JP4363886B2 - 単一周波数放送波中継装置 - Google Patents

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  • Radio Relay Systems (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば地上デジタル放送システムの中継局に用いられる単一周波数放送波中継装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
次世代のデジタル放送システムとして、現在の地上波によるテレビジョン帯域を利用した地上デジタル放送の開発が進められている。この地上デジタル放送システムでは、放送サービスエリアの拡大及び難視聴地域の解消を目的として、中継局が設置される。
現在、放送波再送信によるSFN(単一周波数ネットワーク)による中継システムの構築が考えられている。この場合、中継局は受信波と同一の周波数で再送信するため、送信信号は自局回り込み妨害の影響を受ける。
【0003】
そこで、中継局に用いる中継装置にあっては、回り込み妨害を検出してキャンセルする回り込みキャンセラーを備えることで、回り込み妨害を抑圧することが考えられている。妨害を検出する手段としては、地上波デジタル放送信号に配置されているパイロット信号を用いて、妨害を検出することが考えられている。また、この妨害検出手段は、地上波デジタル放送波の受信信号をFFT(高速フーリエ変換)処理して周波数軸信号に変換して、パイロット信号を抽出し、このパイロット信号をIFFT(逆高速フーリエ変換)処理して時間軸信号に変換した後、この時間軸信号をキャンセラーのタップ係数として用いるものである(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、回り込みキャンセラーの入力信号及び出力信号からそれぞれパイロット信号を抽出し、これらパイロット信号を比較して、振幅誤差及び位相誤差を回り込み妨害として検出し、この振幅誤差及び位相誤差がなくなるように、回り込みキャンセラーを制御するものもある(例えば、特許文献2参照)。
一方、回り込み妨害を避ける手段として、親局から中継局への回線に放送波を使用せずに、マイクロ波回線を使用するシステムの構築も考えられている(例えば、特許文献3参照)。
【0005】
【特許文献1】
特願平11−081418号。
【0006】
【特許文献2】
特許番号第2954181号。
【0007】
【特許文献3】
特願2000−008108号。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記回り込みキャンセラーを用いる手段では、山の樹木が風で揺れたり、自動車、鉄道などの移動体からの反射等といった親局と中継局との間の伝播特性の影響を受けるため、伝播特性変動の状態によっては系が不安定になるという問題を有している。
【0009】
また、回り込み妨害を検出する手段にFFT,IFFT技術を使用するため、複数チャンネルを対象とした広帯域キャンセラーの実現が困難であるという問題を有している。
また、回り込みキャンセラーの入力信号及び出力信号それぞれから抽出したパイロット信号を比較する手段では、パイロット信号が中継放送局内で再送信放送信号と同一経路を通るため、系の初期状態によっては不安定になる危険性を有している。また、回り込みキャンセラーに位相調整器及び可変減衰器を用いている関係上、回りこみ妨害に周波数特性がある場合,パイロット信号の周波数で最適化されるが他の周波数では最適化されない可能性があるため広帯域キャンセラーの実現が困難であるという問題を有している。
【0010】
さらに、マイクロ波回線を使用する手段では、マイクロ波帯の無線周波数を新たに必要とし、また無線装置及びアンテナを別途装備する必要があるため、設備費用が嵩むという問題を有している。
【0011】
この発明の目的は、同一周波数でデジタル放波を中継するシステムにあって、伝播特性の変動の影響を受けることなく、回り込み成分のみを補償することができ、かつ、系の初期状態に関わらず常に安定動作を可能とし、しかも広帯域で安価な単一周波数放送波中継装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記目的を達成するために、以下のように構成される。
(1)デジタル放送波を受信し、この受信信号を単一周波数で再送信する単一周波数放送波中継装置であって、自装置における既知の伝送特性を有するパイロット信号を生成し、このパイロット信号を再送信号中の周波数軸上における複数の放送チャンネル間のガードバンドに挿入するパイロット信号発生手段と、受信信号からガードバンドの信号成分を抽出する信号抽出手段と、この信号抽出手段の出力とパイロット信号発生手段により発生されるパイロット信号とを比較し、この比較結果に基づいてデジタル放送波に与えられる回り込み特性を測定する回り込み特性測定手段と、この回り込み特性測定手段で測定された回り込み特性に従って再送信号に生じる回り込み成分を補償する補償手段と、受信信号からガードバンドの信号成分を除去して補償手段に供給する信号除去手段とを備えるようにしたものである。
【0013】
(1)の発明によれば、自装置における既知の伝送特性を有するパイロット信号を発生し、このパイロット信号と受信信号中のガードバンドの信号成分とを比較することで、回り込みの有無および回りこみがある場合の特性が検出され、その検出結果からデジタル放送波に与えられる回り込み成分を修正するための補償信号を作成しているので、特別な測定器等を用いることなく、また伝播特性の変動の影響を受けることなく、回り込み成分のみを補償することができる。また、FFT処理やIFFT処理を必要としないので、広帯域における地上デジタル放送波の処理を容易に実現できる。さらに、回り込み成分の補償処理に先立ち、受信信号からガードバンドの信号成分、つまりパイロット信号の帯域を除去して補償処理を実行するようにしているので、回り込んでくるパイロット信号に影響することなく、これにより系の安定性を向上させることができる。
【0014】
(2)パイロット信号発生手段は、補償する放送チャンネル数を1とした場合に、該放送チャンネルの両側のガードバンドにパイロット信号を挿入することを特徴とする。
(2)の発明によれば、放送チャンネル内の伝送特性をより正確に測定することができる。
【0015】
(3)想定される回り込みの遅延時間に応じて遅延時間が設定され、パイロット信号発生手段で発生されるパイロット信号を遅延して回り込み特性測定手段に出力する遅延手段をさらに備え、回り込み特性測定手段は、信号抽出手段の出力とパイロット信号発生手段により発生されるパイロット信号との比較結果により得られる伝送特性に遅延手段の遅延時間を加えて、回り込み特性を決定することを特徴とする。
(3)の発明によれば、回り込み成分に固定的な遅延がある場合に、その固定的な遅延時間に応じて遅延時間が設定された遅延器を用いて、自中継局で生成されたパイロット信号を遅延器で遅延させることにより、固定遅延を除いた回り込み成分の測定が可能となる。
【0016】
(4)予め複数の放送チャンネルそれぞれの帯域内の伝送特性を保持する伝送特性保持手段と、パイロット信号発生手段により発生されるパイロット信号に伝送特性保持手段で保持されている伝送特性を加えて回り込み特性測定手段に出力する伝送特性加算手段とをさらに備えることを特徴とする。
(4)の発明によれば、複数の放送チャンネルそれぞれの帯域内の伝送特性を予め求めておいて保持しておき、パイロット信号に予め保持してある放送チャンネルごとの伝送特性を加えることにより回り込み特性を求めるようにしているので、簡単な手順で適切な回り込み補償処理を行い得る。
【0017】
(5)パイロット信号発生手段、信号抽出手段及び回り込み特性測定手段は、パイロット信号を時分割で処理することを特徴とする。
(5)の発明によれば、一定の時間内で複数のパイロット信号それぞれに関する回り込み補償処理を時分割で処理するようにしているので、パイロット信号発生器、信号抽出器及び回り込み特性測定器を各パイロット信号で共用することが可能であり、個別に設ける場合に比べてさらに回路規模を縮小することが可能である。
【0018】
(6)パイロット信号発生手段、信号抽出手段及び回り込み特性測定手段は、パイロット信号をデジタル放送波の中間周波数帯で処理することを特徴とする。
(6)の発明によれば、通過帯域が中間周波数帯に設定された1個のフィルタのみを用いて、複数のパイロット信号を処理することが可能となる。
【0019】
(7)パイロット信号発生手段は、放送休止時間を利用して再送信する放送信号の帯域内にパイロット信号を挿入し、信号抽出手段は、放送休止時間に挿入された再送信する放送信号の帯域内のパイロット信号を抽出し、回り込み特性測定手段は、放送休止時間にパイロット信号発生手段から発生されたパイロット信号と信号抽出手段の出力とを比較し、この比較結果に基づいて放送休止時間のデジタル放送波に与えられる回り込み特性を測定することを特徴とする。
(7)の発明によれば、放送休止時間に、放送信号の帯域内にパイロット信号を発生させ、検波することにより、中継局のメンテナンスや改修時に特別な測定器を用いることなく、伝送特性の詳細データが得られる。
【0020】
(8)パイロット信号発生手段は、他の装置で生成されたパイロット信号と区別された自装置用パイロット信号を生成し、信号抽出手段は、受信信号から自装置用パイロット信号のみを抽出することを特徴とする。
(8)の発明によれば、多段中継放送を行う場合に、他中継局からの放送信号のガードバンドに含まれる他中継局発のパイロット信号と自中継局で重畳するパイロット信号を識別し、他中継局発のパイロット信号の処理を行なわれないようにすることが出来る。
【0021】
(9)パイロット信号発生手段、信号抽出手段、回り込み特性測定手段及び補償手段は、複数系統備え、複数のパイロット信号発生手段は、互いに異なる自系統用パイロット信号を生成することを特徴とする。
(9)の発明によれば、受信する地上デジタル放送波を複数系統で処理する場合に、各系統で自系統用パイロット信号を生成することにより、各系統で処理すべくパイロット信号を明確化することができる。
【0022】
(10)複数のパイロット信号発生手段は、再送信すべく再送信号中の共通のガードバンドに自系統用パイロット信号を挿入することを特徴とする。
(10)の発明によれば、デジタル放送波を複数系統で処理する場合に、処理すべく自系統用パイロット信号の挿入位置を特定することができる。
【0023】
(11)デジタル放送波及びこのデジタル放送波の伝送帯域の下端に隣接して配置されるアナログ放送波を受信し、これら受信信号を同一周波数で再送信する単一周波数放送波中継装置であって、受信信号からアナログ放送波成分を抽出する第1の信号抽出手段と、受信信号からアナログ放送波の音声搬送波成分を抽出する第2の信号抽出手段と、第1の信号抽出手段の出力と第2の信号抽出手段の出力とを比較し、この比較結果に基づいてデジタル放送波に与えられる回り込み特性を測定する回り込み特性測定手段と、この回り込み特性測定手段で測定された回り込み特性に従って再送信号に生じる回り込み成分を補償する補償手段とを備えるようにしたものである。
(11)の発明によれば、地上デジタル放送波の伝送帯域の下端にアナログ放送波が隣接して配置される場合に、パイロット信号挿入用の専用チャンネルを新たに設ける必要がなく、既存のアナログ放送波の音声搬送波成分を利用して地上デジタル放送波に与えられる回り込み特性を測定し、その回り込み成分を補償することができる。
【0024】
(12)地上デジタル放送波及びこの地上デジタル放送波の伝送帯域の上端に隣接して配置されるアナログ放送波を受信し、これら受信信号を同一周波数で再送信する地上デジタル放送の放送波中継装置であって、受信信号からアナログ放送波成分を抽出する第1の信号抽出手段と、受信信号からアナログ放送波の映像搬送波成分を抽出する第2の信号抽出手段と、第1の信号抽出手段の出力と第2の信号抽出手段の出力とを比較し、この比較結果に基づいて地上デジタル放送波に与えられる回り込み特性を測定する回り込み特性測定手段と、この回り込み特性測定手段で測定された回り込み特性に従って再送信号に生じる回り込み成分を補償する補償手段とを備えるようにしたものである。
(12)の発明によれば、地上デジタル放送波の伝送帯域の上端にアナログ放送波が隣接して配置される場合に、パイロット信号挿入用の専用チャンネルを新たに設ける必要がなく、既存のアナログ放送波の映像搬送波成分を利用して地上デジタル放送波に与えられる回り込み特性を測定し、その回り込み成分を補償することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、この発明に係る地上デジタル放送の中継局に使用される放送波中継装置の第1の実施形態の構成を示すブロック図である。
【0026】
図1において、親局から到来する地上デジタル放送波は、受信アンテナ11によって受信され、その受信信号が前置増幅器12に供給される。前置増幅器12は、入力された受信信号を所定の振幅レベルまで増幅する。この増幅信号は、分配器13により帯域除去フィルタ(BEF)14及び帯域通過フィルタ(BPF)15にそれぞれ供給される。このうち帯域除去フィルタ14の入力信号は、帯域除去フィルタ14によりパイロット信号成分を含む帯域が除去され、合成器16によりキャンセラー17の出力信号と合成された後、分配器18によってキャンセラー17及び合成器19にそれぞれ出力される。合成器19は、図2に示すように、分配器18の出力中の両側のガードバンドにそれぞれ1波づつパイロット信号発生器20から発生されるパイロット信号を挿入する。この合成器19の出力信号は、電力増幅器21で電力増幅された後、送信アンテナ22から空間に送出される。
【0027】
一方、分配器13の出力は、帯域通過フィルタ15でパイロット信号が挿入されるガードンバンドの信号成分が抽出された後、パイロット信号検波器23に供給される。このパイロット信号検波器23は、パイロット信号発生器20から発生されるパイロット信号と帯域通過フィルタ15の出力とを比較する。このパイロット信号検波器23で得られた情報は係数設定器24に供給される。
【0028】
係数設定器24は、パイロット信号検波器24から出力される情報に基づき受信時における送信アンテナ22からの回り込みによる遅延量、振幅・位相変化量、つまり回り込み特性を求める。そして、この回り込み特性から回り込み補償成分を示すタップ係数を演算し、キャンセラー17に出力する。キャンセラー17は、タップ係数に従って分配器18の出力の伝送特性を補償し、補償後の信号を合成器16に出力する。
【0029】
図3は、この第1の実施形態の動作を説明するためのブロック図である。図中にパイロット信号+放送信号の経路を太線で、放送信号のみの経路を点線で示す。
図3において、放送信号とパイロット信号は分配器13によって、帯域除去フィルタ14および帯域通過フィルタ15へ分離されるため、放送信号とパイロット信号で動作が異なる。
【0030】
図4はパイロット信号のみの処理動作を示すブロック図である。
図4においてパイロット信号の伝送特性は以下の式であらわすことができる。
Pi(ω)・G(ω)・C(ω)=Po(ω) (1)
但し、Pi(ω)はパイロット信号発生器20の出力を示し、Po(ω)は帯域通過フィルタ15の出力を示す。
ここで、パイロット信号の伝達関数をFp(ω)と置くと、Fp(ω)は次のように表せる。
Fp(ω)=Po(ω)/Pi(ω)=G(ω)・C(ω) (2)
即ち、パイロット信号の伝達関数Fp(ω)は、回りこみ伝達関数に一致していることがわかる。
【0031】
次に、図5は放送信号のみの処理動作を示すブロック図を示す。
図5において、キャンセラー17の係数はパイロット信号の伝送特性から決定される。
係数設定器24は、パイロット信号検波器23により得られる情報により、キャンセラー17のタップ係数を定めることにより、キャンセラー17の特性W(ω)を次式のように設定することができる。
W(ω)=Fp(ω)=G(ω)・C(ω) (3)
次に、放送信号の伝送特性について説明する。
【0032】
図5において、S(ω)は次式で与えられる。
S(ω)=X(ω)・D(ω)+S(ω)・G(ω)・C(ω)−S(ω)・W(ω) (4)
従って、放送信号の伝達関数をFb(ω)とすると、Fb(ω)は次式で与えられる。
Figure 0004363886
上式に(3)式を代入することにより、次式を得る。
Figure 0004363886
即ち,キャンセラー17の特性W(ω)をパイロット信号の伝送特性より求められた値に設定することにより、回りこみ成分G(ω)・C(ω)は除去されることがわかる。
【0033】
以上の説明からわかるように、キャンセラー17の特性を決定するパイロット信号の伝送特性Fp(ω)は、(3)式に示すように、回り込み成分のみに依存し、従来技術の問題点であった親局と中継局との間の伝播特性D(ω)の影響を受けないため、D(ω)が変動しても回りこみにより系の不安定になるという問題は生じない。
【0034】
更に、パイロット信号と放送信号の経路が異なりパイロット信号はループとならない。そのためパイロット信号の系はいかなる動作条件でも安定であり、系が不安定となることはない。従って、キャンセラー17の初期値を任意とすることが可能で周囲電波環境の影響により系が不安定となることが無く、設置および保守が極めて容易となる。
以上説明したように、本発明によれば親局から中継局までの伝播特性の変動の影響を受けず、また回りこみ特性に影響する周囲の伝播環境の変化の影響を受けない安定した同一周波数中継放送装置を提供することが可能となる。
【0035】
(広帯域の回りこみキャンセラーを実現する例)
以上は、同一周波数放送波中継を行なう放送チャンネル数が1の場合について説明したが、本実施形態では複数の放送チャンネルの同一周波数放送波中継も可能である。
【0036】
以下、複数チャンネルの放送波中継を行なうための広帯域回りこみキャンセラーについて説明する。
図6は、パイロット信号挿入位置を示す。なお、ここでは同時中継放送チャンネル数をNとするとN+1となる。
【0037】
ここでは、各パイロット信号毎にf1、f2、…の伝達関数Fp(ω1)、Fp(ω2)…を測定し、図7に示すように広帯域の伝達関数Fp(ω)を決定している。従って、キャンセラー17、増幅器21、送信アンテナ22を広帯域化することにより、複数放送信号帯域の回りこみを一括でキャンセルする広帯域キャンセラーを実現することができる。
【0038】
UHF放送周波数帯では増幅器は容易に広帯域化が可能で、現在の技術でも50MHz(放送チャンネル数換算で8チャンネル)は容易に実現できる。また、アンテナは広帯域化が可能で定在波比(VSWR)1.2程度を許容すれば、50MHz以上の動作帯域を実現できる。
【0039】
キャンセラー17は、デジタルフィルタ(FIR)を用いて実現される。デジタルフィルタはシフトレジスタもしくはメモリと乗算アレーで構成されている。現在の技術では数10MIPSから100MIPSの演算速度で容易に実現できるため、広帯域での動作可能なキャンセラーが実現可能である。
【0040】
また、パイロット信号検波器23は、UHF帯もしくは中間周波数帯で動作する同期検波器等で構成される。これらの無線通信装置用部品は容易に入手可能である。
このように、従来技術では広帯域化を困難にしていたFFT処理、IFFT処理を必要とせずにキャンセラーを実現できるため広帯域化が容易である。
【0041】
なお、上記広帯域キャンセラーを実現する場合、図7に示すように複数のパイロット信号の生成と検波が必要である。複数のパイロット信号に対して個々に発生器と検波回路を備えると回路規模が大きくなるという問題点を有する。パイロット信号の生成と検波は中継放送局の回り込み特性を測定することが目的であるため、一定の時間内に測定を行なえば良い。従って、パイロット信号発生器20として周波数シンセサイザのように周波数を任意に設定可能な装置を使用して、時分割でf1、f2、f3、…というように順次パイロット信号を発生し、検波していくことにより1個の回路で複数のパイロット信号の生成及び検波が可能となり、これにより回路規模の削減が可能となる。
【0042】
以上のように上記第1の実施形態によれば、パイロット信号をパイロット信号発生器20によって発生し、この発生したパイロット信号が送信アンテナ22と受信アンテナ11との結合により受信側に回り込んだ回り込み成分と元のパイロット信号発生器20の出力とをパイロット信号検波器23で比較し、係数設定器24でその比較結果から回り込み特性を求め、その回り込み特性から地上デジタル放送波に与えられる回り込み成分を修正するためのタップ係数を求め、回り込みをキャンセルするためのキャンセラー17に与えるようにしている。
【0043】
従って、特別な測定器等を用いることなく、また伝播特性の変動の影響を受けることなく、回り込み成分のみを補償することができる。また、FFT処理やIFFT処理を必要としないので、広帯域における地上デジタル放送波の処理を容易に実現できる。
【0044】
(第2の実施形態)
図8は、この発明に係る放送波中継装置の第2の実施形態の構成を示すブロック図である。
図8において、上記図1と同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
図8において、分配器13により分配された信号は、ダウンコンバータ31により無線周波数(RF)帯から中間周波数(IF)帯に周波数変換され、IF信号となる。このIF信号は、帯域通過フィルタ15に供給されることになる。
【0045】
また、パイロット信号発生器20は、固定の中間周波数でパイロット信号を生成する。このパイロット信号は、アップコンバータ32により中間周波数(IF)帯から無線周波数(RF)帯に周波数変換され、このRF信号が合成器19に供給される。ダウンコンバータ31及びアップコンバータ32には、局部発振器33からの局部発振信号が供給されることになる。この局部発振器33には、周波数を任意に設定出来るシンセサイザを用いている。
従って、この第2の実施形態によれば、パイロット信号の生成及び検波を中間周波数帯で行うことができるので、パイロット信号を抽出するための帯域通過フィルタ15を1個用意するだけでよい。
【0046】
(第3の実施形態)
図9は、この発明に係る放送波中継装置の第3の実施形態の構成を示すブロック図である。
図9において、上記図1と同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0047】
図9において、パイロット信号発生器20により発生されたパイロット信号は、合成器19に供給されると共に、遅延器41に供給される。遅延器41は、設定された時間だけパイロット信号を遅延するもので、その遅延出力はパイロット信号検波器23に供給される。
【0048】
次に、第3の実施形態による動作について説明する。
図10は、回り込み波に遅延が存在する場合の受信信号の周波数特性を示す。図10(a)は受信波と回りこみ波の遅延時間関係を示す。図10(b)はその場合の周波数特性を示す。なお、周波数特性のディップ(落ち込み)の間隔fdは、マルチパス波の遅延時間をtdとすると、
fd=1/td (7)
になる。
【0049】
従って、受信信号に対する廻りこみ成分がtdだけ遅延する場合、中継放送局の伝達特性は図11の実線で示すような周波数特性を持つことになる。
一方、本実施形態ではデジタル放送チャンネルのガードバンドにパイロット信号を挿入するため、パイロット信号の周波数間隔は6MHz間隔となってしまう。
【0050】
図11の実線で示すようにtd>140ns(=1/(6MHz))の場合、周波数特性の変化がパイロット信号の間隔より狭くなり、パイロット信号のみで測定することができなくなる。言いかえれば、6MHz間隔で配置されたパイロット信号を用いて測定可能な遅延時間の範囲δtdは高々140nsとなる。
【0051】
そこで、遅延器41の遅延時間tdを中継局の固有遅延時間と等しく設定しておくことで、パイロット信号を用いた中継局の回り込み成分の遅延時間測定範囲は、td+δtdとなり、これにより固定遅延を除いた測定が可能となる。
【0052】
図12は、パイロット信号のみに着目した動作を説明するためのブロック図である。
すなわち、遅延器41の伝達特性をL’(ω)とすると、一巡伝達特性Fp(ω)は次のように与えられる。
Po(ω)=G(ω)・C(ω)・L(ω)/Pi(ω) (8)
一方、検波回路73の入力をPi’(ω)とすると、Pi’(ω)次式で与えられる。
【0053】
Pi’(ω)=L’(ω)・Pi(ω) (9)
パイロット信号検波器23で測定される伝達関数をF’p(ω)とすると、F’p(ω)は次式となる。
Figure 0004363886
遅延器41の設定遅延時間が回りこみの遅延時間に等しい場合、L(ω)=L’(ω)となるため、
F’p(ω)=G(ω)・C(ω) (11)
となり、遅延を除く回りこみ特性に一致することがわかる。
【0054】
このように、測定された特性F’p(ω)と遅延回路特性L’(ω)より、キャンセラー特性W(ω)は次式のように設定することにより回りこみ特性をキャンセルできることがわかる。
Figure 0004363886
以上のように上記第3の実施形態によれば、回りこみ成分に一定の遅延時間が存在する場合においても回りこみ成分をキャンセルすることができる。
【0055】
(第4の実施形態)
図13は、この発明に係る放送波中継装置の第4の実施形態の構成を示すブロック図である。
図13において、上記図1と同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0056】
図13において、パイロット信号発生器20により発生されたパイロット信号は、合成器19に供給されると共に、デジタルフィルタ51に供給される。デジタルフィルタ51には、予め測定された複数の放送チャンネルそれぞれの帯域内の伝送特性が係数として格納されたメモリが備えられている。すなわち、デジタルフィルタ51は、入力されたパイロット信号に対し、当該信号に対応する伝送特性を加算してパイロット信号検波器23に出力する。
係数設定器24は、パイロット信号検波器23の出力から回り込み特性を求め、この特性から回り込み補償成分を示す係数を演算する。
【0057】
次に、上記第4の実施形態における動作を説明する。
上記第3の実施形態では、フィーダのように周波数に依存しない遅延時間がある場合について示したが、中継局において不要輻射を避けるため、電力増幅器21の出力段に帯域通過フィルタ(BPF)52を挿入するようにしている。帯域通過フィルタ52は周波数により伝達特性が異なるため、前記のような固定遅延を与えるだけではその特性を補償することはできない。
【0058】
図14は、上記第4の実施形態の動作を説明するためのブロック図である。
ここで、デジタルフィルタ51の伝達特性M’(ω)を帯域通過フィルタ52の伝達特性M(ω)に等しくするとキャンセラー17の特性W(ω)は、前記の固定遅延がある場合と同様に
W(ω)=F’p(ω)・M(ω) (13)
となり、帯域通過フィルタ52の特性M(ω)を打ち消すことが可能である。
【0059】
以上は、電力増幅器21の出力段に帯域通過フィルタ52を挿入した例について説明したが、フィルタに限るものではない。また、デジタルフィルタ51により固定遅延回路の特性も実現できることも言うまでもない。
【0060】
以上のように上記第4の実施形態によれば、既知の伝送特性歪みについて、デジタルフィルタ51をパイロット信号発生器20とパイロット信号検波器23との間に挿入し、既知の特性をデジタルフィルタ51に設定することで補償できる。また、複数の放送チャンネルそれぞれの帯域内の伝送特性を予め求めておいてデジタルフィルタ51に設定しておくことにより、放送チャンネルごとに簡単な手順で適切な回り込み補償処理を行い得る。
【0061】
(第5の実施形態)
この第5の実施形態は、上記図1に示す放送波中継装置に関するものである。
上記伝達特性は、放送波中継局を構成する増幅器、送受信アンテナなどの個別機器の特性に依存する。従って、これらの個別機器を交換乃至は調整した場合、伝達特性を再度測定する必要がある。しかしながら、送信局において細かい伝達特性を測定するためには周波数掃引信号発生器のような特別な測定装置を準備する必要がある。
【0062】
このような放送波中継局のメンテナンスや改修時に特別な測定器を不要とする方法としては、図15に点線矢印で示すように放送休止時に放送信号の帯域内にもパイロット信号を発生させ、検波することにより伝達特性の詳細データを取得する機能を具備させることで可能である。
また、放送信号の帯域内に発生させるパイロット信号のレベルを放送波の受信品質の劣化が許容範囲に納まる程度まで下げ、放送時間内でも詳細な伝達特性データを取得してキャンセラーの特性を補正するシステムも本発明の範囲である。
【0063】
(第6の実施形態)
この第6の実施形態は、パイロット信号に識別信号などを載せて複数局での使用を可能とするものである。
上記第1乃至第5の実施形態では、放送波中継局1段の場合の回り込み補償技術について説明したものである。しかしながら、1段では所定エリアをカバーできない場合がある。このような場合、図16に示すように複数段の中継を行なう多段中継放送が行なわれる。
【0064】
この場合、放送波中継局(#2)103でパイロット信号をデジタル放送信号のガードバンドに挿入すると、前段の放送波中継局(#1)102で挿入されるパイロット信号の両方がガードバンドに配置されているため、放送波中継局(#2)103においては両方のパイロット信号が受信されてしまう。
【0065】
そこで、この第6の実施形態では、多段中継放送などで複数の局が共通のガードバンドを利用してパイロット信号を挿入した場合にパイロット信号のみを抽出する方法を提供する。
自局と他局のパイロット信号を識別する方法としては、以下に示す方法がある。
(周波数分割割当方式)
ガードバンドを図17に示すように更に細かい周波数スロットに分け、各局のパイロット信号に周波数スロットを割り当てる方式。
【0066】
(時分割割当方式)
放送波中継ネットワークに参加する局が共通の時計を持ち、図18に示すように、パイロット信号を挿入・測定する時間スロットを割り当てる方式。
【0067】
(符号分割割当方式)
パイロット信号を局毎に割り当てた符号でスペクトル拡散変調し、同一符号で逆拡散復調する方式。なお、割当符号に直交符号を使用することにより、自局のパイロット信号のみ復調することができる。
【0068】
以上示した識別方法はいずれも無線通信のチャンネル割当方式として実用化されている技術であり、容易に実現可能である。例としては、代表的な3方式を示したが、他の識別方法を利用するようにしてもよい。
特に、ギャップフィラーのように、特定の小エリア毎に設置するような放送ネットワークでは、複数の中継放送局からの信号が受信される可能性があり、パイロット信号を自局と他局のパイロット信号を識別することは重要である。
以上述べたように上記第6の実施形態によれば、複数放送チャンネルの広帯域かつ安価な単一周波数放送波中継装置を実現することができる。
【0069】
(第7の実施形態)
この第7の実施形態は、1つの中継局において、図1に示す放送波中継装置が複数系統備えられたものに関する。
図19は、この発明に係る放送波中継装置の第7の実施形態の構成を示すブロック図である。
図19において、上記図1と同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0070】
図19において、親局から到来する地上デジタル放送波は、受信アンテナ11によって受信され、その受信信号が受信増幅器61によって所定の振幅レベルまで増幅された後、分配器62によって、チャンネル1用の分配器13及びチャンネル2用の分配器63に分配される。なお、ここでは説明を簡単にするため、放送チャンネル(系統)数を2チャンネルとする。
【0071】
2チャンネル用の信号は、分配器13により帯域除去フィルタ(BEF)64及び帯域通過フィルタ(BPF)65にそれぞれ供給される。このうち帯域除去フィルタ64の入力信号は、帯域除去フィルタ64によりパイロット信号成分を含む帯域が除去され、合成器66によりキャンセラー67の出力信号と合成された後、分配器68によってキャンセラー67及び合成器69にそれぞれ出力される。合成器69は、図20(b)に示すように、分配器68の出力中の両側のガードバンドにそれぞれ1波づつパイロット信号発生器70から発生されるパイロット信号を挿入する。この合成器69の出力信号は、電力増幅器71で電力増幅された後、送信アンテナ72から空間に送出される。
【0072】
一方、分配器63の出力は、帯域通過フィルタ65でパイロット信号が抽出された後、パイロット信号検波器73に供給される。このパイロット信号検波器73は、パイロット信号発生器70から発生されるパイロット信号と帯域通過フィルタ15から出力されるパイロット信号とを比較する。この比較結果は、係数設定器74に供給される。この比較結果に基づき受信時における送信アンテナ22からの回り込みによる遅延量、振幅・位相変化量、つまり回り込み特性を求める。このパイロット信号検波器23で得られた情報は係数設定器24に供給される。
【0073】
係数設定器74は、パイロット信号検波器73から出力される比較結果に基づき受信時における送信アンテナ72からの回り込みによる遅延量、振幅・位相変化量、つまり回り込み特性を求める。そして、その回り込み特性から回り込み補償成分を示す係数を演算し、キャンセラー67に出力する。キャンセラー67は、係数に従って分配器68の出力の伝送特性を補償し、補償後の信号を合成器66に出力する。
【0074】
以上述べた上記第7の実施形態によれば、各放送チャンネルが別々の増幅器やアンテナを使用する場合にも、上記各実施形態と同様な効果が得られる。
しかしながら、チャンネルが隣接して伝送系が異なる場合、共通のガードバンドに異なる系のパイロット信号が重畳される。そのような場合には、前述のようにパイロット信号を系統毎の識別可能なパイロット信号に生成すれば良い。このようにすれば、受信する地上デジタル放送波を複数系統で処理する場合に、各系統で処理すべくパイロット信号を明確化することができる。
このように複数の系統を有する中継放送システムにおいても本発明は有効である。
【0075】
(第8の実施形態)
この第8の実施形態は、下隣接チャンネルにアナログ放送波がある場合の適用例に関する。
図21は、この発明に係る放送波中継装置の第8の実施形態の構成を示すブロック図である。
図21において、上記図1と同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0076】
図21において、分配器13により分配された信号のうちデジタル放送信号は、帯域除去フィルタ14及び帯域通過フィルタ15にそれぞれ供給され、アナログ放送信号は分配器81に供給される。分配器81の出力のうち一方は、親局または前段の放送波中継局から放送された放送信号を抽出するための帯域通過フィルタ(BPF)82によって放送信号が抽出され、周波数変換器83によって周波数変換処理が施された後、電力増幅器84で電力増幅されて方向性結合器85に供給される。
【0077】
一方、分配器81の出力のうち他方は、当該放送波中継局から送信された放送信号の回り込み成分を抽出するための帯域通過フィルタ(BPF)86によって当該放送波中継局の放送信号のうちの音声信号が抽出された後、同期検波器87に供給される。
【0078】
方向性結合器85は、入力信号の一部を同期検波器87に出力するとともに、残りを合成器88に出力する。
同期検波器87は、図22に示すアナログ放送の音声信号の一巡伝送特性を測定するためのものである。同期検波器87により得られた音声信号の伝送特性は係数設定器75に供給され、パイロット信号の伝送特性と合わせてデジタル放送チャンネルの回りこみ特性の決定に使用される。
合成器88は、方向性結合器85の出力をデジタル放送信号と合成し、その合成出力を送信アンテナ22に出力する。
【0079】
次に、上記第8の実施形態における動作について説明する。
上記各実施形態では、いずれも同一放送波中継を行なう放送チャンネルの両側のガードバンドにパイロット信号を挿入する場合について説明した。しかしながら、地上波放送がアナログ放送からデジタル放送に移行するいわゆるサイマル期間においては、同一放送波中継局からアナログ放送電波とデジタル放送電波が送信される場合が生じる。アナログ放送用受信機は、デジタル放送用に比べて帯域外不要波の影響を受けやすいため、アナログ放送波のガードバンドにはパイロット信号を載せないことが望ましい。
【0080】
すなわち、同一周波数放送波中継を行なうデジタル放送チャンネルの下隣接チャンネルにアナログ放送チャンネルが配置されている場合、デジタル放送の伝送帯域の下端に配置されるべきパイロット信号の代用としてアナログ放送の音声信号が利用可能である。
なお、第8の実施形態では、固定遅延の補償、帯域フィルタなどの周波数特性を補償する回路を示していないが、これらの補償回路を付加した場合も本発明の範囲内となる。
【0081】
以上のように上記第8の実施形態によれば、デジタル放送信号の下隣接チャンネルにアナログ放送信号が配置されている場合に、アナログ放送の音声信号を回り込み特性を測定するためのパイロット信号として利用することができ、これによりパイロット信号挿入用の専用チャンネルを新たに設ける必要がなく、システム全体の簡素化を図ることができる。
【0082】
なお、上記第8の実施形態では、下隣接チャンネルのアナログ放送信号がある場合について説明したが、図23に示すように、同一周波数放送波中継を行なうデジタル放送チャンネルの上隣接チャンネルにアナログ放送チャンネルが配置されている場合、デジタル放送の帯域の上側に配置されるべきパイロット信号の代用としてアナログ放送の映像信号が利用可能である。
【0083】
この場合、帯域通過フィルタ82,86は上隣接アナログ放送の映像キャリアを抽出するように通過帯域を設定される。
従って、この第8実施形態では、上隣接アナログ放送の映像キャリアを使用して一巡伝達特性の測定を行ない、固定遅延や帯域フィルタの遅延特性の補償は前記の場合と同様な手法で解決可能である。
【0084】
(その他の実施形態)
この発明は、上記各実施形態の範囲に限定されるものではない。例えば、同一周波数による放送波中継放送局以外に、極めて限定されたエリアを対象としたギャップフィラー再送信局、個々の家庭内で受信信号を再送信するホームギャップフィラーなど、同一周波数での再送信を行なうシステムに利用可能である。
その他、放送波中継装置の構成や、回り込み成分の補償方法等についても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。
【0085】
【発明の効果】
以上詳述したようにこの発明によれば、同一周波数でデジタル放波を中継するシステムにあって、伝播特性の変動の影響を受けることなく、回り込み成分のみを補償することができ、しかも広帯域で安価な単一周波数放送波中継装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に係る地上デジタル放送の中継局に使用される放送波中継装置の第1の実施形態の構成を示すブロック図。
【図2】 この第1の実施形態において、デジタル信号のガードバンドにパイロット信号を挿入した例を示す周波数特性図。
【図3】 第1の実施形態の動作を説明するためのブロック図。
【図4】 図3のパイロット信号のみの処理動作を示すブロック図。
【図5】 図3の放送信号のみの処理動作を示すブロック図
【図6】 パイロット信号挿入位置を示す周波数特性図。
【図7】 広帯域の伝達関数を示す周波数特性図。
【図8】 この発明に係る放送波中継装置の第2の実施形態の構成を示すブロック図。
【図9】 この発明に係る放送波中継装置の第3の実施形態の構成を示すブロック図。
【図10】 第3の実施形態における回り込み波に遅延が存在する場合の受信信号の特性図。
【図11】 中継放送局の伝達特性を示す図。
【図12】 パイロット信号のみに着目した動作を説明するためのブロック図。
【図13】 この発明に係る放送波中継装置の第4の実施形態の構成を示すブロック図。
【図14】 第4の実施形態の動作を説明するためのブロック図
【図15】 この発明の第5の実施形態において、放送休止時に放送信号の帯域内にもパイロット信号を挿入した例を示す図。
【図16】 この発明の第6の実施形態において、多段中継放送を行うシステムの概略構成図。
【図17】 第6の実施形態において、周波数分割割当方式を説明するために示す図。
【図18】 第6の実施形態において、時分割割当方式を説明するために示す図。
【図19】 この発明に係る放送波中継装置の第7の実施形態の構成を示すブロック図。
【図20】 第7の実施形態における各放送チャンネルごとのパイロット信号配置関係を示す図。
【図21】 この発明に係る放送波中継装置の第8の実施形態の構成を示すブロック図。
【図22】 第8の実施形態において、デジタル放送信号とアナログ放送の音声信号との配置関係を示す図。
【図23】 第8の実施形態において、デジタル放送信号とアナログ放送の映像信号との配置関係を示す図。
【符号の説明】
11…受信アンテナ、12…前置増幅器、13,18…分配器、14…帯域除去フィルタ(BEF)、15,52…帯域通過フィルタ(BPF)、16,19…合成器、17…キャンセラー、20…パイロット信号発生器、21…電力増幅器、22…送信アンテナ、23…パイロット信号検波器、24…係数設定器、31…ダウンコンバータ、32…アップコンバータ、33…局部発振器、41…遅延器、51…デジタルフィルタ、83…周波数変換器、85…方向性結合器、87…同期検波器、101…親局、102,103…放送波中継局。

Claims (11)

  1. デジタル放送波を受信し、この受信信号を同一周波数で再送信する単一周波数放送波中継装置であって、
    前記デジタル放送波を受信する受信手段と、
    自装置における既知の伝送特性を有するパイロット信号を生成し、このパイロット信号を前記再送信号中の周波数軸上における複数の放送チャンネル間のガードバンドに挿入するパイロット信号発生手段と、
    前記受信手段で得られた受信信号から前記ガードバンドの信号成分を抽出する信号抽出手段と、
    この信号抽出手段の出力と前記パイロット信号発生手段により発生されるパイロット信号とを比較し、この比較結果に基づいてデジタル放送波に与えられる回り込み特性を測定する回り込み特性測定手段と、
    この回り込み特性測定手段で測定された回り込み特性に従って前記再送信号に生じる回り込み成分を補償する補償手段と、
    前記受信手段と前記補償手段との間に設けられ、前記受信手段で得られた受信信号から前記ガードバンドの信号成分を除去して前記補償手段に供給する信号除去手段とを具備したことを特徴とする単一周波数放送波中継装置。
  2. 前記補償手段は、前記回り込みを補償すべく放送チャンネル数を単数または複数とすることを特徴とする請求項1記載の単一周波数放送波中継装置。
  3. 前記パイロット信号発生手段は、補償する放送チャンネル数を1とした場合に、該放送チャンネルの両側のガードバンドに前記パイロット信号を挿入することを特徴とする請求項1記載の単一周波数放送波中継装置。
  4. 想定される回り込みの遅延時間に応じて遅延時間が設定され、前記パイロット信号発生手段で発生されるパイロット信号を遅延して前記回り込み特性測定手段に出力する遅延手段をさらに備え、
    前記回り込み特性測定手段は、前記信号抽出手段の出力と前記パイロット信号発生手段により発生されるパイロット信号との比較結果により得られる伝送特性に前記遅延手段の遅延時間を加えて、回り込み特性を決定することを特徴とする請求項1記載の単一周波数放送波中継装置。
  5. 予め前記複数の放送チャンネルそれぞれの帯域内の伝送特性を保持する伝送特性保持手段と、前記パイロット信号発生手段により発生されるパイロット信号に前記伝送特性保持手段で保持されている伝送特性を加えて前記回り込み特性測定手段に出力する伝送特性加算手段とをさらに備えることを特徴とする請求項1記載の単一周波数放送波中継装置。
  6. 前記パイロット信号発生手段、前記信号抽出手段及び回り込み特性測定手段は、前記パイロット信号を時分割で処理することを特徴とする請求項1記載の単一周波数放送波中継装置。
  7. 前記パイロット信号発生手段、前記信号抽出手段及び回り込み特性測定手段は、前記パイロット信号を前記デジタル放送波の中間周波数帯で処理することを特徴とする請求項1記載の単一周波数放送波中継装置。
  8. 前記パイロット信号発生手段は、放送休止時間を利用して再送信する放送信号の帯域内にパイロット信号を挿入し、
    前記信号抽出手段は、放送休止時間に挿入された再送信する放送信号の帯域内のパイロット信号を抽出し、
    前記回り込み特性測定手段は、放送休止時間に前記パイロット信号発生手段から発生されたパイロット信号と前記信号抽出手段の出力とを比較し、この比較結果に基づいて放送休止時間のデジタル放送波に与えられる回り込み特性を測定することを特徴とする請求項1記載の単一周波数放送波中継装置。
  9. 前記パイロット信号発生手段は、他の装置で生成されたパイロット信号と区別された自装置用パイロット信号を生成し、
    前記信号抽出手段は、前記受信信号から前記自装置用パイロット信号のみを抽出することを特徴とする請求項1記載の単一周波数放送波中継装置。
  10. 前記パイロット信号発生手段、前記信号抽出手段、前記回り込み特性測定手段及び前記補償手段は、複数系統備え、
    前記複数のパイロット信号発生手段は、互いに異なる自系統用パイロット信号を生成することを特徴とする請求項1記載の単一周波数放送波中継装置。
  11. 前記複数のパイロット信号発生手段は、再送信すべく再送信号中の共通のガードバンドに前記自系統用パイロット信号を挿入することを特徴とする請求項10記載の単一周波数放送波中継装置。
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