JP4354830B2 - 1液組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、1液組成物に関する。さらに詳しくは、金属、セラミックス、磁器タイル、ガラス、セメント、窯業系成形物、プラスチック等に用いることができる貯蔵安定性の改善された1液組成物に関する。
塗料やシーリング材分野では、各種基材との付着性を確保するために、プライマーの使用が必須となっている。
特に、窯業系成形物、コンクリートまわりに使用する場合、アルカリ性の移行により剥離が生じやすく、接着性の低下を引き起こすというような問題が残っている。これらの問題を解決する為に、本発明者らは、反応性シリル基を含有した特定の共重合体を用いることにより接着性が向上することを見出し、特許出願している(例えば、特許文献1参照)。また、作業性を考慮した1液化組成物(例えば、特許文献2参照)やニ塩基酸エステルによる密着性を改良した組成物の出願を行なっている(例えば、特許文献3参照)。
:特開平11−209683 :特開昭58−19361 :特開昭63−132977 また、近年、環境を中心とした溶剤排出規制が厳しくなり、PRTR法(特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に係わる法律)によるキシレン、トルエンの規制を受け、溶剤変更や水系化を余儀なくされてきている。酢酸エステル系溶剤を重合溶剤、希釈溶剤として用いることにより反応性シリル基含有共重合体を用いることができるが、これを1液化して使用する場合、貯蔵後に硬化性が低下することがわかった。
本発明者らは、前記のごとき実状に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、特定の反応性シリル基含有アクリル系共重合体、硬化触媒、酢酸エステル系を主成分とする溶剤からなる組成物に、脂肪酸エステル化合物を添加することにより1液貯蔵後の硬化性を低下させることなく、アルカリ性にさらされても非常に高い接着力を示すと共に、非常に高い伸びを有しクラックに対しても追従することが可能であることを見出した。
すなわち、本発明は
酢酸エステル系溶剤を主成分とする1液組成物であって、(A)主鎖が実質的にビニル系共重合体鎖からなり、主鎖末端および/または側鎖に
一般式(I):
2 a

−Si− (OR13-a (I)
(式中、 R1は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基、R2は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜25のアリール基および炭素数7〜12のアラルキル基から選ばれた1価の炭化水素基、aは0〜2の整数を示す)で表される炭素原子に結合した反応性シリル基含有アクリル系共重合体、(B)硬化触媒、(C)ニ塩基酸ジアルキルエステルからなることを特徴とする1液組成物に関する。
本発明の1液組成物は、特に、貯蔵後の硬化性に優れ、折り曲げ性、無機基材に対する付着性、耐水性、耐アルカリ性等に優れるものである。
本発明の1液組成物は、湿分の存在下、室温で硬化性を有する樹脂として反応性シリル基含有単量体、その他の共重合可能な単量体からなる共重合体であるアクリル系共重合体が含有される。
アクリル系共重合体は、その主鎖が実質的にアクリル系単量体が共重合した主鎖からなる(以下、主鎖が実質的にアクリル系共重合鎖からなるともいう)共重合体であり、且つ、反応性シリル基が炭素原子に結合した形式で含有されているため、得られる本発明の1液組成物は各種基材、特に、無機基材に対する付着性に優れており、耐水性、耐アルカリ性などに曝しても非常に優れた付着性を有する。
アクリル系共重合体(A)において、一般式(I)で表される炭素原子に結合した反応性シリル基の数は、アクリル系共重合体(A)1分子あたり1個以上、好ましくは1〜15個、更に好ましくは2〜10個であることが、本発明の組成物から形成されるプライマーの接着強度、耐アルカリ性、耐久性などが優れるという点から好ましい。反応性シリル基の数が1個未満の場合は接着強度が低くなる傾向にある。
前記一般式(I)で表される反応性シリル基は、アクリル系共重合体(A)の主鎖の末端に結合していてもよく、側鎖に結合していてもよく、主鎖の末端および側鎖に結合していてもよい。
前記一般式(I)において、R1は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基、好ましくはたとえばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基などの炭素数1〜4のアルキル基である。前記アルキル基の炭素数が10を超える場合には、反応性シリル基の反応性が低下するようになる。また、前記がたとえばフェニル基、ベンジル基などのアルキル基以外の基である場合にも、反応性シリル基の反応性が低下するようになる。
また、前記一般式(I)において、R2は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基、たとえばフェニル基などの好ましくは炭素数6〜25のアリール基およびたとえばベンジル基などの好ましくは炭素数7〜12のアラルキル基から選ばれた1価の炭化水素基である。これらの中では、本発明の組成物が硬化性に優れるという点から炭素数1〜4のアルキル基が、特には炭素数1または2が好ましい。
前記一般式(I)において、(R1O)3-aは3−aが1以上3以下になるように、すなわちaが0〜2になるように選ばれるが、アクリル系共重合体(A)の硬化性が良好になるという点からは、aが0または1の整数であることが好ましい。
一般式(I)中に存在する(R1O)3-aまたはR2aの数が2個以上の場合、2個以上含まれるR1またはR2はそれぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。 また、アクリル系共重合体(A)としては、その分子内に一般式(I)で表される炭素原子に結合した反応性シリル基を含有する単量体単位を用いて合成したものが好ましい。なお、アクリル系共重合体(A)中の前記単量体単位(a)の含有割合は、本発明の1液組成物は硬化性、折り曲げ性、付着性、耐久性に優れるという点から、重合成分全量の1〜30重量%、さらには2〜20重量%、とくには2〜15重量%であるのが好ましい。
使用量が1重量%未満の場合には、硬化性が不充分となる傾向にあり、30重量%をこえる場合には、保存安定性が低下する傾向にある。
前記アクリル系共重合体の数平均分子量は、付着性、耐久性などの物性が優れるという点から、2000以上、さらには6000以上、50000以下更には25000以下であることが好ましい。
前記アクリル系共重合体のガラス転移温度は、指触乾燥性、ほこり付着性などの物性が優れるという点から、35℃以上であることが好ましい。35℃未満では低温時の乾燥性が悪くなり、また、付着性も低下する傾向があるので好ましくない。
前記のごときアクリル系共重合体は、単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
つぎに、アクリル系共重合体の製法の一例について説明する。
アクリル系共重合体は、たとえば重合性2重結合および炭素原子に結合した反応性シリル基を含有する単量体、(メタ)アクリル酸および/またはその誘導体ならびに必要により用いられるその他の単量体を含有するものを重合することによって製造することができる。
前記単量体の具体例としては、たとえば
Figure 0004354830
などの下記一般式(II):
3 2
| |
CH2=C−Si−(OR13-a
(式中、R1、R2、aは前記と同じ、 R3は水素原子またはメチル基を示す)で表される化合物;
Figure 0004354830
などの下記一般式(III):
32 a
| |
CH2=C−COO(CH2n−Si−(OR13-a
(式中、R1、R2、R3およびaは前記と同じ、nは1〜12の整数を示す。)で表される化合物;
CH2=CH−CH2OCO(o-C64)COO(CH23Si(OCH33
CH2=CH−CH2OCO(o-C64)COO(CH23Si(CH3)(OCH32
などの下記一般式(IV):
Figure 0004354830
(式中、R1、 R2、 R3、aおよびnは前記と同じ)で表される化合物:
Figure 0004354830
などの一般式(V):
Figure 0004354830
(式中、R1, R2, R3,aは前記と同じ、mは1〜14の整数を示す。)で表される化合物化合物;
Figure 0004354830
(式中、pは0〜20の整数を示す。)などの下記一般式(VI):
Figure 0004354830
等が例示できる。
本発明においては、前記、炭素数10以上のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(b)を用いるのが塗膜の内部応力が緩和されるので好ましい。具体例としてはラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ドコサニル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記、単量体(b)の使用量は、通常用いる重合成分全量の11〜30重量%、さらには11〜25重量%、とくには13〜20重量%であるのが好ましい。使用量が11重量%未満の場合は塗膜の内部応力の緩和されて密着性の改良効果が期待できる。又、30重量%を超える場合は相溶性が低下するので好ましくない。
前記、その他の共重合可能な単量体(c)の具体例としては、たとえばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2ーエチルヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロヘキシル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、グリシジル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、α−エチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド(メタ)アクリロイルモルホリン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2ーヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、アロニクスM−5700、マクロモノマーであるAS−6、AN−6、AA−6、AB−6、AK−5などの化合物(以上、東亜合成化学工業(株)製)、Placcel FA−1、Placcel FA−4、Placcel FM−1、Placcel FM−4(以上、ダイセル化学工業(株)製)、(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル類とリン酸またはリン酸エステル類との縮合生成物などのリン酸エステル基含有(メタ)アクリル系化合物、ウレタン結合やシロキサン結合を含む(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
これらの単量体(c)は単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
前記単量体(c)の使用量は、通常用いる重合成分全量の5〜95重量%、さらには30〜90重量%、とくには40〜85重量%であるのが好ましい。
また、本発明においては、得られる本発明の組成物から形成されるプライマーの接着性をさらに向上させる目的で、たとえば主鎖にウレタン結合やシロキサン結合により形成されたセグメントを、50重量%を超えない範囲でアクリル系共重合体の製造時に導入してもよい。
前記単量体以外の単量体の具体例としては、たとえばスチレン、αーメチルスチレン、クロロスチレン、スチレンスルホン酸、4ーヒドロキシスチレン、ビニルトルエンなどの芳香族炭化水素系ビニル化合物;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、(メタ)アクリル酸などの不飽和カルボン酸、これらのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩などの塩;無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸の酸無水物、これら酸無水物と炭素数1〜20の直鎖状または分岐鎖を有するアルコールまたはアミンとのジエステルまたはハーフエステルなどの不飽和カルボン酸のエステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ジアリルフタレートなどのビニルエステルやアリル化合物;ビニルピリジン、アミノエチルビニルエーテルなどのアミノ基含有ビニル系化合物;イタコン酸ジアミド、クロトン酸アミド、マレイン酸ジアミド、フマル酸ジアミド、N−ビニルピロリドンなどのアミド基含有ビニル系化合物;2ーヒドロキシエチルビニルエーテル、メチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、クロロプレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、フルオロオレフィンマレイミド、N−ビニルイミダゾール、ビニルスルホン酸などのその他ビニル系化合物などが挙げられる。
これらは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
前記アクリル系共重合体は、たとえば特開昭54−36395号公報、特開昭57−55954号公報などに記載のヒドロシリル化法または反応性シリル基を含有する単量体を用いた溶液重合法によって製造することができるが、合成の容易さなどの点から反応性シリル基を含有する単量体を用い、2,2’−アゾ ビス(2−メチルブチロニトリル)などのアゾ系ラジカル重合開始剤を用いた溶液重合法によって製造することがとくに好ましい。
前記溶液重合法に用いられる溶剤は、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの酢酸エステル系溶剤を主成分とするものであるが、その他、非水系のものであれば併用にはとくに制限はない。中でもメタノール、イソプロピルアルコール、nーブタノール、イソブタノール、ヘキサノール、オクタノールなどのアルコール類が好ましいが、nーヘキサン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素類;エチルセロソルブ、ブチルセロソロブなどのセロソルブ類;セロソルブアセテートなどのエーテルエステル類;メチルエチルケトン、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン、メチルイソブチルケトン、アセトンなどのケトン類なども使用できる。酢酸エステル系溶剤を主成分とするとは、溶剤として酢酸エステル系溶剤が本願組成部の全溶剤中50重量%以上、好ましくは65重量%以上、さらに好ましくは80重量%以上特には95重量%以上である。本願の酢酸エステル系溶剤は本願組成物中に主成分として存在すればよく、(A)成分の共重合体の合成前、中、後、あるいはその他時期のいずれに加えられてもよい。
また、前記溶液重合の際には、必要に応じて、たとえばn−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ブチルメルカプタン、γーメルカプトプロピルトリメトキシシラン、γーメルカプトプロピルトリエトキシシラン、(CH3O)3Si−S−S−Si(OCH33,(CH3O)3Si−S8−Si(OCH33などの連鎖移動剤を単独または2種以上併用することにより、得られるアクリル系共重合体(A)の分子量を調整してもよい。とくに、たとえばγーメルカプトプロピルトリメトキシシランなどのアルコキシシリル基を分子中に有する連鎖移動剤を用いた場合には、アクリル系共重合体の末端に反応性シリル基を導入することができる。かかる連鎖移動剤の使用量は、用いる重合成分全量の0.05〜10%、更には0.1〜8%であることが好ましい。
前記(A)成分には、さらに、脱水剤やアルコールを配合することにより貯蔵安定性を向上させることができる。
前記脱水剤の具体例としては、たとえば、オルトギ酸メチル、オルトギ酸エチル、オルト酢酸メチル、オルト酢酸エチル、オルトプロピオン酸トリメチル、オルトプロピオン酸トリエチル、オルトイソプロピオン酸トリメチル、オルトイソプロピオン酸トリエチル、オルト酪酸トリメチル、オルト酪酸トリエチル、オルトイソ酪酸トリメチル、オルトイソ酪酸トリエチルなどの加水分解性エステル化合物などが挙げられる。これらの中では脱水効果の点でオルト酢酸メチルが好ましい。これらは単独で用いてもよく2種以上併用してもよい。上記において酢酸エステル系溶剤は、本願発明の酢酸エステル系溶剤として用いられ、反応性シリル基含有アクリル系共重合体の合成まえから、あるいは合成中あるいは合成後用いて酢酸エステル系溶剤を主成分としてもよい。
また、前記アルキルアルコールの具体例としては、例えばメタノール、エタノールなどの炭素数1から4の低級アルコールなどが挙げられる。
前記脱水剤やアルキルアルコールは、たとえばアクリル系共重合体(A)を重合する前の成分に加えてもよく、アクリル系共重合体(A)の重合中に加えてもよく、また、得られたアクリル系共重合体(A)とそのほかの成分との混合時に加えてもよく特に制限はない。
前記脱水剤の配合量には特に限定はないが、通常アクリル系共重合体(A)またはシリコン化合物の部分加水分解縮合物の樹脂固形分100重量部に対して脱水剤が0.5〜20重量部程度、更には2〜10重量部程度であるのが好ましい。
本発明の(B)成分である硬化触媒はオクチル酸錫、ジブチル錫ジラウレ−ト、ジオクチル錫マレート等のカルボン酸型有機錫化合物、モノブチル錫サルファイド、ジオクチル錫メルカプタイド等のスルフィド型、メルカプチド型有機錫化合物、ジオクチル錫オキサイドまたはジブチル錫オキサイド等の有機錫オキサイド、有機錫オキサイドとエチルシリケ−ト、エチルシリケ−ト40、マレイン酸ジメチル、フタル酸ジオクチル等のエステル化合物との反応物;リン酸、モノメチルフォスフェート、モノエチルフォスフェート、モノブチルフォスフェート、モノオクチルフォスフェート、モノデシルフォスフェート、ジメチルフォスフェート、ジエチルフォスフェート、ジブチルフォスフェート、ジデシルホスシクロヘキセンオキサイド等のリン化合物、グリシジルメタクリレート、グリシドール、アクリルグリシジルエーテル、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、油化シェルエポキシ(株)製のカーデュラE、油化シェルエポキシ(株)製のエピコート828、エピコート1001などのエポキシ化合物とリン酸および(または)モノ酸性リン酸エステルとの反応物;有機チタネート化合物、有機アルミニウム化合物;マレイン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、イタコン酸、クエン酸、コハク酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、これらの酸無水物、パラトルエンスルホン酸などの酸性化合物、;ヘキシルアミン、ジ−2−エチルヘキシルアミン、N,N−ジメチルドデシルアミン、ドデシルアミン、などのアミン類;これらのアミンと酸性アミン、 N,N−ジメチルドデシルアミン、ドデシルアミン、などのアミン類;これらのアミンと酸性リン酸エステルとの混合物又は反応物;水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ性化合物などが挙げられる。
これらのうち、有機錫化合物、有機錫化合物とエチルシリケートの反応物が硬化性、付着性の点で好ましい。
これらの硬化触媒はアクリル共重合体(A)100重量部に対して0.05〜20重量部、更には0.1〜10重量部が好ましい。本発明においては使用量が0.05重量部未満の場合は硬化性が低下する傾向にあり、20重量部を超える場合は耐水性が低下する傾向にある。
本発明の(C)成分であるニ塩基酸ジアルキルエステルとしてはマロン酸ジメチル、コハク酸ジメチル、マレイン酸ジメチル、グルタール酸ジメチル、アジピン酸ジメチル、アジピン酸ジブチル、マロン酸ジエチル、コハク酸ジエチル等が挙げられる。
これらのニ塩基酸ジアルキルエステルはアクリル共重合体(A)100重量部に対して0.5〜100重量部、更には2〜50重量部、特には5〜30重量部が好ましい。本発明においては0.5重量部未満では、貯蔵後の硬化性改善効果や折り曲げ性改善効果が小さく、又、100重量部以上では硬度、耐候性が低下する傾向にある。
本発明の(D)成分であるアミノシラン化合物としては、たとえばアミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルジエトキシシランなどのアミノシラン化合物;これらのアミノシラン化合物とエピコート828、エピコート1001などのエポキシ化合物(以上、油化シェルエポキシ(株)製)やγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどとの反応物などが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上組み合わせてもよい。これらのうちではγ−アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシランおよびγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの反応物との組み合わせが付着性の点から好ましい。
アミノシラン化合物の使用量は、本発明においては(A)成分100重量部に対して0.1〜50重量部、更には0.1〜30重量部、特には0.5〜20重量部の範囲が好ましい。使用量が0.1部より少なくなると付着性の向上が不十分となり、50重量部を超えると相溶性が低下する恐れがある。
本発明の1液組成物は、上記(A)成分であるアクリル系重合体、(C)成分であるニ塩基酸ジアルキルエステルに希釈溶剤を加え、予め脱水剤を用いて脱水した後に、(B)成分である硬化触媒、(D)成分であるアミノシラン化合物を配合することが貯蔵安定性の点より好ましい。
本発明の1液組成物は被着体に直接塗布したり、又、旧塗膜上や劣化したシーリング剤の打ち継ぎ用として塗布することも可能である。1液組成物を塗布した後、その上に弾性シーリング材を打つこともでき、塗料を塗装することも可能である。1液組成物の塗布方法及び該硬化性組成物の塗布方法としては、特に限定はなく、従来公知の塗布手段、例えばハケによる塗布、ロールによる塗布、スプレーによる塗布等を広く採用する事ができる。塗布量としては、被着体の1m2面積に相当する部分あたり、通常20〜400g程度、好ましくは40〜100g程度とするのが良い。被着体上に塗膜を形成させるには、塗布後、これを室温にて乾燥しても良いし、又は、50〜120℃程度の温度で加熱しても良い。
また、本発明の1液組成物には、たとえば酸化チタン、群青、紺青、亜鉛華、ベンガラ、黄鉛、鉛白、カーボンブラック、透明酸化鉄、硫酸バリウム、タルク、雲母、炭酸カルシウム、アルミニウム粉などの無機顔料や体質顔料、アゾ系顔料、トリフェニルメタン系顔料、キノリン系顔料、アントラキノン系顔料、フタロシアニン系顔料などの有機顔料などの顔料;希釈剤、紫外線吸収剤、光安定剤、タレ防止剤、レベリング剤などの添加剤;ニトロセルロース、セルロースアセテートブチレートなどの繊維素;エポキシ樹脂、メラミン樹脂、塩化ビニル樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂、塩素化ポリプロピレン、塩化ゴム、ポリビニルブチラール、ポリシロキサンなどの樹脂などを適宜加えてもよい。
次に、本発明の塗料用硬化性樹脂組成物を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
製造例1(アクリル系共重合体(A−1)の製造)
撹拌機、温度計、還流冷却器、窒素ガス導入管および滴下ロートを備えた反応容器に酢酸ブチル50重量部を仕込み、窒素ガスを導入しつつ110℃に昇温した。そののち、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン6.6重量部、ステアリルメタクリレート14重量部、メチルメタクリレート73重量部、n−ブチルアクリレート5.4重量部、アクリルアミド1重量部、酢酸ブチル18重量部および2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)0.8重量部からなる混合物を滴下ロートにより5時間かけて等速滴下した。
滴下終了後、2,2’−アゾ ビス(2−メチルブチロニトリル)0.1重量部、酢酸ブチル5重量部および酢酸ブチル8重量部を1時間かけて等速滴下したのち、110℃で2時間熟成してから冷却し、樹脂溶液に酢酸ブチルを加えて樹脂固形分濃度が40%のアクリル系共重合体(A)−1を得た。
得られたアクリル系共重合体(A)−1の数平均分子量は16000であった。
又、計算上のガラス転移温度は52℃であった。
製造例2(アクリル系共重合体(A−2)の製造)
撹拌機、温度計、還流冷却器、窒素ガス導入管および滴下ロートを備えた反応容器に酢酸ブチル50重量部を仕込み、窒素ガスを導入しつつ110℃に昇温した。そののち、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン3.3重量部、ステアリルメタクリレート20重量部、メチルメタクリレート70.7重量部、n−ブチルアクリレート5重量部、アクリルアミド1重量部、酢酸ブチル18重量部および2,2’−アゾ ビス(2−メチルブチロニトリル)0.5重量部からなる混合物を滴下ロートにより5時間かけて等速滴下した。
滴下終了後、2,2’−アゾ ビス(2−メチルブチロニトリル)0.1重量部、酢酸ブチル5重量部および酢酸ブチル8重量部を1時間かけて等速滴下したのち、110℃で2時間熟成してから冷却し、樹脂溶液に酢酸ブチルを加えて樹脂固形分濃度が40%のアクリル系共重合体(A)−2を得た。
得られたアクリル系共重合体の数平均分子量は21000であった。
又、計算上のガラス転移温度は41℃であった。
製造例3(アクリル系共重合体(A−3)の製造)
製造例1の酢酸ブチルをキシレンに変えた以外は製造例1と同様に行なった。
得られたアクリル系共重合体(A)−1の数平均分子量は16000であった。
又、計算上のガラス転移温度は52℃であった。
製造例1〜3で得られたアクリル系共重合体(A)の樹脂固形分100重量部に対して、表−1に示す各種添加剤を配合して1液組成物を得た。
実施例1〜6、比較例1〜2
得られた1液組成物をポリエチレンシート上に塗装し、23℃で7日間養生し、ゲル分率、折り曲げ性を評価した。
(イ)初期硬化性(ゲル分率)
得られた塗膜を200メッシュ金網(W0)に包み精秤した(W1)。これをアセトンに24時間浸漬して抽出した後、乾燥し、精秤した(W2)。次式に従ってゲル分率を求めた。
ゲル分率(%)=(W2−W0)/(W1−W0)×100
(ロ)貯蔵後の硬化性(ゲル分率)
表1に示す1液組成物を50℃で1ケ月貯蔵した後、上記の方法にてゲル分率を測定した。
(ハ)耐折り曲げ性
得られたフィルムを折り曲げでクラックの発生有無を評価した。
判定方法
○:クラックなし
×:クラックあり
結果を表1に示す。
Figure 0004354830

Claims (5)

  1. 酢酸エステル系溶剤を全溶剤中65重量%以上含有する1液組成物であって、
    (A)主鎖が実質的にビニル系共重合体鎖からなり、主鎖末端および/または側鎖に
    一般式(I):


    −Si−(OR3−a (I)
    (式中、Rは水素原子または炭素数1〜10のアルキル基、Rは水素原子または炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜25のアリール基および炭素数7〜12のアラルキル基から選ばれた1価の炭化水素基、aは0〜2の整数を示す)で表される炭素原子に結合した反応性シリル基含有アクリル系共重合体100重量部、(B)硬化触媒0.05〜20重量部、(C)二塩基酸ジアルキルエステル5〜30重量部からなることを特徴とする1液組成物。
  2. (A)成分が反応性シリル基含有単量体(a)、炭素数10以上のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(b)、その他の共重合可能な単量体(c)を共重合してなり、かつ炭素数10以上のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(b)が重合成分全量の11〜30重量%含有することを特徴とする請求項1記載の1液組成物
  3. 反応性シリル基含有アクリル系共重合体(A)のガラス転移温度が35℃以上で、且つ、数平均分子量が6,000以上である共重合体を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の1液組成物。
  4. 前記1液組成物に(D)アミノシラン化合物および/又はその反応物0.1〜50重量部を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の1液組成物。
  5. (D)成分がアミノシラン化合物とエポキシシラン化合物又はエポキシ樹脂との反応物である請求項4記載の1液組成物。
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