2.6モル%、5−メチル−5−カルボキシ−ビシクロ
〔2.2.1〕−2−ヘプテンに由来する構造単位の含
量が0.7モル%で、重量平均分子量(Mw)=16.5
×104 である特定の官能基含有共重合体。 (4)オレフィン系共重合体(H−1):エチレンに由
来する構造単位の含量が76.1モル%、プロピレンに
由来する構造単位の含量が22.7モル%、5−エチリ
デン−2−ノルボルネンに由来する構造単位の含量が
1.2モル%で、ムーニー粘度(ML1+4 ,100℃)
が88であるオレフィン系ランダム共重合体(JSR社
製,品名「EP57P」)。 (5)無水マレイン酸変性共重合体(H−2):エチレ
ンに由来する構造単位の含量が80.4モル%、プロピ
レンに由来する構造単位の含量が19.3モル%、5−
エチリデン−2−ノルボルネンに由来する構造単位の含
量が0モル%、酸付加量が0.3モル%で、ムーニー粘
度(ML1+4,100℃)が63である無水マレイン
酸変性オレフィン系ランダム共重合体(JSR社製,品
名「T7761P」)。
【0046】[金属化合物] (1)金属化合物(B−1):高級脂肪酸によって表面
処理された水酸化マグネシウム(協和化学社製,品名
「キスマ5A」)。 (2)金属化合物(B−2):シランカップリング剤に
よって表面処理された水酸化マグネシウム(協和化学社
製,品名「キスマ5NH」)。 (3)金属化合物(B−3):酸化亜鉛(亜鉛華)。
【0047】[高分子化合物] (1)ポリエチレン樹脂(C−1):MFR(温度19
0℃、荷重2.16kg)が0.8g/10minであ
る直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(日本ポリケム社製,
品名「ノバテックLLDPEUF423」)。 (2)ポリプロピレン樹脂(C−2):MFR(温度2
30℃、荷重2.16kg)が5g/10minである
ポリプロピレン樹脂(日本ポリケム社製,品名「ノバテ
ックPP MA4」)。 (3)ゴム(C−3):エチレン・プロピレン共重合体
ゴム(エチレン含量=78.6モル%,プロピレン含量
=21.4モル%,5−エチリデン−2−ノルボルネン
含量=0モル%,ムーニー粘度(ML1+4 ,100℃)
=25,ジェイエスアール株式会社製,品名「EP02
P」)。 [軟化剤] 軟化剤(D−1):水素添加パラフィン系鉱物油(出光
興産社製,品名「ダイアナプロセスオイルPW38
0」)。 [その他添加剤] 活性剤(I−1):ステアリン酸マグネシウム。 活性剤(I−2):ステアリン酸亜鉛。 有機過酸化物(K−1):2,5−ジメチル−2,5−
ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(日本油脂社製,
品名「パーヘキサ25B40」)。 架橋助剤(L−1):純度55%のジビニルベンゼン
(三共化成社製)。 老化防止剤(M−1):2−[1−(2−ヒドロキシ−
3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル]−4,6
−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレート(住友化学社
製,品名「Sumilizer GS」)。 老化防止剤(M−2):ビス(2,6−ジ−t−ブチル
−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスフ
ァイト(旭電化社製,品名「アデカスタブ PEP−3
6」)。
【0048】〈実施例1〉特定の官能基含有共重合体
(A−1)100重量部、金属化合物(B−1)1重量
部、および活性剤(I−1)4.5重量部を、それぞれ
230℃に加熱した10L双腕型加圧ニーダー(モリヤ
マ社製)に投入し、40rpmで20分間混練りした
(ずり速度200s-1)。その後、得られた溶融状態の
塊状の混練物を、180℃、40rpmに設定したフィ
ーダールーダー(モリヤマ社製)によって、ペレット化
したオレフィン系熱可塑性エラストマーを得た。得られ
たオレフィン系熱可塑性エラストマーのペレットを、電
熱加圧プレス成形機(関西ロール社製)によって、金型
温度が180℃、加圧加熱時間が10分間、加圧冷却時
間が5分間の条件でプレス成形することにより、12c
m×12cm×0.2cmの成形シートを得た。
【0049】[オレフィン系熱可塑性エラストマーの評
価]得られたオレフィン系熱可塑性エラストマーについ
て、流動性の指標として、温度230℃、荷重10kg
の条件でメルトフローレート(MFR)を測定した。結
果を下記表1に示す。また、得られたオレフィン系熱可
塑性エラストマーの成形シートを用いて、柔軟性の指標
としてデュロメータA硬度、ゴム弾性の指標として永久
伸び、機械的強度として引張破断強度および引張破断伸
び、耐摩耗性並びに比重を下記方法により測定すると共
に、下記の耐傷付性試験1および耐傷付性試験2を行っ
た。結果を表1に示す。 (1)デュロメータA硬度:JIS−K6253に準拠
して測定した。 (2)永久伸び:JIS−K6262に準拠して測定し
た。 (3)引張破断強度および引張破断伸び:JIS−K6
251に準拠して測定した。 (4)耐摩耗性:JIS−K6264に準拠してDIN
摩耗試験を行い、摩耗抵抗指数を測定した。 (5)比重:JIS−K7112に準拠して測定した。 (6)耐傷付性試験1:東洋精機製作所社製のテーバー
スクラッチテスターを用い、10gの荷重を掛けた金属
爪を成形シート表面上に走査させた。この操作を荷重を
10gずつ増加させながら成形シートの表面に傷が付く
まで繰り返し、当該成形シートの表面に傷が付いたとき
の荷重の値を記録した。この試験においては、記録され
た荷重の値が大きいもの程、耐傷付性に優れていること
になる。 (7)耐傷付性試験2:親指の爪によって成形シートの
表面を擦り、その傷付き度合いを下記の基準に従い目視
により判定した。 1;全く傷がつかない, 2;うっすらと傷がつくが直ちに復元して傷がなくな
る, 3;うっすらと傷がつく, 4;深い傷がつく
【0050】〈比較例1〉特定の官能基含有共重合体
(A−1)を、実施例1と同様にしてプレス成形するこ
とにより、成形シートを作製し、その評価を行った。結
果を表2に示す。
【0051】〈実施例2〜6、実施例8〜12および比
較例2〜3〉下記表1および表2に示す配合割合に従っ
て、各成分を230℃に加熱した10L双腕型加圧ニー
ダー(モリヤマ社製)に投入し、40rpmで20分間
混練りした。その後、得られた溶融状態の塊状の混練物
を、180℃、40rpmに設定したフィーダールーダ
ー(モリヤマ社製)によって、ペレット化したオレフィ
ン系熱可塑性エラストマーまたはオレフィン系熱可塑性
エラストマー組成物を得た。得られたオレフィン系熱可
塑性エラストマーまたはオレフィン系熱可塑性エラスト
マー組成物のペレットを、実施例1と同様にしてプレス
成形することにより、成形シートを作製し、その評価を
行った。結果を表1および表2に示す。
【0052】〈実施例7〉キシレン中に特定の官能基含
有共重合体(A−3)が5重量%となる割合で溶解され
てなる溶液を調製すると共に、キシレン中に金属化合物
(B−2)が1.0重量%および活性剤(I−1)が
4.5重量%となる割合で微分散されてなるけん濁液を
調製し、特定の官能基含有共重合体(A−3)、金属化
合物(B−2)および活性剤(I−1)が表1に示す配
合割合となるように、溶液と分散液と混合した。さら
に、得られた液を撹拌しながら、130℃で30分間加
熱した。その後、得られた混合液に対して加熱減圧処理
を施してキシレンを除去することにより、オレフィン系
熱可塑性エラストマーを得た。得られたオレフィン系熱
可塑性エラストマーを細断した後、実施例1と同様にし
てプレス成形することにより、成形シートを作製し、そ
の評価を行った。結果を表1に示す。
【0053】〈実施例13〉特定の官能基含有共重合体
(A−3)およびポリエチレン樹脂(C−1)を、重量
比で100:11.1となる割合で230℃に加熱した
10L双腕型加圧ニーダー(モリヤマ社製)に投入し、
40rpmで20分間混練りした。その後、得られた溶
融状態の塊状の混練物を、180℃、40rpmに設定
したフィーダールーダー(モリヤマ社製)によって、ペ
レット化した共重合体組成物を得た。得られた共重合体
組成物のペレット111.1重量部に、金属化合物(B
−2)1.1重量部および活性剤(I−1)5.0重量
部を添加し、ヘンシェルミキサーによってて30秒間混
合した。その後、得られた混合物を、二軸押出機(池貝
社製の型式「PCM−45」,同方向完全噛み合い型ス
クリュー,スクリューフライト部の長さLとスクリュー
直径Dとの比であるL/Dが33.5)を用いて、21
0℃、300rpmで2分間滞留する条件(ずり速度9
00s-1)によって、動的熱処理を施しながら押し出し
て、オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物のペレッ
トを得た。得られたオレフィン系熱可塑性エラストマー
組成物のペレットを、実施例1と同様にしてプレス成形
することにより、成形シートを作製し、その評価を行っ
た。結果を表2に示す。
【0054】〈比較例4〉無水マレイン酸変性共重合体
(H−2)、ポリプロピレン樹脂(C−2)および軟化
剤(D−1)を、重量比で100:33.9:35.6
となる割合で230℃に加熱した10L双腕型加圧ニー
ダー(モリヤマ社製)に投入し、40rpmで20分間
混練りした。その後、得られた溶融状態の塊状の混練物
を、180℃、40rpmに設定したフィーダールーダ
ー(モリヤマ社製)によって、ペレット化した共重合体
組成物を得た。得られた共重合体組成物のペレット16
9.5重量部に、有機過酸化物(K−1)1.7重量部
および架橋助剤(L−1)2.1重量部を添加し、ヘン
シェルミキサーによってて30秒間混合した。その後、
得られた混合物を、二軸押出機(池貝社製の型式「PC
M−45」,同方向完全噛み合い型スクリュー,スクリ
ューフライト部の長さLとスクリュー直径Dとの比であ
るL/Dが33.5)を用いて、210℃、300rp
mで2分間滞留する条件(ずり速度900s-1)によっ
て、動的熱処理を施しながら押し出して、オレフィン系
熱可塑性エラストマー組成物のペレットを得た。得られ
たオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物のペレット
を、実施例1と同様にしてプレス成形することにより、
成形シートを作製し、その評価を行った。結果を表2に
示す。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】表1および表2の結果から明らかなよう
に、実施例1〜13に係るオレフィン系熱可塑性エラス
トマーまたはその組成物は、耐傷付性、機械的強度、ゴ
ム弾性および耐摩耗性のいずれにおいても優れたもので
あることが理解される。また、実施例11で得られたオ
レフィン系熱可塑性エラストマー組成物のペレットを押
出機によって成形して得られたシートは、その表面が非
常に滑らかなものであり、ブツと呼ばれる架橋ゲルに起
因する異物が認められなかった。これに対して、比較例
1においては、金属イオンにより架橋されていない共重
合体であるため、機械的強度、ゴム弾性、耐傷付性およ
び耐摩耗性が低いものであった。また、比較例2におい
ては、オレフィン系共重合体が官能基を有しないため、
金属化合物を添加して動的熱処理しても、架橋構造が形
成されず、機械的強度、ゴム弾性、耐傷付性および耐摩
耗性が低いものであった。また、比較例3に係るオレフ
ィン系熱可塑性エラストマー組成物は、加工性(流動
性)が低く、機械的強度および耐傷付性が低いものであ
った。また、比較例4に係るオレフィン系熱可塑性エラ
ストマー組成物は、実施例1および実施例2に係るオレ
フィン系熱可塑性エラストマーまたはその組成物と同様
のゴム弾性(永久伸び)、柔軟性(硬度)および機械的
強度を有するものであったが、耐傷付性および耐摩耗性
が低いものであった。
【0058】
【発明の効果】本発明のオレフィン系熱可塑性エラスト
マーおよびその組成物は、従来のオレフィン系熱可塑性
エラストマーと同様のゴム弾性、柔軟性および成形加工
性を有し、しかも、機械的特性および耐摩耗性が良好
で、特に耐傷付性に優れたものであり、射出成形、押出
成形、中空成形、圧縮成型、真空成形、積層成形、カレ
ンダー成形等の溶融成形による加工が容易であり、ゴム
弾性、柔軟性および機械的物性に優れた熱可塑性エラス
トマー成形品を得ることができる。また、本発明のオレ
フィン系熱可塑性エラストマーおよびその組成物よりな
る成形品は、通常のオレフィン系加硫ゴム成形品やオレ
フィン系熱可塑性エラストマー成形品に接合して或いは
多層化して用いることもできる。本発明のオレフィン系
熱可塑性エラストマーおよびその組成物は、優れたゴム
弾性、柔軟性、成形加工性および耐傷付性を有すること
から、従来のオレフィン系熱可塑性エラストマーが使用
されている自動車のバンパー、外装用モール、ウィンド
シール用ガスケット、ドアシール用ガスケット、トラン
クシール用ガスケット、ルーフサイドレール、エンブレ
ム、インナーパネル、ドアトリム、コンソールボックス
等の内外装表皮材、ウエザーストリップ等、耐傷付性の
必要とされるレザーシート、航空機・船舶用のシール材
および内外装表皮材等、土木・建築用のシール材、内外
装表皮材あるいは防水シート材等、一般機械・装置用の
シール材等、弱電部品のパッキン、表皮、あるいはハウ
ジング等、情報機器用ロール、クリーニングブレード、
電子部品用フィルム、シール材、写真などの画像保護
膜、建材用化粧フィルム、医療用機器部品、電線、日用
雑貨品、スポーツ用品等の一般加工品にも幅広く利用す
ることができる。また、本発明の製造方法によれば、上
記のオレフィン系熱可塑性エラストマーおよびその組成
物を有利に製造することができる。
フロントページの続き (72)発明者 中西 英雄 東京都中央区築地2丁目11番24号 ジェイ エスアール株式会社内 (72)発明者 辻 昭衛 東京都中央区築地2丁目11番24号 ジェイ エスアール株式会社内 Fターム(参考) 4J002 AA01X AC01X AC03X AC06X AC08X AC11X BB03X BB04W BB05X BB06X BB07X BB08X BB12X BB17X BB18X BB21X BB24X BC03X BC06X BD04X BD10X BD12X BG03X BG04X BG05X BN05X BN06X BN15X CG00X CL00X DE056 DE066 DE076 DE086 DE096 DE106 DE116 DE136 DE146 EG036 EG046 FD010 FD020 4J100 AA02P AA03Q AA04Q AA07Q AA15Q AA16Q AA17Q AA19Q AR09R AR10S AR11R AR21S AR22S AS13S AS15S BA16R CA03 CA05 CA06 CA31 DA01 DA43 DA48 DA50 HA31 HA53 HB36 HB39 HC27 JA28 JA43 JA51 JA57 JA67

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エチレン、炭素数が3〜10のα−オレ
    フィン、官能基を有する不飽和単量体、および必要に応
    じて非共役ジエンが共重合されてなるオレフィン系ラン
    ダム共重合体と、このオレフィン系ランダム共重合体を
    架橋する金属イオンとよりなることを特徴とするオレフ
    ィン系熱可塑性エラストマー。
  2. 【請求項2】 官能基を有する不飽和単量体における当
    該官能基が、カルボキシル基、水酸基、エポキシ基また
    はスルホン酸基であることを特徴とする請求項1に記載
    のオレフィン系熱可塑性エラストマー。
  3. 【請求項3】 官能基を有する不飽和単量体が、下記一
    般式(1)で表される官能性環状化合物であることを特
    徴とする請求項1に記載のオレフィン系熱可塑性エラス
    トマー。 【化1】 [一般式(1)において、R1 は、水素原子または炭素
    数1〜10の炭化水素基を示し、Y1 、Y2 およびY3
    は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜10の炭
    化水素基または−COOHを示し、Y1 、Y2 およびY
    3 のうち少なくとも一つは−COOHであり、また、Y
    1 、Y2 およびY3 のうち2つ以上が−COOHである
    場合は、それらは互いに連結して形成された酸無水物
    (−CO−(O)−CO−)であってもよい。oは0〜
    2の整数であり、pは0〜5の整数である。]
  4. 【請求項4】 オレフィン系ランダム共重合体は、エチ
    レン35〜94.99モル%、炭素数が3〜10のα−
    オレフィン5〜50モル%、一般式(1)で表される官
    能性環状化合物0.01〜5モル%、および非共役ジエ
    ン0〜10モル%が共重合されてなることを特徴とする
    請求項3に記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー。
  5. 【請求項5】 金属イオンは、カリウム、ナトリウム、
    アルミニウム、マグネシウム、バリウム、亜鉛、鉄、カ
    ルシウム、チタンおよび鉛よりなる群から選ばれた少な
    くとも一種の金属のイオンであることを特徴とする請求
    項1乃至請求項4のいずれか一に記載のオレフィン系熱
    可塑性エラストマー。
  6. 【請求項6】 温度が230℃で荷重が10kgの条件
    で測定されたメルトフローレートが0.5g/10mi
    n以上、永久伸びが30%以下、デュロメータA硬度が
    96以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項5
    のいずれか一に記載のオレフィン系熱可塑性エラストマ
    ー。
  7. 【請求項7】 エチレン35〜94.99モル%、炭素
    数が3〜10のα−オレフィン5〜50モル%、請求項
    3に記載の一般式(1)で表される官能性環状化合物
    0.01〜5モル%、および非共役ジエン0〜10モル
    %が共重合されてなるオレフィン系ランダム共重合体1
    00重量部が溶媒に溶解されてなる溶液と、金属化合物
    0.1〜20重量部が溶媒に溶解または分散されてなる
    液とを20℃以上の温度で混合し、その後、得られた混
    合液から溶媒を除去することを特徴とするオレフィン系
    熱可塑性エラストマーの製造方法。
  8. 【請求項8】 エチレン35〜94.99モル%、炭素
    数が3〜10のα−オレフィン5〜50モル%、請求項
    3に記載の一般式(1)で表される官能性環状化合物
    0.01〜5モル%、および非共役ジエン0〜10モル
    %が共重合されてなるオレフィン系ランダム共重合体1
    00重量部と、金属化合物0.1〜20重量部とを、温
    度120〜350℃、ずり速度10〜2000s-1の条
    件で動的熱処理することを特徴とするオレフィン系熱可
    塑性エラストマーの製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項1乃至請求項6のいずれか一に記
    載のオレフィン系熱可塑性エラストマーと、熱可塑性樹
    脂およびゴムから選ばれた高分子化合物、および/また
    は軟化剤とを含有してなり、前記オレフィン系熱可塑性
    エラストマーを構成するオレフィン系ランダム共重合体
    100重量部に対して、前記高分子化合物が300重量
    部以下で、軟化剤が100重量部以下であることを特徴
    とするオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物。
  10. 【請求項10】 温度が230℃で荷重が10kgの条
    件で測定されたメルトフローレートが0.5g/10m
    in以上、永久伸びが30%以下、デュロメータA硬度
    が96以下であることを特徴とする請求項9に記載のオ
    レフィン系熱可塑性エラストマー組成物。
  11. 【請求項11】 エチレン35〜94.99モル%、炭
    素数が3〜10のα−オレフィン5〜50モル%、請求
    項3に記載の一般式(1)で表される官能性環状化合物
    0.01〜5モル%、および非共役ジエン0〜10モル
    %が共重合されてなるオレフィン系ランダム共重合体1
    00重量部と、金属化合物0.1〜20重量部と、熱可
    塑性樹脂およびゴムから選ばれた高分子化合物300重
    量部以下および/または軟化剤100重量部以下とを、
    温度120〜350℃、ずり速度10〜2000s-1
    条件で動的熱処理することを特徴とするオレフィン系熱
    可塑性エラストマー組成物の製造方法。
  12. 【請求項12】 請求項1乃至請求項6のいずれか一に
    記載のオレフィン系熱可塑性エラストマーまたは請求項
    9若しくは請求項10に記載のオレフィン系熱可塑性エ
    ラストマー組成物よりなることを特徴とする成形品。
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