JP4357927B2 - 燃料電池 - Google Patents

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Description

本発明は、有機燃料を使用する燃料電池に関し、特に、外部電源あるいは自己発電による電力によって発電部分の温度制御を行う補機を有しない燃料電池に関する。
近年、ノート型パソコン、PDA、携帯電話をはじめとしたポータブル機器の高性能化・多機能化は著しく、軽量小型化や長時間オペレーションを可能にするため、従来のNi-Cd電池やニッケル水素電池等に替わり、高いエネルギー密度を有するリチウムイオン二次電池が広く採用されてきている。また、昨今の高度情報通信網の普及による携帯機器の情報通信機能強化やオペレーション時間の増加などから、電池には更なる高容量化が切望されている。
しかしながら、現在用いられているリチウムイオン二次電池では、材料面及び構造面からその性能向上がほぼ限界とされ、高容量化に対応するのは困難である。そこで、新規の高容量駆動電源として、リチウムイオン電池と比較して数倍の高容量化が期待される燃料電池に注目が集まっている。この燃料電池は、リン酸型、固体電解質型、溶融炭酸塩型、高分子固体電解質型などに分類されるが、携帯用小型燃料電池には室温付近での動作が可能な高分子固体電解質型燃料電池が適している。
特に、この高分子固体電解質型燃料電池において、燃料として有機燃料から改質された水素を供給することなく、直接電極上に有機燃料としてメタノール水溶液などを供給することでエネルギー密度を向上させた、いわゆるダイレクトメタノール型燃料電池が軽量小型に適している。このダイレクトメタノール型方式では、負極(燃料極:アノード)上の触媒により有機燃料からプロトンと二酸化炭素が生成され、プロトンは高分子固体電解質膜中を透過して酸素と化合して水を生成する。この際、負極、正極(空気極:カソード)を外部回路に接続することで電力が取り出せる。正極で生成した水は系外へ放出、あるいは回収して負極に供給し、正極面から排出する。
特開平11−25992号公報 特開2001−185162号公報
しかしながら、ダイレクトメタノール型方式の場合、有機燃料であるメタノールの酸化反応の過電圧が大きいことに加え、メタノールが負極側から正極側へ透過するクロスオーバーと呼ばれる現象が発生し、これにより正極電位の低下などが惹起され、水素型燃料電池と比較して出力が大きく劣化するという問題がある。このため、ダイレクトメタノール方式において十分な出力を得るためには、メタノールのクロスオーバーを低減し、透過したメタノールの酸化反応による正極電位の低下と過度の発熱、燃料損失を最小限に抑えるために、メタノール濃度を数vol%として燃料を供給している。
ところが、携帯機器向けのような体積的に制約の大きい用途では、このようなメタノール希薄水溶液を燃料として用いると十分なエネルギー密度を確保することが困難となる。また、純メタノールあるいは高濃度のメタノール燃料を水で希釈して発電部へ供給し、正極側で生成した水を回収、負極側の反応に利用するなどしてエネルギー密度を増加させる試みもなされているが、燃料の希釈や水の回収を行うための補機が必要となり、結果的に燃料の総量を大きくできない、発電した電力の一部を補機に供給する必要があるなど、エネルギー密度を向上させて小型化を図ることが困難となっている。
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、メタノールなどの有機燃料を用いるも、クロスオーバーを大幅に低減させることを可能とし、従って高濃度の有機燃料を用いてもクロスオーバーを問題視することなく、放電容量を増加させることができる燃料電池を提供することを目的とする。
本発明の燃料電池は、有機燃料であるメタノールを酸化する負極触媒層と、酸素を還元する正極触媒層と、一方の表面で前記正極触媒層と接し、他方の表面で前記負極触媒層と接する電解質膜とを含む電池セルを備え、前記負極触媒層に前記有機燃料を供給すると共に前記正極触媒層に酸化剤ガスが供給されて発電を行う燃料電池であって、前記電解質膜は、前記有機燃料の低透過率領域と、前記低透過率領域の周辺部位に形成された、前記低透過率領域よりも前記有機燃料の透過率が高い高透過率領域とを有する。
本発明の燃料電池は、電解質膜と、燃料を酸化する負極触媒層と、酸素を還元する正極触媒層とを含む電池セルを備え、前記負極触媒層に前記燃料を供給すると共に前記正極触媒層に酸化剤ガスが供給されて発電を行う燃料電池であって、前記正極触媒層は、触媒を担持したカーボンと触媒を担持していないカーボンとの混合物を含有してなるものである。
本発明によれば、メタノールなどの有機燃料を用いるも、クロスオーバーを大幅に低減させることを可能とし、従って高濃度の有機燃料を用いてもクロスオーバーを問題視することなく、放電容量を増加させることができる燃料電池が実現する。
以下、本発明を適用した具体的な実施形態について説明する。
本発明者は、燃料極に有機燃料を供給する燃料電池において、発電部の電極活性維持に必要な熱を供給するメタノール酸化反応部位と、酸素を還元する正極触媒層とを分離して配置することにより、高出力化及び高容量化を行えることを見出した。この場合、正極触媒層に接する固体電解質膜の燃料透過率を、熱供給を行うメタノール酸化反応部位の固体電解質膜より小さく設定することにより、所望の特性が得られる。
以下、本実施形態の詳細を説明する。
図1は本実施形態による燃料電池セルの構成を示す概略断面図、図2はこの燃料電池セルを有する燃料電池の模式図であり、図3は、本実施形態による燃料電池セル(の主要部位)の原理構成を模式的に示す斜視図である。
燃料電池セル10は、プロトン伝導性を有する固体電解質膜1と、燃料を酸化する負極触媒層(アノード電極触媒層)2と、この負極触媒層2と共に固体電解質膜1を挟持するように配され、酸素を還元する正極触媒層(カソード電極触媒層)3と、負極触媒層2上に配され、拡散層となるカーボンペーパー4と、正極触媒層3上に配され、拡散層となるカーボンペーパー5と、カーボンペーパー4上に配される負極集電体層(不図示)と、カーボンペーパー5上に配される正極集電体層(不図示)とを含み構成されている。
そして、燃料電池は、燃料電池セル10が燃料注入口12を備えた燃料タンク13と共にセル筐体8内に配され、負極(アノード)側に負極端子9が、正極(カソード)側に正極端子11がそれぞれ設けられて構成されている。
固体電解質膜1は単層膜であって、その一部、ここでは中央部位に他部である周辺部位に比べて有機燃料の透過率の低い領域が形成されており、即ち中央部位が低透過率領域21、その周辺部位が高透過率領域22として構成されている。
高透過率領域22は、例えばデュポン社製の製品名Nafionに代表されるパーフルオロアルキルスルホン酸などのメタノール透過性の高いプロトン伝導性の固体電解質などから構成される。他方、低透過率領域21は、例えば上記のNafionなどにアクリル系モノマーなどの反応性化合物を含浸させ膜内で重合させてメタノールの透過率を低下させたものとして構成される。低透過率領域21は、或いはこの反応性化合物に加熱処理(加熱硬化処理)、光等、例えば紫外線や放射線、電子線などを照射し、これにより周辺部位である高透過率領域22よりも燃料透過率の低い状態に表面構造が変質されてなるものとして構成しても良い。
また、ポリフッ化ビニリデンなどのポリマーと混合製膜してメタノールの透過率を低減し、Nafionなどの高透過率電解質膜と接合してもよい。但し、一般的にメタノールの透過性を抑制すると同時にプロトン伝導性も低下するため、セル稼働時の温度において必要なプロトン伝導性が確保される程度に処理を施す必要がある。
透過率の異なる膜の形状及び配置は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、如何なる形状及び配置で複合化させても良い。更に、固体電解質膜1に用いる膜の高透過率領域22についてはメタノール透過性があれば良く、必ずしもプロトン伝導性を有する必要はない。
本実施形態では、発電部位に相当する低透過率領域21は、電解質のメタノール透過率が低く自己発熱量が小さいにも係わらず、空気極電位とは無関係に、高透過率領域22における燃料酸化に基づく発熱によって加熱され、高温に保持できるため、高出力を発現できる。また、必要であれば、高透過率領域22に接している極触媒層3と低透過率領域21に接している極触媒層3との間を、例えば図1の破線で示すように絶縁材等で電気的に分離することも可能である。
ここで、負極触媒層2は下記のように作製される。
先ず、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、カーボンブラックなどの導電材料に粒径2nm〜5nm程度のPt−Ru系触媒を担持させた触媒微粒子と、プロトン導電性と触媒粒子の結着剤とを兼ねるパーフルオロアルキルスルホン酸などのプロトン伝導性高分子を、水−アルコール系混合溶媒中に分散・脱泡して電極ペーストを作製する。そして、触媒ペーストをテフロン(R)シート基板などに塗布、乾燥させて触媒層を形成し、これをホットプレスなどによって固体電解質膜1に転写して負極触媒層2を形成する。
正極触媒層3については、負極触媒層2と同様に粒径2nm〜5nm程度のPt微粒子が担持されたカーボンブラックを用い、負極触媒層2と同様に作製される。
このように、本実施形態の燃料電池では、固体電解質膜1が正極触媒層3と負極触媒層2とでホットプレスされたいわゆるMEA(Membrane Electrode Assembly)構造が形成される。これにカーボンペーパー4,5を同様にホットプレスによって接合し、両集電体層で挟持することにより発電部となる燃料電池セル10が構成される。この燃料電池セル10から集電体リードを取り出した後、燃料タンクを含む負極外装材、正極外装材によって燃料電池セル10をパッキングする。このようにしてパッキングされた負極にメタノール水溶液燃料を、正極に酸素を含む酸化ガスを供給し、両集電体層を外部回路に接続することにより発電が開始される。
以上説明したように、本実施形態の燃料電池によれば、面内に有機燃料であるメタノール水溶液の透過率の異なる低透過率領域21及び高透過率領域22からなる固体電解質膜1を配置した構成とすることにより、低透過率領域21が発電を、高透過率領域22が発電部の加熱及び高温保持を行うというように機能分離を行うことにより、空気極出力低下を抑制することができ、燃料濃度の高濃度化が可能となり高容量化が達成される。即ち、メタノールなどの有機燃料を用いるも、クロスオーバーを大幅に低減させることを可能とし、従って高濃度の有機燃料を用いてもクロスオーバーを問題視することなく、放電容量を増加させることができる燃料電池が実現する。
−変形例−
ここで、実施形態の諸変形例について説明する。これらの変形例では、実施形態と同様に低透過率領域及び高透過率領域からなる固体電解質膜を有する燃料電池を開示するが、固体電解質膜の構造が異なる点で相違する。
(変形例1)
この変形例では、図4(a)に示すように、固体電解質膜31は単層膜であって、その一部、ここでは中央部位に他部である周辺部位に比べて透過率の低い領域が形成されており、即ち中央部位が低透過率領域23、その周辺部位が高透過率領域22として構成されている。そして、図4(b)に示すように、低透過率領域23が当該固体電解質膜31の一方の表面から厚み方向の途中まで形成されており、主に発電にあずかる正極触媒層3を低透過率領域23上に、負極触媒層2を高透過率領域22上にそれぞれ配置した構成とする。
この構造により、発電部位に相当する低透過率領域23は、電解質のメタノール透過率が低く自己発熱量が小さいにも係わらず、空気極電位とは無関係に、高透過率領域22における燃料酸化に基づく発熱によって加熱され、高温に保持できるため、高出力を発現できる。また、必要であれば、高透過率領域22に接している極触媒層3と低透過率領域23に接している極触媒層3との間を電気的に分離することも可能である。
変形例1の燃料電池によれば、面内に有機燃料であるメタノール水溶液の透過率の異なる低透過率領域23及び高透過率領域22からなる固体電解質膜1を配置した構成とすることにより、低透過率領域23が発電を、高透過率領域22が発電部の加熱及び高温保持を行うというように機能分離を行うことにより、空気極出力低下を抑制することができ、燃料濃度の高濃度化が可能となり高容量化が達成される。即ち、メタノールなどの有機燃料を用いるも、クロスオーバーを大幅に低減させることを可能とし、従って高濃度の有機燃料を用いてもクロスオーバーを問題視することなく、放電容量を増加させることができる燃料電池が実現する。
(変形例2)
この変形例では、図5(a)に示すように、固体電解質膜32は、透過率の相異なる2種類の電解質層41,42からなり、図5(b)に示すように、電解質層42の中央上に当該電解質層42よりも占有面積の小さい電解質層41が積層されて構成されている。ここで、電解質層41が有機燃料の低透過率領域に、電解質層42が高透過率領域とされており、主に発電にあずかる正極触媒層3を電解質層41上に、負極触媒層2を電解質層42上にそれぞれ配置した構成とする。
このように、固体電解質膜32を同一面内にメタノールの透過率の異なる電解質膜41,42を積層配置した構成とすることにより、発電部位に相当する電解質膜41は、電解質のメタノール透過率が低く自己発熱量が小さいにも係わらず、空気極電位とは無関係に、電解質層42における燃料酸化に基づく発熱によって加熱され、高温に保持できるため、高出力を発現できる。また、必要であれば、電解質層42に接している極触媒層3と電解質層41に接している極触媒層3との間を電気的に分離することができる。
以上説明したように、本変形例の燃料電池によれば、面内に有機燃料であるメタノール水溶液の透過率の異なる電解質層41,42が積層されてなる固体電解質膜32を配置することにより、電解質層41が発電を、電解質層42が発電部の加熱及び高温保持を行うというように機能分離を行うことにより、空気極出力低下を抑制することができ、燃料濃度の高濃度化が可能となり高容量化が達成される。即ち、メタノールなどの有機燃料を用いるも、クロスオーバーを大幅に低減させることを可能とし、従って高濃度の有機燃料を用いてもクロスオーバーを問題視することなく、放電容量を増加させることができる燃料電池が実現する。
(実施例)
ここで、上述した実施形態に基づく実施例について説明する。
高メタノール透過性の固体電解質膜として、5cm×5cm形状(パッキング部分の周囲1cmを含まず)の製品名Nafion117(デュポン社製)を用いた。この固体電解質膜の中央部位の約3.5cm×3.5cm形状の部分に10%のポリオキシエチレンジアクリレートを2μl/cm2含浸させ、強度50mJ/cm2の紫外線を照射し、当該中央部位にメタノールの透過率を周辺部位(高透過率領域)の1/3に低減した低透過率領域を形成した。
各電極触媒層を以下のように作製した。先ず、ケッチェンブラック(ライオン社製の製品名ケッチェンブラックEC)に粒径2nm〜5nm程度のPt触媒を約50%担持させた触媒粒子2g、Nafion(デュポン社製)の溶液4.8g、水7g、プロパノール10gをボールミルで混合、脱泡してペースト状とした。これをテフロン(R)シートに塗布し、80℃で30分間乾燥し、前述した透過率の異なる部分を有するNafionの固体電解質膜を160℃で2分間ホットプレスし、正極触媒層を形成した。
負極触媒層も同様に、ケッチェンブラック(ライオン社製の製品名ケッチェンブラックEC)に粒径2nm〜5nmのPt(白金)−Ru(ルテニウム)でモル比が1:1の合金触媒を約50%担持させた触媒粒子2g、Nafion(デュポン社製)の溶液4.8g、 水7g、プロパノール10gをボールミルで混合、脱泡してペースト状とした。これを同様にテフロン(R)シートに塗布し、80℃で30分間乾燥し、前述した透過率の異なる部分を有するNafionの固体電解質膜を160℃で2分間ホットプレスし、負極触媒層を形成してMEAを作製した。
続いて、このMEAの両側にカーボンペーパー(東レ社製の製品名TGP−H−090、290μm)をホットプレスにより圧着して発電部を作製した。作製した発電部の両極からそれぞれ集電体リードを取り出した後、燃料タンクを含む燃料極外装材、空気極外装材によって発電部をパッキングした。作製した燃料電池の燃料タンク内にメタノールの20vol%水溶液を充填し、外部負荷に接続して発電を行った。ここで、メタノール水溶液は10vol%の濃度とすることが好ましい。
(比較例)
ここで、本実施例の比較例について説明する。
高メタノール透過性の固体電解質膜として、5cm×5cm形状(パッキング部分の周囲1cmを含まず)の製品名Nafion117(デュポン社製)を用いた。
各電極触媒層を以下のように作製した。先ず、ケッチェンブラック(ライオン社製の製品名ケッチェンブラックEC)に粒径2nm〜5nm程度のPt触媒を約50%担持させた触媒粒子2g、Nafion(デュポン社製)の溶液4.8g、水7g、プロパノール10gをボールミルで混合、脱泡してペースト状とした。これをテフロン(R)シートに塗布し、80℃で30分間乾燥し、前述した透過率の異なる部分を有するNafionの固体電解質膜を160℃で2分間ホットプレスし、正極触媒層を形成した。
負極触媒層も同様に、ケッチェンブラック(ライオン社製の製品名ケッチェンブラックEC)に粒径2nm〜5nmのPt−Ru(モル比が1:1)合金触媒を約50%担持させた触媒粒子2g、Nafion(デュポン社製)の溶液4.8g、 水7g、プロパノール10gをボールミルで混合、脱泡してペースト状とした。これを同様にテフロン(R)シートに塗布し、80℃で30分間乾燥し、前述した透過率の異なる部分を有するNafionの固体電解質膜を160℃で2分間ホットプレスし、負極触媒層を形成してMEAを作製した。
続いて、このMEAの両側にカーボンペーパー(東レ社製の製品名TGP−H−090、290μm)をホットプレスにより圧着して発電部を作製した。作製した発電部の両極からそれぞれ集電体リードを取り出した後、燃料タンクを含む燃料極外装材、空気極外装材によって発電部をパッキングした。作製した燃料電池の燃料タンク内にメタノールの20vol%水溶液を充填し、外部負荷に接続して発電を行った。
本実施例及び比較例の連続放電特性と燃料タンク内温度の推移を図6に示す。図6から明らかなように、本実施例のように固体電解質膜に透過率の異なる領域を配置し、燃料濃度を20vol%程度に高濃度化したことにより、比較例の従来手法に比べて出力及び容量が共に向上することが判る。
参考形態)
燃料電池では、大容量化のためには高濃度のメタノール水溶液を用いることが効果的であると思われる。しかしながら実際には、クロスオーバーにより正極に流出したメタノールが酸化反応し、これにより熱が発生する。発生した熱は燃料温度を上げることになり、結果としてクロスオーバーが促進される。即ち、高濃度のメタノール水溶液を用いることにより放電容量の低下を招来することになる。
燃料電池において、正極触媒層には酸素の還元能力が強力な白金触媒を用いるのが一般的である。しかし白金触媒を用いた場合、クロスオーバーしたメタノールの酸化反応も同時に起こり易い。本発明者はこの事実に着目し、正極触媒層の触媒を相対的に減少させるべく、触媒を担持したカーボンに触媒を担持していないカーボンを混合して正極触媒層を形成することに想到した。これにより、高濃度のメタノール水溶液を用いるも温度上昇を抑制して、十分な放電容量を確保することが可能となる。
以下、本参考形態の詳細を説明する。
図7は、参考形態による燃料電池セル(の主要部位)の原理構成を示す概略断面図である。
この燃料電池セルは、プロトン伝導性を有する固体電解質膜51と、燃料を酸化する負極触媒層(アノード電極触媒層)52と、この負極触媒層2と共に固体電解質膜51を挟持するように配され、酸素を還元する正極触媒層(カソード電極触媒層)52と、負極触媒層2上に配され、拡散層となるカーボンペーパー4と、正極触媒層52上に配され、拡散層となるカーボンペーパー5と、カーボンペーパー4上に配される負極集電体層6と、カーボンペーパー5上に配される正極集電体層7とを含み構成されている。
負極触媒層2は、触媒微粒子、炭素粉末及び電解質層を形成する高分子からなり、転写法などにより形成されるものである。負極集電体層6は、SUSなどの金属メッシュからなるものである。正極は、酸素を還元して発生したイオンと負極で生成された電子及びプロトンから水を生成するものであり、上述のように固体電解質層51側から正極触媒層52、カーボンペーパー5、正極集電体層7の順に積層して配置されている。正極触媒層52は、触媒微粒子、炭素粉末及び電解質層を形成する高分子からなり、転写法などにより形成されるものであって、触媒を担持したカーボンと触媒を担持していないカーボンとが混合してなるものである。正極集電体層7は、SUSなどの金属メッシュからなるものである。
固体電解質層51は、負極側において生成されたプロトンを正極側に輸送するための経路を構成しており、電子伝導性を持たないイオン導電体で形成されている。例えば、ポリパーフルオロスルホン酸系の樹脂膜、具体的にはデュポン社製の商品名Nafionなどである。
固体電解質層51と対向しない負極面には燃料タンクが形成されており、燃料は流動、拡散などの自然の移動により燃料導入路を通して負極へ供給されるようにされている。また、固体電解質層51と対向しない正極面は、外気を自然拡散により導入できるように空隙を備えた形で解放されている。
参考例)
ここで、上述した参考形態に基づく参考例について説明する。
上記に示した構造に基づき、以下のように燃料電池を作製した。
負極触媒層にはPt−Ruを担持させたカーボンを用い、正極触媒層にはPtを担持させたカーボン(50wt%)と触媒担持のないカーボンとを重量比1:0.5で混合したものを用いた。また、固体電解質膜には製品名Nafion117 (デュポン社製)を用い、有機燃料には10、20、30vol%のメタノール水溶液をそれぞれ3.0cc用いた。
(比較例)
参考例の比較例として、以下のように燃料電池を作製した。
負極触媒層にはPt−Ruを担持させたカーボンを用い、正極触媒層にはPtを担持させたカーボン(50wt%)を用いた。また、固体電解質膜には製品名Nafion117(デュポン社製)を用い、有機燃料には10、20、30vol%のメタノール水溶液をそれぞれ3.0cc用いた。
放電容量の試験条件として、300mAの連続放電とし、そのときの電圧値と燃料温度を測定した。
電圧値及び燃料温度の評価結果を図8及び図9に示す。図8が比較例に、図9が本参考例にそれぞれ対応している。
メタノール水溶液濃度が10vol%の場合、放電容量は共に90〜100分間程度であり大差はない。20vol%の場合、温度上昇のため、比較例では放電容量が100分間程度と殆ど変化がないのに対して、本実施例では放電容量が130分間分以上と大きく増大する。また、30vol%では温度上昇が激しいため、両者共に放電容量は低下している。従って、本実施例の構成において、有機燃料として10〜30vol%未満、好ましくは20vol%前後のメタノール水溶液を用いることにより、長時間の放電容量を確保できることが判る。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、本実施形態に参考形態を取り入れた構成、即ち、固体電解質膜を中央部位が有機燃料の低透過率領域、その周辺部位が高透過率領域となるように形成するとともに、正極触媒層を触媒を担持したカーボンに触媒を担持していないカーボンを混合した材料から形成してなる構成とすることも好適である。
以下、本発明の諸態様を付記としてまとめて記載する。
(付記1)電解質膜と、
燃料を酸化する負極触媒層と、
酸素を還元する正極触媒層と
を含む電池セルを備え、
前記負極触媒層に前記燃料を供給すると共に前記正極触媒層に酸化剤ガスが供給されて発電を行う燃料電池であって、
前記電解質膜は、その面内において前記燃料の透過率が変化していることを特徴とする燃料電池。
(付記2)前記電解質膜は、その一部に他部よりも前記燃料の透過率の低い領域が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池。
(付記3)前記電解質膜は、前記燃料の透過率の異なる少なくとも2種類の電解質層が同一面内に積層配置されてなるものであり、低透過率の前記電解質層が前記一部を、高透過率の前記電解質層が前記他部をそれぞれ構成することを特徴とする請求項1又は2に記載の燃料電池。
(付記4)前記低透過率の前記電解質層が前記正極触媒層側に、前記高透過率の前記電解質層が前記負極触媒層側となるように配置されることを特徴とする請求項3に記載の燃料電池。
(付記5)前記電解質膜は、前記一部が前記他部よりも前記燃料の透過率の低い状態に表面構造が変質してなることを特徴とする請求項1又は2に記載の燃料電池。
(付記6)前記電解質膜は、前記燃料の透過率の低い前記一部が当該電解質膜の一方の表面から厚み方向の途中まで形成されていることを特徴とする請求項5に記載の燃料電池。
(付記7)前記電解質膜は、前記一部に含浸された反応性化合物に加熱処理、紫外線、放射線又は電子線が照射されて前記低透過率の状態に変質してなることを特徴とする請求項6に記載の燃料電池。
(付記8)前記燃料の透過率の低い前記一部が前記正極触媒層側に、前記燃料の透過率の高い前記他部が前記負極触媒層側となるように配置されることを特徴とする請求項6又は7に記載の燃料電池。
(付記9)電解質膜と、
燃料を酸化する負極触媒層と、
酸素を還元する正極触媒層と
を含む電池セルを備え、
前記負極触媒層に前記燃料を供給すると共に前記正極触媒層に酸化剤ガスが供給されて発電を行う燃料電池であって、
前記正極触媒層は、触媒を担持したカーボンと触媒を担持していないカーボンとの混合物を含有してなることを特徴とする燃料電池。
(付記10)前記電解質膜は、その一部に他部よりも前記燃料の透過率の低い領域が形成されていることを特徴とする請求項9に記載の燃料電池。
(付記11)前記電解質膜は、前記燃料の透過率の異なる少なくとも2種類の電解質層が同一面内に積層配置されてなるものであり、低透過率の前記電解質層が前記一部を、高透過率の前記電解質層が前記他部をそれぞれ構成することを特徴とする請求項10に記載の燃料電池。
(付記12)前記電解質膜は、前記低透過率の前記電解質層が前記正極触媒層側に、前記高透過率の前記電解質層が前記負極触媒層側となるように配置されてなることを特徴とする請求項11に記載の燃料電池。
(付記13)前記電解質膜は、前記一部が前記他部よりも前記燃料の透過率の低い状態に表面構造が変質してなることを特徴とする請求項10に記載の燃料電池。
(付記14)前記電解質膜は、前記一部に含浸された反応性化合物に加熱処理、紫外線、放射線又は電子線が照射されて前記低透過率の状態に変質してなることを特徴とする請求項13に記載の燃料電池。
(付記15)前記触媒が白金又はその合金であることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載の燃料電池。
(付記16)前記カーボンがケッチェンブラックであることを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に記載の燃料電池。
(付記17)前記燃料がメタノール水溶液であることを特徴とする請求項1〜16のいずれか1項に記載の燃料電池。
実施形態による燃料電池セルの構成を示す概略断面図である。 燃料電池セルを有する燃料電池を模式的に示す斜視図である。 実施形態による燃料電池セル(の主要部位)の原理構成を模式的に示す斜視図である。 実施形態による燃料電池セル(の主要部位)の変形例1を示す模式図である。 実施形態による燃料電池セル(の主要部位)の変形例2を示す模式図である。 実施形態の実施例及び比較例の連続放電特性と燃料タンク内温度の推移を示す特性図である。 参考形態による燃料電池セル(の主要部位)の原理構成を示す概略断面図である。 参考形態の比較例における電圧値及び燃料温度の評価結果を示す特性図である。 参考例における電圧値及び燃料温度の評価結果を示す特性図である。
符号の説明
1,31,32,51 固体電解質膜
2 負極触媒層(アノード電極触媒層)
3,52 正極触媒層(カソード電極触媒層)
4 負極触媒層側のカーボンペーパー
5 正極触媒層側のカーボンペーパー
6 負極集電体層
7 正極集電体層
8 セル筐体
9 負極端子
10 燃料電池セル
11 正極端子
21,23 低透過率領域
22 高透過率領域
41,42 電解質層

Claims (4)

  1. 有機燃料であるメタノールを酸化する負極触媒層と、
    酸素を還元する正極触媒層と
    一方の表面で前記正極触媒層と接し、他方の表面で前記負極触媒層と接する電解質膜と
    を含む電池セルを備え、
    前記負極触媒層に前記有機燃料を供給すると共に前記正極触媒層に酸化剤ガスが供給されて発電を行う燃料電池であって、
    前記電解質膜は、前記有機燃料の低透過率領域と、前記低透過率領域の周辺部位に形成された、前記低透過率領域よりも前記有機燃料の透過率が高い高透過率領域とを有することを特徴とする燃料電池。
  2. 前記電解質膜は、前記高透過率領域である第1の電解質膜上に前記低透過率領域である第2の電解質膜が積層されてなることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池。
  3. 前記電解質膜は、当該電解質膜前記一方の表面から厚み方向の途中まで前記低透過率領域が形成されてなることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池。
  4. 前記電解質膜は、前記低透過率領域が前記高透過率領域よりも前記有機燃料の透過率の低い状態に表面構造が変質してなることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池。
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