JP4351126B2 - 配線回路基板およびその製造方法 - Google Patents
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Description
このような配線回路基板では、導体パターンが、カバー絶縁層から部分的に露出されており、その露出部分が、外部端子と接続するための接続端子部とされている。
また、本発明の配線回路基板の製造方法は、ベース絶縁層を用意する工程、端子部を含む導体パターンを、前記ベース絶縁層の上に形成する工程、前記ベース絶縁層における前記端子部から露出する端子部非対向部分を、その厚みが、前記ベース絶縁層における前記端子部と上下方向に対向する端子部対向部分の厚みよりも薄くなるようにエッチングする工程、および、前記端子部の上面および両側面に、前記端子部の両側面に形成される金属めっき層の下端縁の底面と、前記端子部非対向部分の上面との間に隙間が形成されるように、金属めっき層を形成する工程を備えていることを特徴としている。
このフレキシブル配線回路基板1は、長手方向に延びる帯板状に形成され、図1(b)に示すように、絶縁層としてのベース絶縁層2と、そのベース絶縁層2の上に形成された導体パターン3と、その導体パターン3を被覆するように、ベース絶縁層2の上に形成されたカバー絶縁層4とを備えている。
各配線3a、3b、3cおよび3dは、このフレキシブル配線回路基板1の長手方向に沿って、フレキシブル配線回路基板1の長手方向一端縁の近傍まで延び、かつ、幅方向(フレキシブル配線回路基板1の長手方向と直交する方向)において、互いに間隔を隔てて並列配置されるように、形成されている。
すなわち、フレキシブル配線回路基板1の長手方向一端縁からカバー絶縁層4の長手方向一端縁までの間は、カバー絶縁層4が形成されておらず、ベース絶縁層2および複数の配線3a、3b、3cおよび3dが、カバー絶縁層4から露出されており、各配線3a、3b、3cおよび3dの露出部分が、平面視略矩形状の端子部5とされている。
そして、このフレキシブル配線回路基板1では、図1(c)に示すように、各端子部5において、各端子部5を被覆する金属めっき層6の下端縁の底面7と、その底面7に対して上下方向に対向するベース絶縁層2の金属めっき層対向部分8とが、隙間9が形成されるように、間隔を隔てて設けられている。
この方法では、まず、図2(a)に示すように、ベース絶縁層2を用意する。ベース絶縁層2は、フレキシブル配線回路基板1のベース絶縁層2として用いられるものであれば、特に制限されず、例えば、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテルニトリル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などの合成樹脂のフィルムが用いられる。耐熱性の観点からは、好ましくは、ポリイミド樹脂フィルムが用いられる。ベース絶縁層2の厚みは、例えば、5〜50μm、好ましくは、10〜30μmである。
すなわち、アディティブ法では、まず、ベース絶縁層2の全面に、種膜となる金属薄膜を形成する。金属薄膜は、クロム、ニッケル、銅およびこれらの合金などから、スパッタリング法などの薄膜形成法を用いて、形成することができる。次いで、その金属薄膜の表面に、導体パターン3に対する反転パターンで、めっきレジストを形成する。めっきレジストは、ドライフィルムレジストなどを用いて、公知の方法により形成することができる。その後、めっきレジストから露出するベース絶縁層2の表面に、導体パターン3を形成する。導体パターン3は、銅などから、電解めっきにより形成することができる。その後、めっきレジストをエッチングまたは剥離により除去し、導体パターン3から露出する金属薄膜をエッチングにより除去する。
また、このエッチングにおいて、導体パターン非形成部分10の薄層化率(エッチング前の厚みに対する、エッチングにより除去した厚みの比率)は、10〜50%である。
カバー絶縁層4は、ベース絶縁層2と同様の合成樹脂が用いられる。好ましくは、上記した合成樹脂において、感光性樹脂であるもの、さらに好ましくは、感光性ポリイミド前駆体樹脂(ポリアミック酸樹脂)が用いられる。
カバー絶縁層4の形成は、例えば、感光性樹脂のワニスを、導体パターン3を含むベース絶縁層2の全面に塗布した後、フォトマスクを介して露光し、その後、現像することにより、フレキシブル配線回路基板1の長手方向一端部において、ワニスからベース絶縁層2および導体パターン3が露出するように(つまり、フレキシブル配線回路基板の長手方向一端部にカバー絶縁層4が形成されないように)パターニングする。
また、カバー絶縁層4は、感光性樹脂を用いなくとも、例えば、予め外形加工した合成樹脂のフィルムを、必要により接着剤層を介して、導体パターン3を含むベース絶縁層2の上に、フレキシブル配線回路基板1の長手方向一端部を被覆しないように、貼着することにより、形成することもできる。
これによって、フレキシブル配線回路基板1の一端部において、カバー絶縁層4から露出する導体パターン3の各配線3a、3b、3cおよび3dの露出部分が、平面視略矩形状の端子部5とされる。
また、ベース絶縁層2における端子部5が形成されていない部分(つまり、フレキシブル配線回路基板1の一端部において、カバー絶縁層4から露出するベース絶縁層2の導体パターン非形成部分10)が、端子部非対向部分13とされる。
次いで、この方法では、図2(e)に示すように、各端子部5の表面(露出している上面、幅方向両側面および長手方向一側面)に、金属めっき層6を形成して、フレキシブル配線回路基板1を得る。
そして、このようにして各端子部5の表面に金属めっき層6が形成されると、ベース絶縁層2の端子部対向部分12の厚みが、端子部非対向部分13の厚みよりも厚く形成されていることから、各端子部5を被覆する金属めっき層6の下端縁の底面7と、その底面7に対して上下方向に対向する端子部非対向部分13の金属めっき層対向部分8とが、隙間9が形成されるように、間隔を隔てて配置される。
また、このフレキシブル配線回路基板1では、導体パターン非形成部分10の厚みを、導体パターン形成部分11の厚みよりも、薄くなるようにエッチングして、ベース絶縁層2の端子部対向部分12の厚みが、端子部非対向部分13の厚みよりも厚くなるように形成することによって、各端子部5を被覆する金属めっき層6の下端縁の底面7と、端子部非対向部分13の金属めっき層対向部分8の間に、隙間9を形成している。そのため、簡易な方法により、各端子部5を被覆する金属めっき層6の下端縁の底面7と、端子部非対向部分13の金属めっき層対向部分8の間に隙間9を形成して、めっき液中のイオン性不純物が残渣として残存することを、防止している。
次いで、この方法では、図3(d)に示すように、カバー絶縁層4の表面に、保護層14を形成する。保護層14は、特に制限されず、例えば、感光性レジストなどを用いて、カバー絶縁層4の表面を被覆するように形成する。なお、保護層14の厚みは、例えば、5〜50μm、好ましくは、10〜30μmである。
その後、この方法では、図3(f)に示すように、保護層14を、エッチングまたは剥離により除去した後、図3(g)に示すように、上記と同様に、各端子部5の表面に、金属めっき層6を形成して、フレキシブル配線回路基板1を得る。
このように、図3に示す方法によれば、ベース絶縁層2におけるカバー絶縁層4が形成されている部分の厚みを薄くすることなく、ベース絶縁層2の端子部非対向部分13の厚みを、端子部対向部分12の厚みよりも薄く形成して、各端子部5を被覆する金属めっき層6の下端縁の底面7と、端子部非対向部分13の金属めっき層対向部分8の間に、隙間9を形成することができる。
また、図4に示す方法のように、カバー絶縁層4の厚みを、より厚く形成することにより、保護層14を形成しその後除去する工程を省略することもできる。
すなわち、図4に示す方法では、図3に示す方法と同様に、ベース絶縁層2を用意して(図4(a)参照)、そのベース絶縁層2の上に、導体パターン3を形成した後に(図4(b)参照)、図4(c)に示すように、カバー絶縁層4を、厚く形成する。カバー絶縁層4の形成は、上記と同様の方法が用いられる。また、カバー絶縁層4の厚みは、上記したカバー絶縁層4の厚みに対して、エッチングにより目減りする厚みを見越して、厚めに設定する。具体的な厚みは、カバー絶縁層4を形成する合成樹脂の種類により、適宜設定する。また、カバー絶縁層4は、好ましくは、エッチングされにくい合成樹脂、例えば、ポリイミド樹脂などから形成する。
このように、図4に示す方法によれば、ベース絶縁層2におけるカバー絶縁層4が形成されている部分の厚みを薄くすることなく、しかも、保護層14を形成しその後除去する工程を省略することができる。
すなわち、図5に示す方法では、まず、図5(a)に示すように、ベース絶縁層2として、エッチングしにくいアンダー絶縁層15を用意して、図5(b)に示すように、このアンダー絶縁層15の上に、エッチングしやすいオーバー絶縁層16を積層して、ベース絶縁層2を形成する。
なお、保護層14の材料や厚みを、図5(f)に示す工程において、端子部非対向部分13のエッチングと同時にエッチングにより除去できるように選定しておけば、図5(g)に示す保護層14の除去工程を省略することができる。
なお、上記の説明では、本発明の配線回路基板を、片面フレキシブル配線回路基板として説明したが、本発明の配線回路基板は、両面フレキシブル配線回路基板に適用することができ、さらには、リジッド−フレキシブル配線回路基板やリジッド配線回路基板に適用することもできる。
実施例1
厚み18μmの電解銅箔の裏面に、厚さ20μmの熱硬化性ポリイミド樹脂を、厚さ5μmの熱可塑性ポリイミド樹脂を介して、加熱加圧により貼着することにより、二層基材を形成した。
その後、水酸化ナトリウム水溶液を用いて、ベース絶縁層における端子部非対向部分を、ベース絶縁層における端子部対向部分に対して、5μm薄くなるようにエッチングした。このエッチングは、液温70℃、80秒間実施した。
比較例1
水酸化ナトリウム水溶液を用いる端子部非対向部分のエッチング工程を省略したこと以外は、実施例1と同様の方法により、フレキシブル配線回路基板を得た。
上記により得られた実施例1および比較例1のフレキシブル配線回路基板を、85℃、85%RHの高温高湿雰囲気下に設置して、印加電圧100Vで通電試験を実施した。
その結果、比較例1は、600時間の通電で端子間の絶縁抵抗値が1MΩ以下に低下して、絶縁不良を生じた。一方、実施例1は、1000時間の通電でも、端子間の絶縁抵抗値が100MΩ以上を保持して、絶縁不良を生じなかった。
2 ベース絶縁層
3 導体パターン
5 端子部
6 金属めっき層
8 金属めっき層対向部分
12 端子部対向部分
Claims (3)
- 絶縁層と、前記絶縁層の上に形成された導体パターンとを備える配線回路基板において、
前記導体パターンは、端子部を含み、
前記端子部の上面および両側面には、金属めっき層が形成されており、
前記絶縁層は、前記端子部と上下方向に対向する端子部対向部分と、前記金属めっき層と上下方向に対向する金属めっき層対向部分とを備え、
前記金属めっき層対向部分の厚みが、前記端子部対向部分の厚みより、薄く形成され、
前記金属めっき層と前記絶縁層とは、前記端子部の両側面に形成される前記金属めっき層の下端縁の底面と、前記金属めっき層対向部分の上面との間に隙間が形成されるように、形成されていることを特徴とする、配線回路基板。 - 前記端子部が、互いに間隔を隔てて複数設けられており、
前記絶縁層は、各前記端子部の間の厚みと、前記金属めっき層対向部分の厚みとが、実質的に同一厚みとなるように、形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の配線回路基板。 - ベース絶縁層を用意する工程、
端子部を含む導体パターンを、前記ベース絶縁層の上に形成する工程、
前記ベース絶縁層における前記端子部から露出する端子部非対向部分を、その厚みが、前記ベース絶縁層における前記端子部と上下方向に対向する端子部対向部分の厚みよりも薄くなるようにエッチングする工程、および、
前記端子部の上面および両側面に、前記端子部の両側面に形成される金属めっき層の下端縁の底面と、前記端子部非対向部分の上面との間に隙間が形成されるように、金属めっき層を形成する工程
を備えていることを特徴とする、配線回路基板の製造方法。
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