JP4352764B2 - 吸液性シート及び非水電解液電池パック - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、非水電解液電池パック内の非水電解液電池セルから電解液の漏液が生じた場合に、その電解液を吸収するための吸液性シート、それを用いた非水電解液電池パックに関する。
【0002】
【従来の技術】
電池ケース内に、複数の一次電池セル又は二次電池セルと、配線回路基板とが格納されている電池パックが広く使用されている。このような電池パックにおいては、電池セルから電解液の漏液が生じると、配線回路基板の配線に腐食が生じて導通不良が発生したり、逆にショートが発生するおそれがある。そこで、電解液の漏液が生じた場合でも、前述したような腐食やショートの問題を発生させないようにするために、電池パック内の電池セルと接触する位置もしくは近接した位置に、電解液を吸液する能力を有する吸液剤を備えた吸液部材を配置させることが提案されている(特許文献1)。ここで、吸液剤としては、吸着型、ゲル化型、自己膨潤型の各種高分子材料が使用されている。具体的には、ポリアクリル酸塩系吸水性樹脂、デンプン−グラフト共重合体系吸水性樹脂、ポリビニルアルコール系吸水性樹脂、ポリアクリルアミド系吸水性樹脂、イソブチレン−マレイン酸共重合体吸水性樹脂、長鎖アルキルアクリレート架橋重合体、ポリノルボルネン等が例示されている。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−351588号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの吸液剤は、近年富みにその利用が広まっている非水電解液電池パック、特に、リチウムイオン非水電解液二次電池パックを構成する非水電解液二次電池に広く用いられているカーボネート系溶媒、例えば、プロピレンカーボネートやジメチルカーボネートを十分に吸液することができないという問題があった。
【0005】
本発明は、以上の従来の技術の課題を解決しようとするものであり、非水電解液電池パック(特に、リチウムイオン非水電解液二次電池パック)を構成する非水電解液二次電池の非水電解液に対して優れた吸液性を示す吸液性シートを提供すること、そのような吸液性シートから形成された電解液吸収部材を備えた電池パックを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、非水電解液二次電池の非水溶媒に溶解するホモポリマーを形成可能な単官能モノマー(a)を含有する単官能モノマー成分(A)と、多官能モノマー成分(B)とを含有する紫外線重合型のモノマー組成物に、紫外線を照射することによりシート状に重合させて得た樹脂層が、電解液を多量に吸収し且つ保持できることを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
即ち、本発明は、吸液性樹脂層からなる吸液性シートであって、該吸液性樹脂層が、非水電解液二次電池の非水溶媒に溶解するホモポリマーを形成可能な単官能モノマー(a)を含有する単官能モノマー成分(A)と、多官能モノマー成分(B)とを含有するモノマー組成物に紫外線を照射することにより重合させたものであることを特徴とする吸液性シートを提供する。
【0008】
また、本発明は、電池ケース内に、非水電解液電池セルと、配線回路基板と、非水電解液電池セルから電解液の漏液が生じた場合にその電解液を吸収するための電解液吸収部材とが設置されている非水電解液電池パックにおいて、該電解液吸収部材が、前述の吸液性シートから形成されたものであることを特徴とする非水電解液電池パックを提供する。
【0009】
【発明の実施の形態】
まず、本発明の吸液性シートについて説明する。
【0010】
本発明の吸液性シートには、図1(a)に示すように、吸液性樹脂層1が単独でシート状に形成された態様だけでなく、図1(b)に示すように、支持体2の片面に、吸液性樹脂層1が形成された態様、図1(c)に示すように、吸液性樹脂層1側の面に粘着層3が形成された態様等が含まれる。図1(c)の態様の場合には、電池ケース内に吸液性シートを簡便に設置することができる。粘着層3としては、特に限定されず公知の粘着剤を使用することができる。
【0011】
本発明の吸液性シートで使用し得る支持体2としては、電解液が透過浸透しない樹脂フィルム、例えば、ポリプロピレン等のプラスチックフィルムでもよいが、非水溶媒を吸収保持できる、ポリプロピレン等のプラスチック繊維などからなる不織布や紙等を使用することができる。このような不織布などから支持体を構成すると、非水溶媒の吸収速度を上げることができるので好ましい。
【0012】
本発明の吸液性シートを構成する吸液性樹脂層1としては、非水電解液二次電池の非水溶媒に溶解するホモポリマーを形成可能な単官能モノマー(a)を含有する、フィルム形成性成分である単官能モノマー成分(A)と、架橋成分である多官能モノマー成分(B)とを含有するモノマー組成物に紫外線を照射することによりシート状に重合させた重合膜を使用する。
【0013】
本発明においては、単官能モノマー成分(A)として、非水電解液二次電池の非水溶媒に溶解するホモポリマーを形成可能な単官能モノマー(a)を使用する必要がある。これは、そのような非水溶媒に溶解しないようなホモポリマーを形成する単官能モノマーだけを単官能モノマー成分(A)として使用した場合に、得られる樹脂層の吸液性が不十分となるからである。ここで、非水溶媒にホモポリマーが溶解するとは、非水溶媒(特に、後述するジメチルカーボネート、プロピレンカーボネート及びエチレンカーボネートの少なくとも一種を含有する混合溶媒、好ましくは等容量混合溶媒)30重量部に対しホモポリマー1重量部を室温(約23℃)で24時間浸漬した際に、少なくとも10%の質量が減少することを意味する。質量の減少は、浸漬後に非水溶媒から引き上げたホモポリマーの乾燥後の質量を、浸漬前の質量と比べることで判定できる。完全に溶解した場合には、質量が100%減少したことになる。
【0014】
このような単官能モノマー(a)は、その溶解度パラメータ値(SP値(J/cm3)1/2)から、適用されるべき非水電解液二次電池の非水溶媒の溶解度パラメータ値を減じた値が、好ましくは−1.0〜8.0、より好ましくは2.0〜6.5となるものを選択する。この範囲を外れると、そのホモポリマーが非水溶媒に実質的に溶解しなくなり、得られる樹脂層の吸液性が不十分となる傾向がある。
【0015】
なお、溶解度パラメータは、以下のFedorsの式から算出できる(R.F.Fedors, Polym. Eng. Sci., 14(2), p147, p472(1947)参照)。単官能モノマーの溶解度パラメータについては、重合後の繰り返しユニットについて算出したものである。なお、Fedors式中において、「σ」は溶解度パラメータであり、「V」はモル体積(cm3/mol)であり、「Ecoh」は結合エネルギー(J/mol)である。
【0016】
【数1】
σ = (ΣEcoh/V)1/2
【0017】
ここで、単官能モノマー(a)として、溶解度パラメータ値がSP▲1▼のモノマー(a▲1▼)をnモルと、溶解度パラメータ値がSP▲2▼のモノマー(a▲2▼)をmモルとを使用した混合単官能モノマー(a)を使用した場合、その溶解度パラメータであるSP(monomer)mix値は、以下式から算出される。3種以上の単官能モノマーを併用した場合の溶解度パラメータも同様に算出できる。
【0018】
【数2】
SP(monomer)mix値=(SP▲1▼×n+SP▲2▼×m)/(n+m)
【0019】
このような単官能モノマー(a)の具体例としては、イミドアクリレート(SP値=27.6)、N−ビニル−2−ピロリドン(SP値=26.2)、アクリロイルモルフォリン(SP値=25)、ベンジルアクリレート(SP値=22.9)、フェノキシエチルアクリレート(SP値=22.6)、N,N−ジエチルアクリルアミド(SP値=20.6)、メトキシポリエチレングリコールアクリレート(エチレンオキサイド付加モル数(n)=9、SP値=19.6)、メトキシポリエチレングリコールアクリレート(エチレンオキサイド付加モル数(n)=3、SP値=20.1)、テトラヒドロフルフリルアクリレート(SP値=23)、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート(エチレンオキサイド付加モル数(n)=6、SP値=20.7)等が挙げられる。中でも、ベンジルアクリレート、N−ビニル−2−ピロリドン、テトラヒドロフルフリルアクリレートが好ましい。
【0020】
一方、非水溶媒の溶解度パラメータ値は、好ましくは17〜28、より好ましくは18〜23である。この範囲を外れるとリチウム電池に使用した場合に、電池のサイクル特性が低下する傾向がある。
【0021】
このような非水溶媒としては、ジメチルカーボネート(SP値=17.4)、プロピレンカーボネート(SP値=20.8)、エチレンカーボネート(SP値=22.5)等のカーボネート類を挙げることができる。これらは、単独でも2種以上を併用してもよい。特に好ましい非水溶媒として、ジメチルカーボネート、プロピレンカーボネート及びエチレンカーボネートの等容量混合溶媒(SP(solvent)mix値=20.2)を挙げることができる。混合非水溶媒の溶解度パラメータについても、各非水溶媒の溶解度パラメータと使用量(モル数)とに基づき、単官能モノマーを併用した場合の溶解度パラメータの算出方法に準じて算出できる。
【0022】
また、単官能モノマー(a)のホモポリマーとは、好ましくは、単官能モノマー(a)100重量部に紫外線重合開始剤(例えば、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ビスアシルフォスフォンオキサイド、ベンゾフェノンまたは2−メチルチオキサントン)0.1〜5重量部を混合し、波長250〜350nmの紫外線を100〜2000mJ/cm2のエネルギー密度で照射することにより重合させたものである。
【0023】
本発明において、単官能モノマー成分(A)は、以上説明した単官能モノマー(a)を含有するが、少な過ぎると非水溶媒の吸液量が減少する傾向があるので、好ましくは少なくとも20モル%含有する。
【0024】
単官能モノマー成分(A)には、単官能モノマー(a)に加えて、本発明の効果を損なわない範囲で、他の単官能モノマー、例えば、ヒドロキシエチルアクリレート(SP値=29.6)、アクリル酸(SP値=28.7)、2−エチルヘキシルアクリレート(SP値=18.9)、ラウリルアクリレート(SP値=18.7)等を配合してもよい。
【0025】
本発明において、多官能モノマー成分(B)は、吸液性樹脂層1に架橋構造を導入するための成分であり、好ましくは2以上のアクリレート残基を有するモノマーを使用する。例えば、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート(エチレンオキサイド付加モル数(n)=14)、ビスフェノールAジアクリレート、フェニルグリシジルエーテルアクリレート、フェニルグリシジルエーテルアクリレート、ヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー等を使用できる。
【0026】
多官能モノマー成分(B)のモノマー組成物中の配合量としては、少なすぎると吸液性樹脂層1の保形性が十分でなく、多すぎると非水溶媒を十分に吸収できなくなるおそれがあるので、架橋密度が、好ましくは0.0001〜0.17、より好ましくは0.001〜0.1となる量で配合する。
【0027】
ここで、架橋密度は、一分子中の多官能モノマー中の官能基数をaとし、モノマー組成物中の多官能モノマーのモル数をbとし、モノマー組成物中の単官能モノマーのモル数cとしたときに、以下の式で適宜される数値である。
【0028】
【数3】
架橋密度=a×b/(b+c)
【0029】
本発明の吸液性シートは、前述したように、単官能モノマー成分(A)と多官能モノマー成分(B)とを含有するモノマー組成物をポリエチレンテレフタレートフィルムなどの剥離フィルム上に塗布し、得られた塗布膜を紫外線照射によりシート状に重合させ、そして剥離シートから引き剥がせば、図1(a)に示した態様のものが得られ、不織布上に前記モノマー組成物を塗布し、重合させるか、もしくは不織布と、図1(a)に示した態様のものをラミネートすれば、図1(b)の態様のものが得られ、また、図1(b)の態様のものの吸液性樹脂層上に更に粘着剤を塗布形成もしくはラミネートすれば、図1(c)の態様のものが得られる。ここで、モノマー組成物を剥離シートや不織布上に塗布する手法としては、従来公知の塗布法、例えば、ロールコータ法等を採用することができる。また、紫外線重合条件の例としては、通常、15〜25℃で、250〜350nmの波長の紫外線を100〜2000mJ/cm2のエネルギー密度で照射する条件が挙げられる。なお、吸液性樹脂層自体が粘着性を有する場合(成分(A)の単官能モノマーとして、テトラヒドロフルフリルアクリレート(SP値=23)、ベンジルアクリレート(SP値=22.9)、フェノキシエチルアクリレート(SP値=22.6)、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート(エチレンオキサイド付加モル数(n)=6、SP値=20.7)、又はメトキシポリエチレングリコールアクリレート(エチレンオキサイド付加モル数(n)=3、SP値=20.1)を使用した場合には、吸液性樹脂層自体が粘着性を示すので、接着層を設けることなく、図1(a)又は図1(b)の態様で、電池パックへ直接貼着することができ、また、熱ラミネート法を利用せずに、室温でハンドローラにて支持体に吸液性樹脂層を貼着することができる(図1(b)参照)。また、吸液性シートの平面形状としては、筒型電池の液漏れの多くが正極からの液漏れである点に鑑みて、正極端子の周囲に貼付できるようにするために、ドーナツ形状とすることが好ましい。
【0030】
なお、本発明の吸液性シートの吸液性樹脂層1には、必要に応じて難燃化剤(水酸化アルミニウム、メラミンシアヌレート等)を添加してもよい。これにより吸液性シートに難燃性を付与することができる。
【0031】
本発明の吸液性シートは、電池ケース内に、非水電解液電池セルと、配線回路基板と、非水電解液電池セルから電解液の漏液が生じた場合にその電解液を吸収するための電解液吸収部材とが設置されている非水電解液電池パックにおける当該電解液吸収部材として好ましく使用することができる。例えば、図2に示すように、電池ケース21内に設置された配線回路基板22上に非水電解液電池セル23を配置した電池パックにおいて、非水電解液電池セル23から電解液の漏液が生じた場合にその電解液を吸収するための電解液吸収部材として、配線回路基板22と非水電解液電池セル23との間に、図1(a)で説明したような吸液性シート26を配置してもよい。ここで、非水電解液電池セル23と配線回路基板22とは、金属リード24で接続されており、更に外部端子25へと連通している。また、図3に示すように、図1(c)で説明したような吸液性シート27を、非水電解液電池セル23の上に支持体が非水電解液電池セル23側になるように配置してもよい。
【0032】
なお、図2及び図3においては、非水電解液電池パックにおける電池ケースの形状を直方体とし、電池セルの形状を円筒形としたが、本発明の非水電解液電池パックにおいては、それらに限定されず使用目的に応じた形状、配置構成とすることができる。また、電池セルの種類についても限定されるものではない。
【0033】
以上説明した本発明の非水電解液電池パックは、非水電解液吸収部材材料として、非水電解液二次電池の非水溶媒に溶解するホモポリマーを形成可能な単官能モノマー(a)を含有する単官能モノマー成分(A)と、多官能モノマー成分(B)とを含有するモノマー組成物から形成された、非水電解液の吸収・保持性に優れた吸液性樹脂層を備えた吸液性シートを使用するので、電池セルから非水電解液が漏液した場合であっても、配線回路の腐食やショートの発生を大きく抑制できる。
【0034】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
【0035】
参考例
非水電解液二次電池の非水溶媒に対する単官能モノマーからなるホモポリマーの溶解度を以下に説明するように調べた。
【0036】
即ち、単官能性モノマー100質量部に光重合開始剤(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン; D1173、チバスペシャリティケミカル社)1質量部を加え、得られた混合物をポリエチレンテレフタレートフィルムにロールコータで塗布し、365nmの波長の紫外線を2000mJ/cm2のエネルギー密度で照射して重合させた。得られた重合膜(ホモポリマー膜)1質量部を、ジメチルカーボネート/プロピレンカーボネート/エチレンカーボネートの等容量混合物(SP(solvent)mix値=20.2)300質量部に、23℃で24時間浸漬した後に、混合物を濾過し、フィルター上に残った固形物を、100℃で1時間乾燥し、以下の計算式で溶解度(wt%)を算出した。得られた結果を表1に示す。式中、W1は浸漬前の重合膜の質量であり、W2は乾燥固形分の質量である。
【0037】
【数4】
溶解度=((W1−W2)/W1)×100
【0038】
【表1】
【0039】
実施例1〜6及び比較例1〜3
表2及び表3に記載された単官能性モノマーと、多官能モノマーとしてヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレートと、重合開始剤として2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンとを、表2及び表3に記載された配合量で混合し、ポリエチレンテレフタレートフィルム上にロールコータ法で塗布し、365nmの波長の紫外線を2000mJ/cm2のエネルギー密度で照射して重合させ、重合膜をポリエチレンテレフタレートフィルムから剥離し単層の吸液性シートを得た。
【0040】
得られた吸液性シートを、大容量のジメチルカーボネート/プロピレンカーボネート/エチレンカーボネートの等容量混合溶媒(SP(solvent)mix値=20.2)に23℃で浸漬し、2時間後に吸液性樹脂層の形状を目視観察するとともに混合溶媒から引き上げ、直ちに表面の混合溶媒を拭き取り、重量を測定し膨潤倍率を算出した。得られた結果を表2に示す。併せて、単官能モノマーのSP値(SP(monomer)値)、溶媒とのSP値差(ΔSP値)、吸液性シートの吸液性樹脂層の架橋密度、浸漬後の形状についても表2及び表3に示す。
【0041】
【表2】
【0042】
【表3】
【0043】
表2及び表3の結果から、実施例1の吸液性シートは、膨潤倍率が10倍あり、しかも非水溶媒を吸収して膨潤した後もフィルム形状を維持しており、非水電解液電池セルから電解液の漏液が生じた場合にその電解液を吸収するための電解液吸収部材として有用であることがわかる。
【0044】
また、実施例2〜6の吸液性シートは、電解液吸収部材として実用上問題のないレベルの性能を示しているが、実施例2の結果から、架橋密度が低下すると、非水溶媒を吸収して膨潤した後の形状がフィルム形状からゲル状となる傾向があることがわかる。逆に、実施例3及び実施例6の結果から、架橋密度が増大すると、膨潤倍率が低下する傾向があることがわかる。実施例4の結果から、単官能モノマーとしてベンジルアクリレートに代えてN−ビニル−2−ピロリドンを使用しても良好な結果が得られることがわかる。実施例5の結果から、非水溶媒にホモポリマーが溶解しない単官能モノマーを併用すると、膨潤倍率が低下する傾向があることがわかる。
【0045】
一方、比較例1の結果から、多官能モノマーを一切使用しない場合には、吸液性樹脂層が非水溶媒に溶解してしまい、電解液吸収部材として使用できないことがわかる。比較例2の結果から、単官能モノマーのSP値が大きすぎて、そのホモポリマーが非水溶媒に実質的に溶解しない場合には、膨潤倍率が小さすぎて、電解液吸収部材として使用できないことがわかる。逆に、比較例3の結果から、単官能モノマーのSP値が小さすぎて、そのホモポリマーが非水溶媒に実質的に溶解しない場合にも、膨潤倍率が小さすぎて、電解液吸収部材として使用できないことがわかる。
【0046】
実施例7(模擬電池パックでの電解液吸収試験)
図4に示すように、縦7.0cm×横7.9cm×高さ2.3cmのABS樹脂の箱41を用意し、箱の底部に縦6.5cm×横6.5cm×厚み100μmの実施例1の吸液性シート42を市販の接着剤で貼り付け、その上にリチウムイオン電池43を3本装填し、電池に隣接した部分にガラスエポキシ基材44を回路基板として設置した。
【0047】
そして3本の電池43の真ん中の電池の側面部分に電気ドリルで孔hを一つ開口し、そこから漏れ出た電解液を吸液性シートに吸収させる試験を行った。孔hを開口し、一昼夜放置後、電池パック内を観察したところガラスエポキシ基板に濡れは観察されなかった。また、孔hが開口された電池の重量減少量が2.5gであり、吸液性シートの重量増大量が2.5gであったことから、漏れ出た電解液のすべてが吸液性シートに吸収されたことがわかった。
【0048】
実施例8〜15
表4に記載された単官能性モノマーと、多官能モノマーとしてポリエチレングリコールジアクリレート(エチレングリコール付加モル数=14; 14EG−A、共栄社化学)と、重合開始剤として2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンとを、表4に記載された配合量で混合し、ポリエチレンテレフタレートフィルム上にロールコータ法で塗布し、365nmの波長の紫外線を2000mJ/cm2のエネルギー密度で照射して重合させ、重合膜をポリエチレンテレフタレートフィルムから剥離し単層の吸液性シート(210g/m2)を得た。
【0049】
ジメチルカーボネート/プロピレンカーボネート/エチレンカーボネートの等容量混合溶媒(SP(solvent)mix値=20.2)に、電解質として六フッ化リン酸リチウムを1mol/lとなるように溶解した電解液を調製し、この電解液0.2mlを先に作製した吸液性シート0.03gに滴下し、目視にて完全に吸収されるまでの時間を測定した。また、十分な量の電解液に23℃で浸漬し、3時間後に吸液性樹脂層の形状を目視観察するとともに混合溶媒から引き上げ、直ちに表面の混合溶媒を拭き取り、重量を測定し膨潤倍率を算出した。また、吸液性シートを、湿熱オーブン(40℃、90%RH、96時間)で加熱した後に、膨潤度の試験を行った。得られた結果を表5に示す。
【0050】
また、先に作製した吸液性シートの両面に、5cm幅のポリプロピレン不織布(ユニチカ社)を、ハンドローラ法(23℃)又は熱ラミネート法(80℃)で貼着し、引っ張り試験機(テンシロン、オリエンテック社)を用いてT剥離モードで接着強度を測定した。また、Ni面に対し、先に作製した3cm幅の吸液性シートを、ハンドローラ法(23℃)又は熱ラミネート法(80℃)で貼着し、引っ張り試験機(テンシロン、オリエンテック社)を用いてT剥離モードで接着強度を測定した。得られた結果を表5に示す。
【0051】
なお、併せて、単官能モノマーのSP値(SP(monomer)値)、溶媒とのSP値差(ΔSP値)、吸液性シートの吸液性樹脂層の架橋密度、浸漬後の形状についても表5に示す。
【0052】
【表4】
【0053】
【表5】
【0054】
表5の結果から、実施例8〜13の吸液性シートは、定量滴下時の電解液の吸液速度に差があるものの、浸漬時の膨潤倍率が約8〜9倍あり、しかも非水溶媒を吸収して膨潤した後もフィルム形状を維持しており、非水電解液電池セルから電解液の漏液が生じた場合に、その電解液を吸収するための電解液吸収部材として有用であることがわかる。
【0055】
なお、実施例14の吸液性シートは、実施例8〜13の吸液性シートに比べて膨潤倍率が小さいが、電解液吸収部材として実用上問題のないレベルの性能を示している。また、実施例15の吸液性シートは、実施例8〜13の吸液性シートに比べて定量滴下時の電解液の吸収速度が遅いが、優れた膨潤倍率を示している。
【0056】
また、実施例8〜12の吸液性シートは、その吸液性樹脂層自体が粘着性を示しているので、接着層を別途設けなくてもよい。特に、実施例8の吸液性シートの吸液性樹脂層は、優れた接着特性を示した。
【0057】
【発明の効果】
本発明によれば、非水電解液電池パック(特に、リチウムイオン非水電解液二次電池パック)を構成する非水電解液二次電池の非水電解液に対して優れた吸液性を示す吸液性樹脂層を有する吸液性シートが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の吸液性シートの断面図である。
【図2】本発明の非水電解液電池パックの透視図である。
【図3】本発明の非水電解液電池パックの透視図である。
【図4】模擬電池パックでの電解液吸収試験の説明図である。
【符号の説明】
1…吸液性樹脂層、2…支持体、3…粘着層、21…電池ケース、22…配線回路基板、23…非水電解液電池セル、24…金属リード、25…外部端子、26,27…吸液性シート
Claims (9)
- 吸液性樹脂層からなる吸液性シートであって、該吸液性樹脂層が、非水電解液二次電池の非水溶媒に溶解するホモポリマーを形成可能な単官能モノマー(a)を少なくとも20モル%含有する単官能モノマー成分(A)と、多官能モノマー成分(B)とを含有するモノマー組成物に紫外線を照射して重合させたものであり、該単官能モノマー(a)が、ベンジルアクリレート、N−ビニル−2−ピロリドン、イミドアクリレート、アクリロイルモルフォリン、フェノキシエチルアクリレート、N,N−ジエチルアクリルアミド、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート又はフェノキシポリエチレングリコールアクリレートであることを特徴とする吸液性シート。
- 該単官能モノマー(a)の溶解度パラメータ値から、該非水溶媒の溶解度パラメータ値を減じた値が、−1.0〜8.0である請求項1記載の吸液性シート。
- 該非水溶媒の溶解度パラメータ値が、17〜28である請求項2記載の吸液性シート。
- 該非水溶媒が、ジメチルカーボネート、プロピレンカーボネート及びエチレンカーボネートの少なくとも一種を含んでおり、該ホモポリマーが、該単官能モノマー(a)100重量部に紫外線重合開始剤0.1〜5重量部を混合して紫外線照射により重合させたものである請求項1〜3のいずれかに記載の吸液性シート。
- 該ホモポリマーが、その1重量部を非水溶媒30重量部に対し室温で24時間浸漬した際に、該混合溶媒に溶解するものである請求項4記載の吸液性シート。
- 吸液性樹脂層の架橋密度が、0.0001〜0.17である請求項1〜5のいずれかに記載の吸液性シート。
- 該吸液性樹脂層が、支持体上に形成されている請求項1〜6のいずれかに記載の吸液性シート。
- 該支持体が、非水電解液を吸液し保持できるものである請求項7記載の吸液性シート。
- 電池ケース内に、非水電解液電池セルと、配線回路基板と、非水電解液電池セルから電解液の漏液が生じた場合にその電解液を吸収するための電解液吸収部材とが設置されている非水電解液電池パックにおいて、該電解液吸収部材が、請求項1〜8のいずれかに記載の吸液性シートから形成されたものであることを特徴とする非水電解液電池パック。
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