JP4357029B2 - 低騒音用弾性舗装材及び低騒音用弾性舗装施工法 - Google Patents

低騒音用弾性舗装材及び低騒音用弾性舗装施工法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は車道に適用され、弾力性、通気性、吸音性による低騒音性及び振動低減効果を特徴とした舗装に関し、硬質骨材及び弾性骨材をウレタンバインダーで結合した構造の低騒音用弾性舗装材及びその施工法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ゴムチップをバインダーで結合した舗装材は、高い弾力性を特徴とし、歩行時の衝撃吸収性、転倒時の安全性の面から主に歩道や競技場で採用されている。一方、低騒音性を発揮する車道用の舗装材として、排水性舗装があり、空隙を有することによる通気性及び吸音性によりタイヤ騒音が低減されることが知られている。
【0003】
しかるに、ゴムチップをバインダーで結合した舗装材は、荷重に対するたわみ量が大きく車道用として用いた場合には車両の操縦安定性に問題があり、また、湿潤時にタイヤが滑り易くなるという問題がある。また、強度が低いため車道には適用しにくいという問題がある。
【0004】
一方、排水性舗装では、空隙による通気性、吸音性によるタイヤ騒音の低減のため、一般的に騒音レベルで3デシベル程度の騒音低減効果を有するが、これ以上の騒音低減効果を得ることが難しい。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、硬質骨材及び弾性骨材をウレタンバインダ−で結合した、弾力性、通気性、吸音性による低騒音性及び弾力性による振動低減効果をもたらす低騒音用弾性舗装材及びその施工法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨は、硬質骨材、弾性骨材及びこれらを結合するウレタンバインダーからなり、全骨材中のうち硬質骨材の占める割合が10〜75体積%であり、1.18mmふるい目を通過する硬質骨材の重量が5%以上のものを用い、弾性骨材として、粒径が10mm以下の大きさのゴムチップ材を用い、ウレタンバインダーとして、2液性ウレタンバインダーを用いると共に、ウレタンバインダー中のウレタン成分として、イソシアネート基末端プレポリマーにポリオールを用いた低騒音用弾性舗装材である。
【0007】
本発明にあって、弾性骨材として、10mm以下の大きさのゴムチップ材を用いるのが良く、その一部又は全部として着色ゴムチップを用いることができる。一方、硬質骨材として、1.18mmふるい目を通過する成分が重量で5%以上のものが良い。
一方、バインダーは2液性ウレタンバインダーが用いられ、これはイソシアネート基末端プレポリマーにポリオールを用いたもので、このウレタンバインダーに対して0.1〜5重量%の有機シランを添加するのが良い。
【0008】
【発明の実施の形態】
発明の実施の形態を本願発明を中心に述べるが、路面から生じるタイヤ騒音の発生は、タイヤトレッドと路面接触により発生する振動に起因しており、トレッドパターンやサイドウオールが振動することによる騒音と、リブ溝、ラグ溝等の溝と路面が形成する音の共鳴によるものが主な騒音源となっている。
【0009】
しかるに、排水性舗装のような路面に空隙がある場合、後者の溝内の共鳴が発生しにくくなり発生する騒音自体が少なくなるのに加え、吸音性による効果で騒音が低減する。
【0010】
本発明の舗装材では、優れた弾力性を付与したことにより振動が干渉され前者の騒音が低減されることに加え、空隙による排水性舗装材と同様の騒音低減効果も期待できるものである。
【0011】
弾力性について言えば、ゴムチップをバインダーで結合した舗装材は弾力性に富み、更に空隙を持たせることにより騒音低減効果は高いが、荷重に対するたわみ量が大きく、例えばこの舗装材を車道に用いた場合には、操舵時の車両の旋回応答は路面がたわむことにより遅れ、車両の操縦安定性が著しく損なわれるという問題と、湿潤時の滑り抵抗が通常の路面に比べて低いという問題がある。更に強度的のも十分とは言えない。
【0012】
ここで滑り抵抗の点で言えば、硬質骨材の量が滑り抵抗を左右しており、BPN(ポータブルスキッドレジスタンステスタにて測定)60以上の滑り抵抗を確保するためには硬質骨材量を骨材全体の10%以上とする必要があり(図7)、また、この比率が少ないと滑り抵抗の面からだけでなく、車重によるたわみ量が増加し操縦安定性に影響を与える。また、硬質骨材量が余り多過ぎると弾力性が損なわれ低騒音性能に悪影響を与える(図7)。そのため、硬質骨材量は骨材全体の10〜75%(体積比)、好ましくは50〜75%(体積比)とするものである。更に図8(DFテスタにて測定した滑り抵抗)に示すように、硬質骨材の粒度は1.18mmふるい目通過重量比として5%以上の細粒成分が含まれていることが望ましく、この細粒成分がサンドペーパーのように表面がざらついて防滑作用をもたらす。
【0013】
硬質骨材は、一般的に例えば川砂利、川砂等の天然骨材と砕石、スラグ、セラミックス等の人工骨材を含み特に制限はない。硬質骨材に使用する石、砂等は舗装材の強度、耐摩耗性を確保し、表面に露出して防滑作用を得るためのものである。滑り抵抗の面から言えば、硬質骨材の粒度は、1.18mmするい目通過重量比率として5%以上細粒成分が含まれていることが望ましく、この細粒成分がサンドペーパーの様に表面がざらついて防滑作用をもたらす。
【0014】
ゴムチップ、すなわちゴムの小片ないし粉末は舗装に弾力性を与えるものであり、粒径が1mm以下の微細なものから10mm程度のものが適当であるが、1〜5mm程度のものが弾力性及び隙間形成に有効であるため好ましい。このゴムチップは天然ゴム、合成ゴムのいずれでもよく、廃タイヤ等の加硫済みゴム製品を機械的に粉砕して形成されたものを使用することができる。
尚、本発明における硬度はJIS・A硬度であり、硬質骨材とは95度以上であり、弾性骨材とは硬度90度以下のことを言い、後述する実施例のゴムチップは硬度65度程度であり、廃タイヤの硬度は通常は60〜70度であり、熱を受けたものであれば80〜90度程度である。
【0015】
ウレタンバインダーは、骨材を結合し舗装材を形成するためのもので、2液性ウレタンダイダーを用いることが好ましく、イソシアネート基端末プレポリマーとポリオールを水酸基/イソシアネート基の当量比で例えば0.2〜0.8にて混合したものである。イソシアネート基端末プレポリマーの一例としては、イソシアネート含有量が5〜25%、粘度1000〜5000CP(25℃)、イソシアネート基端末プレポリマーの平均官能基数は2〜3である。この、プレポリマー用のイソシアネートとしては、例えばジフェニルメタンジイソシアネート系ポリイソシアネートがある。変性に用いる活性水素化合物としては通常ポリアルキレングリコールで分子量が1000〜3000のものが用いられる。
【0016】
一方、ポリオールの一例としては、平均官能基数は2〜6、平均分子量が1000以下、そして反応性から水酸基の半分以上は一級水酸基であることが好ましく、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリアルキレンエーテルグリコール等があげられる。
【0017】
施工時の気温、交通開放までの時間から硬化時間が規定されることが多いためイソシアネート基端末プレポリマーとポリオールの混合比により硬化時間を調整でき、例えば、水酸基/イソシアネート基の当量比で0.2〜1.0の範囲で適宜選択可能である。なお、バインダーとして1液性ウレタンバインダーを用いることも考えられるが、このものは硬化時間の調整が非常に困難で汎用性がなく、これに比べて2液性ウレタンバインダーは硬化時間の調整が容易であり、又、一般的に硬化時間を短縮できるという利点もある。ゆえに、本発明では2液性ウレタンバインダーを用いることを規定している。また、アミン系、金属系の公知の硬化促進剤を用いて硬化速度を調整することも可能である。また、バインダー量は全体の15〜30体積%混合するのが骨材の結合強度的に望ましい。
【0018】
また、有機シランをウレタンバインダーに対して0.1〜10重量%添加することでウレタンバインダーと骨材の結合力を高め、強度向上及び耐久性の向上を図ることが可能である。なお、有機シランとしては、エポキシ系、メルカプト系等の有機シランが用いられる。
【0019】
更に、舗装材に着色することが求められる場合、ウレタンバインダーに着色剤を混合して着色することが可能である。その場合、着色剤はウレタンバインダーの1〜10重量%混合することが好ましい。尚、着色剤として例えば黒色の場合にはカーボン系、白色の場合にはチタン系が挙げられる。また、弾性骨材として着色したゴムチップ、例えばEPDMのカラーゴムチップを用いたり、着色したセラミックス等の人工骨材を用いて舗装材に着色することが可能である。
【0020】
施工方法は、硬質骨材、弾性骨材を混合しているところへ、バインダーを添加・混合して舗装体用材料を調整する。ウレタンバインダーはイソシアネート基末端プレポリマー、ポリオール、必要に応じて着色剤、有機シラン、硬化促進剤等が予め混合したものでも、別に添加・混合したものでも良い。骨材とバインダーの混合時の添加方法は均一に付着できる方法であればどのような方法でも良い。また、バインダー添加・混合時の温度は常温でよいが、低温の場合は硬化が遅れ高温の場合は硬化が促進されるため温度調節が必要な場合もある。
【0021】
【実施例】
以下、実施例に示す施工工程に従って、舗装施工を行った。図1は参考発明の低騒音用弾性舗装施工法の作業工程の概要を下記に示す。
(1)路面切削工(ケース1、2):既設の舗装を路面切削機により所定の深さに切削する。
(2)半たわみ舗装施工(ケース1):既設アスファルト舗装を切削した後、半たわみ舗装の施工を行う。
(3)研掃工:ショットブラストによる研掃工(投射密度150kg/m2)を行いこれを施工下地とする。
(4)プライマー工:プライマー塗布をローラー刷毛にて行う。
(5)混合物製造:硬質骨材、弾性骨材、ウレタンバインダー等をミキサーにて混合し、混合物を製造する。なお、混合物の製造はアスファルトフィニッシャとともに移動しながら施工箇所の近傍にて行う。
(6)敷設工:混合物は余盛りを見込んでアスファルトフィニッシャにより毎分0.5〜1mの速さで敷き均す。
(7)締固め工:締固めは2.5トンのタンデムローラ、バイブレーティングタンバを用いて行う。
(8)交通開放:混合物の硬化を確認してから交通開放を行う。
【0022】
図2に本発明の混合物の詳細を示す。測定した滑り抵抗(BPN)及び低騒音性(dB)も図2に示す。
低騒音性の測定は、施工した路面を乗用車で走行した時のタイヤ近接音を測定し、密粒度舗装との騒音レベルの差(dB)を低騒音性と定義した。値が大きいほど低騒音性が優れている。
【0023】
図2における施工ケ−ス例1〜4における構造例を図3〜6に示す。
【0024】
【発明の効果】
本発明の舗装材にあっては、最適化された空隙による通気性、吸音性に加え、優れた弾力性により多孔質舗装に比べ大幅な騒音低減効果を得ることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は参考発明における低騒音用弾性舗装材の施工工程図である。
【図2】図2は本発明における混合物の詳細を示す表である。
【図3】図3は施工例ケ−ス1の断面構造を示すものである。
【図4】図4は施工例ケ−ス2の断面構造を示すものである。
【図5】図5は施工例ケ−ス3の断面構造を示すものである。
【図6】図6は施工例ケ−ス4の断面構造を示すものである。
【図7】図7は全骨材中の硬質骨材含有率(%)と滑り抵抗(BPN)及び低騒音性能(dB)との関係を示すグラフである。
【図8】図8は1.18mmふるい目通過量(%)と滑り抵抗との関係を示すグラフである。

Claims (4)

  1. 硬質骨材、弾性骨材及びこれらを結合するウレタンバインダーからなり、
    全骨材中のうち硬質骨材の占める割合が10〜75体積%であり、1.18mmふるい目を通過する硬質骨材の重量が5%以上のものを用い、
    弾性骨材として、粒径が10mm以下の大きさのゴムチップ材を用い、
    ウレタンバインダーとして、2液性ウレタンバインダーを用いると共に、ウレタンバインダー中のウレタン成分として、イソシアネート基末端プレポリマーにポリオールを用いたことを特徴とする低騒音用弾性舗装材。
  2. ウレタンバインダーに対し、0.1〜5重量%の有機シランを添加した請求項第1項記載の低騒音用弾性舗装材。
  3. ウレタンバインダーに対し、着色材を混合した請求項第1項記載の低騒音用弾性舗装材。
  4. 弾性骨材の一部若しくは全部に、着色ゴムチップを用いた請求項第1項記載の低騒音用弾性舗装材。
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