JP6165471B2 - 軸部材の超音波探傷方法、およびそれに用いるプローブ - Google Patents
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Description
検査対象が、ポンプの回転軸やタービンの主軸等の軸部材である場合、軸部材の外周部に、インペラやタービン翼等の部材が設けられていることがある。このような軸部材を軸受等によって支持した状態のまま超音波探傷法で検査しようとすると、軸部材の外周面に取り付けられた他の部材があるため、超音波を発するプローブを軸部材の外周面に当てたまま、軸部材の外周面に沿って走査させることが困難となり、超音波探傷が行えない。
このような溝3においては、溝3の底面3c近傍に応力が集中しやすいため、検査時においては、溝3の底面3c等にクラックC等が生じていないか、高精度に検査することが望まれる。
ローブは以下の手段を採用する。
すなわち、本発明は、軸方向に複数段のインペラを有し、軸方向に不等間隔のリング溝を有する軸部材のリング溝部の超音波探傷方法であって、予め、前記軸部材の外周面において、前記リング溝部から前記軸部材の軸方向に沿って離れた規定位置にセットしたときに、前記リング溝部を含む角度領域に向けて超音波を出力するよう設定されたプローブを用意しておき、前記プローブを前記軸部材の前記インペラとインペラとの間において前記外周面の前記規定位置に押しあてて、前記プローブと前記軸部材とを、該軸部材の軸周りに相対的に回転させた状態で、該プローブから前記超音波を出力する工程と、出力された前記超音波の反射波を検出し、該反射波に基づくエコー画像を生成して出力する工程と、を備えることを特徴とする。
この方法によれば、軸部材の外周面上の規定位置にプローブをセットしたときに、そのプローブから軸部材のリング溝部に向けて超音波を出力できるようなプローブを予め用意しておくことで、リング溝部に確実に超音波を当てて検査を行うことができる。そして、軸が長尺なものであっても、軸の端面にプローブを押し当てる場合に比較して、プローブからリング溝部までの距離が短くなる。
ここで、プローブは、複数の圧電素子を備えたフェイズドアレイ式のものとする。これによって、一つのプローブにおいて、前記規定位置からリング溝部を含む角度領域に向けて超音波を出力できる。
なお、一つのプローブで、前記規定位置から、軸部材の軸方向において位置が互いに異なる複数のリング溝部に向けて超音波を出力できるようにしてもよい。これにより、一か所から複数の検査対象部位を検査することができる。
検査対象部位に亀裂が存在する場合、超音波を横波で当てると、亀裂の位置が高精度に検出できる。また、超音波を縦波で当てると、亀裂の先端位置、つまり亀裂の深さが高精度に検出できる。
このプローブにおいては、湾曲面により、プローブと軸部材とを相対的に回転させた場合であっても、プローブを軸部材に安定的に押し当てることができる。
これによって、プローブを軸部材の外周側から軸部材の外周面に確実に押し当てることができる。
さらに、前記軸装着部材の基部と前記軸部材の外周面との間に凹部が形成されている場合に、プローブは、凹部の高さよりも小さな外形寸法を有するものとする。
これによって、プローブを凹部内に挿入して超音波探傷を行うことができる。
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態について、図1を用いて説明する。
図1は、本実施形態において検査対象となる軸部材10の一例を示すものである。
この図1に示すように、軸部材10は、例えばポンプの主軸として用いられるものであり、その外周面に、周方向に連続する複数のリング溝(検査対象部位)11が、軸部材10の軸方向に間隔を隔てて形成されている。
また、軸部材10の外周面には、径方向外周側に向けて延びるインペラ(軸装着部材)12が、軸部材10の軸方向に沿って間隔を隔てて複数列に形成されている。各インペラ12は、内周側の基端部12aに、軸部材10の軸方向一方の側から他方の側に向けて窪んだ凹部13が形成されている。
ブロック21は、検査対象である軸部材10に対向する面が、軸部材10の外径と略同じ曲率で形成された湾曲面21aとされている。
複数の圧電素子22は、軸部材10の軸方向に沿って並び、湾曲面21aを軸部材10の外周面10aに沿わせた状態で、軸部材10の軸方向に対して傾斜するよう配置されている。
このように、プローブ20はなるべく小型化するのが好ましい。プローブ20を小型化するには、例えば、プローブ20に備えられたダンパー材23を、ダンピング性能に優れた材料から形成することによって、ダンパー材23の厚さを小さくするのが好ましい。
また、プローブ20の圧電素子22は、ダンピング性能の高いコンポジット振動子等を用いるのが好ましい。
また、プローブ20は、軸部材10の外周面10aにおいて、予め定めたセット位置から、複数のリング溝11に向けて超音波を発することができるように、圧電素子22の中心屈折角θcを設定しておいてもよい。
このようにして、軸部材10のすべてのリング溝11のそれぞれについて、そのリング溝11を検査するためのプローブ20を用意しておく。
そして、図3に示すように、それぞれのプローブ20を、軸部材10の外周面10aにおいて、それぞれのリング溝11に対し軸方向に沿ってオフセットした所定のセット位置にセットし、湾曲面21aを外周面10aに突き当てる。
この状態で、軸部材10またはプローブ20を、軸部材10の軸周りに回転させる。ここでは、軸部材10をその軸周りに回転させる。
そして、コントローラ(図示無し)では、駆動信号を出力することによって圧電素子22を駆動する。すると、プローブ20においては、超音波がスキャン出力される。
コントローラ(図示無し)では、一定時間間隔ごとに、プローブ20で検出される振動に応じた検出信号を受信する。そして、受信した検出信号に基づいて、探傷結果データとしてのエコー画像を生成することができる。
また、プローブ20を軸部材10の外周面10aに突き当てた状態で、超音波を軸方向に対して傾斜した方向から発することによって、リング溝11に亀裂等があった場合には、その亀裂の先端のエコーが検出できるため、亀裂の深さを検出することができる。
このとき、プローブ20は外周面10aに突き当てる部分が外周面10aに沿う湾曲面21aとされているため、プローブ20と軸部材10とを軸部材10の軸周りに相対的に回転させることができる。したがって、軸部材10を周方向に走査して、リング溝11を全周にわたって超音波探傷することができる。
このようにして、リング溝11の検査を高精度に行うことが可能となっている。
これによって、例えば、4本のリング溝を3つのプローブ20で超音波探傷することもできる。
次に、本発明に係る軸部材の超音波探傷方法、およびそれに用いるプローブの第2実施形態について説明する。なお、以下の説明において、上記第1実施形態と共通する構成については同符号を付してその説明を省略する。
本実施形態においては、プローブ20は、複数の圧電素子22において、超音波の伝搬方向と同じ方向に粒子を振動させる縦波と、超音波の伝搬方向に対して垂直方向に粒子を振動させる横波とをそれぞれ出力できるよう、縦波モードと横波モードで駆動可能であるように設定されている。
これにより、リング溝11に亀裂等があった場合には、横波モードで出力される横波により、亀裂の軸方向位置が高精度に特定される。縦波モードで出力される縦波により、亀裂の先端位置で検出されるエコーにより、亀裂の深さが特定できる。
10a 外周面
11 リング溝(検査対象部位)
12 インペラ(軸装着部材)
12a 基端部
13 凹部
20 プローブ
21 ブロック(保持部材)
21a 湾曲面
22 圧電素子
23 ダンパー材
25 保持部材
Claims (2)
- 軸方向に複数段のインペラを有し、
軸方向に不等間隔のリング溝を有する軸部材のリング溝部の超音波探傷方法であって、
予め、前記軸部材の外周面において、前記リング溝部から前記軸部材の軸方向に沿って離れた規定位置にセットしたときに、前記リング溝部を含む角度領域に向けて超音波を出力するよう設定されたプローブを用意しておき、
前記プローブを前記軸部材の前記インペラとインペラとの間において前記外周面の前記規定位置に押しあてて、前記プローブと前記軸部材とを、該軸部材の軸周りに相対的に回転させた状態で、該プローブから前記超音波を出力する工程と、
出力された前記超音波の反射波を検出し、該反射波に基づくエコー画像を生成して出力する工程と、を備えることを特徴とする軸部材の超音波探傷方法。 - 前記超音波を出力する工程は、一つの前記リング溝部に対し、前記超音波の伝搬方向が互いに異なる複数のモードで前記超音波を当てることを特徴とする請求項1に記載の軸部材の超音波探傷方法。
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