以下、本発明を具体化した実施形態について、第1実施例および第2実施例を用いて説明する。第1実施例は、第1の印刷面と第2の印刷面とが、基材30の裏面、つまりレンズシートとの固着面と反対側の面に形成された印刷媒体の一実施例である。また、第2実施例は、第1の印刷面と第2の印刷面とが、基材30の表面、つまりレンズシートとの固着面と同じ側の面に形成された印刷媒体の一実施例である。
(第1実施例)
本発明の第1実施例となる印刷媒体10について、図1を用いて説明する。図1は、印刷媒体10の構成要素を模式的に示した説明図である。印刷媒体10は、複数の円筒状の凸レンズ20が表面(図面上側)に形成された矩形形状を有するレンチキュラーシート10a、基材30、インク吸収層40、インク吸収層50、接着層61、接着層62から構成されている。
本実施例では、各凸レンズ20の円筒軸方向は、矩形形状を有するレンチキュラーシート10aの長辺と平行であるものとする。また、説明の簡略化のためレンチキュラーシートは6つの円筒状の凸レンズ20から構成されているものとして以降説明する。もとより、レンチキュラーシート10aは、凸レンズ20のピッチが10〜180LPI(Lens Per Inch)であるものが通常多く用いられ、実際にはこれらに相当する本数の凸レンズが存在したものである。
また、図1に示した印刷媒体10の各構成要素は、説明の都合上相当の厚さを有して図示されているが、実際にはそれぞれ概ね厚さが数十ミクロンから数百ミクロン程度のシート状(薄板状)に形成されている。
次に印刷媒体10を構成するこれらの各構成要素について具体的に順次説明する。その後、延在部10bを折り曲げて印刷媒体を葉書として作成する様子について図2を用いて説明する。
レンチキュラーシート10aは、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PETG(グリコール変性ポリエチレンテレフタレート)、APET、PP、PS、PVC、アクリル、UV、PC(ポリカーボネイト)樹脂やPMMA(メタクリル)樹脂など、レンズとして用いることができる透明な樹脂材料から形成され、その裏面(図面下側)部分全体が基材30と固着されている。固着方法は、基材30の材料に応じて、溶着や接着など周知の方法を用いて行われるが、レンチキュラーシート10aと基材30が透明性を保って固着できる方法であれば何でもよい。
基材30は、透明性を有する材料から薄板状に形成され、例えばPETG樹脂などが用いられる。もとより、通常のPET樹脂などを用いてもよく、後述する第1の印刷面に形成される視差画像をレンチキュラーシート10aを介して観賞できるような透明性を有し、同じく後述する折り目から折り曲げが可能な材料であれば何でも良い。
また、基材30は、図1に示したように、レンチキュラーシート10aとの固着部から図面右側方向に延び、矩形形状を有するレンチキュラーシート10aの右側長辺のさらに右側に隣接して存在する延在部10bを形成している。延在部10bは、レンチキュラーシート10aの裏面範囲に相当する面積領域を単位領域としたとき、この単位領域を2個分有した面積になっており、隣接部R1において隣接する第1の単位領域と、さらにこの第1の単位領域と隣接部R2において隣接する第2の単位領域を有している。従って、基材30は、単位領域3つ分の領域面積を有し、また、延在部10bは、隣接部R1と隣接部R2を基準にして基材30を折り曲げたとき、レンチキュラーシート10aの裏面範囲全体と重なる形状を有することになる。
インク吸収層40は、第1の単位領域において、基材30の裏面(図面下側)に形成され、単位領域面積を有する第1の印刷面P1を形成している。インク吸収層40は、各凸レンズ20に対する視差画像が形成される構成要素であり、視差画像がインクの吐出による印刷によって行われたとき、吐出されたインクを吸収し、吐出された位置にインクを固着させるためのものである。このインク吸収層40によって、各凸レンズ20に対応する位置に視差画像を安定して形成することができ、立体画像を適切に形成することができるのである。このインク吸収層40は、例えば、PVA(ポリビニルアルコール)等の親水性ポリマー樹脂、カチオン化合物、シリカ等の微粒子などを材料として形成されている。
インク吸収層50は、第2の単位領域において、同じく基材30の裏面に形成され、単位領域面積を有した第2の印刷面P2を形成している。インク吸収層50は、例えば、郵便番号や宛先などといった宛名に対応する文字などの形成が、インクの吐出による印刷によって行われたとき、吐出されたインクを吸収し、吐出された位置にインクを固着させるための構成要素である。インク吸収層50は、例えば、PVA(ポリビニルアルコール)等の親水性ポリマー樹脂、カチオン化合物、シリカ等の微粒子などを材料として形成されている。このインク吸収層50によって、宛名を適切に形成することができるのである。もとより、通常宛名を書くための葉書表面の色は、白色又は淡色であればよいことから、淡色を呈する材料であれば、これら以外の材料から構成されるようにしてもよい。
接着層61と接着層62は、基材30の表面と裏面にそれぞれ形成され、接着層61は第1の印刷面P1が形成されている第1の単位領域に、また、接着層62はレンチキュラーシート10aの裏面範囲となる単位領域に、それぞれ接着面として形成されている。
基材30の表面に形成される接着層61は、延在部10bにおいて、インク吸収層50が形成された基材30の第2の単位領域を、隣接部R2を基準にして折り曲げ、図面左側に隣接する第1の単位領域の表面に重ねて接着するためのものである。従って接着層61による接着後は、インク吸収層50に印刷された宛名は、レンチキュラーシート10aの固着側である印刷媒体10の表面側(図面上側)から観賞できることになる。
このため、接着層61は、印刷媒体10を葉書として送付する場合、仕分け作業や郵送などといった葉書としての取り扱い作業において、第2の単位領域が剥がれることのない程度の接着力を有する材料によって形成する。例えば、エポキシ系やアクリル系、あるいはシアノアクリレート系の接着剤などを材料としてもよいし、両面粘着テープを材料としてもよい。もとより、基材30同士が接着できる材料であれば何でもよい。
基材30の裏面に形成される接着層62は、インク吸収層40が形成されている第1の単位領域を、隣接部R1を基準にして折り曲げ、図面左側に隣接するレンチキュラーシート10aの裏面範囲に存在する基材30に重ねて接着するためのものである。従って接着層62による接着後は、第1の印刷面P1がレンチキュラーシート10aの裏面側に重なることになる。
このため、接着層62は、インク吸収層40と基材30とを貼り付けることが可能な接着力を有する材料によって形成する。例えば、エポキシ系やアクリル系、あるいはシアノアクリレート系の接着剤などを材料として形成してもよい。もとより、インク吸収層40と基材30とが接着ができる材料であれば何でもよい。
また、接着層62は、レンチキュラーシート10aと視差画像が印刷されたインク吸収層40との間に介在することになることから、インク吸収層40と基材30とが貼り付けられたとき、レンチキュラーシート10aの表面方向から視差画像が視認できる程度に透明な材料から形成されることが好ましい。
なお、本実施例では接着層の表面に剥離シートを設けていないが、接着層が汚れるなどによって接着力が劣化することが想定されるような場合は、接着層を保護するための剥離シートを設けるようにしてもよい。もとより、剥離シートは、単位領域同士を接着する際に、接着に先んじて接着層から剥離される。従って、接着層から剥離できる材料であれば、樹脂材料でも紙でも何でもよい。
それでは次に、延在部10bを順次折り曲げてレンチキュラーシート10aの裏面側に重ねて接着する様子を、図2を用いて説明する。図2は、本実施例における印刷媒体10を厚さ方向から見た模式図である。なお、基材30やインク吸収層40など印刷媒体10を構成する各構成要素は、前述したように概ね厚さが数十ミクロンから数百ミクロンのシート状(薄板状)に形成されることから、図2では、説明の簡略化のため基材30のみを一枚のシートとして図示した。
図2(a)に示したように、印刷媒体10には、いずれも基材30の裏面側(図面下側)であって、第1の単位領域に形成された第1の印刷面P1に「視差画像」が印刷され、第2の単位領域に形成された第2の印刷面P2に「宛名」が印刷されているものとする。このとき、図中太い矢印で示したように、視差画像および宛名は、基材30の裏面方向から視認できる状態となる。また、同じく印刷媒体10の裏面には、隣接部R1に相当する位置に「折り目T1」が、隣接部R2に相当する位置に「折り目T2」がそれぞれ形成されている。「視差画像」「宛名」の印刷、および「折り目T1」と「折り目T2」の形成については、後ほど補足説明する。
まず、図2(a)に示したように、折り目T2を基準として、基材30を折り曲げる。つまり、図中矢印で示した折り曲げ方向に第2の印刷面を曲げ込むことで、接着層61によって、第1の単位領域と、第2の印刷面P2が形成された第2の単位領域とを貼り合わせる。貼り合わせ後の状態を図2(b)に示す。図2(b)にて太い矢印で示したように、宛名は視差画像と反対方向、つまり基材30の表面方向から視認できる状態となる。
次に、図2(b)に示したように、折り目T1を基準として、基材30を折り曲げる。つまり、図中矢印で示した折り曲げ方向に第1の印刷面P1を曲げ込むことで、接着層62によって、第1の印刷面P1をレンチキュラーシート10aの裏面範囲に貼り合わせる。貼り合わせ後の状態を図2(c)に示す。
図2(c)から明らかなように、折り目T2と折り目T1を基準として折り曲げることによって、延在部10bはレンチキュラーシート10aの裏面範囲に重ねて貼り付けられるのである。さらに、図2(c)にて太い矢印で示したように、印刷媒体10は、レンチキュラーシート10aの表面方向からはレンチキュラーシート10aおよび基材30を介して視差画像を視認することができ、裏面方向からは宛名を視認することができる状態となる。つまり、印刷媒体10は、視差画像による立体画像を観賞することができる片面と、宛名が確認できる片面とを有する「葉書」の状態となるのである。
図2で説明したように、本実施例における印刷媒体10は、折り目T1およびT2を基準にして基材30を交互に折り曲げることによって、容易にレンチキュラーシート10aの部分と、延在部10bの部分とを貼り合わせることができる。また、折り目T1を基準に第1の印刷面P1を折り曲げることで、視差画像をレンチキュラーシート10aに形成された各凸レンズ20の位置に合わせて精度良く貼り合わせることができる。従って、レンチキュラーシートとの位置合わせを行いながら、接着剤を用いて視差画像の上から宛名書き用紙を貼り付けるというような面倒な作業を行うことなく、作成者は、容易に立体画像が観賞できる葉書を作成することが可能となる。
次に、前述した「視差画像」と「宛名」の印刷について図3を用いて説明する。図3(a)は印刷媒体10を厚さ方向から見た模式図であり、図3(b)はそれを上面方向から見た模式図である。ここでも図2と同様に、説明の簡略化のため基材30のみを一枚のシートとして図示した。なお、本実施例では、印刷ヘッドを有するキャリッジを走査し、この印刷ヘッドからインクを吐出して印刷する方式のプリンタによって、視差画像と宛名および折り目を印刷媒体に印刷するものとする。もとより、キャリッジを走査する方式のプリンタであればインクを吐出する方式以外(例えば感熱方式など)のプリンタを用いて印刷するものとしてもよい。
図3(a)に示したように、印刷媒体10の図面上側には、プリンタの印刷ヘッド(図示せず)を備えたキャリッジ90が配置され、図中矢印で示したように、キャリッジ90が図面左右方向に走査されることによって印刷媒体への印刷が行われる。もとより、印刷媒体10は、ローラーなど図示しないプリンタの搬送手段によって図面手前から奥の方向に搬送され、印刷媒体10の全体領域に印刷が行われるのである。
印刷媒体10のうち、レンチキュラーシート10aの図面下側には発光面99が配置されている。一方キャリッジ90には検出手段91が設けられ、この発光面99から発せられ、各凸レンズ20および基材30、接着層62を透過した透過光92を検出する。この透過光92は、凸レンズ20の厚みの変化に基づいて光量変化が生じることから、検出手段91は、キャリッジ走査(図中矢印)に合わせて生じる透過光の光量変化を検出してレンチキュラーシート10aにおける各凸レンズ20のピッチを検出する。もとより、キャリッジに、反射光を利用して各凸レンズ20のピッチを検出するための検出手段を備え、キャリッジ走査に合わせて凸レンズ20のピッチを検出することとしてもよい。反射光を利用して各凸レンズ20のピッチを検出する方法については、後述する第2実施例において説明する。
検出範囲は、レンチキュラーシート10aが存在する範囲全体であり、この範囲について、図3(b)の左側において矢印で示したように、キャリッジ90の走査に伴ってピッチ検出走査を行う。そして、検出した結果を、所定の処理を行い、例えばプリンタに内蔵された記憶手段に記憶することで、レンチキュラーシート10aの各凸レンズ20のピッチ情報を、視差画像の印刷に先んじて記憶する。
そして、図3(a)の中央において破線で示したように、キャリッジ90が視差画像印刷範囲を走査するとき、前述したように視差画像の印刷に先んじて記憶されている各凸レンズ20のピッチ情報を読み出し、読み出したピッチ情報に基づいて、各凸レンズ20に対応する所定の位置に、キャリッジ90に備えられた印刷ヘッド(図示せず)からインク95を吐出して、インク吸収層40の表面にインクを付着させ、所定の視差画像を印刷する。こうして、視差画像は各凸レンズ20に対して適切な位置に形成されるのである。
次に、図3(a)の右側において破線で示したように、視差画像印刷範囲から宛名印刷範囲にキャリッジ90の走査位置が移動すると、葉書として送付する相手の名前や住所などの宛名を印刷する。例えば、図3(b)の右側網掛け部に示したように、名前領域81や住所領域82に所定の文字を印刷する。この他にも、「郵便はがき」という文字など、葉書として満たすべき記載要件に応じて必要な文字を印刷する。具体的には、キャリッジ90に備えられた印刷ヘッド(図示せず)からインク95aを吐出してインク吸収層50の表面にインクを付着させることで、宛名を印刷するのである。ちなみに、図3(a)(b)右側において破線で示したキャリッジ90の走査位置では、名前領域81へ名前が印刷されている状態を示している。
ところで、視差画像は通常カラー画像であることからインク95はカラーインクが用いられる。また、幅の狭い凸レンズの1ピッチ内に右目用と左目用の視差画像を印刷するため、吐出されるインク滴は小さいサイズのものが適当である。一方、宛名書きは一般に郵便番号や宛名などの文字であることから、インク95aは通常黒インクが用いられる。また、文字の太さも視認性の関係から太目の文字が使われることが多いため、吐出されるインク滴は大きいサイズのものが適当である。
本実施例では、キャリッジ90に備えた印刷ヘッドから、このような視差画像と宛名にそれぞれ好適なインク95およびインク95aを吐出可能であるものとする。そして、視差画像印刷範囲ではインク95を、宛名印刷範囲ではインク95aをそれぞれ用いる。こうすることによって、視差画像と宛名の両方を、キャリッジ90の走査によって同時に印刷することが可能となる。
また、視差画像に比べて通常宛名は大きな文字で構成されることから、キャリッジ90の走査における送りピッチを、宛名印刷範囲では視差画像印刷範囲に対して大きくしてもよい。こうすれば、宛名印刷に要する時間を短縮することができる。もとより、インク95aはカラーインクを用いてもよいし、インク滴の大きさを同じにしてもよい。また、キャリッジの送りピッチを同じにしてもよい。
次に、「折り目T1」および「折り目T2」の形成について説明する。本実施例では、図3(b)に示したように、キャリッジ90の視差画像の印刷走査において、視差画像印刷範囲の左端、つまり図1において説明した隣接部R1に対応する位置に折り目T1を印刷する。また視差画像印刷範囲の右端もしくは宛名印刷範囲の左端、つまり図1において説明した隣接部R2に対応する位置に折り目T2をそれぞれ印刷することで折り目を形成する。従って、それぞれの位置において、キャリッジ90の印刷ヘッドからインクを吐出することによって、インク吸収層40もしくはインク吸収層50の表面にインクを付着させ、折り目T1およびT2を印刷する。
このとき、印刷された折り目T1およびT2は、視差画像の端の部分に位置することになることから、折り目T1およびT2を印刷するインクに、視差画像との区別が容易な視認性が高い色(例えば黒色など)のインクを用いるとよい。
また、図3(b)では、印刷された折り目T1およびT2を、一例として上下それぞれ1個のドットで示したが、もとより、作成者が視認できる程度の太さを有する破線や実線としてもよい。また隣接部R1の全体に印刷することとしてもよいし、一部のみ印刷することとしてもよい。なお、図2の説明から明らかなように、隣接部R1と隣接部R2とでは、基材30を折り曲げる方向が異なることから、図3(b)に示したように、折り目T1は谷折線(破線)、折り目T2は山折線(一点鎖線)としてもよい。こうすれば、折り目の位置に加えて曲げ方向についても視認性を高めることができる。
以上説明したように、第1実施例に示した印刷媒体10(図1参照)によれば、基材30について、いずれもレンチキュラーシート10aとの固着側と反対側に設けられた第1の印刷面P1に「視差画像」を、第2の印刷面P2に「宛名」をそれぞれ印刷することができる。従って、印刷媒体を裏返すことなく、一つの面に対する印刷つまり片面印刷によって視差画像と宛名を同時に印刷することが可能となる。
また、凸レンズ20のピッチ情報を、視差画像の印刷に先んじて検出し、検出したピッチ情報に基づいて視差画像を第1の印刷面P1に印刷するので、各凸レンズ20位置に合わせた位置に視差画像を印刷することができる。
また、基材30に接着層61および接着層62を形成しておき、折り目T2およびT1を基準として基材30を順次交互に折り曲げることで、視差画像および宛名が印刷された延在部10bをレンチキュラーシート10aの裏面側の適切な位置に容易に貼り合わせることが可能となる。従って、作成者は、別途接着剤を用いて延在部10bをレンチキュラーシート10aの裏面側に、位置合わせを行いながら貼り付けるといった面倒な作業を行うことなく葉書などにして他の人に送付することができる。また、図1、図2の説明から明らかなように、第1の印刷面P1と第2の印刷面P2には接着層を形成しないため、視差画像や宛名を汚したりして損傷させることも抑制できる。また、印刷面に直接印刷できることから、プリンタなどの印刷装置を用いて視差画像や宛名を印刷することが可能となる。
(第2実施例)
次に、第1の印刷面と第2の印刷面とが、基材の表面、つまりレンズシートとの固着面と同じ側の面に形成された印刷媒体の一実施例となる印刷媒体10Nについて、図4を用いて説明する。図4は、印刷媒体10Nの構成要素を模式的に示した説明図である。印刷媒体10Nは、複数の円筒状の凸レンズ20が表面(図面上側)に形成された矩形形状を有するレンチキュラーシート10a、基材30、インク吸収層40、インク吸収層50、接着層61、接着層62から構成されている。
ここで、図4に示したように、第2実施例の印刷媒体10Nについての各構成要素は、図1に示した第1実施例の印刷媒体10についての各構成要素と同じである。従って、個々の構成要素については既に第1実施例において説明しているので、第2実施例では、各構成要素についての説明を省略し、第1実施例との違いについて詳述する。
基材30の延在部10bにおいて、レンチキュラーシート10aの裏面範囲に相当する単位領域と、隣接部R1において隣接する第1の単位領域には、第1実施例と異なり、基材30の表面にインク吸収層50が形成されている。前述したように、インク吸収層50は第2の印刷面P2として形成され、宛名が印刷される印刷面となる。さらに、この第1の単位領域と隣接部R2において隣接する第2の単位領域には、同じく第1実施例と異なり、基材30の表面にインク吸収層40が形成されている。前述したように、インク吸収層40は第1の印刷面P1として形成され、視差画像が印刷される印刷面となる。もとより、隣接部R1と隣接部R2を基準にして基材30を折り曲げたとき、延在部10bはレンチキュラーシート10aの裏面範囲全体と重なる形状を有する。
また、接着層61と接着層62は、第1実施例と異なり、どちらも基材30の裏面に形成され、それぞれが単位領域を有した接着層として形成されている。これらの接着層は、基材30における隣接部R1において互いに隣接している。従って、接着層61および第2の印刷面P2は第1の単位領域に、第1の印刷面P1は第2の単位領域に形成されることになる。
次に、延在部10bを順次折り曲げてレンチキュラーシート10aの裏面側に重ねて接着する様子を、図5を用いて説明する。
図5は、本実施例における印刷媒体10Nを厚さ方向から見た模式図である。なお、基材30やインク吸収層40など印刷媒体10Nを構成する各構成要素は、前述したように概ね厚さが数十ミクロンから数百ミクロンのシート状(薄板状)に形成されていることから、図2に示した第1実施例と同様、図5では説明の簡略化のため基材30のみを一枚のシートとして図示した。
図5(a)に示したように、印刷媒体10Nには、いずれも基材30の表面側(図面上側)であって、第1の印刷面P1に「視差画像」が印刷され、第2の印刷面P2に「宛名」が印刷されているものとする。このとき、図中太い矢印で示したように、視差画像は第1の印刷面P1の表面方向つまり基材30の表面方向から、宛名も同じく基材30の表面方向からそれぞれ視認できる状態となる。また、同じく印刷媒体10Nには、各隣接部R1とR2にそれぞれ対応した「折り目T1NとT2N」が形成されている。この「視差画像」「宛名」の印刷と、「折り目T1NとT2N」の形成については後述する。
まず、図5(a)に示したように、折り目T2Nを基準として、基材30を折り曲げる。つまり、図中矢印で示した折り曲げ方向に第1の印刷面P1を曲げ込むことで、接着層61によって、第2の単位領域と、第1の単位領域とを貼り合わせる。貼り合わせ後の状態を図5(b)に示す。図5(b)にて太い矢印で示したように、視差画像は宛名と反対方向、つまり基材30の裏面方向から視認できる状態となる。
次に、図5(b)に示したように、折り目T1Nを基準として、基材30を折り曲げる。つまり、図中矢印で示した折り曲げ方向に第1の印刷面P1を曲げ込むことで、接着層62によって、第1の印刷面P1をレンチキュラーシート10aの裏面範囲に貼り合わせる。貼り合わせ後の状態を図5(c)に示す。
図5(c)から明らかなように、折り目T2Nと折り目T1Nを基準として折り曲げることによって、延在部10bはレンチキュラーシート10aの裏面範囲に重ねて貼り付けられるのである。さらに、印刷媒体10Nは、図5(c)にて太い矢印で示したように、レンチキュラーシート10aの表面方向からは、レンチキュラーシート10aおよび基材30を介して視差画像を視認することができ、裏面方向からは、宛名を視認することができる状態となる。つまり、印刷媒体10は、視差画像による立体画像を観賞することができる片面と、宛名が確認できる片面とを有する「葉書」の状態となるのである。
また、図5で説明したように、本実施例における印刷媒体10Nは、折り目T2NおよびT1Nを基準にして、基材30を同じ方向に連続して折り曲げることによって、レンチキュラーシート10aの部分と延在部10bの部分とを容易に貼り合わせることができる。また、折り目T1NとT2Nとを基準に第1の印刷面P1を順次折り曲げることで、視差画像をレンチキュラーシート10aに形成された各凸レンズ20の位置に合わせて精度良く貼り合わせることができる。従って、レンチキュラーシートとの位置合わせを行いながら、接着剤を用いて視差画像の上から宛名書き用紙を貼り付けるというような面倒な作業を行うことなく、作成者は、容易に立体画像が観賞できる葉書を作成することが可能となる。また、図4、図5の説明から明らかなように、第1の印刷面P1と第2の印刷面P2には接着層を形成しないため、視差画像や宛名を汚したりして損傷させることも抑制できる。また、印刷面に直接印刷できることから、プリンタなどの印刷装置を用いて視差画像や宛名を印刷することが可能となる。
それでは、前述した「視差画像」と「宛名」の印刷について、図6を用いて説明する。図6(a)は印刷媒体10Nを厚さ方向から見た模式図であり、図6(b)はそれを上面方向から見た模式図である。なお、本実施例では、印刷ヘッドを有するキャリッジを走査し、この印刷ヘッドからインクを吐出して印刷する方式のプリンタによって、視差画像と宛名および折り目を印刷媒体に印刷するものとする。もとより、キャリッジを走査する方式のプリンタであればインクを吐出する方式以外のプリンタ(例えば感熱方式など)を用いて印刷するものとしてもよい。
図6(a)に示したように、印刷媒体10Nの図面上側には、プリンタの印刷ヘッド(図示せず)を備えたキャリッジ90aが配置され、図面中矢印で示したように、キャリッジ90aが図面左右方向に走査されることによって印刷媒体への印刷が行われる。もとより、印刷媒体10Nは、ローラーなど図示しないプリンタの搬送手段によって図面手前から奥の方向に搬送され、印刷媒体10Nの全体領域に対して印刷が行われるのである。
さて、図6(a)に示したように、キャリッジ90aには、反射光93を利用して各凸レンズ20のピッチを検出するための検出手段91aが備えられ、キャリッジ走査(図中矢印)に合わせて凸レンズ20のピッチを検出する。もとより、前述した第1実施例と同様に、反射光ではなく、レンチキュラーシートの図面下側に配置された発光面からの透過光を利用して各凸レンズ20のピッチを検出することとしてもよい。ピッチ検出範囲は、レンチキュラーシート10aが存在する範囲であり、この範囲において、図6(b)の左側に矢印で示したように、キャリッジ90aの走査に伴ってピッチ検出走査を行う。そして、検出した結果を、所定の処理を行い、例えばプリンタに内蔵された記憶手段に記憶することで、レンチキュラーシート10aにおける各凸レンズ20のピッチ情報を記憶する。
そして、図6(a)の中央に示したように、ピッチ検出走査から宛名印刷範囲にキャリッジ90aの走査位置が移動すると、第1実施例(図3参照)同様、キャリッジ90aに備えられた印刷ヘッド(図示せず)からインク95aを吐出して葉書として送付する相手の名前や住所を印刷する。例えば、図6(b)の中央網掛け部に示したように、名前領域81や住所領域82に所定の文字などを印刷する。
続いて、図6(a)の右側に示したように、キャリッジ90aが視差画像印刷範囲を走査するとき、前述したように視差画像の印刷に先んじて記憶されている各凸レンズ20のピッチ情報を読み出し、読み出したピッチ情報に基づいて、各凸レンズ20に対応する所定の位置に、キャリッジ90aに備えられた印刷ヘッド(図示せず)からインク95を吐出して、インク吸収層40にインクを付着させ、所定の視差画像を印刷する。視差画像は、図6(b)の右側網掛け部に示した視差画像印刷範囲全体に印刷される。このように、各凸レンズ20のピッチ情報に基づいて、右目用と左目用の視差画像を形成することによって、視差画像はレンチキュラーシート10aの各凸レンズ20に対して適切な位置に形成される。その後、前述したように第1の印刷面P1がレンチキュラーシート10aの裏面側の適切な位置に貼り付けられることによって、立体画像を観賞することができるのである。
ところで、各凸レンズ20のピッチ情報に基づいて形成された視差画像は、図5の説明から明らかなように接着層61と接着層62とによって、2度左右が反転して折り曲げられ、レンチキュラーシート10aの裏面側に貼り付けられる。このため、図6(b)において、各凸レンズの位置と、その凸レンズに対応する視差画像の位置とは、左右反転することなく同じ位置関係になる。従って、記憶された各凸レンズのピッチ情報を左右反転などの付加処理を行うことなく、記憶されたピッチ情報をそのまま読み出して用いることができる。
本実施例では、キャリッジ90aに備えた印刷ヘッドから、第1実施例と同様、視差画像と宛名にそれぞれ好適なインク95およびインク95aを吐出可能であるものとする。そして、視差画像印刷範囲ではインク95を、宛名印刷範囲ではインク95aをそれぞれ用いる。こうすることによって、視差画像と宛名の両方を、キャリッジ90aの走査によって同時に印刷することが可能となる。
また、同じく第1実施例と同様、視差画像に比べて通常宛名は大きな文字で構成されることから、キャリッジ90aの走査における送りピッチを、宛名印刷範囲では視差画像印刷範囲に対して大きくしてもよい。こうすれば、宛名印刷に要する時間を短縮することができる。もとより、インク95aはカラーインクを用いてもよいし、インク滴の大きさを同じにしてもよい。また、キャリッジ90aの送りピッチを同じにしてもよい。
次に、「折り目T1NとT2N」の形成について説明する。本実施例では、図6(b)に示したように、キャリッジ90aの走査において、視差画像印刷範囲の左端、つまり図4において説明した隣接部R2に対応する位置に折り目T2Nを印刷して形成する。また宛名印刷範囲の左端、つまり図4において説明した隣接部R1に対応する位置に折り目T1Nをそれぞれ印刷して形成する。従って、それぞれの位置において、キャリッジ90aの印刷ヘッドからインクを吐出することによって、インク吸収層40およびインク吸収層50の表面にインクを付着させ、折り目T2NとT1Nの印刷を行う。
折り目T2Nとしてインク吸収層40に付着されたインクは、視差画像を印刷したインクと同様、その後このインク吸収層40にて定着される。従って、作成者は、視差画像の端部に印刷された折り目T2Nの位置を、視差画像と区別して視認することになることから、折り目T2Nを印刷するインクに、黒色など視認性が高い色のインクを用いるとよい。
また、図6(b)では、印刷された折り目T1NとT2Nとを、一例として上下それぞれ1個のドットで示したが、これ以外にも、作成者が視認できる程度の太さを有する破線や実線としてもよい。また各隣接部の全域に印刷することとしてもよいし、一部のみ印刷することとしてもよい。なお、図5の説明から明らかなように、折り目T1Nあるいは折り目T2Nは、山折り線(一点鎖線)としてもよい。こうすれば、折り目の位置に加え、折り曲げ方向についての視認性を高めることができる。図6(b)では、折り目T2Nとして山折り線を印刷した場合を図示した。
以上説明したように、第2実施例に示した印刷媒体10Nによれば、基材30について、どちらもレンチキュラーシート10aとの固着側と同じ側に設けられている第1の印刷面P1に「視差画像」を、第2の印刷面P2に「宛名」をそれぞれ印刷することができる。従って、印刷媒体を裏返すことなく、一つの面に対する印刷つまり片面印刷によって視差画像と宛名を同時に印刷することが可能となる。
また、視差画像の印刷時に凸レンズ20のピッチ情報をレンズの反射光を用いることで精度よく読み取ることができ、また読み取ったピッチ情報をそのまま用いて第1の印刷面P1に視差画像を印刷することができるので、各凸レンズ20に対して位置精度のよい視差画像を印刷することが可能となる。
また、基材30において、第1の単位領域と第2の単位領域とを貼り付けるために、印刷面と反対の面に接着層61を形成し、さらにレンチキュラーシート10aの裏面範囲に存在する基材部分に、第1の単位領域を貼り付けるための接着層62を形成することで、視差画像や宛名が印刷された印刷面に接着層を形成することなく、折り目T2NとT1Nを基準として基材30を順次折り曲げ、延在部10bの全体をレンチキュラーシート10aの裏面側に折り重ねて貼り合わせることが可能となる。従って、作成者は、別途接着剤を用いて延在部10bをレンチキュラーシート10aの裏面側に貼り付けるといった面倒な作業を行うことなく、また視差画像や宛名を損傷することなく葉書などにして他の人に送付することができる。また、延在部10bを、折り目を基準にして交互に折り曲げることから、凸レンズ20に対する視差画像の位置ズレを抑制してレンチキュラーシート10aの裏面側に貼り付けることができる。
以上、第1実施例と第2実施例について説明したが、これまでの説明から明らかなように、第1の印刷面と第2の印刷面とを基材の一方の面に形成することによって、「視差画像」と「宛名」とを一面の印刷処理によって同時に印刷することができる。また、第1の印刷面と第2の印刷面の形成面を基材の表面側(つまりレンチキュラーシートとの固着面側)にしたり基材の裏面側にしたりすることによって、作成者が所望する印刷方法に好適な印刷媒体を形成することができることになる。
例えば、作成者が用いるプリンタが、凸レンズのピッチを反射光を用いて検出するプリンタであった場合は、第2実施例のように、第1の印刷面と第2の印刷面とを基材の表面側に形成した印刷媒体とすればよい。あるいは、プリンタが、凸レンズの透過光を用いて検出するプリンタであった場合は、第1実施例のように、第1の印刷面と第2の印刷面とを基材の裏面側に形成した印刷媒体とすればよい。
以上、本発明を具体化した実施例について説明したが、本発明はこうした実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において様々な形態で実施し得ることは勿論である。
(第1変形例)
上記第1および第2実施例では、例えば図1に示したように、レンチキュラーシート10aの表面に形成された円筒形状の各凸レンズ20の円筒軸方向は、矩形形状を有するレンチキュラーシート10aの長辺と平行であることとした。そこで、第1変形例では、凸レンズの円筒軸方向は、レンチキュラーシート10aの長辺と平行でないこととしてもよい。
本変形例を、図7を用いて説明する。図7(a)は、上記第1実施例での印刷媒体10を示す模式図で、図7(b)は本変形例の印刷媒体を示す模式図である。上記第1実施例では、図7(a)に示したように、レンチキュラーシート10aは図面上下方向となる縦方向に円筒軸を持つ凸レンズが複数並んだレンチキュラーレンズが形成されており、その右端部に位置する長辺10kから右側方向に延在部10bが存在する。従って、図7(a)では、矢印で示したキャリッジ走査によって、凸レンズのピッチ情報の検出と視差画像および宛名の印刷とを同時に行うことができた。
これと比較して、図7(b)に示した本変形例での印刷媒体11は、凸レンズの円筒軸21が図面左右方向となる横方向になった状態のレンチキュラーシート11aと、図面下方向に形成された延在部11bとから構成されている。図7(b)に示した印刷媒体11の場合、図7(a)にて矢印で示したキャリッジ走査方向によって各凸レンズのピッチを検出すると、検出される凸レンズのピッチ数は少なくなったり、全く検出されなくなったりしてしまう。これに起因して、検出されたピッチ情報の精度が落ちたり、ピッチ情報が存在しなくなったりしてしまうことになるため、適切な位置に視差画像を印刷することが出来なくなってしまう。
そこで、延在部11bを、矩形形状を有するレンチキュラーシート11の長辺11kに隣接して形成するのではなく、短辺11hに隣接した下側に形成するのである。こうすることによって、視差画像および宛名印刷時におけるキャリッジ走査方向が、図中矢印で示した上下方向になるように印刷媒体11をプリンタにセットして印刷することができる。この結果、検出される凸レンズのピッチ数は多くなり、ピッチ情報の精度は高くなる。もとより、延在部11bをレンチキュラーシート11の図面下側でなく図面上側に形成してもよい。
なお、各凸レンズの円筒軸方向が、長辺あるいは短辺に対して斜めになっている場合は、円筒軸の方向に対して平行に近い方の辺から延在部を形成するとよい。こうすれば、検出される凸レンズのピッチ数は多くなり、ピッチ情報の精度は高くなる。
(第2変形例)
上記第1実施例および第2実施例では、図1および図4に示したように、延在部は、各単位領域の長辺を互いの隣接部として、レンチキュラーシートの右側方向に連続して2個の単位領域を有することとした。こうすることで、キャリッジの走査において、凸レンズのピッチを検出すると同時に視差画像の印刷および宛名の印刷を行うことができた。しかし、印刷媒体の横幅が、キャリッジ走査幅より広い場合や、印刷装置が備える搬送手段が搬送可能な横幅よりも広い場合が存在し得る。このような場合、第2変形例として、所定の単位領域間において、単位領域の短辺を互いの隣接部とすることとしても良い。こうすれば、印刷媒体の横幅を変更することができ、印刷装置によって視差画像および宛名の印刷が可能となる。本変形例について、図8を用いて説明する。
図8(a)は、第2実施例の印刷媒体10Nをレンチキュラーシート10aの表面方向から見た図であり、図8(b)は、本変形例の印刷媒体10NHを、同じくレンチキュラーシート10aの表面方向から見た図である。第2実施例では、図8(a)に示したように、レンチキュラーシート10aの右側長辺から右側に第2の印刷面P2が隣接し、さらにその右側に第1の印刷面P1が山折線で示した長辺を隣接部として隣接形成されている。一方、図8(b)では、レンチキュラーシート10aの右側長辺に隣接する第2の印刷面P2に対して、下側に第1の印刷面P1が山折線で示した短辺を隣接部として隣接形成されている。
この結果、第2実施例では、印刷媒体10Nは単位領域が3個分横に隣接した横幅を有する印刷媒体であったが、本変形例の印刷媒体10NHでは、単位領域が2個分横に隣接した横幅を有する印刷媒体とすることができる。このように、所定の単位領域においては、短辺を隣接部とすることによって、印刷媒体の横幅を変更することが可能となり、印刷装置によって視差画像および宛名を印刷することが可能となるのである。
もとより、本変形例では、第2の印刷面P2と第1の印刷面P1とを短辺にて隣接する例で説明したが、レンチキュラーシート10aと第2の印刷面P2とを短辺にて隣接することとしてもよい。あるいは、図1に示した第1実施例における印刷媒体10では、レンチキュラーシート10aと第1の印刷面P1とを短辺にて隣接することとしてもよい。さらに、レンチキュラーシート10aと第1の印刷面P1と第2の印刷面P2とが、全て短辺で隣接することとしてもよい。もとよりこのような変形例においては、凸レンズのピッチ検出と、視差画像の印刷および宛名の印刷とは、それぞれ別のキャリッジ走査にて行うことになる。
なお、この場合、各単位領域における隣接部の位置に応じて視差画像または宛名の印刷方向を変更する場合が生じる。例えば、図8に示した例では、印刷媒体10Nの第1の印刷面P1に対して、印刷媒体10NHの第1の印刷面P1は左右上下が反転した方向となっている。このような場合、印刷方向を変更して印刷すればよい。
(第3変形例)
また、上記第1および第2実施例では、図3および図6にて説明したように、折り目を印刷面に印刷することで形成することとしたが、基材に形成されることとしてもよい。
基材に折り目を形成する場合は、上述した印刷によって折り目を形成するのではなく、所定の間隔で切れ目(スリット)やミシン目を設けることによって、折り目を形成することとしてもよい。こうすれば、基材はスリットやミシン目の位置から容易に折れ曲がることになるため、作成者は折り目位置を注意深く見極めることなく延在部を折り曲げることが可能となる。
あるいは、基材に折り目を形成する場合、予め基材を折り曲げることによって形成した折り曲げ形状を折り目として形成することとしても良い。こうすれば、作成者は、予め折り曲げられた折り目によって容易に延在部を折り曲げ、レンチキュラーシートの裏面に視差画像を張り合わせることができる。
(第4変形例)
上記実施例における印刷媒体では、印刷面としてインク吸収層を形成することとしたが、印刷用紙を印刷面としてもよい。
インク吸収層は、前述したように、視差画像あるいは宛名の形成がインクの吐出による印刷によって行われたとき、吐出されたインクを吸収し、吐出された位置にインクを固着させるためのものであり、PVA(ポリビニルアルコール)等の親水性ポリマー樹脂、カチオン化合物、シリカ等の微粒子などを材料として形成されている。このため、インクの吸収量やインクの固着具合は、これら形成される材料に依存することになる。従って、インク吸収層の材料によっては、形成された視差画像について、解像度や画像色などの画像品質が、作成者の所望するものと異なることが起こり得る。例えば、作成者が写真と同等の画像品質の視差画像を所望しても、インク吸収層では実現が困難な場合である。
従って、本変形例では、このような場合に鑑み、視差画像の印刷面に写真用のインクジェット用紙(以降、「写真紙」と呼ぶ)などの印刷用紙を用いることとするのである。写真紙は、通常表面が光沢の有る状態と光沢の無い状態のものが印刷用紙として使用されているが、どちらを使用しても差し支えない。なお、写真紙は、基材30に貼り付けられて視差画像の印刷面を形成するが、貼り付け方法は接着剤を用いて貼り付けるなど、基材30と写真紙が接着できる方法であれば何でも良い。
(第5変形例)
また、上記実施例では、印刷媒体の各構成要素について、形成される各構成要素の厚さを規定しなかったが、レンチキュラーシート10aの厚さと印刷面の厚さとを、同じ厚さに形成することとしてもよい。
こうすれば、図4において、レンチキュラーシート10aと延在部10bとの段差を減少させることになり、キャリッジ走査において、キャリッジ90aと印刷媒体10Nとの空隙が、レンチキュラーシート10aと延在部10bとの隣接部において変化しないことから、例えばキャリッジ90aが隣接部の段差に起因して動作停止することなく安定した空隙を保ちながら走査を行うことができる。また、印刷面を同じ厚さにすることによって、第1の印刷面と第2の印刷面とを同一の方法で形成することができるため、印刷面の形成が容易となる。
さらに第1の印刷面と第2の印刷面とを同じ材料で形成してもよい。こうすれば、印刷面の形成が一層容易になる。例えば、印刷面をコーティングで行う場合、第1の印刷面と第2の印刷面とを同じコーティング作業で形成できるため作業が容易になる。
また、図4において、基材30の裏面側に形成される接着層61を延在部10b全体に形成し、接着層62の厚さと同じ厚さになるよう形成することが好ましい。こうすれば、印刷媒体10Nの厚さは、全体にほぼ均一の厚さになることから、例えば紙送りローラーなど、図示しないプリンタに設けられた印刷媒体の搬送手段において、厚みの変化が少ないことによって安定した搬送が可能となる。
また、接着層62と接着層61の材料を同じにしてもよい。こうすれば、接着層を基板の裏面に形成するとき、例えば同じ材料の両面粘着テープや接着剤を用いることができるため、形成作業が容易となる。
(その他の変形例)
上記実施例および変形例では、折り目を各構成要素に印刷したりあるいは切れ目を設けたりして形成することとしたが、第1の印刷面と第2の印刷面との間に所定の間隔を有する隙間を設け、この隙間を「折り目」として形成してもよい。こうすれば、印刷したり切れ目を入れたりすることなく、印刷面を形成するときに隙間を設けることで折り目を形成することができるため、折り目の形成が容易になる。なお、隙間は2つの印刷面の隣接部全体に設けることとしてもよいし、一部のみに設けることとしてもよい。もとより、隙間は作成者が視認できる間隔であれば良い。
さらに、上記第1および第2実施例では、図3および図6にて説明したように、宛名をプリンタの印刷にて行うこととしたが、宛名を作成者が手書きで行うこととしてもよい。この場合、宛名印刷以外の印刷、例えば郵便番号を記載する郵便枠を印刷するなど、葉書として必要な体裁に関する印刷を行うようにしてもよい。
また、本実施例では、レンズシートのレンズとしてレンチキュラーレンズを用いることとしたが、これに限らず、蝿の目レンズや蜂の巣状のレンズなど、本発明の趣旨である視差画像の変化を楽しむことができるレンズであれば、他のレンズ用いることができることは勿論である。
10…印刷媒体、10N…印刷媒体、10NH…印刷媒体、10a…レンチキュラーシート、10b…延在部、10k…長辺、11…印刷媒体、11a…レンチキュラーシート、11b…延在部、11h…短辺、11k…長辺、20…凸レンズ、21…円筒軸、30…基材、40…インク吸収層、50…インク吸収層、61…接着層、62…接着層、81…名前領域、82…住所領域、90…キャリッジ、90a…キャリッジ、91…検出手段、91a…検出手段、92…透過光、93…反射光、95…インク、95a…インク、99…発光面。