JP4212403B2 - 放送信号の送信時刻測定装置及びその測定方法、この送信時刻測定装置を用いた送信装置及び中継装置、及び遅延時間測定装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば地上波デジタル放送の送信局または中継局に用いられ、地上波デジタル放送信号の送信時刻を測定するための放送信号の送信時刻測定装置とその測定方法、この送信時刻測定装置を用いた送信装置及び中継装置、及び遅延時間測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
地上波デジタル放送は、OFDM伝送方式の特徴である耐マルチパス性能を利用して複数の送信局が同一送信周波数を共有し、指定のタイミング範囲で送信することにより同一周波数妨害を生じることなく広範囲のサービスエリアを複数送信局でカバーできるという特徴を有している。
【0003】
このように同一放送サービスを行う複数の送信局が、同一周波数で送信するような送信ネットワークはSFN(単一周波数ネットワーク:Single Frequency Network)と呼ばれデジタル放送を特徴づける技術要素となっている(例えば特許文献1)。このSFN技術により、放送のための周波数を大幅に節約することが可能となる。しかしながら、上記SFNを成立させるためには、複数の送信局が所定の送信タイミング誤差範囲で放送信号を送信することが前提となっており、各送信局の送信タイミングをネットワークとして管理する技術が極めて重要となっている。
【0004】
OFDM伝送方式をベースとした地上波デジタル放送の場合、一般的にガードインターバル長を超えない範囲の同一送信波形を有する複数波は相互に干渉しないと言う特徴がある。従って上記SFNを構成する複数送信局からの電波は所定のサービスエリア内の受信点において受信タイミング差が前記ガードインターバル長以内となるよう送信時刻を管理する必要がある。広範囲なサービスエリア内で上記受信タイミング条件を成立させるためには、送信タイミングは極めて高精度の管理が要求される。
しかしながら、地上波デジタル放送信号の送信出力は雑音状の波形をしており、送信出力からその送信時刻を直接測定することは困難であった。
【0005】
そこで、電波産業会(以下ARIB: Association of Radio Industry and Business)では、複数の送信局で送信タイミングを管理するため、スタジオから送信所に送られる放送用デジタル信号(以下放送TS:Transport Stream)にOFDMフレーム同期タイミングを示す信号を挿入し、各放送所において上記挿入信号を検出し、そのタイミングを別に準備されるGPS(Global Positioning System)受信機などで生成した時刻信号で測定し各送信所の送信時刻を管理する方法を標準として定めている(非特許文献1)。
【0006】
上記方法は、各送信所に備えられたOFDM変調器等の信号処理遅延時間が既知であれば、各送信所において上記挿入信号を検出し、この検出タイミングに信号処理遅延時間を加えることにより、スタジオからの放送用デジタル信号の送信時刻を推定できるという利点がある。しかしながら、例えば異なる製造業者が製作したOFDM変調器をSFNの中で混在させた場合、信号処理遅延時間を厳密に管理することが極めて困難である。また、送信所内の信号線路の改修などを行った場合に伝送遅延時間が変わる可能性があり、実際の送信時刻が想定値からずれるという問題も生じることになる。
【0007】
一方、地上波デジタル放送受信機の技術を利用して送信時刻を推定する方法も提案されている。しかしながら、この方法では、受信機内の復調器の信号処理遅延時間を正確に測定することが困難である。また、受信機において、シンボル同期検出に相関演算を用いて行っているが、この相関出力は雑音やマルチパスの影響を受けやすく、このため測定誤差を生じやすい。
【0008】
また、OFDM信号のパイロット信号から遅延プロファイルを求めることにより、送信時刻を推定する方法も考えられるが、この遅延プロファイルからは相対遅延時間差しか得ることができず、異なる場所に設置される送信機の間の相対遅延時間を測定するためには、送信所から測定点までの伝播遅延を正確に知る必要がある。しかしながら、地上波はマルチパスが多く、環境条件で伝送路特性が変わるため、送信所から測定点までの伝播プロファイルを正確に知ることが困難である。さらに、基準となる電波が必要なため、基準局及び被測定局の設置場所を考慮する必要があり、測定のための事前調査など煩雑な作業が必要となる。
【0009】
【特許文献1】
特願平11−373532号。
【非特許文献1】
ARIB 標準ARIBSTD−B31付属書5.5項。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、現在地上波デジタル放送信号の送信時刻を測定する有効な手段はなく、複数送信所の送信時刻を正確に把握しネットワークの管理を行うことが必要なSFNの構築が困難である。特に送信所の改修などを行う場合、使用する機器によっては信号処理遅延時間が異なる可能性もあり、改修後にサービスエリアの状態を確認する必要があり、ネットワーク管理の煩雑さや管理費用が増大するという問題を有している。
そこで、この発明の目的は、簡易な測定装置で高精度かつ実運用状態のままで、放送信号の送信時刻を測定し得る放送信号の送信時刻測定装置及びその測定方法、この送信時刻測定装置を用いた送信装置及び中継装置、及び遅延時間測定装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記目的を達成するために、以下のように構成される。
(1)既知の振幅・位相特性を有するパイロット信号が一定のシンボル周期で繰り返し乗せられ、かつOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplex)方式によりモード及びガードインターバル長が規定されたデジタル放送信号を受信し、この受信信号についての送信時刻を測定する送信時刻測定装置であって、受信信号と少なくともモードおよびガードインターバル長が一致する疑似OFDM信号を生成する疑似信号生成手段と、この疑似信号生成手段の疑似OFDM信号送出時の基準時刻情報を取得する時刻情報取得手段と、受信信号及び疑似OFDM信号を合成する信号処理手段と、この信号処理手段の出力を復調する復調手段と、復調手段の出力からパイロット信号を抽出し、該パイロット信号より受信信号と疑似OFDM信号との到来遅延時間差を求める測定手段と、この測定手段で測定された到来遅延時間差に時刻情報取得手段で得られる基準時刻情報を加算することでデジタル放送信号の送信時刻を求める演算手段とを備えるようにしたものである。
【0012】
(1)の発明では、パイロット信号に着目し、受信信号と疑似OFDM信号とを合成し、復調して、シンボル周期のパイロット信号を抽出する。このシンボル周期のパイロット信号の振幅・位相周波数特性から合成時の相対遅延時間を求めることができる。したがって、パイロット信号を利用して、その振幅・位相周波数特性から受信信号と疑似OFDM信号との合成時の相対遅延時間を求めているので、特別な測定器等を用いることなく、容易かつ高精度にデジタル放送信号の送信時刻を測定することができる。
【0013】
(2)既知の振幅・位相特性を有するパイロット信号が一定のシンボル周期で繰り返し乗せられ、かつOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplex)方式によりモード及びガードインターバル長が規定されたデジタル放送信号を受信し、この受信信号についての送信時刻を測定する送信時刻測定装置であって、受信信号と少なくともモードおよびガードインターバル長が一致する疑似OFDM信号を生成する疑似信号生成手段と、受信信号及び疑似OFDM信号のうちいずれか一方を選択的に導出する信号処理手段と、この信号処理手段の出力を復調する復調手段と、この復調手段の出力から受信信号のシンボル同期タイミング、及び疑似OFDM信号のシンボル同期タイミングを取得するタイミング取得手段と、このタイミング取得手段による受信信号のシンボル同期タイミング取得時の第1の基準時刻情報、及び疑似OFDM信号のシンボル同期タイミング取得時の第2の基準時刻情報を取得する時刻情報取得手段と、この時刻情報取得手段で得られる第1及び第2の基準時刻情報の時間差を求める測定手段と、この測定手段により得られる時間差が許容範囲に入るか否かを判断し、入らないときはこの許容範囲に入るように疑似信号生成手段の生成タイミングを制御する制御手段と、この制御手段により得られる該許容範囲内の時間差を疑似OFDM信号生成時に時刻情報取得手段で得られる基準時刻情報に加えることでデジタル放送信号の送信時刻を求める演算手段とを備えるようにしたものである。
【0014】
(2)の発明によれば、送信所から送られてくるデジタル放送信号とモード及びガードインターバル長が一致する疑似OFDM信号が生成され、この疑似OFDM信号と受信信号とが選択的に復調され、受信信号のシンボル同期タイミング取得時の第1の基準時刻情報、及び疑似OFDM信号のシンボル同期タイミング取得時の第2の基準時刻情報との時間差が測定される。そして、この時間差の差分が許容範囲内であるか否かが判定され、許容範囲外であれば許容範囲内に入るように疑似OFDM信号の送出タイミングが制御される。
従って、特別な測定器を用いることなく、疑似OFDM信号を生成し、基準時刻情報を取得し、受信信号及び疑似OFDM信号のシンボル同期タイミングを取得するだけで、容易にデジタル放送信号の送信時刻を測定でき、かつ測定上の信頼性をさらに高めることができる。
【0015】
(3)既知の振幅・位相特性を有するパイロット信号が一定のシンボル周期で繰り返し乗せられ、かつOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplex)方式によりモード及びガードインターバル長が規定されたデジタル放送信号を受信し、この受信信号についての送信時刻を測定する送信時刻測定装置であって、受信信号と少なくともモードおよびガードインターバル長が一致する疑似OFDM信号を生成する疑似信号生成手段と、受信信号及び疑似OFDM信号を合成する合成モード、及び受信信号及び疑似OFDM信号のうちいずれか一方を選択的に導出する切替モードを有する信号処理手段と、この信号処理手段の出力を復調する復調手段と、信号処理手段の切替モード指定時に、復調手段の出力から受信信号のシンボル同期タイミング、及び疑似OFDM信号のシンボル同期タイミングを取得するタイミング取得手段と、このタイミング取得手段による受信信号のシンボル同期タイミング取得時の第1の基準時刻情報、及び疑似OFDM信号のシンボル同期タイミング取得時の第2の基準時刻情報を取得する時刻情報取得手段と、この時刻情報取得手段による第1及び第2の基準時刻情報の時間差を求める測定手段と、この測定手段により得られる時間差が許容範囲に入るか否かを判断し、入らないときはこの許容範囲に入るように前記疑似信号生成手段の生成タイミングを制御し、しかる後に該差分が許容範囲内に入った際に信号処理手段に対し合成モードを実行させる制御手段と、信号処理手段の合成モード指定時に、復調手段の出力から前記パイロット信号を抽出し、該パイロット信号より受信信号と疑似OFDM信号との到来遅延時間差を求める測定手段と、この測定手段で測定された到来遅延時間差に時刻情報取得手段で得られる疑似OFDM信号送出時の基準時刻情報を加算することでデジタル放送信号の送信時刻を求める演算手段とを備えるようにしたものである。
(3)の発明によれば、使用状況に応じてモード設定を行うことで、切替モードについては信頼性の高い送信時刻の測定を行うことができ、合成モードについては高精度にデジタル放送信号の送信時刻を測定できるというように、モードごとに最適な送信時刻の測定を行い得る。
【0016】
(4)さらに、信号処理手段により受信信号を選択出力している状態で、復調手段の出力から受信信号のモード及びガードインターバル長を特定し、疑似信号生成手段に対し該特定したモード及びガードインターバル長に応じた疑似OFDM信号の生成を実行させる疑似信号生成制御手段を備えたことを特徴とする。
(4)の発明によれば、受信信号のモード及びガードインターバル長を利用して、疑似OFDM信号を生成するようにしているので、手操作により疑似OFDM信号の生成を行うことなく、自動的に常にデジタル放送信号にほぼ一致した疑似OFDM信号を生成することができる。
【0017】
(5)基準時刻情報取得手段は、衛星測位システムの衛星から送られる信号に基づいて基準時刻情報を生成することを特徴とする。
(5)の発明によれば、GPS(Global Positioning System)といった既知の衛星測位システムを利用して、基準時刻情報を得ることができ、これにより基準時刻情報取得に関する信頼性を向上させることができる。
【0018】
(6)複数の地点から同一のデジタル放送信号を送信または中継再送する放送伝送網の送信所に用いられ、疑似信号生成手段は、地上デジタル放送信号の中間周波数帯の疑似OFDM信号を発生し、信号処理手段及び復調手段は、中間周波数帯の受信信号及び疑似OFDM信号を処理することを特徴とする。
(6)の発明によれば、送信所に用いられる場合に、周波数変換器を不要とし、これにより送信所内の簡素化を図ることができる。
【0019】
(7)送信側となる演奏所で伝送信号を伝送路へ送出し、受信側となる送信局で前記伝送路からの伝送信号を受信しOFDM変調装置にて変調出力する伝送システムに用いられる送信局であって、請求項1乃至3のいずれかに記載の送信時刻測定装置と、OFDM変調装置の前段に設けられ、OFDM変調装置の入力信号を任意の遅延量で遅延する遅延装置と、送信時刻測定装置による測定結果に基づいて、遅延装置の遅延量を制御する遅延制御手段とを備えるようにしたものである。
(7)の発明によれば、測定されたデジタル放送信号の送信時刻に合致させるように遅延装置の遅延量を制御しているので、フレーム同期信号を検出する必要がなくなり、簡易なシステムでSFNを構築することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、この発明の第1の実施形態に係わる送信時刻測定装置の構成を示すブロック図である。この送信時刻測定装置は、送信所に設置される。
図1において、スタジオから到来した放送TS信号は、同期装置101で受信検波されるとともに、フレーム同期信号が検出されて、OFDM変調装置102に入力される。OFDM変調装置102は、同期装置101の出力をOFDM信号に変換する。このOFDM信号は、アップコンバータ103により中間周波数(IF)帯から無線周波数(RF)帯に周波数変換され、送信装置104で電力増幅された後、方向性結合器105を介して送信アンテナ106から所定の領域に向けて送出される。また、送信装置104で電力増幅されたRF帯のOFDM信号は、方向性結合器105を介して合成/切替器111に入力される。
また、図1において、符号112は比較用OFDM信号発生器で、放送用OFDM信号と少なくともモード及びガードインターバル長が一致する比較用OFDM信号を発生する。この比較用OFDM信号は、合成/切替部111に入力される。
【0021】
合成/切替部111は、放送用OFDM信号と比較用OFDM信号とを合成する合成モードと、放送用OFDM信号及び比較用OFDM信号のいずれか一方を選択的に導出する切替モードとを有する。そして、合成/切替部111の出力は、OFDM復調部113により、フレーム同期信号、シンボル同期タイミング情報、パケット、AC(Auxiliary Channel)信号、SP(Scattered Pilot)信号が復調される。このうち、パケット、AC信号、SP信号はSP解析部114に出力され、フレーム同期信号及びシンボル同期タイミング情報は受信タイミング測定部115に出力される。
SP解析部114は、SP信号を補間して周波数特性信号を生成し、この周波数特性信号から遅延プロファイルを求め、この遅延プロファイルから合成時の両者の相対遅延時間情報を出力する。
【0022】
受信タイミング測定部115は、合成/切替部111の切替モード指定時に、OFDM復調部113により得られる放送用OFDM信号のシンボル同期タイミングの取得時にGPS受信機116で得られる第1の時刻、及び比較用OFDM信号のシンボル同期タイミング取得時にGPS受信機116で得られる第2の時刻を測定し、これら第1及び第2の時刻の差分を求める。そして、この差分が許容範囲に入るか否かを判断し、入らないときはこの許容範囲に入るように比較用OFDM信号発生器112の送出タイミングを制御し、該差分が許容範囲内に入ったならば、合成/切替部111を合成モードに設定し、SP解析部114で得られる遅延時間情報に比較用OFDM信号送出時の基準時刻情報を加算して、放送用OFDM信号の送信時刻を求める。
GPS受信機116は、GPS衛星から送られてくる信号に基づいて、基準クロックを生成する。
【0023】
次に、以上の構成における動作について説明する。
まず、放送用OFDM信号の送信時刻を測定するために、以前は3つの方式が考えられていた。
(第1の方式)
第1の方式は、送信所内の各機器の遅延時間が既知である場合に、この遅延時間を示す情報をOFDM信号中に挿入して送信所に送信することで、送信所内でタイミングを制御できる方式である。
【0024】
スタジオ1では、図2に示すように、同期信号生成部3から発生されるフレーム同期タイミングを多重化装置2に送出し、多重化装置2にて図3に示すTSパケット中の所定の位置にフレーム先頭フラグとして多重する。フレーム先頭フラグが多重された放送TS信号は無線もしくは光伝送路11を介して送信所22に送られる。送信所22においては、フレーム同期検出回路23によって上記フレーム先頭フラグを検出し、別途GPS受信機24などから生成される基準時刻情報と比較し、フレーム先頭が所定の送信時刻に送出されるように遅延回路25を制御する。遅延回路25でタイミングを制御された放送TS信号は、次段のOFDM変調器26によって、放送用OFDM信号に生成され、送信機27に供給される。
【0025】
ここで、OFDM変調器26、送信機27などの信号処理や伝送遅延時間を予め測定しておき、その時間を補正して送信時刻を制御することが必要である。しかしながら、このような方法で送信時刻を推定した場合、例えば異なる製造業者が製作したOFDM変調器26をSFNの中で混在させた場合、前記信号処理遅延時間を厳密に管理することは極めた困難である。また、送信所内の信号線路の改修などを行った場合伝送遅延時間が変わる可能性もあり、実際の送信時刻が想定値からずれる、というような問題も生じる。
【0026】
さらに、図4に示すように、OFDM変調器26をスタジオ1に設置し、OFDM変調された信号を無線または光伝送路11で送信所22に送る場合、伝送路での遅延時間が無視できない量となり、回線を構成する機器などの改修・交換時にネットワーク内の送信タイミングを所定の誤差内に維持することが困難である。
【0027】
(第2の方式)
一方、図5に示すように、地上波デジタル放送受信機の技術を利用して送信信号の時刻を推定する方法も考えられる。図5において、放送信号はチューナ31において所定の中間周波数もしくはベースバンド周波数に変換される。中間周波数もしくはベースバンド周波数は、A/D変換器32でデジタル信号に変換された後、次段のFFT変換器36においてOFDM復調される。
【0028】
TMCC復調部37は、OFDM復調出力からTMCCキャリアを検出し、このTMCCキャリアに基づきOFDMフレーム同期ワードを検出する。
一方、A/D変換器32の出力は、1シンボル遅延回路33、相関演算回路34およびシンボル同期検出回路35で構成されるシンボル同期検出部に供給される。
【0029】
OFDM信号は、図6に示すようにOFDM変調器においてシンボルの前側にシンボル後半部分をコピーした信号がガードインターバルとして付加されている。従って、図7に示すように、受信信号とそれを1シンボル遅延した信号との相関演算を行うとガードインターバル周期の期間に強い相関が現れることになり、これによりシンボル同期タイミングを検出することができる。
【0030】
そこで、シンボル同期検出部35は、上記相関演算出力を用いてシンボルタイミングを検出する。このフレーム同期タイミングとシンボル同期タイミングをGPS受信機38で生成される時刻信号と比較することにより放送信号の受信タイミングを測定することが可能となる。
しかしながら、上記第2の方式では、次のような理由から高い精度で送信時刻を測定するには困難である。
すなわち、上記復調器が狭帯域フィルタやデジタル処理のための一時記憶を行っているため、復調器内部の信号処理遅延時間を正確に測定することが困難である。更に異なる設計の復調器ではこれらの信号処理時間が異なるので、標準的な測定装置として使用するのは困難である。
【0031】
また、受信タイミングが検出装置の性能に依存するため、雑音やマルチパスの影響で変化する場合が多く安定な測定が困難である。特にシンボル同期検出を行う場合、前記のように相関演算を用いて行うことが一般的であるが、図7(c)に示すように、相関出力は急峻なピークを持たないため相関演算出力の検出設定レベルによりタイミング位置がずれやすい。相関演算出力の波形は雑音やマルチパスの影響をうけやすく測定誤差を生じやすい。
【0032】
(第3の方式)
一方、OFDM信号の特長を生かしてマルチパス波の遅延時間を測定する技術も実用化されている。
図8はマルチパス波が存在する場合のOFDM信号の周波数特性を示している。一方、図9はそのときの遅延プロファイルを示している。
【0033】
周波数特性のディップの周波数間隔fd(Hz)は、マルチパス波の遅延時間td(秒)の逆数となっている。このような周波数特性は、OFDM信号に挿入されたSP信号を測定することにより得られる。さらに、遅延プロファイルは上記周波数特性を直交変換することにより得られる。この場合の主波とマルチパス波の遅延時間差測定はかなり高い精度で可能なことが知られている(理論的にはサンプリング周波数ftの逆数の2倍の測定分解能が得られる。日本のデジタル放送の場合、ft=8.126MHzなので、測定分解能は約250nsとなる)。
【0034】
この遅延プロファイル測定技術を用い、例えば図10に示すように、異なる経路の間の遅延時間差を測定することは可能である。また、OFDM変調器48およびOFDM変調器49の信号処理遅延時間が所定範囲内であれば、図11に示すような測定系統で個別のOFDM変調器の相対処理遅延時間差を測定することは可能である。
【0035】
この第3の方式は、例えば工場において複数の伝送機器の遅延時間差を測定するときなどには有効であるが、異なる場所に設置される送信機の間の相対遅延時間を測定するためには、送信所から測定点までの伝播遅延を正確に知る必要がある。しかしながら地上波はマルチパスが多くまた、環境条件でその特性が変わるため、送信所から測定点までの伝播プロファイルを正確に知ることは困難である。また、基準となる電波が必要なため、基準局と被測定局の両方に電波が受信できる場所を選定する必要があり、測定のための事前調査など煩雑な作業が必要である。このような点から、各送信所での送信時刻を測定する装置としては不向きである。
【0036】
(本第1の実施形態における動作)
そこで、この第1の実施形態では、上記第1乃至第3の方式における問題を解決するために、以下のような制御処理を実行する。図12は、上記受信タイミング測定部115の制御手順を示すフローチャートである。
この制御処理を開始すると、受信タイミング測定部115は、合成/切替部111を切替モードに設定し(ステップST3a)、放送用OFDM信号を選択させる。続いて、受信タイミング測定部115は、OFDM復調部113の出力から放送用OFDM信号のフレーム及びシンボル同期タイミングを取得し、このシンボル同期タイミング取得時にGPS受信機116で得られる第1の時刻を求める(ステップST3b)。
【0037】
そして、受信タイミング測定部115は、合成/切替部111に対し比較用OFDM信号を選択させ(ステップST3c)、OFDM復調部113の出力から比較用OFDM信号のフレーム及びシンボル同期タイミングを取得し、このシンボル同期タイミング取得時にGPS受信機116で得られる第2の時刻を求める(ステップST3d)。
続いて、受信タイミング測定部115は、第1及び第2の時刻の差を求め、この差が所定の誤差範囲に入るように比較用OFDM信号発生器112の送出タイミングを調整し(ステップST3e)、以後、合成/切替部111を合成モードに設定する(ステップST3f)。
【0038】
次に、受信タイミング測定部115は、SP解析部114から遅延時間差情報を取得し(ステップST3g)、この遅延時間差情報から上記ステップST3eで得られた比較用OFDM信号発生タイミング情報から差し引くことにより、放送用OFDM信号の送信時刻を求める(ステップST3h)。
【0039】
ここで、放送用OFDM信号及び比較用OFDM信号は、モードとガードインターバル長が一致しているので、キャリア間隔およびシンボル間隔は一致する。従って、放送用OFDM信号と比較用OFDM信号は異なる信号であるが、図13に示すOFDMフレーム構造のうち、CP信号、SP信号と、TMCCキャリア信号のうち少なくともフレーム同期ワード部分は一致する信号構造となっている。なお、フレーム同期ワードはOFDM信号の伝送パラメータにかかわらず一定である。
【0040】
前述のように、放送用OFDM信号及び比較用OFDM信号は互いに異なる信号であるため、疑似OFDM信号は放送用OFDM信号に対して妨害信号となる。従って、放送用OFDM信号のレベルを比較用OFDM信号に対して、所定のレベル以上に設定し、比較用OFDM信号を加えたときにOFDM復調部113の同期動作が異常を生じないようにする。実験などでは、妨害信号保護比が−6dB程度あればOFDM復調部113の同期動作は正常に行われるので、放送用OFDM信号と比較用OFDM信号とのレベル差をそれ以上に保っておけばよい。
【0041】
また、放送用OFDM信号及び比較用OFDM信号は、SP信号が一致しているので、OFDM復調部113から出力されるSP信号は放送用OFDM信号を主波とし比較用OFDM信号がマルチパス波となった状態の周波数特性を与える。従って、SP解析部114の出力は、放送用OFDM信号と比較用OFDM信号との相対遅延時間差情報tdをあたえる。
【0042】
受信タイミング測定部115は、比較用OFDM信号発生器112から発生される比較用OFDM信号の送信時刻t1から前記相対遅延時間差tdを差し引いた値(t1−td)が放送用OFDM信号の送信時刻を与えることになる。なお、比較用OFDM信号のRF周波数とサンプリングクロックは、放送用OFDM信号のそれと一致している必要はないが、少なくとも測定に影響を与えない範囲の誤差範囲に納める必要がある。以上説明した本発明の実施形態では送信時刻の測定精度は、比較用OFDM信号の送出時刻t1と放送用OFDM信号と比較用OFDM信号の遅延時間差tdの測定精度に依存することがわかる。
【0043】
図14に比較用OFDM信号発生器112の構成の一例を示す。
図中の逆フーリエ変換(IFFT:Inverse Fast Fourier Transform)部123は、OFDM信号を生成する回路で、基準信号発生器128からのシンボル基準信号に従って、OFDM信号をシンボル単位で送出する。
また、フレーム基準信号は、基準信号発生器128から発生され、OFDM信号中のTMCCキャリア内のフレームワード多重位置および各種パイロット信号の多重位置を制御している。PN信号発生器121は、情報シンボル部分をPN信号で変調するためのPN信号を生成する。
【0044】
情報シンボル部分は、送信時刻測定に使用しないので、任意のデータによる変調は可能であるが、PN信号で変調しスペクトルを拡散することにより、受信機の動作をより安定にすることができる。IFFT部123の出力は、次段のガードインターバル付加回路124でガードインターバルを付加された後、直交変調器125に供給される。
【0045】
ガードインターバル付加回路125の出力は図6(b)と同じである。このときの(シンボル+ガード)信号の送出タイミングは、シンボル基準信号により制御される。直交変調器126の出力は、アップコンバータ127および出力フィルタ127を通して比較用OFDM信号として出力される。
【0046】
以上の動作説明からわかるように、直交変調器126の出力までは、OFDM信号の出力タイミングが基準信号発生器128から供給される各種基準信号で制御されるので、送出時刻は各種基準信号の設定精度(通常はサンプリング周波数fsの分解能で設定が可能)で制御可能である。一方、アップコンバータ127および出力フィルタ127の信号処理遅延時間はネットワークアナライザなどの汎用測定器で事前に測定が可能である。
【0047】
従って、比較用OFDM信号発生器112は、事前に測定されたアップコンバータ127及び出力フィルタ127の信号処理遅延時間を予め差し引いて送出時刻の管理を行えば、高精度の送出時刻設定を行うことが可能となる。このように比較用OFDM信号発生器112の送出時刻は高精度に設定が可能である。
一方、放送用OFDM信号と比較用OFDM信号の遅延時間差tdの測定精度は、前記のように250ns程度の実現が可能である。従って、本実施形態の測定装置を用いれば、送信時刻を数100nsの精度で測定することが可能となる。
【0048】
なお、上記では、IFFT部123を使用して比較用OFDM信号を発生する方法について説明したが、OFDMフレーム構造の信号およびガードインターバルを例えば図15に示すように読み出し専用メモリ(以下ROM)129を用いて発生することも可能である。このROM129には、地上デジタル放送で使用されるモードおよびガードインターバル長に対応するOFDM信号をあらかじめ書きこんでおき、放送信号の情報などから対応する信号を読み出せば良い。
このようにすれば、測定する度ごとに、比較用OFDM信号を生成する必要がなく、簡単な手順で比較用OFDM信号を発生させることが可能となる。
【0049】
以上のように上記第1の実施形態では、比較用OFDM信号発生器112にて、放送用OFDM信号とモード及びガードインターバル長が一致する比較用OFDM信号が生成され、合成/切替部111にてこの比較用OFDM信号と放送用OFDM信号とが選択導出されるとともにOFDM復調部113にて復調され、受信タイミング測定部115にて放送用OFDM信号のシンボル同期タイミング取得時の第1の基準時刻情報と、比較用OFDM信号のシンボル同期タイミング取得時の第2の基準時刻情報との時間差が測定される。そして、この時間差が許容範囲内であるか否かが判定され、許容範囲外であれば許容範囲内に入るように比較用OFDM信号発生器112の送出タイミングが制御される。
従って、特別な測定器を用いることなく、比較用OFDM信号を生成し、放送用OFDM信号及び比較用OFDM信号それぞれのシンボル同期タイミングを取得するだけで、容易に放送用OFDM信号の送信時刻を測定でき、かつ測定上の信頼性をさらに高めることができる。
【0050】
また、上記第1の実施形態では、SP信号に着目し、合成/切替部111にて放送用OFDM信号と比較用OFDM信号とを合成し、OFDM復調部113にて復調して、シンボル周期のSP信号を抽出する。そして、SP解析部114にてこのシンボル周期のSP信号の周波数特性から合成時の相対遅延時間を求めることができる。これにより、放送用OFDM信号と比較用OFDM信号との時間差が所定の誤差範囲内である場合に、SP信号を利用して、その振幅・位相周波数特性から放送用OFDM信号と比較用OFDM信号との合成時の相対遅延時間を求めるだけで、特別な測定器等を用いることなく、容易かつ高精度に放送用OFDM信号の送信時刻を測定することができる。
【0051】
従って、OFDM復調器113の測定精度に影響することなくこれにより上記第2の方式の問題点として上げた測定精度の劣化は全く影響せずに済む。また、個々の送信所の送信時刻を個別に測定することが可能となるため、前記のように測定にあたって事前に測定点を選ぶ必要はなくなり、測定場所に制限を受けることがない。さらに、前記の説明でわかるように送信機出力端での測定が可能なため、スタジオから送信所までの伝送方式に依存することもない。
また、上記第1の方式において指摘した伝送方式には適用困難という問題点もこの第1の実施形態では生じない。
【0052】
(第2の実施形態)
図16は、この発明の第2の実施形態に係わる送信時刻測定装置の適用例を示すブロック図である。 なお、図16において、上記図1と同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0053】
すなわち、この第2の実施形態では、OFDM変調装置102の前段に、放送TS信号を遅延する遅延装置117を設けるようにしている。そして、受信タイミング測定部115は、測定した放送用OFDM信号の送信時刻情報を遅延装置117に送出する。遅延装置117では、受信タイミング測定部115から与えられる送信時刻情報に基づいて、遅延時間を制御する。
【0054】
従って、上記第2の実施形態によれば、受信タイミング測定部115により測定された放送用OFDM信号の送信時刻情報を遅延装置117に送出して、指定された送信時刻に合致させるように遅延時間を制御しているので、上記ARIBSTD−B31に規定されたフレーム同期信号を検出する必要がなくなり、簡易なシステムでSFNを構築することができる。
【0055】
(第3の実施形態)
図17は、この発明の第3の実施形態に係わる送信時刻測定装置の適用例を示すブロック図である。 なお、図17において、上記図16と同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0056】
すなわち、この第3の実施形態では、スタジオ−送信所間でIF伝送を行う場合に、送信所のアップコンバータ103の前段に、IF信号を遅延する遅延装置117を設けるようにしている。この遅延装置117には、中間周波数帯で動作するものが用いられる。そして、受信タイミング測定部115は、測定した放送用OFDM信号の送信時刻情報を遅延装置117に送出する。遅延装置117では、受信タイミング測定部115から与えられる送信時刻情報に基づいて、遅延時間を制御する。
【0057】
従って、上記第3の実施形態によれば、上記第2の実施形態と同様の効果が得られる。また、IF伝送方式に対応するものであるが、親局からの放送波を受信し再送信する放送波中継放送方式の送信所の送信時刻制御にもそのまま適用することが可能である。さらに、スタジオ−送信所間の伝送方式に係わらず同じ測定方法で送信出力端の送信時刻を測定できるため、SFNを形成する各送信所の形態に係わらず同一データ形式でのネットワークの測定管理が可能となり、ネットワークを構築する際に状況に応じた適切な形態の送信局が選定可能となる。また、データの測定管理が送信所の形態に係わらず同一形式となるため管理が極めて容易となる。
【0058】
(第4の実施形態)
図18は、この発明の第4の実施形態に係わる送信時刻測定装置を示すブロック図である。 なお、図18において、上記図1と同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
すなわち、この第4の実施形態は、放送用OFDM信号の送信タイミングがある程度既知で、比較用OFDM信号の送信タイミングを所定の誤差範囲内にあらかじめ設定が可能な場合の実施形態であり、上記図1に比べ簡略化されている。
【0059】
この比較用OFDM信号の送信タイミングがあらかじめ所定の誤差範囲内であれば、上記合成/切替部111は単なる合成部131として動作するだけでよい。また、測定結果により、OFDM信号発生器112の送信タイミングを制御する必要がないため、受信タイミング測定部115は不要となり、SP解析部114から出力される相対遅延時間差情報tdをあらかじめ指定された比較用OFDM信号の送信時刻t1に加えた時間が放送用OFDM信号の送信時刻となる。なお、この場合の測定精度は、SP解析部114における相対遅延時間差の測定精度で決まるため、上記第1の実施形態と同程度となる。
【0060】
(第5の実施形態)
図19は、この発明の第5の実施形態に係わる送信時刻測定装置を示すブロック図である。 なお、図19において、上記図1と同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
すなわち、この第5の実施形態は、放送用OFDM信号の送信時刻測定精度を要しない場合の実施形態であり、この場合、SP解析部114による相対遅延時間差の測定を省略することができる。従って、上記SP解析部114は不要となり、上記合成/切替部111は切替部132に置きかえられる。
【0061】
従って、この第5の実施形態によれば、上記第4の実施形態と同様の効果が得られる。また、上記従来の第2の方式のようにOFDM復調部のチューナ31、A/D変換器32、シンボル同期検出部などの信号処理遅延の影響を受けずに済み、これにより第2の方式に比べて十分に高い精度での測定が可能である。
【0062】
(第6の実施形態)
図20は、この発明の第6の実施形態に係わる送信時刻測定装置を示すブロック図である。 なお、図20において、上記図1と同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
すなわち、この第6の実施形態では、OFDM復調部113の後段にTMCC復調部137を設けるようにしている。このTMCC復調部137は、合成/切替部111による放送用OFDM信号選択時に、OFDM復調部113の出力からTMCC信号を復調し、このTMCC信号に含まれる変調パラメータ情報を比較用OFDM信号発生器112に出力する。すると、比較用OFDM信号発生器112は、変調パラメータ情報に基づいて、比較用OFDM信号を生成する。
【0063】
以上のように上記第6の実施形態によれば、放送用OFDM信号のTMCC信号を利用して、比較用OFDM信号を生成するようにしているので、手動設定により比較用OFDM信号発生器112のパラメータ設定を行うことなく、自動的に常に放送用OFDM信号にほぼ一致した比較用OFDM信号を生成することができる。
【0064】
(第7の実施形態)
この発明の第7の実施形態は、上記第1乃至第6の実施形態による送信時刻測定装置を利用して伝送システムの遅延時間差を測定するものである。
図21は、この発明の第7の実施形態に係わる送信時刻測定装置の適用例を示すブロック図である。なお、図21において、上記図1と同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
すなわち、この第7の実施形態は、IF伝送方式の送信所の入力から出力までの遅延時間の測定を行う実施形態である。本発明の送信時刻測定装置141の入力端に設置された切替器133は、送信所の入力と出力を切替えるものである。
まず、切替器133で分配器118の出力信号を選択し、送信時刻測定装置141によりその分配器118の出力信号の送信時刻を測定し、測定結果をt1とする。次に、切替器133で方向性結合器105の出力信号を選択し、送信時刻測定装置141により方向性結合器105の出力信号の送信時刻を測定し、測定結果をt2とする。
【0065】
すると、送信時刻測定装置141は、測定結果t1から測定結果t2を差し引くことで、送信所内の処理にかかる遅延時間tdを求めることができる。つまり、送信時刻測定装置141は、遅延時間差の測定装置としても利用することができる。
なお、上記第7の実施形態では、切替器133を使用したが、本発明の送信時刻測定装置141の構成部位である合成/切替部111の入力端子を増やして切替機能を追加することでも同様の効果を得ることができる。
【0066】
(第8の実施形態)
図22は、この発明の第8の実施形態に係わる送信時刻測定装置の適用例を示すブロック図である。なお、図22において、上記図1と同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
すなわち、この第8の実施形態では、同期装置101によりTS信号に挿入されたフレーム先頭フラグを検出する。検出されたフレーム先頭フラグは、入力TS信号のOFDMフレームタイミング信号として送信時刻測定装置141内の受信タイミング測定部115に送られる。受信タイミング測定部115では、OFDMフレームタイミングの時刻t2を、測定した方向性結合器105の出力の送信時刻t1から差し引くことにより、送信所における遅延時間tdを求めることができる。この場合、被測定伝送システムに含まれるOFDM変調器102などの機器を含めた遅延時間の測定となる。
なお、上記第7及び第8の実施形態は、同一の送信所における遅延時間測定を行う例であるが、SFN実現のためにはSTLなどの伝送システムを含めたトータルの遅延量を把握する必要がある。
【0067】
(第9の実施形態)
この発明の第9の実施形態は、SFNを形成する伝送装置および送信所のトータルの遅延を測定するものである。
図23は、この発明の第9の実施形態に係わるSFNの概略構成図である。
図23中の送信時刻測定装置163、174−1、174−2の詳細構成は図1に示した送信時刻測定装置と同一である。スタジオ151において、放送TS信号は多重化装置161で生成されOFDM変調器162に送出される。OFDM変調器162は、TS信号を受けてOFDM放送信号を生成する。
スタジオ151に設置された送信時刻測定装置163は、OFDM変調器162の出力のOFDMフレームタイミングを検出し、その検出時の時刻を送信時刻t0として測定する。測定された送信時刻情報は、遅延時間測定装置164に供給される。
【0068】
一方、OFDM変調器162の出力は、STL送信装置165−1,165−2を介してそれぞれ送信所152−1,152−2に送られる。送信所(#1)152−1に設置された送信時刻測定装置174−1は、送信装置172−1の出力の送信時刻t1を測定し、その測定データをスタジオ151内の遅延時間測定164に送出する。また、送信所(#2)152−2に設置された送信時刻測定装置174−2は、送信装置172−2の出力の送信時刻t2を測定し、その測定データをスタジオ151内の遅延時間測定164に送出する。
【0069】
遅延時間測定装置164は、単なる演算回路で各送信時刻データより、トータルの遅延量td1およびtd2を次式を用いて演算する。なお、td1はスタジオ151のOFDM変調器162の出力から送信所152−1の送信装置172−1の出力までの総遅延量である。一方、td2は同様にOFDM変調器162の出力から送信所152−2の送信装置172−2の出力までの総遅延量である。
td1=t1−t0
td2=t2−t0
上記第9の実施形態は、無線STLがIF伝送方式の場合を事例として示したが、OFDM変調器を送信所に設置し、STL回線でTS信号を伝送するTS伝送方式の場合には送信時刻測定装置163の代わりに同期装置101を用い、TS信号中のフレーム先頭フラグを検出しその時刻データを送信時刻t0として遅延時間測定装置164に供給することにより、IF伝送方式の場合と同様にSTL装置および回線を含む総遅延量を測定することができる。なお、上記フレーム先頭フラグを多重化装置が出力する場合には、直接そのタイミングをt0として使用することにより、上記同期装置101を省略することができる。
【0070】
(その他の実施形態)
この発明は、上記各実施形態に限定されるものではない。上記第1の実施形態では、合成モードを実行させるときに、放送用OFDM信号を主波として復調するため、比較用OFDM信号のレベルを所定のレベル差以下に設定したが、逆に比較用OFDM信号を主波として復調器を動作させることもできる。この場合、放送用OFDM信号のレベルを比較用OFDM信号に対して所定レベル以下としてOFDM復調部を動作させればよい。この場合、相対遅延時間差tdの基準信号が比較用OFDM信号となるため、放送用信号の送信時刻は(t1+td)で与えられる。
また、上記第2の実施形態では、OFDM変調装置の前段に遅延装置を設ける例について説明したが、これに限ることなくOFDM変調装置の後段に遅延装置を設けるようにしてもよい。
【0071】
また、上記第3の実施形態では、アップコンバータの前段に遅延装置を設ける例について説明したが、これに限ることなくアップコンバータまたは送信装置の後段に遅延装置を設けるようにしてもよい。
また、上記各実施形態では、GPS衛星からの信号を受信して基準時刻情報を生成する例について説明したが、これに限ることなく、GPS以外のシステムを利用してもよい。
また、上記第7及び第8の実施形態では、送信所の入力信号と出力信号とを用いて、伝送遅延時間を測定する例について説明したが、入力信号及び出力信号のいずれか一方について送信時刻が既知であれば、この既知の送信時刻と測定により得られる送信時刻との差を求めることにより、送信所内の系統障害発生時等の影響を受けることなく簡単に伝送遅延時間を測定できる。さらに、第9の実施形態においても、事前に遅延時間を測定しておき、この既知となる遅延時間と、実際に測定した送信所間の遅延時間との差を求めることで、差が許容範囲内に入っている場合にシステムが正常に動作していることを確認でき、これにより測定上の信頼性を高めることができる。
さらに、地上波デジタル放送に限らず、衛星から到来する放送波を使用したシステムにも実施できる。
その他、システム構成、スタジオ及び送信所の構成、中継局の構成、送信時刻測定装置の構成、送信時刻の測定方法及び伝送遅延時間の測定方法等についても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。
【0072】
【発明の効果】
以上詳述したようにこの発明によれば、簡易な測定装置で高精度かつ実運用状態のままで、放送信号の送信時刻を測定し得る放送信号の送信時刻測定装置及びその測定方法、この送信時刻測定装置を用いた送信装置及び中継装置、及び遅延時間測定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の第1の実施形態に係わる送信時刻測定装置の構成を示すブロック図。
【図2】 以前に考えられていた第1の方式により送信時刻の測定方法を実施すべく伝送システムの概略構成図。
【図3】 図2のシステムで生成されるTSパケットの構造を示す図。
【図4】 第1の方式により送信時刻の測定方法を実施すべく他の伝送システムの概略構成図。
【図5】 以前に考えられていた第2の方式により送信時刻の測定方法を実施すべくデジタル放送受信機のブロック図。
【図6】 OFDM信号の構造を示す図。
【図7】 OFDM信号の構造を示す図。
【図8】 OFDM信号の周波数特性図。
【図9】 遅延プロファイルを示す図。
【図10】 以前考えられていた遅延プロファイル測定を実施するためのブロック図。
【図11】 以前考えられていた遅延プロファイル測定を実施するための他のブロック図。
【図12】 この発明の第1の実施形態における制御手順を示すフローチャート。
【図13】 同第1の実施形態で利用するパイロット信号の配置例を示す図。
【図14】 同第1の実施形態における比較用OFDM信号発生器の構成の一例を示すブロック図。
【図15】 同第1の実施形態における比較用OFDM信号発生器の構成の他の例を示すブロック図。
【図16】 この発明の第2の実施形態に係わる送信時刻測定装置の適用例を示すブロック図。
【図17】 この発明の第3の実施形態に係わる送信時刻測定装置の適用例を示すブロック図。
【図18】 この発明の第4の実施形態に係わる送信時刻測定装置を示すブロック図。
【図19】 この発明の第5の実施形態に係わる送信時刻測定装置を示すブロック図。
【図20】 この発明の第6の実施形態に係わる送信時刻測定装置を示すブロック図。
【図21】 この発明の第7の実施形態に係わる送信時刻測定装置の適用例を示すブロック図。
【図22】 この発明の第8の実施形態に係わる送信時刻測定装置の適用例を示すブロック図。
【図23】 この発明の第9の実施形態に係わるSFNの概略構成図。
【符号の説明】
101…同期装置、102…OFDM変調装置、103…アップコンバータ(U/C)、104…送信装置、105…方向性結合器、106…送信アンテナ、111…合成/切替部、112…比較用OFDM信号発生器、113…OFDM復調部、114…SP解析部、115…受信タイミング測定部、116…GPS受信機、117…遅延装置、118…分配器、121…PN信号発生器、123…IFFT部、124…ガードインターバル付加回路、125…直交変調器、125…ガードインターバル付加回路、126…直交変調器、127…アップコンバータ、127…出力フィルタ、128…基準信号発生器、129…ROM、131…合成部、132…切替部、133…切替器、137…TMCC復調部、141…送信時刻測定装置、151…スタジオ、161…多重化装置、162…OFDM変調器、163,174…送信時刻測定装置、165…STL送信装置、172…送信装置、174…送信時刻測定装置。
Claims (17)
- 既知の振幅・位相特性を有するパイロット信号が一定のシンボル周期で繰り返し乗せられ、かつOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplex)方式によりモード及びガードインターバル長が規定されたデジタル放送信号を受信し、この受信信号についての送信時刻を測定する送信時刻測定装置であって、
受信信号と少なくともモードおよびガードインターバル長が一致する疑似OFDM信号を生成する疑似信号生成手段と、
この疑似信号生成手段の疑似OFDM信号送出時の基準時刻情報を取得する時刻情報取得手段と、
前記受信信号及び前記疑似OFDM信号を合成する信号処理手段と、
この信号処理手段の出力を復調する復調手段と、
前記復調手段の出力から前記パイロット信号を抽出し、該パイロット信号より前記受信信号と前記疑似OFDM信号との到来遅延時間差を求める測定手段と、
この測定手段で測定された到来遅延時間差に前記時刻情報取得手段で得られる基準時刻情報を加算することで前記デジタル放送信号の送信時刻を求める演算手段とを備えることを特徴とする放送信号の送信時刻測定装置。 - 既知の振幅・位相特性を有するパイロット信号が一定のシンボル周期で繰り返し乗せられ、かつOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplex)方式によりモード及びガードインターバル長が規定されたデジタル放送信号を受信し、この受信信号についての送信時刻を測定する送信時刻測定装置であって、
前記受信信号と少なくともモードおよびガードインターバル長が一致する疑似OFDM信号を生成する疑似信号生成手段と、
前記受信信号及び前記疑似OFDM信号のうちいずれか一方を選択的に導出する信号処理手段と、
この信号処理手段の出力を復調する復調手段と、
この復調手段の出力から前記受信信号のシンボル同期タイミング、及び前記疑似OFDM信号のシンボル同期タイミングを取得するタイミング取得手段と、
このタイミング取得手段による前記受信信号のシンボル同期タイミング取得時の第1の基準時刻情報、及び前記疑似OFDM信号のシンボル同期タイミング取得時の第2の基準時刻情報を取得する時刻情報取得手段と、
この時刻情報取得手段で得られる第1及び第2の基準時刻情報の時間差を求める測定手段と、
この測定手段により得られる時間差が許容範囲に入るか否かを判断し、入らないときはこの許容範囲に入るように前記疑似信号生成手段の生成タイミングを制御する制御手段と、
この制御手段により得られる該許容範囲内の時間差を前記疑似OFDM信号生成時に前記時刻情報取得手段で得られる基準時刻情報に加えることで前記デジタル放送信号の送信時刻を求める演算手段とを備えることを特徴とする放送信号の送信時刻測定装置。 - 既知の振幅・位相特性を有するパイロット信号が一定のシンボル周期で繰り返し乗せられ、かつOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplex)方式によりモード及びガードインターバル長が規定されたデジタル放送信号を受信し、この受信信号についての送信時刻を測定する送信時刻測定装置であって、
受信信号と少なくともモードおよびガードインターバル長が一致する疑似OFDM信号を生成する疑似信号生成手段と、
前記受信信号及び前記疑似OFDM信号を合成する合成モード、及び前記受信信号及び前記疑似OFDM信号のうちいずれか一方を選択的に導出する切替モードを有する信号処理手段と、
この信号処理手段の出力を復調する復調手段と、
前記信号処理手段の切替モード指定時に、前記復調手段の出力から前記受信信号のシンボル同期タイミング、及び前記疑似OFDM信号のシンボル同期タイミングを取得するタイミング取得手段と、
このタイミング取得手段による前記受信信号のシンボル同期タイミング取得時の第1の基準時刻情報、及び前記疑似OFDM信号のシンボル同期タイミング取得時の第2の基準時刻情報を取得する時刻情報取得手段と、
この時刻情報取得手段による第1及び第2の基準時刻情報の時間差を求める測定手段と、
この測定手段により得られる時間差が許容範囲に入るか否かを判断し、入らないときはこの許容範囲に入るように前記疑似信号生成手段の生成タイミングを制御し、しかる後に該差分が許容範囲内に入った際に前記信号処理手段に対し前記合成モードを実行させる制御手段と、
前記信号処理手段の合成モード指定時に、前記復調手段の出力から前記パイロット信号を抽出し、該パイロット信号より前記受信信号と前記疑似OFDM信号との到来遅延時間差を求める測定手段と、
この測定手段で測定された到来遅延時間差に前記時刻情報取得手段で得られる疑似OFDM信号送出時の基準時刻情報を加算することで前記デジタル放送信号の送信時刻を求める演算手段とを備えることを特徴とする放送信号の送信時刻測定装置。 - さらに、前記信号処理手段により前記受信信号を選択出力している状態で、前記復調手段の出力から前記受信信号のモード及びガードインターバル長を特定し、前記疑似信号生成手段に対し該特定したモード及びガードインターバル長に応じた疑似OFDM信号の生成を実行させる疑似信号生成制御手段を備えたことを特徴とする請求項2または3記載の放送信号の送信時刻測定装置。
- 前記基準時刻情報取得手段は、衛星測位システムの衛星から送られる信号に基づいて基準時刻情報を生成することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の放送信号の送信時刻測定装置。
- 複数の地点から同一のデジタル放送信号を送信または中継再送する伝送システムの送信所に用いられ、
前記疑似信号生成手段は、前記デジタル放送信号の中間周波数帯の疑似OFDM信号を発生し、
前記信号処理手段及び前記復調手段は、前記中間周波数帯の受信信号及び疑似OFDM信号を処理することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の放送信号の送信時刻測定装置。 - 前記請求項3に記載の送信時刻測定装置を用いて前記デジタル放送信号の送信時刻を測定する測定方法であって、
前記信号処理手段を切替モードに設定し、前記復調手段に対し前記デジタル放送信号の受信信号を入力し、該復調手段により得られる前記受信信号のシンボル同期タイミング取得時の第1の基準時刻情報を測定する第1のステップと、
前記復調手段に対し前記疑似OFDM信号を入力し、該復調手段により得られる前記疑似OFDM信号のシンボル同期タイミング取得時の第2の基準時刻情報を測定する第2のステップと、
前記第1のステップで得られた第1の基準時刻情報と、前記第2のステップで得られた第2の基準時刻情報との時間差を求める第3のステップと、
この第3のステップにより得られる時間差が許容範囲に入るか否かを判断し、入らないときはこの許容範囲に入るように前記疑似信号生成手段の生成タイミングを制御し、しかる後に該時間差が許容範囲内に入った際に前記信号処理手段に対し前記合成モードを実行させる第4のステップと、
合成モード指定時に、前記信号処理手段により前記受信信号及び前記疑似OFDM信号を合成し、この合成信号を前記復調手段に入力し、前記測定手段により前記復調手段の出力から前記パイロット信号を抽出し、該パイロット信号により前記受信信号と前記疑似OFDM信号との到来遅延時間差を求める第5のステップと、
この第5のステップで得られた到来遅延時間差に前記時刻情報取得手段で得られる疑似OFDM信号送出時の基準時刻情報を加算することで前記デジタル放送信号の送信時刻を求める第6のステップとを具備することを特徴とする送信時刻測定方法。 - 送信側となる演奏所で伝送信号を伝送路へ送出し、受信側となる送信局で前記伝送路からの伝送信号を受信しOFDM変調装置にて変調出力する伝送システムで送信局として用いられる送信装置であって、
前記請求項1乃至3のいずれかに記載の送信時刻測定装置と、
前記OFDM変調装置の前段に設けられ、前記OFDM変調装置の入力信号を任意の遅延量で遅延する遅延装置と、
前記送信時刻測定装置による測定結果に基づいて、前記遅延装置の遅延量を制御する遅延制御手段とを具備したことを特徴とする送信装置。 - 送信側となる演奏所で伝送信号を伝送路へ送出し、受信側となる送信局で前記伝送路からの伝送信号を受信しOFDM変調装置にて変調出力する伝送システムで送信局として用いられる送信装置であって、
前記請求項1乃至3のいずれかに記載の送信時刻測定装置と、
前記OFDM変調装置の後段に設けられ、前記OFDM変調装置の出力信号を任意の遅延量で遅延する遅延装置と、
前記送信時刻測定装置による測定結果に基づいて、前記遅延装置の遅延量を制御する遅延制御手段とを具備したことを特徴とする送信装置。 - 送信側でOFDM変調装置にて伝送信号を変調して伝送路へ送出し、受信側となる中継局で前記伝送路からのOFDM変調信号を受信し再送信する伝送システムで中継局として用いられる中継装置であって、
前記請求項1乃至3のいずれかに記載の送信時刻測定装置と、
前記OFDM変調信号を任意の遅延量で遅延する遅延装置と、
前記送信時刻測定装置による測定結果に基づいて、前記遅延装置の遅延量を制御する遅延制御手段とを具備したことを特徴とする中継装置。 - 送信側で伝送信号を伝送路へ送出し、受信側となる中継局で前記伝送路からの伝送信号を受信しOFDM変調装置にて変調し再送信する伝送システムに用いられる中継局であって、
前記請求項1乃至3のいずれかに記載の送信時刻測定装置と、
前記OFDM変調装置の後段に設けられ、前記OFDM変調装置の出力信号を任意の遅延量で遅延する遅延装置と、
前記送信時刻測定装置による測定結果に基づいて、前記遅延装置の遅延量を制御する遅延制御手段とを具備したことを特徴とする中継局。 - 請求項1乃至3のいずれかに記載の送信時刻測定装置を用いて前記デジタル放送信号を処理する信号処理系統の遅延時間を測定する遅延時間測定装置であって、
前記デジタル放送信号を直接送信時刻測定装置に入力し、該入力信号の送信時刻を測定する第1の時刻測定手段と、
前記デジタル放送信号を前記信号処理系統を介して前記送信時刻測定装置に入力し、該入力信号の送信時刻を測定する第2の時刻測定手段と、
前記第1及び第2の測定手段による測定結果に基づいて遅延時間を求める演算手段とを具備したことを特徴とする遅延時間測定装置。 - 前記第1の時刻測定手段は、所定の切替タイミングで前記信号処理系統の入力信号と出力信号とを選択的に導出する切替器を用いて、前記デジタル放送信号を切替器を介して前記送信時刻測定装置に入力し、
前記第2の時刻測定手段は、前記信号処理系統の出力信号を前記切替器を介して前記送信時刻測定装置に入力するようにしたことを特徴とする請求項12記載の遅延時間測定装置。 - 前記第1の時刻測定手段は、前記デジタル放送信号を前記送信時刻測定装置の信号処理手段に直接入力し、
前記第2の時刻測定手段は、前記信号処理系統の出力信号を前記送信時刻測定装置の信号処理手段に直接入力するようにしたことを特徴とする請求項12記載の遅延時間測定装置。 - 前記演算手段は、前記第1及び第2の時刻測定手段のいずれか一方で得られる測定結果と、別途提供される測定結果とに基づいて遅延時間を求めることを特徴とする請求項12記載の遅延時間測定装置。
- 複数の地点から同一のデジタル放送信号を送信または中継再送する伝送システムの各送信局または中継局に設置される前記請求項1乃至3のいずれかに記載の送信時刻測定装置を用いて前記伝送システムの伝送遅延時間を測定する遅延時間測定装置であって、
各送信局または中継局で測定された前記デジタル放送信号の送信時刻情報を収集する収集手段と、
この収集手段による収集結果に基づいて伝送遅延時間を求める演算手段とを具備したことを特徴とする遅延時間測定装置。 - 前記演算手段で得られる伝送遅延時間と、別途提供される伝送遅延時間との差分を求める差分演算手段をさらに備えることを特徴とする請求項16記載の遅延時間測定装置。
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