JP4361477B2 - 法面や路面の被覆方法及び法面や路面の被覆構造 - Google Patents

法面や路面の被覆方法及び法面や路面の被覆構造 Download PDF

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Description

本発明は、路面や法面を被覆して舗装や法面の保護等に用いられる土木用被覆材用いた路面や法面の被覆方法並びに法面や路面の被覆構造に関するものである。
従来より、天然の木質チップを用いた舗装は、弾力性と透水性に優れているため、屋外を散策したりジョギングしたりするための散策路や走路等に多用されている。
従来の技術としては、例えば(特許文献1)に「天然木材の外皮及び/又は心材を粉砕した粒状チップに湿気硬化型ウレタンプレポリマーを添加した混練材料を敷き詰めてなる木質舗装」が開示されている。
(特許文献2)には、「ウッドチップ又はウッドファイバーと、砂と、湿気硬化型樹脂系のウレタン樹脂からなる接着剤と、で構成された舗装材であって、砂の容積比が、ウッドチップ又はウッドファイバーと砂との10〜40%の範囲であることを特徴とする舗装材」が開示されている。
(特許文献3)には、「天然木材を破砕した木質チップ及び/又はこのチップをさらに細長く破砕した繊維状物と、潜在性架橋剤を含むポリウレタン樹脂接着剤と、からなる木質系舗装材組成物」が開示されている。
特開平3−96503号公報 特開平4−347202号公報 特開平11−107205号公報
しかしながら上記従来の技術においては、以下のような課題を有していた。
(1)(特許文献1)乃至(特許文献3)に開示の技術は、ウッドチップやウッドチップ等の原料としてスギ、マツ、ナラ、ブナ、ヒノキ等の天然の木材が用いられるので、雨等により腐敗し易く、害虫被害も生じ易いため、耐用年数が短く耐久性に欠けるという課題を有していた。また、成長が遅く植林・伐採の長期計画を要する木材を用いることは、森林保護の観点からも好ましくないという課題を有していた。
(2)(特許文献1)や(特許文献3)に開示の技術は、天然木材を破砕したウッドチップやウッドファイバーと湿気硬化型ウレタン樹脂接着剤とを混合した舗装材を用いるので、弾力性に優れた舗装を提供することができる。しかしながら、天然木材を破砕したウッドチップやウッドファイバーのみを接着剤で固化しているので、耐摩耗性等の機械的強度が小さく、舗装の表面が削れ易く耐久性に欠けるという課題を有していた。
(3)(特許文献2)に開示の技術は、舗装材が、ウッドチップ又はウッドファイバーと、砂と、湿気硬化型樹脂系のウレタン樹脂からなる接着剤と、で構成されているので、弾力性は維持したまま耐摩耗性を高めることができる。しかしながら、砂が配合されているので、接着剤と混練された舗装材の塑性が乏しく流動性に欠けるため、舗装材を路面に敷均するときの締固め作業に多くの工数を要し施工性に欠ける。
本発明は上記従来の課題を解決するもので軟弱な地盤であっても路盤や路床の硬度を高くでき路面や法面の安定性を高めることができるとともに、雑草が生えるのを防止することができ、さらに施工性に優れるとともに景観に優れた法面や路面を形成できる法面や路面の被覆方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、軟弱な地盤であっても路盤や路床の硬度を高くでき、路面や法面の安定性を高めることができるとともに、雑草が生えるのを防止することができ、景観に優れた法面や路面の被覆構造を提供することを目的とする。
上記従来の課題を解決するために本発明法面や路面の被覆方法並びに法面や路面の被覆構造は、以下の構成を有している。
本発明の請求項1に記載の法面や路面の被覆方法は、竹材を破片状乃至は粉末状に形成した竹チップと、まさ土,ローム,泥炭のいずれか1種以上の土粒子と、消石灰及び/又は生石灰と、を含有する石灰混合材を路盤又は路床に敷均し石灰混合層を形成する石灰混合層形成工程と、前記石灰混合層の上面に、竹材を破片状乃至は粉末状に形成した竹チップと、まさ土,ローム,泥炭のいずれか1種以上の土粒子と、ゴム系接着剤,合成樹脂系接着剤,アスファルトセメントのうちの一種の結合材と、を含有する土木用被覆材を敷均し被覆層を形成する被覆層形成工程と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)石灰混合材を路盤又は路床に敷均し石灰混合層を形成する石灰混合層形成工程と、石灰混合層の上面に土木用被覆材を敷均し被覆層を形成する被覆層形成工程と、を備えているので、路盤、路床の粘土分と石灰混合材の土粒子の粘土分と消石灰や生石灰とが反応し路盤や路床、土粒子が固化されるため、軟弱な地盤であっても路盤や路床の硬度を高くできるため、路面や法面の安定性を高めることができる。また、消石灰や生石灰によって雑草が生えるのを防止することができ、景観に優れた法面や路面を形成できる。
(2)石灰混合層の竹チップと被覆層に含まれる結合材とが接着され、石灰混合層と被覆層とが接着され一体となるので、安定性の高い法面や路面が得られる。
)竹チップは、ウッドチップと比較して吸水性に乏しいため腐敗し難く、さらに害虫の忌避特性、抗菌性に優れるため、敷設された後の腐敗や害虫に対する耐性が高く耐久性に優れるとともに、ウッドチップと比較して消臭性(特にアンモニア)にも優れる。
)竹は発筍から数か月で10〜20mの背丈に達し3〜4年で成長がほぼ完了してしまうので、ウッドチップの原料となる木材と比較して成長が非常に早いため、恒常的に資源として利用でき木材の浪費を防止できるとともに、竹材の伐採を促すことで山林を保護することもできる。竹材の繁殖力は高いため、放置しておくと、地下茎が周囲の雑木林に侵入して樹木等の他の植物を駆逐してしまうからである。
)まさ土,ローム,泥炭のいずれか1種以上の土粒子は、砂よりも粒径の小さな粘土やシルト等の細粒分を多く含んでおり比重や剪断強さが小さく、高含水比で圧縮変形が大きいため、竹チップ及び結合材と一緒に混練した混練状態の塑性が大きく流動性が高いので、被覆材を法面や路面に敷均するときの締固め作業を短時間で終えることができ施工性に優れ、さらに結合材が固化した後は、弾力性は維持したまま被覆材の耐摩耗性を高めることができ耐久性に優れる。
)まさ土,ローム,泥炭でできた地盤や斜面は不安定で軟弱なため、浸食を受け易く崩壊し易いので現場での取扱が困難であり有効な活用手段がないが、これらの土粒子を有効な資源として活用することができ省資源性に優れる。
ここで、竹チップの原料となる竹材としては、例えば、真竹,孟宗竹,黒竹,篠竹,根曲竹,矢竹,支那竹,金明孟宗竹,蓬莱竹,淡竹,布袋竹,亀甲竹,し竹,けい竹等の竹、根笹,スズダケ,ヤダケ,クマザサ等の笹の内の1種若しくは2種以上が用いられる。これらの竹材は、竹齢の若いものから古いものまで、また伐採直後のものから伐採後に乾燥させたものまで、種々のものを用いることができる。なかでも、伐採後に放置して自然乾燥させるか、乾燥機等を用いて乾燥させた乾燥竹が好適に用いられる。竹チップに含まれる水分と反応して結合材が白濁したり発泡したりするのを防止するとともに、結合材の固化速度が低下するのを防止し、結合材との接着強度を高めるためである。
竹チップは、これらの竹材を施工現場や工場等でチッパーや粉砕機等を用いて破砕又は粉砕して、破片状乃至は繊維状や粉末状に形成したものが用いられる。竹チップの大きさとしては、平均の長径が3〜50mm好ましくは5〜20mmのものが好適に用いられる。竹チップの平均の長径が5mmより短くなるにつれ、竹チップ同士が絡み難くなるので固化後の土木用被覆材の曲げ強さ等の機械的強度が低下する傾向がみられ、20mmより長くなるにつれ固化後の土木用被覆材に多くの空隙が形成され曲げ強さ等の機械的強度が低下する傾向がみられる。特に、3mmより短くなるか50mmより長くなると、これらの傾向が著しいため、いずれも好ましくない。なお、竹チップに乾燥処理を施してもよい。
土粒子としては、花崗岩や片麻岩等を起源とする風化土であるまさ土、火山噴出物の風積土の一種である関東ローム,信州ローム,ヨナ,大山ローム等のローム、植物等が堆積してできた繊維質の高有機質土である泥炭のいずれか1種以上が用いられる。なかでも、まさ土が好適に用いられる。本州,四国,九州に広く分布するため汎用性に優れるとともに、ロームや泥炭と比較して、結合材と混練したときの粘性が高くなるため塑性が大きく流動性が高く、さらに大きな結合力が得られるからである。
結合材としては、ゴム系接着剤,合成樹脂系接着剤,アスファルトセメントが用いられる。特に、2液性や1液性のポリウレタン接着剤、エマルジョン型や溶剤型のアクリル樹脂接着剤、エポキシ樹脂接着剤等の合成樹脂系接着剤が好適に用いられる。耐熱性に優れ真夏の炎天下でも軟化し難いからである。なかでも、ポリウレタン接着剤やエマルジョン型のアクリル樹脂接着剤が好適に用いられる。ポリウレタン接着剤は弾力性に優れるとともに高湿気条件下でも高い接着力を発揮するからである。また、エマルジョン型のアクリル樹脂接着剤は、耐アルカリ性、柔軟性、耐水性、耐老化性、耐候性に優れるからである。さらに、エマルジョン型のアクリル樹脂接着剤が好適に用いられる。湿気硬化型のポリウレタン接着剤は、竹チップの含水率や湿度によってポットライフ(可使時間)が短くなり作業性が低下したり発泡したりすることがあり、また高温高湿の夏季に施工した場合や未硬化の施工面に降雨等があった場合に水分と反応して発泡し、強度,仕上り性,美観を著しく低下させるという問題があるが、エマルジョン型のアクリル樹脂接着剤は、竹チップの含水率や湿度等の影響を受け難く可使時間の変動が少なく、また発泡現象も発生し難いからである。
エマルジョン型のアクリル樹脂接着剤を用いる場合、消石灰,セメント,石膏等の無機系接合材と水とを添加し混練することもできる。これにより、土木用被覆材の硬化時間を短縮するとともに、機械的強度を高め耐久性を高めることができる。
ここで、無機系接合材の添加量は、竹チップと土粒子の総量100重量部に対し、2〜6重量部が好適に用いられる。無機系接合材の添加量が2重量部より少なくなるにつれ、硬化時間を短縮したり機械的強度を高める効果が乏しくなる傾向がみられ、6重量部より多くなるにつれ、固化した土木用被覆材の弾力性が低下する傾向がみられるため、いずれも好ましくない。なお、無機系接合材と一緒に添加される水は、セメント等の無機系接合材の最適含水比付近になるような添加量とする。固化後の無機系接合材の強度を高めるためである。
土木用被覆材は、公園,景観保護地区,風致地区の路面、建物の屋上,公開空地等の緑地部分、河川や道路の法面等の植生帯、道路中央分離帯、鉄道や道路の路肩、歩車道間の並木や分流島等の街路樹の植樹部分等を被覆する被覆材として用いることができる。
土粒子が、竹チップと土粒子の総量に対して5〜40体積%配合されているのが好ましい。により結合材と一緒に混練した混練状態の流動性を高めることができ、被覆材を法面や路面に敷均するときの施工性に優れ、また結合材が固化した後は、弾力性は維持したまま被覆材の耐摩耗性を高めることができ耐久性に優れる。
ここで、竹チップと土粒子の総量に対する土粒子の配合量が5体積%より少なくなるにつれ、固化後の土木用被覆材の弾力性は高いが耐摩耗性が乏しくなる傾向がみられ、40体積%より多くなるにつれ耐摩耗性は高まるが弾力性が低下し舗装のクッション性が低下するとともに透水性も低下する傾向がみられるため、いずれも好ましくない。
結合材が、竹チップと土粒子の総量100重量部に対して5〜30重量部配合されているのが好ましい。こにより固化後の土木用被覆材の曲げ強さや耐摩耗性等の機械的強度、弾力性、透水性をいずれも満足させることができる。
ここで、竹チップと土粒子の総量100重量部に対する結合材の配合量が5重量部より少なくなるにつれ、結合材の量が少ないため竹チップや土粒子との結合が不十分で固化後の機械的強度が低下するとともに、竹チップや土粒子が剥がれ易くなり耐久性が低下する傾向がみられ、30重量部より多くなるにつれ、固化後の機械的強度は高まるが竹チップ間の間隙が結合材で埋められ透水性が低下したり弾力性が低下したりする傾向がみられるため、いずれも好ましくない。
石灰混合材としては竹チップ、土粒子が、消石灰や生石灰と混合されたものが用いられる。竹チップと土粒子との配合比は、前述と同様なので、説明を省略する。
土粒子に対する消石灰や生石灰の石灰質の配合量は、土粒子100重量部に対し、消石灰や生石灰が5〜100重量部配合されたものが好適である。消石灰や生石灰の配合量が5重量部より少なくなるにつれ路盤や路床の硬度向上効果が乏しくなる傾向がみられ、100重量部より多く配合しても路盤や路床のそれ以上の硬度改善効果がみられないため、いずれも好ましくない。消石灰と生石灰のいずれも用いることができるが、高含水比の軟弱な地盤には生石灰を用いるのが好ましい。水和による発熱作用と膨張作用によって地盤を強固にできるからである。
石灰混合層形成工程では、竹チップと土粒子と消石灰及び/又は生石灰とを含有した石灰混合材を路盤又は路床上に敷均する。
被覆層形成工程では、石灰混合材が敷均された石灰混合層の上に、竹チップと土粒子と結合材とを混練した土木用被覆材を敷均し、ローラーや転圧機等を用いて締め固め被覆層を形成する。形成された被覆層は24時間以上養生して結合材を固化させ、法面や路面を完成させる。
本発明の請求項に記載の法面や路面の被覆構造は、竹材を破片状乃至は粉末状に形成した竹チップと、まさ土,ローム,泥炭のいずれか1種以上の土粒子と、消石灰及び/又は生石灰と、を含有する石灰混合材が路盤又は路床に敷均された石灰混合層と、前記石灰混合層の上面に敷均された、竹材を破片状乃至は粉末状に形成した竹チップと、まさ土,ローム,泥炭のいずれか1種以上の土粒子と、ゴム系接着剤,合成樹脂系接着剤,アスファルトセメントのうちの一種の結合材と、を含有する土木用被覆材からなる被覆層と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)石灰混合材が路盤又は路床に敷均された石灰混合層と、石灰混合層の上面に敷均された土木用被覆材からなる被覆層と、を備えているので、路盤,路床の粘土分と石灰混合材の土粒子の粘土分と消石灰や生石灰とが反応し路盤や路床,土粒子が固化されるため、軟弱な地盤であっても路盤や路床の硬度を高くでき、路面や法面の安定性を高めることができる。また、消石灰や生石灰によって雑草が生えるのを防止することができ、景観に優れた法面や路面を形成できる。
(2)石灰混合層の竹チップと被覆層に含まれる結合材とが接着され、石灰混合層と被覆層とが接着され一体となるので、安定性の高い法面や路面が得られる。
ここで、石灰混合材は、前述と同様なので説明を省略する。
以上のように、本発明法面や路面の被覆方法及び法面や路面の被覆構造によれば、以下のような有利な効果が得られる。
請求項に記載の発明によれば、
(1)軟弱な地盤であっても路盤や路床の硬度を高くでき、路面や法面の安定性を高めることができるとともに、雑草が生えるのを防止することができ、景観に優れた法面や路面を形成できる法面や路面の被覆方法を提供することができる。
(2)石灰混合層と被覆層とが結合材で接着され一体となるので、安定性の高い法面や路面が得られる法面や路面の被覆方法を提供することができる。
請求項に記載の発明によれば、
(1)軟弱な地盤であっても路盤や路床の硬度を高くでき、路面や法面の安定性を高めることができるとともに、雑草が生えるのを防止することができ、景観に優れた法面や路面の被覆構造を提供できる。
(2)石灰混合層と被覆層とが結合材で接着され一体となるので、安定性の高い法面や路面の被覆構造を提供することができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
竹材を伐採後1〜10日程度放置して自然乾燥させた後、チッパーで粉砕して、平均の長径が5〜20mmの破片状に形成した竹チップを得た。この竹チップ(93体積%)とまさ土(7体積%)とを混合し、さらに竹チップとまさ土の合計100重量部に対し10重量部の割合で、結合材としてエマルジョン型のアクリル樹脂接着剤(品名:クレーベン、日本スタッコ製)を混合し、ミキサーで混練した。屋外にて、この混練物(土木用被覆材)を路盤の上に50mmの厚さで1000mm×2000mmの面積に敷均し、締固めて施工し2週間養生した。
(実施例2)
竹チップ70体積%、まさ土30体積%を混合し、竹チップとまさ土の合計100重量部に対し20重量部の割合でエマルジョン型のアクリル樹脂接着剤、無機系接合材として消石灰3重量部及び水0.8重量部を混合した以外は、実施例1と同様にして、土木用被覆材を施工した。
(実施例3)
竹チップ70体積%、まさ土30体積%を混合し、竹チップとまさ土の合計100重量部に対し20重量部の割合で結合材としてのウレタンプレポリマー溶液(NCBレジンKB−08、三井武田ケミカル製)を混合した以外は、実施例1と同様にして、土木用被覆材を施工した。
(実施例4)
竹チップ50体積%、まさ土50体積%を混合し、竹チップとまさ土の合計100重量部に対し25重量部の割合でエマルジョン型のアクリル樹脂接着剤を混合した以外は、実施例1と同様にして、土木用被覆材を施工した。
(実施例5)
竹チップ90体積%、まさ土10体積%を混合し、竹チップとまさ土の合計100重量部に対し3重量部の割合でエマルジョン型のアクリル樹脂接着剤を混合した以外は、実施例1と同様にして、土木用被覆材を施工した。
(実施例6)
竹チップ90体積%、まさ土10体積%を混合し、竹チップとまさ土の合計100重量部に対し40重量部の割合でエマルジョン型のアクリル樹脂接着剤を混合した以外は、実施例1と同様にして、土木用被覆材を施工した。
(比較例1)
竹チップ100重量部に対し20重量部の割合でエマルジョン型のアクリル樹脂接着剤を混合した以外は、実施例1と同様にして、土木用被覆材を施工した。比較例1は、まさ土からなる土粒子を配合していない点で、実施例と異なる。
(比較例2)
竹チップ70体積%、川砂30体積%を混合し、竹チップと川砂の合計100重量部に対し25重量部の割合でエマルジョン型のアクリル樹脂接着剤を混合した以外は、実施例1と同様にして、土木用被覆材を施工した。比較例2は、まさ土からなる土粒子に代えて川砂を配合している点で、実施例と異なる。
(土木用被覆材の評価)
実施例1〜6、比較例1,2について、(1)土木用被覆材の施工時の敷均作業及び締固め作業の作業性、(2)外観、(3)耐久性を評価した。なお、評価基準は、以下のとおりである。
(1)土木用被覆材の施工時の敷均作業及び締固め作業の作業性
土木用被覆材を路盤の上に施工したときの土木用被覆材の流動性と敷均作業及び締固め作業の作業性を、施工作業者が、比較例2の土木用被覆材の流動性や作業性と比較し、比較例2の土木用被覆材よりも流動性が良く路盤の追随性に優れ作業性が良いと感じられた場合を「○」、流動性が悪く作業性が悪いと感じられた場合を「×」と判定した。
(2)外観
土木用被覆材を路盤の上に施工してから2週間養生後の外観を目視判定した。発泡の程度が大きい場合や白濁が著しい場合、竹チップの分散が不良の場合を「×」と判定し、若干発泡がみられる場合や白濁が若干みられる場合を「△」と判定し、発泡が目立たない場合や分散が良い場合を「○」と判定した。
(3)耐久性
土木用被覆材を路盤の上に施工してから1年経過後に表面状態を観察し、はがれ、ひび割れ等の程度を目視判定した。施工時と比べて劣化の程度が大きいものを「×」と判定し、施工時と比べて若干劣化しているものを「△」と判定し、施工時と大差ない場合を「○」と判定した。
実施例1〜6、比較例1,2の配合と評価結果を(表1)に示す。
Figure 0004361477
(表1)から明らかなように、まさ土からなる土粒子を配合した実施例1〜6の土木用被覆材は、川砂を配合した比較例2の土木用被覆材と比較して、施工時の流動性が良く路盤の追随性に優れ、敷均作業及び締固め作業の作業性に優れることが確認された。また、実施例1〜6の土木用被覆材は、まさ土からなる土粒子が配合されているため、まさ土も川砂も配合されていない比較例1の土木用被覆材と比較して、耐摩耗性が高く耐久性に優れていることが確認された。
なお、実施例2の土木用被覆材は、実施例1と比較して、敷均し締固めた後の固化時間が短いことが確認され、養生時間を短縮でき作業性に優れることがわかった。これは、無機系接合材を添加したことによると推察された。
また、実施例3の土木用被覆材は、若干の白濁が観察された。これは、ウレタンプレポリマー溶液(ポリウレタン接着剤)が、竹チップの水分や湿度の影響で白濁したものであると推察された。
また、実施例4の土木用被覆材は、実施例1〜3と比較して、弾力性が低く舗装のクッション性が乏しく透水性も若干劣ると感じられた。土粒子の配合量が多いことが原因であると推察された。
また、実施例5の土木用被覆材は、表面に若干はがれた箇所があるのが観察された。これは、結合材の配合量が3重量部であったことにより、結合材の量が少なく固化後の機械的強度が低いためであると推察された。
また、実施例6の土木用被覆材は、実施例1〜3と比較して、透水性が乏しいと感じられた。結合材の配合量が多いため、竹チップ間の間隙が結合材で埋められ透水性が低下したものであると推察された。
なお、平均の長径が2mmの竹チップを用いた以外は実施例1と同様にして土木用被覆材を施工した場合は、表面に若干はがれた箇所があるのが観察された。竹チップ同士が絡み難くなるので固化後の土木用被覆材の機械的強度が低下し耐久性が低くなったと推察された。また、平均の長径が60mmの竹チップを用いた以外は実施例1と同様にして土木用被覆材を施工した場合は、表面から竹チップが突き出た大きな凹凸が形成され、さらに表面に若干はがれた箇所があるのが観察された。竹チップが大きいことと竹チップ間に多くの空隙が形成され機械的強度が低下したことが原因であると推察された。
また、竹チップ70体積%、まさ土30体積%を混合し、竹チップとまさ土の合計100重量部に対し20重量部の割合でエマルジョン型のアクリル樹脂接着剤、無機系接合材として消石灰9重量部及び水2.4重量部を混合した以外は、実施例1と同様にして、土木用被覆材を施工した場合は、実施例2よりも弾力性に欠けることが確認された。これは、無機系接合材の配合量が多いことが原因であると推察された。
また、土粒子としてローム,泥炭を用いた場合も同様に評価したが、まさ土を用いた場合と同様の結果が得られた。以上のことから、本実施例によれば、混練状態の塑性が大きく流動性が高いので法面や路面に敷均するときの施工性に優れ、さらに固化した後は弾力性を維持したまま耐摩耗性を高めることができ耐久性に優れた土木用被覆材を提供することができることが明らかになった。
(実施例7)
竹材を伐採後1〜10日程度放置し自然乾燥させた後チッパーで粉砕して、平均の長径が5〜20mmの破片状に形成した竹チップを得た。この竹チップ(60体積%)とまさ土(40体積%)とを混合し、さらに土粒子100重量部に対し30重量部の割合で消石灰を混合した石灰混合材を、屋外の法面の路床上に100mmの厚さで1000mm×2000mmの面積に敷均し石灰混合層を形成した(石灰混合層形成工程)。次いで、竹チップ(80体積%)とまさ土(20体積%)とを混合し、さらに竹チップとまさ土の合計100重量部に対し8重量部の割合で、結合材としてウレタンプレポリマー溶液(NCBレジンKB−08、三井武田ケミカル製)を混合し、ミキサーで混練した。この混練物(土木用被覆材)を石灰混合層の上に50mmの厚さで1000mm×2000mmの面積に敷均し、締固めて被覆層を形成した(被覆層形成工程)。その後2週間養生した。
土木用被覆材を法面に施工してから1年経過後に表面状態を観察したところ、はがれ、ひび割れ等は全くみられず、表面状態は施工時と大差なかった。また、法面の土木用被覆材を施工しなかった箇所から雑草が生えたのに対し、土木用被覆材を施工した箇所からは雑草が一切生えず、景観が著しく優れていた。
以上のように本実施例によれば、路面や法面の安定性を高めることができるとともに、雑草が生えるのを防止することができ、景観に優れた法面や路面を形成できる法面や路面の被覆方法及び法面や路面の被覆構造が得られることが明らかになった。
本発明は、路面や法面を被覆して舗装や法面の保護等に用いられる土木用被覆材用いた路面や法面の被覆方法並びに法面や路面の被覆構造に関し軟弱な地盤であっても路盤や路床の硬度を高くでき路面や法面の安定性を高めることができるとともに、雑草が生えるのを防止することができ、さらに施工性に優れるとともに景観に優れた法面や路面を形成できる法面や路面の被覆方法を提供でき、また、軟弱な地盤であっても路盤や路床の硬度を高くでき、路面や法面の安定性を高めることができるとともに、雑草が生えるのを防止することができ、景観に優れた法面や路面の被覆構造を提供できる。

Claims (2)

  1. 竹材を破片状乃至は粉末状に形成した竹チップと、まさ土,ローム,泥炭のいずれか1種以上の土粒子と、消石灰及び/又は生石灰と、を含有する石灰混合材を路盤又は路床に敷均し石灰混合層を形成する石灰混合層形成工程と、
    前記石灰混合層の上面に、竹材を破片状乃至は粉末状に形成した竹チップと、まさ土,ローム,泥炭のいずれか1種以上の土粒子と、ゴム系接着剤,合成樹脂系接着剤,アスファルトセメントのうちの一種の結合材と、を含有する土木用被覆材を敷均し被覆層を形成する被覆層形成工程と、
    を備えていることを特徴とする法面や路面の被覆方法。
  2. 竹材を破片状乃至は粉末状に形成した竹チップと、まさ土,ローム,泥炭のいずれか1種以上の土粒子と、消石灰及び/又は生石灰と、を含有する石灰混合材が路盤又は路床に敷均された石灰混合層と、
    前記石灰混合層の上面に敷均された、竹材を破片状乃至は粉末状に形成した竹チップと、まさ土,ローム,泥炭のいずれか1種以上の土粒子と、ゴム系接着剤,合成樹脂系接着剤,アスファルトセメントのうちの一種の結合材と、を含有する土木用被覆材からなる被覆層と、
    を備えていることを特徴とする法面や路面の被覆構造。
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