JP4351568B2 - 超音波探傷方法及び装置 - Google Patents
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Description
なお、本明細書において、「中空軸」とは軸の長手方向に延びる空所を内部に有する軸のことを意味し、その空所を切削加工により形成した、いわゆる「中ぐり軸」をも含む。
図8(A)は中実車軸を備える輪軸の探傷検査の例を説明するための図であり、図8(B)は中空車軸を備える輪軸の輪座部(車輪嵌め合い部)の探傷検査の例を説明するための図である。
図9は、中空車軸の探傷ゲートの設定例を説明するための図である。
垂直探傷は、図8(A)の左側に示すように、車軸端面に探触子40を垂直に当て、軸方向に沿って超音波ビームを送出するものである。この垂直探傷は、軸中心に存在するきずの探傷には適しているが、各外周面の段差部分(図8の符号B)や外ボス部OB、内ボス部IBの探傷は困難である。
図10は、輪座部の内ボス部での超音波の反射状態を説明する図である。
図11は、輪座部の内ボス部でのエコー誤検出の例を示すグラフである。縦軸はエコー高さ(%)を示し、横軸はビーム路程(mm)を示す。
この場合、中空軸の段差部分におけるエコー誤検出の可能性を一層低減することができる。
以下の実施例では、本発明を鉄道車両の輪軸の探傷検査に適用した場合について説明する。
図1は、本実施の形態に係る超音波探傷方法のトリガゲートの設定方法を説明する図である。
図2は、トリガゲートによるエコー検出状態を説明するための図である。(A)はきずエコーと妨害エコーが混在する場合のパルスを模式的に示す図であり、(B)は妨害エコーのみが存在する場合のパルスを模式的に示す図である。
図3は、探触子の走査とデータ記録点の関係を概念的に示す図である。
図4は、きずエコーと妨害エコーとの分離手順を示すフローチャートである。
図5は、きずエコーの判定データ例を表す表である。
まず、図1に示すように、中空車軸100の中空孔100a内に探触子40(探傷ヘッド45)を挿入し、探触子40を軸方向T及び周回転方向θに連続的又は間欠的に送る。そして、探触子40を送りつつ、軸送り方向T及び周回転送り方向θの送りピッチごとの点(データ記録点)でエコーを検出する(図3参照)。例えば、軸長約2mの中空車軸について、軸送り方向ピッチを2mmとし、周回転送り方向ピッチを3°とした場合、データ記録点は計12万点得られることとなる。
図5には、一例として、データ記録点No.1〜No.20までの範囲で、周回転方向3°ピッチごとに得られた各ビーム路程のデータが示されている。これらのビーム路程のデータは、前述の図2(A)又は(B)において検出・記録されたビーム路程データEd又はEd′であって、この時点で既に取得済みのデータである。本実施例では、5データ分ごと(つまり円周ピッチ3°×5データ=15°ごと)にビーム路程のばらつき具合を調べるものとする。なお、円周ピッチ15°ごとのビーム路程のばらつき具合を調べるのは、15°ピッチ以上にきずが広い例はほとんどないという経験則に基づくものである。
図6は、本実施の形態における探傷検査の試験体として用いたモデル車軸及び探触子を示す模式図である。
図7(A)は従来の探傷方法を適用した場合の探傷結果を示すグラフであり、図7(B)は本発明に係る探傷方法を適用した場合の探傷結果を示すグラフである。図7において、縦軸は円周方向の位置(°)を示し、横軸は軸端からの距離(mm)を示し、高さ軸はエコー高さ(%)を示す。
図7(A)に示す従来の探傷結果においては、きずエコーと妨害エコーが混在、重複し、両者の識別が極めて不明瞭であることがわかる。従来の探傷方法によっても、探傷部位ごとの探傷ゲートを狭く設定することで、ある程度の識別は可能であるとも考えられるが、両者を明確に識別するのには限界があるといえる。
45 探傷ヘッド 49 探傷装置
100 車軸(中空車軸) 100a 中空孔
100X 内ボス部 103 中央平行部
105 輪座部 105X きず
107 中径部 109 ジャーナル部
Claims (6)
- 段差のある外面、及び、超音波探傷用の探触子が当てられる超音波入射面を有する試験体の超音波探傷方法であって、
前記試験体の超音波入射面に前記探触子を当てて、所定のピッチで走査しつつ、該ピッチごとの点(データ記録点)でエコーを検出し、
事前に、探傷対象となる前記試験体の段差部分について、前記超音波入射面から入射した超音波の直進距離が最も短い表面におけるエコーのビーム路程からある値を引いてトリガゲート始点を設定するとともに、前記超音波入射面から入射した超音波の直進距離が最も長い表面におけるエコーのビーム路程にある値を加えてトリガゲート終点を設定し、
また、前記試験体と同一形状のきずのない試験体の妨害エコーデータ(段差部分からのエコーデータ)の、前記データ記録点での各ビーム路程及びそれらのばらつき範囲を取得しておき、
前記各データ記録点で前記トリガゲート内の検出しきい値を超えるビーム強度を有し且つ最もビーム路程の短いエコーデータについて、そのビーム強度及びビーム路程を検出・記録し、
前記検出・記録された前記試験体のビーム路程データが、前記取得された前記きずのない試験体の妨害エコーデータのばらつき範囲外であるとき、前記試験体のきずから反射したきずエコーデータであると判断することを特徴とする超音波探傷方法。 - 径の異なる複数の外周面、及び、軸芯部の中空孔を有する中空軸の超音波探傷方法であって、
試験体となる中空軸(試験軸)の中空孔内に超音波探傷用の探触子を挿入し、該探触子を軸方向及び周回転方向に連続的又は間欠的に送りつつ、軸送り方向及び周回転送り方向の送りピッチごとの点(データ記録点)でエコーを検出し、
事前に、前記試験軸の最も細い径の段差部分表面からのエコーのビーム路程からある値を引いてトリガゲート始点を設定するとともに、前記試験軸の最も太い径の段差部分表面からのエコーのビーム路程にある値を加えてトリガゲート終点を設定し、
また、前記試験軸と同一形状のきずのない中空軸(基準軸)の妨害エコーデータ(段差部分からのエコーデータ)の、前記データ記録点での各ビーム路程及びそれらのばらつき範囲を取得しておき、
前記各データ記録点で前記トリガゲート内の検出しきい値を超えるビーム強度を有し且つ最もビーム路程の短いエコーデータについて、そのビーム強度及びビーム路程を検出・記録し、
前記検出・記録された前記試験軸のビーム路程データが、前記取得された前記基準軸の妨害エコーデータのばらつき範囲外であるとき、前記試験軸のきずから反射したきずエコーデータであると判断することを特徴とする超音波探傷方法。 - 前記探触子の周回転送り方向の隣り合うデータ記録点でのエコーデータを比較し、これらが所定のばらつき範囲内であれば前記妨害エコーデータであると判断し、所定のばらつき範囲外であれば前記きずエコーデータであると判断することを特徴とする請求項2記載の超音波探傷方法。
- 前記データ記録点を比較するときの開始点となるデータ記録番号Nsを設定し、
前記周回転送り方向に連続するデータ記録点の個数Cを設定し、
前記基準軸の妨害エコーデータのばらつき範囲から、前記妨害エコーデータか又は前記きずエコーデータかを識別するしきい値Vを設定し、
前記データ記録番号NsからNs+C−1までの各エコーデータを比較し、前記ばらつき範囲内でのビーム路程の最大値Dmax、最小値Dminを設定し、
Dmax−Dmin≦Vとなる場合は、以下のサブステップ(SS1)〜(SS3):
(SS1)比較した個数Cの各エコーデータがC個の連続する前記妨害エコーデータであると判断する
(SS2)前記データ記録番号Nsを1つ増やす
(SS3)前記データ記録番号Nsの設定ステップに移行する
を順に経由し、
Dmax−Dmin>Vとなる場合は、以下のサブステップ(SS4)〜(SS7):
(SS4)比較した個数Cの各エコーデータのうちに前記きずエコーデータが存在すると判断する
(SS5)Dminとして設定されたデータ記録番号のエコーデータを前記きずエコーデータと判定する
(SS6)前記きずエコーデータに該当したデータ記録番号の次のデータ記録点を、新たな開始点となるデータ記録番号Nsとして設定し直す
(SS7)前記データ記録番号Nsの設定ステップに移行する
を順に経由し、
比較対象となる全てのデータ記録点について前記サブステップ(SS1)〜(SS3)又は(SS4)〜(SS7)を経由した後、前記妨害エコーデータと判定されたエコーデータを除去し、前記きずエコーデータに該当するエコーデータのみを抽出することを特徴とする請求項3記載の超音波探傷方法。 - 段差のある外面、及び、超音波探傷用の探触子が当てられる超音波入射面を有する試験体を超音波探傷する装置であって、
前記試験体の超音波入射面に前記探触子を当てた状態で、所定のピッチで走査する手段と、
該ピッチごとの点(データ記録点)でエコーを検出する手段と、
探傷対象となる前記試験体の段差部分について、前記超音波入射面から入射した超音波の直進距離が最も短い表面におけるエコーのビーム路程からある値を引いてトリガゲート始点を設定するとともに、前記超音波入射面から入射した超音波の直進距離が最も長い表面におけるエコーのビーム路程にある値を加えてトリガゲート終点を設定する手段と、
前記試験体と同一形状のきずのない試験体の妨害エコーデータ(段差部分からのエコーデータ)の、前記データ記録点での各ビーム路程及びそれらのばらつき範囲を取得する手段と、
前記各データ記録点で前記トリガゲート内の検出しきい値を超えるビーム強度を有し且つ最もビーム路程の短いエコーデータについて、そのビーム強度及びビーム路程を検出・記録する手段と、
前記検出・記録された前記試験体のビーム路程データが、前記取得された前記きずのない試験体の妨害エコーデータのばらつき範囲外であるとき、前記試験体のきずから反射したきずエコーデータであると判断する手段と、
を備えることを特徴とする超音波探傷装置。 - 径の異なる複数の外周面、及び、軸芯部の中空孔を有する中空軸を超音波探傷する装置であって、
試験体となる中空軸(試験軸)の中空孔内に超音波探傷用の探触子を挿入した状態で、該探触子を軸方向及び周回転方向に連続的又は間欠的に送る手段と、
軸送り方向及び周回転送り方向の送りピッチごとの点(データ記録点)でエコーを検出する手段と、
前記試験軸の最も細い径の段差部分表面からのエコーのビーム路程からある値を引いてトリガゲート始点を設定するとともに、前記試験軸の最も太い径の段差部分表面からのエコーのビーム路程にある値を加えてトリガゲート終点を設定する手段と、
前記試験軸と同一形状のきずのない中空軸(基準軸)の妨害エコーデータ(段差部分からのエコーデータ)の、前記データ記録点での各ビーム路程及びそれらのばらつき範囲を取得する手段と、
前記各データ記録点で前記トリガゲート内の検出しきい値を超えるビーム強度を有し且つ最もビーム路程の短いエコーデータについて、そのビーム強度及びビーム路程を検出・記録する手段と、
前記検出・記録された前記試験軸のビーム路程データが、前記取得された前記基準軸の妨害エコーデータのばらつき範囲外であるとき、前記試験軸のきずから反射したきずエコーデータであると判断する手段と、
を備えることを特徴とする超音波探傷装置。
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