JP4350261B2 - 撥水・撥油・帯電防止性能に優れた皮革様シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、優れた撥水・撥油性能と良好な帯電防止性能を兼備し、しかも高級感を有する皮革様シート及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
繊維製品に撥水・撥油性能や防汚性能を付与する目的で、該繊維製品にフッ素系化合物を付与することは公知である。例えば、特開平7−34384号公報には、繊維製品を2価以上の金属の塩で処理し、次に該金属と配位可能な親水性を含む含フッ素重合体で処理することにより、撥水撥油性能を付与する方法が記載されている。また特開平2−259165号公報には、ポリアミド系繊維を、スチレンスルホン酸系処理剤で前処理し、その後にフッ素系撥水撥油剤により処理することによりアミド系繊維に撥水撥油加工を施す方法が記載されている。
【0003】
また、撥水・撥油性に加えて帯電防止性を付与する手法についても、公知であり、例えば特開平9−291481号公報には、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンを必須の連鎖移動剤として使用する、パーフルオロアルキル基を有するアクリル系単量体(a)とオキシアルキレン基を有するアクリル系単量体(b)とアクリル酸アルキルエステル系単量体及びメタクリル酸アルキルエステル系単量体の少なくとも一方からなる単量体(c)から得られる撥水性、撥油性、汚れ除去性、制電性を兼備した共重合体を繊維の撥水・撥油加工剤として使用することが提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
皮革様シートは、一般に、極細繊維からなる不織布にポリウレタンで代表される弾性重合体を付与し、その表面を毛羽立てることにより、あるいはその表面に樹脂被覆層を設けることにより製造されているが、極細繊維として吸湿性の少ない繊維原料から製造されており、ポリウレタン樹脂も一般に吸湿性が低いことから、上記の特開平7−34384号公報や特開平2−259165号公報に記載された方法では、帯電防止性能が大幅に悪化する。特に、高級感あるスエード調を目的に構成繊維の繊度を小さくすればするほど、また高耐久性を得るためにポリカーボネート系ポリウレタン樹脂といった疎水性高いポリウレタン樹脂を使用する場合には、この傾向は特に顕著となる。
【0005】
近年、高耐久性の要請よりポリカーボネート系ポリウレタン樹脂を使用した皮革様シートを用いた人工皮革が求められているが、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂を用いた皮革様シートはそれ以外のポリウレタン樹脂を用いた場合と比べて帯電性が高く、静電気放電による衣料としての着用感の悪化及び身体へのまとわりつき、インテリア用途での使用感の悪化等を招いており、改良の要求があった。また人工皮革に防汚性を付与するために、撥水性及び撥油性を付与することは、人工皮革として欠くことのできないものである。すなわち人工皮革に、帯電防止性と撥水・撥油性を付与することは、極めて重要であり、特にポリカーボネート系ポリウレタンを用いた人工皮革においては重要な要件である。
【0006】
この課題を解決する目的で、フッ素系撥水処理剤の付与前にあらかじめ帯電防止剤を付与しておく方法やフッ素系撥水処理剤の処理後に帯電防止剤を付与する方法が先ず考えられるが、前者の方法の場合には、帯電防止剤の溶出もしくは撥水処理剤の付着不良により帯電防止性、撥水撥油性は両立せず、逆に後者の方法の場合には、帯電防止剤の浸透性不良に伴い帯電防止能が向上せず、結局どちらの方法を用いても実用レベルまでの到達は困難であった。
【0007】
単純にフッ素系撥水処理剤と帯電防止剤を混合することにより、撥水撥油性能と帯電防止性能を両立させる方法は、作業性等は最も優れているものの、従来までの技術では、水系の撥水撥油剤エマルジョンの破壊と性能低下、スカム発生等を惹起するため、その実施は不可能であった。なお、前記した特開平9−291481号公報では、優れた撥水・撥油性能と良好な帯電防止性能を兼備した繊維用の加工剤として上記したような共重合体が提案されているが、このような共重合体は耐光性、耐汗劣化性に欠点を有し、また、極細繊維とポリウレタン樹脂からなるスェード調人工皮革に適用した場合は、外観の悪化と風合いの硬化を惹起するため、該用途への適用は困難であった。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、優れた撥水・撥油性能と良好な帯電防止性能を兼備し、しかも高級感を有する皮革様シートを提供することを目的とする。
この問題を解決するため鋭意検討した結果、本発明者は、疎水性の強い繊維とポリカーボネート系ポリウレタン樹脂の構成からなる皮革様シートの処理において、特定比率の帯電防止剤、撥水撥油処理剤、望ましくはノニオン系界面活性剤を同浴で処理することにより、撥水剤と帯電防止剤とが実質的に表面上に共存している、撥水撥油性能と帯電防止性能を両立させた皮革様シートが得られることを発見するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、繊維とポリカーボネート系ポリウレタン樹脂から構成され、その重量比(繊維/ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂)が95/5〜40/60である皮革様シートにおいて、該繊維とポリウレタン樹脂の総重量に対して、フッ素原子含有化合物(A)が0.05〜8重量%、カチオン系帯電防止剤、アニオン系帯電防止剤、両性帯電防止剤及びノニオン系帯電防止剤からなる群から選ばれる少なくとも一種の帯電防止剤(B)が0.01〜5重量%付与されており、撥水度70点以上かつ摩擦帯電圧800V以下であることを特徴とする皮革様シートであり、望ましくはHLB価が8以上のノニオン系界面活性剤(H)が上記繊維とポリウレタン樹脂の総重量に対して、0.01〜1.0重量%付与されていることを特徴とする、優れた撥水・撥油性能と良好な帯電防止性能を兼備し、しかも高級感を有する皮革様シートに関する。
【0010】
本発明において、皮革様シートを構成するポリカーボネート系ポリウレタン樹脂としては、原料の高分子ジオールの少なくとも一部としてポリカーボネートジオール(C)を用いたもの、好ましくはポリカーボネートジオール(C)がポリウレタンの製造に用いられた全高分子ジオール重量に対して5重量%以上含有するポリウレタン樹脂、より好ましくは数平均分子量が500〜3000のポリカーボネート系ポリマージオール(C)、およびポリエステルジオール、ポリラクトンジオール、ポリエーテルジオールよりなる群より選ばれた数平均分子量が500〜3000のポリマージオール(D)を必須とするジオール混合物(E)と、有機ジイソシアネート(F)とをNCO/OHの当量比が0.5〜0.99となる様な量的関係で反応して得られた実質的に末端がOHの中間体ジオール(G)をソフトセグメントとして使用し、これとジイソシアネート化合物及び鎖伸長剤を反応させた、いわゆるセグメント化ポリウレタン樹脂が耐光性や柔軟性等の点で好適に使用される。
【0011】
ポリカーボネート系ポリマージオール(C)のジオール混合物(E)に対する重量比は、5重量%以上で80重量%以下であることが望ましい。5重量%未満の場合、ポリカーボネート系ポリマージオール(C)を用いた皮革様シートの特長である、疎水性及び耐光性が低下し、本発明法の処理なしでも帯電性が十分に低く、帯電防止処理を行う必要性を生じない。また、ポリカーボネート系ポリマージオール(C)の含有量が少ないため、耐光性等の物性が低下し、皮革様シートとして不適当である。また80重量%を越える場合には、得られるポリウレタンが剛直となり、皮革様シートとして要求される柔軟性が損なわれ好ましくない。
【0012】
ポリマージオール(C)または(D)の数平均分子量は500〜3000が好適であるが、より好適には700〜2500の範囲が選ばれる。500未満であるとポリウレタンの柔軟性が失われ、耐熱性が低下する等の傾向にあり好ましくない。逆に3000を越える場合には、必然的にウレタン基濃度が低下するためか、力学的物性、柔軟性、耐寒性、耐熱性、耐久性のバランスのとれたウレタンが得にくいのみならず、該ポリマージオールの工業的製法に難点があり、好ましくない。
【0013】
本発明に使用されるポリカーボネートジオール(C)は、例えばカーボネート化合物とジオールとを反応させて得ることができる。カーボネート化合物としては、ジメチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネートなどを用いることができる。ジオールとしては低級アルコールで、置換されていても良いエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、メチルペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ドデカンジオールなどの脂肪族ジオール、シクロヘキサンジオール、水添キシリレングリコールなどの脂環式ジオール、キシリレングリコールなどの芳香族ジオールなどの一種もしくは2種以上の混合物が用いられるが、中でも脂肪族ジオールが、とりわけブタンジオール、メチルペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオールなどの炭素鎖長が4〜9の脂肪族ジオールの1種もしくは2種以上の混合物が耐寒性、柔軟性の点で好適に用いられる。
【0014】
本発明に使用されるポリマージオール(D)は、ポリエステルジオール、ポリラクトンジオール及びポリエーテルジオールよりなる群より選ばれた数平均分子量が500〜3000のポリマージオールである。なお本発明においてポリエーテルエステルジオールはポリエーテルジオールに包含される。
【0015】
このうちポリエステルジオールは、例えば二塩基酸とジオールとを反応させて得ることができる。二塩基酸としてはコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシル酸のような脂肪族二塩基酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族二塩基酸の1種もしくはそれらの組み合わせで用いることができる。なかでも脂肪族二塩基酸が、とりわけアジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸などのメチレン鎖長が4〜8の二塩基酸が柔軟性、経済性の点で更に好適に用いられる。ジオールとしては、低級ジオールで、置換されていても良いエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、メチルペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ドデカンジオールなどの脂肪族ジオール、シクロヘキサンジオール、水添キシリレングリコールなどの脂環式ジオール、キシリレングリコールなどの芳香族ジオールなどの1種もしくはそれらから選ばれる2種以上の混合物が耐寒性、柔軟性、耐久性の点で用いられるが、中でも脂肪族ジオールが、とりわけブタンジオール、メチルペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオールなどの炭素鎖長が4〜9の脂肪族ジオールの1種もしくはそれらから選ばれる2種以上の混合物が耐寒性、柔軟性、耐久性の点で好適に用いられる。
【0016】
ポリラクトンジオールとしては、例えばポリ−ε−カプロラクトンジオール、ポリートリメチル−ε−カプロラクトンジオール、ポリ−β−メチル−δ−バレロラクトンジオールなどが挙げられる。
【0017】
ポリエーテルジオールとしては、例えばポリテトラメチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等が挙げられ、またポリウレタンに一般に用いられているポリエーテルエステルジオールも包含される。
【0018】
本発明に使用される中間体ジオール(G)は、ポリマージオール(C)および(D)を必須として含むポリマージオール(E)の混合物を有機ジイソシアネート(F)とNCO/OHの当量比が0.5〜0.99となるような量的関係で反応させて得られる。NCO/OHの当量比が0.5未満であると、得られたポリウレタン樹脂複合体の柔軟性、耐寒性、耐熱性のバランスがとれにくく、本発明の効果が十分に得られない。またNCO/OHの当量比が0.99を越えると、皮革様シートの表面性、風合、柔軟性、耐寒性、耐熱性のバランスがとれにくく、好ましくない。
【0019】
本発明に使用される有機ジイソシアネート(F)は、たとえば、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4−または2,6−トリレンジイソシアネートなどの芳香族系または非芳香族系のジイソシアネートなどが用いられる。なかでもヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、ジシクロへキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート等の非芳香族系(すなわち、脂肪族系または脂環族系)のジイソシアネートが、得られたポリウレタンの溶液を不織布に含浸させた後に非溶剤で湿式凝固させることによって得られるシ−トの表面性及び風合が良好となるので好ましい。
【0020】
中間体ジオール(G)を作製する場合に溶剤は特に必要ないが、NCO/OHが1に近い場合など中間体ジオール(G)の粘度が高く、取り扱いにくい場合には溶剤中で反応させてもよい。そのような溶剤としては、例えばジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、Nーメチルピロリドン、トルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、テトラヒドロフランなど通常使用されている溶剤が用いられる。
【0021】
また本発明では、分子量が500未満の低分子ジオールを、本発明の目的を損なわない範囲で、ポリマージオール(E)、中間体ジオール(G)のそれぞれに対して混合して用いることは何ら制限はないが、エチレングリコール、ブタンジオール、へキサンジオールなどの低分子直鎖ジオール、キシリレングリコールなどの芳香族ジオ−ルのごとき通常は鎖伸長剤として使用される成分は、実質的には含まない方がポリウレタン樹脂の力学的物性、柔軟性、耐寒性などの点で好ましい。
【0022】
本発明のポリウレタン樹脂のハードセグメントに使用される、すなわち鎖伸長反応に用いられるジイソシアネートの種類は、経済性、工程通過性の点から 4,4−ジフェニルメタンジイソシアネートが望ましい。4,4−ジフェニルメタンジイソシアネートの使用量には特に制限はなく、ポリウレタン溶液の粘度、ポリマージオールの分子量、反応溶媒、ポリマージオール、低分子ジオール中に含まれる水分などにもよって異なるが、通常は得られるポリウレタンの樹脂の機械的強度やポリウレタンの樹脂溶液の貯蔵安定性の点でNCO/OH当量比が0.90〜1.2、より好ましくは0.95〜1.10である。また本発明の効果を損なわない範囲で、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートと他のイソシアネートを併用することも可能である。そのようなイソシアネートとしては、2,4−または2,6−トリレンジイソシアネート、メタまたはパラフェニレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートなどの非芳香族ジイソシアネートなどが用いられる。
【0023】
鎖伸長剤としては、低級アルコールで置換されていても良いエチレングリコール、プロピレングルコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、メチルペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ドデカンジオールなどの脂肪族ジオール、シクロヘキサンジオール、水添キシリレングリコールなどの脂環式ジオール、キシリレングリコールなどの芳香族ジオール、さらにはジエチレングリコール、低級ジアミン類などの一種もしくは二種以上の混合物が用いられるが、中でも脂肪族ジオールが、とりわけエチレングリコール、ブタンジオールが、得られるポリウレタン樹脂及び皮革様シートの風合い、柔軟性、耐熱性などのバランス面で好適に使用される。その使用量は特に制限はないが、その分子構造、ポリマーポリオール成分の配合量、分子量、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートの使用量、NCO/OH当量比によっても異なるが、通常はポリマーポリオールに対しての当量比で0.4〜20程度が、得られるポリウレタン樹脂及び皮革様シートの風合い、柔軟性、耐寒性、耐熱性の面で好適である場合が多い。
【0024】
ポリウレタン樹脂を重合する際に触媒は必ずしも必要ではないが、通常のポリウレタンの製造に用いられる触媒類、例えばチタンテトライソプロポキサイド、ジブチル錫ジラウリレート等の金属化合物、テトラメチルブタンジアミン、1,4−ジアザビシクロ(2,2,2)オクタンなどの3級アミンなどを用いることができる。
【0025】
ポリウレタン樹脂の溶剤としては、例えばジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、Nーメチルピロリドン、トルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、テトラヒドロフランなど通常使用されている溶剤が用いられる。
【0026】
このようにして得られたポリウレタン樹脂を使用する場合、本発明の効果を損なわない範囲で従来のポリウレタンに使用される各種添加剤、例えば燐系化合物、ハロゲン含有化合物などの難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、染料、可塑剤、界面活性剤などを添加することができる。
【0027】
このようなポリウレタン樹脂を皮革様シートに用いる際の、皮革様シートを構成する繊維質基体は、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリル等の繊維、または羊毛などの天然繊維から得られる編布、織布、不織布等のいずれも使用することができる。なかでも3次元絡合した平均繊度0.1デシテックス以下の極細繊維からなる不織布が風合い、タッチ、外観の高級性の点で好適であることからもっとも好ましい。このような極細繊維は、公知の繊維形成性のポリアミド樹脂又はポリエステル樹脂を含む2種類以上のポリマー成分よりなる極細繊維発生型繊維から導くことができる。例えば、ポリアミド樹脂又はポリエステル樹脂を島成分とし、溶剤等により容易に除去可能なポリマーを海成分とする海島構造を有する繊維が極細繊維発生型繊維の代表例として挙げられる。
【0028】
ここで極細繊維発生型繊維に用いることができるポリアミド樹脂としては、例えば6−ナイロン、6,6−ナイロン、6,10−ナイロン、その他芳香族基を有する可紡糸性ポリアミドから選ばれた少なくとも1種類のポリアミドが挙げられ、またポリエステル樹脂としては、スルホイソフタル酸等で変性されていても良いポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートその他可紡糸性ポリエステルから選ばれた少なくとも1種類のポリエステルが挙げられる。
【0029】
一方、極細繊維発生型繊維を構成する他のポリマー、例えば海成分ポリマーとしては、ポリアミド樹脂又はポリエステル樹脂と溶剤や分解剤に対する溶解性や分解性を異にし、ポリアミド樹脂又はポリエステル樹脂と親和性の少ない樹脂であり、かつ紡糸条件下でポリアミド樹又はポリエステル樹脂脂のそれより小さい溶融粘度を有する樹脂が好ましく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンープロピレン共重合体、エチレンー酢酸ビニル共重合体、エチレンーアクリル酸エステル共重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体、ポリスチレン、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体の水素添加物、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体の水素添加物などが挙げられる。
【0030】
そしてポリアミド又はポリエステル樹脂と他のポリマーからなる繊維は、所定の混合比で混合し、同一溶解系で溶解し、混合系を形成して紡糸する方法、また別々の溶解系でそれぞれのポリマーを溶解し、紡糸機ヘッド部で接合−分割を複数回繰り返して混合系を形成して紡糸する方法、さらには別々の溶解系で溶解し、紡糸機口金部で繊維形状を規定して紡糸する方法等により製造され、繊維中に占めるポリアミド樹脂またはポリエステル樹脂成分が40〜80重量%であって、繊維断面中のポリアミドまたはポリエステル極細繊維成分が5本以上、好ましくは50〜800本の範囲にあるポリアミド系またはポリエステル系の極細繊維発生型繊維を得る。極細繊維発生型繊維は必要により、延伸、熱固定など通常の繊維の処理工程を経て、繊度2〜15デシテックスの繊維とする。極細繊維発生型繊維を構成するポリアミドまたはポリエステル極細繊維成分の平均繊度(計算値)は0.2デシテックス以下が好ましく、より好ましくは0.005〜0.1デシテックスである。
【0031】
次に、極細繊維発生型繊維をカードで開繊し、ウエバーに通してランダムウエブまたはクロスラップウエブを形成し、得られた繊維ウエブを所望の重さ及び厚さに積層する。ついで繊維ウエブをニードルパンチ、ウオータージェット、エアージェット等により繊維の絡合処理を施して繊維絡合不織布とする。
【0032】
ついで、該不織布に、上記で得られたポリウレタン樹脂の溶液に要すれば凝固調節剤、離型剤、可塑剤、安定剤、酸化防止剤、耐光防止剤、顔料、染料等を本発明の効果を損なわない範囲で加えて得た組成液を含浸または塗布し、湿式凝固あるいは乾式凝固する。極細繊維発生型繊維の場合は、繊維絡合不織布への組成液の含浸または塗布に先だって、あるいは含浸または塗布後に、極細繊維発生型繊維を構成する一方の樹脂の溶剤かつ他方の樹脂(ポリアミドやポリエステル)の非溶剤で処理し極細繊維を得る。
【0033】
このようにして得られたシートに占めるポリウレタン樹脂の量は特に制限はないが、重量分率で10〜60%、なかでも15〜45%で用いられる場合が多い。ポリウレタン樹脂の使用量が少ないとどちらかというと腰がない風合いとなり、10%未満であるとそれが顕著となる。一方、ポリウレタン樹脂の使用量が多いと硬くなったり、膨らみのない風合いとなりやすく、60%を越えて用いられるとその傾向が顕著となる。
【0034】
この様にして作られたシートは、必要に応じて少なくとも一面にサンドペーパーなどによる起毛処理を施して、繊維立毛スェード調皮革様シートとすることができる。また、少なくとも一面に更にポリウレタンより得た多孔質あるいは無孔質の被覆層を付与して銀付調皮革様シートとすることができる。また任意の段階で厚さ方向に任意の厚さにスライス分割することもできる。更に消費者の好みに合わせた微妙な色調整を行う場合には、蛍光染料、微量の酸性染料、含金属錯塩染料、硫化染料、スレン染料、直接染料または分散染料で染色してもよいし、風合いのソフト化の目的で、液流染色機等による柔軟加工を施してもよい。
【0035】
本発明において、皮革様シートに添加するフッ素原子含有化合物(A)としては、市販の撥水剤として利用されているものが使用できる。例として一連のフルオロアルキル基含有撥水剤が挙げられる。フルオロアルキル基としては特に限定されないが、例えば、CF3(CF2)7(CH2)11OCOCH=CH2 、CF3(CF2)4CH2OCOC(CH2)=CH2等のごとき炭素数3〜20個、好ましくは4〜15個のフルオロアルキル基を含むアクリレート又はメタクリレートで代表される不飽和エステル類とフルオロアルキル基を含まない重合しうる化合物1種又は2種以上との共重合体等が挙げられる。この場合、フルオロアルキル基を含まない重合しうる化合物としては、例えばエチレン、酢酸ビニル、フッ化ビニル、塩化ビニル、ハロゲンビニリデン、アクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレン、アクリル酸とそのアルキルエステル、メタクリル酸とそのアルキルエステル、アクリルアミド等が挙げられる。
【0036】
フッ素原子含有化合物(A)の使用量は、人工皮革を構成する繊維とポリウレタンの合計重量に対して0.05〜8重量%である。0.05重量%より少ないと撥水効果が得られなくなり、8重量%より多いと帯電防止剤の溶出もしくは撥水処理剤の付着不良により帯電防止性、撥水撥油性が両立しなくなる。
【0037】
本発明において、皮革様シートに添加する帯電防止剤(B)は、カチオン系帯電防止剤、アニオン系帯電防止剤、ノニオン系帯電防止剤、両性帯電防止剤からなる群から選ばれる少なくとも一種の帯電防止剤であり、望ましくはアニオン系帯電防止剤である。帯電防止剤(B)としては、市販の帯電防止剤として利用されているものが使用できる。例として以下の化合物を挙げることができる。アニオン系帯電防止剤としては、高級アルコール系リン酸カリウム塩系、アルキルスルホン酸ソーダ系等の化合物が、またカチオン系帯電防止剤としては、脂肪酸第四級アンモニウムイオン塩系、ポリアミン四級塩系等の化合物が挙げ、またノニオン系帯電防止剤としては、多価アルコール脂肪酸エステル系、ポリグリコールリン酸エステル系、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル系等の化合物が挙げら、そして両性帯電防止剤としては、ベタイン型両性活性剤、イミダゾリン型両性活性剤等の化合物が挙げられる。
【0038】
帯電防止剤(B)の付与量は人工皮革を構成する繊維とポリウレタンの合計重量に対して0.01〜5重量%である。0.01重量%より少ないと帯電防止効果が得られなくなり、5重量%より多いと撥水剤の溶出もしくは帯電防止剤の付着不良により帯電防止性、撥水撥油性が両立しなくなり、本発明の効果が得られない。なお、帯電防止剤(B)としてHLB価が8以上のノニオン系帯電防止剤を使用した場合、帯電防止剤(B)とHLB価が8以上のノニオン系界面活性剤(H)の役割とを同時に兼ねて作用している。このような場合でも撥水・撥油・帯電防止加工浴の安定性を高めるために、さらに別種のHLB価が8以上のノニオン系界面活性剤(H)を添加しても構わない。
【0039】
フッ素原子含有化合物(A)と帯電防止剤(B)との重量比は、各々の皮革様シートに対する重量比が好適な範囲内であれば特に限定されないが、望ましくは下記の重量比の範囲内である場合である。
2≦(A)/(B)≦10
【0040】
本発明において、皮革様シートに添加するノニオン系界面活性剤(H)としては、市販の界面活性剤として利用されているものが使用できる。以下に挙げるような構造の界面活性剤を単独もしくは複数使用することによって、系に応じた最適な性能を発現させる。例として以下の化合物を挙げることができる。すなわちアルキルおよびアルキルアリルポリオキシエチレンエーテル、グリセリンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド等である。
【0041】
本発明において、皮革様シートに添加するノニオン系界面活性剤(H)としては、HLB価が8以上であることが好ましい。HLB価が8より小さいと親水性が不足し、処理水溶液中で析出したりして界面活性剤としての効果が得られない。ノニオン系界面活性剤(H)の使用量は0.01〜1.0重量%が好ましい。0.01重量%より少ない場合および1.0重量%より多い場合のいずれの場合も加工浴安定効果が得られなく、薬剤の分離固化を引き起こし、撥水・撥油性および帯電防止性のいずれか一方がやや劣ることとなる。
【0042】
本発明において、皮革様シートにフッ素原子含有化合物(A)、帯電防止剤(B)、およびノニオン系界面活性剤(H)を付与する方法については実質的に塗布面全体に薬液が塗布されれば限定されるではないが、通常はディップ−ニップによる塗布もしくはグラビアコートによる塗布によって行われる。
【0043】
本発明においては、フッ素原子含有化合物(A)と、帯電防止剤(B)とを、望ましくはノニオン系界面活性剤(H)を同浴で処理することを特徴とする。別々の処理浴で処理すると、撥水性および/または帯電防止性の性能の低下を招き、本発明の効果が得られない。
【0044】
本発明により、撥水度70点以上及び摩擦帯電圧800V以下という、従来のポリカーボネート系ポリウレタンを使用し、ポリアミド系またはポリエステル系極細繊維からなる人工皮革では達成することができなかった撥水・撥油性と帯電防止性を兼ね備えた皮革様シートが得られることとなる。なお本発明で言う撥水性とはJIS−L1092のA法により測定した値を意味し、また摩擦帯電圧とは、JIS−L1094のB法により測定し、停止1分後の帯電圧を意味している。
【0045】
以下に実施例をもって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はそれに限定されるものではない。なお本発明で言う、極細繊維の太さ(繊度)は、極細繊維形成型繊維から海成分ポリマーを除去して得られる極細繊維束の断面を電子顕微鏡により写真を撮り、その写真から極細繊維束断面に存在している極細繊維の本数を数え、極細繊維束の繊度(デシテックス)を該本数で割ることにより求めた。
【0046】
実施例1
数平均分子量2000のポリヘキシレンカーボネートジオール500重量部と数平均分子量2000のポリメチルペンタンアジペートジオール200重量部、有機ジイソシアネート(F)としての1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート47重量部(NCO/OH=0.80)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)300重量部を反応器中に投入し、窒素気流化に110℃で2時間反応させ、中間体ジオール(G)のDMF溶液を得た。イソシアネート基がなくなったことを確認後、該中間体ジオール(G)のDMF溶液の粘度を測定したところ、70℃で68Pa・sであった。上記で得た該中間体ジオール(G)のDMF溶液に、鎖伸長剤としてのエチレングリコール41.3重量部 、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI) 180重量部、及びDMF2505重量部を添加し反応させ、濃度25重量%、重量平均分子量(ポリスチレン換算;DMF溶液)40万のポリウレタン溶液を得た。得られたポリウレタン溶液100重量部にDMF92重量部を加え含浸液とした。
【0047】
一方、6−ナイロン60重量部と高流動性のポリエチレン40重量部を混合溶融紡糸して得られた極細繊維発生型繊維(6−ナイロンが極細繊維成分)のステープル繊維を用いてウエブを作り、重量650g/m2、厚さ2.2mmのニードルパンチ絡合不織布とした。この絡合不織布に上記の含浸液を含浸させた後、DMFの25重量%水溶液中に投入し凝固を行った。次いで熱トルエン中で処理してポリエチレン成分を溶解除去し、厚さ1.35mmのシートを得た。このシートをスライス2分割し、分割面をサンドペーパーでバフィングして厚み0.54mmに調節した。さらに凝固時の表面をエメリーバフ機で処理して繊維立毛面を形成した。このときの繊維の太さは、平均0.01デシテックスであった。上記繊維立毛面を有したシートを下記条件で染色したところ、鮮やかな色彩に染色され、良好な風合いの皮革様シートを得た。
染料濃度 5.0g/リットル
酢酸アンモニウム 0.6g/リットル
ギ酸 1.0g/リットル
浴比 50:1
【0048】
上記皮革様シートを下記条件でディップ−ニップにより処理液を塗布したところ、風合いが処理前と変わらず良好な皮革様シートであった。処理液に用いたフッ素原子含有化合物(A)はディックガードF−90C(大日本インキ社製)で、帯電防止剤(B)はZEROSTAT FC(チバ−ガイギー社製)で、ノニオン系界面活性剤(H)はセパロンAK(大京化学社製)である。撥水撥油および帯電防止処理前後の皮革様シートの重量比より算出されるピックアップ率より、フッ素原子含有化合物(A)、帯電防止剤(B)およびノニオン系界面活性剤(H)が繊維とポリウレタン樹脂との総重量に対して、各々0.6重量%、0.09重量%および0.06重量%付与されていた。得られた皮革様シートの性能を表2に示す。
実施例1の処理液組成
フッ素原子含有化合物(A): 10g/リットル
帯電防止剤(B): 1.5g/リットル
ノニオン系界面活性剤(H): 1.0g/リットル
【0049】
実施例2
実施例1と染色までは同一条件で、撥水撥油および帯電防止処理において、フッ素原子含有化合物(A)および帯電防止剤(B)の処理浴中の濃度を下記の通りに変更し、ノニオン系界面活性剤を加えずに処理を行うこと以外は実施例1と同一条件で行った。ピックアップ率より、フッ素原子含有化合物(A)および帯電防止剤(B)が繊維とポリウレタン樹脂との総重量に対して、各々0.3重量%および0.06重量%付与させた皮革様シートであった。用いたフッ素原子含有化合物(A)および帯電防止剤(B)の銘柄は実施例1で用いたものと同一である。得られた皮革様シートの性能を表2に示す。
実施例2の処理液組成
フッ素原子含有化合物(A): 5g/リットル
帯電防止剤(B): 1g/リットル
【0050】
比較例1
実施例1と染色までは同一条件で行い、そして撥水撥油および帯電防止処理において、実施例1より処理液組成とピックアップ率を変えることにより、フッ素原子含有化合物(A)、帯電防止剤(B)およびノニオン系界面活性剤(H)が繊維とポリウレタン樹脂との総重量に対して、各々10重量%1.5重量%および1重量%付与させた皮革様シートを製造した。用いたフッ素原子含有化合物(A)および帯電防止剤(B)及びノニオン系界面活性剤(H)の銘柄は実施例1で用いたものと同一である。得られた皮革様シートの性能を表2に示す。
比較例1の処理液組成
フッ素原子含有化合物(A): 100g/リットル
帯電防止剤(B): 15g/リットル
ノニオン系界面活性剤(H): 10g/リットル
【0051】
比較例2〜5
実施例1と染色までは同一条件で皮革様シートを製造し、そしてそののちの撥水撥油および/または帯電防止処理において、以下の表1に示す通り撥水剤と帯電防止剤を同浴では処理せずに、1回もしくは2回ディップ−ニップ処理を行った。ピックアップ率、処理剤の付与量は実施例1と同等とした。用いたフッ素原子含有化合物(A)および帯電防止剤(B)及びノニオン系界面活性剤(H)の銘柄は実施例1で用いたものと同一である。得られた皮革様シートの性能を表2に示す。
【0052】
【表1】
【0053】
撥水剤処理での処理液組成:
フッ素原子含有化合物(A): 10g/リットル
帯電防止剤処理での処理液組成: 1.5g/リットル
【0054】
実施例3
ポリウレタン原料のうち、プレポリマー反応に供するジオールの組成を数平均分子量2000のポリヘキシレンカーボネートジオール400重量部と数平均分子量2000のポリメチルペンタンアジペートジオール300重量部にし、かつ繊維の組成を、ポリエチレンテレフタレート65重量部と高流動性のポリエチレン35重量部を混合溶融紡糸して得られた極細繊維発生型繊維(ポリエチレンテレフタレートが極細繊維成分)とした以外は実施例1と同じ条件で皮革様シートを製造した。極細繊維の太さは実施例1と同一である。また用いたフッ素原子含有化合物(A)および帯電防止剤(B)及びノニオン系界面活性剤(H)の銘柄は実施例1で用いたものと同一である。得られた皮革様シートの性能を表2に示す。
【0055】
[加工安定性]上記の実施例および比較例で使用した撥水撥油および帯電防止処理を行った処理液のエマルジョン安定性を3日間放置後の分散状況で以下の通り評価した。
○:安定して分散していた
×:成分が凝集して浮遊物が見られた
−:浴中に単独でエマルジョンが存在しているため評価外
また、上記の方法で製造した皮革様シートを用い、下記の評価方法により評価を行った。
[撥水性]JIS−L1092のA法により測定。
[帯電圧]JIS−L1094のB法により測定。停止1分後の帯電圧。
[乾摩擦堅牢度]JIS−L0823により測定。
[耐光性] JIS−L0824により測定。
[HLB値]界面活性剤便覧に記載の方法により測定。
【0056】
【表2】
【0057】
上記の各実施例、比較例の結果より、本発明の撥水撥油剤と帯電防止剤と望ましくはノニオン系界面活性剤とを同浴で処理することにより、撥水撥油性と帯電防止性とが実用性能を満たすバランスの取れた性能、すなわち撥水度70点以上かつ摩擦帯電圧800V以下の性能が発現することが明らかである。
【0058】
【発明の効果】
本発明により得られる皮革様シートは、撥水撥油性と帯電防止性を高いレベルで保持し、また引っ張り強さなどの力学的性質、乾摩擦堅牢度、耐光性においても良好であるため、スポーツ用品、靴、鞄、バッグ等の袋状物、箱状物、家屋などの建築物、ボート等の輸送機関の内装材、家具用の化粧材、衣料などの広範囲な用途に有効に使用することができる。
Claims (3)
- 繊維とポリカーボネート系ポリウレタン樹脂から構成され、その重量比(繊維/ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂)が95/5〜40/60である皮革様シートにおいて、該繊維とポリウレタン樹脂の総重量に対して、フッ素原子含有化合物(A)が0.05〜8重量%、カチオン系帯電防止剤、アニオン系帯電防止剤、両性帯電防止剤、ノニオン系帯電防止剤からなる群から選ばれる少なくとも一種の帯電防止剤(B)が0.01〜5重量%付与されており、撥水度70点以上かつ摩擦帯電圧800V以下であることを特徴とする皮革様シート。
- ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂が、数平均分子量が500〜3000のポリカーボネート系ポリマージオール(C)、およびポリエステル、ポリラクトン、ポリエーテルよりなる群より選ばれた数平均分子量が500〜3000のポリマージオール(D)を必須とする混合ジオール(E)と、有機ジイソシアネート(F)とをNCO/OHの当量比が0.5〜0.99となる量的関係で反応して得られた実質的に末端がOHの中間体ジオール(G)を鎖伸長して得られたポリウレタン樹脂である請求項1に記載の皮革様シート。
- HLB価が8以上のノニオン系界面活性剤(H)が、繊維とポリウレタン樹脂の総重量に対して、0.01〜1.0重量%付与されている請求項1記載の皮革様シート。
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