JP2004127833A - 燃料電池 - Google Patents

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吉田 賢介
Hiroaki Yoshida
吉田 宏章
Masami Tsutsumi
堤 正巳
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Abstract

【課題】特に携帯機器などの比較的小型の燃料電池において、アノード電極での二酸化炭素の発生により燃料補給速度が低下することに起因する燃料電池の内部抵抗の増大を抑制することができる燃料電池を提供する。
【解決手段】燃料電池X1は、液体燃料を酸化するための第1触媒層11aを有するアノード電極11と、酸素を還元するための第2触媒層12aを有するカソード電極12と、アノード電極11およびカソード電極12に挟まれた電解質層13とを備える。液体燃料は、第1触媒層11aにて酸化することによって二酸化炭素が発生するため、第1触媒層11aは、触媒が存在しない無塗布部11a´を部分的に備えることによって、二酸化炭素の発生を抑制している。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池に関する。具体的には、本発明は、携帯電話などの電子機器に搭載可能な燃料電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
携帯電話、PDA、ノートパソコンなどの携帯電子機器では、機器全体の小型軽量化や駆動可能時間の長時間化を図るため、駆動電源やメモリ保持電源として、従来のニッケル・カドミウム電池やニッケル水素電池に代えてリチウムイオン二次電池が採用される場合が多い。リチウムイオン二次電池は、ニッケル・カドミウム電池やニッケル水素電池と比較すると、軽量で、高い駆動電圧および電池容量が得られるという特長を有する。一方、近年の高度情報通信網の普及により、携帯電子機器における情報通信機能は強化され、機器のオペレーション時間は増加する傾向にある。そのため、携帯電子機器用途の電池に対しては、更なる高容量化の要求が高まっている。リチウムイオン二次電池は、携帯電子機器の進歩に伴って性能向上が図られてきたが、材料の観点からも構造の観点からも、性能の向上はほぼ限界に達しており、近年の更なる高容量化の要求に対応できなくなりつつある。
【0003】
このような状況のもと、リチウムイオン二次電池に代わる新たな電池として、リチウムイオン二次電池の数倍の高容量化が期待される燃料電池が注目を集めている。燃料電池は、触媒を含む燃料極(アノード電極)および空気極(カソード極)と、これらの間において所定のイオンの移動を許容する電解質とからなる構造を有する。燃料電池においては、燃料極に燃料ないし水素を供給するとともに空気極に空気ないし酸素を供給すると、電極に含まれる触媒の作用により各電極にて電気化学的な反応が起こり、燃料を供給源とする電子による直流電流を取り出すことができる。このようなメカニズムで発電する燃料電池においては、燃料および酸素を供給し続けることにより連続発電が可能となる。したがって、燃料電池は、燃料および酸素を補給することにより、充電操作により反復使用される二次電池と同様に、携帯電子機器用途の電源へと応用可能である。
【0004】
燃料電池は、その電解質の種類に基づいて、リン酸型、固体高分子型、溶融炭酸塩型、固体酸化物型などに類別される。携帯電子機器用途の電源としては、室温付近の低温にて作動可能であること、小型に構成可能であること、振動に強く大量生産が容易な固体電解質を備えることなどから、固体高分子型の燃料電池が適している。
【0005】
固体高分子型燃料電池においては、燃料供給方法として、水素ガスを貯留して当該水素ガスを燃料極に接触させる手法、有機燃料を貯留して当該有機燃料を改質することによって生ずる水素ガスを燃料極に接触させる手法、および、水素を供給可能な液体燃料を貯留して当該液体燃料を燃料極に対して直接に供給する手法などが知られている。水素ガスを使用する手法は、水素ガスの取り扱いが困難であったり、燃料を改質するための装置が必要であったりするため、携帯電子機器の小型電源としては適さない。そのため、携帯電子機器の小型電源を構成するという観点からは、液体燃料を燃料極に直接に供給する方式を採用する燃料電池が注目を集めている。特に、液体燃料としてのメタノール水溶液を燃料極に対して直接に供給するダイレクトメタノール方式の燃料電池(以下、DMFCと略す)が注目を集めている。
【0006】
DMFC(Direct Methanol Fuel Cell)では、メタノール水溶液が供給された燃料極では、下記の式(1)に示すように、メタノールと水が反応して、二酸化炭素(CO)、プロトン(H)、および電子(e)が生ずる。すなわち、DMFCではメタノールが酸化分解される。燃料極で生じたプロトンは高分子電解質膜を通って空気極に向かい、電子は、燃料極に接続された外部回路に流れる。外部回路にて仕事を終えた電子は空気極に向かう。また、二酸化炭素はメタノール水溶液を介して系外に排出される。
【0007】
【化1】
Figure 2004127833
【0008】
空気極では、下記の式(2)に示すように、空気から得られる酸素(O)と、燃料極から電解質膜を経て到来したプロトン(H)と、燃料極から外部回路を経て到来した電子(e)とが反応して水(HO)が生成する。
【0009】
【化2】
Figure 2004127833
【0010】
固体高分子型のDMFCにおいては、燃料極での式(1)の反応および空気極での式(2)の反応が同時的に進行することによって、直流電流を取り出すことができる。また、メタノール水溶液および酸素を供給し続けることにより、連続発電する。
【0011】
DMFCの理論電圧は、約1.2Vであるが、実際の電圧は、電池反応の過電圧が大きいことや、燃料が燃料極にて酸化分解されずに電解質膜を透過して空気極に到達してしまうクロスオーバなどにより理論電圧に比べ大幅に低下する。したがって、出力を大きくするためには、より大きな電流を取り出せるようにDMFCにおける内部抵抗を小さくする必要がある。このようなDMFCにおける内部抵抗を小さくする技術の一例として、電解質膜への水分供給能力を高め、電解質膜内の含水量低下に伴う乾燥を防ぐことにより電解質膜の膜抵抗の増大を抑制する技術が開示されている。(たとえば、特許文献1参照。)
【0012】
【特許文献1】
特開平5−190184号公報 (第2−3頁、第1−3図)
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1において開示されている技術では、電解質膜の膜抵抗の増大を抑制する技術は開示されているが、たとえば燃料として低濃度メタノール水溶液を用いてDMFCを駆動した際、燃料極での電気化学的反応により発生する二酸化炭素の影響により燃料補給速度が低下することに起因するDMFCの内部抵抗の増大を抑制する技術は開示されていない。また、比較的大型のDMFCにおいては、燃料タンクの大型化や燃料を強制的に補給する補助機器により上述の問題を改善することができる可能性があるが、特に携帯機器などの比較的小型のDMFCでは、サイズ的な制約により、このような対策を講じることができない。
【0014】
本発明は、このような事情のもとで考え出されたものであって、特に携帯機器などの比較的小型の燃料電池において、燃料極での二酸化炭素の発生により燃料補給速度が低下することに起因する燃料電池の内部抵抗の増大を抑制することができる燃料電池を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明により提供される燃料電池は、液体燃料を酸化するための第1触媒層を有するアノード電極と、酸素を還元するための第2触媒層を有するカソード電極と、アノード電極およびカソード電極に挟まれた電解質層とを含み、第1触媒層にて液体燃料が酸化することによって二酸化炭素が発生する燃料電池において、第1触媒層は、触媒が存在しない無塗布部を部分的に有していることを特徴としている。
【0016】
このような構成の燃料電池は、無塗布部において、触媒が存在していない。つまり、無塗布部では、第1触媒層に液体燃料を供給し、電気化学的に反応した際に発生する二酸化炭素は生じない。そのため、第1触媒層における電気化学的反応によって発生する二酸化炭素の影響により直接的に第1触媒層に近づきにくい液体燃料が、二酸化炭素を発生していない無塗布部付近を経ることにより第1触媒層に比較的容易に近づくことができるようになる。これにより、第1触媒層に対する液体燃料の供給速度の低下が抑制され、ひいては燃料電池の内部抵抗の増大が抑制される。したがって、上述のような構成の燃料電池においては、より大きな電流を取り出すことができるようになり、燃料電池の出力が向上する。
【0017】
好ましくは、無塗布部に、水および液体燃料を透過しない不透過層が設けられ、より好ましくは、不透過層の層の厚さは、第1触媒層の層の厚さより薄く形成されている。
【0018】
第1触媒層の無塗布部に上述のような不透過層を形成したことにより、たとえばダイレクトメタノール方式において生じる問題の1つであるクロスオーバの発生をより効果的に抑制することが可能となる。具体的には、メタノール水溶液などの液体燃料が、電解質層が露出状態にある無塗布部を介して電解質膜に到達し、さらに電解質膜に含浸している水中を拡散して第2触媒層へ移動するのを不透過層を設けたことで防ぐことができる。つまり、液体燃料のクロスオーバを低減することができる。したがって、クロスオーバした液体燃料が第2触媒層で酸化分解されることにより生じる逆起電力に起因する燃料電池の起電力低下や、クロスオーバした液体燃料がカソード電極で揮発し、第1触媒層での触媒反応に寄与しないメタノールの量が増大することに起因する燃料電池の容量低下を抑制することができる。なお、好ましい実施形態において、不透過層は、シリコーンを含んでいる。
【0019】
好ましくは、第2触媒層は、第1触媒層の無塗布部に対応する部分に無塗布部を有している。
【0020】
第2触媒層において上述の位置に無塗布部を設けたことにより、たとえばダイレクトメタノール方式において生じる問題の1つであるクロスオーバの発生をより効果的に抑制することが可能となる。具体的には、たとえばメタノール水溶液が、電解質層が露出状態にあるアノード電極側の無塗布部を介して電解質層に到達し、さらに電解質層に含浸している水中を拡散して第2触媒層側へ移動する場合、アノード電極側の無塗布部に対応する位置に触媒が存在すれば第2触媒層におけるメタノールの酸化によりホルムアルデヒドが発生するが、第2触媒層の上述の位置に無塗布部を設けていれば、ホルムアルデヒドの発生は抑制される。これにより、ホルムアルデヒドに起因する触媒の劣化が抑制され、本来第2触媒層で行われる酸素還元反応への影響が小さくなる。したがって、燃料電池の出力向上に繋がる。
【0021】
好ましい実施形態において、液体燃料は、メタノールを含んでいる。この場合、メタノール濃度が10vol%以上のメタノール水溶液であるのが好ましい。このようなメタノール水溶液は、高い発電効率を達成するための液体燃料として好ましい。
【0022】
好ましい実施形態において、第2触媒層は、白金およびルテニウムを含む触媒を用いて構成されている。このような構成としたことにより、第2触媒層に液体燃料が到達した場合においても、触媒は、より高い化学的安定性が確保できる。したがって、発電をより安定して行う触媒として好ましい。
【0023】
本発明のその他の利点および特徴については、以下に行う発明の実施形態の説明から、より明らかとなるであろう。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明の第1の実施形態に係る燃料電池X1を、図1〜図4を参照して具体的に説明する。
【0025】
図1は、本発明にかかる燃料電池X1の外観の一例を表す斜視図である。図2は、図1の線I−Iに沿った断面図であり、図3は、図2の分解図である。燃料電池X1は、燃料電池本体10と、燃料貯蔵部20とを備える。燃料電池本体10および燃料貯蔵部20は、電池筐体30に収容されている。
【0026】
燃料電池本体10は、図2および図3に示すように、アノード電極11と、カソード電極12と、これらに挟まれている電解質層13とからなる。アノード電極11は、触媒層11aおよび拡散層11bによる積層構造を有し、触媒層11aの側で電解質層13と接合している。触媒層11aは、無塗布部11a´を有している。カソード電極12は、触媒層12aおよび拡散層12bによる積層構造を有し、触媒層12aの側で電解質層13と接合している。
【0027】
アノード電極11の触媒層11aは、上掲の式(1)で表されるように、メタノールを酸化してプロトンと電子を取り出すためのものであり、導電粒子に触媒を担持させてなる触媒性粒子と、電解質層形成用の後述するプロトン伝導性高分子材料との混合物を含み、多孔質である。導電粒子としては、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、カーボンブラックなどの炭素粒子が挙げられる。触媒としては、白金(Pt)や、白金(Pt)−ルテニウム(Ru)合金などの遷移金属からなる合金を採用することができる。導電粒子の粒径は、例えば0.01〜0.1μmであり、触媒の粒径は、例えば2〜5nmである。また、触媒層11aの厚さは、例えば2〜30μmである。
【0028】
触媒層11aの作製においては、まず、触媒性粒子とプロトン伝導性高分子材料とを、水溶媒系、アルコール溶媒系、または、水−アルコール溶媒系にて混合し、触媒分散溶液を調整する。次に、ポリテトラフルオロエチレンシートなどの基材の上に触媒分散溶液を塗布した後、自然乾燥する。自然乾燥後、さらに、たとえば100℃にて所定時間、加熱乾燥を行う。加熱乾燥後、基材上に形成された触媒膜を所定のサイズで切り出し、これを後述する方法により電解質層13に積層することにより触媒層11aが作製される。
【0029】
無塗布部11a´は、たとえば図2に示したように、触媒層11aが塗布されていない部分のことである。この無塗布部11a´は、触媒層11aを形成する過程において、図4に示したように触媒膜の一部を削り取ることにより形成される部分である。この触媒膜の一部を削り取る方法としては、たとえば予めポリテトラフルオロエチレンシートなどの上に形成された触媒膜において無塗布部11a´が形成される部分を、カッターナイフなどを用いて機械的に除去する方法やスパッタリングにより除去する方法などが挙げられる。なお、無塗布部11a´の形状や形成範囲などは特には限定されない。
【0030】
アノード極11の拡散層11bは、アノード極11に供給された液体燃料であるメタノール水溶液(図示略)が触媒層11aに至る前に拡散する場を提供するためのものであり、カーボンペーパなどの多孔質導電膜よりなる。拡散層11bにてメタノール水溶液が拡散することにより、メタノール水溶液は、触媒層11aへと効率良く行き渡ることとなる。拡散層11bの厚さは例えば100〜400μmである。
【0031】
カソード極12の触媒層12aは、上掲の式(2)で表されるように、たとえば空気中の酸素の還元反応を進行させるためのものであり、導電粒子に触媒を担持させてなる触媒性粒子と、電解質層形成用の後述するプロトン伝導性高分子材料との混合物を含み、多孔質である。触媒については、白金(Pt)や、白金(Pt)−ルテニウム(Ru)合金などの遷移金属からなる合金を採用することができる。触媒の粒径は、例えばnmである。導電粒子については、触媒層11aと同様のものを使用することができる。触媒層12aの厚さは、例えば2〜30μmである。
【0032】
触媒層12aの作製方法については、触媒層11aに関して上述したのと同様である。
【0033】
カソード電極12の拡散層12bは、カソード電極12に流通接触する空気が触媒層12aに至る前に拡散する場を提供するためのものであり、カーボンペーパなどの多孔質導電膜よりなる。拡散層12bにて空気が拡散することにより、当該空気ひいては酸素は、触媒層12aへと効率良く行き渡ることとなる。拡散層12bの厚さは例えば100〜400μmである。
【0034】
電解質層13は、アノード電極11における液体燃料の酸化反応で生成したプロトンをカソード電極12に輸送するための媒体であり、電子伝導性を有さずにプロトン伝導性を有する高分子材料よりなる。そのような高分子材料としては、パーフロオロスルホン酸膜が挙げられる。パーフロオロスルホン酸膜としては、例えば、ナフィオン膜(デュポン製)、フレミオン膜(旭硝子製)、アシプレックス膜(旭化成工業製)、ダウ膜(ダウケミカル製)などが挙げられる。電解質層13の厚さは、例えば50〜400μmである。
【0035】
燃料電池本体10の作製においては、例えば、まず、上述のようにして形成された無塗布部11a´を有する触媒層11aと、触媒層12aとにより電解質層13を挟み、所定の温度および時間でホットプレスを行うことにより触媒層11aと、電解質層13と、触媒層12aとからなる積層体を形成する。次に、この積層体を構成する各触媒層11a,12aからポリテトラフルオロエチレンシートなどの基材を除去する。次に、所定のサイズで切り出された多孔質導電膜により基材が除去された積層体を積層方向に挟み、所定の温度および時間でホットプレスを行うことにより燃料電池本体10を作製する。
【0036】
このようにして作製される燃料電池本体10と、スペーサ31と、パッキング材32と、パッキング材33とを、図2に示すように電池筐体30に収容することによって、燃料電池本体10および燃料貯蔵部20を備えて、これらが電池筐体30に収容された燃料電池X1が得られる。スペーサ31には、所定の開口部31aが設けられている。この開口部31aは、円形であってもよいし、スリット状であってもよい。パッキング材32は、燃料電池本体10の周縁部と電池筐体30との間の隙間を封止する。また、パッキング材33は、燃料貯蔵部20を規定しつつ、燃料貯蔵部20からの燃料漏れを防止するためのものである。
【0037】
電池筐体30において燃料貯蔵部20を規定する所定の箇所には、燃料貯蔵部20と電池外部との間の隔壁として、二酸化炭素透過膜(図示略)が配設されている。二酸化炭素透過膜は、液体燃料を実質的に透過させずに二酸化炭素を選択的に透過させる膜であり、この膜を介して、アノード極11における電池反応で生成する二酸化炭素は排出される。二酸化炭素透過膜を構成する材料としては、たとえばシリコンゴムやフッ素ポリイミドなどが挙げられる。
【0038】
燃料電池本体10のアノード電極11は、スペーサ31の開口部31aを介して燃料貯蔵部20に露出している。したがって、燃料貯蔵部20に貯留されている液体燃料(図示略)は、スペーサ31の開口部31aを通ってアノード極11に接触可能である。また、カソード電極12は、電池筐体30に当接しつつ、その一部が開口部30aを介して機器外部に露出している。したがって、電池外部の空気に含まれる酸素は、カソード電極12に対して接触可能である。
【0039】
燃料電池X1においては、燃料貯蔵部20に、たとえばメタノール水溶液が貯留されていると、当該メタノール水溶液は、スペーサ31の開口部31aを介して燃料貯蔵部20からアノード電極11に至る。そして、アノード電極11では、メタノール水溶液は、メッシュ状の集電体40Aおよび拡散層11bを介して触媒層11aに至る。これとともに、電池筐体30の開口部30aを介して外気に触れるカソード電極12には、空気に含まれる酸素が常時的に接触する。カソード電極12では、酸素は、メッシュ状の集電体40Bおよび拡散層12bを通過して触媒層12aに至る。アノード電極11に対してメタノール水溶液が供給されるとともにカソード電極12に対して酸素が供給されると、アノード電極11の触媒層11aでは、触媒の作用により、上掲の式(1)で表されるメタノール酸化反応が起こり、二酸化炭素、プロトン、および電子が発生する。二酸化炭素は触媒層11aにおいて発生し、無塗布部11a´では発生しない。また、カソード電極12の触媒層12aでは、触媒の作用により、上掲の式(2)で表される酸素還元反応が起こり、水が生成する。この水は、自然蒸散する。両極において、このような電気化学反応が進行することにより、燃料電池本体10は発電する。
【0040】
以上のような構成を有する燃料電池X1は、無塗布部11a´において触媒層11aが存在していない。つまり、無塗布部11a´では、触媒層11aに液体燃料を供給し、電気化学的に反応した際に発生する二酸化炭素は生じず、触媒層11aと無塗布部11a´とで二酸化炭素の発生に分布が生じる。二酸化炭素の発生に分布が生じることにより、液体燃料中に良好な対流が形成され、触媒層11aへの燃料供給が、よりスムーズに行われるようになると考えられる。これにより、触媒層11aに対する燃料供給効率の低下が抑制されるので、燃料電池の内部抵抗の増大を抑制することができる。したがって、より大きな電流を取り出すことができるようになり、燃料電池の出力が向上する。
【0041】
本発明の第2の実施形態に係る燃料電池X2を、図5〜図7を参照して具体的に説明する。これらの図においては、先に説明した燃料電池X1と同一または同種の部材または要素については、同一の符号を付してあり、それらのものについての重複説明は省略するものとする。
【0042】
図5は、本発明にかかる燃料電池X2の外観の一例を表す斜視図である。図6は、図5の線II−IIに沿った断面図であり、図7は、図6の分解図である。燃料電池X2は、燃料電池本体10´と、燃料貯蔵部20とを備える。燃料電池本体10´および燃料貯蔵部20は、電池筐体30に収容されている。
【0043】
燃料電池本体10´は、図6および図7に示すように、アノード電極11と、カソード電極12と、これらに挟まれている電解質層13と、不透過層14とからなる。触媒層11aが有する無塗布部11a´には、電解質層13の露出面を覆うように不透過層14が設けられている。
【0044】
燃料電池本体10´の作製においては、たとえば、まず、無塗布部11a´を有する触媒層11aと、触媒層12aとにより電解質層13を挟み、所定の温度および時間でホットプレスを行うことにより触媒層11aと、電解質層13と、触媒層12aとからなる積層体を形成する。次に、無塗布部11a´に不透過層14を形成する。次に、この積層体を構成する各触媒層11a,12aからポリテトラフルオロエチレンシートなどの基材を除去する。次に、所定のサイズで切り出された多孔質導電膜により基材が除去された積層体を積層方向に挟み、所定の温度および時間でホットプレスを行うことにより燃料電池本体10´を作製する。
【0045】
不透過層14の形成は、たとえば、まず、上述のように形成された積層体の触媒層11a側の面に無塗布部11a´が露出するようにマスクをする。次に、不透過層形成材を含む溶液をスピンコートなどで塗布した後、乾燥させることにより行われる。なお、不透過層形成材としては、シリコーンゴムなどのシリコーン系材料などが挙げられる。
【0046】
また、不透過層14の形成は、上述の方法に限らず、たとえば、上述のようにマスクした後、蒸着により行ってもよい。この場合における不透過層形成材としては、銀などの金属が挙げられる。
【0047】
このようにして作製される燃料電池本体10´と、スペーサ31と、パッキング材32と、パッキング材33とを、図2に示すように電池筐体30に収容することによって、燃料電池本体10´および燃料貯蔵部20を備えて、これらが電池筐体30に収容された燃料電池X2が得られる。また、燃料電池X2において、燃料貯蔵部20に、たとえばメタノール水溶液が貯留されていると、燃料電池X1における燃料電池本体10の発電と同様の過程により燃料電池本体10´は発電する。
【0048】
以上のような構成を有する燃料電池X2は、触媒層11aの無塗布部11a´に不透過層14を形成したことにより、クロスオーバの発生をより効果的に抑制することができる。具体的には、メタノール水溶液などの液体燃料が、電解質層13が露出状態にある無塗布部11a´を介して電解質層13に到達し、さらに電解質層13に含浸している水中を拡散してカソード電極12へ移動するのを不透過層14を設けたことで防ぐことができる。したがって、クロスオーバした液体燃料がカソード電極12で酸化分解されることにより生じる逆起電力に起因する燃料電池の起電力低下や、クロスオーバした液体燃料がカソード電極12で揮発し、触媒層11aでの触媒反応に寄与しないメタノールの量が増大することに起因する燃料電池の発電効率の低下、を抑制することができる。
【0049】
本発明の第3の実施形態に係る燃料電池X3を、図8〜図10を参照して具体的に説明する。これらの図においては、先に説明した燃料電池X1,X2と同一または同種の部材または要素については、同一の符号を付してあり、それらのものについての重複説明は省略するものとする。
【0050】
図8は、本発明にかかる燃料電池X3の外観の一例を表す斜視図である。図9は、図8の線III−IIIに沿った断面図であり、図10は、図9の分解図である。燃料電池X3は、燃料電池本体10″と、燃料貯蔵部20とを備える。燃料電池本体10″および燃料貯蔵部20は、電池筐体30に収容されている。
【0051】
燃料電池本体10″は、図8および図9に示したように、アノード電極11と、カソード電極12と、これらに挟まれている電解質層13とからなる。触媒層12aには、無塗布部12a´が設けられている。
【0052】
無塗布部12a´は、たとえば図8に示したように、触媒層12aが塗布されていない部分のことである。この無塗布部12a´は、無塗布部11a´と同様にして形成され、その形状や形成範囲などは無塗布部11a´と同様の形状や形成範囲とするのが好ましい。
【0053】
燃料電池本体10″の作製においては、例えば、まず、無塗布部11a´と無塗布部12a´とが電解質層13を介して対向するようにして、触媒層11aと、触媒層12aとにより電解質層13を挟み、さらに、所定の温度および時間でホットプレスを行うことにより触媒層11aと、電解質層13と、触媒層12aとからなる積層体を形成する。次に、この積層体を構成する各触媒層11a,12aからポリテトラフルオロエチレンシートなどの基材を除去する。次に、所定のサイズで切り出された多孔質導電膜により基材が除去された積層体を積層方向に挟み、所定の温度および時間でホットプレスを行うことにより燃料電池本体10″を作製する。
【0054】
このようにして作製される燃料電池本体10″と、スペーサ31と、パッキング材32と、パッキング材33とを、図8に示すように電池筐体30に収容することによって、燃料電池本体10″および燃料貯蔵部20を備えて、これらが電池筐体30に収容された燃料電池X3が得られる。また、燃料電池X3において、燃料貯蔵部20に、たとえばメタノール水溶液が貯留されていると、燃料電池X1における燃料電池本体10の発電と同様の過程により燃料電池本体10″は発電する。
【0055】
以上のような構成を有する燃料電池X3は、触媒層12aにおいて上述の位置に無塗布部12a´を設けたことにより、たとえばダイレクトメタノール方式において生じる問題の1つであるクロスオーバの発生をより効果的に抑制することができる。具体的には、たとえばメタノール水溶液が、電解質層13が露出状態にあるアノード電極11側の無塗布部11a´を介して電解質層13に到達し、さらに電解質層13に含浸している水中を拡散して触媒層12a側へ移動する場合、電解質層13を介して無塗布部11a´に対向する位置に触媒層12aが存在すれば触媒層12aにおいてホルムアルデヒドが発生するが、上述の対向する位置において無塗布部12a´を設けていれば、ホルムアルデヒドの発生は抑制される。これにより、ホルムアルデヒドに起因する触媒の劣化が抑制され、本来触媒層12aで行われる酸素還元反応への影響が小さくなる。したがって、燃料電池の出力向上に繋がる。
【0056】
【実施例】
次に、本発明の実施例について説明する。
【0057】
【実施例1】
<触媒分散溶液の作製>
触媒分散溶液の作製においては、まず、ポットに触媒としての白金−ルテニウム合金を担持する触媒性カーボン粒子(商品名:TEC61E54E、田中貴金属製)3gと、プロトン伝導性のパーフロオロスルホン酸(商品名:Nafion 20042、デュポン製)の20重量%溶液14gとを、水8gおよび2−プロパノール14gからなる混合溶媒系にて、ボールミルを用いて1時間混合し、触媒分散溶液を調整した。この触媒性カーボン粒子における白金およびルテニウムの含有率は、各々、30wt%および20wt%である。
【0058】
<触媒膜の作製>
触媒膜の作製においては、まず、作製した触媒分散溶液を、ポリテトラフルオロエチレンシート上にコートした後、100℃で1時間、加熱乾燥した。次に、触媒膜を形成したポリテトラフルオロエチレンシートを4cm角に切りだした。次に、アノード電極用触媒膜については、図4に示すように膜の一部を機械的に削り取って無塗布部を形成した。これらの触媒膜における触媒量(カーボン担持体を含む)は0.6g/cmであった。
【0059】
<燃料電池の作製>
燃料電池の作製においては、まず、上述のようにして作製された無塗布部を有するアノード電極用触媒膜と、カソード電極用触媒膜とにより、電解質層を構成するための膜厚125μm、5cm角のパーフロオロスルホン酸膜(商品名:Nafion NF−115、デュポン製)を挟持し、160℃で2分間、ホットプレスした。次に、各触媒層からポリテトラフルオロエチレンシートを剥がし、厚さ0.3mm、4cm角のカーボンペーパ(商品名:TGP−H−090、東レ製)2枚により、各触媒層および電解質層からなる積層体を挟持し、160℃で2分間、ホットプレスした。このようにして、燃料電池本体を作製した。
【0060】
次に、上述のように作製された燃料電池本体を、たとえば図2に示すように、空気極側に開口部を有する電池筐体に収容した。電池筐体の内部に規定される燃料貯蔵部には、液体燃料として、メタノール濃度が10vol%のメタノール水溶液を2.5cm注入した。このようにして、燃料電池を作製した。
【0061】
<燃料電池の起電力の測定>
本実施例の燃料電池について、起電力を測定した。具体的には、0.1Aあるいは0.3Aの定電流連続放電を行い、所定の放電時間に対する起電力を測定した。その結果を放電時間に対する放電電圧および放電電力として図11に示した。
【0062】
【比較例1】
<燃料電池の作製>
アノード電極用触媒膜に無塗布部を形成しない以外は、実施例1と同様にして本比較例の燃料電池を作製した。
【0063】
<燃料電池の起電力の測定>
本比較例の燃料電池について、起電力を測定した。具体的には、0.1Aあるいは0.3Aの定電流連続放電を行い、所定の放電時間に対する起電力を測定した。その結果を放電時間に対する放電電圧および放電電力として図11に示した。
【0064】
<評価>
図11の放電電圧の結果を表す実線(1)〜実線(4)および放電電力の結果を表す破線(5)〜破線(8)によく表れているように、無塗布部を設けた実施例1の方が無塗布部を設けていない比較例1に比べ、ある程度放電が進行した際の放電電圧および放電電力の低下が緩やか、つまり、放電末期まで放電電力が安定していた。したがって、実施例1の燃料電池の方がより良好な放電特性を示していた。実施例1における放電特性の良好な結果は、無塗布部を設けたことによりアノード側触媒層への燃料供給の抵抗となっていた二酸化炭素の発生に分布が生じ、それにより燃料中に良好な対流が形成され燃料供給がよりスムーズになり、燃料電池の内部抵抗が抑制されたためであると考えられる。
【0065】
【実施例2】
<触媒分散溶液の作製>
アノード電極用触媒膜用の触媒分散溶液は、実施例1の触媒分散溶液と同様にして作製した。一方、カソード電極用触媒膜用の触媒分散溶液は、白金−ルテニウム合金を担持する触媒製カーボン粒子に代えて、触媒としての白金を担持する触媒性カーボン粒子(商品名:TEC10E50E、田中貴金属製)を使用した以外はアノード電極用触媒膜用の触媒分散溶液と同様にして作製した。この触媒製カーボン粒子における白金の含有率は、50wt%である。
【0066】
<触媒膜の作製>
触媒膜の作製においては、それぞれに作製された触媒分散溶液を使用した以外は、実施例1の触媒膜の作製と同様にして作製した。
【0067】
<燃料電池の作製>
燃料電池の作製においては、まず、上述のようにして作製された無塗布部を有するアノード電極用触媒膜と、カソード電極用触媒膜とにより、電解質層を構成するための膜厚125μm、5cm角のパーフロオロスルホン酸膜(商品名:Nafion NF−115、デュポン製)を挟持し、160℃で2分間、ホットプレスした。次に、このようにして得られた各触媒層および電解質層からなる積層体のアノード電極側の触媒層の面に無塗布部のみが露出するようにマスクをし、キシレンで希釈したシリコーンゴム溶液(商品名:KE45T、信越シリコーン製)をスピンコートで塗布し、さらに、室温にて乾燥硬化し、不透過層を形成した。次に、マスク、および各触媒膜からポリテトラフルオロエチレンシートを剥がし、厚さ0.3mm、4cm角のカーボンペーパ(商品名:TGP−H−090、東レ製)2枚により、不透過層を形成した積層体を挟持し、160℃で2分間、ホットプレスした。このようにして、燃料電池本体を作製した。
【0068】
次に、上述のように作製された燃料電池本体を、たとえば図2に示すように、空気極側に開口部を有する電池筐体に収容した。電池筐体の内部に規定される燃料貯蔵部には、液体燃料として、メタノール濃度が10vol%のメタノール水溶液を2.5cm注入した。このようにして、燃料電池を作製した。
【0069】
<燃料電池の起電力の測定>
本実施例の燃料電池について、起電力を測定した。具体的には、0.1Aあるいは0.3Aの定電流連続放電を行い、所定の放電時間に対する起電力を測定した。その結果を放電時間に対する放電電圧および放電電力として図12に示した。
【0070】
【実施例3】
【0071】
<触媒膜の作製>
触媒膜の作製においては、まず、実施例2と同様にして作製した各触媒分散溶液を、それぞれ別のポリテトラフルオロエチレンシート上にコートした後、100℃で1時間、加熱乾燥した。次に、それぞれの触媒膜を形成したポリテトラフルオロエチレンシートを4cm角に切りだし、アノード電極用触媒膜およびカソード電極用触媒膜を形成した。次に、両触媒膜を図4に示すように膜の一部を機械的に削り取って無塗布部を形成した。これらの触媒膜における触媒量(カーボン担持体を含む)は0.6g/cmであった。
【0072】
<燃料電池の作製>
本実施例の燃料電池は、触媒膜として、上述のようにして作製された無塗布部を有するアノード電極用触媒膜およびカソード電極用触媒膜を用いた以外は、実施例1の燃料電池の作製と同様にして作製した。
【0073】
<燃料電池の起電力の測定>
本実施例の燃料電池について、起電力を測定した。具体的には、0.1Aあるいは0.3Aの定電流連続放電を行い、所定の放電時間に対する起電力を測定した。その結果を放電時間に対する放電電圧および放電電力として図12に示した。
【0074】
【比較例2】
<燃料電池の作製>
カソード電極用触媒膜に無塗布部を形成しない以外は、実施例2と同様にして本比較例の燃料電池を作製した。
【0075】
<燃料電池の起電力の測定>
本比較例の燃料電池について、起電力を測定した。具体的には、0.1Aあるいは0.3Aの定電流連続放電を行い、所定の放電時間に対する起電力を測定した。その結果を放電時間に対する放電電圧および放電電力として図12に示した。
【0076】
<評価>
図12において、放電電圧の結果を表す実線(1)〜実線(5)および放電電力の結果を表す破線(6)〜破線(10)によく表れているように、アノード電極側触媒層の無塗布部に不透過層を設けた実施例2、あるいはアノード電極側触媒層およびカソード極側触媒層の両方に無塗布部を形成した実施例3の方がアノード電極側触媒層のみに、不透過層を設けていない無塗布部を形成した比較例2に比べて、放電電圧および放電電力が大きく、さらにその低下が緩やかで放電末期まで安定していた。したがって、実施例2および3の燃料電池の方が比較例2の燃料電池に比べ、より良好な放電特性を示していた。実施例2における放電特性の良好な結果は、アノード電極側の触媒層に不透過層を設けたことにより、無塗布部を介して起こるクロスオーバを効果的に抑制することができ、クロスオーバした液体燃料がカソード極側触媒層で酸化分解されることにより生じる逆起電力に起因する燃料電池の起電力低下や、クロスオーバした液体燃料がカソード極側触媒層で揮発し、アノード電極側触媒層での触媒反応に寄与しないメタノールの量が増大することに起因する燃料電池の発電効率の低下、を抑制することができるためであると考えられる。実施例3における放電特性の良好な結果は、アノード電極側触媒層の無塗布部に電解質層を介して対向する位置のカソード極側触媒層に無塗布部を設けたことにより、カソード極側触媒層が存在すれば生じるホルムアルデヒドの発生が抑制され、ホルムアルデヒドに起因する白金などの触媒の劣化が抑制されることにより、本来カソード極側触媒層で行われる酸素還元反応への影響が抑制されたためであると考えられる。
【0077】
(付記1)液体燃料を酸化するための第1触媒層を有するアノード電極と、酸素を還元するための第2触媒層を有するカソード電極と、前記アノード電極および前記カソード電極に挟まれた電解質層とを含み、前記第1触媒層にて液体燃料が酸化することによって二酸化炭素が発生する燃料電池において、
前記第1触媒層は、触媒が存在しない無塗布部を部分的に有していることを特徴とする、燃料電池。
(付記2)前記無塗布部に水および液体燃料を透過しない不透過層がさらに設けられている、付記1に記載の燃料電池。
(付記3)前記不透過層の層の厚さは、前記第1触媒層の層の厚さより薄く形成されている、付記2に記載の燃料電池。
(付記4)前記不透過層は、シリコーンを含んでいる、付記2または3に記載の燃料電池。
(付記5)前記第2触媒層は、前記第1触媒層の無塗布部に対応する部分に無塗布部を有している、付記1に記載の燃料電池。
(付記6)前記液体燃料は、メタノールを含む、付記1〜5のいずれか1つに記載の燃料電池。
(付記7)前記液体燃料は、メタノール水溶液であり、
前記メタノール水溶液におけるメタノール濃度は、10vol%以上である、付記6に記載の燃料電池。
(付記8)前記第2触媒層は、白金およびルテニウムを含んでいる、付記1〜7のいずれか1つに記載の燃料電池。
【0078】
【発明の効果】
本発明によると、特に比較的小型の燃料電池において、アノード電極での二酸化炭素発生により燃料補給速度が低下することに起因する燃料電池の内部抵抗の増大を抑制することにより、ある程度放電が進行した際の放電電圧および放電電力の低下が緩やか、つまり、放電末期まで放電電力が安定した燃料電池が作製できた。また、クロスオーバを抑制することにより、逆起電力に起因する燃料電池の起電力の低下や液体燃料の揮発に起因する容量の低下を抑制するとともに、より起電力の大きい燃料電池の作製に有利な触媒の選択を可能にした。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る燃料電池の斜視図である。
【図2】図1の線I−Iに沿った断面図である。
【図3】図1の線I−Iに沿った分解断面図である。
【図4】ポリテトラフルオロエチレンシート上に形成された触媒膜に無塗布部を形成した斜視図の一例を示す。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る燃料電池の斜視図である。
【図6】図5の線II−IIに沿った断面図である。
【図7】図5の線II−IIに沿った分解断面図である。
【図8】本発明の第3の実施形態に係る燃料電池の斜視図である。
【図9】図8の線III−IIIに沿った断面図である。
【図10】図8の線III−IIIに沿った分解断面図である。
【図11】実施例および比較例の放電時間に対する放電電圧および放電電力を表すグラフである。
【図12】実施例および比較例の放電時間に対する放電電圧および放電電力を表すグラフである。
【符号の説明】
X1,X2,X3 燃料電池
10       燃料電池本体
11       アノード電極
11a      触媒層
11a´     無塗布部
11b      拡散層
12       カソード電極
12a      触媒層
12a´     無塗布部
12b      拡散層
13       電解質層
14       不透過層
20       燃料貯蔵部
30       電池筐体
31       スペーサ
31a      開口部
32       パッキング材

Claims (5)

  1. 液体燃料を酸化するための第1触媒層を有するアノード電極と、酸素を還元するための第2触媒層を有するカソード電極と、前記アノード電極および前記カソード電極に挟まれた電解質層とを含み、前記第1触媒層にて液体燃料が酸化することによって二酸化炭素が発生する燃料電池において、
    前記第1触媒層は、触媒が存在しない無塗布部を部分的に有していることを特徴とする、燃料電池。
  2. 前記無塗布部に水および液体燃料を透過しない不透過層が設けられている、請求項1に記載の燃料電池。
  3. 前記不透過層の層の厚さは、前記第1触媒層の層の厚さより薄く形成されている、請求項2に記載の燃料電池。
  4. 前記第2触媒層は、前記第1触媒層の無塗布部に対応する部分に無塗布部を有している、請求項1に記載の燃料電池。
  5. 前記液体燃料は、メタノールを含む、請求項1〜4のいずれか1つに記載の燃料電池。
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