JP2007104521A - 静電型超音波トランスデューサ及びその製造方法 - Google Patents

静電型超音波トランスデューサ及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】より量産性が良く、製作工程において取り扱いが容易な静電型超音波トランス
デューサを提供する。
【解決手段】複数の貫通穴が形成された第1の固定電極10Aと、前記第1の固定電
極と対をなす複数の貫通穴が形成された第2の固定電極10Bと、前記一対の固定電極に
挟持され導電層121を有し、該導電層に直流バイアス電圧が印加される振動膜12と、
前記一対の固定電極と前記振動膜を保持する保持部材とを有し、前記一対の固定電極間に
は交流信号が印加される静電型超音波トランスデューサであって、前記振動膜において前
記第1、第2の固定電極に設けられた貫通穴14及びその外周部に対向する部分が凹部と
なるように前記振動膜の両面に段部を形成した。
【選択図】図1

Description

本発明は、広周波数帯域に渡って一定の高音圧を発生する静電型超音波トランスデュー
サ及びこれを用いた超音波スピーカに関する。
従来の超音波トランスデューサは圧電セラミックを用いた共振型がほとんどである。
ここで、従来の超音波トランスデューサの構成を図6に示す。従来の超音波トランスデ
ューサは、振動素子として圧電セラミックを用いた共振型がほとんどである。図9に示す
超音波トランスデューサは、振動素子として圧電セラミックを用いて電気信号から超音波
への変換と、超音波から電気信号への変換(超音波の送信と受信)の両方を行う。図9に
示すバイモフル型の超音波トランスデューサは、2枚の圧電セラミック61および62と
、コーン63と、ケース64と、リード65および66と、スクリーン67とから構成さ
れている。
圧電セラミック61および62は、互いに貼り合わされていて、その貼り合わせ面と反
対側の面にそれぞれリード65とリード66が接続されている。
共振型の超音波トランスデューサは、圧電セラミックの共振現象を利用しているので、
超音波の送信および受信の特性がその共振周波数周辺の比較的狭い周波数帯域で良好とな
る。
上述した図9に示す共振型の超音波トランスデューサと異なり、従来より静電方式の超
音波トランスデューサは高周波数帯域にわたって高い音圧を発生可能な広帯域発振型超音
波トランスデューサとして知られている。この静電型の超音波トランスデューサは、振動
膜が固定電極側に引き付けられる方向のみ働くことからPull型と呼ばれている。
図10に広帯域発振型超音波トランスデューサ(Pull型)の具体的構成を示す。
図10に示す静電型の超音波トランスデューサは、振動体として3〜10μm程度の厚
さのPET(ポリ・エチレン・テレフタレート樹脂)等の誘電体131(絶縁体)を用い
ている。誘電体131に対しては、アルミ等の金属箔として形成される上電極132がそ
の上面部に蒸着等の処理によって一体形成されるとともに、真鍮で形成された下電極13
3が誘電体131の下面部に接触するように設けられている。この下電極133は、リー
ド152が接続されるとともに、ベークライト等からなるベース板135に固定されてい
る。
また、上電極132は、リード153が接続されており、このリード153は直流バイ
アス電源150に接続されている。この直流バイアス電源150により上電極132には
50〜150V程度の上電極吸着用の直流バイアス電圧が常時、印加され上電極132が
下電極133側に吸着されるようになっている。151は信号源である。
誘電体131および上電極132ならびにベース板135は、メタルリング136、1
37、および138、ならびにメッシュ139とともに、ケース130によってかしめら
れている。
下電極133の誘電体131側の面には不均一な形状を有する数十〜数百μm程度の微
小な溝が複数形成されている。この微小な溝は、下電極133と誘電体131との間の空
隙となるので、上電極132および下電極133間の静電容量の分布が微小に変化する。
このランダムな微小な溝は、下電極133の表面を手作業でヤスリにより荒らすことで
形成されている。静電方式の超音波トランスデューサでは、このようにして空隙の大きさ
や深さの異なる無数のコンデンサを形成することによって、図7に示す超音波トランスデ
ューサの周波数特性が図11において曲線Q1に示すように広帯域となっている。
上記構成の超音波トランスデューサでは、上電極132に直流バイアス電圧が印加され
た状態で上電極12と下電極133との間に矩形波信号(50〜150Vp-p)が印加さ
れるようになっている。因みに、図11に曲線Q2で示すように共振型の超音波トランス
デューサの周波数特性は、中心周波数(圧電セラミックの共振周波数)が例えば、40kH
zであり、最大音圧となる中心周波数に対して±5kHzの周波数において最大音圧に対して
−30dBである。
これに対して、上記構成の広帯域発振型の超音波トランスデューサの周波数特性は、4
0kHzから100kHz付近まで平坦で、100kHzで最大音圧に比して±6dB程度である(
特許文献1、2参照)。
特開2000−50387号公報 特開2000−50392号公報
上述したように、図9に示す共振型の超音波トランスデューサと違い、図10に示す静
電方式の超音波トランスデューサは従来から広周波数帯に渡って比較的高い音圧を発生さ
せることが可能な広帯域超音波トランスデューサ(Pull型)として知られている。
しかしながら、音圧の最大値は図11に示すように、共振型の超音波トランスデューサ
が130dB以上であるのに比べ、静電型の超音波トランスデューサでは120dB以下
と音圧が低く、超音波スピーカとして利用するには若干音圧が不足していた。
ここで、超音波スピーカについて説明しておく。キャリア波と呼ばれる超音波周波数帯
域の信号にオーディオ信号(可聴周波数帯の信号)でAM変調をかけ、この変調信号で超音
波トランスデューサを駆動することにより、超音波を信号源のオーディオ信号で変調した
状態の音波が空中に放射され、空気の非線形により、空中で元のオーディオ信号が自己再
生される、というものである。
つまり、音波は空気を媒体として伝播する粗密波であるので、変調された超音波が伝播
する過程で、空気の密な部分と疎な部分が顕著に表れ、密な部分は音速が速く、疎な部分
は音速が遅くなるので変調波自身に歪が生じ、その結果キャリア波(超音波)と可聴波(
元オーディオ信号)に波形分離され、我々人間は20kHz以下の可聴音(元オーディオ信
号)のみを聴くことができるという原理であり、一般にはパラメトリックアレイ効果と呼
ばれている。
上記のパラメトリック効果が十分現れるためには120dB以上の超音波音圧が必要で
あるが、静電型の超音波トランスデューサではこの数値を達成することが難しく、もっぱ
らPZTなどのセラミック圧電素子やPVDFなどの高分子圧電素子が超音波発信体とし
て用いられてきた。
しかし、圧電素子はその材質を問わず鋭い共振点を有しており、その共振周波数で駆動
して超音波スピーカとして実用化しているため、高い音圧を確保出来る周波数領域が極め
て狭い。すなわち狭帯域であるといえる。
一般に、人間の最大可聴周波数帯域は20Hz〜20kHzと云われており約20kHzの帯域
を持つ。すなわち超音波スピーカにおいては、超音波領域で20kHzの周波数帯域に渡っ
て高い音圧を確保しないと、元のオーディオ信号を忠実に復調することは不可能となる。
従来の圧電素子を用いた共振型の超音波スピーカでは到底この20kHzという広帯域を忠
実に再生(復調)することは困難であることは容易に理解できるであろう。
実際、従来の共振型の超音波トランスデューサを用いた超音波スピーカでは、(1)帯
域が狭く再生音質が悪い、(2)AM変調度をあまり大きくすると復調音が歪むため最大
でも0.5程度までしか変調度を上げられない、(3)入力電圧を上げると(ボリューム
を上げると)圧電素子の振動が不安定となり、音が割れる。 さらに電圧を上げると圧電
素子自身が破壊され易い、(4)アレイ化や大型化、小型化が困難であり、それが故にコ
ストが高い、といった問題が有った。
これに対し図10に示した静電型の超音波トランスデューサ(Pull型)を用いた超
音波スピーカは、上記従来技術の抱える課題をほぼ解決できるが、帯域を広くカバーでき
る反面、復調音が十分な音量であるためには絶対的な音圧が不足しているという問題を抱
えていた。
また、Pull型の超音波トランスデューサは、静電力は固定電極側へのみ引き付ける
方向にしか働かず振動膜(図10における上電極132に相当する。)の振動の対称性が
保たれないため、超音波スピーカに用いる場合、振動膜の振動が直接、可聴音を発生させ
るという問題が有った。
これに対して、我々は、広周波数帯域にわたってパラメトリックアレイ効果を得るのに
十分に高い音圧レベルの音響信号を発生することができる静電型超音波トランスデューサ
を既に提案している。この静電型超音波トランスデューサの構成を図1に示す。この超音
波トランスデューサの構成及び動作の詳細は図1を参照して後述するが、その概略につい
て説明する。図1において、静電型超音波トランスデューサ1は、導電層121を有する
振動膜12を対向する位置に貫通穴14が形成された母材を導電材料とする一対の固定電
極10A,10Bにより挟持し、振動膜12に直流電源16により直流バイアス電圧が印
加された状態で一対の固定電極に信号源18により交流信号18A,18Bを印加するよ
うに構成したものである。なお、120は振動膜12を形成する絶縁フィルムであり、ま
た17は一対の固定電極10A,10Bの一部を成し、振動膜12を挟持する機能と、振
動膜12との間で静電力が作用する部分である対向電極部20を形成する機能とを有する
対向電極形成体である。
この静電型超音波トランスデューサは、Push−Pull型の静電型超音波トランス
デューサと呼ばれており、一対の固定電極により挟持された振動膜が交流信号の極性に応
じた方向において静電吸引力と静電斥力を同方向にかつ同時に受けるために、振動膜の振
動をパラメトリックアレイ効果を得るのに十分に大きくすることができるだけでなく、振
動の対称性が確保されるため、従来のPull型超音波トランスデューサに比して高い音
圧を広周波数帯域にわたって発生させることができる。
ところで、このようなPush−Pull型の静電型超音波トランスデューサでは、固
定電極側に対して対向電極形成体を設けていた。その固定電極の製造工程を図7にて説明
する。
固定電極の製作工程は、貫通穴の形成とスクリーン印刷による対向電極形成体の形成の
2工程に区分される。
まず、図7(a)〜(c)で示すように、貫通穴の形成は導電体(銅またはステンレス
)300へのエッチングで行っている。すなわち、導電体300の表面に複数の貫通穴の
パターンを形成させるためのマスク部材302を被せてエッチングにより貫通穴304を
形成した導電体300をい得る。但し、固定電極には所望の剛性が必要とされるため、導
電体300は過度な厚みを持った構成としなくてはならない。
所望の径、例えば0.75mmの貫通穴を設けた厚み1.5mmの固定電極を製作した
い場合、穴径に対する厚みの比が2となり、エッチング工程のみで製作することは困難と
なる。そこで穴径よりも薄い、例えば厚み0.25mmの金属板にエッチングで0.75
mmの貫通穴を空けたものを複数枚製作しておき、これらを6枚数重ねて熱圧着または拡
散接合して、厚み1.5mmの固定電極を製作している。
以上の工程で製作した貫通穴の空いた導電体300の上に、対向電極形成体を形成する
ためのスクリーン版306および液状の対向電極形成材308をセットし、スキージ31
0を移動させて対向電極形成材308をマスク部材306のかかっていない部分に塗り込
む(図7(d))。ここで、有効と考えられる対向電極形成材は、永久的に対向電極形成
体として構成でき、かつ非導電性のもので、例えば、回路基板で一般的に使用されるパッ
ケージ用の液状ソルダーレジストやサンドブラスト用レジストとして使用されるマスキン
グインクなどである。特にフレキシブルプリント基板用のソルダーレジストは比較的柔ら
かい(鉛筆の硬さでHB〜3H程度)ため、振動膜をしっかりと挟持するには有効である
対向電極形成材308の塗布完了後に対向電極形成用のスクリーン版306を外すと、
対向電極部を除く他の部分に非導電性の層である対向電極形成体312が残り、これを乾
燥させると固定電極が完成する(図7(e))。
このようにして作製された固定電極2枚における対向電極形成体を形成した面が対向す
るように配して、振動膜を挟持することにより、超音波トランスデューサが構成される。
以上の製造工程での問題点を以下に示す。
固定電極のエッジ部にも対向電極形成体を形成するためにレジスト印刷を施しているが
、レジスト厚みを増やすとエッジ部にレジスト材が溜まり易くなり、帯状に凸部ができる
。この状態で振動膜を挟持すると、凸部で過剰な押し付けカが作用し、膜変形(皺)や破
損の不具合が発生していた。
また、固定電極の厚みにパラツキがあるとレジスト厚みに不具合が生じる事があり、安
定的に精度の良い印刷を行うには、その都度、技術の構築を必要とした。
さらに、金属材料から成る固定電極の反りや僅かなバリが、印刷用版の破損の原因とな
り易いため、搬送、前処理、機械へのセッティング、梱包等、全ての工程において慎重な
作業が必須であるという問題が有った。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、より量産性が良く、かつ製造
工程において取り扱いが容易な静電型超音波トランスデューサ及びその製造方法を提供す
ることを目的とする。
上記目的を達成するために本発明の静電型超音波トランスデューサは、複数の貫通穴が
形成された第1の固定電極と、前記第1の固定電極と対をなす複数の貫通穴が形成された
第2の固定電極と、前記一対の固定電極に挟持され導電層を有し、該導電層に直流バイア
ス電圧が印加される振動膜と、前記一対の固定電極と前記振動膜を保持する保持部材とを
有し、前記一対の固定電極間には交流信号が印加される静電型超音波トランスデューサで
あって、前記振動膜において前記第1、第2の固定電極に設けられた貫通穴及びその外周
部に対向する部分が凹部となるように前記振動膜の両面に段部を形成したことを特徴とす
る。
上記構成からなる本発明の静電型超音波トランスデューサ(Push−Pull型)で
は、第1の固定電極と、第2の固定電極の対向する位置に複数の貫通穴が形成され、振動
膜の導電層に直流バイアス電圧が印加された状態で、第1、第2の固定電極からなる一対
の固定電極に駆動信号である交流信号が印加されるために、一対の固定電極に挟持された
振動膜は、交流信号の極性に応じた方向において、静電吸引力と静電斥力が同方向に同時
に受ける。したがって、振動膜の振動を、パラメトリック効果を得るのに十分大きくする
ことができるだけでなく、振動の対称性が確保されるため、高い音圧を広周波数帯域にわ
たって発生させることができる。
さらに、前記振動膜において前記第1、第2の固定電極に設けられた貫通穴及びその外
周部に対向する部分が凹部となるように前記振動膜の両面に段部を形成したので、振動膜
に皺、または破損が生じにくい。すなわち、振動膜側に対向電極形成体が設けられている
ため、対向電極形成体の厚みバラツキによる影響が非常に少ない。
対向電極形成体を形成する際に、スクリーン印刷法で印刷する被印刷体がフィルムであ
るため、スクリーン印刷版のメンテナンスの負荷も少なく、寿命も長くできる。また、対
向電極形成材として使用するフレキシブル基根用のレジスト材と密着性も良く、印刷後の
取り扱いが容易(巻き取り保管が可能)である。
また、従来の固定電極(金属板)への印刷に比べ、一度に広い範囲の印刷が可能なため
、作業効率が良い。また、必要量を切り出して振動膜として使用できるため歩留まりも向
上する(量産性の向上)。
また、本発明の静電型超音波トランスデューサは、固定電極と、導電層を有し前記固定
電極の表面に設置される振動膜と、前記固定電極と振動膜とを保持する部材とを有し、前
記振動膜の導電層と固定電極との間に交流信号を印加することにより駆動する静電型超音
波トランスデューサであって、前記振動膜における前記固定電極と接触する側の一方の表
面に所定間隔で凹部を形成するように段部を設けたことを特徴とする。
上記構成からなる本発明の静電型超音波トランスデューサ(Pull型)では、前記振
動膜における前記固定電極と接触する側の一方の表面に所定間隔で凹部を形成するように
段部を設けたので、上記Push−Pull型の静電型超音波トランスデューサと同様に
、振動膜に皺、または破損が生じにくい。すなわち、振動膜側に対向電極形成体が設けら
れているため、対向電極形成体の厚みバラツキによる影響が非常に少ない。
また、対向電極形成体を形成する際に、スクリーン印刷法で印刷する被印刷体がフィル
ムであるため、スクリーン印刷版のメンテナンスの負荷も少なく、寿命も長くできる。ま
た、対向電極形成材として使用するフレキシブル基板用のレジスト材と密着性も良く、印
刷後の取り扱いが容易(巻き取り保管が可能)である。
さらに、従来の固定電極(金属板)への印刷に比べ、一度に広い範囲の印刷が可能なた
め、作業効率が良い。また、必要量を切り出して振動膜として使用できるため歩留まりも
向上する(量産性の向上)。
また、本発明の静電型超音波トランスデューサの製造方法は、複数の貫通穴が形成され
た第1の固定電極と、前記第1の固定電極と対をなす複数の貫通穴が形成された第2の固
定電極と、前記一対の固定電極に挟持され導電層を有し、該導電層に直流バイアス電圧が
印加される振動膜と、前記一対の固定電極と前記振動膜を保持する保持部材とを有し、前
記一対の固定電極間には交流信号が印加される静電型超音波トランスデューサの製造方法
であって、前記振動膜は、膜中央部に前記導電層を有し、前記振動膜の一方の面において
、前記固定電極に形成された貫通穴及び該貫通穴近傍の領域に対向する領域をマスクする
マスク部材を前記振動膜の一方の面の表面上に載置し、かつ該振動膜の一方の面の表面上
に前記固定電極と組立てた状態で該振動膜と対向する前記固定電極の導電体部分を露出さ
せるように絶縁性の対向電極形成体を形成するための対向電極形成材をセットし、スキー
ジを移動させて前記対向電極形成材を前記振動膜の一方の表面に載置されたマスク部材に
よりマスクされていない部分に塗布する第1の工程と、前記第1の工程において、前記対
向電極形成材の塗布完了後に前記マスク部材を外し、かつ前記振動膜の一方の面の表面に
形成された対向電極形成体を乾燥させる第2の工程と、前記振動膜の他方の面において、
前記固定電極に形成された貫通穴及び該貫通穴近傍の領域に対向する領域をマスクするマ
スク部材を前記振動膜の他方の面の表面上に載置し、かつ該振動膜の他方の面の表面上に
前記固定電極と組立てた状態で該振動膜と対向する前記固定電極の導電体部分を露出させ
るように絶縁性の対向電極形成体を形成するための対向電極形成材をセットし、スキージ
を移動させて前記対向電極形成材を前記振動膜の他方の表面に載置されたマスク部材によ
りマスクされていない部分に塗布する第3の工程と、前記第3の工程において、前記対向
電極形成材の塗布完了後に前記マスク部材を外し、かつ前記振動膜の他方の面の表面に形
成された対向電極形成体を乾燥させる第4の工程とにより作製されることを特徴とする。
上記構成からなる本発明の静電型超音波トランスデューサの製造方法では、前記振動膜
は、膜中央部に前記導電層を有し、前記振動膜の一方の面において、前記固定電極に形成
された貫通穴及び該貫通穴近傍の領域に対向する領域をマスクするマスク部材を前記振動
膜の一方の面の表面上に載置し、かつ該振動膜の一方の面の表面上に前記固定電極と組立
てた状態で該振動膜と対向する前記固定電極の導電体部分を露出させるように絶縁性の対
向電極形成体を形成するための対向電極形成材をセットし、スキージを移動させて前記対
向電極形成材を前記振動膜の一方の表面に載置されたマスク部材によりマスクされていな
い部分に塗布する第1の工程と、前記第1の工程において、前記対向電極形成材の塗布完
了後に前記マスク部材を外し、かつ前記振動膜の一方の面の表面に形成された対向電極形
成体を乾燥させる第2の工程と、前記振動膜の他方の面において、前記固定電極に形成さ
れた貫通穴及び該貫通穴近傍の領域に対向する領域をマスクするマスク部材を前記振動膜
の他方の面の表面上に載置し、かつ該振動膜の他方の面の表面上に前記固定電極と組立て
た状態で該振動膜と対向する前記固定電極の導電体部分を露出させるように絶縁性の対向
電極形成体を形成するための対向電極形成材をセットし、スキージを移動させて前記対向
電極形成材を前記振動膜の他方の表面に載置されたマスク部材によりマスクされていない
部分に塗布する第3の工程と、前記第3の工程において、前記対向電極形成材の塗布完了
後に前記マスク部材を外し、かつ前記振動膜の他方の面の表面に形成された対向電極形成
体を乾燥させる第4の工程とにより作製される。
上記構成からなる本発明の静電型超音波トランスデューサの製造方法によれば、振動膜
の振動を、パラメトリック効果を得るのに十分大きくすることができるだけでなく、振動
の対称性が確保されるため、高い音圧を広周波数帯域にわたって発生させることができる
静電型超音波トランスデューサが得られる。
また、上記構成からなる静電型超音波トランスデューサの製造方法によれば、振動膜に
皺または破損が生じにくく、かつ対向電極形成体を形成後に取り扱いが容易であるととも
に、量産性が高い静電型超音波トランスデューサが得られる。
また、本発明の超音波スピーカは、上記静電型超音波トランスデューサと、可聴周波数
帯の信号波を生成する信号源と、超音波周波数帯のキャリア波を生成し、出力するキャリ
ア波供給手段と、前記キャリア波を前記信号源から出力される可聴周波数帯の信号波によ
り変調する変調手段とを有し、前記静電型超音波トランスデューサは、前記第1、第2の
固定電極と前記振動膜の導電層との間に印加される前記変調手段から出力される変調信号
により駆動されることを有することを特徴とする。
上記構成からなる超音波スピーカでは、上記構成からなる本発明の超音波スピーカでは
、信号源により可聴周波数帯の信号波が生成され、キャリア波供給手段により超音波周波
数帯のキャリア波が生成され、出力される。さらに、変調手段によりキャリア波が前記信
号源から出力される可聴周波数帯の信号波により変調され、この変調手段から出力される
変調信号が前記第1、第2固定電極と前記振動膜の電極層との間に印加され、駆動される
本発明の超音波スピーカでは、上記構成の静電型超音波トランスデューサを用いて構成
したので、広周波数帯域にわたってパラメトリックアレイ効果を得るのに十分高い音圧レ
ベルの音響信号を発生することができる超音波スピーカを実現できる。
さらに、上記構成の静電型超音波トランスデューサを用いて構成したので、すなわち、
上記静電型超音波トランスデューサの振動膜において前記第1、第2の固定電極に設けら
れた貫通穴及びその外周部に対向する部分が凹部となるように前記振動膜の両面に段部を
形成したので、振動膜に皺または破損が生じにくく、かつ対向電極形成体を形成後に取り
扱いが容易であるとともに、量産性が高い静電型超音波トランスデューサを有する超音波
スピーカを実現することができる。
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。本発明の実施形態に係る
静電型超音波トランスデューサの構成を図1に示す。図1(a)は静電型超音波トランス
デューサの構成を示し、同図(b)は静電型超音波トランスデューサの一部を破断した平
面図を示している。
図1において、本発明の実施形態に係る静電型超音波トランスデューサ1は、一対の固
定電極10A、10Bと、一対の固定電極に挟持され、導電層121を有する振動膜12
と、一対の固定電極10A、10Bと振動膜12を保持する部材(図示せず)とを有して
いる。
ここで、振動膜12の構造を図2(a)及び図2(b)に示す。図2(a)は、振動膜
の側面断面図、 図2(b)は、図2(a)の部分拡大平面図である。図2(a)におい
て、振動膜12は、膜中央部に電極部と成る導電層(金属蒸着層)121を有し、その両
面を絶縁抵抗性に優れた絶縁フィルム(高分子膜)120で被覆したサンドイッチ構造を
成している。
また、一対の固定電極10A,10Bは振動膜12を介して対向する位置に規則性を持
った間隔で設けられた同数かつ複数の貫通穴14を有している。
振動膜12の両面に対し、所望の径の穴(凹部)が規則性を持った間隔で、かつ振動膜
12の両面に配置された各穴(凹部)の中心位置が一致するように、振動膜12の両面に
対向電極形成体17が形成されている。この対向電極形成体17は絶縁体(例えば、液状
ソルダーレジスト、感光性コーティング材、非導電性塗料、電着材料等のいずれか)で形
成されている。図2(b)において、12aは、振動膜12の上面側の表面を示している

このように対向電極形成体17を両面に形成した振動膜12は、図1に示したPush
−Pull型の静電型超音波トランスデューサに使用される。
図3は本発明の実施形態に係る振動膜を用いたPush−Pull型の静電型超音波ト
ランスデューサの構造を示し、図3(a)は部品状態に分解した図、図3(b)は、組立
状態を示す図である。
図1に示した本発明の実施形態に係る静電型超音波トランスデューサは、図3(a)に
示すように、2枚の固定電極10A,10Bと、振動膜12の、3部品にて構成されてい
る。固定電極10A,10Bは、導電体である銅またはステンレスに対し、エッチング処
理を施して貫通穴14を形成したものであり、この貫通穴14は振動膜12の両面に対向
電極形成体17で形成された穴(凹部)と同じ間隔で配置されている。
ここで固定電極10A,10Bの製造方法について簡単に説明する。所望の径、例えば
0.75mmの貫通穴を設けた厚み1.5mmの固定電極を製作したい場合、穴径に対す
る厚みの比が2となり、エッチング工程のみで作製することは困難である。そこで穴径よ
りも薄い、例えば厚み0.25mmの金属板にエッチングで0.75mmの貫通穴を空け
たものを複数枚、製作しておき、これらを6枚重ねて熱圧着または拡散接合して、厚み1
.5mmの固定電極を作製する。
以上の部品を図3(b)の組立状態図で示すように、固定電極10A,10Bの貫通穴
14の中心と、振動膜12において隣接する対向電極形成体17により形成された凹部の
中心がそれぞれ、一致する状態で振動膜12を2枚の固定電極10A,10Bで扶持して
、Push−Pull型の静電型超音波トランスデューサを構成すると、導電体10に設
けた貫通穴14の外周に対向電極部が形成される。この対向電極部と振動膜12における
導電層121との間に作用する静電力で振動膜12が振動し、音波が発生するようになっ
ている。
なお、振動膜12の挟持方法としては、従来通りの機械的な締め付け力による方法でも
良いが、固定電極側に接着剤を薄く(1μm程度)塗布して、振動膜12の両面に形成さ
れた対向電極形成体17と固定電極10A,10Bを接着固定すれば良い確実な挟持力が
得られる。
図1に戻り、振動膜12における導電層121には、直流バイアス電源16により単一
極性(正極性でも負極性のいずれでもよい。)の直流バイアス電圧が印加されるようにな
っており、さらに、この直流バイアス電圧に重畳して固定電極10Aと固定電極10Bの
導電膜20には、信号源18から出力される相互に位相反転した交流信号18A,18B
が導電層121との間に印加されるようになっている。
振動膜12の絶縁フィルム(絶縁体)120は、絶縁抵抗性に優れた高分子材料(ポリ
・エチレン・テレフタレート(PET)、ポリ・エステル、ポリ・エチレン・ナフタレー
ト(PEN)、アラミド、ポリ・フェニレン・サルファイド(PPS))等で形成されて
いる。
また、対向電極形成体17は、一対の固定電極10A,10Bの一部を成し、振動膜1
2を挟持する機能と、固定電極10A,10Bと振動膜12とを組み立てた際に、振動膜
13との間で静電力が作用する部分である対向電極部(導電体10表面が露出した部分)
20(図3(b)参照)を形成する機能とを有しており、固定電極10Aまたは10Bの
貫通穴14と振動膜12側に形成された対向電極形成体17とで、段付き穴が形成されて
いる。
固定電極10Aの対向電極部20と導電層121、固定電極10Bの対向電極部20と
電極層121は、それぞれコンデンサが形成されている。
上記構成において、静電型超音波トランスデューサ1は、振動膜12の導電層121に
、直流バイアス電源16により単一極性の(本実施形態では正極性の)直流バイアス電圧
に信号源18から出力される相互に位相反転した交流信号18A,18Bが重畳された状
態で印加される。
一方、一対の固定電極10A、10Bには、信号源18より相互に位相反転した交流信
号18A,18Bが印加される。
この結果、信号源18から出力される交流信号18Aの正の半サイクルでは、固定電極
10Aに正の電圧が印加されるために、振動膜12の固定電極で挟持されていない表面部
分には、静電反発力が作用し、該表面部分は、図1上、下方に引っ張られる。
また、このとき、交流信号18Bが負のサイクルとなり、対向する固定電極10Bには
負の電圧が印加されるために、振動膜12の裏面部分には、静電吸引力が作用し、該裏面
部分は、図1上、さらに下方に引っ張られる。
したがって、振動膜12の一対の固定電極10A、10Bにより挟持されていない膜部
分は、同時にかつ同方向に静電反発力と静電斥力を受ける。これは、信号源18から出力
される交流信号の負の半サイクルについても同様に、振動膜12の表面部分には図1上、
上方に静電吸引力が、また裏面部分には、図1上、上方に静電反発力が作用し、一対の固
定電極10A、10Bにより挟持されていない振動膜12における膜部分は、同時にかつ
同方向に静電反発力と静電吸引力を受ける。このようにして、交流信号の極性の変化に応
じて振動膜12が同時にかつ同方向に静電反発力と静電吸引力を受けながら、交互に静電
力が働く方向が変化するので、大きな膜振動、すなわち、パラメトリックアレイ効果を得
るのに十分な音圧レベルの音響信号を発生することができる。
本発明の実施形態に係る静電型超音波トランスデューサによれば、振動膜において前記
第1、第2の固定電極に設けられた貫通穴及びその外周部に対向する部分が凹部となるよ
うに前記振動膜の両面に段部を形成したので、振動膜に皺、または破損が生じにくい。す
なわち、振動膜側に対向電極形成体が設けられているため、対向電極形成体の厚みバラツ
キによる影響が非常に少ない。
振動膜に対向電極形成体を形成する際に、スクリーン印刷法で印刷する被印刷体がフィ
ルムであるため、スクリーン印刷版のメンテナンスの負荷も少なく、寿命も長くできる。
また、対向電極形成材として使用するフレキシブル基根用のレジスト材と密着性も良く、
印刷後の取り扱いが容易(巻き取り保管が可能)である。
さらに、従来の固定電極(金属板)への印刷に比べ、一度に広い範囲の印刷が可能なた
め、作業効率が良い。また、必要量を切り出して振動膜として使用できるため歩留まりも
向上する(量産性の向上)。
本発明の実施形態に係る超音波トランスデューサ1は、振動膜12が一対の固定電極1
0A,10Bから力を受けて振動することからプッシュプル(Push―Pull)型と
呼ばれている。
本発明の実施形態に係る超音波トランスデューサ1は、従来の、振動膜に静電吸引力のみ
しか作用しない静電型の超音波トランスデューサ(Pull型)に比して、広帯域性と高
音圧を同時に満たす能力を持っている。
本発明の実施形態に係る超音波トランスデューサの周波数特性を図11に示す。同図に
おいて、曲線Q3が本実施形態に係る静電型超音波トランスデューサの周波数特性である
。同図から明らかなように、従来の広帯域型の静電型超音波トランスデューサの周波数特
性に比して、より広い周波数帯にわたって、高い音圧レベルが得られることが分かる。具
体的には、20kHz〜120kHzの周波数帯域においてパラメトリック効果が得られる12
0dB以上の音圧レベルが得られることが分かる。
次に、本発明が適用される静電型超音波トランスデューサにおける振動膜の他の構成例
を図4に示す。図4(a)は、振動膜の側面断面図、図4(b)は、図4(a)の部分拡
大平面図である。同図において、振動膜12Aは、絶縁抵抗性に優れた絶縁フィルム(例
えば、高分子膜)120の片面に導電層(金属蒸着層)121を有する、一般的に良く知
られている蒸着フィルムである。この蒸着フィルムの絶縁フィルム側の片面に対し、所望
の径の凹部(穴)12bが規則性を持った間隔で形成されるように対向電極形成体17が
形成されている。
このように対向電極形成体17を片面に形成した振動膜12Aは、Pull型の静電型
超音波トランスデューサに使用する。
図5は図4に示した振動膜を用いたの構造を示し、図5(a)は部品状態に分解した図
、図5(b)は、組立状態を示す図である。
図5(a)に示すように、Pull型の静電型超音波トランスデューサは、固定電極3
0と本発明が適用される振動膜12Aの2部品にて構成される。固定電極30は、導電体
である銅、ステンレス、アルミニウム等の金属から成り、Push−Pull型の静電型
超音波トランスデューサで必要とされる貫通穴は不要である。
この2部品を図5(b)に示す状態で組み合わせると、振動膜12Aに形成された隣接
する対向電極形成体17で形成された凹部(穴)内の固定電極側の表面領域が対向電極部
となり、この対向電極部と振動膜12Aにおける導電層121との間に作用する静電力で
振動膜12Aが振動し、音波が発生する。Pull型の静電型超音波トランスデューサの
動作についての詳細は、既に図10を参照して説明したので、省略する。
図5では絶縁フィルムの片面にのみ対向電極形成体を形成した振動膜を用いた場合を示
したが、図2に示した絶縁フィルムの両面に対向電極形成体を形成した振動膜を用いるこ
とも可能である。その場合、従来は振動膜の電極部が剥き出しとなるために非常に危険で
あった構成が、絶縁層で被覆されるため、安全性の高い構成とする事ができる。
なお、固定電極への振動膜の固定方法としては、固定電極側に接着剤を薄く(1μm程
度)塗布して、対向電極形成体と固定電極を接着固定する方法、あるいは対向電極形成体
を接着剤の転写体として、必要最小限の範囲で固定電極と接着固定する方法でも良い。
次に、本発明の実施形態に係る静電型超音波トランスデューサにおける振動膜の製造工
程について図6を参照して説明する。図6は、スクリーン印刷法を用いて振動膜へ対向電
極形成体を形成する工程について示している。本実施形態では、図6(a)に示すように
、振動膜200の膜中央部に電極部となる導電層(金属蒸着層)201を有し、その両面
を絶縁抵抗性に優れた絶縁フィルム(例えば、高分子膜)202で被覆したようなサンド
イッチ構造を成した振動膜200を例に説明する。
まず、振動膜200の一方の面において、固定電極に形成された貫通穴及び該貫通穴近
傍の領域に対向する領域をマスクするマスク部材として機能するスクリーン版204、お
よび振動膜200の一方の面の表面上に前記固定電極と組立てた状態で該振動膜と対向す
る前記固定電極の導電体部分を露出させるように絶縁性の対向電極形成体を形成するため
の液状の対向電極形成材206をセットし、スキージ208を移動させて対向電極形成材
206をマスクのかかっていない部分に塗布する(第1工程:図6(b))。
ここで、有効と考えられる対向電極形成材206は、永久的に対向電極形成体として構
成でき、かつ非導電性のもので、例えば回路基板で一般的に使用されるパッケージ用の液
状ソルダーレジストやサンドブラスト用レジストとして使用されるマスキングインクなど
である。特にフレキシブルプリント基板用のソルダーレジストは比較的柔らかい(鉛筆の
硬さでHB〜3H程度)ため、取り扱いが容易で、対向電極形成体の割れや破損を回避す
る点では非常に有効である。
次いで、対向電極形成材206の塗布完了後にスクリーン版204を外し、かつ振動膜
200の一方の面の表面に形成された対向電極形成体206を乾燥させる。すなわち、対
向電極形成材206の塗布完了後に対向電極形成用のスクリーン版204を外すと、対向
電極部を除く他の部分に非導電性の層、すなわち対向電極形成材206が残り、これを乾
燥させると片面に所望の対向電極形成体210が形成される(第2の工程:図6(c))
次に、振動膜200のもう一方の面に対し、図6(b)に示したのと同様、スクリーン
版204および液状の対向電極形成材206をセットし、スキージを移動させて対向電極
形成材をマスクのかかっていない部分に塗布する(第3工程:図6(d))。
対向電極形成材206の塗布完了後に対向電極形成用のスクリーン版204を外して乾
燥させると、両面に所望の対向電極形成体210が形成された振動膜200が完成する(
第4工程:図6(e))。
なお、振動膜200の片面のみに対向電極形成体210を形成させたい場合には、図6
(c)の第2工程までを行えば良く、片面蒸着への印刷もこれと同様の工程で行えば良い
以上のように、本発明の実施形態に係る静電型超音波トランスデューサの製造方法によ
れば、振動膜の振動を、パラメトリック効果を得るのに十分大きくすることができるだけ
でなく、振動の対称性が確保されるため、高い音圧を広周波数帯域にわたって発生させる
ことができる静電型超音波トランスデューサが得られる。
また、上記構成からなる静電型超音波トランスデューサの製造方法によれば、振動膜に
皺または破損が生じにくく、かつ対向電極形成体を形成後に取り扱いが容易であるととも
に、量産性が高い静電型超音波トランスデューサが得られる。
次に、本発明の実施形態に係る超音波スピーカの構成を図8に示す。本実施形態に係る
超音波スピーカは、上述した本発明の実施形態に係る静電型超音波トランスデューサ(図
1)を超音波トランスデューサ55として用いたものである。
図8において、本実施形態に係る超音波スピーカは、可聴波周波数帯の信号波を生成す
る可聴周波数波発振源(信号源)51と、超音波周波数帯のキャリア波を生成し、出力す
るキャリア波発振源(キャリア波供給手段)52と、変調器(変調手段)53と、パワー
アンプ54と、超音波トランスデューサ55とを有している。
変調器53は、キャリア波発振源52から出力されるキャリア波を可聴周波数波発振源
51から出力される可聴波周波数帯の信号波により変調し、パワーアンプ54を介して超
音波トランスデューサ55に供給する。
上記構成において、可聴周波数波発振源51より出力される信号波によってキャリア波
発振源52から出力される超音波周波数帯のキャリア波を変調器53により変調し、パワ
ーアンプ54で増幅した変調信号により超音波トランスデューサ55を駆動する。この結
果、上記変調信号が超音波トランスデューサ55により有限振幅レベルの音波に変換され
、この音波は媒質中(空気中)に放射されて媒質(空気)の非線形効果によって元の可聴
周波数帯の信号音が自己再生される。
すなわち、音波は空気を媒体として伝播する粗密波であるので、変調された超音波が伝
播する過程で、空気の密な部分と疎な部分な顕著に表れ、密な部分は音速が速く、疎な部
分は音速が遅くなるので変調波自身に歪が生じ、その結果キャリア波(超音波周波数帯)
とに波形分離され、可聴波周波数帯の信号波(信号音)が再生される。
以上のように高音圧の広帯域性が確保されると様々な用途にスピーカとして利用するこ
とが可能となる。超音波は空中では減衰が激しく、その周波数の二乗に比例して減衰する
。したがって、キャリア周波数(超音波)が低いと減衰も少なくビーム状に遠くまで音の
届く超音波スピーカを提供することができる。
逆にキャリア周波数が高いと減衰が激しいのでパラメトリックアレイ効果が十分に起き
ず、音が広がる超音波スピーカを提供することができる。これらは同じ超音波スピーカで
も用途に応じて使い分けることが可能なため大変有効な機能である。
また、ペットとして人間と生活をともにすることの多い犬は40kHzまで、猫は100k
Hzまでの音を聴くことが可能であるため、それ以上のキャリア周波数をもちいれば、ペッ
トに及ぼす影響もなくなるという利点も有する。いずれにせよ色々な周波数で利用できる
ということは多くのメリットをもたらす。
本発明の実施形態に係る超音波スピーカによれば、広周波数帯域にわたってパラメトリ
ックアレイ効果を得るのに十分に高い音圧レベルの音響信号を発生することができる。
また、上記構成の静電型超音波トランスデューサを用いて超音波スピーカを構成したの
で、すなわち上記静電型超音波トランスデューサの振動膜において第1、第2の固定電極
に設けられた貫通穴及びその外周部に対向する部分が凹部となるように前記振動膜の両面
に段部を形成したので、振動膜に皺または破損が生じにくく、かつ対向電極形成体を形成
後に取り扱いが容易であるとともに、量産性が高い静電型超音波トランスデューサを有す
る超音波スピーカを実現することができる。
本発明の実施形態に係る静電型超音波トランスデューサは、各種センサ、例えば、測距
センサ等に利用可能であり、また、既述したように、指向性スピーカ用の音源や、理想的
なインパルス信号発生源等に利用可能である。
本発明の実施形態に係る静電型超音波トランスデューサの構成を示す図。 図1に示した静電型超音波トランスデューサにおける振動膜の構造を示す図。 本発明の実施形態に係る振動膜を用いたPush−Pull型の静電型超音波トランスデューサの構造を示す図。 本発明が適用される振動膜の他の構成例示す図。 図4に示した振動膜を用いたPull型の静電型超音波トランスデューサの構造を示す図。 本発明の実施形態に係る静電型超音波トランスデューサにおける振動膜の製造工程を示す図。 Push−Pull型の静電型超音波トランスデューサにおける固定電極の製造工程を示す図。 本発明の実施形態に係る超音波スピーカの構成を示すブロック図。 従来の共振型の超音波トランスデューサの構成を示す図。 従来の静電型の広帯域発振型超音波トランスデューサの具体的構成を示す図。 本発明の実施形態に係る静電型超音波トランスデューサの周波数特性を従来の超音波トランスデューサの周波数特性と共に示した図。
符号の説明
1…静電型超音波トランスデューサ、10A,10B…固定電極、12…振動膜、14…
貫通穴、16…直流バイアス電源、17…対向電極形成体(段部)18…信号源、51…
可聴周波数波発振源、52…キャリア波発振源、53…変調器、54…パワーアンプ、5
5…超音波トランスデューサ、120…絶縁フィルム、121…導電層。

Claims (4)

  1. 複数の貫通穴が形成された第1の固定電極と、
    前記第1の固定電極と対をなす複数の貫通穴が形成された第2の固定電極と、
    前記一対の固定電極に挟持され導電層を有し、該導電層に直流バイアス電圧が印加される
    振動膜と、
    前記一対の固定電極と前記振動膜を保持する保持部材とを有し、
    前記一対の固定電極間には交流信号が印加される静電型超音波トランスデューサであって

    前記振動膜において前記第1、第2の固定電極に設けられた貫通穴及びその外周部に対
    向する部分が凹部となるように前記振動膜の両面に段部を形成したことを特徴とする静電
    型超音波トランスデューサ。
  2. 固定電極と、
    導電層を有し前記固定電極の表面に設置される振動膜と、
    前記固定電極と振動膜とを保持する部材とを有し、
    前記振動膜の導電層と固定電極との間に交流信号を印加することにより駆動する静電型超
    音波トランスデューサであって、
    前記振動膜における前記固定電極と接触する側の一方の表面に所定間隔で凹部を形成す
    るように段部を設けたことを特徴とする静電型超音波トランスデューサ。
  3. 複数の貫通穴が形成された第1の固定電極と、
    前記第1の固定電極と対をなす複数の貫通穴が形成された第2の固定電極と、
    前記一対の固定電極に挟持され導電層を有し、該導電層に直流バイアス電圧が印加される
    振動膜と、
    前記一対の固定電極と前記振動膜を保持する保持部材とを有し、
    前記一対の固定電極間には交流信号が印加される静電型超音波トランスデューサの製造方
    法であって、
    前記振動膜は、膜中央部に前記導電層を有し、
    前記振動膜の一方の面において、前記固定電極に形成された貫通穴及び該貫通穴近傍の
    領域に対向する領域をマスクするマスク部材を前記振動膜の一方の面の表面上に載置し、
    かつ該振動膜の一方の面の表面上に前記固定電極と組立てた状態で該振動膜と対向する前
    記固定電極の導電体部分を露出させるように絶縁性の対向電極形成体を形成するための対
    向電極形成材をセットし、スキージを移動させて前記対向電極形成材を前記振動膜の一方
    の表面に載置されたマスク部材によりマスクされていない部分に塗布する第1の工程と、
    前記第1の工程において、前記対向電極形成材の塗布完了後に前記マスク部材を外し、
    かつ前記振動膜の一方の面の表面に形成された対向電極形成体を乾燥させる第2の工程と

    前記振動膜の他方の面において、前記固定電極に形成された貫通穴及び該貫通穴近傍の
    領域に対向する領域をマスクするマスク部材を前記振動膜の他方の面の表面上に載置し、
    かつ該振動膜の他方の面の表面上に前記固定電極と組立てた状態で該振動膜と対向する前
    記固定電極の導電体部分を露出させるように絶縁性の対向電極形成体を形成するための対
    向電極形成材をセットし、スキージを移動させて前記対向電極形成材を前記振動膜の他方
    の表面に載置されたマスク部材によりマスクされていない部分に塗布する第3の工程と、
    前記第3の工程において、前記対向電極形成材の塗布完了後に前記マスク部材を外し、
    かつ前記振動膜の他方の面の表面に形成された対向電極形成体を乾燥させる第4の工程と

    により作製されることを特徴とする静電型超音波トランスデューサの製造方法。
  4. 請求項1に記載の静電型超音波トランスデューサと、
    可聴周波数帯の信号波を生成する信号源と、
    超音波周波数帯のキャリア波を生成し、出力するキャリア波供給手段と、
    前記キャリア波を前記信号源から出力される可聴周波数帯の信号波により変調する変調
    手段とを有し、
    前記静電型超音波トランスデューサは、前記第1、第2の固定電極と前記振動膜の導電
    層との間に印加される前記変調手段から出力される変調信号により駆動されることを有す
    ることを特徴とする超音波スピーカ。

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