JP4362909B2 - 非水電解質二次電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、Liを可逆的にドープ・脱ドープ可能な負極活物質を有する負極と、Liを可逆的にドープ・脱ドープ可能な正極活物質を有する正極と、非水電解質とを有してなる非水電解質二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ポータブル電子機器が多く登場し、その小型軽量化が図られている。これに伴い、これらの電子機器のポータブル電源として繰り返し充放電可能な二次電池についても小型軽量化が求められている。このため、二次電池のエネルギー密度を向上させるための研究開発が活発に進められている。
【0003】
高性能である二次電池として、例えば、リチウムをドープ・脱ドープ可能な炭素材料を負極に用いた非水電解質二次電池は、軽量且つ高容量であるため、携帯電話やノート型パソコン等の携帯用電子機器用途に実用化されて普及している。
【0004】
【発明が解決使用とする課題】
また、高エネルギー密度の電池を実現するために、単位体積又は重量当たりのドープ・脱ドープ容量が高く、且つリチウムを有効に利用可能である負極材料の開発も進められている。
【0005】
例えば、Al、Ge、Si、Sn、Zn、Pb等の金属又は半金属は、リチウムと合金化することが公知であり、これらの金属又は半金属とリチウムとを合金化してなる金属材料を負極活物質に用いた二次電池が検討されている(特開平10−223221号公報)。さらに、鉄珪化物、ニッケル珪化物及びマンガン珪化物を負極活物質に用いた二次電池が検討されている(特開平5−159780号公報、特開平8−153517号公報、特開平8−153538号公報)。しかしながら、これらの負極活物質を用いた非水電解質二次電池は、サイクル特性が悪いため実用化に至っていない。
【0006】
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、金属材料を負極活物質として用いることにより、非常に高容量であり、且つ従来よりも高性能である非水電解質二次電池を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、本発明に係る非水電解質二次電池は、Liを可逆的にドープ・脱ドープ可能な負極活物質を有する負極と、Liを可逆的にドープ・脱ドープ可能な正極活物質を有する正極と、非水電解質とを有してなる非水電解質二次電池において、負極活物質は、Liと合金化する元素であるSn及びLiと合金化しにくい元素であるCoからなる金属材料のCoSn2を含有し、金属材料は、[211]方向の結晶子の大きさが20nm以下であるCoSn2相を含有する。
【0008】
以上のように構成された本発明に係る非水電解質二次電池では、負極活物質は、Liと合金化する元素であるSn及びLiと合金化しにくい元素であるCoからなる金属材料のCoSn2を含有し、金属材料は、[211]方向の結晶子の大きさが20nm以下であるCoSn2相を含有する。これにより、非水電解質二次電池は、単位体積及び単位重量当たりのドープ・脱ドープ容量が高く、且つリチウムを有効に利用可能な負極を有するものとなる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0010】
本発明を適用した非水電解質二次電池は、基本的な構成要素として、正極、負極及び電解質を備える。
【0011】
そして、本発明においては、負極活物質として、Liと合金化する元素であるSn及びLiと合金化しにくい元素であるCoからなる金属材料を含有するものを用いる。この金属材料は、具体的には、CoSn及び/又はCoSn2を含有することが好ましい。また、金属材料中には、Sn及び/又はCoが単相で含有されていていても良い。
【0012】
従来、この種の非水電解質二次電池の負極活物質は、Liと合金化する元素からなる金属材料を含有していた。Liと合金化する元素はLiと合金化する際に大きな体積変化を伴うので、この負極活物質を用いた非水電解質二次電池は、サイクル特性が悪いという問題があった。
【0013】
そこで、負極活物質は、Liと合金化する元素であるSnとLiと合金化しにくい元素であるCoとを共存させた金属材料を含有することにより、負極活物質全体としての体積変化が抑制されると考えた。また、Liと合金化しにくい元素であるCoは金属であるので、導電剤としての働きも期待できる。これにより、この負極活物質は負荷特性の向上を実現できると考えた。
【0014】
従って、この負極活物質を用いてなる非水電解質二次電池は、単位体積あたり及び単位重量あたりのドープ・脱ドープ容量が高く、且つリチウムを有効に利用可能な負極を有するものとなる。
【0015】
また、金属材料の真密度は、7.7g/cm3以上であることが好ましく、7.7g/cm3以上8.2g/cm3以下の範囲であることがより好ましい。金属材料の真密度は、例えばJISR7212に規定される測定方法に従って求めることが好ましい。金属材料の真密度が7.7g/cm3よりも小さい場合、この金属材料を含有する負極活物質は、リチウムを有効に利用できないものとなる虞がある。従って、金属材料の真密度が7.7g/cm3以上であることにより、非水電解質二次電池としては、リチウムをより有効に利用可能な負極を有するものとなる。
【0016】
さらに、金属材料は、[211]方向の結晶子の大きさが20nm以下であるCoSn2相を含有することが好ましい。これにより、非水電解質二次電池としては、リチウムのドープ・脱ドープ容量がより高い負極を有するものとなる。
【0017】
また、上述したような金属材料と、通常この種の非水電質二次電池で用いられている従来公知の負極活物質とを併用することも可能である。併用可能な負極活物質としては、リチウムをドープ・脱ドープすることが可能なもの、例えば炭素材料等が挙げられる。
【0018】
非水電解質二次電池は、上述した負極活物質を有する負極の他、正極及び電解質等の構成要素を備えるが、他の構成要素は従来のものと同様のものを用いることができる。
【0019】
以下、ボタン型の電池を例にして、非水電解質二次電池の構成要素について説明する。
【0020】
ボタン型の非水電解質二次電池1は、図1に示すように、負極2と、負極2を収容する負極缶3と、正極4と、正極4を収容する正極缶5と、正極4と負極2との間に配されたセパレータ6と、絶縁ガスケット7とを備え、電解質として電解液を用いる場合には、負極缶3及び正極缶5内に非水電解液が充填されてなる。また、電解質として固体電解質やゲル電解質を用いる場合には、固体電解質層、ゲル電解質層を負極2や正極4の活物質層上に形成する。
【0021】
負極2は、負極集電体上に、Liを可逆的にドープ・脱ドープ可能であり、先に説明した負極活物質と結着剤とを含有する負極合剤を塗布、乾燥することにより負極活物質層が形成されてなる。負極集電体としては、例えば銅箔、ニッケル箔等が用いられる。
【0022】
負極活物質層に含有される結着剤としては、この種の電池の負極活物質層の結合剤として通常用いられている公知の樹脂材料等を用いることができる。また、負極活物質層には、通常この種の電池に用いられている公知の添加剤等を添加することが可能である。
【0023】
負極缶3は、負極2を収容するものであり、また、非水電解質二次電池1の外部負極となる。
【0024】
正極4は、正極集電体上に、Liを可逆的にドープ・脱ドープ可能な正極活物質と結着剤とを含有する正極合剤を塗布、乾燥することにより正極活物質層が形成されてなる。正極集電体としては、例えばアルミニウム箔等が用いられる。
【0025】
正極活物質としては、目的とする電池の種類に応じて金属酸化物、金属硫化物又は特定の高分子を用いることができる。例えば、正極活物質としてはCoS2、MoS2、NbSe2及びV2O5等のリチウムを含有しない金属硫化物又は酸化物を使用することができる。
【0026】
また、正極活物質として、一般式LiMxO2(式中、Mは少なくとも一種以上の遷移金属を表し、xは電池の充放電状態によって異なり、通常0.05≦x≦1.10である。)で表される化合物を主体とするリチウム複合酸化物等を使用することができる。このリチウム複合酸化物を構成する遷移金属Mとしては、Co、Ni、Mn等が好ましい。これらのリチウム複合酸化物の具体例としてはLiCoO2、LiSnO2、LixNiyCo1-yO2(式中、x及びyは電池の充放電状態によって異なり、通常0<x<1、0.7<y<1.02である)、LiMnO4等を挙げることができる。これらのリチウム複合酸化物は、高電圧を発生でき、エネルギー密度に優れた正極活物質となる。
【0027】
正極4には、これらの正極活物質を1種類単独で用いても良く、複数種を混合して使用してもよい。
【0028】
正極活物質層に含有される結着剤としては、この種の電池の正極活物質層の結合剤として通常用いられている公知の樹脂材料等を用いることができる。正極活物質として金属リチウム箔を用いた場合には、結合剤は不要である。
【0029】
また、正極活物質層には、通常この種の電池に用いられている公知の導電剤、添加剤等を添加することが可能である。
【0030】
正極缶5は、正極4を収容するものであり、また、非水電解質二次電池1の外部正極となる。
【0031】
電解質は、液状のいわゆる電解液であってもよいし、固体電解質やゲル状電解質であってもよい。
【0032】
電解質を電解液とする場合、非水溶媒としては、通常この種の電池の非水電解液に使用されている種々の非水溶媒を使用することができる。具体的には、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメトキシメタン、ジエトキシエタン、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、スルホラン、1,3−ジオキソラン等の有機溶剤が挙げられる。これらの非水溶媒は、1種類を単独で使用しても良く、2種類以上を混合して使用することも可能である。
【0033】
また、電解質を固体電解質やゲル状電解質とする場合には、使用する高分子材料としては、シリコンゲル、アクリルゲル、アクリロニトリルゲル、ポリフォスファゼン変性ポリマー、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、及びこれらの複合ポリマーや架橋ポリマー、変性ポリマー等、若しくは弗素系ポリマーとして、例えばポリ(ビニリデンフルオロライド)やポリ(ビニリデンフルオロライド−co−ヘキサフルオロプロピレン)、ポリ(ビニリデンフルオロライド−co−テトラフルオロエチレン)、ポリ(ビニリデンフルオロライド−co−トリフルオロエチレン)等、及びこれらの混合物が各種使用できるが、勿論、これらに限定されるものではない。
【0034】
上記電解質に溶解(相溶)させる軽金属塩には、リチウム、ナトリウム、アルミニウム等の軽金属の塩を使用することができ、電池の種類に応じて適宜定めることができる。
【0035】
例えば、リチウムイオン二次電池を構成する場合、具体的には、LiClO4、LiPF6、LiBF4、LiCF3SO3、LiAsF6、LiCl、LiBr、LiB(C6H6)、LiSn(SO2CF3)等のリチウム塩を使用することができる。
【0036】
セパレータ6は、正極4と負極2とを離間させるものであり、この種の非水電解質二次電池のセパレータとして通常用いられている公知の材料を用いることができる。例えば、不織布、透液性を備える多孔質材料(具体的にはポリプロピレン等)からなる高分子フィルム等が用いられる。なお、電解質として固体電解質、ゲル電解質を用いた場合には、このセパレータ6は必ずしも設けなくともよい。
【0037】
絶縁ガスケット7は、負極缶3に組み込まれ一体化されている。この絶縁ガスケット7は、負極缶3及び正極缶5内に充填された非水電解液の漏出を防止するためのものである。
【0038】
以上のように構成された非水電解質二次電池1では、負極活物質は、Liと合金化する元素であるSn及びLiと合金化しにくい元素であるCoからなる金属材料、具体的にはCoSn及び/又はCoSn2を含有する。従って、この非水電解質二次電池1としては、非常に高い容量を有し、従来にない高性能を備えるものとなる。
【0039】
また、金属材料の真密度は7.7g/cm3以上であることにより、非水電解質二次電池1としては、より高い容量を有するものとなる。
【0040】
さらに、Co及びSnを合金化させてなる金属材料は、[211]方向の結晶子の大きさが20nm以下であるCoSn2相を含有することにより、非水電解質二次電池1としては、より高い容量を有するものとなる。
【0041】
なお、本発明に係る非水電解質二次電池は、円筒型、角型及びボタン型等、形状については特に限定されることはなく、薄型、大型等、任意のサイズとすることができる。
【0042】
【実施例】
以下、本発明を適用した非水電解質二次電池について、具体的な実験結果に基づいて説明する。
【0043】
ここでは、先ずサンプルとして、複数の負極活物質、及びこれら負極活物質を用いた非水電解液二次電池を複数個作製した。そして、これらサンプルを用いて、負極活物質の相違に対して、電池特性を評価した。
【0044】
サンプル1
負極の作製方法は、以下の通りである。まず、負極活物質となる金属材料を作製した。初めに、Liと合金化しにくい元素であるCo粉末及びLiと合金化する元素であるSn粉末を原子数比で1:2となるよう秤量して混合粉末とした。次に、この混合粉末5gをボールミル用ポットに入れ、アルゴン雰囲気中で密閉し、直径10mmのスチール球25個を用いてボールミル操作を25時間施すことで合金化した。そして、合金化された混合粉末を分級して、75μm以下の金属材料を得た。
【0045】
次に、負極活物質として上述のようにして作製された金属材料を75重量部と、導電剤として黒鉛粉末を20重量部と、結着剤としてポリフッ化ビニリデンを5重量部とを混合して負極合剤を作製した。次に、この負極合剤を溶剤であるN−メチル−2−ピロリドン中に分散させて負極合剤スラリーとした。そして、この負極合剤スラリーを、負極集電体となるSUSメッシュ状に均一に塗布、乾燥させて負極活物質層を形成した。
【0046】
そして、負極活物質層が形成されたSUSメッシュを、直径を15.5mmとして円板状に打ち抜くことにより負極とした。なお、この負極1個には、50mgの活物質が担持されている。
【0047】
また、正極としては、厚さが1.85mmであるリチウム金属箔を負極と略同形に打ち抜いたものを使用した。また、電解液としては、プロピレンカーボネートとジメチルカーボネートとの等容量混合溶媒に、LiPF6を1mol/lの濃度で溶解させることにより非水電解液を調製した。
【0048】
以上のようにして得られた正極を正極缶に収容し、負極を負極缶に収容し、正極と負極との間にセパレータを配した。正極缶及び負極缶内に非水電解液を注入し、正極缶と負極缶とをかしめて固定することにより、ボタン型テストセルを作製した。なお、セパレータとしては、ポリプロピレン製微細孔膜を使用した。
【0049】
サンプル2
Liと合金化しにくい元素をとしてFe粉末を用い、Fe粉末及びSn粉末を原子数比で1:2となるようにした混合粉末を合金化した金属材料を負極活物質として用いること以外は、サンプル1と同様にしてテストセルを作製した。
【0050】
サンプル3
負極活物質として黒鉛粉末を用い、黒鉛粉末を95重量部と、結着剤としてポリフッ化ビニリデンを5重量部とを混合して負極合剤を作製したこと以外は、サンプル1と同様にしてテストセルを作製した。
【0051】
上述のようにして作製したサンプル1〜3の負極活物質に対して、真密度を測定した。この測定方法を以下に示す。
【0052】
<真密度>
負極活物質の真密度(ρB)は、JISR7212に定められた測定方法に従って測定し、数1に示される式を用いて計算することにより求めた。
【0053】
【数1】
【0054】
ここで、dは水の30℃における比重(0.9946)である。また、式1中のm1〜m5は、以下に示す方法により得た値を用いた。
【0055】
まず、内容積約40mlである側管付の比重瓶の質量(m1)を正確に量る。次に、比重瓶に負極活物質を入れ、厚さが比重瓶の底から約10mmとなるようにする。そして、負極活物質を入れた比重瓶の質量(m2)を正確に量る。
【0056】
次に、負極活物質を入れた比重瓶に1−ブタノールを静かに加え、深さが比重瓶の底から約20mm程度となるようにする。
【0057】
次に、この比重瓶に軽い振動を加え、大きな気泡の発生が無くなったのを確認した後に、真空デシケータ中に入れ、徐々に排気して圧力が2.0〜2.7kPaとなるようにする。この圧力を20分間以上保ち、気泡の発生が止まった時点で、比重瓶を真空デシケータから取り出す。
【0058】
次に、比重瓶に1−ブタノールを満たし、栓をして高温水槽に15分以上浸し、1−ブタノールの液面を標線に合わせる。なお、高温水槽は、30±0.03℃に調整してあるものを用いる。そして、この比重瓶を高温水槽から取り出し、冷却して室温と等温とした後に、質量(m3)を正確に量る。
【0059】
次に、1−ブタノールのみで満たした比重瓶を、上述と同様にして高温水槽に浸し、1−ブタノールの液面を標線に合わた後に、高温水槽から取り出して冷却し、質量(m4)を正確に量る。
【0060】
また、比重瓶を、沸騰させて溶解している気体を除去した蒸留水で満たし、上述と同様にして高温水槽に浸し、蒸留水の液面を標線に合わた後に、高温水槽から取り出して冷却し、質量(m5)を正確に量る。
【0061】
また、サンプル1〜3の負極活物質に対して、CoSn2の有無、及びCoSn2相の[211]方向の結晶子の大きさD211を測定した。この測定方法を以下に示す。
【0062】
<CoSn2の有無、及びCoSn2相の[211]方向の結晶子の大きさD211>
X線回折法により、まずCoSn2の有無を測定した。なお、測定条件は以下の通りである。
【0063】
X線光源:CuKα線(グラファイトモノクロメータにより単色化されている)
X線出力:40kV〜100mA
発散スリット:1/2deg
錯乱スリット:1/2deg
受光スリット:0.15mm
測定角度 :30°≦2θ≦50°
【0064】
ここで、サンプル1で作製された金属材料のX線回折パターンを図2に示す。図2より、CoSn2が合成されていることが確認できた。なお、サンプル2の金属材料にはFeSn2が合成されていることが確認され、サンプル3の負極活物質中にはCoSn2が存在しないことが確認された。
【0065】
次に、CoSn2相が存在する場合には、D211を数2に示すScherrerの式により求めた。なお、β[211]回折線の半値幅(ラジアン単位)、θは[211]回折線のブラッグ角を表す。
【0066】
【数2】
【0067】
さらに、上述のようにして作製されたサンプル1〜サンプル3のテストセルについて、電池の特性評価をするために充放電試験を行い、電池の充電容量、放電容量及びクーロン効率を求めた。以下に特性評価の方法を示す。
【0068】
<電池の特性評価>
まず、各テストセルに対して、電流値を0.2mA/cm2として定電流充電を行い、端子間電圧0.0V(Li+/Li)に達したら電流値を絞り、電流値が0.01mA/cm2以下に達したら充電を終了させた。この充電をする際に用いた電気量を負極活物質重量で割った値を充電容量(単位:mAh/g)とした。
【0069】
次に、電流値を0.2mA/cm2として定電流放電を行い、電池電圧が1.5V(Li+/Li)に低下した時点で放電を終了させた。この放電をする際に用いた電気量を負極活物質重量で割った値を放電容量(単位:mAh/g)とした。
【0070】
上述にようにして得られた放電容量及び充電容量から、クーロン効率を求めた。ここで、クーロン効率とは、Liが電池内でどれだけ有効に利用されたかを示すものであり、放電容量を充電容量で割った値に100をかけることで得られる値である。
【0071】
以上のようにして得られた負極活物質の真密度、CoSn2相の[211]方向の結晶子の大きさD211、単位重量及び単位体積あたりの電池の充電容量及び放電容量、クーロン効率の結果を、表1に示す。
【0072】
【表1】
【0073】
表1から、Liと合金化する元素であるSn及びLiと合金化しにくい元素であるCoからなる金属材料を含有する負極活物質を用いたサンプル1の非水電解液二次電池は、単位体積あたりの放電容量が非常に高く、高容量を有する電池であることがわかった。
【0074】
これに対して、負極活物質として炭素材料を用いているサンプル3の電池は、単位体積あたりの放電容量が非常に小さく、電池容量が低いことがわかった。また、Liと合金化しにくい元素としてFeを用いたサンプル2の電池は、Liと合金化しにくい元素としてCoを用いたサンプル1の電池と比較すると、単位重量あたりの放電容量が小さく、クーロン効率が劣ることがわかった。
【0075】
従って、非水電解液二次電池としては、Liと合金化する元素であるSn及びLiと合金化しにくい元素であるCoからなる金属材料を含有する負極活物質を用いることにより、より高い容量を有し、従来にない高性能を備えるものとなることがわかった。
【0076】
次に、Liと合金化する元素であるSn及びLiと合金化しにくい元素であるCoからなる金属材料、及びこの金属材料を負極活物質として用いた電池を作製し、負極活物質即ち金属材料の真密度の相違、CoSn2相の[211]方向の結晶子の大きさD211の相違に対して、電池特性を評価した。
【0077】
サンプル4
金属材料を作製する際に、ボールミル操作を50時間行うこと以外は、サンプル1と同様にしてテストセルを作製した。
【0078】
サンプル5
金属材料を作製する際に、ボールミル操作を75時間行うこと以外は、サンプル1と同様にしてテストセルを作製した。
【0079】
サンプル6
負極活物質として、サンプル1で作製された金属材料を、アルゴン雰囲気中で加熱温度を500℃として1時間加熱したものを用いる事以外は、サンプル1と同様にしてテストセルを作製した。
【0080】
サンプル7
負極活物質として、混合粉末5gをメノウ乳鉢に入れて乳棒により十分に混合した金属材料を用いること以外は、サンプル1と同様にしてテストセルを作製した。
【0081】
上述のようにして作製したサンプル4〜7の金属材料について、真密度を測定した。測定方法は、上述した測定方法と同様である。
【0082】
また、サンプル4〜7の金属材料に対して、CoSn2の有無、及びCoSn2相の[211]方向の結晶子の大きさD211を測定した。この測定方法は、上述した測定方法と同様である。これにより、サンプル4〜サンプル6の金属材料には、CoSn2が合成されていることが確認された。また、サンプル7の金属材料には、CoSn2が合成されていないことが確認された。
【0083】
さらに、上述のようにして作製されたサンプル4〜サンプル7のテストセルについて、電池の特性評価をするために充放電試験を行い、電池の充電容量、放電容量及びクーロン効率を求めた。特性評価の方法は、上述した特性評価の方法と同様である。
【0084】
以上のようにして得られた金属材料の真密度、CoSn2相の[211]方向の結晶子の大きさD211、単位重量及び単位体積あたりの電池の充電容量及び放電容量、クーロン効率の結果を表2に示す。
【0085】
【表2】
【0086】
表2から、サンプル4及びサンプル7の電池を比較すると、金属材料中にCoSn2を含有するサンプル4の電池は、金属材料中にCoSn2を含有しないサンプル7の電池よりも、放電容量が高く、クーロン効率が良いことがわかった。従って、非水電解液二次電池は、金属材料中にCoSn2を含有することにより、より高い容量を有し、高性能であることがわかった。
【0087】
また、サンプル5及びサンプル7の電池を比較すると、金属材料の真密度が7.8g/cm3であるサンプル5の電池は、金属材料の真密度が7.6g/cm3であるサンプル7の電池よりも、クーロン効率が良いことがわかった。従って、金属材料の真密度は7.7g/cm3以上であることが好ましく、これにより、非水電解液二次電池としては、より高い容量を有するものとなることがわかった。
【0088】
また、表1及び表2から、サンプル1及びサンプル6の電池を比較すると、[211]方向の結晶子の大きさが20nm以下であるCoSn2相を含有するサンプル1は、[211]方向の結晶子の大きさが20nmより大きいCoSn2相を含有するのサンプル6よりも、高い放電容量を示すことがわかった。従って、金属材料は、[211]方向の結晶子の大きさが20nm以下であるCoSn2相を含有することが好ましく、これにより、非水電解液二次電池としては、より高い容量を有するものとなることがわかった。
【0089】
【発明の効果】
以上の説明からも明らかなように、本発明に係る非水電解質二次電池は、負極活物質がLiと合金化する元素であるSn及びLiと合金化しにくい元素であるCoからなる金属材料のCoSn2を含有し、この金属材料は、[211]方向の結晶子の大きさが20nm以下であるCoSn2相を含有するので、非常に高い容量を有し、従来よりも高性能である電池となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した非水電解液二次電池の断面図である。
【図2】サンプル1で作製された金属材料のX線回折パターンを示す図である。
【符号の説明】
0 非水電解液二次電池、2 負極、3 負極缶、4 正極、5 正極缶、6セパレータ、7 絶縁ガスケット
Claims (3)
- Liを可逆的にドープ・脱ドープ可能な負極活物質を有する負極と、Liを可逆的にドープ・脱ドープ可能な正極活物質を有する正極と、非水電解質とを有してなる非水電解質二次電池において、
上記負極活物質は、Liと合金化する元素であるSn及びLiと合金化しにくい元素であるCoからなる金属材料のCoSn2を含有し、
上記金属材料は、[211]方向の結晶子の大きさが20nm以下であるCoSn2相を含有する非水電解質二次電池。 - 上記金属材料の真密度は、7.7g/cm3以上である請求項1記載の非水電解質二次電池。
- 上記金属材料は、Sn粉末とCo粉末とを混合した混合粉末をボールミルにて粉砕して得られる請求項1記載の非水電解質二次電池。
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