JP4367142B2 - 耐蝕性部材及びその製造方法 - Google Patents

耐蝕性部材及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4367142B2
JP4367142B2 JP2004018145A JP2004018145A JP4367142B2 JP 4367142 B2 JP4367142 B2 JP 4367142B2 JP 2004018145 A JP2004018145 A JP 2004018145A JP 2004018145 A JP2004018145 A JP 2004018145A JP 4367142 B2 JP4367142 B2 JP 4367142B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
corrosion
group
resistant
glass
sprayed film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2004018145A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2004253793A (ja
Inventor
昌則 阿部
小弥太 高橋
一喜 新井
努 高畑
眞吉 橋本
雅則 向後
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tosoh Corp
Original Assignee
Tosoh Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tosoh Corp filed Critical Tosoh Corp
Priority to JP2004018145A priority Critical patent/JP4367142B2/ja
Publication of JP2004253793A publication Critical patent/JP2004253793A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4367142B2 publication Critical patent/JP4367142B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Coating By Spraying Or Casting (AREA)
  • Drying Of Semiconductors (AREA)
  • Surface Treatment Of Glass (AREA)
  • Glass Compositions (AREA)
  • Chemical Vapour Deposition (AREA)

Description

本発明は、半導体等の製造におけるCVD装置、プラズマ処理装置(プラズマエッチング装置)等に用いる部材であり、特に腐食性ガス又はプラズマに対する耐蝕性が高く、かつ耐熱強度の高い部材に関するものである。
半導体等の製造工程におけるプラズマエッチングや、CVD装置のクリーニング用途には腐食性ガスが多用されている。これら腐食性ガスにはフッ素系、塩素系ガス等が用いられている。フッ素系ガスではCF、C、C、CHF/CF、SF等が用いられており(例えば特許文献1参照)、Cl系ガスでは、Cl、BCl、CCl等が用いられている(非特許文献1参照)。さらにHF、F、NFを用いることも提案されている(例えば特許文献1、2、3参照)。
このような腐食性ガスを用いる装置の容器、内壁、部品等、上記ガス或いは上記ガスを含むプラズマに接触する部分には、石英、アルミナ、窒化アルミニウム等のセラミックス又はアルミニウム、ステンレス等の金属が使用されている。しかし、これらの部材はフッ素系ガスと反応しフッ化物を生成して装置内のパーティクル発生の原因となることや、部材が短時間に消耗するという問題があった。
例えば、石英の部材はフッ素ガスと反応してSiFを生成して昇華して消耗する。またアルミナ、窒化アルミニウム等のセラミックス焼結体では、アルミニウムのフッ化物AlFは昇華はし難いが、部材の粒界や気孔において選択的に腐蝕が進行し、結晶粒子脱落によりパーティクルが発生する。
この様な問題を解決する方法として、マグネシア、シリカを含むアルミナセラミックスの表面開気孔率を0.3%以下とした焼結体が提案されている(例えば特許文献4参照)。しかしこの様な焼結体でも焼結粒子の結晶粒界での腐食は避けられず、当該結晶粒子の脱落によるパーティクル発生は避けられなかった。
結晶粒界を無くしてパーティクルの発生を押さえる方法として、耐蝕性のあるAl、CaO、MgO、ZrO、BaO等を含有する非晶質のガラス材料を用いることが提案されている(例えば特許文献5参照)。また、石英に0.1〜20wt%の金属酸化物を添加したガラス素材も提案されている(例えば特許文献6参照)。しかしこれらの耐蝕性ガラスは高価な上に、半導体プロセスで安定性良く使用するには耐熱強度が不足しており、半導体製造プロセスに用いる容器、部品として使用できる部分が限定された。
一方、基材を保護するため基材表面に溶射膜を形成する技術が知られているため、上述の耐蝕性ガラスを耐熱強度のある基材の上に溶射によって被覆して用いることが考えられる。しかし従来の溶射技術では、ガラスの溶射膜形成が困難であったため、従来の溶射による保護膜の形成は主に金属或いはセラミックスを用いるものであった。
ガラス質の溶射に関する先行技術としては、例えば、印刷用の金属ロールの腐蝕防止のためにガラスの溶射膜を形成する方法が開示されている(例えば特許文献7、8、9参照)。しかし、従来のガラスの溶射に用いるガラスは、軟化点が1000℃より低いガラスであり、軟化点が1000℃を超えるガラスでは付着性が悪く、気孔率が増加し、均一な溶射膜が得られないことが示されている。(例えば特許文献7参照)また下地が酸化物であるとガラスの密着性が悪いため、基材の溶射面のアンダーコート(下地処理)として金属溶射膜層が必要であることも示されている(例えば特許文献8参照)。
すなわち、従来、ガラスの溶射膜は酸化物の上には密着性良く形成できないことが常識であり、1000℃以上の高軟化点を有するガラスを基材に密着性良く溶射する技術はなく、特にガラスを含む酸化物上に密着性よく溶射する技術はなかった。また低軟化点のガラスの溶射膜形成において、温度管理が重要であることが示されているが、従来の温度管理は、基材の温度をガラスの軟化点以上にし、溶射するガラス原料を溶融することのみを目的とするものでしかなかった(例えば特許文献9参照)。
また、プラズマエッチングによって侵食される部分のほかに、堆積するフッ素系ポリマーやレジスト等エッチングされた物質が最堆積して形成された膜は、エッチングを繰り返すたびに厚くなって膜状物質が剥離して発塵となり、成膜基板を汚染するため、メンテナンスの発生頻度が多いという問題があった。
特開2000−223430号公報
特開2000−248363号公報 特開平05−090180号公報 特開平11−278919号公報 特開2002−121047号公報 特開2002−137927号公報 特開昭64−13324号公報 特開平4−99259号公報 特開平11−124663号公報 L.Peters,"Plasma Etch Chemistry:The Untold Story,"Semic.Intl.,15(6),66(1992).
以上説明した様に、半導体製造プロセスにおいて腐食性ガスやプラズマを用いる工程では、部材の腐蝕によるパーティクル発生、それに伴う製品汚染、歩留まり低下等の問題があった。またこの様な問題を抑制する耐蝕性ガラスが提案されているが、耐蝕性ガラスは高価な上、耐熱強度が不十分であり、用いることが出来る用途が限定された。またこの様な耐蝕性ガラスを耐熱部材の上に溶射しようとしても、高軟化点の耐蝕性ガラスを密着性良く基材上に溶射する技術がなかった。また、成膜装置、或いはプラズマ処理装置の使用において、装置内の部材に付着した膜状物質の剥離による塵芥(異物)、パーティクルの発生を防止することも本発明の技術領域で極めて重要な課題であった。
本発明者らは、上述のような現状に鑑み、鋭意検討を行なった結果、元素周期律表2a族及び3a族及び4a族の群よりなる元素の少なくとも1つの元素を含む耐蝕性ガラス溶射膜、特に当該ガラスが元素周期律表2a族及び3a族及び4a族の群よりなる元素の少なくとも1つの元素を含むアルミノシリケートガラス又はジルコニアシリケートガラスの耐蝕性ガラス溶射膜を溶射した基材からなる部材では、腐蝕性ガスや腐食性ガスを含むプラズマに対する耐蝕性が特に高く、なおかつ加熱される部分に用いる部品としても十分な耐熱強度を有することを見出した。また当該耐蝕部材は、同一組成のバルクガラス部材に比べてより腐食性ガス或いはプラズマに対して高い耐蝕性となることを見出した。さらに軟化点が1000℃を超える耐蝕性ガラスを密着性良く基材に溶射するには、溶射温度を溶射原料ガラスの軟化点以上にするだけでなく、基材の最表面が溶融する温度で溶射することが特に有効であり、さらに基材の上にSiOを含むガラス溶射膜の中間層を形成した上に耐蝕性ガラスを溶射すると、基材と耐蝕性ガラス溶射膜間の密着性が良いことを見出した。さらに、本発明者は、アルミニウム又はジルコニウム及び2a族及び3a族及び4a族の元素のうち少なくとも一つの濃度が低い球状突起層を形成した耐蝕性部材は、耐蝕性部材表面に堆積した膜状物質の剥離によって発生する発塵が少ないことを見出し本発明を完成するに至ったものである。
以下、本発明の耐蝕性部材について詳細に説明する。
本発明の耐蝕性ガラス溶射膜は非晶質のガラスでなくてはならない。耐蝕性ガラス溶射膜が結晶質であると、腐食性ガス雰囲気では結晶粒界が選択的にエッチングされ、結晶粒の脱落によりパーティクル発生原因となるからである。耐蝕性ガラスが非晶質であるか否かは、溶射膜をエックス線回折で評価した際に結晶性の回折ピークが観測されるかどうかで確認することが出来る。
本発明の耐蝕性部材の耐蝕性ガラス溶射膜の組成は、元素周期律表2a族及び3a族及び4a族の元素からなる群より選ばれる少なくとも1つの元素を含むものである。ここで言う2a族とは、Be、Mg、Ca、Sr、Baのアルカリ土類金属元素であり、3a族とは、Sc、Yとランタノイド元素、4a族とはTi、Zr、Hfのことである。2a族、3a族、4a族の元素を含むガラスは、腐食性ガス或いはそのプラズマとの反応性が低く、仮に腐食性ガス中のフッ素と反応が生じたしたとしても生成するものは高沸点化合物であり、プラズマや腐蝕性ガスによるエッチングを抑制する効果がある。
本発明の耐蝕性ガラス溶射膜は上述の元素を含む非晶質ガラスの中でも、特にアルミノシリケートガラス又はジルコニアシリケートガラスであることが好ましい。アルミノシリケートガラス或いはジルコニアシリケートガラスに含まれるアルミニウム、ジルコニウムは上述の2a族、3a族元素と同様に弗素とは高沸点の化合物しか形成しないため、フッ素系プラズマや腐蝕性ガスによるエッチングを抑制する効果がある。
本発明に用いる耐蝕性ガラス溶射膜のガラスは、上述の組成の中でも特にY、La、Ceの少なくとも1つ以上を含むアルミノシリケートガラス又はジルコニアシリケートガラスであることが好ましい。
本発明の耐蝕性ガラス溶射膜の組成は酸素を除いた金属元素の原子比において、2a族、3a族、4a族の元素が1から30原子%、Si元素が20から99原子%の範囲であることが好ましい。
特にアルミノシリケートガラスの場合、Si元素が20から98原子%、Y、La、Ce元素が1から30原子%及びAl元素1から50原子%の範囲であることが好ましい。その中でも特に、各金属元素の原子比(Si:Al:3a族)が70:20:10、50:20:30、30:40:30、30:50:20、45:50:5、70:25:5の各点を結ぶ範囲内にその組成を有することが好ましい。この範囲を図1に示す。
また、ジルコニアシリケートガラスの場合、Si元素が20から98原子%、Y、La、Ce元素が1から30原子%及びZr元素1から50原子%の範囲であることが好ましい。その中でも特に各金属元素の原子比(Si:Zr:3a族)=70:25:5、70:10:20、50:20:30、30:40:30、30:50:20、45:50:5の各点を結ぶ範囲内にその組成を有することが好ましい。この範囲を図2に示す。さらにその中でも、特に各金属元素の原子比(Si:Zr:3a族)=70:25:5、70:10:20、50:22:28、30:42:28、30:50:20、45:50:5の各点を結ぶ範囲内にその組成を有することが好ましい。
また、2a族を含むジルコニアシリケートガラスの場合、各金属元素の原子比(Si:Zr:2a族)=70:25:5、45:25:30、30:40:30、30:50:20、50:45:5の各点を結ぶ範囲内にその組成を有することが好ましい。この範囲を図3に示す。上記の組成範囲では、ガラス安定領域であり、結晶化し難い。一方、組成がこれらの範囲から外れ、Al又はZrと2a又は3a族元素の濃度が高くなると、ガラスが結晶化し易く、粒界、気孔が形成され、そこから腐食が進行してパーティクル発生原因となり易い。さらに耐蝕性ガラス溶射被膜の熱膨張率が増大し、基材から耐蝕性ガラス溶射膜が剥がれ易い。また、Al又はZrと2a又は3a族元素の濃度が低くなると、溶射時に溶射粉末が溶融しにくくなり、溶射膜中に気孔が多く含まれやすくなる。この気孔から腐食が進行してパーティクルの発生原因となり易い。
本発明で用いる上述のガラスは、その組成によって差はあるが軟化点が1000〜1700℃の範囲であり、従来溶射に用いられているガラスより軟化点が高いものである。
本発明で用いる基材は特に限定はないが、石英ガラス、バイコール、パイレックス(登録商標)などの耐熱ガラスやステンレス、インコネル等の金属、ムライト等のセラミックス等、耐熱強度が高いもの、熱伝導性が高いものを用いることが好ましい。
用いる基材の表面は、表面粗さRaが1〜50μmであることが好ましい。表面粗さを1〜50μmとすることにより、耐蝕性ガラス溶射膜と基材との密着性が向上する。表面粗さRaが1μm未満では、基材と耐蝕性ガラス溶射膜が剥離し易く、基材の上に耐蝕性ガラス溶射膜を均一に被覆することが難しい。一方、表面粗さRaが50μmを超えると、耐蝕性ガラス溶射膜の表面を平滑にすることが難しく、プラズマや腐蝕性ガスによるエッチングを抑制することが難しい。
本発明の耐蝕性ガラス溶射膜の厚みに限定はないが、0.01mmから3mm、特に0.01から0.5mmであることが好ましい。耐蝕性ガラス溶射膜の厚みがこれ以上厚くなると、基材との熱膨張率の差によって耐蝕性ガラス溶射膜のひび割れ、剥離が発生し易く、一方0.01mm未満では保護膜として不十分である。耐蝕性ガラス溶射膜の厚みは、部材の断面を顕微鏡で観察するか、部材の断面をEPMA(X線マイクロアナライザー)による構成元素の組成分析を行なうこと等で確認することができる。
本発明の耐蝕性部材の耐蝕性ガラス溶射膜の表面粗さRaは0.01〜5μm、特に2μm未満であることが好ましい。耐蝕性ガラス溶射膜の表面平滑性が悪く荒れたものであると、耐蝕性ガラス溶射膜表面に形成された突起形状の特にエッジの部分がプラズマ或いは腐食性ガスによって選択的にエッチングされ、パーティクルが発生し易い。
本発明の耐蝕性部材は基材と耐蝕性ガラス溶射膜の間に軟化点が1500℃以上のSiOを含むガラス溶射膜の中間層を有することが特に好ましい。基材と耐蝕性ガラス溶射膜は、熱膨張率が異なるため高温で用いた場合、基材と耐蝕性ガラス溶射膜の接合面に応力が発生して剥れ易くなることがある。そこで基材と耐蝕性ガラス溶射膜の間にSiOを含むガラス溶射膜層の中間層を施すことによって応力を緩和し、部材を高温で用いても基材と耐蝕性ガラス溶射膜間の密着性を維持することが出来る。またガラスの溶射では、溶射されたガラス原料は溶融し、基板上で溶射ガスに巻き上げられて気泡が発生し易いが、軟化点が1500℃以上のSiOを含むガラス溶射膜の中間層が存在すると、耐蝕性ガラス溶射膜が当該中間層へ一部溶融して溶射面に溶射膜が溜まり易くなり、気泡の混入が防止され、緻密な耐蝕性ガラス溶射膜が形成される。
本発明の耐蝕性部材は、基材と耐蝕性ガラス溶射膜、或いは基材とSiOを含むガラス溶射膜の中間層と耐蝕性ガラス溶射膜からなるが、本発明ではこれらが単に積層しているだけではなく、夫々の界面で溶融した溶融層を形成していることが好ましい。ブラスト等で表面を荒した基材の上に、溶融層を形成しないで耐蝕性ガラス溶射膜を積層した場合には、荒れた基材表面へ耐蝕性ガラス溶射膜が噛み込むことによってある程度の密着性は得られるが、高温で用いると基材と耐蝕性ガラス溶射膜の熱膨張率の違いによって剥離し易い。本発明の部材は、表面粗さRaが1〜50μmの基材表面に耐蝕性ガラス溶射膜が噛み込むだけでなく、界面で溶融層を形成することによって特に高い密着性が得られる。
上述の溶融層の厚みは特に限定されないが、10〜500μmであることが好ましい。溶融層の厚みが10μm未満では密着性を発現するに不十分であり、500μm以上では耐蝕性を有する部分の厚さが薄くなってしまうために好ましくない。
上述の溶融層の形成は、耐蝕性部材の断面において耐蝕性ガラス溶射膜と基材、或いはSiOを含むガラス溶射膜の中間層の接合面をEPMAによる組成分析によって確認することが出来る。溶融層が形成されている場合には当該溶融層には耐蝕性ガラス溶射膜と基材の両方に属する組成元素が確認できる。
本発明の耐蝕性部材は、単に耐蝕性ガラスを基材と組合せたものではなく、従来のバルクの耐蝕性ガラス部材より腐食性ガス又はプラズマに対して耐蝕性が高められたものである。従来のバルクの耐蝕性ガラス部材では耐蝕性にばらつきがあった。ばらつきの原因は定かではないが、例えばバルク部材では、部材の表面を平滑化するために研磨加工が必須であるため、ガラス表面に研磨加工による欠陥が出来易く、当該欠陥を起点にして腐蝕が進むことが考えられた。それに対して本発明の耐蝕性部材は、表面の平滑化を溶射フレームの加熱のみによって行っているため、機械加工によって腐蝕の起点となる欠陥が生成せず、バルク部材を超える性能が発揮されるものと考えられる。また本発明の耐蝕性部材では、特に熱伝導性の高い基材を用いた場合、耐蝕性ガラス溶射膜の表面の熱拡散が促進されることにより、当該耐蝕性ガラス溶射膜表面の腐蝕反応が抑制されていると考えられる。さらに従来のバルクガラスでは、原子量が大きい3a族等の使用において、ガラスの溶融中に3a族元素が沈み易く、組成を均一にすることが困難であり、腐蝕の起点となる不均一組成の部分が出来易かった。それに対して本発明の方法では耐蝕性ガラス溶射膜の厚みの範囲で、十分に溶融した状態で耐蝕性ガラス溶射膜が形成されるため、不均一組成が出来難いことも影響していると考えられる。
次に本発明の耐蝕性部材の製造方法を説明する。
本発明の耐蝕性部材の溶射膜の形成は、プラズマ溶射法、フレーム溶射法、高速フレーム溶射法により形成できる。また、非常に緻密で透明化した溶射膜は、溶射フレームによって基材表面を溶融しながら耐蝕性ガラス溶射膜を形成することによって製造できる。
本発明の耐蝕性ガラス溶射被膜の形成は、溶射後の基材温度を100℃〜400℃の範囲にすることが好ましい。このような基材温度範囲は、通常のプラズマ溶射装置を用いてプラズマフレーム長さが50mm程度の乱流状態のフレームによって溶射を行う場合に適応できる。この溶射法では、溶射粉末のみをプラズマ炎にて溶融し、溶射ガスで溶融した溶射粉末を基材に対して吹きつけて厚膜を形成する。このような条件で溶射を行った膜は不透明ではあるが、比較的緻密な膜を得ることが出来る。このような溶射フレームを得るためには、例えば図4に示すような溶射装置の場合、出力30kw以上、溶射距離100mm程度の条件が例示できる。このような条件で形成された溶射膜は膜厚が0.2mm以上でも膜にクラックが入りにくい。
CVD装置等、高温で使用する耐食性部材には、透明で非常に緻密な溶射膜が必要とされる。そのような部位に使用するためには、層流状態の溶射フレームによって基材表面を溶かしながら溶射することで、透明で非常に緻密な溶射膜を形成することが出来る。この溶射法は、例えば、図5に示すような複トーチ型プラズマ溶射装置を用いると、長さが数百mmの層流プラズマフレームが形成でき、このフレームによって基材表面を溶かしながら溶射することができる。このような溶射法で形成された溶射膜は非常に緻密であるが、膜厚が0.2mmを超えると溶射膜の残留応力のためにクラックが入ることがある。
本発明で用いる溶射原料は、2a族、3a族の少なくとも1つの元素を含むガラス組成の原料であり、粉末形状の原料を用いることが好ましい。2a族、3a族、4a族のいずれかの元素を含むガラス組成の粉末原料は、例えば、シリカと2a族、3a族、4a族の酸化物粉末顆粒の混合物や、ガラスがアルミノシリケート或いはジルコニアシリケートの場合では、アルミナ或いはジルコニア粉末をシリカ粉末及び2a族、3a族、4a族の酸化物を所定の割合で混合し、電気溶融法等で溶融したガラスインゴットを作成した後、粉砕することによって調製することができる。またシリカ粉末、2a族、3a族、4a族の酸化物、アルミナ粉末、ジルコニア粉末の混合粉末をスラリー化し、当該混合スラリーをスプレードライ法で顆粒を作成した後、顆粒を焼結する等の方法で得ることも出来る。
溶射に用いる原料粉末の粒径は限定はないが、平均粒径で20〜100μmであることが好ましい。平均粒径20μm未満では原料粉末自身に十分な流動性がないため溶射フレーム中に原料を均一に供給することが難しい。また、平均粒径が100μmを超えると、溶射粒子の溶融が不均一となり、得られる溶射膜の基材に対する密着性が悪くなりやすい。
耐蝕性ガラス溶射被膜の形成の際、基材表面の温度をあらかじめ予熱して溶射することが好ましい。基材表面をあらかじめ予熱することは、基材の表面を溶融する際に、熱ショックによる基材の割れ防止、並びに密着性の高い耐蝕性ガラス溶射膜を得るために有効である。予熱温度は用いる基材の種類によっても異なるが、溶射フレームによって表面を溶融する時は、例えば石英ガラス基材の場合400〜1500℃、特に400〜800℃の範囲が好ましい。予熱温度を上げすぎるとガラスの結晶化が進行するため好ましくない。予熱は、基材を外部ヒーターで加熱する、或いは原料を供給しない溶射フレームを基材に照射すること等で行えば良い。予熱温度は、基材の裏面からの熱電対による測定、或いは非接触の放射温度計等で測定できる。
本発明の溶射において、溶射フレームを基材に照射する際の溶射ガンと基材との距離、投入する溶射パワーは用いる装置によっても異なるが、例えば図4に示すような通常のプラズマ照射装置の場合、基材と溶射ガン先端にある粉末供給口の溶射距離は非常に緻密な溶射膜を得るには50mm程度、溶射パワーを30kw以上とするような条件が例示できる。
本発明で用いる溶射法はプラズマ溶射であることが好ましいが、プラズマ溶射以外にも、フレーム溶射等も適用可能である。ガラス質の溶射膜を製造する場合、緻密な溶射膜を得るためには通常の乱流状態のプラズマフレームにて溶射することが好ましいが、非常に緻密な溶射膜を得るためには、プラズマ溶射法の中でも複トーチ型プラズマ溶射装置を用いて層流のプラズマフレームで溶射することが好ましい。図5に複トーチ型プラズマ溶射装置の概要を示す。複トーチ型プラズマ溶射装置の場合では、長さが数百mmの層流プラズマフレーム(通常は乱流状態で50mm程度)が形成出来るため、溶射距離が100mmでも基板との密着性の高い溶射膜を得ることが出来る。フレーム溶射の場合、酸素とアセチレン又は水素等高温のフレーム温度を有するガスの組み合わせで行なうことが好ましい。図5の様な複トーチ型プラズマ照射装置の場合、基材と溶射ガン先端にある粉末供給口の溶射距離は60〜150mm、溶射パワーは10〜25kwの範囲が特に好ましい。
本発明における耐蝕性ガラス溶射膜の形成は、非常に緻密な溶射膜を得るには、上述の予熱と溶射フレームの加熱により基材の表面を溶融しなければならない。プラズマ溶射の場合、溶射フレームの温度は一般に3000〜20000℃であり、本発明では上述の予熱した基材表面を当該溶射フレームによって溶融する。
例えば、基材として石英ガラスを用いた場合、基材の表面温度は1600〜2100℃、バイコールでは1500〜2000℃、パイレックス(登録商標)では800〜1200℃、ステンレス、インコネル等の金属では1300〜1900℃、ムライト等のセラミックスで1800〜2400℃とすれば表面は溶融する。これらの温度は基材の表面の温度であり、全体をこの温度とする必要はない。基材全体を上記の温度とすると、基材自身が軟化して曲がってしまうため問題がある。
溶射時の基材表面温度は直接測定することは困難であるが、基材表面がこれらの溶融する温度に到達した際には、基材表面が特に明るく発光するため、それを目視で確認することができる。実際に溶融していたかどうかは、溶射後に基材と溶射膜界面に溶融層が形成されていたかどうかで確認することができる。
また基材表面の温度を上記の温度とした際に、熱ショックによって基材が割れない様、基材の温度は上述の予熱、或いは溶射フレーム以外の外部加熱との組合せによって、これより200〜1000℃低い程度に維持することが好ましい。
本発明では溶射フレームによって耐蝕性ガラス溶射膜表面を溶融することにより、表面粗さRaで0.01〜5μm、特に0.01〜3μmに平滑化することが好ましい。耐蝕性ガラス溶射膜表面を平滑にすることにより、プラズマ及び腐蝕性ガスに対する耐蝕性が特に高くなる。
上述の溶融処理は、基材表面と耐蝕性ガラス溶射膜を同時に溶融すると耐蝕性と密着性の良い耐蝕性ガラス溶射膜を短時間に形成できる。
本発明に用いる基材は表面粗さRaが1〜50μmのものを用いることが好ましい。表面が平滑な基材を用いると、溶射された耐蝕性ガラスが基材表面に留まり難く、溶射時のフレームの風圧によって基板表面を移動してしまうことから、成膜の歩留まり、速度が遅くなり、また均一の厚さにならないことがある。それに対して基材表面の表面粗さRaを1〜50μmにした場合、耐蝕性ガラス溶射膜の偏析の無い均一厚みを得ることが出来る。
基材表面を表面粗さRaを1〜50μmとする方法としては、その様な表面粗さの溶射膜を基材に予め溶射する方法、或いは基材自身をブラスト処理又はブラスト処理とフッ酸等による化学的エッチングを併せて施すことが例示できる。特に軟化点が1500℃以上のSiOを含むガラス溶射膜を形成することが好ましい。SiOを含むガラス溶射膜の中間層を形成した方が良い理由は、基材と耐蝕性ガラス溶射膜間の応力の緩和に加えて、シリカは耐蝕性ガラスと適当な溶融層を形成し易く、基材と耐蝕性ガラス溶射膜間の密着性が向上するからである。
本発明の耐蝕性部材を成膜装置又はプラズマ処理装置の容器或いは部品等に用いる場合、エッチングされる部位とは別にフッ素系ポリマーやレジスト等エッチングされた物質が最堆積する部位がある。そのような部位にはこのような材料を用いることが出来る。すなわち、溶射膜最表面層が内部溶射膜よりもアルミニウム又はジルコニウム及び2a族及び3a族及び4a族の元素のうち少なくとも一つの濃度が低いことにより球状突起層を形成した部材である。このような球状突起層が形成する理由は確かではないが、アルミニウム又はジルコニウム及び2a族及び3a族及び4a族のうち少なくとも1つの元素の濃度が低くなることによって溶射時にガラスである溶射原料の融点が上がると共に粘性が高くなることで、基材に衝突した後も球状を維持したものと考えられる。表面に突起層が存在することで、材料本来の高い耐蝕性に加え、耐蝕性部材表面に堆積した膜状物質の保持性が高められ、パーティクルの発生を押さえることができる。この溶射膜最表面の突起層と内部溶射膜の融点としては、溶射膜最表面の突起層の融点1500℃以上が好ましい。突起層の融点が1500℃以上になると粘性が高くなり、溶射膜表面の凹凸が大きくなる。
本発明の耐蝕性部材は成膜装置又はプラズマ処理装置の容器或いは部品等に用いることが出来る。耐蝕性部材の使用方法としては、これらの装置の中で腐食性ガスやプラズマに接触する部位に用いることができ、より具体的にはリング状フォーカスリング又はベルジャーとして用いることが挙げられる。
ここでいう成膜装置とは、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)装置やPVD(Physical Vapor Deposition)装置等である。これらの装置の反応管やベルジャー等は、使用後の洗浄にフッ素系ガスによる洗浄を行なうことが一般的であり、当該洗浄による腐食やそれに起因するパーティクル発生が問題であったが、本発明の耐蝕性部材を用いればそれらの問題が解決される。
またここでいうプラズマ処理装置とは、例えばプラズマエッチング装置、プラズマクリーニング装置であり、装置内に設置した製品にプラズマを照射し、製品の表面を剥離、あるいは清浄化する装置をさす。これら装置のリング状フォーカスリング又はベルジャー等でもフッ素系プラズマによってエッチングが行なわれるため、装置内の部品で腐食性ガスやプラズマと接触する部位では、パーティクルの発生が問題であった。この場合も同様に、本発明の耐蝕性部品を用いれば腐食されにくく、パーティクルの発生が少ない。
本発明の耐蝕性部材は以下の効果を有するため、CVD装置、プラズマ処理装置等の腐食性ガス、プラズマを用いる装置に使用した際、パーティクル発生、製品汚染がなく、高い製品留まりで連続運転が可能である。
1)腐食性ガス、プラズマに対する耐蝕性が高い。
2)耐熱強度と耐蝕性の両方が要求される部分に使用できる。
3)高価な耐蝕性ガラスを基材の上に少量被覆しているため、安価である。
本発明を実施例に基づき詳細に説明するが本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
実施例1
1)基材の調製
石英ガラス基板に図5に示すような複トーチ型プラズマ溶射装置を用いて、プラズマガスとして窒素を5SLM流し、21kwのパワーでプラズマを生成させ、溶射距離を80mmとし、原料粉末を供給せずに溶射ガンを80mm/分の速度で移動させて予熱した。このときのプラズマの長さは約30cmで層流状態であった。次に石英粉末を4.5g/分の速度で供給し、溶射ガンを160mm/秒の速度で移動させながら溶射した。当該溶射面に対し原料粉末を供給せずに溶射ガンを300mm/分の速度でプラズマ照射して表面に付着している粉末状物質を溶融し、表面粗さRaが15μmの石英溶射膜を被覆した石英ガラス基材(基材A)を調製した。
さらに上記と同様の方法で、石英ガラス基材にボロシリケートガラスであるバイコール溶射膜を被覆し、表面粗さRaを15μmとした石英ガラス基材(基材B)を調製した。次にブラストのみにより表面粗さRaを6μmとした石英ガラス基材(基材C)、ブラスト後に24%フッ酸で1時間処理した表面粗さRaを7μmとした石英ガラス基材(基材D)、ブラストによって表面粗さを10μmとしたステンレス鋼基材(基材E)、ブラストによって表面粗さを5μmとしたムライト基材(基材F)、バイコール基板に石英ガラス溶射膜を被覆し、表面粗さRaを15μmとした石英ガラス基板(基材G)を調製した。
2)溶射用原料粉末の調製
表1に示した各金属元素の酸化物をそれぞれ混合した後、1700℃に加熱溶融し、150mmφ×20mmtのガラス体を調製した。当該ガラス体を粉砕、分級し、粒径38〜105μm(平均粒径60μm)のガラス溶射粉末とした。
3)耐蝕性ガラス溶射膜の形成
1)で調製した各種基材を用い、図5に示す複トーチ型プラズマ溶射装置を用いて、プラズマガスとして窒素を5SLM(Standard Litter per Minite)流し、溶射距離を100mmとし、溶射ガンを160mm/秒の速度で移動させながら、11〜20kwのパワーでプラズマを生成し、原料粉末を供給することなく、基材の予熱を行った。
次に上記方法で作製したガラス溶射粉末を供給量2g/分とし、速度を240mm/秒、ピッチ4mmで溶射ガンを移動させながら1回溶射し、耐食性ガラス溶射膜を形成した。続けて形成された耐蝕性ガラス溶射被膜上に溶射原料粉末を供給せずに、溶射距離を80mmとし、溶射ガンを21〜25kwのパワーでプラズマを照射し、20〜80mm/秒の速度で照射することにより耐蝕性ガラス溶射膜と基材表面を溶融した。各基材の表面を溶融する条件は、耐蝕性ガラス溶射膜のない状態で溶射フレームをあてた際に基材表面が白色、或いは黄白色に強く発光する条件とした。
4)性能評価―1(耐蝕性)
3)で調製した各種組成の耐蝕性ガラスを溶射した耐蝕性部材を用い、フッ素系ガスを含むプラズマに曝した時のエッチング速度とパーティクル量の測定試験を行なった。耐蝕性ガラス溶射膜の表面の組成は蛍光X線分析、基材との界面の組成はEPMAで測定した。いずれの界面も溶融層の形成が認められた。また、中間層を作製した基材中の中間層の厚みは150μmであった。エッチング条件は、反応処理室内の圧力1torr、反応ガスにCF/Oガスを用い、電極板間に300Wの高周波電力を印加することによりプラズマを発生させた。エッチング厚みは段差測定法を用いて測定し、パーティクル発生は走査型電子顕微鏡により耐蝕性部材表面の粒状物質の観察によって評価した。結果を表1に示した。いずれの耐蝕性部材もエッチングレートは0.2μm/hrと小さく、耐食性に優れ、パーティクルの発生が少なかった。
5)性能評価―2(耐熱性(熱サイクル剥れ試験))
3)で調製した各種組成の耐蝕性ガラスを溶射した耐蝕性部材を、大気中で800℃に加熱し、室温までの冷却を繰り返した。基材A、B、Gを用いた部材では、昇温、冷却を10回繰り返した後に基材と耐蝕性ガラス溶射膜の剥離は見られなかったが、ブラスト又はブラストとエッチングによる基材(基材C、D、E、F)を用いたものは、一部で剥離が見られ、SiOを含むガラス溶射膜の中間層を施した方が、熱サイクルに対する密着性に優れていた。
実施例2
1)耐蝕性溶射膜の形成・評価
実施例1の1)で調整した基材Dに対し、表2に示した各金属元素の酸化物を実施例1の2)と同様の方法で作製した溶射粉末を用い、図5に示すような複トーチ型プラズマ溶射装置を用いて、プラズマガスとして窒素を16SLM流し、32kwのパワーでプラズマを生成させ、溶射距離100mmとし、原料粉末流量を7g/分とし、速度を400mm/秒、ピッチ3mmで溶射ガンを移動させながら25回溶射し、耐蝕性溶射膜を形成した。この時のプラズマフレームの状態は乱流であった。この溶射膜に対し、性能評価として溶射膜断面のSEM観察によって膜質を確認し、緻密なものを○、気孔の多いものを×とした。また、X線回折法によるガラス化の確認を行ない、回折図形が非晶質を示すハローパターンのみである場合を○、結晶質の存在を示すピークが出現した場合を×とした。結果を表2のNo.21〜35に示す。成膜した溶射膜の膜厚は0.30mmを超えていた。これらの溶射膜のうち、ガラス化を確認できた試料について、実施例1の4)と同様の方法で耐蝕性の評価を行った。いずれの耐蝕性部材もエッチングレートは1.0μm/hr以下と小さく、耐食性に優れていた。特に、No.22、24、25、29、30、33、34の組成が緻密で、エッチングレートが0.4μm/hr以下と小さく、非常に耐食性に優れていた。
2)表面球状突起層の形成
実施例1の1)で調整した基材Dに対し、上記1)と同様の条件で表2のNo.36内部組成の内部溶射膜を溶射した後、原料粉末流量を4g/分とし、回数を5回とした以外は上記1)と同様の条件で表2のNo.37表面組成の溶射を行い、表面に突起層を形成した。図6に形成した突起層を示す。この表面突起層の形状は球形であり、Raは15μmであった。
3)付着物に対する保持性評価
上記2)で得られた試料の付着物に対する保持性を評価するため、試料をプラズマエッチング装置内部の膜が堆積する部位に使用した。その結果、通常50時間でメンテナンスを行っていたものが100時間まで連続で使用することが出来た。
比較例
出発原料として、AlとLaの酸化物を用いて実施例と同様の方法で表面粗さRaが15μmのSiO溶射膜を被覆した石英ガラス基材(基材A)に結晶質の溶射膜を作製した部材(No.16)、実施例に用いた溶射被膜と同様の組成のバルクのガラスインゴットを表面粗さRaが1μmとなるまで表面を機械的に研磨した部材(No.17)、溶射被膜を施していない石英ガラス基材(No.18)を夫々実施例と同様の方法でエッチング速度、パーティクル量の測定、並びに熱サイクル試験(熱サイクル試験は溶射部品であるNo.16のみ)を行った。
No.16の部材では、AlとLaの酸化物皮膜がエッチング速度は小さかったが、結晶質のためパーティクルが多数発生し、耐蝕性が不良であった。また800℃から室温へ急冷する熱サイクル試験では、3回目で溶射膜が剥離した。ガラスインゴット(No.17)はエッチング速度は小さかったが、実施例の耐蝕性部材に比べてパーティクルの発生が多かった。耐蝕性ガラス溶射被膜のない石英ガラス基材(No.18)は、エッチング速度が5μm/hrと大きく、耐食性が不良であった。
Figure 0004367142
Figure 0004367142
Si−Al−3a族三成分系三角図における本願の好ましい範囲を示す。 Si−Zr−3a族三成分系三角図における本願の好ましい範囲を示す。 Si−Zr−2a族三成分系三角図における本願の好ましい範囲を示す。 一般的なプラズマ溶射装置の一例を示す図である。 複トーチ型プラズマ溶射装置の一例を示す図である。 形成した球状突起層の一例を示す写真である。
符号の説明
10:カソード
11:アノード
12:プラズマガス
13:溶射粉末(供給口)
14:溶射距離
15:基材
16:ガラス溶射膜
17:電源
20:カソード
21:アノード
22:プラズマガス(供給口)
23:溶射粉末(供給口)
24:溶射距離
25:基材
26:ガラス溶射膜
27:プラズマガス(供給口)
28:主電源
29:補助電源

Claims (10)

  1. 元素周期律表3a族の元素からなる群より選ばれる少なくとも1つの元素を含み、アルミノシリケートガラスである耐蝕性ガラス溶射膜を被覆した基材からなる耐蝕性部材であって、Si−Al−3a族三成分系三角図で表したときに、各金属元素の原子比(Si:Al:3a族)=70:20:10、50:20:30、30:40:30、30:50:20、45:50:5、70:25:5の各点を結ぶ範囲内にその組成を有することを特徴とする耐蝕性部材。
  2. 元素周期律表3a族の元素からなる群より選ばれる少なくとも1つの元素を含み、ジルコニアシリケートガラスである耐蝕性ガラス溶射膜を被覆した基材からなる耐蝕性部材であって、Si−Zr−3a族三成分系三角図で表したときに、各金属元素の原子比(Si:Zr:3a族)=70:25:5、70:10:20、50:20:30、30:40:30、30:50:20、45:50:5の各点を結ぶ範囲内にその組成を有することを特徴とする耐蝕性部材。
  3. 元素周期律表2a族の元素からなる群より選ばれる少なくとも1つの元素を含み、ジルコニアシリケートガラスである耐蝕性ガラス溶射膜を被覆した基材からなる耐蝕性部材であって、Si−Zr−2a族三成分系三角図で表したときに、各金属元素の原子比(Si:Zr:2a族)=70:25:5、45:25:30、30:40:30、30:50:20、50:45:5の各点を結ぶ範囲内にその組成を有することを特徴とする耐蝕性部材。
  4. 基材と耐蝕性ガラス溶射膜の間にSiOを含むガラス溶射膜の中間層を有する請求項1〜のいずれかに記載の耐蝕性部材。
  5. 基材と耐蝕性ガラス溶射膜、又は基材とSiOを含むガラス溶射膜の中間層と耐蝕性ガラス溶射膜のいずれかの界面が相互に溶融した溶融層を形成している請求項1〜のいずれかに記載の耐蝕性部材。
  6. 耐蝕性ガラス溶射膜の表面粗さRaが0.01〜5μmであることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の耐蝕性部材。
  7. 溶射フレームによって基材表面を溶融しながら耐蝕性ガラス溶射膜を形成することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の耐蝕性部材の製造方法。
  8. 溶射フレームで耐蝕性ガラス溶射膜を溶融することによって、当該耐蝕性ガラス溶射膜の表面粗さRaを0.01〜5μmとすることを特徴とする請求項の耐蝕性部材の製造方法。
  9. 表面粗さRaが1〜50μmの基材の上にSiOを含むガラス溶射膜の中間層及び/又は耐蝕性ガラス溶射膜を溶射する請求項または請求項に記載の耐蝕性部材の製造方法。
  10. 溶射膜最表面層に球状突起層が形成されており、該球状突起層はアルミニウム又はジルコニウム及び2a族及び3a族の元素のうち少なくとも一つの濃度が低い状態となっている請求項1〜のいずれかに記載の耐蝕性部材。
JP2004018145A 2003-01-28 2004-01-27 耐蝕性部材及びその製造方法 Expired - Fee Related JP4367142B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004018145A JP4367142B2 (ja) 2003-01-28 2004-01-27 耐蝕性部材及びその製造方法

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003018634 2003-01-28
JP2004018145A JP4367142B2 (ja) 2003-01-28 2004-01-27 耐蝕性部材及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2004253793A JP2004253793A (ja) 2004-09-09
JP4367142B2 true JP4367142B2 (ja) 2009-11-18

Family

ID=33032120

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004018145A Expired - Fee Related JP4367142B2 (ja) 2003-01-28 2004-01-27 耐蝕性部材及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4367142B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005097722A (ja) * 2003-08-25 2005-04-14 Tosoh Corp 耐蝕性部材及びその製造方法
JP4532310B2 (ja) * 2005-02-28 2010-08-25 本田技研工業株式会社 ガラス被覆ボルトの製造方法および金属部材の電食防止構造
JP4943755B2 (ja) * 2005-07-11 2012-05-30 信越石英株式会社 石英ガラス部材
JP6859148B2 (ja) * 2017-03-21 2021-04-14 株式会社フジミインコーポレーテッド 溶射皮膜の形成方法
EP4028568A1 (en) * 2019-09-13 2022-07-20 Praxair S.T. Technology, Inc. Methods for producing increased crystalline and dense improved coatings

Also Published As

Publication number Publication date
JP2004253793A (ja) 2004-09-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7081290B2 (en) Quartz glass thermal sprayed parts and method for producing the same
JP4571561B2 (ja) 耐プラズマエロージョン性に優れる溶射皮膜被覆部材およびその製造方法
JP2007247043A (ja) 半導体加工装置用セラミック被覆部材の製造方法
WO2004070076A1 (ja) 耐蝕性部材及びその製造方法
EP1435401A1 (en) Island coated part, method for producing the same, and apparatus comprising the same
TW201805450A (zh) 氧氟化釔熱噴塗膜及其製造方法、以及熱噴塗構件
JP2009054984A (ja) 成膜装置部品及びその製造方法
JP4546448B2 (ja) 耐プラズマエロージョン性に優れる溶射皮膜被覆部材およびその製造方法
TW202223120A (zh) 熱噴塗用釔類顆粒粉末及利用其的熱噴塗皮膜
TW202223119A (zh) 熱噴塗用釔類顆粒粉末及利用其的熱噴塗皮膜
JP4367142B2 (ja) 耐蝕性部材及びその製造方法
KR101842597B1 (ko) 내플라즈마 코팅을 위한 에어로졸 증착용 비정질 코팅소재 및 그의 제조방법
JP4062236B2 (ja) 島状突起修飾部品及びその製造方法並びにそれを用いた装置
JP2007081218A (ja) 真空装置用部材
JP2009274905A (ja) シリコン溶融ルツボ
JP2005097722A (ja) 耐蝕性部材及びその製造方法
US7504164B2 (en) Corrosion-resistant member and process of producing the same
KR100972567B1 (ko) 내플라즈마 부재 및 그 제조방법
JP2006097114A (ja) 耐蝕性溶射膜部材
JP2006265619A (ja) 耐蝕性部材およびその製造方法
JP2004143583A (ja) 石英ガラス部品及びその製造方法並びにそれを用いた装置
JP2022549846A (ja) プラズマ耐食性を有する結晶化ガラス及びこれを含むドライエッチング工程部品
JP2002193634A (ja) プラズマ耐食性に優れた石英ガラス及び石英ガラス治具
JP2006124825A (ja) 耐蝕性部材およびその製造方法
JP2008248345A (ja) プラズマ処理装置用部材及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20061221

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090212

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090224

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090422

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090804

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090817

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120904

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees