JP4357022B2 - 半導体発光素子の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、BN(窒化ホウ素)、GaN(窒化ガリウム)、AlN(窒化アルミニウム)もしくはInN(窒化インジウム)またはこれらの混晶等のIII −V族窒化物系半導体(以下、窒化物系半導体と呼ぶ)からなる化合物半導体層を有する半導体発光素子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、青色または紫色の光を発する発光ダイオード、半導体レーザ素子等のGaN系半導体発光素子の実用化が進んできている。
【0003】
図7は、従来のGaN系半導体レーザ素子の一例を示す模式的断面図である。
図7に示すように半導体レーザ素子400は、サファイア基板61のc(0001)面上に、アンドープのGaNからなる低温バッファ層62、n−GaNからなるn−コンタクト層63、n−Al0.1 Ga0.9 Nからなるn−光クラッド層64、n−GaNからなるn−光ガイド層65、n−MQW(多重量子井戸)発光層66、p−Al0.1 Ga0.9 Nからなるp−ブロック層67、p−GaNからなるp−光ガイド層68、p−Al0.1 Ga0.9 Nからなるp−光クラッド層69およびp−GaNからなる第1のp−コンタクト層70が順に積層されている。第1のp−コンタクト層70およびp−光クラッド層69の所定領域がエッチングされてp−光クラッド層69が露出し、リッジ部が形成されている。このように、半導体レーザ素子400はリッジ導波構造を有する。
【0004】
第1のp−コンタクト層70上の中央部のストライプ状領域を除いて電流狭窄層71が積層されている。さらに、第1のp−コンタクト層70上および電流狭窄層71上に第2のp−コンタクト層72が積層されている。
【0005】
第2のp−コンタクト層72上の中央部の領域を除いて絶縁膜73が形成されるとともに、p−コンタクト層72の中央部の領域上および絶縁膜73上にp電極51が形成されている。また、絶縁膜73からn−コンタクト層63までの一部領域がエッチングにより除去され、露出したn−コンタクト層63上にn電極50が形成されている。
【0006】
半導体レーザ素子400においては、リッジ部の形成により、n−MQW発光層66の水平方向において屈折率の分布が生じる。また、電流狭窄層71により電流が狭窄され、リッジ部内に電流注入領域が形成される。このような屈折率の分布および電流の狭窄を利用し、水平方向の光の閉じ込め、すなわち横モードの制御が行われる。
【0007】
半導体レーザ素子400の製造の際には、結晶成長装置において、MOCVD法(有機金属気相成長法)により、サファイア基板(ウエハ)61上に、各層62〜70を順に結晶成長させる。
【0008】
続いて、ウエハを結晶成長装置から取り出し、大気中において、第1のp−コンタクト層70上の中央部の領域にNiマスクを形成する。このNiマスクを用いて、第1のp−コンタクト層70およびp−光クラッド層69をエッチングしてリッジ部を形成する。その後、Niマスクを除去する。
【0009】
次に、露出した第1のp−コンタクト層70およびp−光クラッド層69の表面を有機溶剤、酸等を用いて洗浄し、表面の汚れを除去する。その後、第1のp−コンタクト層70上の中央部のストライプ状領域にSiO2 マスクを形成し、再び結晶成長装置に戻す。
【0010】
結晶成長装置において、第1のp−コンタクト層70上のSiO2 マスクを除く領域上およびp−光クラッド層69上に、n−電流狭窄層71を成長させる。この後、ウエハを再び結晶成長装置から取り出し、第1のp−コンタクト層70上に形成したSiO2 マスクを除去する。
【0011】
再びウエハを結晶成長装置に戻し、露出した第1のp−コンタクト層70上および電流狭窄層71上に、第2のp−コンタクト層72を成長させる。
【0012】
さらに、マスクパターンを用いてSiO2 膜73を形成し、SiO2 膜73からn−コンタクト層63までの一部領域をエッチングする。最後に、n電極50およびp電極51をそれぞれ所定の領域に形成し、へき開により素子に分離する。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、半導体レーザ素子400のリッジ部および電流狭窄層71を形成する工程においては、結晶成長装置中から大気中にウエハを取り出し、SiO2 マスクの形成および除去を順に行う。このような過程において、第1のp−コンタクト層70の表面に表面準位が生じる。
【0014】
リッジ部の第1のp−コンタク層70に表面準位が生じると、電流注入領域において、第1のp−コンタクト層70と第2のp−コンタクト層72との界面の伝導度が低下する。また、表面準位を有する第1のp−コンタクト層70上に再成長させた第2のp−コンタクト層72は、結晶性が悪くなる。それにより、第2のp−コンタクト層72の正孔濃度をある程度以上に上げることが困難になるとともに、正孔の移動度が低下する。したがって、発光再結合に関与する正孔濃度が減少する。
【0015】
これらのことに起因し、半導体レーザ素子400において素子抵抗が増加するとともに、発光に関与しない無効電流が増加する。それにより、半導体レーザ素子400の発光効率が低下する。さらに、素子抵抗および無効電流が増加すると、素子温度が上昇するため、半導体レーザ素子400の結晶中に転位が増殖する。それにより、半導体レーザ素子400に劣化が生じるため、素子の信頼性が低下するとともに、寿命が短くなる。
【0016】
さらに、表面準位を有する第1のp−コンタクト層70および結晶性の悪い第2のp−コンタクト層72のために、光の損失が大きくなる。したがって、半導体レーザ素子400のしきい値電流密度が増加する。
【0017】
本発明の目的は、しきい値電流密度が低く、発光効率が高くかつ信頼性の高い半導体発光素子の製造方法を提供することである。
【0019】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
本発明により製造される半導体発光素子においては、電流注入領域における第1の窒化物系半導体層の表面から一定深さまでが除去されてストライプ状凹部が形成されることにより、第1の窒化物系半導体層の表面準位が除去され、表面準位が除去された第1の窒化物系半導体層の再成長表面上に第2の窒化物系半導体層が形成されている。そのため、第1の窒化物系半導体層と第2の窒化物系半導体層との界面における伝導度の低下が抑制され、素子抵抗が低減される。
【0020】
また、第2の窒化物系半導体層は、表面準位が除去された再成長表面上に形成されているので、結晶性が良好となっている。このため、第2の窒化物系半導体層のキャリア濃度を高くすることが可能になるとともに、第2の窒化物系半導体層中におけるキャリアの移動度が向上する。それにより、発光再結合に関与するキャリア濃度が高くなり、無効電流が低減される。
【0021】
また、素子抵抗および無効電流の低減化が図られているので、素子温度の上昇が抑制され、素子の劣化が防止される。それにより、信頼性が高くかつ寿命の長い半導体発光素子が得られる。
【0022】
さらに、電流注入領域における第1の窒化物系半導体層の表面準位が除去され、かつ第2の窒化物系半導体層の結晶性が良好であるため、光の損失が低減され、しきい値電流密度が低減される。
【0023】
以上のことから、しきい値電流密度が低く、発光効率が高くかつ信頼性の高い半導体発光素子が得られる。
【0024】
第1の窒化物系半導体層の所定幅の領域にリッジ部が形成され、リッジ部の上面にストライプ状凹部が形成され、ストライプ状凹部の両側の第1の窒化物系半導体層の領域上に電流狭窄層が形成され、ストライプ状凹部内の第1の窒化物系半導体層上に第2の窒化物系半導体層が形成されてもよい。
【0025】
この場合、第1の窒化物系半導体層のリッジ部に形成されたストライプ状凹部内に電流狭窄層により電流が狭窄されて注入され、ストライプ状凹部の下方における発光層に光導波路が形成される。
【0026】
このような半導体発光素子の製造の際には、第1の窒化物系半導体層の所定幅の領域にリッジ部を形成する工程および第1の窒化物系半導体層上に電流狭窄層を形成する工程において、第1の窒化物系半導体層に表面準位が生じる。しかしながら、リッジ部の第1の窒化物系半導体層にストライプ状凹部が形成されることにより、ストライプ状凹部内で第1の窒化物系半導体層の表面準位が除去され、この表面準位が除去されたストライプ状凹部内の第1の窒化物系半導体層上および電流狭窄層上に第2の窒化物系半導体層が形成される。それにより、電流注入領域における第1の窒化物系半導体層の表面準位が低減されるとともに、第2の窒化物系半導体層の結晶性が良好となる。
【0027】
第1の窒化物系半導体層は、発光層を含む下部層と、下部層上において電流注入領域よりも幅広の領域に形成された上部層とにより構成され、上部層の上面にストライプ状凹部が形成され、ストライプ状凹部の両側の上部層上および下部層上に電流狭窄層が形成され、電流狭窄層上およびストライプ状凹部内の上部層上に第2の窒化物系半導体層が形成されてもよい。
【0028】
この場合、第1の窒化物系半導体層の上部層に形成されたストライプ状凹部内に電流狭窄層により電流が狭窄されて注入され、ストライプ状凹部の下方における発光層に光導波路が形成される。
【0029】
このような半導体発光素子の製造の際には、第1の窒化物系半導体層上に電流狭窄層を形成する工程において、第1の窒化物系半導体層の上部層に表面準位が生じる。しかしながら、第1の窒化物系半導体層の上部層にストライプ状凹部が形成されることにより、ストライプ状凹部内で第1の窒化物系半導体層の上層部の表面準位が除去され、この表面準位が除去されたストライプ状凹部内の上部層上および電流狭窄層上に第2の窒化物系半導体層が形成される。それにより、電流注入領域における第1の窒化物系半導体層の表面準位が低減されるとともに、第2の窒化物系半導体層の結晶性が良好となる。
【0030】
また、下部層の幅広の領域が一定深さまで除去され、除去された領域上に上部層が形成されてもよい。この場合、第1の窒化物系半導体層の下部層上に上部層を形成する工程において下部層に生じた表面準位が除去され、この表面準位が除去された下部層上に上部層が形成される。それにより、下部層の表面準位が低減されるとともに、上部層の結晶性が良好となる。
【0031】
ストライプ状凹部の両側の第1の窒化物系半導体層の領域上に電流狭窄層が形成され、電流狭窄層上およびストライプ状凹部内の第1の窒化物系半導体層上に第2の窒化物系半導体層が形成されてもよい。
【0032】
この場合、第1の窒化物系半導体層に形成されたストライプ状凹部内に電流狭窄層により電流が狭窄されて注入され、ストライプ状凹部の下方における発光層に光導波路が形成される。
【0033】
このような半導体発光素子の製造の際には、第1の窒化物系半導体層上に電流狭窄層を形成する工程において、第1の窒化物系半導体層に表面準位が生じる。しかしながら、第1の窒化物系半導体層にストライプ状凹部が形成されることにより、ストライプ状凹部内で第1の窒化物系半導体層の表面準位が除去され、この表面準位が除去された第1の窒化物系半導体層上および電流狭窄層上に第2の窒化物系半導体層が形成される。それにより、電流注入領域における第1の窒化物系半導体層の表面準位が低減されるとともに、第2の窒化物系半導体層の結晶性が良好となる。
【0034】
発明に係る半導体発光素子の製造方法は、発光層を含みかつインジウム、ガリウム、アルミニウムおよびホウ素の少なくとも1つを含む第1の窒化物系半導体層を形成する工程と、第1の窒化物系半導体層に共振器方向に延びるリッジ部を形成する工程と、リッジ部の上面の共振器方向に延びるストライプ状領域が露出するように、第1の窒化物系半導体層上にSiOまたはSiからなる電流狭窄層を形成する工程と、ストライプ状領域を第1の窒化物系半導体層の表面から一定深さまでをエッチングしてストライプ状凹部を形成することにより、前記ストライプ状凹部内で前記第1の窒化物系半導体層の表面準位を除去する工程と、電流狭窄層上およびストライプ状凹部内の第1の窒化物系半導体層上にインジウム、ガリウム、アルミニウムおよびホウ素の少なくとも1つを含む第2の窒化物系半導体層を形成する工程とを備えたものである。
【0035】
本発明に係る半導体発光素子の製造方法においては、ストライプ状の電流注入領域における第1の窒化物系半導体層の表面から一定深さまでをエッチングし、ストライプ状凹部を形成することにより、第1の窒化物系半導体層の表面準位を除去し、表面準位を除去した第1の窒化物系半導体層の再成長表面に第2の窒化物系半導体層を形成する。
【0036】
本発明に係る製造方法により作製した半導体発光素子においては、電流注入領域において、第1の窒化物系半導体層と第2の窒化物系半導体層との界面における伝導度の低下が抑制され、素子抵抗が低減される。
【0037】
また、表面準位が除去された第1の窒化物系半導体層の再成長表面上に、第2の窒化物系半導体層を形成するため、第2の窒化物系半導体層の結晶性が良好となる。このため、第2の窒化物系半導体層のキャリア濃度を高くすることが可能になるとともに、第2の窒化物系半導体層におけるキャリアの移動度が向上する。それにより、発光再結合に関与するキャリア濃度が高くなり、無効電流が低減される。
【0038】
また、素子抵抗および無効電流の低減化が図られているので、素子温度の上昇が抑制され、素子の劣化が防止される。それにより、信頼性が高くかつ寿命の長い半導体発光素子が得られる。
【0039】
さらに、電流注入領域における第1の窒化物系半導体層の表面準位が除去され、かつ第2の窒化物系半導体層の結晶性が良好であるため、光の損失が低減され、しきい値電流密度が低減される。
【0040】
以上のことから、しきい値電流密度が低く、発光効率が高くかつ信頼性の高い半導体発光素子が得られる。
【0041】
第1の窒化物系半導体層の所定幅の領域にリッジ部を形成し、リッジ部の上面にストライプ状凹部を形成し、ストライプ状凹部の両側の第1の窒化物系半導体層の領域上に電流狭窄層を形成し、ストライプ状凹部内の第1の窒化物系半導体層上に第2の窒化物系半導体層を形成してもよい。
【0042】
この場合、第1の窒化物系半導体層のリッジ部に形成したストライプ状凹部内に電流狭窄層により電流が狭窄されて注入され、ストライプ状凹部の下方における発光層に光導波路が形成される。
【0043】
上記のような半導体発光素子の製造方法においては、第1の窒化物系半導体層にリッジ部を形成する工程および第1の窒化物系半導体層上に電流狭窄層を形成する工程において、第1の窒化物系半導体層に表面準位が生じる。しかしながら、リッジ部の第1の窒化物系半導体層にストライプ状凹部を形成することにより、ストライプ状凹部内で第1の窒化物系半導体層の表面準位が除去され、この表面準位が除去されたストライプ状凹部内の第1の窒化物系半導体層上および電流狭窄層上に第2の窒化物系半導体層を形成する。それにより、電流注入領域における第1の窒化物系半導体層の表面準位が低減されるとともに、第2の窒化物系半導体層の結晶性が良好となる。
【0044】
発光層を含む下部層上に電流注入領域よりも幅広の上部層を積層することにより第1の窒化物系半導体層を形成し、上部層の上面にストライプ状凹部を形成し、ストライプ状凹部の両側の上部層上および下部層上に電流狭窄層を形成し、電流狭窄層上およびストライプ状凹部内の上部層上に第2の窒化物系半導体層を形成してもよい。
【0045】
この場合、第1の窒化物系半導体層の上層部に形成したストライプ状凹部内に電流狭窄層により電流が狭窄されて注入され、ストライプ状凹部の下方における発光層に光導波路が形成される。
【0046】
上記のような半導体発光素子の製造方法においては、第1の窒化物系半導体層の上部層上に電流狭窄層を形成する工程において、第1の窒化物系半導体層の上部層に表面準位が生じる。しかしながら、第1の窒化物系半導体層の上部層にストライプ状凹部を形成することにより、ストライプ状凹部内で第1の窒化物系半導体層の上層部の表面準位が除去され、この表面準位が除去されたストライプ状凹部内の上部層上および電流狭窄層上に第2の窒化物系半導体層を形成する。それにより、電流注入領域における第1の窒化物系半導体層の表面準位が低減されるとともに、第2の窒化物系半導体層の結晶性が良好となる。
【0047】
また、下部層の幅広の領域を一定深さまでエッチングし、エッチングした領域上に上部層を形成してもよい。この場合、第1の窒化物系半導体層の下部層上に上部層を形成する工程において下部層に生じた表面準位を除去し、この表面準位が除去された下部層上に上部層を形成する。それにより、下部層の表面準位が低減されるとともに、上部層の結晶性が良好となる。
【0048】
ストライプ状凹部の両側の第1の窒化物系半導体層の領域上に電流狭窄層を形成し、電流狭窄層上およびストライプ状凹部内の第1の窒化物系半導体層上に第2の窒化物系半導体層を形成してもよい。
【0049】
この場合、第1の窒化物系半導体層に形成されたストライプ状凹部内に電流狭窄層により電流が狭窄されて注入され、ストライプ状凹部の下方における発光層に光導波路が形成される。
【0050】
このような半導体発光素子の製造方法においては、第1の窒化物系半導体層上に電流狭窄層を形成する工程において、第1の窒化物系半導体層に表面準位が生じる。しかしながら、第1の窒化物系半導体層にストライプ状凹部を形成することにより、ストライプ状凹部内で第1の窒化物系半導体層の表面準位が除去され、この表面準位が除去された第1の窒化物系半導体層上および電流狭窄層上に第2の窒化物系半導体層を形成する。それにより、電流注入領域における第1の窒化物系半導体層の表面準位が低減されるとともに、第2の窒化物系半導体層の結晶性が良好となる
【0051】
【0052】
【0053】
【発明の実施の形態】
下、本発明に係る半導体発光素子の例として、半導体レーザ素子について説明する。
【0054】
図1および図2は、本発明に係る半導体レーザ素子の製造方法の第1の参考例を示す模式的工程断面図である。
【0055】
図1(a)に示すように、MOCVD装置(有機金属気相成長装置)において、十分洗浄したサファイア基板1のc(0001)面上にアンドープのGaNからなる厚さ20nmの低温バッファ層2、厚さ4μmのn−GaN層3、n−Al0.1 Ga0.9 Nからなる厚さ700nmのn−光クラッド層4、n−GaNからなる厚さ200nmのn−光ガイド層5、n−MQW発光層6、p−Al0.1 Ga0.9 Nからなる厚さ20nmのp−ブロック層7、p−GaNからなる厚さ200nmのp−光ガイド層8およびp−Al0.1 Ga0.9 Nからなる厚さ700nmのp−光クラッド層9を順に成長させる。
【0056】
なお、この場合のn型ドーパントとしてはSiを用いており、n−GaN層3、n−光クラッド層4およびn−光ガイド層5の電子濃度は、それぞれ5×1018cm-3、7×1017cm-3および6×1017cm-3である。また、p型ドーパントとしてはMgを用いており、p−ブロック層7、p−光ガイド層8およびp−光クラッド層9の正孔濃度は、それぞれ7×1017cm-3、1×1018cm-3および7×1017cm-3である。
【0057】
n−MQW発光層6は、n−In0.03Ga0.97Nからなる厚さ20nmの4つの量子障壁層と、In0.13Ga0.87Nからなる厚さ15nmの3つの量子井戸層とが交互に積層されてなる多重量子井戸構造を有する。
【0058】
続いて、MOCVD装置からウエハを取り出し、大気中において、p−光クラッド層9の中央部の領域上にNiマスク(図示せず)を形成する。このNiマスクを用いて、塩素イオンを用いた反応性イオンエッチング法により、p−光クラッド層9のNiマスクを除く領域をエッチングする。このようにして、p−光クラッド層9にリッジ部を形成し、Niマスクを除去する。このリッジ部の中央部のストライプ状領域上に、スパッタリングによりSiO2 マスク(図示せず)を堆積させた後、再びウエハをMOCVD装置に戻す。
【0059】
次に、図1(b)に示すように、上記のSiO2 マスクの領域を除いてp−光クラッド層9上に、n−Al0.3 Ga0.7 Nからなる電流狭窄層10を形成する。その後、ウエハをMOCVD装置から取り出し、フッ化水素水溶液により、上記のSiO2 マスクを除去する。このようにして、p−光クラッド層9の中央部のストライプ状領域40を露出させる。この場合、露出したp−光クラッド層9のストライプ状領域40に表面準位が形成される。
【0060】
さらに、図1(c)に示すように、高温の水酸化カリウム水溶液を用いて、露出したp−光クラッド層9のストライプ状領域40を深さ20nmまでエッチングする。なお、この場合のエッチングの深さは、p−光クラッド層9のエッチング速度100Å/分に基づいて、エッチング時間より換算した値である。
【0061】
このようにして、p−光クラッド層9のリッジ部のストライプ状領域40に深さ20nmのストライプ状凹部を形成し、このストライプ状凹部内に再成長表面41を露出させる。この場合、露出した再成長表面41からは、表面準位が除去されている。
【0062】
上記のようにしてp−光クラッド層9にストライプ状凹部を形成した後、再びウエハをMOCVD装置に戻す。さらに、図2(d)に示すように、p−光クラッド層9のストライプ状凹部内の再成長表面41上および電流狭窄層10上に、正孔濃度が1×1018cm-3のp−GaNからなる厚さ1μmのp−コンタクト層11を形成する。その後、ウエハを600℃の窒素雰囲気中に置き、p型ドーパントを活性化する。
【0063】
さらに、図2(e)に示すように、スパッタリングにより、p電極形成領域を除くp−コンタクト層11の領域上に、厚さ500nmのSiO2 膜12を堆積させる。
【0064】
続いて、n電極形成領域を除く領域に開口部を有するフォトレジストをパターニングし、厚さ500nmのNiを蒸着する。フォトレジスト上のNiをフォトレジストとともに除去することにより、n電極形成領域以外の領域をNiマスクで被覆する。図2(f)に示すように、このNiマスクを用いて、塩素イオンを用いた反応性イオンエッチング法により、n電極形成領域のSiO2 膜12からn−コンタクト層3までをエッチングする。この場合のエッチングの深さは2μmである。このようにして、n−コンタクト層3の一部領域を露出させた後、Niマスクを除去する。
【0065】
さらに、図2(g)に示すように、露出したn−コンタクト層3上に厚さ100nmのTi膜、厚さ200nmのAl膜および厚さ500nmのAu膜を順に蒸着し、n電極50を形成する。また、p電極形成領域に開口部を有するフォトレジストをパターニングし、その上に厚さ300nmのPt膜および厚さ400nmのAu膜を順に蒸着する。フォトレジスト上のPt膜およびAu膜をフォトレジストとともに除去することにより、p電極51を形成する。
【0066】
最後に、n電極50の短辺と平行な面において、サファイア基板1とともに各層2〜12をへき開する。このようにして、幅10μmおよび長さ500μmの共振器を有するリッジ導波構造の半導体レーザ素子100を作製する。
【0067】
半導体レーザ素子100においては、SiO2 膜12および電流狭窄層10により電流が狭窄されるため、リッジ部内のストライプ状凹部に電流注入領域が形成される。
【0068】
本例においては、表面準位を有するリッジ部のp−光クラッド層9のストライプ状領域40をエッチングすることにより、表面準位が除去された再成長表面41を露出させ、この再成長表面41上にp−コンタクト層11を形成する。このため、電流注入領域において、p−光クラッド層9とp−コンタクト層11との界面における伝導度の低下を抑制することが可能となる。したがって、半導体レーザ素子100の素子抵抗が低減される。
【0069】
また、上記のような表面準位が除去された再成長表面41上に再成長させたp−コンタクト層11は、表面準位を有するp−光クラッド層9のストライプ状領域40上に再成長させた場合と比較して、結晶性が向上する。このため、p−コンタクト層11の正孔濃度を高くすることが可能になるとともに、正孔の移動度が高くなる。それにより、発光再結合に関与する正孔濃度が高くなるため、無効電流が低減され、発光効率の高い半導体レーザ素子100が得られる。
【0070】
さらに、半導体レーザ素子100においては、上記のように素子抵抗および無効電流を低減することが可能となることから、素子温度の上昇を抑制することが可能となる。したがって、素子の劣化を防ぐことが可能となり、信頼性が高くかつ素子寿命の長い半導体レーザ素子100が得られる。
【0071】
また、リッジ部のp−光クラッド層9の再成長表面41の表面準位が低減されるとともにp−コンタクト層11の結晶性が良好となることにより、光の損失が低減されるため、しきい値電流密度を低減することが可能となる。
【0072】
図3および図4は本発明に係る半導体レーザ素子の製造方法の第2の参考例を示す模式的工程断面図である。
【0073】
図3(a)に示すように、サファイア基板1上に低温バッファ層2、n−GaN層3、n−光クラッド層4、n−光ガイド層5、n−MQW発光層6、p−ブロック層7、p−光ガイド層8および第1のp−光クラッド層9aを順に成長させる。なお、各層2〜9aの構成および成長方法に関しては、図1(a)の各層2〜9において前述したとおりである。
【0074】
続いて、ウエハをMOCVD装置から取り出し、大気中において、所定領域に開口部を有する選択成長用SiO2 マスク15を、スパッタリングにより第1のp−光クラッド層9a上に堆積させる。
【0075】
次に、図3(b)に示すように、高温の水酸化カリウム水溶液により、選択成長用SiO2 マスク15の開口部内の第1のp−光クラッド層9aを深さ5nmまでエッチングする。このようにして深さ5nmのストライプ状凹部を第1のp−光クラッド層9aに形成し、ストライプ状凹部内に第1の再成長表面42を露出させる。この場合、露出した第1の再成長表面42においては、表面準位が除去されている。この後、再びウエハをMOCVD装置に戻す。
【0076】
さらに、図3(c)に示すように、第1の再成長表面42上にp−Al0.1 Ga0.9 Nからなる厚さ700nmの第2のp−光クラッド層9bおよびp−GaNからなる厚さ300nmの第1のp−コンタクト層11aを順に成長させる。この場合、第2のp−光クラッド層9bおよび第1のp−コンタクト層11aは、選択成長用SiO2 マスク15上に成長しにくい。したがって、第1のp−光クラッド層9aのストライプ状凹部上に、第2のp−光クラッド層9bおよび第1のp−コンタクト層11aを選択的に成長させることが可能となる。このようにして、第2のp−光クラッド層9bおよび第1のp−コンタクト層11aから構成されるリッジ部を形成する。
【0077】
続いて、MOCVD装置からウエハを取り出し、図3(d)に示すように、選択成長用SiO2 マスク15をフッ化水素水溶液により除去する。さらに、リッジ部の第1のp−コンタクト層11aの所定領域上にSiO2 マスク(図示せず)を形成した後、再びウエハをMOCVD装置に戻す。
【0078】
次に、図4(a)に示すように、SiO2 マスク形成領域以外の領域上にn−Al0.3 Ga0.7 Nからなる電流狭窄層10を成長させ、再びMOCVD装置から取り出す。さらに、フッ化水素水溶液により、上記のSiO2 マスクを除去し、第1のp−コンタクト層11aの所定領域を露出させる。この場合、露出した第1のp−コンタクト層11aは表面準位を有する。さらに、この露出した第1のp−コンタンクト層11aを、高温の水酸化カリウム水溶液により、深さ20nmまでエッチングする。このようにして、第1のp−コンタクト層11aに深さ20nmのストライプ状凹部を形成し、ストライプ状凹部内に第2の再成長表面43を露出させる。この場合、露出した第2の再成長表面43においては、表面準位が除去されている。
【0079】
続いて、再びウエハをMOCVD装置に戻し、図4(b)に示すように、第1のp−コンタクト層11aのストライプ状凹部内の第2の再成長表面43上および電流狭窄層10上に第2のp−コンタクト層11bを成長させる。その後、ウエハを600℃の窒素雰囲気中に置き、p型ドーパントを活性化する。
【0080】
次に、図4(c)に示すように、p電極形成領域を除く第2のp−コンタクト層11b上に、図2(e)と同様の方法により、SiO2 膜12を堆積させる。
【0081】
さらに、図4(d)に示すように、図2(f)と同様の方法により、n−コンタクト層3の一部領域を露出させるとともに、この露出したn−コンタクト層3上にn電極50を形成する。また、図2(g)と同様の方法により、第2のp−コンタクト層11bの所定領域上にp電極51を形成する。最後に、へき開により、幅10μmおよび長さ500μmの共振器を有するリッジ導波構造の半導体レーザ素子200を作製する。
【0082】
半導体レーザ素子200においては、SiO2 膜12および電流狭窄層10により電流が狭窄されるため、リッジ部内のストライプ状凹部に電流の経路が形成される。
【0083】
本例においては、第1のp−光クラッド層9aおよび第1のp−コンタクト層11aの所定領域をエッチングしてストライプ状凹部を形成することにより、表面準位が除去された第1および第2の再成長表面42,43を露出させ、この第1および第2の再成長表面42,43上に第2のp−光クラッド層9bおよび第2のp−コンタクト層11bを形成する。このため、電流注入領域において、リッジ部の第1のp−光クラッド層9aと第2のp−光クラッド層9bとの界面および第1のp−コンタクト層11aと第2のp−コンタクト層11bとの界面における伝導度の低下を抑制することが可能となる。したがって、半導体レーザ素子200の素子抵抗が低減される。
【0084】
また、上記のような表面準位が除去された第1および第2の再成長表面42,43上に再成長させた第2のp−光クラッド層9bおよび第2のp−コンタクト層11bは、表面準位を有する第1のp−光クラッド層9aおよび第1のp−コンタクト層11a上に再成長させた場合と比較して、結晶性が向上する。このため、第2のp−光クラッド層9bおよび第2のp−コンタクト層11bの正孔濃度を高くすることが可能になるとともに、正孔の移動度が高くなる。それにより、発光再結合に関与する正孔濃度が高くなるため、無効電流が低減され、発光効率の高い半導体レーザ素子200が得られる。
【0085】
このように、半導体レーザ素子200においては、素子抵抗および無効電流を低減することが可能となるため、素子の信頼性が高くかつ寿命の長い素子となる。
【0086】
また、第1のp−光クラッド層9aおよび第1のp−コンタクト層11aの再成長表面42,43の表面準位が低減されるとともに第2のp−光クラッド層9bおよび第2のp−コンタクト層11bの結晶性が良好となることにより、光の損失が低減されるため、しきい値電流密度を低減することが可能となる。
【0087】
図5および図6は本発明に係る半導体レーザ素子の製造方法の第3の参考例を示す模式的工程断面図である。
【0088】
図5(a)に示すように、MOCVD装置において、十分洗浄したサファイア基板21のc(0001)面上に、低温バッファ層22、n−GaN層23、n−光クラッド層24、n−光ガイド層25、n−MQW発光層26、p−ブロック層27、p−光ガイド層28および第1のp−コンタクト層29を順に成長させる。なお、各層22〜28の構成および成長方法に関しては、図1(a)の各層2〜8において前述した通りである。また、第1のp−コンタクト層29は正孔濃度が7×1017cm-3のp−GaNからなり、厚さが200nmである。ウエハをMOCVD装置から取り出し、大気中において、第1のp−コンタクト層29上の所定領域に厚さ2μmの選択成長用SiO2 マスク30を形成する。この後、再びウエハをMOCVD装置に戻す。
【0089】
さらに、図5(b)に示すように、選択成長用SiO2 マスク30形成領域を除く第1のp−コンタクト層29上に、電子濃度が3×1019cm-3のn−Al0.3 Ga0.7 Nからなる厚さ約0.5μmの1対の電流狭窄層31を成長させる。
【0090】
次に、ウエハをMOCVD装置から取り出し、図5(c)に示すように、選択成長用SiO2 マスク30をフッ化水素水溶液により除去する。このようにして、第1のp−コンタクト層29の所定領域を露出させる。この場合、露出した第1のp−コンタクト層29は表面準位を有する。さらに、この露出した第1のp−コンタクト層29を、高温の水酸化カリウム水溶液により、深さ20nmまでエッチングする。このようにして、第1のp−コンタクト層29に深さ20nmのストライプ状凹部を形成し、ストライプ状凹部内に再成長表面44を露出させる。この場合、再成長表面44においては、表面準位が除去されている。
【0091】
再びウエハをMOCVD装置に戻し、図6(d)に示すように、第1のp−コンタクト層29のストライプ状凹部内の再成長表面44上および電流狭窄層31上に、p−Al0.1 Ga0.9 Nからなる厚さ500nmのp−光クラッド層32およびp−GaNからなる厚さ1μmの第2のp−コンタクト層33を順に成長させる。なお、p−光クラッド層32の正孔濃度は7×1017cm-3であり、第2のp−コンタクト層33の正孔の濃度は1×1018cm-3である。
【0092】
この後、ウエハを600℃の窒素雰囲気中に置き、p型ドーパントを活性化する。
【0093】
さらに、図6(e)に示すように、図2(f)と同様の方法により、第2のp−コンタクト層33からn−コンタクト層23までの一部領域をエッチングし、n−コンタクト層23の所定領域を露出させる。
【0094】
続いて、図6(f)に示すように、図2(g)と同様の方法により、露出したn−コンタクト層23上にn電極50を形成するとともに、第2のp−コンタクト層33上にp電極51を形成する。最後に、へき開により、幅10μmおよび長さ500μmの共振器を有するセルフアライン構造の半導体レーザ素子300を作製する。
【0095】
半導体レーザ素子300においては、電流狭窄層31により電流が狭窄されるため、電流狭窄層31間の第1のp−コンタクト層29のストライプ状凹部に電流注入領域が形成される。
【0096】
本例においては、表面準位を有する第1のp−コンタクト層29のストライプ状領域をエッチングしてストライプ状凹部を形成することにより、表面準位が除去された再成長表面44を露出させ、この再成長表面44上にp−光クラッド層32を形成する。このため、電流注入領域において、第1のp−コンタクト層29とp−光クラッド層32との界面における伝導度の低下を抑制することが可能となる。したがって、半導体レーザ素子300の素子抵抗が低減される。
【0097】
また、上記のような表面準位が除去された再成長表面44に再成長させたp−光クラッド層32は、表面準位を有する第1のp−コンタクト層29上に再成長させた場合と比較して、結晶性が向上する。このため、p−光クラッド層32の正孔の濃度を高くすることが可能になるとともに、正孔の移動度が高くなる。それにより、発光再結合に関与する正孔濃度が高くなるため、無効電流が低減され、発光効率の高い半導体レーザ素子300が得られる。
【0098】
このように、半導体レーザ素子300においては、素子抵抗および無効電流を低減することが可能となるため、素子の信頼性が高くかつ寿命の長い素子が得られる。
【0099】
また、第1のp−コンタクト層29の再成長表面44の表面準位が低減されるとともにp−光クラッド層32の結晶性が良好となることにより、光の損失が低減されるため、しきい値電流密度を低減することが可能となる。
【0100】
以上の上記の半導体レーザ素子100,200,300においては、表面準位が除去された再成長表面40〜44を露出させるために、表面準位を有する各層9,11a,29,9aのストライプ状領域を深さ20nmおよび5nmまでエッチングしているが、表面準位を有するストライプ状領域を除去することが可能であれば、エッチングの深さはこれ以外の値であってもよい。ストライプ状凹部の深さがFFP(遠視野像)に影響すること、過剰なエッチングは再成長表面40〜44に損傷を与えること等を考慮すると、エッチングの深さは5nm以上であることが好ましい。また、エッチングの深さの上限は、エッチングする層を突き抜けない程度とすることが好ましい。なお、この場合のエッチングの深さは、各層9,11a,29,9aのエッチング速度に基づいて、エッチング時間より換算した値である。
【0101】
また、半導体レーザ素子100,200,300においては、電流狭窄層10,31がn−Al0.3 Ga0.7 Nから構成されるが、これ以外に、SiO2 膜またはSi3 4 膜により電流狭窄層10,31が構成されてもよい。なお、この場合においては、SiO2 膜またはSi3 4 膜からなる電流狭窄層10,31上に各層11a,11b,32が成長しにくい。したがって、横方向成長技術を用いて電流狭窄層10,31上に各層11,11b,32を成長させ、ウエハの全面に各層11,11b,32を形成してもよい。あるいは、電流狭窄層10,31上には、各層11,11b,32を形成しなくてもよい。
【0102】
上記においては、半導体レーザ素子100,200,300を構成する各層がAl、GaおよびInを含む窒化物系半導体により構成されるが、これ以外に、ホウ素を含む窒化物系半導体により各層が構成されてもよい。
【0103】
また、半導体レーザ素子100,200,300においては、サファイア基板1,21側にn型半導体層を形成した場合について説明したが、本発明に係る半導体発光素子は、サファイア基板1,21側にp型半導体層を形成した半導体レーザ素子においても適用可能である。この場合、表面準位を有するn型半導体層の所定領域をエッチングしてストライプ状凹部を形成し、ストライプ状凹部内で露出した表面準位が除去された再成長表面上に、半導体層を再成長させる
【0104】
【0105】
お、上記においては、本発明を半導体レーザ素子に適用した場合について説明したが、本発明は、発光ダイオード等のその他の半導体発光素子にも適用可能である。
【0106】
【実施例】
以下の参考例1〜9および比較例1〜3に示すGaN系半導体レーザ素子について、光出力が4mWとなる際の駆動電流を測定した。
【0107】
参考例1]
図1(a)〜図2(g)に示す半導体レーザ素子の製造方法により、半導体レーザ素子100を作製した。なお、この場合においては、リッジ部のp−光クラッド層9の所定領域を深さ20nmまでエッチングし、再成長表面41を露出させた。
【0108】
参考例1の半導体レーザ素子100を用いて駆動電流を測定したことろ、駆動電流は250mAであった。
【0109】
参考例2]
リッジ部のp−光クラッド層9の所定領域に深さ10nmのストライプ状凹部を形成した点を除いて、参考例1の半導体レーザ素子100と同様の構造を有する半導体レーザ素子を作製した。このような参考例2の半導体レーザ素子は、リッジ部のp−光クラッド層9の所定領域を深さ10nmまでエッチングしてストライプ状凹部を形成することにより、ストライプ状凹部内に再成長表面41を露出させた点を除いて、参考例1の半導体レーザ素子100と同様の製造方法により作製した。
【0110】
参考例2の半導体レーザ素子を用いて駆動電流を測定したところ、駆動電流は250mAであった。
【0111】
参考例3]
リッジ部のp−光クラッド層9の所定領域に深さ5nmのストライプ状凹部を形成した点を除いて、参考例1の半導体レーザ素子100と同様の構造を有する半導体レーザ素子を作製した。このような参考例3の半導体レーザ素子は、リッジ部のp−光クラッド層9の所定領域を深さ5nmまでエッチングしてストライプ状凹部を形成することにより、ストライプ状凹部内に再成長表面41を露出させた点を除いて、参考例1の半導体レーザ素子100と同様の製造方法により作製した。
【0112】
参考例3の半導体レーザ素子を用いて駆動電流を測定したところ、駆動電流は244mAであった。
【0113】
[比較例1]
比較例1においては、リッジ部のp−光クラッド層9にストライプ状凹部が形成されていない点を除いて、参考例1の半導体レーザ素子100と同様の構造を有する半導体レーザ素子を作製した。このような比較例1の半導体レーザ素子は、以下の点を除いて、参考例1の半導体レーザ素子100と同様の製造方法により作製した。
【0114】
比較例1の半導体レーザ素子においては、ストライプ状凹部の形成のためのp−光クラッド層9のエッチングを行わず、図1(b)に示すリッジ部のp−光クラッド層9の領域40の表面を洗浄した後、この領域40の表面上にp−コンタクト層11を再成長させた。
【0115】
比較例1の半導体レーザ素子を用いて駆動電流を測定したところ、駆動電流は315mAであった。
【0116】
参考例4]
図3(a)〜図4(h)に示す半導体レーザ素子の製造方法により、半導体レーザ素子200を作製した。なお、この場合においては、リッジ部の第1のp−コンタクト層11aの所定領域を深さ20nmまでエッチングし、第2の再成長表面43を露出させた。
【0117】
参考例4の半導体レーザ素子200を用いて駆動電流を測定したところ、駆動電流は253mAであった。
【0118】
参考例5]
リッジ部の第1のp−コンタクト層11aの所定領域に深さ10nmのストライプ状凹部を形成した点を除いて、参考例4の半導体レーザ素子200と同様の構造を有する半導体レーザ素子を作製した。このような参考例5の半導体レーザ素子は、リッジ部の第1のp−コンタクト層11aの所定領域を深さ10nmまでエッチングしてストライプ状凹部を形成することにより、ストライプ状凹部内に再成長表面43を露出させた点を除いて、参考例4の半導体レーザ素子200と同様の製造方法により作製した。
【0119】
参考例5の半導体レーザ素子を用いて駆動電流を測定したところ、駆動電流は250mAであった。
【0120】
参考例6]
リッジ部の第1のp−コンタクト層11aの所定領域に深さ5nmのストライプ状凹部を形成した点を除いて、参考例4の半導体レーザ素子200と同様の構造を有する半導体レーザ素子を作製した。このような参考例6の半導体レーザ素子は、リッジ部の第1のp−コンタクト層11aの所定領域を深さ5nmまでエッチングしてストライプ状凹部を形成することにより、ストライプ状凹部内に再成長表面43を露出させた点を除いて、参考例4の半導体レーザ素子200と同様の製造方法により作製した。
【0121】
参考例6の半導体レーザ素子を用いて駆動電流を測定したところ、駆動電流は252mAであった。
【0122】
[比較例2]
比較例2においては、リッジ部の第1のp−コンタクト層11aにストライプ状凹部が形成されていない点を除いて、参考例4の半導体レーザ素子200と同様の構造を有する半導体レーザ素子を作製した。このような比較例2の半導体レーザ素子は、以下の点を除いて、参考例4の半導体レーザ素子200と同様の製造方法により作製した。
【0123】
比較例2の半導体レーザ素子においては、ストライプ状凹部の形成のためのp−コンタクト層11のエッチングを行わず、リッジ部の第1のp−コンタクト層11aの表面を洗浄した後、この表面上に第2のp−コンタクト層11bを再成長させた。
【0124】
比較例2の半導体レーザ素子を用いて駆動電流を測定したところ、駆動電流は320mAであった。
【0125】
参考例7]
図5(a)〜図6(f)に示す半導体レーザ素子の製造方法により、半導体レーザ素子300を作製した。なお、この場合においては、第1のp−コンタクト層29の所定領域を深さ20nmまでエッチングし、再成長表面44を露出させた。
【0126】
参考例7の半導体レーザ素子を用いて駆動電流を測定したところ、駆動電流は248mAであった。
【0127】
参考例8]
第1のp−コンタクト層29の所定領域に深さ10nmのストライプ状凹部を形成した点を除いて、参考例7の半導体レーザ素子300と同様の構造を有する半導体レーザ素子を作製した。このような参考例8の半導体レーザ素子は、第1のp−コンタクト層29の所定領域を深さ10nmまでエッチングしてストライプ状凹部を形成することにより、ストライプ状凹部内に再成長表面44を露出させた点を除いて、参考例7の半導体レーザ素子300と同様の製造方法により作製した。
【0128】
参考例8の半導体レーザ素子を用いて駆動電流を測定したところ、駆動電流は255mAであった。
【0129】
参考例9]
第1のp−コンタクト層29の所定領域に深さ5nmのストライプ状凹部を形成した点を除いて、参考例7の半導体レーザ素子300と同様の構造を有する半導体レーザ素子を作製した。このような参考例9の半導体レーザ素子は、第1のp−コンタクト層29の所定領域を深さ5nmまでエッチングしてストライプ状凹部を形成することによりストライプ状凹部内に再成長表面44を露出させた点を除いて、参考例7の半導体レーザ素子300と同様の製造方法により作製した。
【0130】
参考例9の半導体レーザ素子を用いて駆動電流を測定したところ、駆動電流は250mAであった。
【0131】
[比較例3]
比較例3においては、第1のp−コンタクト層29にストライプ状凹部が形成されていない点を除いて、参考例7の半導体レーザ素子300と同様の構造を有する半導体レーザ素子を作製した。このような比較例3の半導体レーザ素子は、以下の点を除いて、参考例7の半導体レーザ素子300と同様の製造方法により作製した。
【0132】
比較例3の半導体レーザ素子においては、ストライプ状凹部の形成のための第1のp−コンタクト層29のエッチングを行わず、第1のp−コンタクト層29の表面を洗浄した後、この表面上にp−光クラッド層32を再成長させた。
【0133】
比較例3の半導体レーザ素子を用いて駆動電流を測定したところ、駆動電流は300mAであった。
【0134】
以上の参考例1〜9においては、表面準位を有する各層9,11a,29をエッチングしてストライプ状凹部を形成することにより、表面準位が除去された再成長表面41,43,44を露出させ、この再成長表面41,43,44上に各層11,11b,32を再成長させる。一方、比較例1〜3においては、表面準位を有する各層9,11a,29をエッチングせず、表面準位を有する各層9,11a,29上に、直接、各層11,11b,32を再成長させる。このため、参考例1〜9の半導体レーザ素子においては、比較例1〜3の半導体レーザ素子と比べて、素子抵抗および無効電流の低減が図られる。したがって、参考例1〜9の半導体レーザ素子では、比較例1〜3の半導体レーザ素子よりも低い駆動電流により、4mWの光出力が得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る半導体レーザ素子の製造方法の第1の参考例を示す模式的工程断面図である。
【図2】 本発明に係る半導体レーザ素子の製造方法の第1の参考例を示す模式的工程断面図である。
【図3】 本発明に係る半導体レーザ素子の製造方法の第2の参考例を示す模式的工程断面図である。
【図4】 本発明に係る半導体レーザ素子の製造方法の第2の参考例を示す模式的工程断面図である。
【図5】 本発明に係る半導体レーザ素子の製造方法の第3の参考例を示す模式的工程断面図である。
【図6】 本発明に係る半導体レーザ素子の製造方法の第3の参考例を示す模式的工程断面図である。
【図7】 従来の半導体レーザ素子の例を示す模式的断面図である。
【符号の説明】
1,21,61 サファイア基板
2,22,62 低温バッファ層
3,23,63 n−GaN層
4,24,64 n−光クラッド層
5,25,65 n−光ガイド層
6,26,66 n−MQW発光層
7,27,67 p−ブロック層
8,28,68 p−光ガイド層
9,9a,9b,32,69 p−光クラッド層
10,31,71 電流狭窄層
11,11a,11b,29,33,70,72 p−コンタクト層
12,73 SiO2
41,42,43,44 再成長表面
50 n電極
51 p電極
100,200,300,400 半導体レーザ素子

Claims (5)

  1. 発光層を含みかつインジウム、ガリウム、アルミニウムおよびホウ素の少なくも1つを含む第1の窒化物系半導体層を形成する工程と、
    前記第1の窒化物系半導体層に共振器方向に延びるリッジ部を形成する工程と、
    前記リッジ部の上面の前記共振器方向に延びるストライプ状領域が露出するように、前記第1の窒化物系半導体層上にSiOまたはSiからなる電流狭窄層を形成する工程と、
    前記ストライプ状領域を前記第1の窒化物系半導体層の表面から一定深さまでをエッチングしてストライプ状凹部を形成することにより、前記ストライプ状凹部内で前記第1の窒化物系半導体層の表面準位を除去する工程と、
    前記電流狭窄層上および前記ストライプ状凹部内の前記第1の窒化物系半導体層上にインジウム、ガリウム、アルミニウムおよびホウ素の少なくとも1つを含む第2の窒化物系半導体層を形成する工程をさらに備えたことを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
  2. 前記第1の窒化物系半導体層を形成する工程は、前記発光層上にクラッド層を形成する工程を含み、
    前記リッジ部は、前記クラッド層を含むことを特徴とする請求項記載の半導体発光素子の製造方法。
  3. 前記第1の窒化物系半導体層を形成する工程は、前記クラッド層上にコンタクト層を形成する工程を含み、
    前記リッジ部は、前記クラッド層上に形成された前記コンタクト層を含むことを特徴とする請求項記載の半導体発光素子の製造方法。
  4. 前記第2の窒化物系半導体層を形成する工程は、コンタクト層を形成する工程を含むことを特徴とする請求項1〜3記載の半導体発光素子の製造方法。
  5. 前記第2の窒化物系半導体層の所定領域上に開口部を有する絶縁層を形成する工程と、
    前記絶縁層上および前記開口部内に電極を形成する工程とをさらに備えたことを特徴とする請求項1〜4記載の半導体発光素子の製造方法。
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