JP4354830B2 - 1液組成物 - Google Patents
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Description
特に、窯業系成形物、コンクリートまわりに使用する場合、アルカリ性の移行により剥離が生じやすく、接着性の低下を引き起こすというような問題が残っている。これらの問題を解決する為に、本発明者らは、反応性シリル基を含有した特定の共重合体を用いることにより接着性が向上することを見出し、特許出願している(例えば、特許文献1参照)。また、作業性を考慮した1液化組成物(例えば、特許文献2参照)やニ塩基酸エステルによる密着性を改良した組成物の出願を行なっている(例えば、特許文献3参照)。
酢酸エステル系溶剤を主成分とする1液組成物であって、(A)主鎖が実質的にビニル系共重合体鎖からなり、主鎖末端および/または側鎖に
一般式(I):
R2 a
|
−Si− (OR1)3-a (I)
(式中、 R1は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基、R2は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜25のアリール基および炭素数7〜12のアラルキル基から選ばれた1価の炭化水素基、aは0〜2の整数を示す)で表される炭素原子に結合した反応性シリル基含有アクリル系共重合体、(B)硬化触媒、(C)ニ塩基酸ジアルキルエステルからなることを特徴とする1液組成物に関する。
前記一般式(I)において、(R1O)3-aは3−aが1以上3以下になるように、すなわちaが0〜2になるように選ばれるが、アクリル系共重合体(A)の硬化性が良好になるという点からは、aが0または1の整数であることが好ましい。
一般式(I)中に存在する(R1O)3-aまたはR2aの数が2個以上の場合、2個以上含まれるR1またはR2はそれぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。 また、アクリル系共重合体(A)としては、その分子内に一般式(I)で表される炭素原子に結合した反応性シリル基を含有する単量体単位を用いて合成したものが好ましい。なお、アクリル系共重合体(A)中の前記単量体単位(a)の含有割合は、本発明の1液組成物は硬化性、折り曲げ性、付着性、耐久性に優れるという点から、重合成分全量の1〜30重量%、さらには2〜20重量%、とくには2〜15重量%であるのが好ましい。
前記アクリル系共重合体のガラス転移温度は、指触乾燥性、ほこり付着性などの物性が優れるという点から、35℃以上であることが好ましい。35℃未満では低温時の乾燥性が悪くなり、また、付着性も低下する傾向があるので好ましくない。
前記単量体の具体例としては、たとえば
R3 R2a
| |
CH2=C−Si−(OR1)3-a
(式中、R1、R2、aは前記と同じ、 R3は水素原子またはメチル基を示す)で表される化合物;
R3 R2 a
| |
CH2=C−COO(CH2)n−Si−(OR1)3-a
(式中、R1、R2、R3およびaは前記と同じ、nは1〜12の整数を示す。)で表される化合物;
CH2=CH−CH2OCO(o-C6H4)COO(CH2)3Si(OCH3)3
CH2=CH−CH2OCO(o-C6H4)COO(CH2)3Si(CH3)(OCH3)2
などの下記一般式(IV):
前記、単量体(b)の使用量は、通常用いる重合成分全量の11〜30重量%、さらには11〜25重量%、とくには13〜20重量%であるのが好ましい。使用量が11重量%未満の場合は塗膜の内部応力の緩和されて密着性の改良効果が期待できる。又、30重量%を超える場合は相溶性が低下するので好ましくない。
前記、その他の共重合可能な単量体(c)の具体例としては、たとえばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2ーエチルヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロヘキシル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、グリシジル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、α−エチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド(メタ)アクリロイルモルホリン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2ーヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、アロニクスM−5700、マクロモノマーであるAS−6、AN−6、AA−6、AB−6、AK−5などの化合物(以上、東亜合成化学工業(株)製)、Placcel FA−1、Placcel FA−4、Placcel FM−1、Placcel FM−4(以上、ダイセル化学工業(株)製)、(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル類とリン酸またはリン酸エステル類との縮合生成物などのリン酸エステル基含有(メタ)アクリル系化合物、ウレタン結合やシロキサン結合を含む(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
前記単量体以外の単量体の具体例としては、たとえばスチレン、αーメチルスチレン、クロロスチレン、スチレンスルホン酸、4ーヒドロキシスチレン、ビニルトルエンなどの芳香族炭化水素系ビニル化合物;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、(メタ)アクリル酸などの不飽和カルボン酸、これらのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩などの塩;無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸の酸無水物、これら酸無水物と炭素数1〜20の直鎖状または分岐鎖を有するアルコールまたはアミンとのジエステルまたはハーフエステルなどの不飽和カルボン酸のエステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ジアリルフタレートなどのビニルエステルやアリル化合物;ビニルピリジン、アミノエチルビニルエーテルなどのアミノ基含有ビニル系化合物;イタコン酸ジアミド、クロトン酸アミド、マレイン酸ジアミド、フマル酸ジアミド、N−ビニルピロリドンなどのアミド基含有ビニル系化合物;2ーヒドロキシエチルビニルエーテル、メチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、クロロプレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、フルオロオレフィンマレイミド、N−ビニルイミダゾール、ビニルスルホン酸などのその他ビニル系化合物などが挙げられる。
これらは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
また、前記溶液重合の際には、必要に応じて、たとえばn−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ブチルメルカプタン、γーメルカプトプロピルトリメトキシシラン、γーメルカプトプロピルトリエトキシシラン、(CH3O)3Si−S−S−Si(OCH3)3,(CH3O)3Si−S8−Si(OCH3)3などの連鎖移動剤を単独または2種以上併用することにより、得られるアクリル系共重合体(A)の分子量を調整してもよい。とくに、たとえばγーメルカプトプロピルトリメトキシシランなどのアルコキシシリル基を分子中に有する連鎖移動剤を用いた場合には、アクリル系共重合体の末端に反応性シリル基を導入することができる。かかる連鎖移動剤の使用量は、用いる重合成分全量の0.05〜10%、更には0.1〜8%であることが好ましい。
前記脱水剤の具体例としては、たとえば、オルトギ酸メチル、オルトギ酸エチル、オルト酢酸メチル、オルト酢酸エチル、オルトプロピオン酸トリメチル、オルトプロピオン酸トリエチル、オルトイソプロピオン酸トリメチル、オルトイソプロピオン酸トリエチル、オルト酪酸トリメチル、オルト酪酸トリエチル、オルトイソ酪酸トリメチル、オルトイソ酪酸トリエチルなどの加水分解性エステル化合物などが挙げられる。これらの中では脱水効果の点でオルト酢酸メチルが好ましい。これらは単独で用いてもよく2種以上併用してもよい。上記において酢酸エステル系溶剤は、本願発明の酢酸エステル系溶剤として用いられ、反応性シリル基含有アクリル系共重合体の合成まえから、あるいは合成中あるいは合成後用いて酢酸エステル系溶剤を主成分としてもよい。
これらのうち、有機錫化合物、有機錫化合物とエチルシリケートの反応物が硬化性、付着性の点で好ましい。
これらの硬化触媒はアクリル共重合体(A)100重量部に対して0.05〜20重量部、更には0.1〜10重量部が好ましい。本発明においては使用量が0.05重量部未満の場合は硬化性が低下する傾向にあり、20重量部を超える場合は耐水性が低下する傾向にある。
本発明の(C)成分であるニ塩基酸ジアルキルエステルとしてはマロン酸ジメチル、コハク酸ジメチル、マレイン酸ジメチル、グルタール酸ジメチル、アジピン酸ジメチル、アジピン酸ジブチル、マロン酸ジエチル、コハク酸ジエチル等が挙げられる。
これらのニ塩基酸ジアルキルエステルはアクリル共重合体(A)100重量部に対して0.5〜100重量部、更には2〜50重量部、特には5〜30重量部が好ましい。本発明においては0.5重量部未満では、貯蔵後の硬化性改善効果や折り曲げ性改善効果が小さく、又、100重量部以上では硬度、耐候性が低下する傾向にある。
本発明の(D)成分であるアミノシラン化合物としては、たとえばアミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルジエトキシシランなどのアミノシラン化合物;これらのアミノシラン化合物とエピコート828、エピコート1001などのエポキシ化合物(以上、油化シェルエポキシ(株)製)やγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどとの反応物などが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上組み合わせてもよい。これらのうちではγ−アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシランおよびγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの反応物との組み合わせが付着性の点から好ましい。
アミノシラン化合物の使用量は、本発明においては(A)成分100重量部に対して0.1〜50重量部、更には0.1〜30重量部、特には0.5〜20重量部の範囲が好ましい。使用量が0.1部より少なくなると付着性の向上が不十分となり、50重量部を超えると相溶性が低下する恐れがある。
本発明の1液組成物は、上記(A)成分であるアクリル系重合体、(C)成分であるニ塩基酸ジアルキルエステルに希釈溶剤を加え、予め脱水剤を用いて脱水した後に、(B)成分である硬化触媒、(D)成分であるアミノシラン化合物を配合することが貯蔵安定性の点より好ましい。
本発明の1液組成物は被着体に直接塗布したり、又、旧塗膜上や劣化したシーリング剤の打ち継ぎ用として塗布することも可能である。1液組成物を塗布した後、その上に弾性シーリング材を打つこともでき、塗料を塗装することも可能である。1液組成物の塗布方法及び該硬化性組成物の塗布方法としては、特に限定はなく、従来公知の塗布手段、例えばハケによる塗布、ロールによる塗布、スプレーによる塗布等を広く採用する事ができる。塗布量としては、被着体の1m2面積に相当する部分あたり、通常20〜400g程度、好ましくは40〜100g程度とするのが良い。被着体上に塗膜を形成させるには、塗布後、これを室温にて乾燥しても良いし、又は、50〜120℃程度の温度で加熱しても良い。
製造例1(アクリル系共重合体(A−1)の製造)
撹拌機、温度計、還流冷却器、窒素ガス導入管および滴下ロートを備えた反応容器に酢酸ブチル50重量部を仕込み、窒素ガスを導入しつつ110℃に昇温した。そののち、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン6.6重量部、ステアリルメタクリレート14重量部、メチルメタクリレート73重量部、n−ブチルアクリレート5.4重量部、アクリルアミド1重量部、酢酸ブチル18重量部および2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)0.8重量部からなる混合物を滴下ロートにより5時間かけて等速滴下した。
得られたアクリル系共重合体(A)−1の数平均分子量は16000であった。
又、計算上のガラス転移温度は52℃であった。
製造例2(アクリル系共重合体(A−2)の製造)
撹拌機、温度計、還流冷却器、窒素ガス導入管および滴下ロートを備えた反応容器に酢酸ブチル50重量部を仕込み、窒素ガスを導入しつつ110℃に昇温した。そののち、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン3.3重量部、ステアリルメタクリレート20重量部、メチルメタクリレート70.7重量部、n−ブチルアクリレート5重量部、アクリルアミド1重量部、酢酸ブチル18重量部および2,2’−アゾ ビス(2−メチルブチロニトリル)0.5重量部からなる混合物を滴下ロートにより5時間かけて等速滴下した。
滴下終了後、2,2’−アゾ ビス(2−メチルブチロニトリル)0.1重量部、酢酸ブチル5重量部および酢酸ブチル8重量部を1時間かけて等速滴下したのち、110℃で2時間熟成してから冷却し、樹脂溶液に酢酸ブチルを加えて樹脂固形分濃度が40%のアクリル系共重合体(A)−2を得た。
得られたアクリル系共重合体の数平均分子量は21000であった。
又、計算上のガラス転移温度は41℃であった。
製造例3(アクリル系共重合体(A−3)の製造)
製造例1の酢酸ブチルをキシレンに変えた以外は製造例1と同様に行なった。
得られたアクリル系共重合体(A)−1の数平均分子量は16000であった。
又、計算上のガラス転移温度は52℃であった。
製造例1〜3で得られたアクリル系共重合体(A)の樹脂固形分100重量部に対して、表−1に示す各種添加剤を配合して1液組成物を得た。
実施例1〜6、比較例1〜2
得られた1液組成物をポリエチレンシート上に塗装し、23℃で7日間養生し、ゲル分率、折り曲げ性を評価した。
(イ)初期硬化性(ゲル分率)
得られた塗膜を200メッシュ金網(W0)に包み精秤した(W1)。これをアセトンに24時間浸漬して抽出した後、乾燥し、精秤した(W2)。次式に従ってゲル分率を求めた。
ゲル分率(%)=(W2−W0)/(W1−W0)×100
(ロ)貯蔵後の硬化性(ゲル分率)
表1に示す1液組成物を50℃で1ケ月貯蔵した後、上記の方法にてゲル分率を測定した。
(ハ)耐折り曲げ性
得られたフィルムを折り曲げでクラックの発生有無を評価した。
判定方法
○:クラックなし
×:クラックあり
結果を表1に示す。
Claims (5)
- 酢酸エステル系溶剤を全溶剤中65重量%以上含有する1液組成物であって、
(A)主鎖が実質的にビニル系共重合体鎖からなり、主鎖末端および/または側鎖に
一般式(I):
R2 a
|
−Si−(OR1)3−a (I)
(式中、R1は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基、R2は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜25のアリール基および炭素数7〜12のアラルキル基から選ばれた1価の炭化水素基、aは0〜2の整数を示す)で表される炭素原子に結合した反応性シリル基含有アクリル系共重合体100重量部、(B)硬化触媒0.05〜20重量部、(C)二塩基酸ジアルキルエステル5〜30重量部からなることを特徴とする1液組成物。 - (A)成分が反応性シリル基含有単量体(a)、炭素数10以上のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(b)、その他の共重合可能な単量体(c)を共重合してなり、かつ炭素数10以上のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(b)が重合成分全量の11〜30重量%含有することを特徴とする請求項1記載の1液組成物。
- 反応性シリル基含有アクリル系共重合体(A)のガラス転移温度が35℃以上で、且つ、数平均分子量が6,000以上である共重合体を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の1液組成物。
- 前記1液組成物に(D)アミノシラン化合物および/又はその反応物0.1〜50重量部を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の1液組成物。
- (D)成分がアミノシラン化合物とエポキシシラン化合物又はエポキシ樹脂との反応物である請求項4記載の1液組成物。
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