JP4352922B2 - 超音波トランスデューサ - Google Patents

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Description

本発明は、広周波数帯域に渡って一定の高音圧を発生する静電型の超音波トランスデューサに係り、特に、音波の共鳴原理を適用することで、強い超音波を発生させることができる超音波トランスデューサに関する。
従来の超音波トランスデューサは圧電セラミックを用いた共振型がほとんどである。
ここで、従来の超音波トランスデューサの構成を図10に示す。従来の超音波トランスデューサは、振動素子として圧電セラミックを用いた共振型がほとんどである。図10に示す超音波トランスデューサは、振動素子として圧電セラミックを用いて電気信号から超音波への変換と、超音波から電気信号への変換(超音波の送信と受信)の両方を行う。図10に示すバイモルフ型の超音波トランスデューサは、2枚の圧電セラミック61および62と、コーン63と、ケース64と、リード65および66と、スクリーン67とから構成されている。
圧電セラミック61および62は、互いに貼り合わされていて、その貼り合わせ面と反対側の面にそれぞれリード65とリード66が接続されている。
共振型の超音波トランスデューサは、圧電セラミックの共振現象を利用しているので、超音波の送信および受信の特性がその共振周波数周辺の比較的狭い周波数帯域で良好となる。
上述した図10に示す共振型の超音波トランスデューサと異なり、従来より静電方式の超音波トランスデューサは高周波数帯域にわたって高い音圧を発生可能な広帯域発振型超音波トランスデューサとして知られている。図11に広帯域発振型超音波トランスデューサの具体的構成を示す。図11に示す静電型の超音波トランスデューサは、振動体として3〜10μm程度の厚さのPET(ポリエチレンテレフタレート樹脂)等の誘電体131(絶縁体)を用いている。誘電体131に対しては、アルミ等の金属箔として形成される上電極132がその上面部に蒸着等の処理によって一体形成されるとともに、真鍮で形成された下電極133が誘電体131の下面部に接触するように設けられている。この下電極133は、リード152が接続されるとともに、ベークライト等からなるベース板135に固定されている。
また、上電極132は、リード153が接続されており、このリード153は直流バイアス電源150に接続されている。この直流バイアス電源150により上電極32には50〜150V程度の上電極吸着用の直流バイアス電圧が常時、印加され上電極132が下電極133側に吸着されるようになっている。151は信号源である。
誘電体131および上電極132ならびにベース板135は、メタルリング136、137、および138、ならびにメッシュ139とともに、ケース130によってかしめられてる。
下電極133の誘電体131側の面には不均一な形状を有する数十〜数百μm程度の微小な溝が複数形成されている。この微小な溝は、下電極133と誘電体131との間の空隙となるので、上電極132および下電極133間の静電容量の分布が微小に変化する。このランダムな微小な溝は、下電極133の表面を手作業でヤスリにより荒らすことで形成されている。静電方式の超音波トランスデューサでは、このようにして空隙の大きさや深さの異なる無数のコンデンサを形成することによって、図11に示す超音波トランスデューサの周波数特性が図12において曲線Q1に示すように広帯域となっている。
上記構成の超音波トランスデューサでは、上電極32に直流バイアス電圧が印加された状態で上電極32と下電極33との間に矩形波信号(50〜150Vp-p)が印加されるようになっている。因みに、図12に曲線Q2で示すように共振型の超音波トランスデューサの周波数特性は、中心周波数(圧電セラミックの共振周波数)が例えば、40kHzであり、最大音圧となる中心周波数に対して±5kHzの周波数において最大音圧に対して−30dBである。これに対して、上記構成の広帯域発振型の超音波トランスデューサの周波数特性は、40kHzから100kHz付近まで平坦で、100kHzで最大音圧に比して±6dB程度である(特許文献1、2参照)。
ここで、広帯域発振型の超音波トランスデューサにおいて、高い音圧レベルを得るのに上電極の振動膜の振幅を大きくとる必要性があるのは、以下の理由による。すなわち、超音波トランスデューサから放射される超音波の音圧レベル(SPL)は、デバイス面積をS、振動膜の振動速度をv、上電極と下電極との間に印加される印加電圧をVとすると、SPL∝S・v・Vの関係がある。音圧レベルを大きくとるには、デバイス面積S、振動膜の振動速度v、印加電圧Vのいずれかまたは、すべてを大きくすればよいが、超音波トランスデューサの小型化を考慮すると、デバイス面積S、印加電圧Vを大きくしたくない。
したがって、音圧レベルを大きくするという要求を満たすためには、振動膜の振動速度vを大きくする必要がある。ここで、振動膜の振動速度vは、振動周波数と振幅に依存するが、広周波数帯域にわたって高い音圧レベルを得る必要性から振動膜の振動速度、ひいては音圧レベルを大きくするためには、振動膜の振幅を大きく取る必要があることが判る。しかし、振動膜の振幅を大きくすることは困難であり、振幅を変えずに発生する音圧を大きくする方法が望まれる。
特開2000−50387号公報 特開2000−50392号公報
しかしながら、従来の広帯域発振型の超音波トランスデューサにあっては、数十〜数百Vの直流バイアス電圧を用いて上電極の薄膜と下電極のバルク材料を吸着しているために、上電極における振動膜の十分な振幅が得られないという問題を抱えている。さらに、数百Vの交流信号で上電極における振動膜を駆動している。
また、この直流バイアス電圧は高電圧であり、さらに上電極の薄膜と下電極とのに印加される信号としての交流信号も高電圧であるため、危険性もさることながら装置の大型化、高パワー化、高コスト化を招いていた。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、振動時に振動膜の振幅を変化させることなく共鳴現象を用いることにより音圧を大きくすることができ、かつ直流バイアス電圧及び交流信号電圧の低減を図った超音波トランスデューサを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、絶縁体で形成された振動膜と該振動膜上に形成された導電膜とを備えた上電極と、前記上電極の振動膜に対向する面に凹凸が複数、形成された下電極とを有し、前記上電極と下電極とを密着させ、該上電極と下電極との間に交流信号を印加することにより超音波を発生させる超音波トランスデューサであって、板材に所望の周波数で共鳴する両端開口管を形成する複数の通気孔が設けられてなる共鳴管ユニットを前記上電極表面に固設したことを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、絶縁体で形成された振動膜と該振動膜上に形成された導電膜とを備えた上電極と、前記上電極の振動膜に対向する面に凹凸が複数、形成された下電極とを有し、前記上電極と下電極とを密着させることにより該上電極と下電極との間に形成される複数の空洞部内から外部に連通する通気孔を前記下電極に設け、前記上電極と下電極との間に交流信号を印加することにより超音波を発生させる超音波トランスデューサであって、板材に所望の周波数で共鳴する両端開口管を形成する複数の通気孔が設けられてなる共鳴管ユニットを前記上電極表面に固設したことを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、両面に凹凸が複数、形成された下電極と、
前記下電極の両面に、それぞれ対向して配置され絶縁体で形成された振動膜と該振動膜上に形成された導電膜とを備えた二つの上電極とを有し、前記二つの上電極と下電極とを密着させることにより下電極の上下端に複数の空洞部が形成されてなり、該複数の空洞部のうち前記下電極の上端に形成された空洞部と、その直下の前記下電極の下端に形成された空洞部とをそれぞれ、連通する通気孔を形成した超音波トランスデューサであって、板材に所望の周波数で共鳴する両端開口管を形成する複数の通気孔が設けられてなる共鳴管ユニットを前記二つの上電極表面に固設したことを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の超音波トランスデューサにおいて、前記共鳴管ユニットは共鳴する前記所望の周波数の超音波が吸収されない材料で形成されていることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の超音波トランスデューサにおいて、前記共鳴管ユニットに形成された前記通気孔の深さ方向の長さは共鳴する超音波の波長の半波長の長さの整数倍であることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項4または5のいずれかに記載の超音波トランスデューサにおいて、前記共鳴管ユニットの表面形状は、各共鳴管の深さ方向の長さが中央部に向うほど短くなるように凹面状に形成されていることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項4または5のいずれかに記載の超音波トランスデューサにおいて、前記共鳴管ユニットの表面形状は、各共鳴管の深さ方向の長さが中央部に向うほど長くなるように凸面状に形成されていることを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、請求項4または5のいずれかに記載の超音波トランスデューサにおいて、前記共鳴管ユニットの表面形状は、前記板材の一端から他端に向って、各共鳴管の深さ方向の長さが直線的に変化するように傾斜して形成されていることを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、1乃至8のいずれかに記載の超音波トランスデューサ前記共鳴管ユニットに形成される通気孔は、前記下電極に形成される前記凹部に対応する位置に形成されることを特徴とする。
請求項10に記載の発明は、請求項1乃至9のいずれかに記載の超音波トランスデューサにおいて、前記共鳴管ユニットと前記上電極との間に開放端補正用の間隙を設けたことを特徴とする。
請求項11に記載の発明は、請求項1乃至9のいずれかに記載の超音波トランスデューサを有することを特徴とする超音波スピーカである。
以上説明したように、本発明に係る超音波トランスデューサによれば、絶縁体で形成された振動膜と該振動膜上に形成された導電膜とからなる上電極と、前記上電極の振動膜に対向する面に凹凸が複数、形成された下電極とを有し、前記上電極と下電極とを密着させ、該上電極と下電極との間に交流信号を印加することにより超音波を発生させる超音波トランスデューサであって、板材に所望の周波数で共鳴する両端開口管を形成する複数の通気孔が設けられてなる共鳴管ユニットを前記上電極表面に固設するように構成したので、振動時に振動膜の振幅を変えることなく共鳴現象により音圧を大きくすることができ、かつ直流バイアス電圧及び交流信号電圧の低減が図れる。
したがって、この超音波トランスデューサを用いて超音波スピーカを構成することにより、振動時に振動膜の振幅を変えることなく共鳴現象により音圧を大きくすることができ、かつ直流バイアス電圧及び交流信号電圧の低減を図った超音波スピーカを実現できる。
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。本発明の第1実施形態に係る超音波トランスデューサの構成を図1に示す。本実施形態に係る超音波トランスデューサは、図11に示した従来の超音波トランスデューサに共鳴管ユニット20を付設したものであり、超音波トランスデューサ本体は図11に示したものと同一構成である。
図1において、超音波トランスデューサ1は、絶縁体(誘電体)で形成された振動膜2と該振動膜2上に形成された導電膜3とからなる上電極10と、上電極10の振動膜2に対向する面に凹凸が複数、形成された下電極12とを有している。
また、上電極10の表面には、共鳴管ユニット20が固設されている。
振動膜2として3〜10μm程度の厚さのPET(ポリエチレンテレフタレート樹脂)等の誘電体(絶縁体)を用いている。振動膜2に対しては、アルミ等の金属箔として形成される導電膜3がその上面部に蒸着等の処理によって一体形成されるとともに、真鍮で形成された下電極12が振動膜2の下面部に接触するように設けられている。この下電極12は、リード41が接続されるとともに、ベークライト等からなるベース板14に固定されている。
また、上電極10の導電膜3には、リード40が接続されており、このリード40は直流バイアス電源30に接続されている。この直流バイアス電源30により上電極10の導電膜3には上電極吸着用の直流バイアス電圧が常時、印加され上電極10が下電極12側に吸着されるようになっている。32は信号源である。
振動膜2および導電膜3ならびにベース板14は、メタルリング15、16、および17、ならびに共鳴管ユニット20とともに、ケース18によってかしめられている。
共鳴管ユニット20は、板材200に所望の周波数で共鳴する両端開口管を形成する複数のが設けられており、この通気孔201は、下電極12に形成される凹部に対応する位置に上記凹部と同数だけ、形成されている。板材200は、例えば、剛体で構成されている。ただし剛体といっても共鳴する所望の周波数の超音波を吸収せずに反射させることのできる材料なら金属、セラミック、プラスチックなどでも良い。図2は共鳴管ユニット20の平面図であり、通気孔201の配置の一例を示している。通気孔201の配列は図2に示すように規則的に配列されるとは限らず、下電極12の凹部形状および位置に対応して配列される。
このように共鳴管として機能する通気孔を配置することにより超音波トランスデューサ1より放射される超音波の音圧レベルを、共鳴現象を利用して向上させる際により効率的に行うことができる。
図3は共鳴管ユニット20を更に詳しく記述した正面断面図である。図中aは共鳴管としての通気孔201の長さを示しており、本実施形態では1/2波長の波が伝播する様子を示している。共鳴現象を起こす最小の波長単位は1/2波長であり、両端開口管の共鳴現象の理論式は以下のようになる。
λ=mc/f (1)
ただし、fは共鳴する超音波周波数、cは音速(約340m/s)、λは波長、mは自然数である。
したがって、図2が共鳴管ユニットを最もコンパクトにする形態であるが、図3中aは半波長の自然数倍であればいかなる値をとっても良い。一例を示せば、超音波トランスデューサ1において、発生する超音波周波数が、40kHzの場合には、波長は8.5mmであるので、その半分の4.25mmの共鳴管長があれば発生する超音波を共鳴させ、音圧レベルを向上させることができることになる。
発生させるのが超音波であるので、20kHzを基準に取れば波長は17mmである。従ってその半分の8.5mmの共鳴管長があればよく、共鳴現象が半波長毎に起きることを考慮すると20kHzからそれより高い周波数に対して20kHz刻みで共鳴現象が起きることになり、これは幅広い周波数を使用することが可能となること意味する。これは静電型トランスデューサの特徴である広帯域周波数特性を犠牲にすることなく使用できることを意味する。もっと細かい刻み幅で超音波を可変させる場合に基本周波数を10kHz、あるいは5kHzとし、それに合わせて上記の考え方で共鳴管サイズを決定すればよい。
なお、図1において、共鳴管ユニット20と上電極10間に若干の隙間があるが、これは開口端補正を行うためであり、一般には共鳴管半径の0.6倍程度必要である。
また、本原理を利用する場合、共鳴管内径は音波長より十分小さく、管内では平面波が発生することが前提とされている。本発明の場合、発生超音波は平面波であり、また管内径は大きくても100μm程度であるので発振超音波が20kHzの時の波長17mmに対して十分小さい値であるので全く問題ないと考えられる。
更に、離散的な共鳴周波数ではなく連続的な共鳴周波数を得る方法としては、図4に示すように、共鳴管ユニット20Aの表面形状を各共鳴管201Aの深さ方向の長さが中央部に向うほど短くなるように滑らかな凹面状に形成することにより実現できる。
また、連続的な共鳴周波数を得るには、図5に示すように、共鳴管ユニット20Bの表面形状を各共鳴管201Bの深さ方向の長さが中央部に向うほど長くなるように滑らかな凸面状に形成することによっても実現できる。
さらに、連続的な共鳴周波数を得る方法としては、共鳴管ユニットの平面形状を矩形状にし、かつ図6、7に示すように、共鳴管ユニット20C(20D)の表面形状を、板材の一端から他端に向って、各共鳴管201C(201D)の深さ方向の長さが直線的に変化するように傾斜して形成することにより実現できる。
ただし、図4〜図7に示す共鳴管ユニットを用いた場合、ある瞬間だけに注目すると、共鳴する管が限られてしまい全体的な共鳴現象を起こすことは困難となる。
本発明の第1実施の形態に係る超音波トランスデューサによれば、絶縁体で形成された振動膜と該振動膜上に形成された導電膜とからなる上電極と、前記上電極の振動膜に対向する面に凹凸が複数、形成された下電極とを有し、前記上電極と下電極とを密着させ、該上電極と下電極との間に交流信号を印加することにより超音波を発生させる超音波トランスデューサであって、板材に所望の周波数で共鳴する両端開口管を形成する複数の通気孔が設けられてなる共鳴管ユニットを前記上電極表面に固設するように構成したので、振動時に振動膜の振幅を変えることなく共鳴現象により音圧を大きくすることができ、かつ直流バイアス電圧及び交流信号電圧の低減が図れる。
次に本発明の第2実施形態に係る超音波トランスデューサについて説明する。第2実施形態に係る超音波トランスデューサは、図8に示す超音波トランスデューサに図2乃至図7のいずれかに示した共鳴管ユニットを上電極表面に固設するようにしたものである。これにより、第1実施形態に係る超音波トランスデューサにより得られるのと同様の効果が得られる。
図8に示す第2実施形態に係る超音波トランスデューサ1Aの構成について説明する。なお、本実施形態では、共鳴管ユニットについては、説明の便宜上、図示していない。図8において、超音波トランスデューサ1Aは、絶縁体で形成された振動膜42と該振動膜42上に形成された導電膜43とからなる上電極50と、上電極50の振動膜42に対向する面に凹凸が複数、形成された下電極52と、直流バイアス電源30と、信号源32とを有している。
上電極50と下電極52との間には、常時、電圧調整可能な直流バイアス電源30により一定の直流バイアス電圧が印加されており、この電界により発生する静電力により下電極52の凸部52Aに上電極50が吸着され、上電極50と下電極52との間に形成される空洞部54を除き、密着した状態にある。
また、下電極52には、空洞部54から外部に連通する通気孔56が形成されている。
また、上電極50と下電極52との間には、直流バイアス電源30による直流バイアス電圧に重畳された状態で信号源32により信号電圧である交流信号(周波数は20kHz以上の超音波周波数帯)が印加されるようになっている。
前記通気孔56は、空洞部54内において振動膜42が振動時に生ずる空気の圧縮抵抗を低減させる圧縮抵抗低減手段として機能する。
上記構成において、上電極50の導電膜43と下電極52との間に直流バイアス電源30により、直流バイアス電圧が印加されると、上電極50に下電極52の凸部52Aが吸着され、この状態で信号源32より交流信号が上電極50の導電膜43と下電極52との間に直流バイアス電圧に重畳されて印加されることにより上電極50の振動膜42は交流信号により駆動され、振動する。
このとき、空洞部54内の空気には振動膜42の振動に応じて圧力が加わるが、この空気は外部に連通する通気孔56を介してスムーズに流れるので、振動膜42においてより大きな振動(振幅)が得られる。
このように構成された超音波トランスデューサ1Aに第1実施形態に適用される既述した共鳴管ユニット(図2〜図7のいずれか)を使用することにより、放射される超音波の音圧レベルを、共鳴現象を利用して向上させることができる。
次に本発明の第3実施形態に係る超音波トランスデューサについて説明する。第3実施形態に係る超音波トランスデューサは、図9に示す超音波トランスデューサに図2乃至図7のいずれかに示した共鳴管ユニットを上電極表面に固設するようにしたものである。これにより、第1実施形態に係る超音波トランスデューサにより得られるのと同様の効果が得られる。
図9に示す第3実施形態に係る超音波トランスデューサ1Bの構成について説明する。なお、本実施形態では、共鳴管ユニットについては、説明の便宜上、図示していない。
図9において、超音波トランスデューサ1Bは、両面に凹凸が複数、形成された下電極112と、下電極112の両面に、それぞれ対向して配置され絶縁体で形成された振動膜101と該振動膜101上に形成された導電膜102とからなる二つの上電極100A、100Bと、直流バイアス電源118と、信号源120と、二つの上電極100、100の一方に、例えば、上電極100Bに対面する位置に設けられたコーン125とを有している。
二つの上電極100A、100Bと下電極112とを密着させることにより下電極112の上下端に複数の空洞部114A(下電極の上端側),114B(下電極の下端側)が形成されている。
また、下電極112の上下端に形成された空洞部114A,114Bのうち下電極112の上端に形成された空洞部114Aと、その直下の下電極112の下端に形成された空洞部114Bとをそれぞれ、連通する通気孔116が下電極112に形成されている。
また、下電極112には、電圧調整可能な直流バイアス電源118により一定の直流バイアス電圧が印加されるようになっている。
また、信号源120により、二つの上電極100A、100B間に信号電圧である交流信号(周波数は20kHz以上の超音波周波数帯)が印加されるようになっている。
上電極100Bの一方に対面する位置に設けられたコーン125は、図上、下方に向けて発生した超音波を反射面125A,125Bにより上方に反射する機能を有する。なお、本実施形態におけるコーン125の配置では、コーン125は下方に向けて発生した超音波を発散するよう機能するが、このコーン125の反射面130Cを上電極100Bに対面するように位置させた場合には、コーン125は下方に向けて発生した超音波を前方に収束するように機能する。
コーンの材質としては、空気と音響インピーダンスの差が大きい材料、例えば硬い固体(金属、セラミック、プラスチック)などが望ましい。
上記構成において、下電極112に直流バイアス電源118により一定の直流バイアス電圧が印加された状態で、信号源120により交流信号が上電極100A,100B間に印加されることにより二つの上電極100A,100Bの導電膜102は駆動され、振動する。このときに上電極100Aの導電膜102に正極性の交流電圧が印加されるときは、上電極100Bの導電膜102には負極性の交流電圧が印加される。この場合に、下電極112に正の直流バイアス電圧が印加されているので、下電極112の上端側に形成されている空洞部114Aに対面する位置にある上電極100Aの振動膜101は下電極112より反発力を受け、図上、上方に変位する。
また、このとき、下電極112の下端側に形成されている空洞部114Bに対面する位置にある上電極100Bの振動膜101は、下電極112より吸引力を受け、図上、上方に変位する。
同様に、上電極100Aの導電膜102に負極性の交流電圧が印加されるときは、上電極100Bの導電膜102には正極性の交流電圧が印加される。この場合に、下電極112に正の直流バイアス電圧が印加されているので、下電極112の上端側に形成されている空洞部114Aに対面する位置にある上電極100Aの振動膜101は下電極112より吸引力を受け、図上、下方に変位する。
また、このとき、下電極112の下端側に形成されている空洞部114Bに対面する位置にある上電極100Bの振動膜101は、下電極112より反発力を受け、図上、下方に変位する。
このように、上電極100A,100Bの導電膜102、102間に信号源120より交流信号が印加されると、その印加される交流信号の極性に応じて、上電極100Aの振動膜101が上方に変位する場合には、上電極100Bの振動膜101も上方に変位し、上電極100Aの振動膜101が下方に変位する場合には、上電極100Bの振動膜101も下方に変位するように、上電極100A,100Bの導電膜102、102は、同方向に変位するために、空洞部114A、空洞部114B内にトラップされた空気は、通気孔116を介して移動し、空洞部114A,114Bにトラップされた空気の体積変化を抑制することができ、それ故、空気の体積膨張率によるばね効果が減少し、より大きな膜振動が得られる。
このように構成された超音波トランスデューサ1Bに第1実施形態に適用される既述した共鳴管ユニット(図2〜図7のいずれか)を使用することにより、すなわち、使用目的に応じて上電極100A及び100Bのうちの一方または双方の表面に、共鳴管ユニット(図2〜図7のいずれか)を固設することにより、放射される超音波の音圧レベルを、共鳴現象を利用して向上させることができる。
また、第1〜第3実施形態に係る超音波トランスデューサを超音波スピーカに適用することにより振動時に振動膜の振幅を大きくすることができ、かつ直流バイアス電圧及び交流信号電圧の低減を図った超音波スピーカを実現できる。
本発明の第1実施形態に係る超音波トランスデューサの構成を示す図。 図1に示した本発明の第1実施形態に係る超音波トランスデューサにおける共鳴管ユニットの平面図。 図2に示した共鳴管ユニットの縦断面図。 共鳴管ユニットの平面形状を凹面状に形成した構成例を示す縦断面図。 共鳴管ユニットの平面形状を凸面状に形成した構成例を示す縦断面図。 共鳴管ユニットの平面形状を直線状に変化するように形成した構成例を示す縦断面図。 共鳴管ユニットの平面形状を直線状に変化するように形成した他の構成例を示す縦断面図。 本発明の第2実施形態に係る超音波トランスデューサの構成を示す図。 本発明の第3実施形態に係る超音波トランスデューサの構成を示す図。 従来の共振型の超音波トランスデューサの構成を示す図。 従来の広帯域発振型超音波トランスデューサの構成を示す図。 超音波トランスデューサの音圧レベルの周波数特性を示す図。
符号の説明
1、1A、1B…超音波トランスデューサ、2…振動膜、3…導電膜、10…上電極、12…下電極、14…ベース板、15、16、17…メタルリング、18…ケース、20…共鳴管ユニット、30…直流バイアス電源、32…信号源

Claims (11)

  1. 絶縁体で形成された振動膜と該振動膜上に形成された導電膜とを備えた上電極と、前記上電極の振動膜に対向する面に凹凸が複数、形成された下電極とを有し、前記上電極と下電極とを密着させ、該上電極と下電極との間に交流信号を印加することにより超音波を発生させる超音波トランスデューサであって、
    板材に所望の周波数で共鳴する両端開口管を形成する複数の通気孔が設けられてなる共鳴管ユニットを前記上電極表面に固設したことを特徴とする超音波トランスデューサ。
  2. 絶縁体で形成された振動膜と該振動膜上に形成された導電膜とを備えた上電極と、前記上電極の振動膜に対向する面に凹凸が複数、形成された下電極とを有し、前記上電極と下電極とを密着させることにより該上電極と下電極との間に形成される複数の空洞部内から外部に連通する通気孔を前記下電極に設け、前記上電極と下電極との間に交流信号を印加することにより超音波を発生させる超音波トランスデューサであって、
    板材に所望の周波数で共鳴する両端開口管を形成する複数の通気孔が設けられてなる共鳴管ユニットを前記上電極表面に固設したことを特徴とする超音波トランスデューサ。
  3. 両面に凹凸が複数、形成された下電極と、
    前記下電極の両面に、それぞれ対向して配置され絶縁体で形成された振動膜と該振動膜上に形成された導電膜とを備えた二つの上電極とを有し、
    前記二つの上電極と下電極とを密着させることにより下電極の上下端に複数の空洞部が形成されてなり、該複数の空洞部のうち前記下電極の上端に形成された空洞部と、その直下の前記下電極の下端に形成された空洞部とをそれぞれ、連通する通気孔を形成した超音波トランスデューサであって、
    板材に所望の周波数で共鳴する両端開口管を形成する複数の通気孔が設けられてなる共鳴管ユニットを前記二つの上電極表面に固設したことを特徴とする超音波トランスデューサ。
  4. 前記共鳴管ユニットは共鳴する前記所望の周波数の超音波が吸収されない材料で形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の超音波トランスデューサ。
  5. 前記共鳴管ユニットに形成された前記通気孔の深さ方向の長さは共鳴する超音波の波長の半波長の長さの整数倍であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の超音波トランスデューサ。
  6. 前記共鳴管ユニットの表面形状は、各共鳴管の深さ方向の長さが中央部に向うほど短くなるように凹面状に形成されていることを特徴とする請求項4または5のいずれかに記載の超音波トランスデューサ。
  7. 前記共鳴管ユニットの表面形状は、各共鳴管の深さ方向の長さが中央部に向うほど長くなるように凸面状に形成されていることを特徴とする請求項4または5のいずれかに記載の超音波トランスデューサ。
  8. 前記共鳴管ユニットの表面形状は、前記板材の一端から他端に向って、各共鳴管の深さ方向の長さが直線的に変化するように傾斜して形成されていることを特徴とする請求項4または5のいずれかに記載の超音波トランスデューサ。
  9. 前記共鳴管ユニットに形成される通気孔は、前記下電極に形成される前記凹部に対応する位置に形成されることを特徴とする1乃至8のいずれかに記載の超音波トランスデューサ。
  10. 前記共鳴管ユニットと前記上電極との間に開放端補正用の間隙を設けたことを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の超音波トランスデューサ。
  11. 請求項1乃至10のいずれかに記載の超音波トランスデューサを有することを特徴とする超音波スピーカ。
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