JP2005341143A - 超音波トランスデューサ及びこれを用いた超音波スピーカ - Google Patents

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Abstract

【課題】 広周波数帯域にわたってパラメトリックアレイ効果を得るのに十分に高い音圧レベルの音響信号を発生することができる超音波トランスデューサを提供する。
【解決手段】 分割された積層部材から構成され表面に凹凸部を有する固定電極10と、電極層を有し固定電極10の表面に設置される振動膜12と、固定電極10と振動膜12とを保持する固定部材を有している。固定電極10は、同幅の第1の固定電極2と第2の固定電極3とを有し、且つ各々絶縁体4で狭持されている。振動膜12の電極層には、直流バイアス電源14により単一極性の直流バイアス電圧が印加され、振動膜12の電極層と、第1の固定電極2または第2の固定電極3との間には、上記直流バイアス電圧に重畳して信号源16から出力される交流信号が印加されるようになっている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、広周波数帯域に渡って一定の高音圧を発生する静電型の超音波トランスデューサ及びこれを用いた超音波スピーカに関する。
従来の超音波トランスデューサは圧電セラミックを用いた共振型がほとんどである。
ここで、従来の超音波トランスデューサの構成を図7に示す。従来の超音波トランスデューサは、振動素子として圧電セラミックを用いた共振型がほとんどである。図7に示す超音波トランスデューサは、振動素子として圧電セラミックを用いて電気信号から超音波への変換と、超音波から電気信号への変換(超音波の送信と受信)の両方を行う。図7に示すバイモルフ型の超音波トランスデューサは、2枚の圧電セラミック61および62と、コーン63と、ケース64と、リード65および66と、スクリーン67とから構成されている。
圧電セラミック61および62は、互いに貼り合わされていて、その貼り合わせ面と反対側の面にそれぞれリード65とリード66が接続されている。
共振型の超音波トランスデューサは、圧電セラミックの共振現象を利用しているので、超音波の送信および受信の特性がその共振周波数周辺の比較的狭い周波数帯域で良好となる。
上述した図7に示す共振型の超音波トランスデューサと異なり、従来より静電方式の超音波トランスデューサは高周波数帯域にわたって高い音圧を発生可能な広帯域発振型超音波トランスデューサとして知られている。図8に広帯域発振型超音波トランスデューサの具体的構成を示す。
図8に示す静電型の超音波トランスデューサは、振動体として3〜10μm程度の厚さのPET(ポリエチレンテレフタレート樹脂)等の誘電体131(絶縁体)を用いている。誘電体131に対しては、アルミ等の金属箔として形成される上電極132がその上面部に蒸着等の処理によって一体形成されるとともに、真鍮で形成された下電極133が誘電体131の下面部に接触するように設けられている。この下電極133は、リード152が接続されるとともに、ベークライト等からなるベース板135に固定されている。
また、上電極132は、リード153が接続されており、このリード153は直流バイアス電源150に接続されている。この直流バイアス電源150により上電極32には50〜150V程度の上電極吸着用の直流バイアス電圧が常時、印加され上電極132が下電極133側に吸着されるようになっている。151は信号源である。
誘電体131および上電極132ならびにベース板135は、メタルリング136、137、および138、ならびにメッシュ139とともに、ケース130によってかしめられてる。
下電極133の誘電体131側の面には不均一な形状を有する数十〜数百μm程度の微小な溝が複数形成されている。この微小な溝は、下電極133と誘電体131との間の空隙となるので、上電極132および下電極133間の静電容量の分布が微小に変化する。
このランダムな微小な溝は、下電極133の表面を手作業でヤスリにより荒らすことで形成されている。静電方式の超音波トランスデューサでは、このようにして空隙の大きさや深さの異なる無数のコンデンサを形成することによって、図8に示す超音波トランスデューサの周波数特性が図9において曲線Q1に示すように広帯域となっている。
上記構成の超音波トランスデューサでは、上電極132に直流バイアス電圧が印加された状態で上電極12と下電極133との間に矩形波信号(50〜150Vp-p)が印加されるようになっている。因みに、図9に曲線Q2で示すように共振型の超音波トランスデューサの周波数特性は、中心周波数(圧電セラミックの共振周波数)が例えば、40kHzであり、最大音圧となる中心周波数に対して±5kHzの周波数において最大音圧に対して−30dBである。これに対して、上記構成の広帯域発振型の超音波トランスデューサの周波数特性は、40kHzから100kHz付近まで平坦で、100kHzで最大音圧に比して±6dB程度である(特許文献1、2参照)。
特開2000−50387号公報 特開2000−50392号公報
上述したように、図7に示す共振型の超音波トランスデューサと違い、図8に示す静電方式の超音波トランスデューサは従来から広周波数帯に渡って比較的高い音圧を発生させることが可能な広帯域超音波トランスデューサとして知られている。
しかしながら、音圧の最大値は図9に示すように、共振型の超音波トランスデューサが130dB以上であるのに比べ、静電型の超音波トランスデューサでは120dB以下と音圧が低く、超音波スピーカとして利用するには若干音圧が不足していた。
ここで、超音波スピーカについて説明しておく。キャリア波と呼ばれる超音波周波数帯域の信号にオーディオ信号(可聴周波数帯の信号)でAM変調をかけ、この変調信号で超音波トランスデューサを駆動することにより、超音波を信号源のオーディオ信号で変調した状態の音波が空中に放射され、空気の非線形により、空中で元のオーディオ信号が自己再生される、というものである。
つまり、音波は空気を媒体として伝播する粗密波であるので、変調された超音波が伝播する過程で、空気の密な部分と疎な部分な顕著に表れ、密な部分は音速が速く、疎な部分は音速が遅くなるので変調波自身に歪が生じ、その結果キャリア波(超音波)と可聴波(元オーディオ信号)に波形分離され、我々人間は20kHz以下の可聴音(元オーディオ信号)のみを聴くことができるという原理であり、一般にはパラメトリックアレイ効果と呼ばれている。
上記のパラメトリック効果が十分現れるためには120dB以上の超音波音圧が必要であるが、静電型の超音波トランスデューサではこの数値を達成することが難しく、もっぱらPZTなどのセラミック圧電素子やPVDFなどの高分子圧電素子が超音波発信体として用いられてきた。
しかし、圧電素子はその材質を問わず鋭い共振点を有しており、その共振周波数で駆動して超音波スピーカとして実用化しているため、高い音圧を確保出来る周波数領域が極めて狭い。すなわち狭帯域であるといえる。
一般に、人間の最大可聴周波数帯域は20Hz〜20kHzと云われており約20kHzの帯域を持つ。すなわち超音波スピーカにおいては、超音波領域で20kHzの周波数帯域に渡って高い音圧を確保しないと、元のオーディオ信号を忠実に復調することは不可能となる。従来の圧電素子を用いた超音波スピーカでは到底この20kHzという広帯域を忠実に再生(復調)することは困難であることは容易に理解できるであろう。
実際、従来の共振型の超音波トランスデューサを用いた超音波スピーカでは、(1)帯域が狭く再生音質が悪い、(2)AM変調度をあまり大きくすると復調音が歪むため最大でも0.5程度までしか変調度を上げられない、(3)入力電圧を上げると(ボリュームを上げると)圧電素子の振動が不安定となり、音が割れる。さらに電圧を上げると圧電素子自身が破壊され易い、(4)アレイ化や大型化、小型化が困難であり、それが故にコストが高い、といった問題が有った。
これに対し静電型の超音波トランスデューサを用いた超音波スピーカは、上記従来技術の抱える課題をほぼ解決できるが、帯域を広くカバーできる反面、絶対的な音圧が不足しているという問題を抱えていた。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、広周波数帯域にわたってパラメトリックアレイ効果を得るのに十分に高い音圧レベルの音響信号を発生することができる超音波トランスデューサ及びこれを用いた超音波スピーカを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、分割された積層部材から構成され表面に凹凸部を有する固定電極と、電極層を有し前記固定電極の表面に設置される振動膜と、前記固定電極と振動膜とを保持する部材とを有し、前記振動膜の電極層と固定電極との間に交流信号を印加することにより駆動することを特徴とする。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の超音波トランスデューサにおいて、前記固定電極は、同幅の第1の固定電極と第2の固定電極とを有し、各々相互に逆位相の交流信号を印加され、且つ各々絶縁体で狭持されていることを特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の超音波トランスデューサにおいて、前記固定電極は、各々異なる幅の第1の固定電極と第2の固定電極とを有し、各々相互に逆位相の電圧を印加され、且つ各々絶縁体で狭持されていることを特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、請求項2または3のいずれかに記載の超音波トランスデューサにおいて、前記固定電極の凹凸部は、同心円状に形成された複数の真円溝で構成されていることを特徴とする。
また、請求項5に記載の発明は、請求項2または3のいずれかに記載の超音波トランスデューサにおいて、前記固定電極の凹凸部は、同心円状に形成された複数の楕円溝で構成されていることを特徴とする。
また、請求項6に記載の発明は、請求項2または3のいずれかに記載の超音波トランスデューサにおいて、前記固定電極の凹凸部は、複数の直線溝で構成されていることを特徴とする。
また、請求項7に記載の発明は、請求項4乃至6のいずれかに記載の超音波トランスデューサにおいて、前記溝断面形状は矩形状、テーパー形状、下部略半円形状などのいずれかで構成されていることを特徴とする。
また、請求項8に記載の発明は、請求項2乃至7のいずれかに記載の超音波トランスデューサにおいて、前記振動膜は、絶縁性高分子フィルムの片面に電極層が形成された薄膜であることを特徴とする。
また、請求項9に記載の発明は、請求項2乃至7のいずれかに記載の超音波トランスデューサにおいて、前記振動膜は、電極層を絶縁性高分子フィルムで挟むように形成された薄膜であることを特徴とする。
また、請求項10に記載の発明は、請求項2乃至7のいずれかに記載の超音波トランスデューサにおいて、前記振動膜は、絶縁性高分子フィルムの両面に電極層が形成された薄膜であることを特徴とする。
また、請求項11に記載の発明は、請求項2乃至10のいずれかに記載の超音波トランスデューサにおいて、前記振動膜電極に単一極性の直流バイアス電圧が印加されることを特徴とする。
また、請求項12に記載の発明は、請求項2乃至11のいずれかに記載の超音波トランスデューサにおいて、前記固定電極と振動膜を保持する部材は絶縁材料で形成されていることを特徴とする。
また、請求項13に記載の発明は、請求項2乃至12のいずれかに記載の超音波トランスデューサにおいて、前記振動膜は膜平面上における直角四方向に張力をかけて固定されていることを特徴とする。
また、請求項14に記載の発明は、請求項2乃至13のいずれかに記載の超音波トランスデューサにおいて、前記超音波トランスデューサは固有振動の共振点ではなく、駆動電圧で発生する静電力による強制振動を利用することを特徴とする。
また、請求項15に記載の発明は、請求項1乃至14のいずれかに記載の超音波トランスデューサと、可聴波周波数帯の信号波を生成する信号源と、超音波周波数帯のキャリア波を生成し、出力するキャリア波供給手段と、前記キャリア波を前記信号源から出力される可聴周波数帯の信号波により変調する変調手段とを有し、前記超音波トランスデューサは、前記固定電極と前記振動膜の電極層との間に印加される前記変調手段から出力される変調信号により駆動されることを特徴とする。
以上説明したように、本発明に係る超音波トランスデューサよれば、分割された積層部材から構成され表面に凹凸部を有する固定電極、電極層を有し前記固定電極の表面に設置される振動膜、及び前記固定電極と振動膜とを保持する部材を有し、前記固定電極と前記振動膜の電極層との間に交流信号を印加する際に前記分割された各固定電極に、相互に逆位相の交流信号を印加するようにしたので、振動膜の振動を大きくすることができ、その結果、空中へより大きな音圧レベルの超音波を発生することが可能となる。
また、本発明に係る超音波スピーカによれば、上記構成の超音波トランスデューサを用いて構成したので、広周波数帯域にわたってパラメトリックアレイ効果を得るのに十分に高い音圧レベルの音響信号を発生することができる超音波スピーカを実現できる。
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。本発明の第1実施形態に係る超音波トランスデューサの構成を図1に示す。同図において、第1実施形態に係る超音波トランスデューサ1は、分割された積層部材から構成され表面に凹凸部を有する固定電極10と、電極層を有し固定電極10の表面に設置される振動膜12と、固定電極10と振動膜12とを保持する固定部材(図示せず)を有している。この固定部材は、絶縁材料で構成されている。
固定電極10は、同幅の第1の固定電極2と第2の固定電極3と、且つ各々絶縁体4で狭持されている。
振動膜12の電極層には、直流バイアス電源14により単一極性の直流バイアス電圧が印加されるようになっている。
また、振動膜12の電極層と、第1の固定電極2または第2の固定電極3との間には、上記直流バイアス電圧に重畳して信号源16から出力される振動膜12を振動させるための交流信号が印加されるようになっている。
なお、隣接する第1の固定電極2と第2の固定電極3には、相互に逆位相の、すなわち極性の異なる交流信号が信号源16により印加されるように構成されている。
図8に示した従来の静電型超音波トランスデューサでは、振動膜の固定方法は静電力による吸引力を利用しているため、振動膜の両端は固定端とみなすことができる。
一方、図1に示す本発明の第1実施形態に係る超音波トランスデューサの構成では振動膜12の両端の固定方法は両端支持である。材料力学および振動力学においては、梁の最大撓みは両端支持の場合、両端固定端の場合に比べ5倍の撓みを持つことが一般的に知られている(材料力学I,p87〜105,1985,渥美 光 他、森北出版)。
従って、本発明の第1実施形態に係る超音波トランスデューサにおける構成の方が従来の静電型超音波トランスデューサに比して振動膜の振幅を大きく取ることが可能となり、その結果より高い音圧の超音波を空中に発信できる。
なお、第1実施形態に係る超音波トランスデューサの構成の場合、図2に示すように、固定電極形状(固定電極の凹凸部の形状)は同心円状に形成された複数の真円溝で構成された円形溝構造(図2(a))、同心円状に形成された複数の楕円溝で構成された楕円溝構造(図2(b))、複数の直線溝で構成された直線溝構造(図2(c))などが可能である。生産技術上はスリット構造のほうが簡便で望ましい。図2(a)〜図2(c)において、白色部分は固定電極の溝部であり、黒色部分は、凸部を形成する絶縁体である。
また、固定電極の溝底面の断面構造も図3に示すように矩形状(図3(a))、テーパー状(図3(b))、曲線状(下部略半円形状)(図3(c))などの形態が考えられる。
固定電極の材質は導電性であればよく、例えばアルミニウムやSUS、真鍮、鉄、ニッケル、チタン、導電性プラスチックなどが使用可能である。
次に振動膜12について説明する。振動膜12の機能は常に同極性の電荷を蓄積しておき(+の極性または−の極性のいずれでもかまわない)、交流電圧で変化する固定電極2または3との間に働く静電力により振動することである。本発明の第1実施形態に係る超音波トランスデューサにおける振動膜12の具体的構成例を、図4を参照して説明する。
図4(a)は振動膜12が片面電極蒸着膜である場合の振動膜12の断面図である。同図に示すように、絶縁フィルム120の表面に電極層121が蒸着により形成されている。絶縁フィルム120は高分子材料、例えばポリ・エチレン・テレフタレート(PET)、ポリ・エステル、ポリ・エチレン・ナフタレート(PEN)、ポリ・フェニレン・サルファイド(PPS)などが伸縮性、電気耐圧的に好ましい。
電極層121を形成する電極蒸着材料はAlが最も一般的で、その他、Ni、Cu、SUS、Tiなどが上記高分子材料との相性、コストなどの面から望ましい。振動膜12における絶縁フィルム120としての絶縁高分子膜の厚みは駆動周波数や固定電極穴サイズなどにより最適値が異なるため一意には決めかねるが、一般には1μm以上100μm以下の範囲でおおよそ十分と思われる。望ましくは1μm〜50μm、さらに望ましくは1μm〜20μm程度が良い。
電極層121としての電極蒸着層の厚みも40nm〜200nmの範囲が望ましい。電極蒸着層の厚みは薄すぎると電荷がほとんど蓄積できず、また厚すぎると膜が硬くなって振幅が小さくなるという問題につながってしまう。
また、電極材料としては透明導電膜ITO/In,Sn,Zn酸化物などでも良い。
図4(b)は電極層121を高分子材料で形成された絶縁フィルム(絶縁性高分子フィルム)120で挟み込んだ構造の振動膜12の断面構造を示している。このときの電極層121の厚みも図4(a)の場合と同様に40nm〜200nmの範囲が望ましい。
また、電極層121を挟む絶縁フィルム120の材質、厚さも図4(a)の片面電極蒸着膜と同様にポリ・エチレン・テレフタレート(PET)、ポリ・エステル、ポリ・エチレン・ナフタレート(PEN)、ポリ・フェニレン・サルファイド(PPS)、1μm以上100μm以下で良い。望ましくは1μm〜50μm、さらに望ましくは1μm〜20μm程度が良い。この場合も電極材料としては、Alが最も一般的で、その他、Ni、Cu、SUS、Tiなどが上記高分子材料との相性、コストなどの面から望ましい。さらに、電極材料としては透明導電膜ITO/In,Sn,Zn酸化物などでも良い。
図4(c)は絶縁フィルム120の両面に電極蒸着処理を施し、電極層121を形成した振動膜12の断面構造を示している。図1に示したように振動膜12と固定電極10の接点が絶縁体4であるためこのような振動膜を使用することにより直流バイアス電圧で電極層121に蓄積される電荷量を2倍とすることが可能となり、より大きな振動、または低電圧化に有効に作用することになる。このときの電極層121の厚みも図4(a),図4(b)の場合と同様に40nm〜200nmの範囲が望ましい。
また、電極層121、121で挟む絶縁フィルム(絶縁性高分子フィルム)12の材質、厚さも図4(a)の片面電極蒸着膜と同様にポリ・エチレン・テレフタレート(PET)、ポリ・エステル、ポリ・エチレン・ナフタレート(PEN)、ポリ・フェニレン・サルファイド(PPS)1μm以上100μm以下で良い。望ましくは1μm〜50μm、さらに望ましくは1μm〜20μm程度が良い。この場合も電極材料としては、Alが最も一般的で、その他、Ni、Cu、SUS、Tiなどが上記高分子材料との相性、コストなどの面から望ましい。さらに、電極材料としては透明導電膜ITO/In,Sn,Zn酸化物などでも良い。
また、振動膜12あるいは固定電極10には数百ボルトの直流バイアス電圧が必要となるが、膜ユニット作製時に振動膜12の膜表面上における直角四方向に張力をかけて固定することにより、上記直流バイアス電圧は低減できる。これはあらかじめ膜に張力をかけておくことで、従来バイアス電圧が担っていた引っ張り張力がもたらす膜の復元力と同様の作用をもたらすためであり、低電圧化のためには非常に有効な手段である。
次に、上記固定電極あるいは振動膜の固定材料であるが、アクリル、ベークライト、ポリアセタール(ポリオキシメチレン)樹脂(POM)などのプラスチック系材料が、軽量、非導電性という観点から好ましい。
上記構成において、振動膜12の電極層には、直流バイアス電源14により単一極性の直流バイアス電圧が印加され、かつ振動膜12の電極層と、第1の固定電極2または第2の固定電極3との間には、上記直流バイアス電圧に重畳して信号源16から出力される交流信号が印加される。
ここで、隣接する第1の固定電極2と第2の固定電極3には、相互に逆位相の、すなわち極性の異なる交流信号が同一時間において信号源16により印加されるので、第1の固定電極2と第2の固定電極3が逆位相で振動し、従来の静電型超音波トランスデューサのように分割されていない固定電極に交流信号を印加する場合に比して膜振動を大きくすることができる。
さらに、本実施形態に係る超音波トランスデューサでは、振動膜12と固定電極10とを既述したように両端支持構造としたので、従来の静電型超音波トランスデューサに比してより高い音圧の超音波を空中に発信することができる。発信される超音波は鋭い指向性を有するため、逆位相の音波であっても互いに相殺することなく、空中へ伝播する。本実施形態に係る超音波トランスデューサの周波数特性を図9に示す。
同図において、曲線Q3が本実施形態に係る超音波トランスデューサの周波数特性である。同図から明らかなように、従来の広帯域型の静電型超音波トランスデューサの周波数特性に比して、より広い周波数帯にわたって、高い音圧レベルが得られることが分かる。具体的には、20kHz〜120kHzの周波数帯域においてパラメトリック効果が得られる120dB以上の音圧レベルが得られることが分かる。
次に、本発明の第2実施形態に係る超音波トランスデューサの構成を図5に示す。本発明の第2実施形態に係る超音波トランスデューサが図1に示した第1実施形態に係る超音波トランスデューサと構成上、異なるのは、分割された固定電極の幅を、第1の固定電極2Aと第2の固定電極3Aとで、異ならしめたことであり、その他の構成は同一である。
すなわち、本実施形態に係る超音波トランスデューサは、固定電極10Aは、各々異なる幅の第1の固定電極2Aと第2の固定電極3Aとを有し、各々相互に逆位相の電圧を印加され、且つ各々絶縁体4Aで狭持されていることを特徴としている。また、振動膜12と、第1の固定電極2A及び第2の固定電極3Aとが、両端支持構造である点も第1実施形態と同様である。
第1の固定電極2A、第2の固定電極3A及び振動膜12の構成例及び材料は第1実施形態の場合と同様である。また、絶縁体4Aの材料についても第1実施形態の場合と同様であるので、重複する説明を省略する。
本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。なお、第2実施形態に係る超音波トランスデューサの場合に、超音波の放射に大きく寄与するのは、幅の広い第2の固定電極3Aである。
次に、本発明の実施形態に係る超音波スピーカの構成を図6に示す。本実施形態に係る超音波スピーカは、上述した第1実施形態に係る超音波トランスデューサ(図1)、または第2実施形態に係る超音波トランスデューサ(図5)のいずれかを超音波トランスデューサ55として用いたものである。
図6において、本実施形態に係る超音波スピーカは、可聴波周波数帯の信号波を生成する可聴周波数波発振源(信号源)51と、超音波周波数帯のキャリア波を生成し、出力するキャリア波発振源(キャリア波供給手段)52と、変調器(変調手段)53と、パワーアンプ54と、超音波トランスデューサ55とを有している。
変調器53は、キャリア波発振源52から出力されるキャリア波を可聴周波数波発振源51から出力される可聴波周波数帯の信号波により変調し、パワーアンプ54を介して超音波トランスデューサ55に供給する。
上記構成において、可聴周波数波発振源51より出力される信号波によってキャリア波発振源52から出力される超音波周波数帯のキャリア波を変調器53により変調し、パワーアンプ54で増幅した変調信号により超音波トランスデューサ55を駆動する。この結果、上記変調信号が超音波トランスデューサ55により有限振幅レベルの音波に変換され、この音波は媒質中(空気中)に放射されて媒質(空気)の非線形効果によって元の可聴周波数帯の信号音が自己再生される。
すなわち、音波は空気を媒体として伝播する粗密波であるので、変調された超音波が伝播する過程で、空気の密な部分と疎な部分な顕著に表れ、密な部分は音速が速く、疎な部分は音速が遅くなるので変調波自身に歪が生じ、その結果キャリア波(超音波周波数帯)とに波形分離され、可聴波周波数帯の信号波(信号音)が再生される。
以上のように高音圧の広帯域性が確保されると様々な用途にスピーカとして利用することが可能となる。超音波は空中では減衰が激しく、その周波数の二乗に比例して減衰する。したがって、キャリア周波数(超音波)が低いと減衰も少なく、ビーム状に遠くまで音の届くスピーカを提供できる。
逆にキャリア周波数が高いと減衰が激しいので、パラメトリックアレイ効果が十分に起きず、音が広がるスピーカが提供できる。これらは同じ超音波スピーカでも用途に応じて使い分けることが可能なため大変有効な機能である。
またペットとして人間と生活をともにすることの多い犬は40kHzまで、猫は100kHzまでの音を聴くことが可能であるため、それ以上のキャリア周波数を用いれば、ペットに及ぼす影響もなくなるという利点も有する。いずれにせよ色々な周波数で利用できるということは多くのメリットをもたらす。
本発明の実施形態に係る超音波スピーカによれば、広周波数帯域にわたってパラメトリックアレイ効果を得るのに十分に高い音圧レベルの音響信号を発生することができる、第1、第2実施形態に係る超音波トランスデューサを用いて構成したので、広周波数帯域にわたって忠実度の高い信号音(可聴周波数帯域)を再生することができる。
本発明の実施形態に係る超音波トランスデューサは、各種センサ、例えば、測距センサ等に利用可能であり、また、既述したように、指向性スピーカ用の音源や、理想的なインパルス信号発生源等に利用可能である。
本発明の第1実施形態に係る超音波トランスデューサの構成を示す図。 本発明の第1実施形態に係る超音波トランスデューサにおける固定電極の形状の具体例を示す説明図。 本発明の第1実施形態に係る超音波トランスデューサにおける固定電極の溝底面構造の具体例を示す説明図。 本発明の第1実施形態に係る超音波トランスデューサにおける振動膜の構造の具体例を示す説明図。 本発明の第2実施形態に係る超音波トランスデューサの構成を示す図。 本発明の実施形態に係る超音波スピーカの構成を示すブロック図。 従来の超音波トランスデューサの構成を示す図。 従来の静電型の広帯域発振型超音波トランスデューサの具体的構成を示す図。 本発明の実施形態に係る超音波トランスデューサの周波数特性を従来の超音波トランスデューサの周波数特性と共に示した図。
符号の説明
1…超音波トランスデューサ、2,2A…第1の固定電極、3,3A…第2の固定電極、4,4A…絶縁体、10,10A…固定電極、12…振動膜、14…直流バイアス電源、16…信号源、51…可聴周波数波発振源、52…キャリア波発振源、53…変調器、54…パワーアンプ、55…超音波トランスデューサ、120…絶縁フィルム、121…電極層、

Claims (15)

  1. 分割された積層部材から構成され表面に凹凸部を有する固定電極と、
    電極層を有し前記固定電極の表面に設置される振動膜と、
    前記固定電極と振動膜とを保持する部材とを有し、
    前記振動膜の電極層と固定電極との間に交流信号を印加することにより駆動することを特徴とする超音波トランスデューサ。
  2. 前記固定電極は、同幅の第1の固定電極と第2の固定電極とを有し、各々相互に逆位相の変調信号電圧を印加され、且つ各々絶縁体で狭持されていることを特徴とする請求項1記載の超音波トランスデューサ。
  3. 前記固定電極は、各々異なる幅の第1の固定電極と第2の固定電極とを有し、各々相互に逆位相の電圧を印加され、且つ各々絶縁体で狭持されていることを特徴とする請求項1記載の超音波トランスデューサ。
  4. 前記固定電極の凹凸部は、同心円状に形成された複数の真円溝で構成されていることを特徴とする請求項2または3のいずれかに記載の超音波トランスデューサ。
  5. 前記固定電極の凹凸部は、同心円状に形成された複数の楕円溝で構成されていることを特徴とする請求項2または3のいずれかに記載の超音波トランスデューサ。
  6. 前記固定電極の凹凸部は、複数の直線溝で構成されていることを特徴とする請求項2または3のいずれかに記載の超音波トランスデューサ。
  7. 前記溝断面形状は矩形状、テーパー形状、下部略半円形状などのいずれかで構成されていることを特徴とする請求項4乃至6のいずれかに記載の超音波トランスデューサ。
  8. 前記振動膜は、絶縁性高分子フィルムの片面に電極層が形成された薄膜であることを特徴とする請求項2乃至7のいずれかに記載の超音波トランスデューサ。
  9. 前記振動膜は、電極層を絶縁性高分子フィルムで挟むように形成された薄膜であることを特徴とする請求項2乃至7のいずれかに記載の超音波トランスデューサ。
  10. 前記振動膜は、絶縁性高分子フィルムの両面に電極層が形成された薄膜であることを特徴とする請求項2乃至7のいずれかに記載の超音波トランスデューサ。
  11. 前記振動膜電極に単一極性の直流バイアス電圧が印加されることを特徴とする請求項2乃至10のいずれかに記載の超音波トランスデューサ。
  12. 前記固定電極と振動膜を保持する部材は絶縁材料で形成されていることを特徴とする請求項2乃至11のいずれかに記載の超音波トランスデューサ。
  13. 前記振動膜は膜平面上における直角四方向に張力をかけて固定されていることを特徴とする請求項2乃至12のいずれかに記載の超音波トランスデューサ。
  14. 前記超音波トランスデューサは固有振動の共振点ではなく、駆動電圧で発生する静電力による強制振動を利用することを特徴とする請求項2乃至13のいずれかに記載の超音波トランスデューサ。
  15. 請求項1乃至14のいずれかに記載の超音波トランスデューサと、
    可聴波周波数帯の信号波を生成する信号源と、
    超音波周波数帯のキャリア波を生成し、出力するキャリア波供給手段と、
    前記キャリア波を前記信号源から出力される可聴周波数帯の信号波により変調する変調手段とを有し、
    前記超音波トランスデューサは、前記固定電極と前記振動膜の電極層との間に印加される前記変調手段から出力される変調信号により駆動されることを特徴とする超音波スピーカ。

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