図1は、本発明の一形態に係るゲーム機の制御系の構成を示すブロック図である。ゲーム機1は、プレイヤーの操作を受け付ける入力装置としてのスタートボタン2、ベット操作ボタン3及び払出要求ボタン4と、表示装置としてのモニタ5と、遊技媒体としてのメダルの投入及び払い出しを管理するメダル管理装置6と、ゲームを制御する制御ユニット10とを備えている。スタートボタン2は、プレイヤーの押下げ操作に応答してゲーム開始信号を制御ユニット10に出力する。ベット操作ボタン3は、プレイヤーにより押下げ操作される毎にベット信号を制御ユニット10に出力する。払出要求ボタン4は、プレイヤーの押下げ操作に応答してメダル払出要求信号を制御ユニット10に出力する。モニタ5は制御ユニット10から出力される画像信号に応じたゲーム画面等を表示する。メダル管理装置6は、プレイヤーによるメダルの投入を検出する毎にメダル投入信号を制御ユニット10に出力し、制御ユニット10からのメダル払出信号に応答してプレイヤーにメダルを払い出す。
制御ユニット10は、マイクロプロセッシングユニット(MPU)11と、そのMPU11の動作に必要なROM、RAM等からなる主記憶装置12といった各種の周辺装置とを組み合わせたコンピュータユニットとして構成される。制御ユニット10には、磁気ディスク記憶装置等を用いた外部記憶装置13が接続されている。外部記憶装置13には、ゲームを制御するためのプログラム及びデータが保存されており、それらのプログラム及びデータはMPU11の指示に従って外部記憶装置13から主記憶装置12に適宜に読み込まれる。制御ユニット10は、その主記憶装置12に読み込まれたプログラムに従ってMPU11が各種の演算処理及び動作制御を実行することにより、ゲームの進行を制御する。なお、本形態のゲーム機は、一例として、ボタン2〜4、モニタ5、メダル管理装置6、及び制御ユニット10が不図示の筐体に組み付けられ、メダルによって象徴される遊技価値と引き換えに所定範囲のゲームをプレイヤーに提供する商用のゲーム機として構成される。
図2は、制御ユニット10の制御に基づいてモニタ5に表示されるゲーム画面の基本構成を示す。ゲーム画面100には、スロット表示部101と、ライン配当表示部102と、メダル枚数表示部103とが設けられている。スロット表示部101には、入賞条件の成否の判別対象となる所定領域としてのメインスロット101aと、リザーブエリア101bとが設けられている。メインスロット101aには、3行3列のマトリクス状に並べられた9個のシンボル表示部としてのコマ104が設けられる。各コマ104には、複数種類のシンボルから選択された一つのシンボルがそれぞれ表示される。シンボルの種類は、絵柄、図柄、数字、色、形状等といったプレイヤーが識別可能な視覚的要素によって区分される。ゲーム画面100においては、シンボルが、例えば、数字の「7」が付されたシンボル105a、「ベル」の図柄が付されたシンボル105bのように、シンボルの種類を区別する情報としての各種の絵柄、図柄、数字、形状等を付した態様で表示される。メインスロット101aには、縦方向に3本、横方向に3本、斜め方向(メインスロット101aの対角線方向)に2本の合計8本の入賞ラインが設定されている。プレイヤーが賭けたメダルの枚数に関わりなく、入賞ラインの本数は常に8本に設定される。いずれかの入賞ライン上の3つのコマ104の全てに同一種類のシンボルが配置されるとライン当り役が完成する。つまり、3つの同一種類のシンボルがそれらの間に他の種類のシンボルを挟むことなく一方向に隣接(連続)している場合にライン当り役となる。リザーブエリア101bには、所定の条件が成立した場合にメインスロット101aに移動する3つのシンボルが、縦方向の3本の入賞ラインと列を合わせてそれぞれ表示される。
ライン配当表示部102には、オッズ表示部102aと、そのオッズ表示部102aの上方に隣接するネクストオッズ表示部102bとが設けられている。オッズ表示部102aは、ライン当り役のそれぞれと、配当値としてのオッズ(配当率)とが1:1で対応付けて表示された配当表として機能する。オッズ表示部102aの左側には複数のライン当り役のそれぞれが上下方向に並べて表示され、右側にはそれらのライン当り役に対応するオッズが表示される。オッズ表示部102aにおけるライン当り役の並び順は、成立する確率が低いライン当り役ほどオッズ表示部102aの上端部に近くなるように設定されている。オッズは、原則として、上方に位置するものほど高く設定されている。但し、異なる当り役に対して同一のオッズが設定されることもある。図2の例では、最下段の「チェリー」の当り役と、下から2段目の「オレンジ」の当り役とに同一のオッズ1が設定されている。同一のオッズに複数のライン当り役が対応付けられている場合、それらのライン当り役が成立する確率は互いに等しくてもよいし、幾らか異なってもよい。
オッズ表示部102aに表示されるライン当り役とオッズとの対応関係は、制御ユニット10の主記憶装置12に記憶されたオッズ候補データD1(図10A参照)に基づいて制御される。ライン当り役とオッズとの対応関係は、ゲームにおいて所定の配当変更条件が成立した場合に変更される。図2は初期状態の対応関係を示している。ネクストオッズ表示部102bには、配当変更条件が成立したときにオッズ表示部102aの最上段に充当されるべきオッズが表示される。以下において、ネクストオッズ表示部102bに表示されるオッズを、オッズ表示部102aにて当り役と対応付けて表示されるオッズと区別する意味で、ネクストオッズと表現することがある。オッズ表示部102a及びネクストオッズ表示部102bにおけるオッズ及びネクストオッズの表示制御の詳細は後述する。
メダル枚数表示部103には、ゲーム画面100の左から右に向かって、ベット枚数(BET)、的中枚数(WIN)、払出枚数(PAID)及びクレジット枚数(CREDIT)がそれぞれ表示される。ベット枚数はプレイヤーがベットした(賭けた)メダルの枚数であり、的中枚数はプレイヤーに配当されるメダルの枚数であり、払出枚数はプレイヤーに払い出されるメダルの枚数であり、クレジット枚数はゲームに対してベットすることが可能なメダルとしてゲーム機がプレイヤーから現に預かっているメダルの枚数である。メダル枚数表示部103に表示されるべきメダルの枚数は、制御ユニット10のMPU11にて適時に演算されて主記憶装置12に記憶される。MPU11は、メダル管理装置6からメダル投入信号が出力される毎にクレジット枚数を1ずつ加算する。一方、MPU11は、ベット操作ボタン3からベット信号が出力される毎にクレジット枚数を1ずつ減算する一方でベット枚数を1ずつ加算する。ゲームにおいてプレイヤーへの配当が発生すると、MPU11は、その配当されるメダルの枚数を的中枚数として一時的に表示し、その後、適当なタイミングでクレジット枚数に配当枚数を加算する。配当枚数のクレジット枚数への加算により配当が確定する。払出要求ボタン4からメダル払出要求信号が出力されると、その時点で記憶されているクレジット枚数のメダルの払い出しがMPU11からメダル管理装置6に指示され、その枚数が払出枚数として表示されるとともに、主記憶装置12に記憶されたクレジット枚数の値がゼロにリセットされる。
次に、制御ユニット10がそのMPU11の演算機能等を利用して実行するゲームの処理について説明する。制御ユニット10の主記憶装置12に記憶されたベット枚数が1以上の状態でスタートボタン2からゲーム開始信号が出力されると、制御ユニット10は図3のゲーム処理を実行する。このゲーム処理の開始から終了までが、遊技価値と引き換えに提供される所定範囲のゲームであり、以下ではこれを一回のゲームと呼ぶことがある。
図3のゲーム処理において、制御ユニット10は、まずステップS1でリザーブエリア101bにフリーシンボル又はワイルドシンボルを出現させるか否かを抽選する(以下、この処理を特殊シンボル抽選という。)。フリーシンボル及びワイルドシンボルのそれぞれは、リザーブエリア101bからメインスロット101aに移動することを条件として、特別なゲーム状態を発生させる特殊シンボルとして定められている。詳細は後述する。図14はリザーブエリア101bからメインスロット101aにフリーシンボル160が移動する過程を示し、図17はワイルドシンボル170がメインスロット101aに移動した様子を示す。なお、図17においてワイルドシンボル170には数値「7」が付されているが、その数値はワイルドシンボル170の有効回数を示す値としてワイルドシンボル170上に表示される。本明細書では、数値Nが付されたワイルドシンボルを、ワイルドNシンボルと呼ぶことがある。特殊シンボルを出現させるか否かは特殊シンボル抽選のみで抽選され、それ以外の抽選処理では、特殊シンボルが抽選対象から外される。つまり、特殊シンボル抽選以外の抽選にて特殊シンボルが抽選されることはない。
特殊シンボル抽選は、一例として、図4の特殊シンボル抽選テーブルTB1を用いて行われる。特殊シンボル抽選テーブルTB1は、所定の桁数の乱数と、抽選の選択肢とされるべきシンボル候補としての特殊シンボル及び通常シンボルとを対応付けたものであり、外部記憶装置13に予め保存されて制御ユニット10の主記憶装置12に読み込まれる。図4のテーブルTB1における通常シンボルは、スロット表示部101に出現し得る全てのシンボルから特殊シンボルを除いたシンボルの総称であり、特殊シンボル以外の特定の絵柄等が付されたシンボルを意味するものではない。特殊シンボル及び通常シンボルのそれぞれには、目標とする出現確率に応じた個数の乱数が予め割り当てられる。言い換えれば、乱数が発生する確率は互いに等しいため、各シンボルに割り当てられた乱数の個数により各シンボルの出現する確率が定まる。リザーブエリア101bには3つのシンボルが表示されるため、フリーシンボルに関しては、その出現個数が1つの場合、2つの場合、3つの場合のそれぞれに対して乱数が割り当てられる。出現個数が多いほど乱数の個数が少なく設定される。従って、フリーシンボルの出現個数が多いほど確率が低い。一方、ワイルドシンボルに関しては、リザーブエリア101bへの出現数が1に限られている。但し、数値N(=3、5、10…)が大きいほど出現確率が低下するようにワイルドシンボルのそれぞれに割り当てられる乱数の個数が差別化される。
ステップS1の特殊シンボル抽選では、特殊シンボル抽選テーブルTB1に書き込まれている乱数のいずれかが抽選され、選ばれた乱数に対応付けられたシンボルが特殊シンボル抽選テーブルTB1から特定され、そのシンボルが出現シンボルとして決定される。フリーシンボル又はワイルドシンボルが抽選された場合には、リザーブエリア101b上でその特殊シンボルを出現させるべき位置についても適当な方法で決定される。フリーシンボルを3つ出現させる場合には位置を決定する必要はない。
図3に戻って説明を続ける。特殊シンボル抽選を終えると、制御ユニット10は次のステップS2に進み、特殊シンボル抽選にて選ばれたシンボルがフリーシンボルか否かを判断する。選ばれたシンボルがフリーシンボルの場合、制御ユニット10はステップS3に進んでフリーシンボルの出現時の演出を開始する。演出は、例えば、リザーブエリア101bの特殊シンボルを出現させるべき位置にて、各種のシンボルが順次入れ替わるアニメーションを表示し、最終的にはフリーシンボルが出現した状態でアニメーションを終了させるといった手法で行われる。演出開始後、制御ユニット10はステップS4に進み、フリーシンボルの出現に対応したサブルーチン処理としてのフリーゲーム処理(図12)を実行する。ステップS4のサブルーチン処理の終了を待って、制御ユニット10は今回のゲーム処理を終了する。
ステップS2にてフリーシンボルでないと判断された場合、制御ユニット10はステップS5へ進み、選ばれたシンボルがワイルドシンボルか否かを判断する。選ばれたシンボルがワイルドシンボルの場合、制御ユニット10はステップS6に進んでワイルドシンボルを出現させるための演出を開始する。演出はステップS3のそれと同様に行えばよい。演出開始後、制御ユニット10はステップS7に進み、ワイルドシンボルの出現に対応したサブルーチン処理としてのワイルドシンボル処理(図16)を実行する。ステップS7のサブルーチン処理の終了を待って、制御ユニット10は今回のゲーム処理を終了する。
ステップS5にてワイルドシンボルでないと判断された場合、制御ユニット10はステップS8へ進み、通常シンボルが選択された場合に対応するサブルーチン処理としての通常ゲーム処理(図5)を実行する。通常ゲーム処理へと進んだ場合、リザーブエリア101bには通常シンボルのみが表示される。この場合、前回のゲーム終了時においてリザーブエリア101bに通常シンボルのみが出現していれば、それらのシンボルの表示を継続すればよい。リザーブエリア101bに特殊シンボルが出現している状態で前回のゲームが終了しているときには、その特殊シンボルに代えて通常シンボルのいずれかを出現させる。あるいは、前回のゲーム終了時におけるリザーブエリア101bの状態に関わりなく、リザーブエリア101bに出現させるべき3つのシンボルを通常シンボルから抽選し、選ばれたシンボルを出現させてもよい。通常シンボルの抽選が必要な場合には、特殊シンボルの抽選と同様に乱数を利用して抽選をすればよい。ステップS8に進んだ場合、制御ユニット10は、その通常ゲーム処理の終了を待って、今回のゲーム処理を終了する。なお、図3のゲーム処理にてリザーブエリア101bに出現させるべき3つのシンボルが決定された場合、制御ユニット10は、リザーブエリア101bにおけるシンボルの配置を特定するためのリザーブエリアデータを主記憶装置12に書き込む。
次に、図5を参照して通常ゲーム処理を説明する。通常ゲーム処理において、制御ユニット10はまずステップS11にてメインスロット101aの9個のコマ104(図2参照)に出現させるべきシンボルを抽選する(以下、この処理をメインスロット抽選という。)。メインスロット抽選は、一例として、図6に示すメインスロット抽選テーブルTB2を参照して行われる。メインスロット抽選テーブルTB2は、通常シンボルとして総称される複数のシンボルのそれぞれと、所定の桁数の乱数とを対応付けたものであり、外部記憶装置13に予め保存されて主記憶装置12に読み込まれる。メインスロット抽選テーブルTB2において、各シンボルに割り当てられる乱数の個数はシンボルの出現確率に応じて調整される。図2のオッズ表示部102aにおけるライン当り役の並び順が各ライン当り役の成立する確率に従って設定されていることを前提とすれば、成立する確率が最も低い「777」のライン当り役を構成する「7」のシンボルが出現する確率も最も低く、これに割り当てられる乱数の個数は最小値に設定される。これよりも成立する確率が高い「ベル」のライン当り役を構成する「ベル」のシンボルに対してはより多くの個数の乱数が割り当てられる。
ステップS11のメインスロット抽選では、メインスロット101aの9個のコマ104のそれぞれについて、メインスロット抽選テーブルTB2に書き込まれている乱数のいずれかが抽選される。続いて、選ばれた乱数にそれぞれ対応付けられたシンボルがメインスロット抽選テーブルTB2から特定され、それらのシンボルが各コマ104に出現させるべきシンボルとして決定される。なお、ステップS11において、コマ104の抽選は互いに独立して行われる。いずれかのコマ104に関する抽選結果が他のコマ104の抽選に影響を与えることはない。各コマ104のシンボルが決定されると、制御ユニット10は、選ばれた各シンボルをメインスロット101aに所定の演出を与えつつ出現させる。演出は、例えば各コマ104にてシンボルを順次入れ替えるアニメーションを表示させる等、適宜の手法を用いてよい。また、制御ユニット10は、メインスロット101aにおけるシンボルの配置、つまり各コマ104にどのシンボルが表示されるか、を特定するシンボル配置データをその主記憶装置12に書き込む。
次のステップS12において、制御ユニット10は、シンボル配置データを検査してメインスロット101a上で当り役が成立しているか否か、言い換えれば入賞条件が成立したか否かを判断する。この場合、判断対象となる当り役には、上述したライン当り役に限らず他の当り役も含まれる。図7は、ライン当り役110に加えて、他の当り役としてコネクトボーナス当り役111が成立している例を示す。コネクトボーナス当り役111は、入賞ライン以外で3個以上の同一種類のシンボルが連続している場合に成立する。つまり、一つのコマのシンボルを考えたとき、そのシンボルを基準として上下方向及び左右方向にそれぞれ同一種類のシンボルが一つずつ配置されているときにコネクトボーナス当り役が成立する。コネクトボーナス当り役111を形成するシンボルの一部がライン当り役110に含まれてもよい。図5のステップS12では、ライン当り役及びコネクトボーナス当り役の少なくともいずれか一方が成立すれば、当り役が成立していると判断される。ステップS12にて当り役が成立していない場合、制御ユニット10は通常ゲーム処理を終了し、図3のゲーム処理に戻る。
図5のステップS12にて当り役が成立している場合には、制御ユニット10は次のステップS13に進み、成立した当り役に応じた配当をプレイヤーに付与する。ライン当り役が成立している場合、ベット枚数に、その成立したライン当り役に対応付けられたオッズを乗算した枚数のメダルが配当として付与される。ライン当り役とオッズとの対応関係は、当り役の成立時点で図2のオッズ表示部102aに表示されている通りである。例えば、図7に示すように「ベル」のシンボルによってライン当り役110が形成されている場合、図2のオッズ表示部102aでは「ベル」のオッズが5であるため、ベット枚数を5倍した枚数のメダルが配当として付与される。
ステップS12にてコネクトボーナス当り役が成立している場合には、ベット枚数に、その成立したコネクトボーナス当り役に対応付けられたオッズを乗算した枚数のメダルが配当として付与される。コネクトボーナス当り役とオッズとの対応関係は例えば図8に示す個数配当表120の通りに設定される。個数配当表120は、行方向(横方向)にシンボルが、列方向(縦方向)にコネクトボーナス当り役を形成しているシンボルの個数がそれぞれ並べられたテーブルとして構成されている。コネクトボーナス当り役を形成しているシンボル及びそのシンボルが並ぶ個数に対応付けられた箇所のオッズがコネクトボーナス当り役に対応付けられたオッズである。外部記憶装置13には、図8の個数配当表120の対応関係を記述したデータテーブルが予め保存され、そのデータテーブルも主記憶装置12に適宜に読み込まれる。制御ユニット10、より具体的に言えばMPU11は、そのデータテーブルを参照して、コネクトボーナス当り役に対応付けられたオッズを特定し、プレイヤーへの配当を演算する。図7の例では「オレンジ」の図柄が付された4個のシンボルによってコネクトボーナス当り役111が成立しているため、「オレンジ」のシンボルと個数4とに対応するオッズとして「1」が特定され、ベット枚数と同数のメダルが配当として付与される。なお、コネクトボーナス当り役と同時にライン当り役が成立している場合には、両当り役にそれぞれ対応する配当の合計値が配当として付与される。制御ユニット10は、ステップS13で演算されたメダル枚数を的中枚数に加算することにより、プレイヤーへの配当を実現する。
図5のステップS13で配当が付与された後、制御ユニット10は、次のステップS14に進み、当り役を形成するシンボルがメインスロット101aから消去され、その消去により空白となったコマ104には、その上方に隣接するコマ104のシンボルが移動するように、主記憶装置12上のシンボル配置データを更新する。そのシンボル配置データの更新に伴って、制御ユニット10は、メインスロット101a上で、シンボルが消去され、あるいは移動する様子を表示する。図7の例では、「ベル」のシンボルと、「オレンジ」のシンボルとが消去され、「7」のシンボル112と「プラム」のシンボル113とがメインスロット101aの下方に1行ずつ移動するようにメインスロット101aのシンボルの配置が変更される。
上述したシンボルの消去及び移動を実施した場合、メインスロット101aには空白のコマ104が残る。その空白を埋めるため、制御ユニット10は、次のステップS15にて、リザーブエリア101bに表示されているシンボルが空白のコマ104に移動するようにシンボル配置データを更新し、かつリザーブエリア101bからメインスロット101aへのシンボルの移動を表示する。例えば、図7では、左側より1列目、2列目のコマ104は空白となる。1列目に対しては、リザーブエリア101bから、「ベル」のシンボル114が3行目(最下段)のコマ104まで移動し、2列目も同様に「プラム」のシンボル115が3行目のコマ104まで移動する。3列目では、リザーブエリア101bから1行目の空白のコマ104に「プラム」のシンボル116が移動する。なお、リザーブエリア101bからメインスロット101aへのシンボルの移動に伴って、リザーブエリアデータも更新される。
リザーブエリア101bからメインスロット101aへシンボルが移動した場合、リザーブエリア101bに空白が生じる。そこで、制御ユニット10は、次のステップS16にて、リザーブエリア101bの空白部分に表示させるべきシンボルを抽選する(以下、リザーブエリア抽選という)。リザーブエリア抽選は、メインスロット抽選と同様に乱数を利用して行えばよい。なお、リザーブエリア抽選では通常シンボルのみが抽選対象となり、特殊シンボルは抽選対象から除外される。つまり、リザーブエリア抽選にて特殊シンボルが抽選されることはない。リザーブエリア抽選に伴ってリザーブエリアデータも更新される。
次のステップS17にて、制御ユニット10は、メインスロット101aの全コマ104にシンボルが配置されているか否かをシンボル配置データに基づいて判断する。つまり、リザーブエリア101bからのシンボルの移動により、空白のコマ104がなくなったか否かを判断する。シンボルが配置されていないコマ104が残っている場合、制御ユニット10は、全ての空白のコマ104がシンボルで埋められるまでステップS15〜S17の処理を繰り返す。その繰り返しにより、リザーブエリア101bからメインスロット101aにシンボルが順次移動し、リザーブエリア101bには新たなシンボルが充当される。シンボル配置データ及びリザーブエリアデータは、移動後のシンボルの配置に対応した内容に更新される。
ステップS17にて全てのコマ104にシンボルが配置されたと判断した場合、制御ユニット10はステップS18に進む。つまり、スロット表示部101にてシンボルの移動等がなくなり、メインスロット101a及びリザーブエリア101bの両者のシンボルが確定した後に制御ユニット10はステップS18に進む。ステップS18において、制御ユニット10は、シンボル配置データを検査することにより、メインスロット101aにて当り役が成立しているか否かを判断する。この処理は、ステップS13の処理と同様に、ライン当り役及びコネクトボーナス当り役がそれぞれ成立しているか否かを判断するものである。但し、ステップS18の処理では、判断対象がステップS14〜S17の処理によってシンボルが再配置されたメインスロット101aとされる点においてステップS12の処理と異なる。
シンボルの再配置によって新たに当り役が形成される例を図9に示す。図9の左側のスロット表示部101Aは、ステップS14で当り役が消去された時点の状態であり、同図の右側のスロット表示部101BはステップS17が肯定された場合、つまりシンボルの再配置が完了した時点の状態をそれぞれ示す。図9のスロット表示部101Aにおいては、左側の列上にある3つのコマ104が空白である。この場合、リザーブエリア101bの左端に配置されている「ベル」のシンボル130が最下段のコマ104まで移動する。さらに、2行目、1行目のコマ104にはステップS16のリザーブエリア抽選によって順次シンボルが配置される。図9のスロット表示部101Bでは、2行目に「プラム」のシンボルが、1行目に「オレンジ」のシンボルが配置されている。シンボルの再配置後のスロット表示部101Bでは、3行目において「ベル」のライン当り役110Bが成立している。このようなシンボル再配置後の当り役の成否がステップS18にて判断される。
ステップS18にて当り役が成立する場合、制御ユニット10はステップS19に進み、成立した当り役に応じた配当をプレイヤーに付与する。この処理はステップS13の処理と同様でよい。続くステップS20において、制御ユニット10は、オッズ表示部102aに表示されているオッズの列が下方に一段シフトするように、ライン当り役とオッズとの対応関係を変更する。つまり、制御ユニット10は、シンボル再配置後に当り役が形成している場合に配当変更条件が成立したものとして、ライン当り役とオッズとの対応関係を変更する。以下、対応関係の制御手法の一例を説明する。
ライン当り役とオッズとの対応関係の制御にて参照されるべきデータの一種として、外部記憶装置13には、図10Aに示すオッズ候補データD1が配当候補データとして予め記憶されている。オッズ候補データD1は所定数のオッズ候補値(配当候補値に相当。)を所定の順序で並べたデータ構造を有している。オッズ候補値の個数はオッズ表示部102aに表示されるライン当り役の個数よりも十分に多い。オッズ候補値の並び順序は、原則としてオッズ候補データD1の先頭(図10Aにおいて左端)から末尾に向かうほどオッズ候補値が大きく(高く)なるように設定される。但し、同一の値が複数個連続する場合もある。図10Aの例では先頭及び次のオッズ候補値が、いずれも1に設定されている。オッズの制御においては、オッズ候補データD1に対して、ライン当り役の個数よりも1つ多い個数の一連のオッズ候補値の集合が制御ユニット10により選択オッズ群(選択配当値群に相当。)として選択される。そして、選択オッズ群の先頭のオッズ候補値から末尾に向かって当り役と同数の一連のオッズ候補値がライン当り役と1:1に対応するオッズとして選択され、選択オッズ群の末尾に位置するオッズ候補値がネクストオッズとして選択される。
選択オッズ群に含まれるオッズ候補値のそれぞれと、ライン当り役との対応関係は、オッズ表示部102aの最下段を先頭としたときのライン当り役の並び順と、オッズ候補データD1におけるオッズ候補値の並び順とが一致するように定められる。これにより、成立する確率が低いライン当り役ほど高いオッズが設定される。例えば、選択オッズ群の先頭のオッズ候補値は、オッズ表示部102aにおいて最下段に表示される「チェリー」のライン当り役に対するオッズとなり、先頭から2番目のオッズ候補値は「オレンジ」のライン当り役に対するオッズとなり、選択オッズ群の末尾から2番目のオッズ候補値が「7」のライン当り役に対応するオッズとなる。そして、オッズ表示部102aには、これらの対応関係に従って、ライン当り役のそれぞれに対するオッズが表示される。ネクストオッズ表示部102bには、ネクストオッズ、つまり選択オッズ群の末尾のオッズ候補値が表示される。
ライン当り役とオッズとの対応関係の変更は、配当変更条件が成立する毎にオッズ候補データD1上に設定される選択オッズ群の範囲をオッズが高くなる方向にオッズ候補値1個分ずつシフトさせることによって実現される。これにより、配当変更条件が成立する毎に配当の期待値が高まる。ここでいう期待値とは、各ライン当り役が成立する確率とオッズとの積の総和であって、メダルを一枚ベットしたときにプレイヤーが期待し得るメダルの配当枚数を意味する。
選択オッズ群の範囲を変化させるための一手法を以下に説明する。図5の通常ゲーム処理が開始された後、まだ配当変更条件が一回も成立していない状態を初期状態とし、その初期状態からの配当成立条件の成立回数を判別するための変数iを主記憶装置12に保持しておく。但し、初期状態を変数i=0とし、配当変更条件が成立する毎に変数iに1を加算する。そして、オッズ候補データD1からi番目のオッズ候補値が選択オッズ群の先頭の値となるように、オッズ候補データD1上における選択オッズ群の設定範囲を変化させる。この手法によれば、初期状態(i=0)では図10Aに示すようにオッズ候補データD1の先頭からライン当り役の個数よりも一つ多い個数のオッズ候補値が選択オッズ群として選択される。配当変更条件が一回成立した場合には変数i=1となり、選択オッズ群の範囲は、オッズ候補データD1の先頭から末尾に向かってオッズ候補値の1個分だけシフト、つまりずらされる。以下、同様にして、配当変更条件が成立する毎に選択オッズ群の範囲が1つずつシフトされる。すなわち、変数iをオッズ候補データD1の先頭からの選択オッズ群のシフト量として、選択オッズ群の範囲を定めればよい。なお、オッズ候補データD1の末尾のオッズ候補値はネクストオッズ表示部102bのみに表示されるため、ダミーのデータでよい。そのダミーデータは、オッズのシフトが上限に達したことを示す文字列等であってもよい。
以上のように選択オッズ群の設定範囲をシフトすることにより、オッズ表示部102aにおいては、配当変更条件が成立する毎にオッズが一段ずつ下方に移動(シフト)する。その移動でオッズ表示部102aの最上段に生じた空欄、つまり、「777」のライン当り役に対応付けられるべきオッズの欄には、ネクストオッズ表示部102bに表示されたネクストオッズが新たなオッズとして充当される。さらに、ネクストオッズ表示部102bには、選択オッズ群に新たに取り込まれたオッズ候補値が新たなネクストオッズとして表示される。図11はライン配当表示部102の表示変更の一例を示す。図11の左側に示したライン配当表示部102Aは、初期状態におけるオッズ表示部102a及びネクストオッズ表示部102bを含むものである。この状態から配当変更条件が成立すると、同図の右側に示すライン配当表示部102Bのようにオッズの列が下方に一段ずれ、ネクストオッズ表示部102bに表示されていたネクストオッズの50がオッズ表示部102aの最上段の「7」のライン当り役のオッズへと移動する。そして、ネクストオッズ表示部102bには、新たなネクストオッズとして100が表示される。なお、選択オッズ群の範囲がオッズ候補データD1の末尾のオッズ候補値まで達すると、変数iが初期値0に戻される。
上述したオッズ候補データD1及び変数iは、ライン当り役の成立に対する配当を演算する際に、その成立したライン当り役に対応するオッズを特定するためのデータとしても機能する。すなわち、いずれかのライン当り役が成立した場合、その成立したライン当り役のオッズ表示部102aにおける最下段からの順位に変数iを加算した和を、オッズ候補データD1における対応オッズの位置を示す判別値jとして求め、オッズ候補データD1の先頭からj番目に位置するオッズ候補値を、成立したライン当り役に対応するオッズとして特定すればよい。一例として、初期状態から配当変更条件が一回成立した状態(i=1)で、「オレンジ」のライン当り役が成立した場合を考える。「オレンジ」のライン当り役のオッズ表示部102aにおける順位は2であるから、判別値jは3となり、オッズ候補データD1の先頭から3番目のオッズ候補値2が、その時点での「オレンジ」のライン当り役に対応するオッズとして特定される。特定されたオッズ2とメダルのベット数とを乗算すれば配当が得られる。このように、オッズ候補データD1及び変数iは、ライン当り役と配当との対応関係を定義する配当データとして機能する。
なお、オッズ候補データD1と変数iとを利用して選択オッズ群の範囲を特定した後、図10Bに示すように、ライン当り役とオッズとを対応付けて記述した配当テーブルTB3を生成して主記憶装置12に保持し、その配当テーブルTB3を参照して、オッズ表示部102aの表示制御、及び配当演算時のオッズの特定を行ってもよい。この場合にはテーブルTB3が配当データとして機能する。図10Bの例では、配当テーブルTB3にネクストオッズ及びこれに対応するオッズ候補値も記述されており、当該テーブルTB3を参照することによりネクストオッズ表示部102bの表示も制御することができる。但し、ネクストオッズの値に関しては、テーブルTB3とは別のデータとして主記憶装置12に保持されてもよい。
図5に戻って通常ゲーム処理の説明を続ける。ステップS20にてオッズをシフトした後、制御ユニット10はステップS14へ戻り、ステップS14〜ステップS18までの処理を再び実施する。ステップS18にて再度当り役が成立していれば、配当変更条件が再び成立したことになり、ステップS19にて配当が付加され、ステップS20でライン当り役とオッズとの対応関係が変更されてステップS14へ処理が戻される。この繰り返しにより、オッズ表示部102aに表示されるオッズが順次下方へとシフトされ、プレイヤーへの配当の期待値が相対的に高められる。ステップS18にて当り役が成立していないと判断された場合、制御ユニット10はステップS21へ進み、オッズ表示部102aに表示されるオッズを初期化、すなわち、ライン当り役とオッズとの対応関係を上述した初期状態のそれへとリセットする。要するに、当り役を形成しているシンボルの消去、及びその消去に伴うシンボルの再配置をしても当り役が成立しない場合、オッズのシフトが終了して初期状態へ戻される。ステップS21の初期化後、制御ユニット10は通常ゲーム処理を終了し、図3のゲーム処理に戻る。
以上の通常ゲーム処理では、ステップS11のメインスロット抽選にて当り役が形成されると、ステップS14〜S17の処理が実行されることにより、当り役を形成したシンボルが消去され、その消去に伴って生じた空白のコマ104を埋めるようにシンボルが上方から下方へ移動し、移動後に残っている空白のコマ104にはリザーブエリア101bから新たにシンボルが充当されてメインスロット101aに9個のシンボルが再配置される。その再配置によって当り役が形成された場合に配当変更条件が成立してオッズ表示部102aのオッズの列が下方に一段ずつシフトされ、オッズ表示部102aの最下段に表示されていたオッズが消去され、オッズ表示部102aの最上段に生じた空欄にはネクストオッズ表示部102bに表示されていたネクストオッズが新たなオッズとして充当される。そして、ネクストオッズ表示部102bには、新たに選択オッズ群に取り込まれたオッズ候補値がネクストオッズとして表示される。オッズの列が一段シフトしても、オッズ表示部102aの最下段から最上段の一つ手前までのオッズ間には、シフト前のオッズ相互間に設定されているオッズ変化の規則性あるいは秩序がそのまま維持される。従って、オッズがどのように変化するかをプレイヤーに容易に理解させることができる。さらに、オッズ表示部102aの最上段に充当されるオッズが、シフト前においてネクストオッズ表示部102bに予め表示されているので、次回のシフトで最も確率の低い「777」のライン当り役に対してどのようなオッズが設定されるかについても、プレイヤーに容易に理解させることができる。このため、オッズの変化によって無用の混乱が生じるおそれがない。
また、オッズがシフトすれば配当の期待値が上昇するため、オッズの変化に対してプレイヤーの興味を十分に惹き付けることができる。さらに、オッズを一段ずつシフトすることにより各ライン当り役に対するオッズを高い値へと変化させるので、オッズを単純に整数倍する場合と比較して、オッズを細かく制御することができる。図2の例で説明すれば、オッズを一律に2倍する場合、配当枚数が多い「777」のライン当り役に対して設定されるオッズが「30」から「60」へと増加するが、本形態によれば、「30」から「50」へと増加するに過ぎず、オッズの急激な増加を抑えることができる。その一方、「オレンジ」のライン当り役に対しては、「1」から「2」へとオッズを増加させて、確率の高い当り役に対する配当枚数を十分に増加させることができる。つまり、オッズ相互間の変化量又は変化率を細かく刻むことにより、シフトの前後におけるオッズの変化を細かく制御することができる。
次に、図12を参照してフリーゲーム処理を説明する。図12のフリーゲーム処理は、図3のステップS4にて実行されるサブルーチン処理に相当する。つまり、特殊シンボル抽選の結果として、少なくとも一つのフリーシンボルがリザーブエリア101bに出現した場合に図12のフリーゲーム処理が実行される。そのフリーゲーム処理において、制御ユニット10は、まずステップS31で主記憶装置12に保持されたフリーゲーム回数の値を初期値の0にセットする。続くステップS32からステップS36までの処理は、図5の通常ゲーム処理におけるステップS11からステップS15と同様であり、それらの説明を省略する。但し、ステップS35では、ステップS14に対して追加の処理が生じることがあるが、この点は後述する。
ステップS36にてリザーブエリア101bからメインスロット101aにシンボルを移動させるための処理を行った後、制御ユニット10はステップS37に進み、リザーブエリア101bからメインスロット101aにフリーシンボルが移動したか否かを判断する。フリーシンボルが移動したか否かは、シンボルの移動に伴って更新されたシンボル配置データ、又は移動の直前のリザーブエリアデータを参照することにより判断することができる。
ステップS37にてフリーシンボルが移動したと判断した場合、制御ユニット10はステップS38に進み、主記憶装置12に保持されたフリーゲーム回数に、メインスロット101aに移動したフリーシンボルの個数に応じた回数を加算する。移動したフリーシンボルの個数は更新後のシンボル配置データ又はシンボル移動の直前のリザーブエリアデータを参照することにより特定することができる。移動したフリーシンボルの個数とフリーゲームの回数との対応関係は、図13に示した判別テーブルTB4を予め外部記憶装置13に用意し、これを主記憶装置12に読み込んで制御ユニット10にて参照することにより特定することができる。図13のテーブルTB4は、リザーブエリア101bからメインスロット101aに移動したフリーシンボルの個数と、その移動に伴って加算されるフリーゲームの回数とを対応付けて記述したものである。
ステップS37が肯定判断されてステップS38でフリーゲーム回数が加算されることにより、特別なゲーム状態の一つとしてのフリーゲームが開始される。フリーゲームが開始されると、主記憶装置12に保持されたフリーゲーム回数の値が0になるまで、プレイヤーが新たにメダルをベットしなくてもメインスロット抽選及びその抽選結果に対応した各種の処理が繰り返される。フリーゲームが開始される場合、ゲーム画面100においては、図14に示したように、スロット表示部101のリザーブエリア101bに存在するフリーシンボル160がメインスロット101aに移動し、“FREE”の文字等を強調した演出が行われることにより、フリーゲームの開始が強調される。なお、メインスロット101aに移動したフリーシンボルは、制御ユニット10の処理により、いずれかの通常シンボルへと変更される。その変更には乱数による抽選等を用いることができる。
フリーゲームの回数が加算された後、制御ユニット10はステップS39に進む。また、ステップS37にてフリーシンボルが移動しなかった場合、制御ユニット10は、ステップS38をスキップしてステップS39へ進む。ステップS39からステップS42までは、図5の通常ゲーム処理のステップS16からステップS19までと同様であり、それらの説明は省略する。ステップS43の処理は、ライン当り役とオッズとの対応関係を変更してオッズ表示部102aのオッズをシフトさせる点において図5のステップS20と同様である。但し、ステップS43では、図10Aに示した選択オッズ群の範囲がオッズ候補データD1の末尾のオッズ候補値まで達していれば、変数iの初期値0へのリセットが禁止されて変数iが最大値に保持される。つまり、フリーゲーム中においてライン当り役に対応付けられたオッズが最大値に達すると、オッズの初期状態へのリセットが禁止される。また、ステップS41にて当り役が成立していない場合、制御ユニット10はステップS44へ進み、主記憶装置12に保持されたフリーゲームの回数が0か否かを判断する。なお、ステップS33にて当り役が形成されていない場合にもステップS44へと処理が進められる。今回のフリーゲームが最終回の場合、又はフリーゲームが開始されていない場合にフリーゲーム回数が0となる。フリーゲーム回数が1以上の場合、制御ユニット10はステップS45でフリーゲーム回数を1つ減算し、その後にステップS46へ進む。
ステップS46にて、制御ユニット10はシンボル配置データを検査し、メインスロット101a上のシンボル配置に関して合体条件が成立しているか否かを判断する。この場合、入賞ライン上で隣接する2つのコマ104上に同一種類のシンボルが配置されている場合、合体条件が成立したものと判断される。つまり、2つの同一種類のシンボルが、それらの間に他の種類のシンボルを挟むことなく一方向に互いに隣接(連続)している場合に合体条件が成立する。なお、ステップS46の処理はステップS41が否定判断された場合、つまり、当り役が形成されたなかった場合に実行される。よって、合体条件の成否の判断対象となるシンボルには、入賞条件としての当り役を成立させたシンボルが含まれない。ステップS46にて合体条件が成立している場合、制御ユニット10は次のステップS47に進み、合体条件を成立させたシンボルが配置されている2個のコマを、次回の抽選機会において同一種類のシンボルが配置されるべき合体コマ104a(図15参照)として設定する。例えば、シンボル配置データ上で合体コマとして扱われるべき部分に、合体コマであることを識別するフラグを設定する等の手法により、合体コマを設定する。これらの合体コマは次回以降のシンボル抽選にて特例位置として扱われる。ステップS46にて合体条件が成立していない場合、ステップS47はスキップされる。
続くステップS48において、制御ユニット10は、合体コマとして設定されたコマがメインスロット101aに存在するか否かを判断する。合体コマが存在する場合、制御ユニット10はステップS49へ進み、合体コマが設定されている場合にのみ適用されるメインスロット抽選(以下、合体コマ抽選という)を実行する。合体コマ抽選においては、メインスロット抽選と同様にして各コマ104に出現させるべきシンボルがメインスロット抽選テーブルTB2を利用して抽選されるが、合体コマに関しては、それらを代表する一つのコマに関してシンボルが抽選され、他のコマに関しては同一種類のシンボルが一義的に抽選されるように抽選が制御される。代表する一つのコマは、例えばメインスロット抽選にて抽選順序が早い方のコマとすればよい。合体コマ抽選時には、図15の上段に示したように、合体コマ104a上のシンボルが互いに連結されるようにシンボルの態様が変更され、抽選開始に伴って、連結状態が維持されたまま合体コマ104a上でシンボルが回転し(同図の中段)、最終的には下段に示したように、抽選されたシンボルが互いに連結された態様で出現するような演出が行われる。ステップS48にて合体コマが存在しない場合、制御ユニット10はステップS32に戻り、メインスロット抽選以下の処理を再び実行する。
ステップS44でフリーゲーム回数が0の場合、つまり、フリーシンボルがメインスロット101aに移動せずにフリーゲームが開始されなかった場合、又はフリーゲームが終了した場合、制御ユニット10はステップS50に進み、オッズの初期化、すなわちライン当り役とオッズとの対応関係を上述した初期状態の対応関係へとリセットする。また、ステップS50において、リザーブエリア101bにフリーシンボルが存在している場合、制御ユニット10はリザーブエリア101bに存在するフリーシンボルが通常シンボルに変更されるようにリザーブエリアデータを更新する。この場合、リザーブエリアに出現させるべき通常シンボルは乱数を用いて抽選すればよい。さらに、ステップS50の処理時において、メインスロット101aに合体コマが存在している場合、制御ユニット10は合体コマの設定を解除する。つまり、合体コマの特例位置としての設定を解除する。ステップS50の処理が完了すると、制御ユニット10はフリーゲーム処理を終了し、図3のゲーム処理に戻る。なお、合体コマが設定されている状態でその合体コマに配置されたシンボルが当り役の形成に利用された場合、ステップS33又はステップS41が肯定判断され、合体コマに配置されたシンボルがステップS35で消去される。この場合、制御ユニット10は、ステップS35にて、合体コマのシンボルの消去に連係して、合体コマの特例位置としての設定を解除する。
以上のフリーゲーム処理によれば、未だフリーゲームが開始されず、かつリザーブエリア101bにフリーシンボルが出現している状態で、ステップS32のメインスロット抽選で当り役が成立し、シンボルの消去及び移動に伴ってリザーブエリア101bからメインスロット101aにフリーシンボルが移動すると、その移動したフリーシンボルの個数に応じてフリーゲームの回数が設定されてフリーゲームが開始される。そして、フリーゲームが開始された場合、ステップS44でフリーゲーム回数が0と判断されるまでは、ステップS32又はS49の処理によってメインスロット101aの各コマ104のシンボルが抽選され、当り役が成立する毎にプレイヤーに配当が与えられる。つまり、図5の通常ゲーム処理では、当り役が成立しなければゲーム終了となるのに対して、フリーゲームが開始された場合には、当り役が成立しなくても、また、プレイヤーがメダルをベットしなくても、メインスロット101aの抽選が繰り返されて配当獲得の機会がプレイヤーに与えられる。これにより、通常ゲームと比較してより多くの配当を獲得する期待感をプレイヤーに与え、ゲームの興趣を高めることができる。
加えて、フリーゲーム中においては、当り役が成立しない場合でも、隣接する2つのコマ104に同一種類のシンボルが配置されていれば、ステップS46、S47、S48、S49と処理が進められることにより、次回のメインスロット抽選時には、それらの合体コマに同一種類のシンボルが必ず配置される。従って、ライン当り役又はコネクトボーナス当り役が成立する確率が高まり、プレイヤーの配当獲得に対する期待感をさらに高めることができる。また、ライン当り役とオッズとの対応関係の変更が繰り返されてオッズが最大値まで変化した後は、オッズが初期状態にリセットされることなく、その最大値に保持される。従って、プレイヤーはより多くの配当を期待することができ、フリーゲーム回数が多いほどその期待はさらに高まる。これによっても、ゲームの興趣を高めることができる。
次に、図16を参照してワイルドシンボル処理を説明する。図16のワイルドシンボル処理は、図3のステップS7にて実行されるサブルーチン処理に相当する。つまり、特殊シンボル抽選の結果としてワイルドNシンボルがリザーブエリア101bに出現した場合に図16のワイルドシンボル処理が実行される。なお、ワイルドシンボルは、メインスロット101aにおける当り役の成否の判定において、いずれの通常シンボルとしても通用する共通シンボルとして機能する。ワイルドシンボルに設定された有効回数はそのワイルドシンボルが全ての通常シンボルとして通用する有効範囲を定量化した値である。
ワイルドシンボル処理の最初のステップS61において、制御ユニット10は、主記憶装置12に保持されたワイルド回数の値に初期値の0をセットする。ワイルド回数は、ワイルドシンボルがメインスロット101aにて当り役を形成するシンボル群の一部として利用される回数を意味する。ここでいう当り役は、ライン当り役又はコネクトボーナス当り役のいずれでもよい。続くステップS62からステップS66までは、図5の通常ゲーム処理におけるステップS11からステップS15と同様であり、それらの説明は省略する。但し、ステップS65にて実行される当り役のシンボルの消去において、ワイルドシンボルはワイルド回数が0でない限り消去されない。ステップS66にてリザーブエリア101bからメインスロット101aにシンボルを移動させるための処理を行った後、制御ユニット10はステップS67に進み、リザーブエリア101bからメインスロット101aにワイルドシンボルが移動したか否かを判断する。ワイルドシンボルが移動したか否かは、シンボルの移動に伴って更新されたシンボル配置データ、又は移動の直前のリザーブエリアデータを参照することにより判断することができる。
ステップS67にてワイルドシンボルが移動したと判断された場合、制御ユニット10はステップS68に進み、移動したワイルドシンボルの有効回数を示す数値Nを主記憶装置12に保持されたワイルド回数の初期値としてセットする。この後、制御ユニット10はステップS69に進む。ステップS67にてワイルドシンボルが移動していないと判断された場合、ステップS68はスキップされる。
ステップS69からステップS70までは、図5の通常ゲーム処理のステップS16からステップS17まで同様であり、それらの説明は省略する。ステップS71の処理は、シンボル配置データを検査することにより、メインスロット101a上にて当り役が成立しているか否かを判断する点で図5のステップS18と同様である。但し、ステップS71では、ワイルドシンボルが通常シンボルのいずれにも該当するものとみなして当り役の成否が判断される点でステップS18と異なる処理が行われる。つまり、ライン当り役の成否を判断する際には、ワイルドシンボルを含むいずれかの入賞ライン上で、そのワイルドシンボルを除く2つのシンボルが一致していればライン当り役が成立していると判断される。また、ワイルドシンボルが配置されたコマに対して上下方向、左右方向及び対角線方向にそれぞれ隣接するコマを検査対象のコマとして、それらのコマに配置されたシンボルを判別し、互いに隣接する2つのコマに同一種類のシンボルが存在している箇所があれば、それらのコマに配置されたシンボルとワイルドシンボルとによってコネクトボーナス当り役が成立していると判断することができる。
図17は、ワイルドシンボルを利用した当り役が成立したときのスロット表示部101の状態の一例を示している。この例では、メインスロット101aの中央にワイルドシンボル170が配置されている。そして、ワイルドシンボル170と、左上及び右下に配置された「オレンジ」のシンボルとによってライン当り役が形成されている。また、ワイルドシンボル170と、その左及び左下に配置された「ベル」のシンボルとによってコネクトボーナス当り役が形成されている。
なお、図17から明らかなように、ワイルドシンボル170がメインスロット101aの中央に配置されている場合、そのワイルドシンボル170を含んでライン当り役が成立し得る入賞ラインは、ワイルドシンボル170を中心として上下、左右にそれぞれ1本ずつ、及び対角線方向に2本の合計4本となる。また、ワイルドシンボル170に対して、上下左右及び対角線方向に隣接する8つのコマのシンボルがワイルドシンボル170を含んでコネクトボーナス当り役を形成する可能性がある。ワイルドシンボル170がメインスロット101aの上辺、下辺、左辺又は右辺のいずれかの中央に配置されている場合、そのワイルドシンボル170を含んでライン当り役が成立し得る入賞ラインは、上下方向及び左右方向の2本であり、コネクトボーナス当り役については、ワイルドシンボル170の周囲の5つのコマのシンボルがワイルドシンボル170を含んでコネクトボーナス当り役を形成する可能性がある。ワイルドシンボル170がメインスロット101aのいずれかの角に配置されている場合、ライン当り役が成立し得る入賞ラインは、そのワイルドシンボルが配置された角を含む1本の対角線方向の入賞ラインと、上下方向、左右方向に1本ずつの合計3本である。
また、コネクトボーナス当り役については、そのワイルドシンボル170に隣接する3つのコマのシンボルのみが対象となる。以上から明らかなように、ワイルドシンボルがメインスロット101aの中央に位置している場合に、そのワイルドシンボルが当り役の形成に利用される機会が最も大きくなり、当り役が成立する確率もそれだけ高くなる。リザーブエリア101bからメインスロット101aへのシンボルの移動は上下方向に限定されているため、ワイルドシンボルがメインスロット101aの中央に配置されるためには、その前提としてリザーブエリア101bの中央にワイルドシンボルが配置される必要がある。よって、リザーブエリア抽選においてワイルドシンボルを出現させるべき位置を決定する際には、リザーブエリア101bの両端よりも中央の方がワイルドシンボルが出現する確率を小さく設定してもよい。
図16に戻って説明を続ける。ステップS71にて当り役が成立している場合、制御ユニット10は次のステップS72に進み、当り役の形成にワイルドシンボルが利用されているか否かを判断する。ワイルドシンボルが利用されている場合、制御ユニット10はワイルドシンボルの有効回数に関する消費条件が成立したものとみなしてステップS73に進み、主記憶装置12に保持されているワイルド回数の値から当り役の利用回数を減算する。その後、制御ユニット10はステップS74へ進む。利用回数は一つの当り役毎に一回としてカウントされる。図17の例では、ワイルドシンボル170が1つのライン当り役と1つのコネクトボーナス当り役にそれぞれ利用されているため、利用回数は2である。よって、この場合には、ワイルド回数が2減算される。なお、ステップS73にてワイルド回数を減算した場合、制御ユニット10はメインスロット101aに表示されているワイルドシンボル170の数値Nを減算後の値へと更新する。
ステップS74において、制御ユニット10はワイルド回数が0か否かを判断する。ワイルド回数が0の場合、制御ユニット10は次のステップS75へ進み、メインスロット101aからのワイルドシンボル170の消去を指示する。この指示を受けて、その後に実行されるステップS65の処理でワイルドシンボル170がメインスロット101aから消去される。ステップS74にてワイルド利用回数が0でない場合、制御ユニット10はステップS75をスキップしてステップS76へ進む。ステップS76及びS77は図5の通常ゲーム処理におけるステップS19及びS20及びS21と同様であり、それらの説明は省略する。ステップS77でオッズが初期化された後はステップS65へと処理が戻される。ステップS71にて当り役が形成されていない場合、制御ユニット10はステップS78に進み、図5のステップS21と同様にオッズを初期化する。この際、リザーブエリア101bにワイルドシンボルが残っていれば、ワイルドシンボルを消滅させて通常シンボルに変更する。この場合の通常シンボルの抽選には乱数を用いることができる。そして、ステップS78でオッズが初期化されると、制御ユニット10は図16の処理を終えて図3のゲーム処理に戻る。
以上のワイルドシンボル処理によれば、ワイルドシンボルがリザーブエリア101bからメインスロット101aに移動することにより、当り役が成立する確率が上昇する。従って、通常ゲームと比較してより多くの配当を獲得する期待感をプレイヤーに与え、ゲームの興趣を高めることができる。しかも、本形態では、ワイルドシンボルには有効回数Nが設定され、当り役の形成にワイルドシンボルが利用される毎に有効回数が1つずつ減算され、ワイルド回数が0になるまで、つまり、ワイルドシンボルの有効回数が消費され尽くすまでは当り役成立の確率が高い状態に維持される。そのため、ワイルドシンボルを当り役の成立に一回限り利用可能とする場合と比較して、プレイヤーの入賞あるいは配当獲得に対する期待感を高揚させ、ゲームの興趣をさらに高めることができる。また、ワイルドシンボルに有効回数を設定せず、当り役が不成立で次にメダルを投入する必要が生じるまで継続してワイルドシンボルを残す場合と比較して、高確率状態が無用に長引くおそれもない。従って、共通シンボルによる入賞確率の制御、あるいは配当の期待値の制御を柔軟かつ適切に制御することができる。ワイルドシンボルがリザーブエリア101bに出現する確率を、ワイルドシンボルの有効回数Nが大きいほど低く設定することにより、ワイルドシンボルによる確率変化をさらに適切に制御することができる。
以上の形態では、制御ユニット10が図3のゲーム処理及びそのサブルーチン処理としての図16のワイルドシンボル処理を実行することにより、ゲーム機会制御手段、シンボル配置制御手段、入賞判別手段、共通シンボル抽選手段、共通シンボル配置手段、消費条件判別手段、共通シンボル制御手段、及び共通シンボル提示手段としてそれぞれ機能する。具体的に説明すれば、制御ユニット10は、スタートボタン2からのゲーム開始信号に応答して図3のステップS1、S2、S5、S6を経て図16のステップS62へと進むことにより最初のゲーム機会を発生させるゲーム機会制御手段として機能し、図16のステップS65の処理を実行することにより、同一範囲のゲーム内で新たなゲーム機会又は次回以降のゲーム機会を発生させるゲーム機会制御手段として機能し、図16のステップS71の否定判断を受けて図16の処理を終了させることにより所定範囲のゲームを終了させるゲーム機会制御手段として機能する。また、制御ユニット10は、図3のステップS1の処理、図16のステップS62の処理、及びステップS66〜S70の処理を実行することによりシンボル配置制御手段として機能する。特に、制御ユニット10は、図3のステップS1の処理を実行することにより共通シンボル抽選手段として機能し、図16のステップS66の処理を実行することにより共通シンボル配置手段として機能し、ステップS72の処理を実行することにより消費条件判別手段として機能し、ステップS73〜75の処理、及びステップS78にてワイルドシンボルを消滅させることにより共通シンボル制御手段として機能する。さらに、制御ユニット10は、図3のステップS6の処理を実行することにより共通シンボル提示手段として機能する。
本発明は上述した形態に限ることなく、種々の形態にて実施することができる。上記の形態では、図3のゲーム処理の開始から終了までが所定範囲のゲームとして設定され、そのゲーム内で最初のゲーム機会が与えられ、そのゲーム機会にてリザーブエリア抽選(ステップS1)を実行することにより共通シンボルとしてのワイルドシンボルが抽選される機会を設けている。そして、最初のゲーム機会にてシンボルが所定領域としてのメインスロット101aに配置されて当り役が形成された場合、つまり入賞条件が成立した場合に、その当り役を形成したシンボルを消去し(ステップS65)、シンボルを再配置(ステップS66〜S70)する手法によって新たなゲーム機会を発生させ、新たなゲーム機会にて入賞条件が成立しなくなるまでゲーム機会を繰り返し発生させ、それらのゲーム機会のいずれかにてワイルドシンボルがメインスロット101aに配置される機会を発生させ、ワイルドシンボルがメインスロット101aに配置された後は、そのワイルドシンボルが入賞条件の成立に利用される毎に消費条件が成立したものとして有効回数を1つずつ減算し(ステップS73)、有効回数が尽きた場合にワイルドシンボルをメインスロット101aから消滅させている(ステップS74、S75)。しかしながら、共通シンボルの抽選、抽選された共通シンボルの配置、共通シンボルの有効範囲の減少及びその共通シンボルの消滅、ゲーム機会の発生の制御、所定領域におけるシンボルの種類及び配置といった各種の処理は適宜に変更することができる。
共通シンボルの抽選に関しては、最初のゲーム機会に限って実行する例に限定されることなく、ゲーム機会が発生する毎に、通常シンボル及び共通シンボルを含むシンボル候補から少なくとも一つのシンボルを所定領域に配置されるべきシンボルとして抽選する等の変更が可能である。例えば、図16のステップS69のリザーブエリア抽選にてワイルドシンボルを抽選対象の候補に含めてもよい。あるいは、メインスロット101aにて空白となったコマ104にリザーブエリア101bからシンボルを移動させる処理に代えて、ワイルドシンボルを含んだシンボル候補から、空白のコマ104に新たに配置されるべきシンボルを乱数等を利用して抽選してもよい。
共通シンボルの配置に関しては、リザーブエリア101bから空白のコマ104へのワイルドシンボルの移動による例に限定されない。例えば、特定のゲーム機会にて共通シンボルが抽選された場合、その特定のゲーム機会にて共通シンボルを無条件に所定領域に配置してもよい。空白のコマ104に新たに共通シンボルを移動させる例に限らず、所定領域に残されている通常シンボルを置き換えるようにして共通シンボルを配置してもよい。
共通シンボルの有効回数の減少に関しては、共通シンボルが入賞条件の成立に利用される毎に消費条件が成立したものとして、その有効回数を1つずつ減少させる例に限らない。例えば、ゲーム機会が発生する毎に消費条件が成立したものとして、入賞条件の成否に関わりなく有効回数を減少させてもよい。共通シンボルを利用して成立した入賞条件に対応する配当が大きいほど有効回数の減少量を増加させる等、消費条件が一回成立するときの有効回数の減少量を変化させてもよい。共通シンボルの有効範囲は有効回数によって規定される例に限らない。共通シンボルの有効範囲を時間によって規定し、共通シンボルが所定領域に配置された後、所定の単位時間が経過する毎にその有効範囲(この場合は残り時間)を減算してもよい。回数及び時間といった2種類以上の要素を併用して有効範囲を減少させてもよい。
参考例として共通シンボルの消滅に関しては、有効範囲が尽きた場合に消滅させることは必須である一方、一回のゲーム、つまり遊技価値と引き換えに提供される所定範囲のゲームが終了する場合に共通シンボルを消滅させることなく、次回のゲームに共通シンボルを残してもよい。つまり、参考例として、所定範囲のゲーム内にて複数回のゲーム機会を発生させ、それらのゲーム機会に限って共通シンボルをその有効範囲が尽きるまで所定領域に残す形態のみならず、複数のゲームのそれぞれで少なくとも一回のゲーム機会を発生させ、それらのゲーム機会において、共通シンボルをその有効範囲が尽きるまで所定領域に残す形態にて実施してもよい。遊技価値と引き換えに提供されるゲームが終了した時点で共通シンボルを消滅させる本発明の場合には、次回のゲームが開始される際に共通シンボルが残存して、入賞条件が成立する確率が初期から高い状態が不用意に発生するおそれがない。一方、次回のゲームまで共通シンボルを残す参考例の場合には、その共通シンボルの存在により、プレイヤーに次回のゲームを開始する動機付けを与えることができる。
ゲーム機会の発生に関して、上記の形態では、全てのコマ104に配置すべき全てのシンボルを抽選するステップS62においてゲーム機会が付与される他に、ステップS65のシンボル消去によってもゲーム機会が発生し、そのゲーム機会(ステップS66〜S70)にて入賞条件が成立すると、ステップS72〜S77の処理を挟んで再びゲーム機会が発生し、以降、入賞条件が成立する限り、繰り返しゲーム機会が発生する。しかしながら、本発明はこのような手法でゲーム機会を発生させる例に限らない。ゲーム機会を新たに発生させる条件は入賞条件に限らず、適宜に変更してよい。例えば、メインスロット101aを利用したゲームとは別のゲームを同一範囲のゲームとして実行し、その別のゲームにて所定の結果が得られたときに新たなゲーム機会を発生させてもよい。
また、上記の形態では、最初のゲーム機会において、全てのコマ104に配置されるべきシンボルの種類を乱数によって決定し、次回以降のゲーム機会、つまり入賞条件の成立によって発生する2回目以降のゲーム機会では、空白のコマ104へのシンボルの移動と、リザーブエリア抽選とによって、所定領域としてのメインスロット101aにおけるシンボルの種類を決定している。しかしながら、各ゲーム機会におけるシンボルの種類の決定に関しても種々変更が可能である。例えば、リザーブエリア101bを省略し、各ゲーム機会において、シンボルの消滅で空白となったコマ104に配置されるべきシンボルの種類を乱数等によって抽選してもよい。あるいは、ゲーム機会が発生する毎に全てのコマ104を乱数等によって抽選してもよい。この場合、有効回数が残っている共通シンボルに関しては、例外としてメインスロット101aのいずれかのコマ104に残せばよい。
本発明において、共通シンボルは全ての通常シンボルとして通用する例に限らず、2種類以上の通常シンボルとして通用するものであればよい。有効範囲が異なる複数の共通シンボルを予め用意する例に限らず、共通シンボルの有効範囲の初期値を一定値に固定してもよい。ゲーム画面上の所定領域におけるシンボルの位置関係は、縦横に同数ずつマトリクス状に配置される関係に限らず、種々の変更が可能である。例えば、複数のシンボルを横一列に配置するといった位置関係を設定してもよい。入賞条件としての当り役も、上記の形態のライン当り役及びコネクトボーナス当り役に限らない。入賞条件を成立させるシンボルの種類及び配列(並び方)は適宜に変更してよい。遊技価値はメダルによって象徴される例に限らず、通貨、トークン等の各種の遊技媒体によって象徴されてもよいし、記憶媒体に記録された度数等の電子的情報によって象徴されてもよい。配当は、メダルの払出しによって実現される例に限らず、通貨、ゲーム等で使用可能なポイント等の付与といった各種の態様で発生させてよい。さらに、入賞条件の成立時に何らかの特典をゲーム上で配当として発生させてもよい。