しかしながら、上部容量電極と下部容量電極との平面形状が相異なるように製造する技術によれば、相異なる平面形状のパターニングのために、複数のマスクを使うので製造工程が複雑高度化してしまう。即ち、一般に一つのマスクを作成するためには、レジストを一面に形成した後に、これをフォトリソグラフィ及びエッチングの手法により、パターニングするので、複数のマスクを用いると、これらの工程を複数回繰り返さなければならなくなる。加えて、別々のマスクを使用する度に、アラインメントずれや寸法ずれ等が発生するので、製造不良の原因が増加する結果となり、装置歩留まりはその性質上低下せざるを得ない。
更に、上部容量電極と下部容量電極との平面形状を顕著に異なるように製造したのでは、実際に容量として機能する領域は、上部容量電極と下部容量電極とが誘電体膜を介して相互に対向する領域に他ならないので、結局、蓄積容量の形成領域を増大させつつ相対的に容量値を低めていることに他ならない。即ち、限られた基板上領域に、このような上部容量電極と下部容量電極との平面形状が相異なる構造の蓄積容量を作成するのは、容量値を高めるのに本質的にそぐわないという技術的問題点がある。
他方で、製造工程は相対的に簡単であるが、上部容量電極と下部容量電極との平面形状が相互に同一であるように製造する技術によれば、製造された蓄積容量の誘電体膜の端部では、上部容量電極の縁と下部容量電極の縁とが、容量値の増大のために極薄く形成される誘電体膜のみを介して対向配置されている。このため、僅かのアラインメントずれや寸法ずれ、或いは成膜異物、エッチングや剥離工程が不完全な為に生じる膜残りや成膜欠陥等の存在により、上部容量電極の縁と下部容量電極の縁とが、電界集中を含めて電気的に短絡を起こしてしまいかねないという問題点がある。
本発明は、例えば上記問題点に鑑みなされたものであり、信頼性の高い蓄積容量を基板上に簡単に製造可能な基板装置の製造方法及び該基板装置、並びに該基板装置を備えた例えば液晶装置等の電気光学装置及び例えば液晶プロジェクタ等の電子機器を提供することを課題とする。
本発明の基板装置の製造方法は上記課題を解決するために、基板上に蓄積容量を備えた基板装置の製造方法であって、前記基板上に、前記蓄積容量の下部容量電極となる下部導電層、前記蓄積容量の誘電体膜となる中間層及び前記蓄積容量の上部容量電極となる上部導電層をこの順に積層する成膜工程と、前記上部導電層上に所定平面パターンを有するマスクを形成するマスク形成工程と、前記マスクを介して前記上部導電層をエッチングにより前記所定平面パターンにパターニングする第1パターニング工程と、前記マスクを介して前記中間層をエッチングにより前記所定平面パターンにパターニングする第2パターニング工程と、前記マスクの平面形状が小さくなるように前記マスクを後退させるマスク後退工程と、前記後退されたマスクを介して前記上部導電層をエッチングにより前記後退されたマスクに対応する平面形状にパターニングすると共に、前記後退されたマスク及び前記中間層を介して前記下部導電層をエッチングにより前記中間層の平面形状にパターニングする第3パターニング工程と、前記マスクを剥離する剥離工程とを備える。
本発明の基板装置の製造方法によれば、基板上に、例えばスパッタリング、蒸着、CVD(Chemical Vapor Deposition)等により下部導電層を形成し、その上に、例えば蒸着、熱酸化等により中間層を形成し、その上に、例えばスパッタリング、蒸着、CVD等により上部導電層を形成する。ここに、下部導電層は、例えば導電性金属、導電性のポリシリコン、導電性の金属シリサイド等の導電性材料から構成される。中間層は、例えば酸化シリコン、窒化シリコンやHfO2、Ta2O5、TiO2、MgO等の金属酸化膜、それらのうち少なくとも一つを含む多層膜等の絶縁性材料から構成される。上部導電層は、下部導電層と同じく、例えば導電性金属、導電性のポリシリコン、導電性の金属シリサイド等の導電性材料から構成される。そして、上部導電層と下部導電層とは、同じ導電性材料から構成されてもよいし、相異なる導電性材料から構成されてもよい。
その後、上部導電層上に所定平面パターンを有するマスクを形成する。ここでは、例えばレジストを上部導電層上の一面に形成した後にフォトリソグラフィ及びエッチングの手法によるパターニングによって、所定平面パターンを有するマスクを形成する。その後、マスクを介してのエッチングにより、上部導電層をマスクの有する所定平面パターンにパターニングし、中間層をやはりマスクの有する所定平面パターンにパターニングする。上部導電層については、例えば導電性のポリシリコン膜等から構成されていれば、フッ素を含んだエッチングガス(例えば、CF4、O2等を含むガス)を用いて、ドライエッチングすればよい。他方、中間層については、例えば酸化シリコン膜等から構成されていれば、酸化膜除去用のエッチングガス(例えば、CF4、O2等に加えてSF6+CHF3等のガスを含むガス)を用いて、ドライエッチングすればよい。
これらの後又はこれらと並行して、マスクを後退させる。ここに「マスクを後退させる」とは、マスクを構成するレジストの表面を、例えば酸素プラズマクリーニング等の洗浄処理によって、除去して、マスクの高さを低くすると共にマスクの平面形状を小さくすることを意味する。このようなマスク後退工程の後又はこれと並行して、後退されたマスクを介してのエッチングにより、上部導電層を、後退されたマスクに対応する平面形状にパターニングする。その後、マスクを剥離する。
以上の結果、下部容量電極や誘電体膜よりも、上部容量電極の平面形状が小さい蓄積容量を基板上に製造できる。このように製造された蓄積容量は、これら下部容量電極、誘電体膜及び上部容量電極の三者が同一平面形状を有する蓄積容量と比べて、誘電体膜の端面における、上部容量電極と下部容量電極との間の距離が顕著に長いことから電界集中が緩和されるので、これら両電極間で電気的な短絡が生じる可能性を顕著に低減できる。即ち、一般に製造誤差或いはアラインメントずれ、寸法のばらつき、膜残り等によって誘電体膜の端面付近で近接しており、よって非常に接触し易い両電極の端面付近が、本発明では3次元的に離間しているので、このような接触の可能性を顕著に低減できる。しかも、このような優れた構造の蓄積容量を構成する両電極をパターニングするために必要なマスクは、一つでよい。即ち、マスク後退工程の前後における大きさの相異なるマスクを利用することで、相異なる大きさの両電極や誘電体膜を形成できるので、製造工程を効率化する上で非常に有利である。仮にマスク数を増大させたのでは、レジスト成膜の回数及びエッチングの回数及び剥離回数が増大して、製造コストが顕著に増大すると共に、アラインメントずれや異物残り等により、製造歩留まりも低下してしまうのである。
このように、本発明の基板装置の製造方法によれば、信頼性の高い蓄積容量を基板上に簡単に製造可能となり、製造歩留まりを向上させることも可能である。
本発明の基板装置の製造方法の一態様では、前記所定平面パターンは、前記下部容量電極の平面形状に対応しており、前記第3パターニング工程は、前記上部導電層をパターニングすると共に、前記後退されたマスク及び前記中間層を介しての前記下部導電層用のエッチングにより前記下部導電層を前記中間層の平面形状にパターニングする。
この態様によれば、マスクの形成当初における所定平面パターンは、下部容量電極の平面形状に対応しており、第3パターニング工程によって、既に所定平面パターンにパターニングされた中間層を他のマスクとして、下部導電層から下部容量電極を形成できる。この結果、下部容量電極と誘電体膜とが同一平面形状であり、上部容量電極がこれらより一回り小さい蓄積容量を、比較的簡単に製造できる。
尚、中間層からなる誘電体膜の輪郭よりも、下部導電層からなる下部容量電極の輪郭の方が大きくなるように、第3パターニング工程を行ってもよい。
この態様では、前記第3パターニング工程において、前記上部導電層用のエッチングと前記下部導電層用のエッチングとは一括エッチングであるように製造してもよい。
このように製造すれば、後退させたレジストを介しての上部導電層のエッチングと中間層を他のマスクとしての下部導電層のエッチングとを、同時に行うことが可能となる。例えばフッ素を含んだエッチングガスを用いて両導電層を同時にエッチングすればよい。
この際、上部導電層と下部導電層とを、エッチング時間比或いは選択比が0.5〜1.5倍程度となるように、相互に同一材料又は類似の材料から同一層厚又は類似の厚みとして形成しておけば、第3パターニング工程において、概ね同時にパターニングが完了するようにできる。即ち、いずれか一方の導電層がエッチング過多又はエッチング不足となって、マスクの下まで除去されてしまうアンダーエッチや膜残りを簡単に回避可能となる。
特に誘電体膜が、当該第3パターニング工程におけるエッチングで削れ易い場合には、上述の上部導電層と下部導電層とのエッチング時間比或いは選択比を1.0倍に近付けることが望ましい。これにより、エッチング過多又はエッチング不足を回避可能となる。
この場合更に、前記上部導電層と前記下部導電層とは、同一材料からなるように製造してもよい。
このように製造すれば、上部導電層と下部導電層とを単純に同一層厚として成膜しておけば、第3パターニング工程において、同時にパターニングが完了する。従って、いずれか一方の導電層がエッチング過多又はエッチング不足となる事態を簡単に回避可能となる。
この場合、前記上部導電層と前記下部導電層とは、更に同一膜厚からなるように製造してもよい。
このように同一材料且つ同一膜厚から構成すると、上部導電層と下部導電層とのエッチング時間を合わせることができる。このため、第3パターニング工程における2層同時エッチングがスムーズに行える。
本発明の基板装置の製造方法は上記課題を解決するために、基板上に蓄積容量を備えた基板装置の製造方法であって、前記基板上に、前記蓄積容量の下部容量電極となる下部導電層、前記蓄積容量の誘電体膜となる中間層及び前記蓄積容量の上部容量電極となる上部導電層をこの順に積層する成膜工程と、前記上部導電層上に所定平面パターンを有するマスクを形成するマスク形成工程と、前記マスクを介して前記上部導電層をエッチングにより前記所定平面パターンにパターニングする第1パターニング工程と、前記マスクを介して前記中間層をエッチングにより前記所定平面パターンにパターニングする第2パターニング工程と、前記マスクの平面形状が小さくなるように前記マスクを後退させるマスク後退工程と、前記後退されたマスクを介して前記上部導電層をエッチングにより前記後退されたマスクに対応する平面形状にパターニングする第3パターニング工程と、前記マスクを剥離する剥離工程とを備え、前記第2パターニング工程後且つ前記マスク後退工程前において、前記マスクを介して前記下部導電層をエッチングにより前記マスクに対応する平面形状にパターニングする他のパターニング工程を備える。
本発明の基板装置の製造方法によれば、当該他のパターニング工程によって、下部導電層を、上部導電層及び中間層と同様に、後退前のマスクの有する所定平面パターンにパターニングできる。その後、マスク後退工程によりマスクを後退させ、該後退されたマスクを用いて上部導電層をエッチングすれば、下部容量電極と誘電体膜とが同一平面形状であり、上部容量電極がこれらより一回り小さい蓄積容量を、比較的簡単に製造できる。
本発明の基板装置の製造方法の他の態様では、前記マスク後退工程は、酸素プラズマによるクリーニング処理によって前記マスクを後退させる。
この態様によれば、酸素プラズマによるクリーニング処理(所謂“O2クリーニング”)によって、マスクを比較的容易且つ一様に後退させることが可能となる。従って、上部容量電極が下部容量電極より、その周囲に渡って均一に小さく構成された蓄積容量を比較的簡単に製造できる。
本発明の基板装置の製造方法は上記課題を解決するために、基板上に蓄積容量を備えた基板装置の製造方法であって、前記基板上に、前記蓄積容量の下部容量電極となる下部導電層、前記蓄積容量の誘電体膜となる中間層及び前記蓄積容量の上部容量電極となる上部導電層をこの順に積層する成膜工程と、前記上部導電層上に所定平面パターンを有するマスクを形成するマスク形成工程と、前記マスクを介して前記上部導電層をエッチングにより前記所定平面パターンにパターニングする第1パターニング工程と、前記マスクを介して前記中間層をエッチングにより前記所定平面パターンにパターニングする第2パターニング工程と、前記マスクの平面形状が小さくなるように前記マスクを後退させるマスク後退工程と、前記後退されたマスクを介して前記上部導電層をエッチングにより前記後退されたマスクに対応する平面形状にパターニングする第3パターニング工程と、前記マスクを剥離する剥離工程とを備え、前記マスク後退工程は、前記第2パターニング工程後であり且つ前記第3パターニング工程前に行われる。
本発明の基板装置の製造方法によれば、マスクの後退が完了した時点におけるマスクの平面形状に対応する形状を有する上部容量電極を構成できる。即ち、上部容量電極のパターニング精度を安定して高めることが可能となり、設計通りの或いは設計に近い構造を有する蓄積容量を比較的容易に製造できる。
或いは本発明の基板装置の製造方法の他の態様では、前記マスク後退工程は、前記第1、第2又は第3パターニング工程中に、前記エッチングと並行して行われる。
この態様によれば、マスクの後退が完了する以前に、即ち、マスクが徐々に後退する最中に或いは後退の途中で、上部容量電極をエッチングできる。従って、製造工程を短時間化及び簡略化できる。例えば、O2クリーニング用の酸素プラズマを、エッチング用のフッ素を含むエッチングガスに混入することで、このような処理を行えばよい。尚、この結果として、テーパ形状を有する上部容量電極が形成される。
本発明の基板装置の製造方法の他の態様では、前記マスク後退工程は、前記基板上における前記マスクの輪郭をその周囲に渡って等距離だけ後退させる。
この態様によれば、マスク後退工程において、マスクの輪郭をその周囲に渡って等距離だけ後退させるので、最終的には、下部容量電極よりも、その周囲に渡って輪郭が等距離だけ小さい上部容量電極を形成できる。しかも、マスクの後退距離を調整することで、このような輪郭差を調整できるので、例えば、下部容量電極よりも僅かに小さい上部容量電極を、一つのマスクを用いて簡単に形成できる。
本件の参考発明に係る基板装置は上記課題を解決するために、上述した本発明の基板装置の製造方法(但し、その各種態様を含む)によって製造された基板装置であって、前記基板上に、前記下部容量電極、前記誘電体膜及び前記上部容量電極がこの順に積層されており、前記上部容量電極は、前記誘電体膜と比べて平面形状が小さく、前記下部容量電極は、前記誘電体膜と比べて平面形状が同じか又は大きい。
本件の参考発明に係る基板装置によれば、下部容量電極、誘電体膜及び上部容量電極の三者が同一平面形状を有する蓄積容量と比べて、誘電体膜の端面における、上部容量電極と下部容量電極との間の距離が顕著に長いので、これら両電極間で電気的な短絡が生じる可能性を顕著に低減できる。即ち、一般に製造誤差或いはアラインメントずれ、寸法のばらつき、膜残り等によって誘電体膜の端面付近で近接しており、よって非常に接触し易い両電極の端面付近が、本発明では3次元的に離間しているので、このような接触の可能性を顕著に低減できる。
このように、信頼性の高い蓄積容量を基板上に有する基板装置が実現される。
本件の参考発明に係る基板装置の一態様では、前記下部容量電極、前記誘電体膜及び前記上部容量電極は、平面形状が相互に相似形である。
この態様によれば、相互に相似形である下部容量電極と上部容量電極とを備えており、その周囲に渡って一様に誘電体膜の端面付近における絶縁不良或いは短絡の可能性が低減されている。特に絶縁不良及び短絡は一箇所において発生しただけでも蓄積容量全体が不良化してしまうことに鑑みれば、誘電体膜の端面の周囲に渡って不良化の可能性を一様に低減する構成は、上部容量電極の面積を下部容量電極の面積と比べて不必要に小さくしないことで容量値を大きく確保する意味で、大変優れている。即ち、限られた領域内に、相対的に大きな蓄積容量を作成することが可能となる。
本件の参考発明に係る基板装置の他の態様では、前記下部容量電極の下層側に層間絶縁膜を介して形成されると共に前記下部容量電極に前記層間絶縁膜に開孔されたコンタクトホールを介して接続された半導体素子を更に備えており、前記下部容量電極における前記コンタクトホールに接続された個所における幅は、前記コンタクトホールの径よりも大きい。
この態様によれば、下部容量電極の幅を広くとることで、コンタクトホールを介しての接続を良好にとることが可能となる。仮にコンタクトホールの径以下の幅しか持たない下部容量電極を形成したのでは、その製造時に、下部容量電極の脇からコンタクトホール内にエッチングが進行する関係上、コンタクトホール内部やその底部に接続された配線や電子素子等がダメージを受けてしまいかねない。逆に本発明の如き構成を有していれば、コンタクトホール付近における装置の信頼性は非常に高いものとなる。しかも、このように幅広の下部容量電極を利用すれば、誘電体膜を介して下部容量電極と上部容量電極とが対向配置されてなる蓄積容量における実際に容量を構成する領域の幅についても、コンタクトホールよりも幅広にでき、或いはその底側に接続された各種配線よりも幅広にできる。よって、限られた領域内に構築可能な蓄積容量の容量値を高めることが可能となる。このように、装置の信頼性が高く且つ容量値が高められた蓄積容量を備えた電気光学装置が実現される。
本件の参考発明に係る第1電気光学装置は上記課題を解決するために、上述した本発明の基板装置(但し、その各種態様を含む)を含む。
本件の参考発明に係る第1電気光学装置は、上述した本件の参考発明に係る基板装置を備えるので、信頼性が高く且つ容量値に優れた蓄積容量を有しており、これにより、高品位の画像表示が可能な液晶装置、有機EL装置等の電気光学装置として構築される。
本件の参考発明に係る第2電気光学装置は上記課題を解決するために、上述した本件の参考発明に係る基板装置における半導体素子を備えた態様を備え、前記基板上における画像表示領域に複数配列された画素電極を更に備えており、前記下部容量電極は、前記画素電極に接続されており、前記半導体素子は、そのソース又はドレインが前記コンタクトホールを介して前記下部容量電極に接続された薄膜トランジスタからなり、前記蓄積容量は、前記画像表示領域内において各画素の非開口領域内に配置されている。
本件の参考発明に係る第2電気光学装置によれば、下部容量電極の幅を広くとることで、コンタクトホールを介しての薄膜トランジスタのソース又はドレインとの接続を良好にとることが可能となる。しかも、このように幅広の下部容量電極を利用すれば、誘電体膜を介して下部容量電極と上部容量電極とが対向配置されてなる蓄積容量における実際に容量を構成する領域の幅についても、幅広にできる。よって、限られた各画素の非開口領域内において、蓄積容量の容量値を高めることが可能となる。そして、このような蓄積容量は、画素電極に接続されており、薄膜トランジスタによりスイッチング制御される画素電極における保持特性を、その容量値に応じて高めることが可能とされている。このように、装置の信頼性が高く且つ容量値に優れた蓄積容量を備えており、高品位の画像表示画可能である、電気光学装置が実現される。
本件の参考発明に係る電子機器は上記課題を解決するために、上述した本件の参考発明に係る第1又は第2の電気光学装置(但し、その各種態様も含む)を具備してなる。
本件の参考発明に係る電子機器は、上述した本件の参考発明に係る電気光学装置を具備してなるので、信頼性が高く、高品位の画像表示画が可能な、投射型表示装置、液晶テレビ、携帯電話、電子手帳、ワードプロセッサ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルなどの各種電子機器を実現できる。また、本発明の電子機器として、例えば電子ペーパなどの電気泳動装置の他に、電子放出素子(Field Emission Display及びSurface-Conduction Electron-Emitter Display)等も実現することが可能である。
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施の形態から明らかにされる。
以下では、本発明の実施の形態について図を参照しつつ説明する。以下の実施形態は、本発明の電気光学装置を液晶装置に適用したものである。
〔電気光学装置の全体構成〕
まず、本発明の電気光学装置に係る実施形態の全体構成について、図1及び図2を参照して説明する。ここに、図1は、TFTアレイ基板をその上に形成された各構成要素と共に対向基板の側から見た電気光学装置の平面図であり、図2は、図1のH−H’断面図である。ここでは、電気光学装置の一例である駆動回路内蔵型のTFTアクティブマトリクス駆動方式の液晶装置を例にとる。
図1及び図2において、本実施形態に係る電気光学装置では、TFTアレイ基板10と対向基板20とが対向配置されている。TFTアレイ基板10と対向基板20との間に液晶層50が封入されており、TFTアレイ基板10と対向基板20とは、画像表示領域10aの周囲に位置するシール領域に設けられたシール材52により相互に接着されている。
シール材52は、両基板を貼り合わせるための、例えば紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂等からなり、製造プロセスにおいてTFTアレイ基板10上に塗布された後、紫外線照射、加熱等により硬化させられたものである。また、シール材52中には、TFTアレイ基板10と対向基板20との間隔(基板間ギャップ)を所定値とするためのグラスファイバ或いはガラスビーズ等のギャップ材が散布されている。あるいは、当該液晶装置が液晶ディスプレイや液晶テレビのように大型で等倍表示を行う液晶装置であれば、このようなギャップ材は、液晶層50中に含まれてよい。
シール材52が配置されたシール領域の内側に並行して、画像表示領域10aの額縁領域を規定する遮光性の額縁遮光膜53が、対向基板20側に設けられている。但し、このような額縁遮光膜53の一部又は全部は、TFTアレイ基板10側に内蔵遮光膜として設けられてもよい。
シール材52が配置されたシール領域の外側に位置する領域には、データ線駆動回路101及び外部回路接続端子102がTFTアレイ基板10の一辺に沿って設けられている。また、走査線駆動回路104は、この一辺に隣接する2辺に沿い、且つ、前記額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられている。更に、このように画像表示領域10aの両側に設けられた二つの走査線駆動回路104間をつなぐため、TFTアレイ基板10の残る一辺に沿い、且つ、前記額縁遮光膜53に覆われるようにして複数の配線105が設けられている。
また、対向基板20の4つのコーナー部には、両基板間の上下導通端子として機能する上下導通材106が配置されている。他方、TFTアレイ基板10にはこれらのコーナー部に対向する領域において上下導通端子が設けられている。これらにより、TFTアレイ基板10と対向基板20との間で電気的な導通をとることができる。
図2において、TFTアレイ基板10上には、画素スイッチング用のTFTや走査線、データ線等の配線が形成された後の画素電極9a上に、配向膜が形成されている。他方、対向基板20上には、対向電極21の他、格子状又はストライプ状の遮光膜23、更には最上層部分に配向膜が形成されている。また、液晶層50は、例えば一種又は数種類のネマティック液晶を混合した液晶からなり、これら一対の配向膜間で、所定の配向状態をとる。
なお、図1及び図2に示したTFTアレイ基板10上には、これらのデータ線駆動回路101、走査線駆動回路104等に加えて、画像信号線上の画像信号をサンプリングしてデータ線に供給するサンプリング回路、複数のデータ線に所定電圧レベルのプリチャージ信号を画像信号に先行して各々供給するプリチャージ回路、製造途中や出荷時の当該電気光学装置の品質、欠陥等を検査するための検査回路等を形成してもよい。
〔画素部における構成〕
以下では、本発明の本実施形態における電気光学装置の画素部における構成について、図3から図7を参照して説明する。ここに図3は、電気光学装置の画像表示領域を構成するマトリクス状に形成された複数の画素における各種素子、配線等の等価回路であり、図4は、データ線、走査線、画素電極等が形成されたTFTアレイ基板の相隣接する複数の画素群の平面図である。また、図5は、図4のうち特に蓄積容量の構成例を説明するために、該蓄積容量と一部の構成要素を抜き出して描いた平面図であり、図6も蓄積容量の構成について説明するため、特に該蓄積容量の上部電極の構成に係る当該蓄積容量の特性をグラフに表して示してある。
更に、図7は、図4のA−A´断面図である。なお、図7においては、各層・各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、該各層・各部材ごとに縮尺を異ならしめてある。
(画素部の回路構成)
図3において、本実施形態における電気光学装置の画像表示領域を構成するマトリクス状に形成された複数の画素には、それぞれ、画素電極9aと当該画素電極9aをスイッチング制御するためのTFT30とが形成されており、画像信号が供給されるデータ線6aが当該TFT30のソースに電気的に接続されている。データ線6aに書き込む画像信号S1、S2、…、Snは、この順に線順次に供給しても構わないし、相隣接する複数のデータ線6a同士に対して、グループ毎に供給するようにしてもよい。
また、TFT30のゲートにゲート電極3aが電気的に接続されており、所定のタイミングで、走査線11a及びゲート電極3aにパルス的に走査信号G1、G2、…、Gmを、この順に線順次で印加するように構成されている。画素電極9aは、TFT30のドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるTFT30を一定期間だけそのスイッチを閉じることにより、データ線6aから供給される画像信号S1、S2、…、Snを所定のタイミングで書き込む。
画素電極9aを介して電気光学物質の一例としての液晶に書き込まれた所定レベルの画像信号S1、S2、…、Snは、対向基板に形成された対向電極との間で一定期間保持される。液晶は、印加される電圧レベルにより分子集合の配向や秩序が変化することにより、光を変調し、階調表示を可能とする。ノーマリーホワイトモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が減少し、ノーマリーブラックモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が増加され、全体として電気光学装置からは画像信号に応じたコントラストをもつ光が出射する。
ここで保持された画像信号がリークするのを防ぐために、画素電極9aと対向電極との間に形成される液晶容量と並列に蓄積容量70を付加する。この蓄積容量70は、走査線11aに並んで設けられ、固定電位側容量電極を含むとともに定電位に固定された容量電極300を含んでいる。
〔画素部の具体的構成〕
以下では、上記データ線6a、走査線11a及びゲート電極3a、TFT30等による、上述のような回路動作が実現される電気光学装置の、具体的の構成について、図4乃至図7を参照して説明する。
まず、図4において、画素電極9aは、TFTアレイ基板10上に、マトリクス状に複数設けられており、画素電極9aの縦横の境界に各々沿ってデータ線6a及び走査線3aが設けられている。データ線6aは、後述するようにアルミニウム膜等を含む積層構造からなり、走査線11aは、例えば導電性のポリシリコン膜等からなる。また、走査線11aは、半導体層1aのうち図中右上がりの斜線領域で示したチャネル領域1a´に対向するゲート電極3aにコンタクトホール12cvを介して電気的に接続されており、該ゲート電極3aは該走査線11aに含まれる形となっている。すなわち、ゲート電極3aとデータ線6aとの交差する箇所にはそれぞれ、チャネル領域1a´に、走査線11aに含まれるゲート電極3aが対向配置された画素スイッチング用のTFT30が設けられている。これによりTFT30(ゲート電極を除く。)は、ゲート電極3aと走査線11aとの間に存在するような形態となっている。
次に、電気光学装置は、図7に示すように、例えば、石英基板、ガラス基板、シリコン基板からなるTFTアレイ基板10と、これに対向配置される、例えばガラス基板や石英基板からなる対向基板20とを備えている。
TFTアレイ基板10の側には、図7に示すように、前記の画素電極9aが設けられており、その上側には、ラビング処理等の所定の配向処理が施された配向膜16が設けられている。画素電極9aは、例えばITO膜等の透明導電性膜からなる。他方、対向基板20の側には、その全面に渡って対向電極21が設けられており、その下側には、ラビング処理等の所定の配向処理が施された配向膜22が設けられている。対向電極21は、上述の画素電極9aと同様に、例えばITO膜等の透明導電性膜からなる。
このように対向配置されたTFTアレイ基板10及び対向基板20間には、前述のシール材52(図1及び図2参照)により囲まれた空間に液晶等の電気光学物質が封入され、液晶層50が形成される。液晶層50は、画素電極9aからの電界が印加されていない状態で配向膜16及び22により所定の配向状態をとる。
一方、TFTアレイ基板10上には、前記の画素電極9a及び配向膜16の他、これらを含む各種の構成が積層構造をなして備えられている。この積層構造は、図7に示すように、下から順に、走査線11aを含む第1層、ゲート電極3aを含むTFT30等を含む第2層、蓄積容量70を含む第3層、データ線6a等を含む第4層、容量配線400等を含む第5層、前記の画素電極9a及び配向膜16等を含む第6層(最上層)からなる。また、第1層及び第2層間には下地絶縁膜12が、第2層及び第3層間には第1層間絶縁膜41が、第3層及び第4間には第2層間絶縁膜42が、第4層及び第5層間には第3層間絶縁膜43が、第5層及び第6層間には第4層間絶縁膜44が、それぞれ設けられており、前述の各要素間が短絡することを防止している。また、これら各種の絶縁膜12、41、42、43及び44には、例えば、TFT30の半導体層1a中の高濃度ソース領域1dとデータ線6aとを電気的に接続するコンタクトホール等もまた設けられている。以下では、これらの各要素について、下から順に説明を行う。
(積層構造・第1層の構成―走査線等―)
まず、第1層には、例えば、Ti、Cr、W、Ta、Mo等の高融点金属のうちの少なくとも一つを含む、金属単体、合金、金属シリサイド、ポリシリサイド、これらを積層したもの、或いは導電性ポリシリコン等からなる走査線11aが設けられている。この走査線11aは、平面的にみて、図4のX方向に沿うように、ストライプ状にパターニングされている。より詳しく見ると、ストライプ状の走査線11aは、図4のX方向に沿うように延びる本線部と、データ線6a或いは容量配線400が延在する図4のY方向に延びる突出部とを備えている。なお、隣接する走査線11aから延びる突出部は相互に接続されることはなく、したがって、該走査線11aは1本1本分断された形となっている。
(積層構造・第2層の構成―TFT等―)
次に、第2層として、ゲート電極3aを含むTFT30が設けられている。TFT30は、図7に示すように、LDD(Lightly Doped Drain)構造を有しており、その構成要素としては、上述したゲート電極3a、例えばポリシリコン膜からなりゲート電極3aからの電界によりチャネルが形成される半導体層1aのチャネル領域1a´、ゲート電極3aと半導体層1aとを絶縁するゲート絶縁膜を含む絶縁膜2、半導体層1aにおける低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1c並びに高濃度ソース領域1d及び高濃度ドレイン領域1eを備えている。
また、本実施形態では、この第2層に、上述のゲート電極3aと同一膜として中継電極719が形成されている。この中継電極719は、平面的に見て、図4に示すように、各画素電極9aのX方向に延びる一辺の略中央に位置するように、島状に形成されている。中継電極719とゲート電極3aとは同一膜として形成されているから、後者が例えば導電性ポリシリコン膜等からなる場合においては、前者もまた、導電性ポリシリコン膜等からなる。
なお、上述のTFT30は、好ましくは図7に示したようにLDD構造をもつが、低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1cに不純物の打ち込みを行わないオフセット構造をもってよいし、ゲート電極3aをマスクとして高濃度で不純物を打ち込み、自己整合的に高濃度ソース領域及び高濃度ドレイン領域を形成するセルフアライン型のTFTであってもよい。
(積層構造・第1層及び第2層間の構成―下地絶縁膜―)
以上説明した走査線11aの上、かつ、TFT30の下には、例えばシリコン酸化膜等からなる下地絶縁膜12が設けられている。下地絶縁膜12は、走査線11aからTFT30を層間絶縁する機能のほか、TFTアレイ基板10の全面に形成されることにより、TFTアレイ基板10の表面研磨時における荒れや、洗浄後に残る汚れ等で画素スイッチング用のTFT30の特性変化を防止する機能を有する。
この下地絶縁膜12には、平面的にみて半導体層1aの両脇に、後述するデータ線6aに沿って延びる半導体層1aのチャネル長の方向に沿った溝状のコンタクトホール12cvが掘られており、このコンタクトホール12cvに対応して、その上方に積層されるゲート電極3aは下側に凹状に形成された部分を含んでいる。また、このコンタクトホール12cv全体を埋めるようにして、ゲート電極3aが形成されていることにより、該ゲート電極3aには、これと一体的に形成された側壁部3bが延設されるようになっている。これにより、TFT30の半導体層1aは、図4によく示されているように、平面的にみて側方から覆われるようになっており、少なくともこの部分からの光の入射が抑制されるようになっている。
また、この側壁部3bは、前記のコンタクトホール12cvを埋めるように形成されているとともに、その下端が前記の走査線11aと接するようにされている。ここで走査線11aは、上述のようにストライプ状に形成されていることから、ある行に存在するゲート電極3a及び走査線11aは、当該行に着目する限り、常に同電位となる。
(積層構造・第3層の構成―蓄積容量等―)
さて、前述の第2層に続けて第3層には、蓄積容量70が設けられている。蓄積容量70は、TFT30の高濃度ドレイン領域1e及び画素電極9aに接続された画素電位側容量電極としての下部電極71と、固定電位側容量電極としての容量電極300とが、誘電体膜75を介して対向配置されることにより形成されている。本実施形態に係る蓄積容量70は、図4及び図5の平面図を見るとわかるように、画素電極9aの形成領域にほぼ対応する光透過領域には至らないように形成されているため(換言すれば、遮光領域内に収まるように形成されているため)、電気光学装置全体の画素開口率は比較的大きく維持され、これにより、より明るい画像を表示することが可能となる。
より詳細には、下部電極71は、例えば導電性金属、導電性のポリシリコン膜、導電性の金属シリサイド膜等の導電材料から構成され、画素電位側容量電極として機能する。また、この下部電極71は、画素電位側容量電極としての機能のほか、画素電極9aとTFT30の高濃度ドレイン領域1eとを中継接続する機能をもつ。ちなみに、ここにいう中継接続は、前記の中継電極719を介して行われている。
ただし、下部電極71は、金属又は合金を含む単一層膜又は多層膜から構成してもよい。
誘電体膜75は、図7に示すように、例えば膜厚5〜200nm程度の比較的薄いHTO(High Temperature Oxide)膜、LTO(Low Temperature Oxide)膜等の酸化シリコン膜、あるいは窒化シリコン膜等の絶縁性材料から構成される。本実施形態において、この誘電体膜75は、図6に示すように、下層に酸化シリコン膜75a、上層に窒化シリコン膜75bというように二層構造を有するものとなっている。なお、場合によっては、例えば酸化シリコン膜、窒化シリコン膜及び酸化シリコン膜等というような三層構造や、あるいはそれ以上の積層構造やHfO2、Ta2O5、TiO2、MgO等の金属酸化膜を少なくとも1つ有するように構成してもよい。むろん単層構造としてもよい。
容量電極300は、蓄積容量70の固定電位側容量電極として機能する。本実施形態において、容量電極300を固定電位とするためには、固定電位とされた容量配線400(後述する。)と電気的接続が図られることによりなされている。また、容量電極300は、下部電極71と同様、例えば導電性金属、導電性のポリシリコン、導電性の金属シリサイド等の導電性材料から構成される。これにより、容量電極300は、TFT30に上側から入射しようとする光を遮る機能を有している。なお、容量電極300と下部電極71とは、同じ導電性材料及び同膜厚から構成されてもよいし、相異なる導電性材料及び相異なる膜厚から構成されてもよい。
図5及び図7に示すように、蓄積容量70において、上部の容量電極300は誘電体膜75と比べて平面形状が小さく、下部電極71は、誘電体膜75と同一の平面形状を有している。なお、下部電極71の平面形状を、誘電体膜75の平面形状より大きくしてもよい。
本実施形態では、下部電極71、誘電体膜75、及び容量電極300は平面形状が相互に相似形となっている。より具体的には、図5に示すように、容量電極300の平面形状と、下部電極71又は誘電体膜75の平面形状とに着目すれば、容量電極300の輪郭は、その周囲に渡り且つ下部電極71又は誘電体膜75の輪郭より該下部電極71又は誘電体膜75の内部に向かって、等距離だけ後退している。この後退距離dについて次に説明する。
図6には、蓄積容量70における後退距離dを具体的に示すとともに、この後退距離dを横軸にとり、容量電極300及び下部電極71間のリーク電流の発生率を、同図中、左の縦軸にとり、蓄積容量70の容量を右の縦軸にとったグラフを示してある。
後退距離dを0に近付けると、下部電極71、誘電体膜75、及び容量電極300がほぼ同一形状となる。よって、蓄積容量70の容量を大きくすることができ、電気光学装置の動作時、表示画面上においてフリッカの発生を抑制することが可能となる。よって、フリッカに対する耐性に優れるため、図6に示すグラフの右の縦軸に沿って「○」を付して示してある。他方、下部電極71、誘電体膜75、及び容量電極300をほぼ同一形状とすれば、電気光学装置の動作時、容量電極300及び下部電極71間でリーク電流の発生率も高くなり、その結果、これら両電極間で電気的な短絡を生じる恐れがある。
容量電極300及び下部電極71間のリーク電流の発生率を小さくするために後退距離dを大きくしすぎると、蓄積容量70の容量を十分に確保することができなくなる。よって、電気光学装置の動作時、表示画面上においてフリッカが発生する可能性が高くなる。従って、フリッカに対する耐性に劣るため、図6に示すグラフの右の縦軸に沿って「×」及び「××」を付して示してある。
よって、本実施形態では、後退距離dは、フリッカに対する耐性を確保しつつ、容量電極300及び下部電極71間のリーク電流の発生を防止することができる程度の距離としてある。図6において、後退距離dは0.1μmから1.0μmの範囲とするのが望ましい。更に量産化を考慮すると後退距離dは0.3μmから1.0μmの範囲とするのが望ましい。
(積層構造、第2層及び第3層間の構成―第1層間絶縁膜―)
以上説明したTFT30ないしゲート電極3a及び中継電極719の上、かつ、蓄積容量70の下には、例えば、NSG(ノンシリケートガラス)、PSG(リンシリケートガラス)、BSG(ボロンシリケートガラス)、BPSG(ボロンリンシリケートガラス)等のシリケートガラス膜、窒化シリコン膜や酸化シリコン膜等、あるいは好ましくはNSGからなる第1層間絶縁膜41が形成されている。
そして、この第1層間絶縁膜41には、TFT30の高濃度ソース領域1dと後述するデータ線6aとを電気的に接続するコンタクトホール81が、後記第2層間絶縁膜42を貫通しつつ開孔されている。また、第1層間絶縁膜41には、TFT30の高濃度ドレイン領域1eと蓄積容量70を構成する下部電極71とを電気的に接続するコンタクトホール83が開孔されている。さらに、この第1層間絶縁膜41には、蓄積容量70を構成する画素電位側容量電極としての下部電極71と中継電極719とを電気的に接続するためのコンタクトホール881が開孔されている。更に加えて、第1層間絶縁膜41には、中継電極719と後述する第2中継電極6a2とを電気的に接続するためのコンタクトホール882が、後記第2層間絶縁膜を貫通しつつ開孔されている。
本実施形態では、図5に示すように、蓄積容量70の下部電極71におけるコンタクトホール83に接続された個所における幅W1は、コンタクトホール83の径W2より大きくしてある。このように、下部電極71の幅W1を広くとることで、コンタクトホール83を介しての接続を良好にとることが可能となる。
仮にコンタクトホール83の径以下の幅しか持たない下部電極71を形成したのでは、その製造時に、下部電極71の脇からコンタクトホール83内にエッチングが進行する関係上、コンタクトホール83内部やその底部に接続された、TFT30の高濃度ドレイン領域1eがダメージを受けてしまいかねない。
これに対して、本実施形態では、図5に示すように下部電極71が構成されているため、コンタクトホール83付近における装置の信頼性は非常に高いものとなる。しかも、このように幅広の下部電極71を利用すれば、誘電体膜75を介して下部電極71と容量電極300とが対向配置されてなる蓄積容量70における実際に容量を構成する領域の幅についても、コンタクトホール83よりも幅広にでき、或いはその底側に接続されたTFT30の高濃度ドレイン領域1eよりも幅広にできる。よって、限られた領域内に構築可能な蓄積容量70の容量値を高めることが可能となる。
(積層構造・第4層の構成―データ線等―)
さて、前述の第3層に続けて第4層には、データ線6aが設けられている。このデータ線6aは、図7に示すように、下層より順に、アルミニウムからなる層(図7における符号41A参照)、窒化チタンからなる層(図7における符号41TN参照)、窒化シリコン膜からなる層(図7における符号401参照)の三層構造を有する膜として形成されている。窒化シリコン膜は、その下層のアルミニウム層と窒化チタン層を覆うように少し大きなサイズにパターニングされている
また、この第4層には、データ線6aと同一膜として、容量配線用中継層6a1及び第2中継電極6a2が形成されている。これらは、図4に示すように、平面的に見ると、データ線6aと連続した平面形状を有するように形成されているのではなく、各者間はパターニング上分断されるように形成されている。
ちなみに、これら容量配線用中継層6a1及び第2中継電極6a2は、データ線6aと同一膜として形成されていることから、下層より順に、アルミニウムからなる層、窒化チタンからなる層、プラズマ窒化膜からなる層の三層構造を有する。
(積層構造・第3層及び第4層間の構成―第2層間絶縁膜―)
以上説明した蓄積容量70の上、かつ、データ線6aの下には、例えばNSG、PSG,BSG、BPSG等のシリケートガラス膜、窒化シリコン膜や酸化シリコン膜等、あるいは好ましくはTEOSガスを用いたプラズマCVD法によって形成された第2層間絶縁膜42が形成されている。この第2層間絶縁膜42には、TFT30の高濃度ソース領域1dとデータ線6aとを電気的に接続する、前記のコンタクトホール81が開孔されているとともに、前記容量配線用中継層6a1と蓄積容量70の上部電極たる容量電極300とを電気的に接続するコンタクトホール801が開孔されている。さらに、第2層間絶縁膜42には、第2中継電極6a2と中継電極719とを電気的に接続するための、前記のコンタクトホール882が形成されている。
(積層構造・第5層の構成―容量配線等―)
さて、前述の第4層に続けて第5層には、容量配線400が形成されている。この容量配線400は、平面的にみると、図4に示すように、図中X方向及びY方向それぞれに延在するように、格子状に形成されている。該容量配線400のうち図中Y方向に延在する部分については特に、データ線6aを覆うように、且つ、該データ線6aよりも幅広に形成されている。また、図中X方向に延在する部分については、後述の第3中継電極402を形成する領域を確保するために、各画素電極9aの一辺の中央付近に切り欠き部を有している。
さらには、図4中、XY方向それぞれに延在する容量配線400の交差部分の隅部においては、該隅部を埋めるようにして、略三角形状の部分が設けられている。容量配線400に、この略三角形状の部分が設けられていることにより、TFT30の半導体層1aに対する光の遮蔽を効果的に行うことができる。すなわち、半導体層1aに対して、斜め上から進入しようとする光は、この三角形状の部分で反射又は吸収されることになり半導体層1aには至らないことになる。したがって、光リーク電流の発生を抑制し、フリッカ等のない高品質な画像を表示することが可能となる。この容量配線400は、画素電極9aが配置された画像表示領域10aからその周囲に延設され、定電位源と電気的に接続されることで、固定電位とされている。
また、第4層には、このような容量配線400と同一膜として、第3中継電極402が形成されている。この第3中継電極402は、後述のコンタクトホール804及び89を介して、第2中継電極6a2及び画素電極9a間の電気的接続を中継する機能を有する。なお、これら容量配線400及び第3中継電極402間は、平面形状的に連続して形成されているのではなく、両者間はパターニング上分断されるように形成されている。
他方、上述の容量配線400及び第3中継電極402は、下層にアルミニウムからなる層、上層に窒化チタンからなる層の二層構造を有している。
(積層構造・第4層及び第5層間の構成―第3層間絶縁膜―)
以上説明した前述のデータ線6aの上、かつ、容量配線400の下には、NSG、PSG、BSG、BPSG等のシリケートガラス膜、窒化シリコン膜や酸化シリコン膜等、あるいは好ましくは、TEOSガスを用いたプラズマCVD法で形成された第3層間絶縁膜43が形成されている。この第3層間絶縁膜43には、前記の容量配線400と容量配線用中継層6a1とを電気的に接続するためのコンタクトホール803、及び、第3中継電極402と第2中継電極6a2とを電気的に接続するためのコンタクトホール804がそれぞれ開孔されている。
(積層構造・第6層並びに第5層及び第6層間の構成―画素電極等―)
最後に、第6層には、上述したように画素電極9aがマトリクス状に形成され、該画素電極9a上に配向膜16が形成されている。そして、この画素電極9a下には、NSG、PSG、BSG、BPSG等のシリケートガラス膜、窒化シリコン膜や酸化シリコン膜等、あるいは好ましくはNSGからなる第4層間絶縁膜44が形成されている。この第4層間絶縁膜44には、画素電極9a及び前記の第3中継電極402間を電気的に接続するためのコンタクトホール89が開孔されている。画素電極9aとTFT30との間は、このコンタクトホール89及び第3中継層402並びに前述したコンタクトホール804、第2中継層6a2、コンタクトホール882、中継電極719、コンタクトホール881、下部電極71及びコンタクトホール83を介して、電気的に接続されることとなる。
以上説明したように、本実施形態の電気光学装置では、限られた領域内において、信頼性が高く、且つ相対的に大きな蓄積容量70が構築される。よって、高品位の画像表示が可能な液晶装置を実現することができる。
〔電気光学装置の製造方法〕
以下では、上述した実施形態の電気光学装置の製造プロセスについて、図8乃至図14を参照して説明する。ここに図8乃至図14は、製造プロセスの各工程における電気光学装置の積層構造を、図7の断面図、及び図5のうち蓄積容量70を抜き出した平面図に関して、順を追って示す工程図である(前者は図中(a)に、後
者は図中(b)に示されている。)。なお、以下においては、本実施形態において特徴的な蓄積容量70の製造工程について特に詳しく説明することとし、それ以前及び蓄積容量70形成後の製造工程の説明に関しては省略することとする。
(成膜工程)
先ず、図8を参照して成膜工程について説明する。図8の工程においては、TFTアレイ基板10上に形成された第1層間絶縁膜41上に、蓄積容量70の下部電極71となる下部導電層71a、蓄積容量70の誘電体膜75となる中間層75a及び蓄積容量70の容量電極300となる上部導電層300aをこの順に積層する。
より具体的には、第1層間絶縁膜41上に、例えばスパッタリング、蒸着等により下部導電層71aを形成し、その上に、例えば蒸着、熱酸化等により、下層が酸化シリコン膜75aa及び上層が窒化シリコン膜75bbにより形成された、二層構造の中間層75aを形成する。中間層75aの上には、例えばスパッタリング、蒸着等により上部導電層300aが形成される。
ここに、成膜工程では、図8(a)及び図8(b)に示すように、第1層間絶縁膜41の上部表面に、下部導電層71a、中間層75a及び上部導電層300aが順次積層される。
(マスク形成工程)
図8の成膜工程に続いて、図9のマスク形成工程が行われる。図9の工程においては、例えばレジストを上部導電層300a上の一面に形成した後にフォトリソグラフィ及びエッチングの手法によるパターニングによってマスク310を形成する。
マスク310は、図9(a)及び図9(b)に示すように、上部導電層300a上に、図5乃至図7を参照して説明した下部電極71の平面形状に対応する平面パターンとして形成される。
(第1パターニング工程)
図9のマスク形成工程に続いて、図10の第1パターニング工程が行われる。図10の工程においては、マスク310を介しての上部導電層300a用のエッチングによりパターニングする。図10の工程において、上部導電層300aについては、例えば導電性のポリシリコン膜等から構成されていれば、フッ素を含んだエッチングガス(例えば、CF4、O2等を含むガス)を用いて、ドライエッチングすればよい。。
第1パターニング工程では、図10(a)及び図10(b)に示すように、上部導電層300aはマスク310の平面形状に対応する平面パターンにパターニングされる。
(第2パターニング工程)
図10の第1パターニング工程に続いて、図11の第2パターニング工程が行われる。図11の工程においては、マスク310を介してのエッチングにより、中間層75aをパターニングする。図10の工程において、中間層75aについては、例えば酸化シリコン膜等から構成されていれば、酸化膜除去用のエッチングガス(例えば、CF4、O2等に加えてSF6+CHF3等のガスを含むガス)を用いて、ドライエッチングすればよい。
第2パターニング工程では、図11(a)及び図11(b)に示すように、中間層75aも、上部導電層300aと同様に、マスク310の平面形状に対応する平面パターンにパターニングされる。なお、図11の工程の結果、誘電体膜75が形成される。
(マスク後退工程)
図11の第2パターニング工程に続いて、図12のマスク後退工程が行われる。図12の工程においては、マスク310の平面形状が小さくなるようにマスク310を後退させる。より具体的には、酸素プラズマによるクリーニング処理(所謂“O2クリーニング”)によって、図11(b)に示すマスク310の輪郭をその周囲に渡って等距離dだけ後退させる。
その結果、図12(a)及び図12(b)に示すように、マスク310の輪郭は、誘電体膜75の輪郭及び上部導電層300aの輪郭より、距離dだけ後退する。
マスク後退工程を、“O2クリーニング”で行うことにより、マスク310を比較的容易且つ一様に後退させることが可能となる。従って、容量電極300が下部容量電極より、その周囲に渡って均一に小さく構成された蓄積容量を比較的簡単に製造できる。
更に、マスク後退工程において、マスク310の輪郭をその周囲に渡って等距離dだけ後退させるので、最終的には、下部電極71よりも、その周囲に渡って輪郭が等距離dだけ小さい容量電極300を形成できる。しかも、マスク310の後退距離dを調整することで、このような輪郭差を調整できるので、例えば、下部電極71よりも僅かに小さい容量電極300を、一つのマスクを用いて簡単に形成できる。
(第3パターニング工程)
図12のマスク後退工程に続いて、図13の第3パターニング工程が行われる。図13の工程においては、後退されたマスク310を介しての上部導電層300a用のエッチングにより上部導電層300aをパターニングする。
また、図13の工程では、上部導電層300aをパターニングすると共に、後退されたマスク310及び誘電体膜75を介しての下部導電層71a用のエッチングにより下部導電層71aをパターニングする。
図13の工程では、上部導電層300a用のエッチングと下部導電層71a用のエッチングとを一括エッチングとするのが好ましい。例えばフッ素を含んだエッチングガスを用いて両導電層を同時にエッチングすればよい。
第3パターニング工程では、図13(a)及び図13(b)に示すように、上部導電層300aは、後退されたマスク310に対応する平面形状にパターニングされ、下部導電層71aは、誘電体膜75の平面形状にパターニングされる。なお、図13の工程の結果、容量電極300及び下部電極71が形成される。
本実施形態では、上述したマスク後退工程は、第2パターニング工程後であり且つ第3パターニング工程前に行うため、後退が完了した時点におけるマスク310の平面形状に対応する形状を有する容量電極300を構成できる。即ち、容量電極300のパターニング精度を安定して高めることが可能となり、設計通りの或いは設計に近い構造を有する蓄積容量を比較的容易に製造できる。
また、第3パターニング工程では、下部電極71の平面形状に対応する平面パターンに中間層75aがパターニングされることにより形成された誘電体膜75を他のマスクとして、下部導電層71aから下部電極71を形成できる。この結果、下部電極71と誘電体膜75とが同一平面形状であり、容量電極300がこれらより一回り小さい蓄積容量70を、比較的簡単に製造できる。尚、誘電体膜75の輪郭よりも、下部電極71の輪郭の方が大きくなるように、第3パターニング工程を行ってもよい。
また、第3パターニング工程では、上部導電層300a用のエッチングと下部導電層71a用のエッチングとを一括エッチングとすることにより、後退されたマスク310を介しての上部導電層300a用のエッチングと、誘電体膜75を他のマスクとする下部導電層71a用のエッチングとを、同時に行うことが可能となる。
この際、上部導電層300aと下部導電層71aとを、エッチング時間比或いは選択比が0.5〜1.5倍程度となるように、相互に同一材料又は類似の材料から同一層厚又は類似の厚みとして形成しておけば、第3パターニング工程において、概ね同時にパターニングが完了するようにできる。即ち、いずれか一方の導電層がエッチング過多又はエッチング不足となって、マスクの下まで除去されてしまうアンダーエッチや膜残りを簡単に回避可能となる。
特に誘電体膜75が、当該第3パターニング工程におけるエッチングで削れ易い場合には、上述の上部導電層300aと下部導電層71aとのエッチング時間比或いは選択比を1.0倍に近付けることが望ましい。これにより、エッチング過多又はエッチング不足を回避可能となる。
更に、成膜工程において、上部導電層300aと下部導電層71aとを同一材料を用いて形成した場合、第3パターニング工程において、同時にパターニングが完了する。従って、いずれか一方の導電層がエッチング過多又はエッチング不足となる事態を簡単に回避可能となる。
(マスク剥離工程)
図13の第3パターニング工程に続いて、図14のマスク剥離工程が行われる。図14の工程において、マスクが剥離された後、蓄積容量70が形成される。
よって、本実施形態では、蓄積容量70を構成する容量電極300及び下部電極71をパターニングするために必要なマスクは、一つでよい。即ち、マスク後退工程の前後における大きさの相異なるマスク310を利用することで、相異なる大きさの両電極や誘電体膜75を形成できるので、製造工程を効率化する上で非常に有利である。仮にマスク数を増大させたのでは、レジスト成膜の回数及びエッチングの回数が増大して、製造コストが顕著に増大すると共に、アラインメントずれ等により、製造歩留まりも低下してしまうのである。
このように、本実施形態によれば、信頼性の高い蓄積容量70を簡単に製造することができ、製造歩留まりを向上させることも可能である。
〔変形例〕
次に、本実施形態の変形例について説明する。本変形例では、電気光学装置の製造方法において、マスク後退工程を、第1、第2又は第3パターニング工程中のエッチングと並行して行う。
本変形例によれば、マスク310の後退が完了する以前に、即ち、マスク310が徐々に後退する最中に或いは後退の途中で、上部導電層300aをエッチングできる。従って、製造工程を短時間化及び簡略化できる。例えば、O2クリーニング用の酸素プラズマを、エッチング用のフッ素を含むエッチングガスに混入することで、このような処理を行えばよい。尚、この結果として、テーパ形状を有する容量電極300が形成される。
〔電子機器〕
次に、以上詳細に説明した電気光学装置を各種の電子機器に適用される場合について説明する。
(プロジェクタ)
まず、この電気光学装置たる液晶装置をライトバルブとして用いたプロジェクタについて説明する。図15は、プロジェクタの構成例を示す平面図である。この図に示されるように、プロジェクタ1100内部には、ハロゲンランプ等の白色光源からなるランプユニット1102が設けられている。このランプユニット1102から射出された投射光は、ライトガイド1104内に配置された4枚のミラー1106および2枚のダイクロイックミラー1108によってRGBの3原色に分離され、各原色に対応するライトバルブとしての液晶装置1110R、1110Bおよび1110Gに入射される。液晶装置1110R、1110Bおよび1110Gの構成は、上述した電気光学装置と同等であり、画像信号処理回路から供給されるR、G、Bの原色信号でそれぞれ駆動されるものである。そして、これらの液晶装置によって変調された光は、ダイクロイックプリズム1112に3方向から入射される。このダイクロイックプリズム1112においては、RおよびBの光が90度に屈折する一方、Gの光が直進する。したがって、各色の画像が合成される結果、投射レンズ1114を介して、スクリーン等にカラー画像が投写されることとなる。
(モバイル型コンピュータ)
次に、この電気光学装置たる液晶装置を、モバイル型のパーソナルコンピュータに適用した例について説明する。図16は、このパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。図において、コンピュータ1200は、キーボード1202を備えた本体部1204と、液晶表示ユニット1206とから構成されている。この液晶表示ユニット1206は、先に述べた電気光学装置にバックライトを付加することにより構成されている。
(携帯電話)
さらに、この電気光学装置たる液晶装置を、携帯電話に適用した例について説明する。図17は、この携帯電話の構成を示す斜視図である。図において、携帯電話1300は、複数の操作ボタン1302とともに、反射型の液晶装置1005を備えるものである。この反射型の液晶装置1005にあっては、必要に応じてその前面にフロントライトが設けられる。
尚、図15〜図17を参照して説明した電子機器の他にも、液晶テレビや、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた装置等などが挙げられる。そして、これらの各種電子機器に適用可能なのは言うまでもない。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う駆動回路及びその保護方法、並びに該駆動回路を備えた電気光学装置及び電子機器もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。