本発明の一実施形態を図面に基づいて以下に説明する。
図2は本実施の形態における画像形成装置を備えた複合機1の全体構成を示す概略の説明図である。この複合機1は、原稿送り装置(以下、SPF:Single Pass Feederと称する)2と画像形成装置3を備えている。
画像形成装置3は、SPF2によって搬送された原稿をスキャンして得られた画像データ、あるいは外部から入力された画像データに応じて、記録用紙(シート)にモノクロ画像を形成するものである。この画像形成装置3は、スキャナ部(原稿読取装置)11、プリンタ部12および給紙部13を備えている。
プリンタ部12は、光書込ユニット21、現像器22、感光体23、帯電器24、クリーナユニット25、転写ユニット26、定着ユニット27、用紙搬送路28、排紙トレイ29および手差しトレイ30を備えている。給紙部13は、給紙カセット41および大容量給紙(LCC)42を備えている。これら給紙カセット41および大容量給紙カセット42は画像形成に使用する記録用紙を収容している。
スキャナ部11は、上面にガラスからなる原稿載置台51を備え、この原稿載置台51の下方に光源ホルダー52、ミラー群53およびCCD(撮像装置)54を備えている。このスキャナ部11では、SPF2から送られてくる原稿をスキャンする場合、光源ホルダー52およびミラー群53を原稿載置台51の一端側の位置に静止させる。この場合、SPF1から原稿が搬送されてくると、光源ホルダー52の光源から原稿に光が照射され、原稿からの反射光がミラー群53を介してCCD54に結像され、CCD54により電子的な画像データに変換される。このような動作を行うため、スキャナ部11の上面の一端部には、読取窓が形成されている。
プリンタ部12において、帯電器24は、感光体23の表面を所定の電位に均一に帯電させる。なお、画像形成装置3では、チャージャ型の帯電器24を用いているが、接触型のローラ型やブラシ型の帯電器を用いることもできる。
光書込ユニット21は、高速印字処理に対応するために、2つのレーザ照射部61a,61bを備えた2ビーム方式を採用しており、照射タイミングの高速化に伴う負担が軽減されている。この光書込ユニット21は、入力された画像データに応じてレーザ照射部61a,61bからレーザ光を照射する。このレーザ光は、ミラー群62a,62b介して、均一に帯電されている感光体23にされ照射され、感光体23を露光する。これにより、感光体23の表面に画像データに応じた静電潜像が形成される。
なお、画像形成装置3では、光書込ユニット21として、レーザ照射部61a,61bおよびミラー群62a,62bを備えたレーザスキャニングユニット(LSU)を用いているが、発光素子をアレイ状に並べたEL書き込みヘッドやLED書き込みヘッドを用いることもできる。
現像器22は、感光体23に対向配置されており、感光体23の表面に形成された静電潜像を黒トナーにより顕像化する。クリーナユニット25は、現像・画像転写後に感光体23の表面に残留したトナーを除去・回収する。
転写ユニット26は、静電潜像が有する電荷と逆極性の電界を印加することにより、感光体23の表面に形成されたトナー像を記録用紙上に転写する。例えば、静電潜像が(−)極性の電荷を有している場合には(+)極性の電界を印加する。転写ユニット26は、転写ベルト(搬送ベルト)71、駆動ローラ72、従動ローラ73および転写ローラ74を備えている。転写ローラ74は、感光体23と転写ベルト71との接触部に設けられ、転写電界を印加する。
転写ベルト71は、1×109〜1×1013Ω・cmの範囲の抵抗値を有する。転写ローラ74は、感光体23のトナー像を記録用紙上に転写するための上記電界を発生する。なお、転写ローラ74は、弾性支持された導電性ローラからなる。転写ローラ74が弾性を有することにより、感光体23と転写ベルト71とが線接触ではなく所定の幅(転写ニップ)を有する面接触とすることができ、用紙へのトナー像の転写効率が向上している。
転写ユニット26は、さらに、除電ローラ75、クリーニングユニット76、除電機構77およびテンションローラ78を備えている。除電ローラ75は、転写領域において上記電界により与えられた電荷を記録用紙から除去するために、転写領域の下流側に設けられている。これにより、次工程への用紙の搬送を円滑に行うことができる。クリーニングユニット76は転写ベルト71のトナー汚れを除去し、除電機構77は転写ベルト71を除電する。除電機構77としては、除電を接地により行うもの、あるいは積極的に上記転写電界の極性とは逆極性の電界を印加するもののいずれであってもよい。テンションローラ78は転写ベルト71にテンションを与えるものである。
定着ユニット27は、記録用紙上に転写されたトナー像を加熱して溶融させ記録用紙上に定着させる。この定着ユニット27は、加熱ローラ81と加圧ローラ82とを備え、加熱ローラ81は熱源を内蔵し、加圧ローラ82は加熱ローラ81に対して所定圧で圧接されている。
排紙トレイ29には、画像が印刷された記録用紙が排出される。なお、この排紙トレイ29に代えて、排紙用紙の後処理装置(ステープル、パンチ処理等)もしくは複数段排紙トレイをオプションとして配置することも可能である。
給紙カセット41および大容量給紙カセット42は、画像形成に使用する記録用紙(シート)を収容するためのものである。高速印刷処理のため、プリンタ部12の下方に配置された給紙カセット41は定型サイズの記録用紙を各々500〜1500枚収納可能である。他方、画像形成装置3の筐体外部に配置された大容量給紙カセット42は、複数の種類の記録用紙を多量に収納可能なものである。手差しトレイ30は、不定型サイズの記録用紙を給紙するためのものである。
また、複合機1はユーザインタフェースとしての操作パネル4を備えている。操作パネル4には、図3に示すように、タッチパネル液晶表示装置(以下、LCDと称する)91、テンキー92、スタートキー93、クリアキー94、全解除キー95、プリンタキー96、ファクシミリ/イメージ送信キー97、コピーキー98およびジョブ状況確認キー99等が配置されている。
ここで、画像形成装置3において、転写ベルト71上の記録用紙に感光体23表面のトナー像が転写された後の、感光体23表面からの記録用紙の剥離動作について説明する。
図1は、図2に示した画像形成装置3における転写ユニット26および感光体23付近の構成を示す概略の説明である。なお、同図においては、従動ローラ73が、記録用紙を吸着するための電荷を転写ベルト71に与える用紙吸着ローラとして機能し、駆動ローラ72が、記録用紙の電荷を除去して転写ベルト71から用紙を剥離し易くする用紙剥離ローラとして機能する。また、感光体23の外周部における、感光体23と転写ベルト71とのニップ部から用紙搬送方向における下流側の位置には、剥離爪101が設けられている。この剥離爪101は、感光体23の表面に張り付いている記録用紙を感光体23の表面から強制剥離するものである。
図1において、記録用紙は、レジストローラ102およびペーパーガイド103を介して、転写ユニット26の転写ベルト71により、この転写ベルト71と感光体23との間に搬送される。また、レジストローラ102は、感光体23表面のトナー像の位置と記録用紙の位置とが合致するように、所定のタイミングで用紙を送り出す。
転写ベルト71と感光体23との間のニップ部に搬送された記録用紙には、転写ローラ74から付与される転写電界により、感光体23表面のトナー像が転写される。その後、記録用紙は、搬送途中における摩擦や電界を受けて帯電していることにより、感光体23の表面に張り付き易くなるものの、記録用紙の腰の強さ、感光体の曲率および用紙の搬送速度の影響、さらには転写ベルト71からの吸着電界等から、設計上、先端部が剥離爪101に到達する前に、自然剥離するようになっている。
しかしながら、上記のように設計されているにも拘わらず、実際には、記録用紙が感光体23の表面から自然剥離する場合と、図4に示すように、自然剥離せずに、記録用紙Pの先端部が剥離爪101に達し、剥離爪101により強制剥離される場合とがある。剥離爪101により強制剥離した場合には、図5に示すように、記録用紙Pの先端部に剥離爪101に付着しているトナーが転写され、トナー汚れ104が発生する。
そこで、記録用紙におけるトナー汚れ104の発生状況について調べたところ、1梱包の記録用紙においてトナー汚れ104の発生に一定の規則性があることを見出した。その調査結果を表1に示す。同表において、通紙例1と通紙例2とは異なる製紙メーカーの1梱包の用紙である。
表1から、通紙例1では、記録用紙の1枚目から3枚目が汚れ無し(○)、4枚目および5枚目が汚れ有り(×)という規則性を有する。通紙例2では、記録用紙の1枚目が汚れ無し(○)、2枚目から4枚目が汚れ有り(×)、5枚目が汚れ無し(○)という規則性を有する。
そして、汚れ無しとなった記録用紙と汚れ有りとなった記録用紙との相違について調べたところ、汚れの有無は、記録用紙を切断した際に生じる切断面(切断辺)の突起部の方向と記録用紙の搬送方向とに関係することを見出した。次に、その関係について説明する。
先ず、記録用紙の製造工程における切断工程での突起部の発生状況について説明する。図6は製造された大サイズの記録用紙(ロール紙)を規定サイズの記録用紙に切断する工程を示すものであり、図6(a)はロール紙を規定幅の複数のロール紙に切断する工程を示す斜視図、図6(b)は上記複数のロール紙を規定サイズの記録用紙に切断する工程を示す斜視図、図6(c)は切断された規定サイズの記録用紙を集めて1箇所に集積する工程を示す説明図である。
図6(a)に示すように、幅広長尺のロール紙111は、複数の第1カッター112にて規定幅(もしくは規定長さ)のロール紙に切断される。上記第1カッター112には、例えば回転しながら切断する円形のダイヤモンドカッターが使用される。次に、上記複数のロール紙は、図6(b)に示すように、1枚の第2カッター113にて同時に規定長さ(もしくは規定幅)に切断される。上記第2カッター113には、例えばギロチンカッターが使用される。次に、規定サイズに切断された記録用紙Pは、搬送ベルト114により一方向に搬送され、用紙ナビゲート板115に案内されて、用紙集積部116に集積される。その後、用紙集積部116の記録用紙は、例えば500枚ごとに梱包される。
ここで、第1カッター112および第2カッター113にて記録用紙を切断した場合、程度の差はあるものの、切断面(切断辺)には切断方向への突起部が発生する。図7にはその様子を示す。なお、図7(a)は例えば第2カッター113にて記録用紙を切断する工程を示す縦断面図であり、図7(b)は同第2カッター113にて記録用紙を切断した際に記録用紙の切断辺に突起部114が生じた状態を示す縦断面図である。図7(b)に示した突起部114は、図8に示すように、記録用紙Pの厚さが100〜200μmである場合、例えば3〜8μmの高さとなる。この突起部114は、第1カッター112や第2カッター113の切れ味が鋭い場合(良好な場合)は小さく(低く)、切れ味が鈍ると大きく(高く)なる。
次に、記録用紙の搬送方向と自然剥離の有無との関係について説明する。なお、ここでの記録用紙の搬送方向とは、記録用紙の突起部114の位置および突起部114の向きを考慮したものである。
図9は、突起部114が搬送方向の先端部に存在し、かつ突起部114が下を向く方向(転写ベルト71と対向する方向)にて記録用紙を搬送した場合における、感光体23表面からの記録用紙の剥離状態を示す説明図である。
記録用紙の搬送方向が図9に示す方向である場合、記録用紙の上面は感光体23の表面と密着する一方、記録用紙の下面では、突起部114の存在により、記録用紙の先端部と転写ベルト71との間に隙間117が生じる。このため、感光体23の回転に伴い、記録用紙の先端部と転写ベルト71との間(図9において対向する矢印の先端部間)において、パッシェルの法則に準じて放電が連続的に発生する。したがって、記録用紙の転写ベルト71側の電位が低下し、記録用紙の感光体23側の電位が相対的に高くなり、記録用紙と感光体23との吸着力が相対的に上昇する。この結果、記録用紙は、感光体23の表面から自然剥離せずに、感光体23の表面に付着した状態となる。このため、記録用紙は剥離爪101により感光体23の表面から強制剥離されて、先端部にトナー汚れ104が発生する。
図10は、突起部114が搬送方向の先端部に存在しない方向にて記録用紙を搬送した場合における、感光体23表面からの記録用紙の剥離状態を示す説明図である。
記録用紙の搬送方向が図10に示す方向である場合、記録用紙の先端部と転写ベルト71との間には隙間117が生じることなく、記録用紙の下面は転写ベルト71と密着可能である。この場合、感光体23の回転に伴い、記録用紙の先端部と感光体23との間(図10において対向する矢印の先端部間)において、パッシェルの法則に準じて放電が連続的に発生する。したがって、感光体23の回転に伴い、記録用紙は感光体23の表面から自然剥離する。この結果、記録用紙の先端部には、剥離爪101にて強制剥離されることによるトナー汚れ104は発生しない。
図11は、突起部114が搬送方向の先端部に存在し、かつ突起部114が上を向く方向(感光体23に対向する方向)にて記録用紙を搬送した場合における、感光体23表面からの記録用紙の剥離状態を示す説明図である。
記録用紙の搬送方向が図11に示す方向である場合、記録用紙の上面では、突起部114の存在により、記録用紙の先端部と感光体23の表面との間に隙間117が生じる。このため、感光体23の回転に伴い、記録用紙の先端部と感光体23との間において、パッシェルの法則に準じて放電が連続的に発生する。したがって、記録用紙の感光体23側の電位が低下し、記録用紙の転写ベルト71側の電位が相対的に高くなり、記録用紙と感光体23との吸着力が低下する。この結果、記録用紙は、感光体23の表面から容易に自然剥離する。これにより、記録用紙の先端部には、剥離爪101にて強制剥離されることによるトナー汚れ104は発生しない。なお、この場合には、図10に示した場合よりも記録用紙を感光体23の表面から自然剥離し易くなるので、記録用紙の先端部におけるトナー汚れ104の防止機能をさらに高めることができる。
上記の構成において、記録用紙の切断面(切断辺)の突起部が原因となって起こる記録用紙先端部のトナー汚れ104は、図10もしくは図11に示した搬送方向にて記録用紙を搬送すること、すなわち突起部114が搬送方向の先端部に存在しない方向にて記録用紙を搬送すること、もしくは突起部114が搬送方向の先端部に存在し、かつ突起部114が感光体23に対向する方向にて記録用紙を搬送することにより防止することができる。言い換えると、上記トナー汚れ104は、図9に示した搬送方向にて記録用紙を搬送しないこと、すなわち突起部114が搬送方向の先端部に存在し、かつ突起部114が転写ベルト71と対向する方向にて記録用紙を搬送しないことにより防止することができる。以下では、トナー汚れ104が発生しない上記の各搬送方向を適正搬送方向と称する。
図2に示した画像形成装置3において、適正搬送方向での記録用紙の搬送を実現することは、給紙部13の給紙カセット41および大容量給紙カセット42に記録用紙を配置する場合に、記録用紙が適正搬送方向にて搬送されるように、突起部114の向きを考えて記録用紙を配置すること(記録用紙を適正配置方向に配置すること)により可能となる。この場合、記録用紙の各辺における突起部114の有無および方向は、突起部114が微小であるものの、その辺を指で触れることにより判別可能である。
次に、適正搬送方向にて記録用紙を搬送することによる記録用紙のトナー汚れ104の防止機能について調べた結果について説明する。ここでは、最初の6万枚について上記の適正搬送方向を考慮せずに記録用紙の搬送を行い、次の4万枚について適正搬送方向にて記録用紙の搬送を行った。その結果を図12に示す。なお、適正搬送方向による記録用紙の搬送は、図13において、例えばB方向を用紙先端部とする場合に、B方向の先端部に突起部114が全く存在しない状態で搬送を行う場合のものである。または、B方向の先端部の一部もしくは全部に突起部114が存在していても、上もしくは下方向の一方向にのみ突起部114が存在し、それら記録用紙を突起部114が感光体23と対向するように配置して搬送を行う場合のものである。これに対し、適正搬送方向を考慮しない記録用紙の搬送は、例えばA方向を用紙先端部として搬送を行う場合に、A方向の先端部における突起部114の有無や突起部114の方向を全く考慮せずに記録用紙を配置して搬送を行う場合のものである。
また、図12の記録用紙のトナー汚れ104に対する防止機能の測定と合せて、同じ印刷枚数(10万枚)の印刷中における剥離爪101の汚れ状況について調べた。その結果を図14に示す。この測定では、全印刷をホワイトコピー(画像の印刷無し)にて行い、全記録用紙が剥離爪101によって強制剥離されるように設定し、記録用紙における剥離爪101を調べた。
図12の結果から分かるように、適正搬送方向を考慮せずに搬送を行った最初の6万枚については記録用紙の先端部においてトナー汚れ104が発生した。一方、適正搬送方向にて搬送を行った次の4万枚については記録用紙の先端部においてトナー汚れ104が発生しなかった。
また、図14の結果から分かるように、図12において適正搬送方向による記録用紙の搬送を行った4万枚の範囲、すなわち先端部にトナー汚れ104が生じていない4万枚の範囲においても、剥離爪101ではトナーの汚れが生じていることが分かった。これにより、剥離爪101が汚れている状況においても確実に記録用紙先端部のトナー汚れ104を防止できることが分かった。なお、図14において、剥離爪101の汚れ比率は、剥離爪101の記録用紙を剥離させる面における汚れ部分の面積比率である。また、剥離爪101の汚れ比率が変化しているのは、剥離爪101の記録用紙を剥離させる面において、付着しているトナーが剥離爪101の振動によってその面から脱落することと、トナーの付着量が増加していくことを繰り返していることによる。
次に、本実施の形態の画像形成装置3において、記録用紙の先端部のトナー汚れを防止するための構成についてさらに説明する。
本実施の形態において、画像形成装置3は、給紙カセット41および大容量給紙カセット42に補給された記録用紙の積載方向、すなわち突起部114の配置方向が、前記の適正搬送方向による搬送を行う上において不適正である場合に、例えば図3に示したタッチパネル液晶表示装置(表示手段)91においてその旨を表示し、適正搬送方向による記録用紙の搬送が行われるように、記録用紙の積載方向の変更を促すようになっている。
上記の機能を得るために、画像形成装置3は、図15に示す用紙積載方向不備警告装置200を備えている。なお、図15は用紙積載方向不備警告装置200の構成を示すブロック図である。同図に示すように、用紙積載方向不備警告装置200は、第1センサ(積載高さ検出手段)201、第2センサ(積載高さ検出手段)202、制御部(警告手段、表示制御手段、配置方向判定手段、補給検知手段)203、第3センサ(補給検知手段)206、メモリ204および表示部(警告手段、表示手段)205を備えている。メモリ204は各種データを記憶しておくものである。表示部205は例えばタッチパネル液晶表示装置91からなる。
第1および第2センサ201,202は、図16および図17に示すように、各給紙カセット41に対して配置されている。なお、図16は給紙カセット41を示す平面図であり、図17は上下2段に配置された給紙カセット41を示す概略の縦断面図である。
図16および図17に示すように、第1センサ201は、給紙カセット41の出紙方向における前端部の上方位置に配置され、第2センサ202は、給紙カセット41の出紙方向における後端部の上方位置に配置されている。第1および第2センサ201,202は、それぞれの位置において、給紙カセット41に積載されている記録用紙の積載高さ(最上部の記録用紙の上面位置)を検出する。これら、第1および第2センサ201,202は、それぞれ例えば発光素子と受光素子など周知の構成からなる。
なお、図16に示す給紙カセット41は、底部に用紙積載台301を有し、出紙方向の前端部の両側に用紙先端揃え部材302を有し、出紙方向の後端部に用紙後端揃え板303を有する。上記給紙カセット41内の記録用紙は、ピックアップローラ304にて取り出され、さばきローラとしても機能する給紙ローラ305にて用紙搬送路28に送られる。
第3センサ206は、給紙カセット41,42の画像形成装置3への装着完了状態を検出するものである。例えば、第3センサ206は給紙カセット41,42の装着状態を検出可能な位置に設けられる。この場合、給紙カセット41,42が画像形成装置3から引き出され、その後、元の所定位置に装着された状態が第3センサ206にて検出されると、制御部203は、第3センサ206からの検出信号に基づいてその一連の検出動作を給紙カセット41,42への記録用紙の補給完了状態と見なすようにしてもよい。
あるいは、制御部203は、第1および第2センサ201,202の検出結果、または第1もしくは第2センサ201,202の検出結果により、給紙カセット41への記録用紙の補給の有無を判断するようにしてもよい。
このように、制御部203は、作業者(使用者)による給紙カセット41,42への記録用紙の補給の有無を監視しており、この監視において記録用紙の補給有りと判定した場合に、第1および第2センサ201,202の検出結果に基づいて、給紙カセット41に補給された記録用紙における出紙方向の前端部と後端部との積載高さを計算する。
次に、制御部203は、この判定結果により、給紙カセット41から出紙された記録用紙について、適正搬送方向による搬送が可能か否かを判定する。さらに、適正搬送方向による搬送が可能でないと判定した場合に、表示部205において、その旨を表示し、また適正搬送方向による記録用紙の搬送が行われるように記録用紙の積載方向の変更を促す表示を行う。この表示は、記録用紙の現状配置方向を適正配置方向へ変更をすることを促すものである。
なお、記録用紙の現状配置方向が適正配置方向でない場合の使用者への警告方法としては、表示部205での表示に限定されることなく、例えば音声による警告であってもよい。
ここで、給紙カセット41に積載された記録用紙における出紙方向の前端部の積載高さと後端部の積載高さとの関係から、給紙カセット41から出紙された記録用紙について適正搬送方向による搬送が可能か否かを判定できる場合について説明する。
本実施の形態の画像形成装置3では、図2に示すように、給紙カセット41から出紙される記録用紙は、用紙搬送路28において上下が反転された後、感光体23と転写ベルト71との間に搬送される。一方、大容量給紙カセット42から出紙される記録用紙は、出紙された状態のまま感光体23と転写ベルト71との間に搬送される。しかしながら、これら給紙カセット41,42から出紙される記録用紙は、いずれも前後方向が反転されることなく感光体23と転写ベルト71との間に搬送される。
したがって、給紙カセット41,42には、出紙方向前端部に突起部114が存在しない状態で記録用紙を積載すれば、適正搬送方向による記録用紙の搬送が可能となる。このような記録用紙の積載状態は、制御部203において第1および第2センサ201,202の検出信号から適正搬送方向による記録用紙の搬送が可能な積載状態として判定することができる。
また、制御部203では、給紙カセット41,42における記録用紙の積載状態について、適正搬送方向による搬送が可能でないと判定した場合に、表示部205において、単に適正搬送方向による記録用紙の搬送が行われるように記録用紙の積載方向の変更を促す表示を行うだけでなく、給紙カセット41,42毎に適正搬送方向による搬送が可能となるような記録用紙の積載状態を表示してもよい。このときに、出紙方向前端部に突起部114が存在するような記録用紙の積載方向を示す場合には、給紙カセット41,42毎に突起部114の上下方向について適正な方向を示すことになる。具体的には、給紙カセット41では、出紙方向の前端部において突起部114が下を向くような積載状態が適正である一方、大容量給紙カセット42では出紙方向の前端部において突起部114が上を向くような積載状態が適正である。
上記の構成において、用紙積載方向不備警告装置200の動作を図18のフローチャートに基づいて説明する。
制御部203では、例えば電源スイッチがオンされた後に、第1および第2センサ201,202の検出信号から、給紙カセット41,42内に積載されている記録用紙の積載高さ(X1,Y1)を検出する(S11)。なお、Xは第1センサ201にて検出される出紙方向前端部における記録用紙の積載高さであり、Yは第2センサ202にて検出される出紙方向後端部における記録用紙の積載高さである。次に、給紙カセット41,42ごとの検出した積載高さをメモリ204に記憶する(S12)。
その後、例えば、給紙カセット41において用紙切れが発生すると、これに基づいてその給紙カセット41に対する給紙要求が発生する(S13)。この給紙要求は、例えば表示部205において表示される。
この給紙要求に応じて、作業者により給紙カセット41が画像形成装置3から引き出され、給紙カセット41に記録用紙が補給され、給紙カセット41が画像形成装置3に装着されると、この状態が給紙カセット装着確認用の第3センサ206にて検出される(S14)。
制御部203では、第1および第2センサ201,202の検出信号から、給紙カセット41内に積載されている記録用紙の積載高さ(X2,Y2)を検出する(S15)。
そして、制御部203は、記録用紙の補給前の、メモリ204に記憶されている記録用紙の積載高さ(X1,Y1)、および今回検出した記録用紙の積載高さ(X2,Y2)から、(X1−X2)=(Y1−Y2)であるか否か判定する(S16)。これは、記録用紙の補給の前後において、給紙カセット41における出紙方向の前端部の積載高さ(X)と後端部の積載高さ(Y)との関係に変化が生じたか否かを判定するものである。この判定の結果、(X1−X2)=(Y1−Y2)であれば、記録用紙の補給の前後において、給紙カセット41における出紙方向の前端部の積載高さ(X)と後端部の積載高さ(Y)との関係が一定である。したがって、給紙カセット41において、適正搬送方向による記録用紙の搬送が可能な積載状態が維持されていると判断し、処理を終了する。
一方、S16の判定の結果、(X1−X2)=(Y1−Y2)でなければ、次に、(X1−X2)>(Y1−Y2)であるか否か判定する(S17)。これは、記録用紙の補給後に、給紙カセット41における出紙方向の前端部の積載高さ(X)よりも後端部の積載高さ(Y)の方が高くなったか否かを判定するものである。この判定の結果、(X1−X2)>(Y1−Y2)であれば、記録用紙の補給後において、記録用紙の突起部114が出紙方向の後端部に存在することにより、給紙カセット41における出紙方向の前端部の積載高さ(X)よりも後端部の積載高さ(Y)の方が高くなったと判断できる。したがって、給紙カセット41において、適正搬送方向による記録用紙の搬送が可能な積載状態が維持されていると判断し、処理を終了する。
また、S17の判定の結果、(X1−X2)>(Y1−Y2)でなければ、次に、(X1−X2)<(Y1−Y2)であるか否か判定する(S18)。これは、記録用紙の補給後に、給紙カセット41における出紙方向の前端部の積載高さ(X)よりも後端部の積載高さ(Y)の方が低くなったか否かを判定するものである。この判定の結果、(X1−X2)<(Y1−Y2)であれば、記録用紙の補給後において、記録用紙の突起部114が出紙方向の前端部に存在することにより、給紙カセット41における出紙方向の前端部の積載高さ(X)よりも後端部の積載高さ(Y)の方が低くなったと判断できる。したがって、給紙カセット41において、適正搬送方向による記録用紙の搬送が不可能な積載状態になったと判断し、表示部205においてS19の表示を行う。
S19では、制御部203は、補給された記録用紙の積載方向を搬送方向(出紙方向)に対して前後逆に変更することを作業者に促すメッセージを表示部205に表示させる。その後、S14に戻り、それ以降の処理を繰り返す。
上記の構成によれば、適正搬送方向による記録用紙の搬送ができない状態に給紙カセット41,42に記録用紙が補給された場合に、その旨を作業者に報知し、作業者による記録用紙の積載方向の変更を促すことができる。したがって、給紙カセット41,42から出紙された記録用紙が適正搬送方向ではない搬送方向にて感光体23と転写ベルト71との間に搬送される結果、記録用紙が感光体23から自然剥離せずに剥離爪101にて強制剥離され、記録用紙の先端部に剥離爪101との接触によるトナー汚れ104が発生する事態を防止することができる。
また、以上の実施の形態において、記録用紙の包装紙には、記録用紙の各辺における突起部114の有無および突起部114の方向が記されていてもよい。この構成を図19に示す。図19は、例えば500枚単位で梱包された記録用紙束を示す正面図である。記録用紙は包装紙118にて包装され、この包装紙118には、記録用紙の突起部114の位置と方向を示した表示、すなわち突起部印刷表示119が記されている。突起部印刷表示119では、突起部114が矢印の位置に存在し、かつ下向きであることが示されている。なお、120は開封位置を示す。
このような構成によれば、作業者は、突起部印刷表示119を参照して、記録用紙の突起部114が転写ベルト71上かつ記録用紙の搬送方向の先端部において転写ベルト71の表面と対向しない状態で記録用紙が搬送されるように、記録用紙を給紙カセット41,42に配置することができる。
また、以上の実施形態において、給紙カセット41,42には、適正搬送方向にて記録用紙を搬送するための給紙カセット41,42における記録用紙の配置方向が示されていてもよい。この構成を図16および図20に示す。なお、図20は給紙カセット41に記された記録用紙配置方向表示121を示す説明図である。図16に示すように、給紙カセット41には給紙カセット41への突起部114の位置および向きを考慮した記録用紙の配置方向が記録用紙配置方向表示121として記されている。記録用紙配置方向表示121では、例えば図20に示すように、記録用紙を突起部が出紙方向の先端部、かつ上向きとなるように配置する旨の指示がされている。
このような構成によれば、作業者は、記録用紙配置方向表示121を参照して、記録用紙の突起部114が転写ベルト71上かつ記録用紙の搬送方向の先端部において転写ベルト71の表面と対向しない状態で記録用紙が搬送されるように、記録用紙を給紙カセット41,42に配置することができる。
なお、本実施の形態において、記録用紙の突起部114は、この突起部114と転写ベルトとの間に隙間を生じさせ、かつその隙間によって記録用紙と転写ベルトとの間に放電を生じさせるような高さのものであり、3〜8μmの範囲のものである。また、一例として、感光体23の直径は120mm、転写ベルト71上における記録用紙の搬送速度は500〜650mm/secである。
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。