JP4367889B2 - パン類の老化防止用組成物およびそれを用いたパン類の製造方法 - Google Patents

パン類の老化防止用組成物およびそれを用いたパン類の製造方法 Download PDF

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【0001】
【産業の属する技術分野】
本発明は、パン類の老化防止用組成物およびそれを用いたパン類の製造法に関する。より詳しくは本発明は、パンの保存による老化を防止または遅延させることができるパン類の老化防止用組成物およびそれを用いたパン類の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
パンは、焼成後、経時的に風味が失われるとともに、パンの内相は硬くなり、しっとり感が失われる、すなわちパンの老化といわれている現象がおこる。老化したパンの食感は硬く、ぱさつき、口溶けが悪くなるため、焼きたて時のおいしさが損なわれ、商品価値が失われてしまう。
このような、パンの老化を防止または遅延させるために従来から様々な方法が試みられてきた。乳化剤や酵素等を用いた改良剤を添加する方法が数多く提案されており、また、糖類を用いることも提案されている。
【0003】
マルトトリオースを含有することによってパンの経時的な劣化を防ぐ方法(特開昭60−192538)、マルトテトラオース・マルトペンタオース生成酵素を用いることによってパンの経時的な固化、食感の劣化を防止する方法(特開平11−178499)などが提案されている。さらに、マルトオリゴ糖は食品の品質改良剤として、冷凍パン生地への利用による蛋白の変性防止や、グルコースの重合度が2〜4のものが澱粉の老化抑制効果があることなどが知られている(月刊フードケミカル1997−6)。
【0004】
マルトオリゴ糖とは、グルコースを構成単位糖として、グルコース同士がα−1,4グルコシド結合で2〜10程度重合した少糖類で、具体的にはその重合度によりマルトース、マルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオース、マルトヘキサオース、マルトヘプタオース、マルトオクタオースなどを構成成分とする糖類の総称である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これまで用いられてきた糖類では、パン類の老化を十分に抑制することができなかった。特に、パン内相の軟らかさ、しっとり感、口溶けのよさなどを長時間保持することができるものは知られていなかった。
【0006】
そこで、本発明は、パンの老化、すなわちパンの保存における経時的な劣化による食感、食味の低下を抑制し、3,4日以上の長時間パンの軟らかさやしっとり感、口溶けのよさなどを保持することができるパン類の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、マルトヘキサオースおよびマルトペンタオースを有効成分とする、穀粉100重量部に対してそのマルトヘキサオースが0.2〜20重量部、マルトペンタオースが0.2〜20重量部になる配合割合で用いるパン類の老化防止組成物を要旨としている。
【0010】
また、本発明は、上記の組成物を、そのマルトヘキサオースおよびマルトペンタオースがそれぞれ穀粉100重量部に対して0.2〜20重量部になる配合割合で用いるパン類の製造方法を要旨としている。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明のパン類とは、小麦、大麦、ライ麦、エンバク、コーン、米等の穀物の粉のうち、1種以上からなる穀粉を主成分として、油脂、卵、イースト、砂糖、塩、イーストフード、ビタミンC、乳化剤、酵素剤などの各種副原料を添加、混捏してイースト発酵させた生地を成形、焼成して得られたもので、具体的には、食パン、フランスパン等のリーンなパンからクロワッサン、ブリオッシュ、菓子パン等のリッチなパンまであらゆるタイプのパンがあげられる。生地は、通常の生地のほか、冷凍または冷蔵生地を用いることができる。
【0012】
本発明のマルトヘキサオース、マルトペンタオースは、例えば、澱粉の酵素糖化液を精製することにより調製することができる。使用する澱粉は、トウモロコシ、馬鈴薯、甘薯、小麦、コメ、タピオカ、サゴ等を用いることができる。
【0013】
本発明のマルトヘキサオース、マルトペンタオースは、例えば、コーンスターチの懸濁液をpH調整した後、酸もしくはα−アミラーゼを添加し、加熱処理して得た澱粉液化液を冷却し、さらにα−アミラーゼまたは、α−アミラーゼと枝切り酵素を添加し反応を行い、酸を添加し反応を終了させる。次に、得られた糖化液について活性炭およびイオン交換樹脂による通常の脱色・精製を行い、所定濃度になるまで濃縮することにより調製することができる。さらに、これらの工程にクロマト分離による精製を組み合わせ、この操作を繰り返すことにより、高純度の画分を得ることができる。
【0014】
本発明のマルトヘキサオースのパンへの添加量は、配合する穀粉100重量部に対して固形物量で0.2〜20重量部であることが望ましい。好ましくは、食パンやフランスパンなどのリーンな配合のパンでは、0.2〜5重量部、クロワッサンなどのリッチな配合のパンでは0.5〜10重量部、菓子パンなどのさらにリッチな配合のパンでは、1〜20重量部であることが望ましい。
さらに好ましくは、上記のマルトヘキサオースに加えて、マルトペンタオースのパンへの添加量が小麦粉100重量部に対して、0.2〜20重量部であることが好ましい。特に、食パンやフランスパンなどのリーンな配合のパンでは、マルトヘキサオースが0.2〜5重量部およびマルトペンタオースが0.2〜5重量部、クロワッサンなどのリッチな配合のパンではマルトヘキサオースが0.5〜10重量部およびマルトペンタオースが0.5〜10重量部、菓子パンなどのさらにリッチな配合のパンでは、マルトヘキサオースが1〜10重量部およびマルトペンタオースが1〜10重量部であることが望ましい。
マルトヘキサオースがこれより少ない配合量になると、パンのソフトさやしっとり感などを長時間保持する効果が得られにくくなる。逆に、これよりマルトヘキサオース、または、マルトヘキサオースおよびマルトペンタオースの配合量が多くなると生地のべたつきがおこり、作業性に影響を及ぼす。さらに、生地の発酵時間の調整が必要となる。
【0015】
【作用】
マルトヘキサオース、またはマルトヘキサオースおよびマルトペンタオースを用いることによって、パン製品の経時的な劣化を抑制し、パンのソフトさ、しっとり感を常温で3〜4日以上保持することができる。
マルトヘキサオース、またはマルトヘキサオースおよびマルトペンタオースを一定の配合割合で用いてパン類を製造することにより、パン本来の味や風味を損なうことなく、パンの経時的な劣化による食感、食味の低下を抑制し、長時間パンの軟らかさやしっとり感、口溶けのよさを保持することができるパン類が得られる。
【0016】
【実施例】
本願発明の詳細を実施例で説明する。本願発明はこれら実施例によって何ら限定されるものではない。
試料1〜4の糖組成物を製造方法1および2によって得た。
【0017】
(製造方法1)
1.コーンスターチ溶液にBacillus由来のα−アミラーゼを添加し、60℃で40時間反応させた。反応終了後、イオン交換樹脂、活性炭による精製処理を行い、固形分を60重量%まで濃縮し、濃縮液を強酸性陽イオン交換樹脂を用いてクロマト分離した。
2.カラム通液し、7糖以上の画分を回収し、1のクロマト分離を繰り返し試料3とした。
3.さらに、5糖・6糖主成分画分を回収した。
4.5糖・6糖主成分画分をイオン精製、活性炭による精製処理を行い、固形分60重量%まで濃縮し、濃縮液を強酸性陽イオン交換樹脂のクロマト分離カラムに通液した。
5.3,4の操作を繰り返して、5糖・6糖画分を得、さらにクロマト分離カラムに通液した。
6.カラム通液し、6糖画分の画分を回収し、試料1とした。
7.さらに5糖画分を回収し、試料2とした。
【0018】
(製造方法2)
1.コーンスターチ溶液にMicrobacterium由来のα−アミラーゼを添加し60℃で40時間反応させた。
2.反応終了後、イオン交換樹脂、活性炭により精製後、固形分60重量%まで濃縮し、濃縮液を強酸性陽イオン交換樹脂のクロマト分離カラムに通液し、3糖主成分画分を回収した。
3.2のクロマト分離を繰り返して回収画分を合わせ、試料4とした。
【0019】
試料1〜4の固形分中の糖組成(%)を表1に示す。
【0020】
【表1】
Figure 0004367889
【0021】
試験1
(食パンによる試験)
以下に示す配合(小麦粉100重量部に対する重量部)と工程により70%中種法で食パンを製造した。
(1)基本配合
中種:
小麦粉 70
イースト 2
イーストフード 0.1
水 42
本捏ね:
小麦粉 30
食塩 2
上白糖 4
ショートニング 4
水 26
【0022】
(2)工程
中種ミキシング :低速2分、中速2分〔関東混合機工業(株)ミキサー〕
捏ね上げ温度 :24.0℃
中種発酵 :28℃、RH(相対湿度)75%、4時間
本捏ねミキシング:低速2分、中速4分、油脂入れ、低速1分、中速2分、高速1分
捏ね上げ温度 :28.0℃
生地発酵 :28℃、RH(相対湿度)75%、30分
分割・丸め :220g、手丸め
ベンチタイム :15分
成形 :プルマン型
ホイロ :38℃、RH(相対湿度)75%、型8分目まで
焼成 :200℃、40分
【0023】
(3)試験の配合と工程
基本配合を用い、上記工程で製造したものをコントロールとした。上白糖の一部を下記に示す配合で試料1〜4の糖に置き換えた。試験糖は、固形物量に換算して用いた。試験糖に含まれる水分量を、パンの配合中の加水量から差し引くことにより、コントロールの配合と試験配合の固形物量および水分量を一定とした。
コントロールと同様の工程で食パンを製造した。
実施例1:小麦粉100重量部に対して、上白糖3.75重量部、試料1を固形物量で0.25重量部配合
実施例2:小麦粉100重量部に対して、上白糖3.50重量部、試料1を固形物量で0.25重量部配合、試料2を固形物量で0.25重量部配合
比較例1:小麦粉100重量部に対して、上白糖3.75重量部、試料2を固形物量で0.25重量部配合
比較例2:小麦粉100重量部に対して、上白糖3.75重量部、試料3を固形物量で0.25重量部配合
比較例3:小麦粉100重量部に対して、上白糖3.75重量部、試料4を固形物量で0.25重量部配合
比較例4:小麦粉100重量部に対して、上白糖3.85重量部、試料1を固形物量で0.15重量部配合
比較例5:小麦粉100重量部に対して、上白糖3.70重量部、試料1を固形物量で0.15重量部配合、試料2を固形物量で0.15重量部配合
【0024】
実施例1〜2および比較例1〜5における小麦粉100重量部当たりの試料糖の重量部を表2に示す。なお、実施例1は、参考例である。
【0025】
【表2】
Figure 0004367889
【0026】
(評価)
上記の条件で製造したパンをポリエチレン袋に入れて20℃で4日間保存した。保存1日目、3日目、4日目のパンについて、テンシプレッサ〔(有)タケトモ電機〕によるパンのクラム(内相)の押し込み強度測定を行い、経時的な硬さの変化を評価した。また、保存4日目のパンについて、パン製造経験4年以上の熟練パネラーにより、パン表面の触感によるしっとり感、食べたときの軟らかさおよび口溶けの官能検査を行い評価した。
【0027】
(パンクラムの硬さ測定)
試料 :パンのクラム 厚さ2cm
プランジャー :φ2cm、円形プランジャー
押し込み強度 :1mm/s
押し込み :パンの厚さの40%まで押し込み、そのときの最大応力値を測定
食パンのクラムの硬さ変化を図1に示す。
【0028】
(食パンの官能検査)
(1)しっとり感
食パンのスライス表面(内相)の触感により、しっとり感を基本配合の食パンをコントロールとして評価した。
◎:特に良好、〇:良好、△:コントロールと同等、×:コントロールより劣る
(2)食べたときの軟らかさ
食パンのクラム(内相)の食感により、軟らかさを基本配合の食パンをコントロールとして評価した。
◎:特に良好、〇:良好、△:コントロールと同等、×:コントロールより劣る
(3)口溶け
食パンのクラム(内相)の食感により、口溶けの良さを基本配合の食パンをコントロールとして評価した。
◎:特に良好、〇:良好、△:コントロールと同等、×:コントロールより劣る
食パンの官能検査の結果を表3に示した。
【0029】
【表3】
Figure 0004367889
【0030】
試験1の結果、マルトヘキサオースを小麦粉100重量部に対し、0.22重量部配合した実施例1は、保存4日後のパンで、しっとり感、軟らかさ、口溶けがコントロールと比較して良好であった。マルトヘキサオース0.24重量部とマルトペンタオース0.23重量部を配合した実施例2では、軟らかさ、口溶けがさらに良好なパンが得られた。また、図1のテンシプレッサによるクラムの硬さ変化から、実施例1、実施例2ではコントロールより硬くなりにくいことがわかった。一方、マルトヘキサオースが0.2重量部より少ない比較例1〜5では、しっとり感、軟らかさ、口溶けがコントロールに比較して劣っていた。
【0031】
試験2
(クロワッサンによる試験)
以下に示す基本配合(小麦粉100重量部に対する重量部)と工程によりクロワッサンを製造した。
(1)基本配合
小麦粉 100
上白糖 10
脱脂粉乳 3
食塩 1.8
卵 10
イースト 3
イーストフード 0.1
ショートニング 8
水 52
折込油脂 50
【0032】
(2)工程
ミキシング :低速2分、中速3分、油脂入れ、低速1分、中速4分〔関東混合機工業(株)ミキサー〕
捏ね上げ温度 :24.0℃
フロアタイム :20℃、15分
リタード :−20℃、30分、0℃、15時間
ロールイン :三つ折り×3回
成形 :40gカット
ホイロ :30℃、RH(相対湿度)75%、60分
焼成 :200℃、12分
【0033】
(3)試験の配合と工程
基本配合を用い、上記工程で製造したものをコントロールとして、上白糖の一部を試料1〜2の糖に下記の配合割合で置き換えた。試料糖の固形物量および配合中の加水量の調整は試験1と同様に行った。
コントロールと同様の工程でクロワッサンを製造した。
実施例3:小麦粉100重量部に対して、上白糖5重量部、試料1を固形物量で5重量部配合
実施例4:小麦粉100重量部に対して、上白糖5重量部、試料1を固形物量で2.5重量部配合、試料2を固形物量で2.5重量部配合
比較例6:小麦粉100重量部に対して、上白糖9.85重量部、試料1を固形物量で0.15重量部配合
比較例7:小麦粉100重量部に対して、上白糖9.70重量部、試料1を固形物量で0.15重量部配合、試料2を固形物量で0.15重量部配合
【0034】
実施例3〜4および比較例6〜7における小麦粉100重量部当たりの糖の重量部を表4に示す。なお、実施例3は、参考例である。
【0035】
【表4】
Figure 0004367889
【0036】
(クロワッサンの評価)
上記条件でクロワッサンを製造した。パンの保存はポリエチレン袋に入れて20℃で4日間保存した。保存4日目のパンについて、パン製造経験4年以上の熟練パネラーにより、パン内相の触感によるしっとり感、食べたときの軟らかさおよび口溶けの官能検査を行い、評価した。
(クロワッサンの官能評価)
食パンと同様に行った。
クロワッサンの官能検査結果を表5に示した。
【0037】
【表5】
Figure 0004367889
【0038】
試験2の結果、マルトヘキサオースを小麦粉100重量部に対して4.5重量部配合した実施例3は、保存4日後のクロワッサンの内相において、しっとり感、軟らかさ、口溶けがコントロールと比較して良好であった。また、マルトペンタオースを2.3重量部、マルトヘキサオースを2.4重量部配合した実施例4は、軟らかさがさらに良好なパンが得られた。
【0039】
試験3
(菓子パン:冷凍生地による試験)
以下に示す基本配合(小麦粉100重量部に対する重量部)と工程により菓子パンを製造した。
(1)基本配合
小麦粉 100
上白糖 30
脱脂粉乳 3
食塩 1
アスコルビン酸 0.01
卵 10
冷凍生地用イースト 6
ショートニング 8
水 44
【0040】
(2)工程
ミキシング :低速2分、中速7分、油脂入れ、低速1分、中速5分
〔関東混合機工業(株)ミキサー〕
捏ね上げ温度 :22.0℃
フロアタイム :20分
分割・丸め :40g、手丸め
ベンチタイム :15分
成形 :ドックロール型
凍結 :−30℃、60分
冷凍保存 :−25℃、1ケ月
解凍 :25℃、RH(相対湿度)75%、60分
ホイロ :38℃、RH(相対湿度)75%、60分
焼成 :210℃、12分
【0041】
(3)試験の配合
基本配合を用い、上記工程で製造したものをコントロールとして、上白糖の一部を試料1〜2の糖に下記の配合割合で置き換えた。試料糖の固形物量および配合中の加水量の調整は試験1と同様に行った。
コントロールと同様の工程で菓子パンを製造した。
【0042】
実施例5:小麦粉100重量部に対して、上白糖10重量部、試料1を固形物量で20重量部配合
実施例6:小麦粉100重量部に対して、上白糖10重量部、試料1を固形物量で10重量部配合、試料2を固形物量で10重量部配合
比較例8:小麦粉100重量部に対して、上白糖29.85重量部、試料1を固形物量で0.15重量部配合
比較例9:小麦粉100重量部に対して、上白糖29.70重量部、試料1を固形物量で0.15重量部配合、試料2を固形物量で0.15重量部配合
【0043】
実施例5〜6および比較例9〜11における小麦粉100重量部当たりの糖の重量部を表6に示す。
【0044】
【表6】
Figure 0004367889
【0045】
(菓子パンの評価)
上記条件で菓子パンを製造した。パンの保存はポリエチレン袋に入れて、20℃で4日間保存した。保存4日目のパンについて、パン製造経験4年以上の熟練パネラーにより、パンのクラム(内相)の触感によるしっとり感、食べたときの軟らかさおよび口溶けの官能検査を行い、パンの劣化を評価した。
(菓子パンの官能検査)
試験1の食パンの官能検査と同様に行った。
菓子パンの官能検査結果を表7に示す。
【0046】
【表7】
Figure 0004367889
【0047】
試験3の結果、実施例5により、菓子パンにマルトヘキサオースを小麦粉100重量部に対して18重量部配合することにより、保存4日後の菓子パンのしっとり感、軟らかさ、口溶けがコントロールと比較して良好であった。また、実施例6によりマルトヘキサオース9.6重量部、マルトペンタオース9.2重量部配合することによりしっとり感と口溶けがさらに良好なパンが得られた。
【0048】
試験4
(糖製品の試験)
以下に示す試料5、試料6を用いて、食パン試験を行った。
試料5:マルデックPH400(昭和産業(株))
試料6:サンオリゴ(参松工業(株))
【0049】
試料5、試料6の固形分中の糖組成(%)を表8に示す。
【0050】
【表8】
Figure 0004367889
【0051】
試験1と同様の試験方法で食パンを製造した。
実施例7:小麦粉100重量部に対して、上白糖2重量部、試料5を固形物量で2重量部配合
実施例8:小麦粉100重量部に対して、上白糖2重量部、試料6を固形物量で2重量部配合
【0052】
実施例7〜8における小麦粉100重量部当たりの試料糖の重量部を表9に示す。
【0053】
【表9】
Figure 0004367889
【0054】
(食パン評価)
試験1の条件で食パンを製造した。パンの保存はポリエチレン袋に入れて、20℃で5日間保存した。保存4日目のパンについて、パン製造経験4年以上の熟練パネラーにより、パン内相のしっとり感、食べたときの軟らかさおよび口溶けの官能検査を行い、パンの劣化を評価した。
(食パンの官能検査)
試験1の食パンの官能検査と同様に行った。
結果を表10に示す。
【0055】
【表10】
Figure 0004367889
【0056】
試験4の実施例7および実施例8より、試料5、試料6のような組成の糖でも小麦粉100重量部に対しマルトヘキサオースを0.32〜0.59重量部およびマルトペンタオースを0.38〜0.42重量部の範囲で配合することにより、保存4日後の食パンの官能評価において、しっとり感、食べたときの軟らかさおよび口溶けがコントロールと比較して良好なパンが得られた。
【0057】
【発明の効果】
パンの保存による老化を防止または遅延させることができるパン類の老化防止用組成物を提供することができる。
パン本来の味や風味を損なうことなく、パンの経時的な劣化による食感、食味の低下を抑制し、長時間パンの軟らかさやしっとり感を保持することができるパン類の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1〜2および比較例1〜5における食パンのクラムの硬さ変化を示す図面である。

Claims (2)

  1. マルトヘキサオースおよびマルトペンタオースを有効成分とする、穀粉100重量部に対してそのマルトヘキサオースが0.2〜20重量部、マルトペンタオースが0.2〜20重量部になる配合割合で用いるパン類の老化防止組成物。
  2. 請求項の組成物を、穀粉100重量部に対してそのマルトヘキサオースが0.2〜20重量部、マルトペンタオースが0.2〜20重量部になる配合割合で用いるパン類の製造方法。
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