JP4350394B2 - 変形性膝関節症の判定装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、脛骨近部および踵付近部に装着した加速度センサからの加速度信号により変形性膝関節症の判定を行う変形性膝関節症の判定方法および判定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
WHOは、骨、関節疾患を日常生活に著しい障害を与え、生活機能を低下させる生活機能病として捉えることを提唱している。なかでも変形性膝関節症(以下、膝OAという)の罹患患者は日本国内で約千二百万人と推定され、理学療法士が取り組まなければならない患者として再注目されている。
膝OAは、関節軟骨・半月板・靱帯など膝関節を構成する組織の退行性変性疾患である。膝OAの自然史については十分に解明されておらず、観血的治療が必要な重大な臨床的疾患となるのは1%前後と考えられている。
【0003】
膝OAの発症と進行には、脛骨と大腿骨の適合不良と異常な運動様式が関与していると推測している。代表的な病態運動として外側thrustが観察でき、それは病態の悪化因子でもあると報告されている。
また、外側thrustを客観的に捉えた報告は意外に少なく、非特許文献1によれば、独自の膝関節3次元運動測定システムを用い、外側thrustは立脚初期の脛骨の内反、外旋、内側移動する現象であると報告している。
【0004】
さらに、非特許文献2によれば、加速度計を用い、立脚初期の急激な外側方向への加速度の変位を外側thrustとし、そのピーク値を定量化して報告している。歩行時の脛骨運動を分析することで、膝の異常なメカニカルストレスを明らかにできる可能性がある。
歩行時の脛骨運動を定量的に評価する方法として、ビデオカメラによる光学的手法や磁気センサ・超音波センサによる非接触式の方法などがある。
【0005】
【非特許文献1】
「関節外科」16(3):327−333,1997
「変形性膝関節症の運動解析」 古賀良生、大森豪
【0006】
【非特許文献2】
「整・炎外」38(1):11−18,1995
「側方動揺性からみた変形性膝関節症の病態と治療」 緒方公介、野見山宏
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、非特許文献1および2に記載された方法では、わずかな関節運動や回旋運動を捉えることができず、膝OAの判定、要注意の判定、健常の判定を高精度に行うことができないといった問題があった。
また、上述した非特許文献2においては、「外側型OA膝群」と「内側型OA膝群」の加速度波形を示しているが、定量化していないので、膝OAの判定、要注意の判定、健常の判定を高精度に行うことができないといった問題があった。また、一般に、膝OAの症状の判定には、レントゲン写真が用いられるが、レントゲン写真で異常が認められる状態ではすでに症状が進行しており、場合によっては膝に痛みが伴っているにもかかわらずレントゲンでは異常が認められないケースもあり、高精度に行うことができないといった問題があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたもので、その目的としては、加速度波形の特徴を捉えて、症状の初期段階から変形性膝関節症に至る過程を定量的に判定することができる変形性膝関節症の判定方法および判定装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1の変形性膝関節症の判定装置は、対象者の脛骨近部位に装着し歩行時に垂直方向に生じる第1の加速度信号を検出する第1の加速度センサと、
前記対象者の踵近部位に装着し歩行時に垂直方向に生じる第2の加速度信号を検出する第2の加速度センサと
前記第1の加速度信号に生じた第1のピーク点の第1の時刻を抽出し、前記第2の加速度信号に生じた第2のピーク点の第2の時刻を抽出し、第1の時刻から第2の時刻までの衝撃伝達期間を算出し、この衝撃伝達期間が所定範囲にあるか否かにより変形性膝関節症の判定を行う波形解析手段とを有することを要旨とする。
【0009】
また、本発明の変形性膝関節症の判定装置は、対象者の脛骨近部位に装着して歩行時に前後方向に生じる加速度信号を検出する加速度センサと、
前記加速度信号を積分して求めた速度から前後方向の最小速度を算出し、前後方向の最小速度が所定範囲にあるか否かにより変形性膝関節症の判定を行う波形解析手段とを備えたことを要旨とする。
【0010】
また、本発明の変形性膝関節症の判定装置は、対象者の脛骨近部位に装着して歩行時に前後方向に生じる第1の加速度信号を検出する第1の加速度センサと、
前記対象者の踵近部位に装着して歩行時に垂直方向に生じる第2の加速度信号を検出する第2の加速度センサと、
前記第2の加速度信号の波形が急峻に立ち上がる第1の時刻を抽出し、前記第1の加速度信号を積分して求めた速度から前後方向の最小速度となる第2の時刻を抽出し、第1の時刻から第2の時刻までの期間を算出し、この期間が所定範囲にあるか否かにより変形性膝関節症の判定を行う波形解析手段とを備えたことを要旨とする。
【0011】
また、本発明の変形性膝関節症の判定装置は、対象者の脛骨近部位に装着して歩行時に側方方向に生じる加速度信号を検出する加速度センサと、
前記加速度信号を積分して求めた速度から側方方向の最大速度を算出し、この側方方向の最大速度が所定範囲にあるか否かにより変形性膝関節症の判定を行う波形解析手段とを備えたことを要旨とする。
【0012】
さらに、本発明の変形性膝関節症の判定装置は、対象者の脛骨近部位に装着して歩行時に側方方向に生じる第1の加速度信号を検出する第1の加速度センサと、
前記対象者の踵近部位に装着して歩行時に垂直方向に生じる第2の加速度信号を検出する第2の加速度センサと、
前記第2の加速度信号の波形が急峻に立ち上がる第1の時刻を抽出し、前記第1の加速度信号を積分して求めた速度から側方方向の最小速度となる第2の時刻を抽出し、第1の時刻から第2の時刻までの期間を算出し、この期間が所定範囲にあるか否かにより変形性膝関節症の判定を行う波形解析手段とを備えたことを要旨とする。
【0013】
さらに、変形性膝関節症の判定装置は、対象者の脛骨近部位に装着して歩行時に側方方向に生じる加速度信号を検出する加速度センサと、
前記加速度信号の波形が最小値から最大値になる解析範囲に対して、高速フーリエ変換を行い各周波数成分を解析し、0〜20Hz及び/又は20〜40Hzの周波数範囲のパワースペクトルが所定範囲にあるか否かにより変形性膝関節症の判定を行う波形解析手段とを備えたことを要旨とする。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る変形性膝関節症の判定装置の構成を示す図である。
【0025】
人体11の膝13側方の脛骨近部位には3軸加速度センサ21が装着されており、踵15側方の踵近部位には3軸加速度センサ23が装着されている。踵15側方に装着された3軸加速度センサ23は、足が地面に接したタイミングを計測するためのものであり、垂直方向だけ測定できる加速度センサや、足の裏に圧力センサを装着してもよい。なお、紙面上下方向を垂直方向(Z軸)、紙面左右方向を側方方向(Y軸)、紙面前後方向を前後方向(X軸)とする。また、X軸とY軸がなす面は地面に水平な面である。
【0026】
3軸加速度センサ21,23からの出力信号が入力されたセンサ信号処理ボックス25では、アナログ信号処理が行われて信号処理装置27に出力される。さらに、センサ信号処理ボックス25からの出力信号が入力された信号処理装置27では、A/D変換処理が行われ加速度信号を表すディジタル信号がパーソナルコンピュータ29に出力される。パーソナルコンピュータ29では、加速度信号を一定時間記憶しており、この加速度信号に基づいて波形解析が行われる。
【0027】
図2は、図1に示す変形性膝関節症の判定装置をブロック構成として表した図である。
3軸加速度センサ21,23には、センサ信号処理ボックス25からそれぞれ電源が信号ケーブル33,35を介して供給されており、各センサからX軸出力信号、Y軸出力信号、Z軸出力信号がセンサ信号処理ボックス25に出力される。
【0028】
センサ信号処理ボックス25には、3軸加速度センサ21,23からX軸出力信号、Y軸出力信号、Z軸出力信号がそれぞれ入力されるアナログ信号処理回路37a,37b,37c,37d,37e,37fが設けられている。アナログ信号処理回路では、内部に設けられた0dBアンプによりインピーダンス変換され、さらに、0.3Hzのカットオフ周波数を有するハイパスフィルタHPFと1kHzのカットオフ周波数を有するローパスフィルタLPFからなるバンドパスフィルタBPFを通過した有効帯域の各軸の出力信号が信号処理装置27に出力される。
【0029】
信号処理装置27には、アナログ信号処理回路37a,37b,37c,37d,37e,37fからの各軸の出力信号がそれぞれ入力されるA/D変換器39a,39b,39c,39d,39e,39fとラインメモリ部41a,41b,41c,41d,41e,41fが設けられている。A/D変換器では、各軸の出力信号がそれぞれアナログ信号からディジタル信号に変換され、その出力データが順次にラインメモリ部に入力される。さらに、それぞれのラインメモリ部では、パーソナルコンピュータ29からのデータ要求信号に応じて各軸の出力データが読み出されて出力される。
【0030】
パーソナルコンピュータ29は、信号処理装置27との間でデータのやりとりを行い各軸の出力データを入力するインターフェースI/F部43、CPU,ROM,RAMからなり波形解析ソフトウエアを実行する波形解析部45aを有する演算制御部45、インターフェースI/F部43から入力された各軸の出力データを記憶するハードディスクHDからなる記憶部47、VRAMおよび表示制御ICからなり解析中の波形やメッセージを表示する表示制御部49、キーボード51、マウス53から構成されている。
【0031】
図3は、上述した3軸加速度センサ21,23の一例の内部構造を示す平面図である。図3において、60は薄い箱型で気密(好ましくは真空)の容器で、内部構造を示すため蓋(容器の天井部分)を取り除いてある。61は容器の底部を貫通する多数のハーメチック端部ピンである。各ピンは3軸加速度センサの振動体70上の電極膜群の個々と例えばワイヤボンディングの手法で接続されるが、電極膜やボンディングワイヤは図示を省略してある。
【0032】
3軸加速度センサの振動体50は、1枚の圧電性材料の平板から成形されており、加速度センサ部と角速度センサ部が一体化されている。3軸加速度センサの振動体70は、総基部71の裏面の固定部A72(斜線部)と、小面積の固定部B84(斜線部)の裏面とが容器60側の台座(図示せず)上に接着され支持されている。
【0033】
角速度センサ部はいわゆる三脚温又型の形状をした部分であり、各々L字型の外脚A73、外脚B75、中脚C74、および音又基部76、支点77よりなる。外脚A73と外脚B75とは通常の2脚音又と同様にそれぞれが片持ち梁的で対称軸(図示せず)に関して対称な振動を行うように、角速度測定回路に含まれる励振回路(発振回路)によって一定振幅で励振させられている。中脚C54は励振されないが、その撓みを検出するための表面電極(図示せず)を持っている。固定部と異なるハッチングを付して示した78A、78B、78Cはそれぞれ付加質量で、固有振動数を下げかつ互いに等しくするために脚先端部に施した金属の厚メッキ層よりなる(中脚C74の固有振動数は両外脚の固有振動数と適宜に差をつけることがある)。
【0034】
今、3軸加速度センサ70が図示の方向、すなわち紙面に垂直なZ軸に平行な回転軸の回りに角速度ωzで回転すると、両外側の振動脚には角速度に比例するコリオリ力が作用する。その方向は脚の長手方向であって、ある瞬間外脚A73に脚先端向きの力が作用すれば、外脚B75には脚の基部に向かう力が作用する。力の方向は脚の振動と同期して正弦的に変化し周期的に反転する。2つの力は両外脚が平行に離れておりかつ付加質量の偏心方向も外脚軸に対して逆であるため偶力を構成し、音叉基部76を揺さぶり、支点77の回りに微小な回転振動を惹起する。
【0035】
このコリオリ力によるモーメントに起因する音叉基部76の振動を感知して中脚C54はコリオリ力に比例した振幅で振動する。中脚C74に設けた検出電極で抽出された振動電圧が角速度の検出信号である。
【0036】
3軸加速度センサ70の加速度センサ部は、1対の平行な振動する2本の棒A、棒Bと付加質量よりなる。バネ部である棒A81、棒B82、負荷質量80(広い面積の素材板の一部の質量とその表面に施した厚メッキ材の質量とよりなる)、2本の支持バネ83(負荷質量80を支持しながら図示X方向の微小な変位を許すための部材)、固定部B84(負荷質量80が特にX方向に大きく変位しないように支持固定するための部分)よりなる。各々両端固定である棒A81、棒B82は3軸加速度センサ70の対称軸に関して対称な弓形をなす振動姿態で発振回路(例えば図1の角速度測定回路14に含まれる)に励振させられる。
【0037】
その発振周波数は通常一定であるが、負荷質量80に図示X方向の加速度Gxが作用すると、その大きさに比例する力で負荷質量80は棒A81、棒B82をその長手方向に圧縮あるいは引張ることにより、その力の方向と大きさにより発振周波数が増減し変化する。そこで別途設けた基準周波数と上記発振周波数とを比較し、発振周波数の変化の方向と量を知ればX軸方向の加速度を求めることができる。基準周波数源を特に設けず、代わりに角速度センサ要の振動体である外脚A73、B75の発振周波数を利用し得る可能性もある。本3軸加速度センサの最大の利点は薄型であり、しかも3軸加速度センサが人体11に平行に装着されるので、重要なGx 、ωz が検出可能なことである。
【0038】
次に、図1,図2を参照して、変形性膝関節症の判定装置の特徴的動作について説明する。
まず、人体11の膝13側方には3軸加速度センサ21が装着され、踵15側方には3軸加速度センサ23が装着されており、3軸加速度センサ21,23からの出力信号がセンサ信号処理ボックス25に入力されている。
【0039】
センサ信号処理ボックス25に設けられたアナログ信号処理回路では、内部に設けられた0dBアンプによりインピーダンス変換され、さらに、0.3Hzから1kHzの通過帯域を有するバンドパスフィルタBPFを通過して各軸の出力信号が信号処理装置27に出力される。
【0040】
次いで、信号処理装置27では、それぞれのA/D変換器によりA/D変換処理が行われ、その出力データが順次にラインメモリ部に入力される。さらに、それぞれのラインメモリ部では、パーソナルコンピュータ29からのデータ要求信号に応じて各軸の出力データが読み出されてパーソナルコンピュータ29に設けられたI/F部43に出力される。
【0041】
一方、パーソナルコンピュータ29には電源が投入されており、記憶部47に設けられたハードディスクHDに記憶されているOSソフトウエアが演算制御部45に設けられたRAMにブートされて起動され、さらに、ハードディスクHDに記憶されている波形解析ソフトウエアがRAMに転送されて起動され、この結果、波形解析ソフトウエアに関する表示画面(図示しない)がモニタ31上に表示される。
【0042】
そこで、モニタ31上に表示されている表示画面(図示しない)に設けられた「データ読込」ボタン(図示しない)がマウス53によりクリックされると、まず、I/F部43からラインメモリ部41aにデータ要求信号が出力される。次いで、このデータ要求信号を受け付けたラインメモリ部41aは、現在記憶中の出力データをI/F部43に出力する。そこで、演算制御部45はI/F部43を介して入力される出力データを記憶部47に設けられたハードディスクHDに記憶する。このようにして、ラインメモリ部41a〜41fに記憶されている出力データが順次にハードディスクHDに記憶される。この結果、ハードディスクHDには、3軸加速度センサ21,23が検出したX軸,Y軸,Z軸出力データがそれぞれ記憶される。
【0043】
(1)加速度波形解析
次いで、モニタ31上に表示されている表示画面(図示しない)に設けられた「加速度波形解析」ボタン(図示しない)がマウス53によりクリックされると、図5に示すフローチャートで表されるプログラムが起動される。
【0044】
まず、ステップS10では、波形解析部45aは加速度波形解析を行うため記憶部47に設けられたハードディスクHDに記憶されている3軸加速度センサ21のZ軸出力データ、3軸加速度センサ23のZ軸出力データとを選択してRAM上に読み出し、さらに、表示制御部49に設けられたVRAMにそれぞれのZ軸出力データを描画してモニタ31に表示する。
【0045】
この結果、モニタ31の表示画面には図4に示すような加速度−時間に関するグラフが表示される。図4において、下方に示したグラフは歩行時に足関節外果部15に加わるZ軸方向の加速度であり、上方に示したグラフは歩行時に腓骨頭部13に加わるZ軸方向の加速度である。なお、3軸加速度センサ23のZ軸出力データのピーク点から次のピーク点までの時間は1歩行周期を表している。
【0046】
次いで、ステップS15では、波形解析部45aは描画されている2つのグラフ上のそれぞれのピーク点を検出する。すなわち、波形解析部45aは加速度グラフに対して左から右方向に向かってスキャンして加速度グラフ上での時間微分値の符号が+から−に急変する変化点をピーク点として検出し、加速度グラフ上でのピーク点の時刻をそれぞれt11,t12とする。
【0047】
ここで、ピーク点の時刻t11,t12に基づいて、踵接地から腓骨頭部に衝撃が伝わるまでの衝撃伝搬期間Δtを求めと、Δt=t12−t11となる。
【0048】
次いで、ステップS20〜S60において、Δtの値に関する膝OAの症状の判定を行う。ステップS20では、Δt<0.000の場合にステップS25でエラーと判定し、3軸加速度センサ21,23による測定がエラーであったことを示すメッセージを生成し、表示制御部49に出力する。この結果、モニタ31の表示画面上にはエラーメッセージが表示される。
【0049】
一方、ステップS20での判定がNOの場合にステップS30では、Δtが0.000≦Δt<0.003のときに、ステップS35で膝OAと判定し、対象者が膝OAであったことを示すメッセージを生成し、表示制御部49に出力する。この結果、モニタ31の表示画面上には膝OAのメッセージが表示される。
【0050】
一方、ステップS30での判定がNOの場合にステップS40では、Δtが0.003≦Δt<0.005のときに、ステップS45で要注意と判定し、対象者が要注意状態にあることを示すメッセージを生成し、表示制御部49に出力する。この結果、モニタ31の表示画面上には要注意のメッセージが表示される。
【0051】
一方、ステップS40での判定がNOの場合にステップS50では、Δtが0.005≦Δt≦0.012のときに、ステップS55で健常と判定し、対象者が健常状態にあることを示すメッセージを生成し、表示制御部49に出力する。この結果、モニタ31の表示画面上には健常状態のメッセージが表示される。
【0052】
一方、ステップS50での判定がNOの場合にステップS60では、ΔtがΔt>0.012のときにエラーと判定し、3軸加速度センサ21,23による測定がエラーであったことを示すメッセージを生成し、表示制御部49に出力する。この結果、モニタ31の表示画面上にはエラーメッセージが表示される。
【0053】
このように、対象者の脛骨近部位および踵近部位にそれぞれの加速度センサを装着しておき、歩行時に垂直方向に生じる第1の加速度信号に生じた第1のピーク点の第1の時刻を抽出し、第2の加速度信号に生じた第2のピーク点の第2の時刻を抽出し、第1の時刻から第2の時刻までの衝撃伝達期間を算出し、この衝撃伝達期間が所定範囲にあるか否かにより変形性膝関節症の判定を行うことで、加速度波形の特徴を捉えて、症状の初期段階から変形性膝関節症に至る過程を定量的に判定することができる。
また、波形解析により健常、要注意、変形性膝関節症、エラーのうち何れか1つを判定結果のメッセージとして報知することで、症状の初期段階から変形性膝関節症に至る過程を報知することができる。
【0054】
(2)速度・加速度波形解析その1
次いで、モニタ31上に表示されている表示画面(図示しない)に設けられた「速度・加速度波形解析その1」ボタン(図示しない)がマウス53によりクリックされると、図7に示すフローチャートで表されるプログラムが起動される。
【0055】
まず、ステップS110では、波形解析部45aは加速度波形解析を行うため記憶部47に設けられたハードディスクHDに記憶されている3軸加速度センサ21のX軸出力データを選択してRAM上に読み出し、さらに、このX軸出力データに対して時間軸方向に積分処理を行ってX軸方向の速度を算出する。
【0056】
次いで、ステップS115では、表示制御部49に設けられたVRAMにX軸方向の速度データを描画してモニタ31に表示する。また、ハードディスクHDに記憶されている3軸加速度センサ23のZ軸出力データを選択してRAM上に読み出し、表示制御部49に設けられたVRAMにZ軸方向の加速度データを描画してモニタ31に表示する。
【0057】
この結果、モニタ31の表示画面には図6(a)に示すようなX軸方向の速度−時間に関するグラフが表示され、同時に、表示画面には図6(b)に示すようなZ軸方向の加速度−時間に関するグラフが表示される。
【0058】
図6(a)に示したグラフは歩行時に腓骨頭部13に加わるX軸方向の速度であり、図6(b)に示したグラフは歩行時に足関節外果部15に加わるZ軸方向の加速度である。なお、図6(a)において、3軸加速度センサ21のX軸方向の速度データの0クロス点(t21)から2番目の0クロス点(t23)までの時間は1歩行周期を表している。
【0059】
次いで、ステップS120では、波形解析部45aは描画されている図6(a)のグラフ上の最小速度を算出する。すなわち、波形解析部45aは速度グラフに対して左から右方向に向かってスキャンして速度グラフ上での最小速度値Min AVVを検出する。
【0060】
なお、図6(a)において、前方速度の符号を+、後方速度の符号を−としている。また、Min AVVの減少とMin AVTの延長は、荷重反応期に脛骨と大腿骨の動的連結ができていないために、立脚中期の膝の受動的伸展が起きていないことを意味している。
【0061】
次いで、ステップS130〜S170において、脛骨の前後方向の速度成分データによって膝OAの判定を行う。ステップS130では、最小速度値Min AVVがMin AVV>0m/secの場合に、ステップS135でエラーと判定し、3軸加速度センサ21,23による測定がエラーであったことを示すメッセージを生成し、表示制御部49に出力する。この結果、モニタ31の表示画面上にはエラーメッセージが表示される。
【0062】
一方、ステップS130での判定がNOの場合にステップS140では、最小速度値Min AVVが0m/sec≧Min AVV>−0.13m/secのときに、ステップS145で膝OAと判定し、対象者が膝OAであったことを示すメッセージを生成し、表示制御部49に出力する。この結果、モニタ31の表示画面上には膝OAのメッセージが表示される。
【0063】
一方、ステップS140での判定がNOの場合にステップS150では、Min AVVが−0.13m/sec≧Min AVV>−0.20m/secのときに、ステップS155で要注意と判定し、対象者が要注意状態にあることを示すメッセージを生成し、表示制御部49に出力する。この結果、モニタ31の表示画面上には要注意のメッセージが表示される。
【0064】
一方、ステップS150での判定がNOの場合にステップS160では、Min AVVが−0.20m/sec≧Min AVV≧−0.40m/secのときに、ステップS165で健常と判定し、対象者が健常状態にあることを示すメッセージを生成し、表示制御部49に出力する。この結果、モニタ31の表示画面上には健常状態のメッセージが表示される。
【0065】
一方、ステップS160での判定がNOの場合にステップS170では、Min AVVがMin AVV<−0.4m/secのときにエラーと判定し、3軸加速度センサ21,23による測定がエラーであったことを示すメッセージを生成し、表示制御部49に出力する。この結果、モニタ31の表示画面上にはエラーメッセージが表示される。
【0066】
このように、対象者の脛骨近部位に加速度センサを装着しておき、加速度信号を積分して求めた速度から前後方向の最小速度を算出し、前後方向の最小速度が所定範囲にあるか否かにより変形性膝関節症の判定を行うことで、加速度波形の特徴を捉えて、症状の初期段階から変形性膝関節症に至る過程を定量的に判定することができる。
また、波形解析により健常、要注意、変形性膝関節症、エラーのうち何れか1つを判定結果のメッセージとして報知することで、症状の初期段階から変形性膝関節症に至る過程を報知することができる。
【0067】
(3)速度・加速度波形解析その2
ここで、ステップS110〜S115の処理は既に説明したので、その説明を省略する。
次いで、ステップS125では、まず、波形解析部45aは描画されている図6(a)のグラフ上の最小速度での時刻を算出する。すなわち、波形解析部45aは速度グラフに対して左から右方向に向かってスキャンして速度グラフ上での最小速度値Min AVVを検出しそのときの時刻t22を検出する。また、波形解析部45aは描画されている図6(a)のグラフが0クロス点にある近辺で、かつ、図6(b)のグラフが立ち上がる直前の時刻t21を検出する。この時刻t21は踵が接地した瞬間である。ここで、時刻t21とt22との差分時間Min AVTを算出すると、Min AVT=t22−t21となる。
【0068】
次いで、図8に示すステップS175〜S215において、Min AVTの値に関する膝OAの症状の判定を行う。
ステップS175では、Min AVTがMin AVT<0.18の場合にステップS180でエラーと判定し、3軸加速度センサ21,23による測定がエラーであったことを示すメッセージを生成し、表示制御部49に出力する。この結果、モニタ31の表示画面上にはエラーメッセージが表示される。
【0069】
一方、ステップS175での判定がNOの場合にステップS185では、Min AVTが0.18≦Min AVT<0.20のときに、ステップS190で健常と判定し、対象者が健常状態にあることを示すメッセージを生成し、表示制御部49に出力する。この結果、モニタ31の表示画面上には健常状態のメッセージが表示される。
【0070】
一方、ステップS185での判定がNOの場合にステップS195では、Min AVTが0.20≦Min AVT<0.22のときに、ステップS200で要注意と判定し、対象者が要注意状態にあることを示すメッセージを生成し、表示制御部49に出力する。この結果、モニタ31の表示画面上には要注意のメッセージが表示される。
【0071】
一方、ステップS195での判定がNOの場合にステップS205では、Min AVTが0.22≦Min AVT<0.52のときに、ステップS210で膝OAと判定し、対象者が膝OAであったことを示すメッセージを生成し、表示制御部49に出力する。この結果、モニタ31の表示画面上には膝OAのメッセージが表示される。
【0072】
一方、ステップS205での判定がNOの場合にステップS215では、Min AVTがMin AVT>0.52のときにエラーと判定し、3軸加速度センサ21,23による測定がエラーであったことを示すメッセージを生成し、表示制御部49に出力する。この結果、モニタ31の表示画面上にはエラーメッセージが表示される。
【0073】
このように、対象者の脛骨近部位および踵近部位にそれぞれの加速度センサを装着しておき、第2の加速度信号の波形が急峻に立ち上がる第1の時刻を抽出し、第1の加速度信号を積分して求めた速度から前後方向の最小速度となる第2の時刻を抽出し、第1の時刻から第2の時刻までの期間を算出し、この期間が所定範囲にあるか否かにより変形性膝関節症の判定を行うことで、加速度波形の特徴を捉えて、症状の初期段階から変形性膝関節症に至る過程を定量的に判定することができる。
また、波形解析により健常、要注意、変形性膝関節症、エラーのうち何れか1つを判定結果のメッセージとして報知することで、症状の初期段階から変形性膝関節症に至る過程を報知することができる。
【0074】
(4)速度・加速度波形解析その3
次いで、モニタ31上に表示されている表示画面(図示しない)に設けられた「速度・加速度波形解析その3」ボタン(図示しない)がマウス53によりクリックされると、図10に示すフローチャートで表されるプログラムが起動される。
【0075】
まず、ステップS310では、波形解析部45aは加速度波形解析を行うため記憶部47に設けられたハードディスクHDに記憶されている3軸加速度センサ21のY軸出力データを選択してRAM上に読み出し、さらに、このY軸出力データに対して時間軸方向に積分処理を行ってY軸方向の速度を算出する。
【0076】
次いで、ステップS315では、表示制御部49に設けられたVRAMにY軸方向の速度データを描画してモニタ31に表示する。また、ハードディスクHDに記憶されている3軸加速度センサ23のZ軸出力データを選択してRAM上に読み出し、表示制御部49に設けられたVRAMにZ軸方向の加速度データを描画してモニタ31に表示する。
【0077】
この結果、モニタ31の表示画面には図9(a)に示すようなY軸方向の速度−時間に関するグラフが表示され、同時に、表示画面には図9(b)に示すようなZ軸方向の加速度−時間に関するグラフが表示される。
【0078】
図9(a)に示したグラフは歩行時に腓骨頭部13に加わるY軸方向の速度であり、図9(b)に示したグラフは歩行時に足関節外果部15に加わるZ軸方向の加速度である。なお、図9(a)において、3軸加速度センサ21のX軸方向の速度データの0クロス点(t21)から2番目の0クロス点(t23)までの時間は1歩行周期を表している。
【0079】
次いで、ステップS130では、波形解析部45aは描画されている図9(a)のグラフ上の最高速度を算出する。すなわち、波形解析部45aは速度グラフに対して左から右方向に向かってスキャンして速度グラフ上での最高速度値Max LVVを検出する。
【0080】
なお、図9(a)において、右側方速度の符号を+、左側方速度の符号を−としている。また、Max LVVの増大とMin LVTの延長は、脛骨の外側移動が増大しており、適切な時期に脛骨内側への速度変換が遅延することで、膝内側に加わる圧縮・剪断ストレスが増大することを意味している。
【0081】
次いで、ステップS330〜S370において、脛骨の左右方向の速度成分データによって膝OAの判定を行う。ステップS330では、最高速度値Max LVVがMax LVV<0.19m/secの場合に、ステップS335でエラーと判定し、3軸加速度センサ21,23による測定がエラーであったことを示すメッセージを生成し、表示制御部49に出力する。この結果、モニタ31の表示画面上にはエラーメッセージが表示される。
【0082】
一方、ステップS330での判定がNOの場合にステップS340では、最高速度値Max LVVが0.19m/sec≦Max LVV<0.32m/secのときに、ステップS345で健常と判定し、対象者が健常状態にあることを示すメッセージを生成し、表示制御部49に出力する。この結果、モニタ31の表示画面上には健常状態のメッセージが表示される。
【0083】
一方、ステップS340での判定がNOの場合にステップS350では、最高速度値Max LVVが0.32m/sec≦Max LVV<0.39m/secのときに、ステップS355で要注意と判定し、対象者が要注意状態にあることを示すメッセージを生成し、表示制御部49に出力する。この結果、モニタ31の表示画面上には要注意のメッセージが表示される。
【0084】
一方、ステップS350での判定がNOの場合にステップS360では、最高速度値Max LVVが0.39m/sec≦Max LVV<0.52m/secのときに、ステップS365で膝OAと判定し、対象者が膝OAであったことを示すメッセージを生成し、表示制御部49に出力する。この結果、モニタ31の表示画面上には膝OAのメッセージが表示される。
【0085】
一方、ステップS360での判定がNOの場合にステップS370では、最高速度値Max LVVがMax LVV>0.52m/secのときにエラーと判定し、3軸加速度センサ21,23による測定がエラーであったことを示すメッセージを生成し、表示制御部49に出力する。この結果、モニタ31の表示画面上にはエラーメッセージが表示される。
【0086】
このように、対象者の脛骨近部位に加速度センサを装着しておき、加速度信号を積分して求めた速度から側方方向の最大速度を算出し、この側方方向の最大速度が所定範囲にあるか否かにより変形性膝関節症の判定を行うことで、加速度波形の特徴を捉えて、症状の初期段階から変形性膝関節症に至る過程を定量的に判定することができる。
また、波形解析により健常、要注意、変形性膝関節症、エラーのうち何れか1つを判定結果のメッセージとして報知することで、症状の初期段階から変形性膝関節症に至る過程を報知することができる。
【0087】
(5)速度・加速度波形解析その4
ここで、ステップS310〜S315の処理は既に説明したので、その説明を省略する。>
次いで、ステップS325では、まず、波形解析部45aは描画されている図9(a)のグラフ上の最小速度での時刻を算出する。すなわち、波形解析部45aは速度グラフに対して左から右方向に向かってスキャンして速度グラフ上での最小速度値(Min AVV)を検出しそのときの時刻t32を検出する。また、波形解析部45aは描画されている図9(a)のグラフが0クロス点にある近辺で、かつ、図9(b)のグラフが立ち上がる直前の時刻t31を検出する。この時刻t31は踵が接地した瞬間である。ここで、時刻t31とt32との差分時間Min LVTを算出すると、Min LVT=t32−t31となる。
【0088】
次いで、図11に示すステップS375〜S415において、Min AVTの値に関する膝OAの症状の判定を行う。
ステップS375では、Min LVTがMin LVT<0.24の場合にステップS380でエラーと判定し、3軸加速度センサ21,23による測定がエラーであったことを示すメッセージを生成し、表示制御部49に出力する。この結果、モニタ31の表示画面上にはエラーメッセージが表示される。
【0089】
一方、ステップS375での判定がNOの場合にステップS385では、Min LVTが0.24≦Min LVT<0.29のときに、ステップS390で健常と判定し、対象者が健常状態にあることを示すメッセージを生成し、表示制御部49に出力する。この結果、モニタ31の表示画面上には健常状態のメッセージが表示される。
【0090】
一方、ステップS385での判定がNOの場合にステップS395では、Min LVTが0.29≦Min LVT<0.31のときに、ステップS400で要注意と判定し、対象者が要注意状態にあることを示すメッセージを生成し、表示制御部49に出力する。この結果、モニタ31の表示画面上には要注意のメッセージが表示される。
【0091】
一方、ステップS395での判定がNOの場合にステップS405では、Min LVTが0.31≦Min LVT<0.44のときに、ステップS410で膝OAと判定し、対象者が膝OAであったことを示すメッセージを生成し、表示制御部49に出力する。この結果、モニタ31の表示画面上には膝OAのメッセージが表示される。
【0092】
一方、ステップS405での判定がNOの場合にステップS415では、Min AVTがMin LVT>0.44のときにエラーと判定し、3軸加速度センサ21,23による測定がエラーであったことを示すメッセージを生成し、表示制御部49に出力する。この結果、モニタ31の表示画面上にはエラーメッセージが表示される。
【0093】
このように、対象者の脛骨近部位および踵近部位にそれぞれの加速度センサを装着しておき、第2の加速度信号の波形が急峻に立ち上がる第1の時刻を抽出し、第1の加速度信号を積分して求めた速度から側方方向の最小速度となる第2の時刻を抽出し、第1の時刻から第2の時刻までの期間を算出し、この期間が所定範囲にあるか否かにより変形性膝関節症の判定を行うことで、加速度波形の特徴を捉えて、症状の初期段階から変形性膝関節症に至る過程を定量的に判定することができる。
また、波形解析により健常、要注意、変形性膝関節症、エラーのうち何れか1つを判定結果のメッセージとして報知することで、症状の初期段階から変形性膝関節症に至る過程を報知することができる。
【0094】
(6)パワースペクトル解析その1
次いで、モニタ31上に表示されている表示画面(図示しない)に設けられた「パワースペクトル」ボタン(図示しない)がマウス53によりクリックされると、図13に示すフローチャートで表されるプログラムが起動される。
【0095】
まず、ステップS510では、波形解析部45aは加速度波形解析を行うため記憶部47に設けられたハードディスクHDに記憶されている3軸加速度センサ21のY方向のY軸出力データを選択してRAM上に読み出し、さらに、このY軸出力データに対して解析範囲t41〜t42を設定する。解析範囲t41〜t42は、立脚期の膝側方の加速度が最も変動する範囲であり、加速度グラフの最小値の時刻t41から最高値を挟んで再度最小値の時刻t42に戻った範囲である。
【0096】
次いで、表示制御部49に設けられたVRAMにY軸方向の加速度データを描画してモニタ31に表示し、さらに、解析範囲t41〜t42を表示する。
この結果、モニタ31の表示画面には図12に示すようなY軸方向の加速度−時間に関するグラフが表示され、同時に、表示画面には解析範囲t41〜t42が表示される。
【0097】
次いで、ステップS515では、波形解析部45aは解析範囲t41〜t42の立脚期の膝側方の加速度について高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)を行い、加速度の各周波数成分を解析する。
【0098】
次いで、ステップS520では、波形解析部45aは、20〜40Hzを平均周波数MPFとしており、全周波数でのパワーに対する0〜20Hzでのパワースペクトル比%LPF、全周波数でのパワーに対する20〜40Hzでのパワースペクトル比%MPF、全周波数でのパワーに対する40〜120Hzでのパワースペクトル比%HPFを算出する。
【0099】
次いで、ステップS525では、波形解析部45aは、0〜20Hzでのパワースペクトル比%LPFを評価する。なお、%LPFの増大は、体重移動に伴う脛骨運動が起こっており、脛骨を垂直に維持するための筋収縮による脛骨運動が減少していることを意味している。
【0100】
次いで、ステップS535〜S575において、立脚期の膝側方の加速度に関するパワースペクトル比%LPFによって膝OAの判定を行う。
【0101】
まず、ステップS535では、0〜20Hzでのパワースペクトル比%LPFが%LPF<50%の場合に、ステップS540でエラーと判定し、3軸加速度センサ21による測定がエラーであったことを示すメッセージを生成し、表示制御部49に出力する。この結果、モニタ31の表示画面上にはエラーメッセージが表示される。
【0102】
一方、ステップS535での判定がNOの場合にステップS545では、%LPFが50≦%LPF<70%のときに、ステップS550で健常と判定し、対象者が健常状態にあることを示すメッセージを生成し、表示制御部49に出力する。この結果、モニタ31の表示画面上には健常状態のメッセージが表示される。
【0103】
一方、ステップS545での判定がNOの場合にステップS555では、%LPFが70≦%LPF<75%のときに、ステップS560で要注意と判定し、対象者が要注意状態にあることを示すメッセージを生成し、表示制御部49に出力する。この結果、モニタ31の表示画面上には要注意のメッセージが表示される。
【0104】
一方、ステップS555での判定がNOの場合にステップS565では、%LPFが75≦%LPF<90%のときに、ステップS570で膝OAと判定し、対象者が膝OAであったことを示すメッセージを生成し、表示制御部49に出力する。この結果、モニタ31の表示画面上には膝OAのメッセージが表示される。
【0105】
一方、ステップS565での判定がNOの場合にステップS575では、%LPFが%LPF>90%のときにエラーと判定し、3軸加速度センサ21による測定がエラーであったことを示すメッセージを生成し、表示制御部49に出力する。この結果、モニタ31の表示画面上にはエラーメッセージが表示される。
【0106】
このように、対象者の脛骨近部位に加速度センサを装着しておき、加速度信号の波形が最小値から最大値を経て次の最小値に至る解析範囲に対して、高速フーリエ変換を行い各周波数成分を解析し、0〜20Hzの周波数範囲のパワースペクトルが所定範囲にあるか否かにより変形性膝関節症の判定を行うことで、加速度波形の特徴を捉えて、症状の初期段階から変形性膝関節症に至る過程を定量的に判定することができる。
また、波形解析により健常、要注意、変形性膝関節症、エラーのうち何れか1つを判定結果のメッセージとして報知することで、症状の初期段階から変形性膝関節症に至る過程を報知することができる。
【0107】
(7)パワースペクトル解析その2
ここで、ステップS510〜S520の処理は既に説明したので、その説明を省略する。
次いで、ステップS530では、波形解析部45aは、20〜40Hzでのパワースペクトル比%MPFを評価する。なお、%MPFの減少は%LPFの増大を意味している。すなわち、%LPFの増大は、%MPFの減少につながるので、%LPFの増大と同様のことを意味している。
次いで、図14に移り、ステップS580〜S620において、立脚期の膝側方の加速度に関するパワースペクトル比%MPFによって膝OAの判定を行う。
【0108】
まず、ステップS580では、20〜40Hzでのパワースペクトル比%MPFが%MPF<6%の場合に、ステップS585でエラーと判定し、3軸加速度センサ21による測定がエラーであったことを示すメッセージを生成し、表示制御部49に出力する。この結果、モニタ31の表示画面上にはエラーメッセージが表示される。
【0109】
一方、ステップS580での判定がNOの場合にステップS590では、%MPFが6%≦%MPF<14%のときに、ステップS595で膝OAと判定し、対象者が膝OAであったことを示すメッセージを生成し、表示制御部49に出力する。この結果、モニタ31の表示画面上には膝OAのメッセージが表示される。
【0110】
一方、ステップS590での判定がNOの場合にステップS600では、%MPFが14%≦%MPF<18%のときに、ステップS605で要注意と判定し、対象者が要注意状態にあることを示すメッセージを生成し、表示制御部49に出力する。この結果、モニタ31の表示画面上には要注意のメッセージが表示される。
【0111】
一方、ステップS600での判定がNOの場合にステップS610では、%MPFが18%≦%MPF<45%のときに、ステップS615で健常と判定し、対象者が健常状態にあることを示すメッセージを生成し、表示制御部49に出力する。この結果、モニタ31の表示画面上には健常状態のメッセージが表示される。
【0112】
一方、ステップS610での判定がNOの場合にステップS620では、%MPFが%MPF>45%のときにエラーと判定し、3軸加速度センサ21による測定がエラーであったことを示すメッセージを生成し、表示制御部49に出力する。この結果、モニタ31の表示画面上にはエラーメッセージが表示される。
【0113】
このように、対象者の脛骨近部位に加速度センサを装着しておき、加速度信号の波形が最小値から最大値を経て次の最小値に至る解析範囲に対して、高速フーリエ変換を行い各周波数成分を解析し、20〜40Hzの周波数範囲のパワースペクトルが所定範囲にあるか否かにより変形性膝関節症の判定を行うことで、加速度波形の特徴を捉えて、症状の初期段階から変形性膝関節症に至る過程を定量的に判定することができる。
波形解析により健常、要注意、変形性膝関節症、エラーのうち何れか1つを判定結果のメッセージとして報知することで、症状の初期段階から変形性膝関節症に至る過程を報知することができる。
【0114】
(8)パワースペクトル解析その3
ここで、ステップS510〜S520の処理は既に説明したので、その説明を省略する。
次いで、ステップS530では、波形解析部45aは、20〜40Hzでのパワースペクトル比%MPFを評価する。
【0115】
次いで、図15に移り、ステップS700〜S770において、立脚期の膝側方の加速度に関する20〜40Hzでのパワースペクトル比%MPFと、立脚期の膝側方の加速度に関する0〜20Hzでのパワースペクトル比%LPFとの組み合わせが適当な範囲にあるか否かによって膝OAの判定を行う。
【0116】
まず、ステップS700では、20〜40Hzでのパワースペクトル比%MPFが%MPF<6%の場合に、ステップS705でエラーと判定し、3軸加速度センサ21による測定がエラーであったことを示すメッセージを生成し、表示制御部49に出力する。この結果、モニタ31の表示画面上にはエラーメッセージが表示される。
【0117】
一方、ステップS700での判定がNOの場合にステップS710では、%MPFが6%≦%MPF<14%のときにステップS715に進む。ステップS715では、%LPFが75%≦%LPFの場合に、ステップS720で膝OAと判定し、対象者が膝OAであったことを示すメッセージを生成し、表示制御部49に出力する。この結果、モニタ31の表示画面上には膝OAのメッセージが表示される。他方、ステップS715での判定がNOの場合にステップS725では、エラーと判定し、3軸加速度センサ21による測定がエラーであったことを示すメッセージを生成し、表示制御部49に出力する。この結果、モニタ31の表示画面上にはエラーメッセージが表示される。
【0118】
一方、ステップS710での判定がNOの場合にステップS730では、%MPFが14%≦%MPF<18%のときにステップS735に進む。ステップS735では、%LPFが70%≦%LPFの場合に、ステップS740で要注意と判定し、対象者が要注意状態にあることを示すメッセージを生成し、表示制御部49に出力する。この結果、モニタ31の表示画面上には要注意状態のメッセージが表示される。他方、ステップS735での判定がNOの場合にステップS745では、エラーと判定し、3軸加速度センサ21による測定がエラーであったことを示すメッセージを生成し、表示制御部49に出力する。この結果、モニタ31の表示画面上にはエラーメッセージが表示される。
【0119】
一方、ステップS730での判定がNOの場合にステップS750では、%MPFが18%≦%MPF<45%のときにステップS755に進む。ステップS755では、%LPFが50%≦%LPFの場合に、ステップS760で健常と判定し、対象者が健常状態にあることを示すメッセージを生成し、表示制御部49に出力する。この結果、モニタ31の表示画面上には健常状態のメッセージが表示される。他方、ステップS755での判定がNOの場合にステップS765では、エラーと判定し、3軸加速度センサ21による測定がエラーであったことを示すメッセージを生成し、表示制御部49に出力する。この結果、モニタ31の表示画面上にはエラーメッセージが表示される。
【0120】
一方、ステップS750での判定がNOの場合にステップS770では、%MPFが%MPF>45%のときにエラーと判定し、3軸加速度センサ21による測定がエラーであったことを示すメッセージを生成し、表示制御部49に出力する。この結果、モニタ31の表示画面上にはエラーメッセージが表示される。
【0121】
このように、対象者の脛骨近部位に加速度センサを装着しておき、加速度信号の波形が最小値から最大値を経て次の最小値に至る解析範囲に対して、高速フーリエ変換を行い各周波数成分を解析し、20〜40Hzの周波数範囲のパワースペクトルと、0〜20Hzの周波数範囲のパワースペクトルとの組み合わせが所定範囲にあるか否かにより変形性膝関節症の判定を行うことで、加速度波形の特徴を捉えて、症状の初期段階から変形性膝関節症に至る過程を定量的に判定することができる。
波形解析により健常、要注意、変形性膝関節症、エラーのうち何れか1つを判定結果のメッセージとして報知することで、症状の初期段階から変形性膝関節症に至る過程を報知することができる。
【0122】
上述したパワースペクトル解析その2,3を行うことで、以下のような膝OAの早期発見が可能である。すなわち、健常者は膝を接地した瞬間、無意識のうちに膝の筋肉を収縮させ、膝に数10Hzの振動を発生させることで、膝への衝撃を吸収している。ところが、膝OA者の場合、筋肉の収縮の周波数が低く、同じ衝撃のエネルギーが膝に加わった場合でも、高いピークの衝撃が膝に加わるため膝に掛かる負担が大きくなって、症状が悪化していく。さらに、健常者でも%MPFの値が比較的小さい歩き方をしている場合、膝OAになり易いことを示しており、%MPFの範囲を判定することで、膝OAの早期発見や予防にも有効である。
【0123】
(実験例)
今回の実験対象は、健常群10名、膝OA群9名であり、図16に対象者の身体的特徴を示す。健常群は、歩行機能に異常がなく、過去に膝痛の経験がない10名(男性3名、女性7名)であり、年齢は63〜73歳、平均67.5±2.9である。一方、膝OA群は、歩行時に膝関節痛を有する9名(男性3名、女性6名)であり、年齢は68〜81歳、平均75.8±4.3である。
【0124】
測定肢は右3肢、左6肢である。Kellgren&Lawrenceによる膝OAの病気分類では、すべてGradeIVであった。膝OA群は測定翌日に人工膝関節置換術を行い、直視下で大腿骨内側顆を観察した。9名ともに膝関節内側の関節軟骨は消失し、象牙質化が認められた。
【0125】
図1に示すように、3軸加速度センサ21,23をそれぞれ腓骨頭部13と足関節外果部15に固定した。足関節外果部15のセンサによって脛骨長軸方向の衝撃加速度をとらえ踵接地期を同定した。腓骨頭部13のセンサによって脛骨近位部に加わる加速度を測定した。3軸加速度センサからの各軸の出力信号はセンサ信号処理ボックス25を介して信号処理装置27に転送されてA/D変換され、さらに、パーソナルコンピュータ29に取り込んむ。パーソナルコンピュータ29に取り込まれたデータは、データ解析ソフトにより解析した。A/D変換器のサンプリング周波数は、4000Hz とした。
【0126】
歩行条件は普通歩行で、始めに非測定肢より歩行を開始し、全14歩の歩行を行った。その中の4歩と6歩目から得られた加速度波形を解析した。これにより加速度波形の特徴を捉えることができる。
【0127】
(1)加速度波形の解析
図17において、得られた加速度波形の垂直方向の成分(+:上方、−:下方)、前後方向の成分(+:前方、−:後方)、側方方向の成分(+:外側、−:内側)を示す。時間因子については1歩行周期を100%として、対1歩行周期時間に換算した(%Gait Cycle:%GC)。
【0128】
図17に示す垂直成分の加速度波形から、Initial Gontactから上方ピークに達するまでの時間(Z Acceleration Peak Time:ZAPT)とピーク値(Z Acceleration Peak Value:ZAPV)を求めた。また、腓骨頭部13に装着した3軸加速度センサ21から得られたZAPTから足関節外果部のセンサから得られたZAPTを引いた値K−A Time((K−A)T)を求めた。
【0129】
また、前後成分の加速度波形から、Initial Contactから前方ピークに達するまでの時間(X Acceleration Peak Time:XAPT)とピーク値(X Acceleration Peak Value:XAPV)を求めた。
【0130】
さらに、側方成分の加速度波形から、Initial Contactから外側ピークに達するまでの時間(Y Acceleration Peak Time:YAPT)しピーク値(Y Acceleration Peak Value:YAPV)を求めた。
【0131】
(2)加速度波形の解析
図18に示す速度波形は、加速度を時間で積分して求めた。前後の成分の速度波形(+:前方、−:後方)から、Initial Contactから立脚期前方最大速度に達するまでの時間(Max Anterior Velocity Time:Max AVT)と速度(Max Anterior Velocity Value:Max AVV)、後方最大速度に達するまでの時間(Min Anterior Velocity Time:Min AVT)と速度(Min Anterior Velocity Value:Min AVV)を求めた。
【0132】
側方成分の速度波形(+:外側、−:内側)から、Initial Contactから立脚期外側最大速度に達するまでの時間(Max Lateral Velocity Time:Max LVT)と速度(Max Lateral Velocity Value:Max LVV)、内側最大速度に達するまでの時間(Min Lateral Velocity Time:Min LVT)と速度(Min Lateral Velocity Value:Min LVV)を求めた。
【0133】
(3)加速度の周波数解析
立脚期の側方成分の加速度データに対して高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform:FFT)を行い、パワースペクトルを算出した。解析の周波数帯域は120Hz 以下として、平均周波数(Mean Power Frequency:MPF)を求めた。
【0134】
さらに、0−20Hz 、20−40Hz、40−120Hz の周波数帯域に分類し、各周波数帯域のパワースペクトルの積分値から総周波数帯域積分値に対する割合を求めた(%LPF,%MPF,%HPF)。
【0135】
(4)データ解析
上述した測定は、3回行い、6歩行周期を解析対象とした。各パラメーターについて、その平均値を被験者の代表値とした。健常群と膝OA群の比較にはMann−WhitneyのU検定を用い、有意水準は5%とした。
【0136】
(5)以下、図19,図20,図21に示す表を参照して、実験結果について説明する。
(5−1)垂直方向の加速度
図22において、膝OA群と健常群の垂直方向の代表的な加速度波形を示す。足関節外果部15に装着した3軸加速度センサ23からの波形は、健常群では8例が多峰性を示したが、膝OA群では7例が1峰性の波形を示した。
【0137】
腓骨頭部13に装着した3軸加速度センサ21からの波形は、健常群では6例が多峰性を示したが、膝OA群では7例が1峰性の波形を示した。ZAPTとZAPVについては、両群間で有意差は認められなかった。また、(K−A)Tについては、膝OA群は0.001±0.003、健常群は0.007±0.004であり有意差が認められた。なお、膝OA群のうち3例は、足関節外果部15に装着した3軸加速度センサ15よりも先に腓骨頭部13に装着した3軸加速度センサ21にピークが起こっていた。
【0138】
(5−2)脛骨前後方向の加速度
図23において、膝OA群と健常群の前後方向(A)の代表的な加速度波形を示す。前後方向(A)の加速度成分は、健常人では着床初期にわずかに後方方向への変位が認められ、そのまま前方へピークが出現し、後方へのピークへと移行する。
【0139】
健常群では、8例が1峰性を示し、2峰性が1例、3峰性が1例であった。膝OA群では、7例が2峰性の波形を示し、2例が1峰性であった。健常群のXAPVは18.5±3.43m/ss,XAPTは7.23±0.75%1GCであった。
【0140】
一方、膝OA患者では、着床初期にゆっくりと前方へ移行して前方方向へのピークが生じる。その後、前方への加速度はわずかに減少し前方への2次ピークが出現することが多い。
【0141】
膝OA群では、第1ピークのXAPVは13.47±4.62m/ss、ZAPTは5.23±1.3%1GC、第2ピーク(n=7)のXAPVは9.79±6.14m/ss、XAPTは6.66±1.84%1GCであった。
【0142】
(5−3)脛骨側方方向の加速度
図23において、膝OA群と健常群の側方方向の代表的な加速度波形を示す。側方方向(B)の加速度成分は、健常人では着床初期にわずかに内側に移行して外側ピークが生じる場合や、外側にわずかに揺れても内側に移行して外側ピークを生じる。その外側ピークの多くは1峰性であった。
【0143】
健常群では9例が1峰性を示し、1例が2峰性を示した。膝OA群では4例が2峰性、5例が3峰性を示した。健常群のYAPVは18.45±3.49m/ss,YAPTは8.01±0.99%1GCであった。
【0144】
一方、膝OAでは外側にゆっくりと移行して外側ピークを生じる。その外側の加速度ピークは2峰性や3峰性を示した。膝OA群では、第1ピークのYAPVは12.95±5.67m/ss,YAPTは4.54±1.04%1GC、第2ピークのYAPVは11.73±5.45m/ss,YAPTは6.25±0.96%1GC、第3ピーク(n=5)のYAPVは4.92±2.39m/ss,YAPTは7.86±0.98%1GCであった。
【0145】
(5−4)脛骨前後方向の速度
図24において、膝OA群と健常群の前後方向(A)の代表的な速度波形を示す。健常者では、前方へのピークが生じ、後方へと移りゆっくりと前方速度が増加していく。
一方、膝OA群では、着床と同時に前方への速度が生じ、後方へのピークの変換は起こらず、立脚後期に後方ピークに達するモノが多かった。
【0146】
Max AVV、MaxAVTは、健常群と膝OA群で有意差は認められなかった。一方、Min AVVは健常群−0.27±0.12m/s、膝OA群−0.05±0.08m/sで有意差が認められた。Min AVTは、健常群18.81±0.32%1GC、膝OA群34.76±16.54%1GCで有意差が認められた。
【0147】
(5−5)脛骨側方方向の速度
図24において、膝OA群と健常群の側方方向(B)の代表的な速度波形を示す。健常者ではわずかに内側速度が生じ、荷重反応期に外側速度ピークを迎え、立脚中期は内側速度に移行し、立脚後期に外側速度が生じる。
膝OA群では、着床初期には外側速度がすでに生じており、そのまま外側速度は増加する。荷重反応期に最大外側速度が生じ、その後減少して行くが外側速度が生じたままか、わずかに内側速度を生じ、遊脚期に移行する。
【0148】
Max LVVは、健常群0.29±0.1m/s、膝OA群0.42±0.1m/sで有意差が認められた。Max LVTは、健常群9.13±0.07%1GC、膝OA群8.72±3.53%1GCで有意差は認められなかった。Min LVVは、健常群−0.15±0.07m/s、膝OA群−0.04±0.1m/s、Min LVTは、健常群27.31±2.94%1GC、膝OA群34.42±8.83%1GCで膝OA群は有意差が認められた。
【0149】
(5−6)周波数解析
図25において、膝OA群と健常群の周波数解析の結果を示す。健常群と膝OA群では、立脚期の膝側方加速度成分の周波数分布に明らかな違いが認められる。MPFは、健常群19.23±3.78Hz 、膝OA群15.85±4.01Hz で両群に有意差はなかった。各周波数帯域割合は、%LPFは健常群67.23±13.4%、膝OA群82.37±7.93、%MPFは健常群31.4±13.56%、膝OA群10.07±3.89%で有意差が認められた。
【0150】
(6)考察
膝OAの病因として遺伝学的検討や生化学的研究が軟骨破壊機序を解明し注目を浴びているが、メカニカルストレスは軟骨破壊の引き金として無視できないものであり、それを客観的に捉えることは病態進行を解明する上で重要である。膝の生体力学的研究では、関節軟骨破壊が圧縮・回旋・剪断力が主因であることより、静的な状態よりも歩行時や荷重動作時での動的な変化を捉えることによって病態運動を明らかにできる可能性がある。
【0151】
膝OAの歩行を評価するには、ふだんの規制のない歩行を再現することが重要である。本実験で用いた3軸加速度センサは5mのコードが延びいてたが、多数歩連続自由歩行を妨げることなく測定することが可能であった。再現性については各パラメーターの変動係数が10%以下であり問題ないと判断できる。コスト面からもフォースプレートやビデオ解析機器に比較して安価で簡単であり、臨床において使用するには非常に適している。
【0152】
膝OAに認められる異常なメカニカルストレスを生じさせる病態運動として外側thrustが臨床で観察できる。外側thrustを、加速度センサを用いて客観的に計測した研究はすでに報告されている。非特許文献2によれば、加速度計を用い、立脚初期の急激な外側方向への加速度の変位を外側thrustとし、そのピーク値を定量化して報告している。
【0153】
しかしながら、立脚初期には健常人をふくめ脛骨内反を伴うことが一般的であり、ピーク値での評価は波形全体を評価していない欠点がある。また、本実験の予備実験においても、ピーク値の変動は大きく再現性に乏しいことが危惧された。確かに外側thrustは側方動揺が大きいことが予測されるが、膝の運動は回旋を含む3次元での運動であり膝の側方加速度のみを計測している点に疑問を感じざるをえない。本実験では四肢の運動計測に適している圧電型加速度センサを用い、3軸の脛骨近位部の歩行時の運動を測定することによって、膝OAの特徴的な加速度波形を捉えることができた。
【0154】
本実験の結果、立脚期に脛骨外側最大加速度が生じる時に、同時に前方への加速度が生じていた。よって立脚初期に認められる外側thrustは膝関節の3次元での運動であると推測できる。
1歩行周期での3方向の加速度波形を観察すると、健常群、膝OA群ともに歩行初期の時期に加速度の変動が大きいことが確認できた。立脚初期(着床初期から荷重反応期)には最も大きな筋活動が瞬間的に要求される時期である。着床初期から荷重反応期までの体節制御は、その後の歩行周期における体節制御にも影響を与える。この時期、身体は(1)衝撃吸収、(2)安定した体重負荷、(3)推進力の保存という3つの機能が要求される。膝関節はヒールロッカーから得られた推進力を近位部に伝えるために衝撃吸収を行いながら大腿と下腿を連結することが要求される。脛骨は瞬間的に内反位となるが、水平面において大腿骨が外旋することで脛骨は相対的に内旋位となりACLとPCLが交差することで安定性が得られる。それと足指屈筋群・後脛骨筋群が働き脛骨の内反を制動する。
【0155】
立脚中期には荷重反応期につくられた支持基底面上に身体重心を移動することが要求される。この時期は地面に固定された足部の上を脛骨が前進するAnkle rockerが重要な意味をもつ。立脚中期初期では脛骨は大腿部と連結し内旋した状態で前進し、後期では膝関節の能動的な伸展運動が起こるとともに脛骨の外旋によって遊びが生じる。つまり、脛骨は立脚初期に最大外側移動速度が生じ、初期立脚中期に最大内側移動速度が生じる。
【0156】
膝OA群から得られた加速度波形について運動学的解釈を加え考察を述べていく。垂直方向の加速度波形は健常人では、外果部・膝関節部の順に上方加速度ピークが認められるが、膝OAでは膝関節部・外果部の順にピークが認められる場合があった。これは膝OAでは踵接地とそれに続くヒールロッカーがうまく機能していないことを示し、地面からの衝撃吸収ができず、そのまま膝に衝撃が加わっていることが推測される。さらにほとんどの膝OA群は1峰性のピーク波形を示し、地面から短時間で多くの衝撃を受けていることを意味する。
【0157】
脛骨前後方向・側方方向の加速度波形の多峰化は膝関節の動的不安定性によって生じていると推測している。膝OAでは静的な状態でも脛骨が外旋位に位置しており、立脚初期の脛骨の内旋が生じないために靱帯交差による安定性が得られていない。また、大腿四頭筋、膝窩筋による脛骨と大腿骨の連結もうまく行なえていないために、立脚初期に膝関節は非常に不安定な状態に置かれていることが推測される。これらの仮説を実証するためには、脛骨に加わる加速度と同時に回旋要素を明らかにする必要があり今後の課題でもある。
【0158】
矢状面の膝関節安定性には大腿四頭筋による筋による制御が重要である。本実験の結果、前後方向の加速度波形は膝OAでは2峰性の波形を示すことが多かった。これは荷重反応期の脛骨の大腿骨の連結がうまくできていないために矢状面での動的安定性が欠如した状態で荷重を受け入れているため生じていると推測される。それを補償するためにZAPVの減少は起きているのではないか。膝OAでの歩行時の膝関節屈曲角度は減少していることが報告されており、本実験の結果を支持するものである。また、Min AVVの減少とMin AVTの延長は荷重反応期に脛骨と大腿骨の動的連結ができていないために、立脚中期の膝の受動的伸展が起きていないことを意味している。
【0159】
側方方向の加速度成波形は、初期の外側加速度ピークは健常人にも認められるが、膝OAでは、健常群よりも早期に外側加速度ピークが起こり、さらに第2、3ピークが出現する。それは膝関節動的安定性が欠如した状態で荷重を受け入れているため生じていることは明らかであるが、なぜ外側に加速度が増加するのかは膝不安定性だけでは説明できない。その理由として足指屈筋群や内側アーチ保持筋が荷重反応期の脛骨内反を制動する機能を果たしてないことが考えられる。膝OA患者では、足横アーチ低下が多く認められ、足指も十分に機能してないことが臨床上観察できる。
【0160】
その他にも、着床初期の足部と位置や身体質量中心の制御も複雑に関連していることが臨床上推測される。足部が床面に固定された状態で脛骨近位部の外側移動は脛骨内反を意味しており、最も膝に圧縮応力が加わる立脚中期に健常群では内側速度に変換されるのに対し、膝OAではそれが不十分であった。このことは、異常なメカニカルストレスを生む運動様式によって起こっていることと注目しており、膝内側への圧縮応力と回旋に伴う剪断力の増加を起こすと推測している。今後の研究課題として膝関節回旋運動様式を解明することで、膝OA発症に関係する異常な運動様式を実証する必要がある。
【0161】
本実験では周波数解析においても膝OAは特徴的な周波数分布を示すことが確認できた。立脚期に脛骨に起きる運動としては、足部固定での身体質量中心の移動に伴うゆっくりとした運動、筋の反射的収縮に伴う運動、関節の遊びまたは不安定性によって生じる速い運動とに区別できる。
【0162】
膝OA群によって認められた0−20Hz 周波数帯域の増加は、足部固定での身体質量中心の移動に伴うゆっくりとした運動の増加を示し、20−40Hz 周波数帯域の減少は脛骨を内外反中間位に位置するための筋の反射的収縮に伴う運動が不十分なことを意味しているのではないかと推測している。実際、膝OAでは下肢筋力の低下のみでなく神経運動器協調能も低下しており、歩行時の適切な時期による関節安定作用が不十分であることが報告されている周波数帯域と脛骨運動の関連については今後さらなる検討が必要である。
【0163】
以上の結果を踏まえ、膝OAの理学療法をデザインし、実施した時の臨床症状の変化と加速度波形の変化について報告する。
【0164】
症例は両膝OAと診断された69歳女性である。理学療法開始時には荷重時痛・歩行時痛ともに強くVAS;8の状態で短距離の歩行可能であるが、立ち上がり動作・階段昇降動作ともに不可能な状態であった。
【0165】
理学療法は以下の目的で行った。(1)踵接地とそれにひきつづく衝撃吸収機能の改善。(2)着床初期から荷重反応期にかけての脛骨内外反中間位の保持。(3)荷重反応期における脛骨と大腿骨の連結機能。(4)立脚中期での下腿の前方推進の制御。(5)股関節骨盤の可動性改善と体幹保持機能の改善。(6)筋力よりも筋収縮のタイミングと外乱に対する反応改善。理学療法を1週間6回施行後、荷重・歩行時痛VAS;2に改善、歩行距離の増加、立ち上がり動作可能な状態となった。
【0166】
図26,図27に理学療法開始前と開始1週間後の加速度波形とパワースペクトラムの変化を示す。また、図28に加速度、速度、パワースペクトラムの各パラメーターの変化の表を示す。
理学療法を行うことで自覚症状は明らかに改善され、それに伴い加速度波形にも変化が認められ、各パラメーターも健常群の値に近づいたことが確認できる。特に、側方加速度・速度パラメーターの改善と周波数分布の変化は、歩行時の脛骨運動の変化を表わしており、理学療法効果として重要な意味を持つと考えている。
【0167】
本実験の結果、膝OAの理学療法としてはただ漠然とした関節可動域訓練や大腿四頭筋訓練よりも異常なメカニカルストレスを生む運動様式を減少させるプログラムの立案が重要であるとの考えに至った。膝関節アライメントを変化させる高位脛骨骨きり術では、軟骨の修復機転が軟骨下骨以下の骨髄組織からの新生血管を通じて生じることが報告されている。
【0168】
また、膝OAの病態要因として、荷重バランスの破綻による異常ストレスにより軟骨細胞の基質産生能が低下するというストレス反応説が提唱されている。このことは理学療法を通して運動様式を変化させ異常なメカニカルストレスを減少させれば軟骨修復が起きる可能性があることを意味している。理学療法の効果を脛骨運動の変化として直接測定した実験は本報告が知り得る限り初めてであり、理学療法の客観的効果判定として興味深い結果が得られた。
【0169】
【発明の効果】
発明によれば、対象者の脛骨近部位および踵近部位にそれぞれの加速度センサを装着しておき、歩行時に垂直方向に生じる第1の加速度信号に生じた第1のピーク点の第1の時刻を抽出し、第2の加速度信号に生じた第2のピーク点の第2の時刻を抽出し、第1の時刻から第2の時刻までの衝撃伝達期間を算出し、この衝撃伝達期間が所定範囲にあるか否かにより変形性膝関節症の判定を行うことで、加速度波形の特徴を捉えて、症状の初期段階から変形性膝関節症に至る過程を定量的に判定することができる。
【0170】
また、本発明によれば、対象者の脛骨近部位に加速度センサを装着しておき、加速度信号を積分して求めた速度から前後方向の最小速度を算出し、前後方向の最小速度が所定範囲にあるか否かにより変形性膝関節症の判定を行うことで、加速度波形の特徴を捉えて、症状の初期段階から変形性膝関節症に至る過程を定量的に判定することができる。
【0171】
また、本発明によれば、対象者の脛骨近部位および踵近部位にそれぞれの加速度センサを装着しておき、第2の加速度信号の波形が急峻に立ち上がる第1の時刻を抽出し、第1の加速度信号を積分して求めた速度から前後方向の最小速度となる第2の時刻を抽出し、第1の時刻から第2の時刻までの期間を算出し、この期間が所定範囲にあるか否かにより変形性膝関節症の判定を行うことで、加速度波形の特徴を捉えて、症状の初期段階から変形性膝関節症に至る過程を定量的に判定することができる。
【0172】
また、本発明によれば、対象者の脛骨近部位に加速度センサを装着しておき、加速度信号を積分して求めた速度から側方方向の最大速度を算出し、この側方方向の最大速度が所定範囲にあるか否かにより変形性膝関節症の判定を行うことで、加速度波形の特徴を捉えて、症状の初期段階から変形性膝関節症に至る過程を定量的に判定することができる。
【0173】
さらに、本発明によれば、対象者の脛骨近部位および踵近部位にそれぞれの加速度センサを装着しておき、第2の加速度信号の波形が急峻に立ち上がる第1の時刻を抽出し、第1の加速度信号を積分して求めた速度から側方方向の最小速度となる第2の時刻を抽出し、第1の時刻から第2の時刻までの期間を算出し、この期間が所定範囲にあるか否かにより変形性膝関節症の判定を行うことで、加速度波形の特徴を捉えて、症状の初期段階から変形性膝関節症に至る過程を定量的に判定することができる。
【0174】
さらに、本発明によれば、対象者の脛骨近部位に加速度センサを装着しておき、加速度信号の波形が最小値から最大値を経て次の最小値に至る解析範囲に対して、高速フーリエ変換を行い各周波数成分を解析し、0〜20Hz及び/又は20〜40Hzの周波数範囲のパワースペクトルが所定範囲にあるか否かにより変形性膝関節症の判定を行うことで、加速度波形の特徴を捉えて症状の初期段階から変形性膝関節症に至る過程を定量的に判定することができる。
【0175】
さらに、本発明によれば、加速度信号の検出は、全14歩の通常歩行のうち、第4歩目と第6歩目で検出することで、加速度波形の特徴を捉えることができる。
【0176】
さらに、本発明によれば、波形解析により健常、要注意、変形性膝関節症、エラーのうち何れか1つを判定結果のメッセージとして報知することで、症状の初期段階から変形性膝関節症に至る過程を報知することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る変形性膝関節症の判定装置の構成を示す図である。
【図2】変形性膝関節症の判定装置をブロック構成として表した図である。
【図3】3軸加速度センサの一例の内部構造を示す平面図である。
【図4】モニタの表示画面に表示された加速度−時間に関するグラフである。
【図5】加速度波形解析の一例を表すフローチャートである。
【図6】モニタの表示画面に表示された速度−時間、加速度−時間に関するグラフ(その1)である。
【図7】速度・加速度波形解析の一例を表すフローチャート(その1)である。
【図8】速度・加速度波形解析の一例を表すフローチャート(その2)である。
【図9】モニタの表示画面に表示された速度−時間、加速度−時間に関するグラフ(その2)である。
【図10】速度・加速度波形解析の一例を表すフローチャート(その3)である。
【図11】速度・加速度波形解析の一例を表すフローチャート(その4)である。
【図12】モニタの表示画面に表示された加速度−時間に関するグラフとその解析範囲を示す図である。
【図13】パワースペクトル解析の一例を表すフローチャート(その1)である。
【図14】パワースペクトル解析の一例を表すフローチャート(その2)である。
【図15】パワースペクトル解析の一例を表すフローチャート(その3)である。
【図16】対象者の身体的特徴を示す表である。
【図17】腓骨頭部に装着した加速度センサから得られた加速度波形である。
【図18】腓骨頭部に装着した加速度センサから得られた加速度波形を積分して得られた速度波形である。
【図19】膝OA群と健常群の加速度の比較を示す表である。
【図20】膝OA群と健常群の速度の比較を示す表である。
【図21】膝OA群と健常群のパワースペクトルの比較を示す表である。
【図22】健常人と膝OAの垂直方向の加速度波形の比較を示すグラフである。
【図23】健常人と膝OAの前後・側方成分の加速度波形の比較を示すグラフである。
【図24】健常人と膝OAの前後・側方成分の速度波形の比較を示すグラフである。
【図25】健常人と膝OAのパワースペクトルの比較を示すグラフである。
【図26】PT介入前後の加速度・速度波形の比較を示すグラフである。
【図27】PT介入前後のパワースペクトルの比較を示すグラフである。
【図28】PT介入前後の各パラメータの比較を示す表である。
【符号の説明】
21,23 3軸加速度センサ
25 センサ信号処理ボックス
27 信号処理装置
29 パーソナルコンピュータ
37a,37b,37c,37d,37e,37f アナログ信号処理回路
39a,39b,39c,39d,39e,39f A/D変換器
41a,41b,41c,41d,41e,41f ラインメモリ部
43 インターフェースI/F部
45 演算制御部
45a 波形解析部
47 記憶部
49 表示制御部

Claims (8)

  1. 対象者の脛骨近部位に装着して歩行時に垂直方向に生じる第1の加速度信号を検出する第1の加速度センサと、
    前記対象者の踵近部位に装着して歩行時に垂直方向に生じる第2の加速度信号を検出する第2の加速度センサと、
    前記第1の加速度信号に生じた第1のピーク点の第1の時刻を抽出し、前記第2の加速度信号に生じた第2のピーク点の第2の時刻を抽出し、第1の時刻から第2の時刻までの衝撃伝達期間を算出し、この衝撃伝達期間が所定範囲にあるか否かにより変形性膝関節症の判定を行う波形解析手段とを有することを特徴とする変形性膝関節症の判定装置。
  2. 対象者の脛骨近部位に装着して歩行時に前後方向に生じる加速度信号を検出する加速度センサと、
    前記加速度信号を積分して求めた速度から前後方向の最小速度を算出し、前後方向の最小速度が所定範囲にあるか否かにより変形性膝関節症の判定を行う波形解析手段とを有することを特徴とする変形性膝関節症の判定装置。
  3. 対象者の脛骨近部位に装着して歩行時に前後方向に生じる第1の加速度信号を検出する第1の加速度センサと、
    前記対象者の踵近部位に装着して歩行時に垂直方向に生じる第2の加速度信号を検出する第2の加速度センサと、
    前記第2の加速度信号の波形が急峻に立ち上がる第1の時刻を抽出し、前記第1の加速度信号を積分して求めた速度から前後方向の最小速度となる第2の時刻を抽出し、第1の時刻から第2の時刻までの期間を算出し、この期間が所定範囲にあるか否かにより変形性膝関節症の判定を行う波形解析手段とを有することを特徴とする変形性膝関節症の判定装置。
  4. 対象者の脛骨近部位に装着して歩行時に側方方向に生じる加速度信号を検出する加速度センサと、
    前記加速度信号を積分して求めた速度から側方方向の最大速度を算出し、この側方方向の最大速度が所定範囲にあるか否かにより変形性膝関節症の判定を行う波形解析手段とを有することを特徴とする変形性膝関節症の判定装置。
  5. 対象者の脛骨近部位に装着して歩行時に側方方向に生じる第1の加速度信号を検出する第1の加速度センサと、
    前記対象者の踵近部位に装着して歩行時に垂直方向に生じる第2の加速度信号を検出する第2の加速度センサと、
    前記第2の加速度信号の波形が急峻に立ち上がる第1の時刻を抽出し、前記第1の加速度信号を積分して求めた速度から側方方向の最小速度となる第2の時刻を抽出し、第1の時刻から第2の時刻までの期間を算出し、この期間が所定範囲にあるか否かにより変形性膝関節症の判定を行う波形解析手段とを有することを特徴とする変形性膝関節症の判定装置。
  6. 対象者の脛骨近部位に装着して歩行時に側方方向に生じる加速度信号を検出する加速度センサと、
    前記加速度信号の波形が最小値から最大値になる解析範囲に対して、高速フーリエ変換を行い各周波数成分を解析し、0〜20Hz及び/又は20〜40Hzの周波数範囲のパワースペクトルが所定範囲にあるか否かにより変形性膝関節症の判定を行う波形解析手段とを有することを特徴とする変形性膝関節症の判定装置。
  7. 前記加速度信号は、
    前記歩行時に行う14歩の通常歩行のうち、第4歩目と第6歩目で検出することを特徴とする請求項乃至記載の変形性膝関節症の判定装置。
  8. 前記波形解析手段は、
    健常、要注意、変形性膝関節症、エラーのうち何れか1つを判定結果のメッセージとして報知することを特徴とする請求項乃至記載の変形性膝関節症の判定装置。
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