JP4351662B2 - ステレオ再生方法及びステレオ再生装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ステレオ信号を再生するステレオ再生方法及びステレオ再生装置に関し、特に、広い聴取位置に対して良好な定位感を実現するステレオ再生方法及びステレオ再生装置に関する。
一般に、ステレオスピーカを用いて再生された2チャンネルの音声信号は、聴取者の位置が2つのスピーカを底辺とする二等辺三角形の頂点である場合、すなわち聴取者から見たスピーカの距離が等しい場合に、その音像が正しい位置に知覚されるとされている。一方、この二等辺三角形の頂点から離れた位置で聴取した場合には、聴取者により近いスピーカの音が、他方のスピーカからの音より早く聴取者に到達する、あるいは近いスピー-カからの音圧レベルが他方のスピーカからのものより大きくなるという理由のために、音像はすべて近いスピーカの位置に偏って知覚される。このように、音声をステレオで再生する場合には、音像の位置が正しく知覚できるための聴取位置は限られている。これに対して、通信を用いた音声会議を、ステレオ拡声を用いて行うことを考えると、会議の参加者は必ずしも両スピーカから等距離の位置にいるとは限らず、音声をステレオ化した恩恵を被ることができるのは、限られた人数となる。
図6は、従来のステレオ再生時の聞こえを説明するための概念図である。図6は、左右のスピーカ101、102から出力された音声を、聴取位置21,22,23で聴取者が聴き取る例を示している。また、31、32、33は、それぞれ再生すべき音像の位置を表している。以下、この図を用い、従来のステレオ再生時の聞こえについて説明する。
聴取者が中央の位置、すなわち聴取位置21にいる場合、左右のスピーカ101,102から聴取位置までの距離は等しくなる。そのため、音像の位置は異なることなく正しく知覚される。一方、左右どちらかのスピーカに偏った位置、例えば聴取位置22では、そのスピーカ101側の音像位置(この例では音像位置32)は、適正な位置に定位して知覚される。しかし、音像が中央、すなわち音像位置31の場合には、物理的には左右のスピーカ101,102からは同じ音圧レベルの音が同時に放射されている。そのため、聴取位置22では、近い側のスピーカ101から出力された音のほうが、遠い側のスピーカ102から出力された音よりも、早く到達し、かつ大きな音声レベルで観測される。そのため、聴取位置22では音像は異なった位置、すなわち音像位置32として知覚されることとなる。また、逆のスピーカ位置の音像(この例では音像位置33)については、概ね正しい位置に知覚されるが、その音像は曖昧となる傾向にあり、音像位置31から33の間のいずれかの位置に知覚されることとなる。
この問題に対処するために、例えば片方のチャンネルに3つのスピーカを用い、それぞれの遅延、位相、あるいは増幅量を適切に設定することで、広い範囲において聴取者像を適正に定位させる方法(特許文献1)や、左右のスピーカの指向性を操作し、両スピーカから等距離でない場所においても左右それぞれのスピーカからの音圧レベルが等しくなるようにすることで聴取位置を拡大する方法(非特許文献1)などが提案されている。さらに、スピーカアレーを用いることで鋭い指向性を持つ拡声装置を実現し、これによって形成されたマルチビームを用いることで、音像が適正な位置に聴取できる範囲を拡大する方法(非特許文献2)も提案されている。また、聴取位置によらず適正な位置に音像を知覚させるための手段として、N(N>2)チャンネルで音声を集音し、集音チャンネル数に応じたスピーカ数で拡声する方法も考え得る。この場合、集青された音声はNチャンネルで伝送されることになる。
特公平6−32560号公報 J. A. Rodenas et al. "Derivation of an optimal directivity pattern for sweet spot widening in stereo sound reproduction," J. Acoust. Soc. Am., Vol. 113(1), pp.267‐278, 2003 藤野、西川、"マルチビーム形指向性アレースピーカによる広受聴域音像定位のステレオ再生,"電子情報通信学会論文誌 Vol. J87‐A No.4, pp. 439‐447. 2004年4月
しかし、上述のように、通常のステレオ再生を行った場合、聴取位置によって音像の位置が異なって知覚される。さらにこの場合、左右スピーカの中央で聴取した場合に空間的に分離して知覚された複数話者の音声が、聴取位置によっては、全て同一の位置として聴取されることとなり、会話聴取の明瞭性にも悪影響を及ぼす可能性もある。これに対して片側に3つのスピーカを用いる方法は、左右スピーカから聴取位置までの距離差に応じて数msの遅延を操作する必要があり、聴取者のわずかな聴取位置のずれが、定位精度に大きく影響を及ぼすことなる。一方、スピーカの指向性を制御することで、左右スピーカからの音圧レベルを一定にする方法では、聴取位置の違いによる到達時間の差異を補償していないため、音像定位の主要な手がかりである両耳間強度差の情報と両耳間時間差の情報に矛盾が生じ、結果として音像がぼやけることとなる。さらに、狭指向性スピーカアレーを用いる方法では、良好な定位特性を得るためのシステムが大規模になり、音声会議装置に応用することを考える場合には不都合が生じる。さらにN(N>2)チャンネルで音声を集音し、集音チャンネル数に応じたスピーカ数で拡声する方法では、通信会議等の双方向通話に必須であるエコーキャンセラの動作条件等の理由によりNを2より大きくすることが現状では不可能であるという問題点がある。
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、双方向通話への応用を前提として、再生システムを小規模に保ちつつ、聴取位置によらず安定した明瞭な定位特性を与える技術を提供することを目的とする。
本発明では上記課題を解決するために、正面方向の音圧が低く、その両側の音圧が高い指向特性を有するセンタースピーカから、ステレオ入力信号の左右のチャンネル信号を加算した和信号を出力し、左右のチャンネル信号を、和信号に先行音効果を生じさせる程度に遅延させて、センタースピーカの両側に配置された2つのサイドスピーカからそれぞれ出力する。
ここで、上記のような指向特性を有するセンタースピーカの配置と、左右のチャンネル信号を遅延させることによる、和信号の先行音効果とによって、聴取位置によらず安定した明瞭な定位特性を得ることが可能となる(詳細は後述)。また、左右のチャンネル信号の遅延量は、和信号に先行音効果を生じさせる程度の範囲であればよいため、聴取者のわずかな聴取位置のずれが、定位精度に大きく影響を及ぼすといったこともない。また、この構成は、通常のステレオ再生装置の構成にセンタースピーカ等を追加する程度で構成できるため、システムが小規模で済む。さらに、この構成は2チャンネルの信号を用いるため、エコーキャンセラを動作させることができ、双方向通話への応用も可能である。
また、本発明において好ましくは、センタースピーカが出力する和信号は、先行音効果が生じ得る周波数帯域に制限された信号である。これにより、先行音効果がより顕著に得られ、本発明の目的をより効果的に実現できる。
また、本発明において好ましくは、加算器が、左右のチャンネル信号を加算することにより、和信号を生成して出力し、低域通過フィルタが、加算器から出力された和信号の高域成分を遮断することにより、当該和信号を先行音効果が生じ得る周波数帯域に制限して出力し、センタースピーカが、低域通過フィルタから出力された和信号を出力し、遅延器が、左右のチャンネル信号を、和信号に先行音効果を生じさせる程度に遅延させて出力し、2つのサイドスピーカが、遅延器から出力された左右のチャンネル信号をそれぞれ出力する。
さらに、本発明において好ましくは、センタースピーカが、和信号の周波数帯域に対応した空間サンプリング定理を満たす距離をおいて配置された第1スピーカと第2スピーカとによって構成され、第1スピーカに和信号が入力され、第2スピーカに当該和信号の極性反転信号が入力されることで、センタースピーカの指向特性を双指向性とする。また、好ましくは、第1スピーカ及び第2スピーカには、双指向特性が実現できる周波数帯域に制限された和信号及び極性反転信号が、それぞれ入力される。
これにより、本発明の構成に必要なセンタースピーカの指向特性を容易に得ることが可能となる。
以上のように、本発明では、双方向通話への応用を前提として、再生システムを小規模に保ちつつ、聴取位置によらず安定した定位特性を得ることが可能となる。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
〔構成・動作〕
図1(a)は、本形態のステレオ再生装置10の構成を例示したブロック図である。
図1(a)に例示するように、本形態のステレオ再生装置10は、ステレオ入力信号の左右のチャネル信号がそれぞれ入力される入力端子11a,11bと、左右のチャンネル信号を加算することにより、和信号を生成する加算器12と、加算器12から出力された和信号の高域成分を遮断することにより、当該和信号を先行音効果が生じ得る周波数帯域に制限する低域通過フィルタ13と、左右のチャンネル信号を、和信号に先行音効果を生じさせる程度に遅延させる遅延器16a,16bと、3つの増幅器14,17a,17bと、2つのサイドスピーカ18a,18bと、1つのセンタースピーカ15とを具備している。なお、センタースピーカ15は、2つのサイドスピーカ18a,18bの間(この例では中央)に配置される。
ステレオ入力信号の左右のチャネル信号は、それぞれ入力端子11a,11bから入力され、その一部は加算器12に入力される。加算器12は、入力された左右のチャンネル信号の和信号を生成し、それを出力する。
一方、入力端子11a,11bから入力された左右のチャネル信号はそれぞれ遅延器16a,16bにも入力され、遅延器16a,16bは、これらの遅延信号を出力する。出力された遅延信号は、それぞれ増幅器17a、17bに入力され、増幅器17a、17bは、それらを増幅する。増幅された信号は、それぞれ左右のサイドスピーカ18a、18bに入力され、そこから出力される。
加算器12から出力された左右チャンネルの和信号は、低域通過フィルタ13に入力され、低域通過フィルタ13は、この和信号の高城成分を遮断する。なお、高城成分を遮断する理由については後述する。周波数成分が制限された和信号は、増幅器14に入力され、増幅器14は、この和信号を増幅して出力する。増幅器14から出力された和信号は、センタースピーカ15に入力され、センタースピーカ15は、これを出力する。
ここで、本形態のセンタースピーカ15の出力特性は、図1(a)のC1,C2に例示すような、正面方向Aにヌルを持ち、左右のサイドスピーカ18a,18bの正面位置B1,B2に高い音圧分布を示す指向特性をもつ。この特性を単一スピーカで実現することは難しいが、以下に述べる方法で類似した指向特性を得ることができる。図1(b)は、この指向特性を得るための手法を例示した図である。
図1(b)の例では、センタースピーカ15を、極性反転器15aと、隣接設置された2つのスピーカ15b,15cとによって構成する。増幅器14から出力された和信号の一部は、スピーカ15c(「第1スピーカ」に相当)にそのまま入力され、出力される。同時に、増幅器14から出力された和信号の一部は、極性反転器15aに入力され、極性反転器15aは、入力された和信号の極性を反転させ、この極性反転信号を出力し、極性反転器15aから出力された極性反転信号は、スピーカ15b(「第2スピーカ」に相当)に入力され、出力される。これにより、スピーカ15bとスピーカ15cとの間で、和信号と極性反転信号とが干渉し合い、図1(b)に例示するような双指向特性が得られる。なお、スピーカ15b,15c間の距離Dは、再生されるべき所望の周波数帯域(和信号の周波数帯域)に対応した空間サンプリング定理が満たされる距離とする。空間サンプリング定理とは、スピーカ間の距離は、制御すべき最高周波数の波長の倍以上とすることが必要であることを示した定理である。本形態ではこの距離Dを12cmとした。また、図1(b)では、一組のスピーカ15b,15cを用いているが、複数組のスピーカ(第1スピーカと第2スピーカ)によってセンタースピーカ15を構成することとしてもよい。この場合、スピーカの位置や向きや出力パワー等の組合せにより、センタースピーカ15の指向特性を比較的自由に設定することが可能となる。これにより、図1(a)のように、センタースピーカ15の正面方向Aのヌルの範囲が広く、サイドスピーカ18a,18bの正面位置B1,B2で急激に音圧が高くなる構成も可能となる。このような指向特性は本発明の構成上理想的である。以下に述べる本発明の効果が顕著に表れるからである。また、この場合、極性反転信号を出力するスピーカと和信号を出力するスピーカとの数は、同じであっても違っていてもよい。
〔ステレオ音声を再生した場合の聞こえ〕
次に、上述のステレオ再生装置10によってステレオ音声を再生した場合の聞こえについて説明する。
図2は、ステレオ再生装置10によってステレオ音声を再生した場合の聞こえを説明するための概念図である。なお、この図は、左右のサイドスピーカ18a,18b及びセンタースピーカ15から出力された音声を、聴取位置21,22,23で聴取者が聴き取る例を示している。また、31、32、33は、それぞれ再生すべき音像の位置を表している。また、この例のセンタースピーカ15は、図1(b)のように構成されているとする。
まず、中央に位置する聴取位置21で聴取者が音声を聴き取る場合について説明する。聴取位置21の聴取者には、左右のサイドスピーカ18a,18bの音に先行して、センタースピーカ15から放射された音が聴取される。ここで、この例のセンタースピーカ15は、図1(b)で説明したように2つのスピーカ15b,15cを隣接設置して構成され、かつ片側のスピーカ15bの極性が反転されている。そのため、このセンタースピーカ15から放射される音はセンタースピーカ15の正面方向にヌルを向けた8の字型の双指向性となり、センタースピーカ15から見た正面方向である聴取位置21方向では小さい音圧レベルとなる。そのため、センタースピーカ15から放射された音はその後聴取される左右のサイドスピーカ18a,18bからの音に遮蔽(マスク)されることとなる。その結果、聴取者には左右のサイドスピーカ18a,18bからの音のみが知覚されることとなり、通常のステレオ再生と同じ状態となる。そして、聴取位置21は、左右のサイドスピーカ18a,18bからの距離がほぼ等しい場所であるために、聴取位置21の聴取者は、良好な定位特性を持って音像が知覚できる。
次に、サイドスピーカ18aのほぼ正面位置である聴取位置22で、聴取者が聴き取りを行う場合を説明する。まず、仮想音像が中央、すなわち音像位置31にある場合、聴取位置22の聴取者は、次の三つの理由のために聴取位置21の場合よりも大きな音圧レベルでセンタースピーカ15の音を聴取することになる。まず、センタースピーカ15への入力信号は、図1(a)における加算器12の出力が基となっている。この際、音像位置31に対応する信号では、左右チャンネルの信号はほぼ同レベルでかつ相関の高いものとなっている。そのため、加算器12の出力は左右スピーカへ入力されるものよりも大きいものとなっている。その上、センタースピーカ15から放射される音は、先にも述べた通り双指向性となっているため、聴取位置22では聴取位置21よりも大きな音圧レベルとなっている。さらに、遅延器16a,16bの働きにより、サイドスピーカ18a,18bから出力される左右のチャンネル信号は、センタースピーカ15から出力される和信号よりも遅延している。すなわち、このセンタースピーカ15からの音は、左右のサイドスピーカ18a,18bから放射される音よりも時間的に先行して聴取者の耳元に到達する。この場合、人間の聴覚特性として知られている先行音効果が生じることとなる。ここで先行音効果とは、相関の高い二つの音が時間差を持って耳に到達した場合に、先に到達した音の方向が音源の位置であると知覚される現象を指す。この効果によって、音像は音像位置31の場所にあると知覚される。これに対して、音像位置が聴取位置22の正面方向、すなわち音像位置32にある場合、サイドスピーカ18aから出力され、聴取位置22で聴き取られる音圧のレベルは、センタースピーカ15から出力され、聴取位置22で聴き取られる音圧のレベルを上回る。つまり、音像位置32のステレオ信号は、そもそも左チャンネルの信号が大きく右チャンネルの信号が小さい。そのため、図1(a)における加算器12の出力が基となるセンタースピーカ15ヘの入力信号は、ほぼサイドスピーカ18aへの信号と同等なものとなる。そして、サイドスピーカ18aから聴取位置22までの距離と、センタースピーカ15から聴取位置22までの距離との差のために、センタースピーカ15から出力された音はサイドスピーカ18aから出力された音に遮蔽される。その結果、音像は聴取位置22の正面、すなわち音像位置32に正しく定位されることとなる。また、音像位置が聴取位置22とは逆側の位置、すなわち音像位置33にある場合、センタースピーカ15から出力された音は、サイドスピーカ18bから出力された音よりも先行し、かつサイドスピーカ18bから出力された音よりも大きな音圧レベルで聴取位置22に到達する。このため、音像位置31付近に定位して知覚されることとなるが、そもそも従来のステレオ再生方式を用いた場合でも、逆側の音像の位置は曖昧であるために、実用上問題とはならない。
〔構成の具体例〕
<低域通過フィルタ13>
図3は、図1(a)の低域通過フィルタ13の周波数特性の一例である。この例では、遮断周波数を600Hzとして設定した。先に述べた先行音効果は、概ね1kHz以下の周波数帯域でより顕著な効果が確認できることが知られている。また、図1(b)におけるセンタースピーカ15は互いに位相関係が逆となるスピーカ15b,15cを隣接して設置することで8の字型の特性を持つ双指向特性を形成しており、スピーカ15b,15cの特性に依存するものの、1kHz以上では効果的な双指向性を形成することが困難である。結局、低域通過フィルタ13の遮断周波数としては、先行音効果を生じさせ、かつ8の字型の双指向特性が実現できる帯域であればよい。すなわち、低域通過フィルタ13は、1kHz程度以上の周波数帯域を遮断するフィルタであることが望ましく、800Hz程度以上の周波数帯域を遮断するフィルタであることがより望ましい。また、100Hzから200Hz程度の低い周波数帯域だけの音は、方向感を生じさせない。よって、低域通過フィルタ13の代わりに、バンドパスフィルタを設置し、高域周波数だけでなく、低域周波数をも遮断する構成としてもよい。このバンドパスフィルタとしては、200Hzから1000Hz程度の周波数帯域の信号のみを通過させるものであることが望ましく、300Hzから800Hz程度の周波数帯域の信号のみを通過させるものであることがより望ましい。また、低域通過フィルタ13やバンドパスフィルタを設けず、加算器12から出力された和信号をそのまま増幅してセンタースピーカ15から出力してもよい。この場合であっても、もともと1kHz以上の信号成分が少ないのであれば、先行音効果を生じさせ、かつ8の字型の双指向特性が実現できる。
<増幅器14>
センタースピーカ15に接続される増幅器14の設定は、図2における音像位置31の音に対して、聴取位置21ではセンタースピーカ15から出力される音が左右のサイドスピーカ18a,18bからの音より小さく観測され、同時に聴取位置22或いは23ではセンタースピーカ15から出力される音が左右のサイドスピーカ18a,18bからの音より大きく観測されるようにする必要がある。
<遅延器16a,16b>
図1(a)の遅延器16a,16bの遅延量の設定は、センタースピーカ15から出力される信号が、サイドスピーカ18a,18bから出力される信号に対して先行音効果を生じさせることが可能な程度にしておけばよい。具体的には、遅延器16a,16bの遅延量は、例えば、10〜20ms程度が最良である。これは、20ms以上の遅延がある場合には、一つの音源から発せられた音ではなく、音源が二つあるという知覚を生じてしまうため、不具合が生じる。一方、−般に遅延量が少なくなるほど先行音効果が及ぼす影響が小さくなっていくために、おおよそ10ms以下の遅延では、先行音効果を用いた本発明の効果が発揮できなくなるためである。
〔実験結果〕
図4と図5は、従来の方法を用いた場合(図4)と本形態の方法を用いた場合(図5)との主観評価実験結果の−例を示した図である。ここで、各図の(a)は中央位置、すなわち図2における聴取位置21に相当する場所で聴取者が観測した場合の評価実験結果を、−方(b)は側方位置、すなわち図2における聴取位置22に相当する場所で聴取者が観測した場合の評価実験結果を、それぞれ示している。各図の横軸と縦軸はそれぞれ音像を提示した場所と知覚(回答)した場所を示している。なお、横軸も縦軸も、図2における聴取位置23方向を正とし、聴取位置22方向を負としている。また、円の大きさは、頻度を表している。
図4,5の(a)を見ると、どちらの方法の場合にも、聴取者の位置が左右のサイドスピーカの中央位置では良好な音像定位がなされている。
これに対して図4(b)に特徴的に表れているように、側方向の聴取位置では良好な音像定位ができておらず、音像はほぼ聴取者正面のスピーカに偏って知覚されている。−方、図4(a)に表れているように、本形態の方法を用いた場合には、聴取位置によらずに良好な音像定位がなされている。
〔本形態の特徴〕
以上述べたように、本形態によれば、2チャンネルで伝送されたステレオ音声信号を、広い聴取位置において良好な定位をもって知覚させることが可能となる。この際、左右スピーカの遅延量としてmsオーダーの細かい操作を行っていないために、聴取者の位置の違いによる定位特性ヘの影響は少なくなる。そのため、通信会議の多数の参加者に対して、高い臨場感で音を提示することが可能となる。また、音像位置が適切に空間内において広がりを持って配置されて知覚されることにより、音声の明瞭性を向上させることも可能となる。また、知覚される音像に関わる両耳間の時間差及び強度差は矛盾しておらず、音像がぼやけることもない。さらに、本形態は基本的に3つのスピーカを設置することで実現されるため、スピーカアレーを用いる方法と比較して格段に小規模なシステム構成となり、通信会議装置ヘの応用に適したものである。
なお、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能であることはいうまでもない。例えば、本形態では、センタースピーカ15は、正面方向にヌルを持ち、左右のサイドスピーカ18a,18bの正面位置に高い音圧分布を示す指向特性をもつこととした。しかし、正面方向の音圧が低く、その両側の音圧が高い指向特性を有するのであれば、センタースピーカ15の正面方向の音圧は必ずしもヌルにならなくてもよい。
また、上述のサイドスピーカ17a,17b及びセンタースピーカ15以外の構成はコンピュータによって実行することができる。この場合、各装置が有すべき機能の処理内容はプログラムによって記述される。そして、このプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。
この処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、例えば、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリ等どのようなものでもよいが、具体的には、例えば、磁気記録装置として、ハードディスク装置、フレキシブルディスク、磁気テープ等を、光ディスクとして、DVD(Digital Versatile Disc)、DVD−RAM(Random Access Memory)、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、CD−R(Recordable)/RW(ReWritable)等を、光磁気記録媒体として、MO(Magneto-Optical disc)等を、半導体メモリとしてEEP−ROM(Electronically Erasable and Programmable-Read Only Memory)等を用いることができる。
また、このプログラムの流通は、例えば、そのプログラムを記録したDVD、CD−ROM等の可搬型記録媒体を販売、譲渡、貸与等することによって行う。さらに、このプログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することにより、このプログラムを流通させる構成としてもよい。
このようなプログラムを実行するコンピュータは、例えば、まず、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、一旦、自己の記憶装置に格納する。そして、処理の実行時、このコンピュータは、自己の記録媒体に格納されたプログラムを読み取り、読み取ったプログラムに従った処理を実行する。また、このプログラムの別の実行形態として、コンピュータが可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することとしてもよく、さらに、このコンピュータにサーバコンピュータからプログラムが転送されるたびに、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することとしてもよい。
また、処理内容の少なくとも一部をハードウェア的に実現することとしてもよい。
本発明の産業上の利用分野としては、通信会議システム、オーディオ再生システム等を例示できる。
図1(a)は、本形態のステレオ再生装置の構成を例示したブロック図である。図1(b)は、本形態のセンタースピーカの指向特性を得るための手法を例示した図である。 ステレオ再生装置によってステレオ音声を再生した場合の聞こえを説明するための概念図である。 図3は、図1(a)の低域通過フィルタの周波数特性の一例である。 図4は、従来の方法を用いた場合の主観評価実験結果の−例を示した図である。 図5は、本形態の方法を用いた場合の主観評価実験結果の−例を示した図である。 図6は、従来のステレオ再生時の聞こえを説明するための概念図である。
符号の説明
10 ステレオ再生装置
12 加算器
13 低域通過フィルタ
15 センタースピーカ
15b,15c スピーカ
16a,16b 遅延器
18a,18b サイドスピーカ

Claims (10)

  1. 正面方向の音圧が低く、その両側の音圧が高い指向特性を有するセンタースピーカから、ステレオ入力信号の左右のチャンネル信号を加算した和信号を出力し、
    上記左右のチャンネル信号を、上記和信号に先行音効果を生じさせる程度に遅延させて、上記センタースピーカの両側に配置された2つのサイドスピーカからそれぞれ出力する、
    ことを特徴とするステレオ再生方法。
  2. 請求項1に記載のステレオ再生方法であって、
    上記センタースピーカが出力する上記和信号は、
    先行音効果が生じ得る周波数帯域に制限された信号である、
    ことを特徴とするステレオ再生方法。
  3. 請求項2に記載のステレオ再生方法であって、
    加算器が、上記左右のチャンネル信号を加算することにより、上記和信号を生成して出力し、
    低域通過フィルタが、上記加算器から出力された上記和信号の高域成分を遮断することにより、当該和信号を先行音効果が生じ得る周波数帯域に制限して出力し、
    上記センタースピーカが、上記低域通過フィルタから出力された上記和信号を出力し、
    遅延器が、上記左右のチャンネル信号を、上記和信号に先行音効果を生じさせる程度に遅延させて出力し、
    上記2つのサイドスピーカが、上記遅延器から出力された左右のチャンネル信号をそれぞれ出力する、
    ことを特徴とするステレオ再生方法。
  4. 請求項1に記載のステレオ再生方法であって、
    上記センタースピーカが、上記和信号の周波数帯域に対応した空間サンプリング定理を満たす距離をおいて配置された第1スピーカと第2スピーカとによって構成され、
    上記第1スピーカに上記和信号が入力され、上記第2スピーカに当該和信号の極性反転信号が入力されることで、上記センタースピーカの指向特性を双指向性とする、
    ことを特徴とするステレオ再生方法。
  5. 請求項4に記載のステレオ再生方法であって、
    上記第1スピーカ及び上記第2スピーカには、双指向特性を実現できる周波数帯域に制限された上記和信号及び上記極性反転信号が、それぞれ入力される。
    ことを特徴とするステレオ再生方法。
  6. ステレオ入力信号の左右のチャンネル信号をそれぞれ出力する2つのサイドスピーカと、
    上記2つのサイドスピーカの間に配置され、自らの正面方向の音圧が低く、上記2つのサイドスピーカの正面部分の音圧が高い指向特性を有し、上記左右のチャンネル信号の和信号を出力するセンタースピーカと、
    を具備し、
    上記2つのサイドスピーカから出力される上記左右のチャンネル信号を、上記センタースピーカから出力される上記和信号よりも遅延させることにより、上記センタースピーカから出力された当該和信号に、上記2つのサイドスピーカからそれぞれ出力された左右のチャンネル信号に対する先行音効果を生じさせる、
    ことを特徴とするステレオ再生装置。
  7. 請求項6に記載のステレオ再生装置であって、
    上記センタースピーカが出力する上記和信号は、
    先行音効果が生じ得る周波数帯域に制限された信号である、
    ことを特徴とするステレオ再生装置。
  8. 請求項7に記載のステレオ再生装置であって、
    上記左右のチャンネル信号を加算することにより、上記和信号を生成する加算器と、
    上記加算器から出力された上記和信号の高域成分を遮断することにより、当該和信号を先行音効果が生じ得る周波数帯域に制限する低域通過フィルタと、
    上記左右のチャンネル信号を、上記和信号に先行音効果を生じさせる程度に遅延させる遅延器と、
    を具備し、
    上記センタースピーカが、
    上記低域通過フィルタから出力された上記和信号を出力し、
    上記2つのサイドスピーカが、
    上記遅延器から出力された左右のチャンネル信号をそれぞれ出力する、
    ことを特徴とするステレオ再生装置。
  9. 請求項6に記載のステレオ再生装置であって、
    上記センタースピーカが、上記和信号の周波数帯域に対応した空間サンプリング定理を満たす距離をおいて配置された第1スピーカと第2スピーカとによって構成され、
    上記第1スピーカに上記和信号が入力され、上記第2スピーカに当該和信号の極性反転信号が入力されることで、上記センタースピーカの指向特性を双指向特性とする、
    ことを特徴とするステレオ再生装置。
  10. 請求項9に記載のステレオ再生装置であって、
    上記第1スピーカ及び上記第2スピーカには、双指向特性を実現できる周波数帯域に制限された上記和信号及び上記極性反転信号が、それぞれ入力される。
    ことを特徴とするステレオ再生装置。
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