JP4348885B2 - パラキシレンの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリエステルの原料であるパラキシレンをエチルベンゼンを含む混合キシレンより製造する方法に関する。現行の製造プロセスよりも効率的にパラキシレンを製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、エチルベンゼンを含む混合キシレンよりパラキシレンを製造する方法は、パラキシレンをエチルベンゼンを含む混合キシレンから分離回収する工程とオルトキシレンとメタキシレンをパラキシレンに異性化する工程からなる。
【0003】
パラキシレンの分離回収方法は、パラキシレンの融点が他の異性体より高いことを利用した結晶化分離法(深冷結晶化分離法)や液体クロマトグラフの原理に基づく吸着分離法が工業的に実施されている。
【0004】
中でも、吸着分離法は現在もっとも広く実施されている方法で、原料キシレンは吸着剤の充填されている吸着塔を移動していく間に、他の異性体より吸着力の強いパラキシレンが吸着され、他の異性体と分離される。ついで、脱着剤によりパラキシレンは系外に抜き出され、脱着後蒸留により、脱着液と分離される。実際のプロセスとしては、UOPのPAREX法、東レのAROMAX法が挙げられる。パラキシレンの回収率は1パスで90%以上、パラキシレンの純度は99.5%である。この吸着分離法は、パラキシレンの回収率、純度が他の分離法と比較して高く、しかも運転費用も安い優れたプロセスであるが、反面10数段に及ぶ疑似移動床からなる吸着塔と特殊な回転弁やシーケンス制御電磁弁が用いられているほか、吸着剤として特殊なゼオライトが用いられるため、建設費用がきわめて高価な装置となっている。
【0005】
原料中に含まれるエチルベンゼンは、異性化工程で脱アルキルするかあるいは5員環ナフテンを経てキシレンに異性化することによって除去し、系内にエチルベンゼンが蓄積しないようにする。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
先述の通り、吸着分離装置は建設費用が極めて高価な装置なので、パラキシレン製造に際しては、吸着分離装置の能力を最大限活用することが望ましい。しかしながら、吸着分離に通油されるキシレンはエチルベンゼン、パラキシレン、メタキシレン、オルトキシレンの4異性体混合物で、パラキシレン濃度は、熱力学的平衡値を超えることは無いので、通常24%未満となっている。一方、パラキシレンを分離した後、残りの成分を異性化して分離回収工程に、再循環する場合においても、熱力学的平衡値を越えてパラキシレンに異性化されることはなく、再循環される異性化キシレンのパラキシレン濃度も24%未満となっている。すなわち吸着分離装置では、24%未満となっているパラキシレンを吸着分離するために残り76%以上のエチルベンゼン、オルトキシレン、メタキシレンとともに吸着、脱着操作が行われることになる。
【0007】
吸着分離装置に通油するキシレン中のパラキシレン濃度を高めれば、パラキシレンの生産効率は大幅に向上する。これを解決させるために、WO97/27162においては、異性化した混合キシレンをモレキュラーシーブ膜に通し、パラキシレン濃度を高める工程をパラキシレン製造プロセスに組み込むことがことが提案されている。これは、最小分子サイズが最も小さいパラキシレンがオルトキシレン、メタキシレンよりモレキュラーシーブ膜を通過しやすいことを利用してパラキシレン濃度を高めることを提案している。しかしながら、キシレン原料中に含まれるエチルベンゼンの最小分子サイズはパラキシレンと同じであり、モレキュラーシーブ膜におけるパラキシレンの通過を阻害するはずであるが、この発明においては、共存するエチルベンゼンは、モレキュラーシーブ膜に供給されている。この発明のプロセスでは、エチルベンゼン及び異性化工程でエチルベンゼンから転化されたベンゼン、ナフテン、エタンが、パラキシレンの膜透過を阻害していると想定される。
【0008】
本発明の目的は、膜分離によりパラキシレン濃度を高める工程に、エチルベンゼンを極力導入しないようにするプロセスを提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、この目的を達成すべく鋭意検討の結果、本発明に到達した。本発明とは、すなわち、次の5つの工程を含み、かつ下記(3)の工程に通油される液が、下記(3)の工程に先んじて下記(4)および(5)の工程に通油されることを特徴とする、エチルベンゼンを含む混合キシレンからパラキシレンを製造する方法である。
(1)パラキシレンを分離回収する工程
(2)オルトキシレンとメタキシレンをパラキシレンに異性化する工程
(3)膜分離により、パラキシレン濃度を上げる工程
(4)エチルベンゼンを除去する工程であって、エチルベンゼンを除去する工程が、エチルベンゼンを90%以上水素化脱アルキルしてベンゼンとエタンにする工程
(5)キシレン類より低沸点及び高沸点化合物を除去する工程。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のパラキシレンの製造方法を詳細に説明する。
【0011】
本発明プロセスに供給する原料油は、エチルベンゼンを含む混合キシレンである。一般に、工業的に利用されるキシレン原料はナフサを改良処理し、その後芳香族抽出および分留によって得られる改質油系のキシレン、あるいはナフサの熱分解により副生する分解ガソリンを芳香族抽出および分留によって得られる分解油系のキシレンである。分解油系キシレンにおいて、特に特徴的なことはエチルベンゼンの濃度が改質油系に比べて2倍以上も高いことである。その代表的組成を表1に示す。
【0012】
【表1】
Figure 0004348885
【0013】
本発明プロセスでは上記のようなエチルベンゼンを含む混合キシレンを原料とし、パラキシレンを効率よく製造する上で、5つの工程を必須とする。
【0014】
第1の工程は、パラキシレンを分離回収する工程である。すなわち、キシレン成分中からパラキシレンのみ分離する工程である。パラキシレン分離のための工業的に実施されている代表的な方法は、パラキシレンの凝固点が他のキシレン成分より高いことを利用した結晶化分離法と、ゼオライトような固体への吸着力の差を利用した吸着分離法である。
【0015】
結晶化分離法は、最も初期から実施されてきた方法で、結晶化の条件、結晶の分離方法等に違いのあるプロセスが実用に供されている。ただし、吸着分離に比べ1回通過処理でのパラキシレンの回収率やパラキシレン純度が低いなどの問題があり、新規に建設されることは少なくなっている。
【0016】
本発明においては、パラキシレンの分離回収方法として吸着分離法を用いることが好ましい。原料キシレンは吸着剤の充填されている吸着塔を移動していく間に、他の異性体より吸着力の強いパラキシレンが吸着され、他の異性体と分離される。ついで、脱着剤によりパラキシレンは系外に抜き出され、脱着後蒸留により、脱着液と分離される。脱着剤としてはパラジエチルベンゼンが好ましく用いられる。吸着剤としては、カリウムやバリウムイオンで交換されたフォージャサイトゼオライトが好ましく用いられる。実際のプロセスとしては、UOPのPAREX法、東レのAROMAX法が挙げられる。本工程に導入される液のキシレン中のパラキシレン濃度は、通常のパラキシレン製造においては、20%程度であるが、本発明においては、25%以上になることが好ましい。パラキシレンの濃度は、高ければ高いほど1パスでのパラキシレンの回収量が多くなり、省エネルギー的観点、固定費削減の観点から好ましい。本工程に導入される液中のパラキシレン濃度とパラキシレン生産性との関係は、本工程の吸着剤、脱着剤、および操作条件により異なる。ここで言う生産性とは、単位時間あたりに本工程に導入される全液量に対する製品パラキシレン量を言う。例えば、パラキシレン濃度が2倍になった場合、生産性は1.5倍から2倍となる。また、パラキシレン濃度が3倍になった場合、生産性は2倍から3倍となる。
【0017】
第2の工程は、オルトキシレンとメタキシレンをパラキシレンに異性化する工程である。通常のパラキシレン製造プロセスの異性化工程ではエチルベンゼンを含むオルトキシレンとメタキシレンを異性化する。その際、エチルベンゼンは水素化脱エチルしてベンゼンとエタンにするか、ナフテンを経由してキシレンに転化することが必須である。しかしながら本発明プロセスにおいては、他にエチルベンゼンを除去する工程が存在するため、異性化工程においては、必ずしもエチルベンゼンを転化する機能を加えていなくても良い。本発明においては、キシレンの異性化工程に通油する液にエチルベンゼンが少ないことが好ましい。通油する液中のエチルベンゼンの濃度は2重量%以下が好ましく、さらに好ましくは1重量%以下である。この工程にエチルベンゼンを除去する機能を持たせてもかまわないが、大量のエチルベンゼンが存在する場合は、エチルベンゼンを脱エチルしてベンゼンに変え、異性化工程の後にエチルベンゼンが分解して生成したエタンやベンゼンを除去する工程をもうけ、エタンやベンゼンが極力第3の工程に行かないようにする必要がある。ここで使われる触媒は、特に限定されないが、酸型のゼオライトが好ましい。特に好ましくは、MFI型ゼオライトである。反応方式は固定相流通反応方式が好ましく液相でも、気相でも構わない。液相の場合は、異性化反応の収率が高く好ましいが、エチルベンゼンの脱アルキル能が低いためエチルベンゼンが系内に蓄積しないように工夫が必要である。
【0018】
第3の工程は、膜分離により、パラキシレン濃度を上げる工程である。この工程は、パラキシレン、オルトキシレン、メタキシレンの混合物から分子サイズの最も小さいパラキシレンを透過する分子ふるい膜を用いて、パラキシレン濃度を上げる工程である。パラキシレンと同程度の大きさの分子であるエチルベンゼン、ベンゼンはパラキシレンと同程度に膜中を透過するので、このような分子が共存する状態は好ましくない。本発明プロセスにおいては、本工程に通油する液中にパラキシレンと同程度の最小分子サイズを有するエチルベンゼンやベンゼンの濃度を低くするために第4、第5の工程を設ける。本発明の最大の特徴は、この第3の工程に通油される液中のエチルベンゼン及びベンゼンの濃度が低いことであり、1重量%以下にすることが好ましい。第2の工程と第3の工程を組み合わせることは、好ましく行われる。第3の工程での、膜に供給される液中のパラキシレン濃度は高い方が好ましい。従って、異性化しながらパラキシレンのみを分離していくことは最も好ましい。又、キシレン異性化反応は平衡反応で、パラキシレンの濃度は平衡組成以上にはならないので、パラキシレンを選択的に系外に抜き出すことのできる膜で、パラキシレンを抜きながら異性化させるのは、パラキシレンへの異性化反応効率が高くなり好ましい。
【0019】
膜分離に用いる膜は、ゼオライト膜が好ましい。ゼオライト膜の中でもMFI型の膜が好ましく用いられる。ゼオライト膜の作り方は、特に限定されないが、一般に知られている方法が適用できる。例えば、ゼオライト又はゼオライト類似物膜を支持体上にコーティングする場合、ゼオライト又はゼオライト類似物を合成するための前駆体ゲル中に、支持体をつけて、水熱処理するする方法(例:特開昭63ー291809)、支持体に予めゼオライト又はゼオライト類似物の種結晶を、コートしてから前駆体ゲルにつけ水熱処理する方法(例:特開平7ー109116、Microporous and Mesoporous Materials 38(2000)61-73)、前駆体ゲルを支持体表面にコーティングしたあと乾燥し、その後水蒸気で処理する方法(例:特開平7ー89714)、あるいはゼオライト又はゼオライト類似物微粒子をそのままコーティングする方法などの方法(特公平5ー50331)が適用できる。ゼオライト又はゼオライト類似物の種結晶、ゼオライト又はゼオライト類似物の前駆体ゲル、ゼオライト又はゼオライト類似物微粒子を支持体にコーティングする方法は、特に限定されず、公知のいかなる方法も適用できる。例えば、支持体をスラリー中、浸した後、そのまま引き上げる方法、塗布する方法、支持体の片側をスラリーに接触させ、もう一方から減圧する方法、支持体の片側からスラリーを圧力を加えて押し込む方法が考えられる。ゼオライト膜のコーティングは2回以上行っても良い。また2回以上行った方が緻密性の点で好ましい。ゼオライト又はゼオライト類似物膜は、生成した後、水洗、乾燥、焼成等の処理を加えても良い。ゼオライト膜が形成したかどうかは、薄膜用のX線回折装置を用いて確認できる。
【0020】
第4の工程は、エチルベンゼンを除去する工程である。エチルベンゼンを除去する方法は、特に限定されないが、(1)エチルベンゼンを脱アルキルしてベンゼンにする方法、(2)パラキシレンを分離回収工程で除去した後に、膜分離により除去する方法、(3)エチルベンゼンの吸着分離などが考えられる。最も好ましい方法は、(1)の方法である。具体的には、水素の存在下、ゼオライトと水添金属を含む触媒層にエチルベンゼンを含むキシレン類を通油し、キシレンをなるべく損失することなく、エチルベンゼンを高度に脱アルキルし、ベンゼンとエタンに転化するものである。具体的には、特公平5−87054の技術が使用できる。脱アルキル触媒としては酸型のMFI型触媒が用いられる。本発明においては、この工程でエチルベンゼンの濃度を全体の1%以下になるまで除去することが好ましい。
【0021】
第5の工程は、第2の工程や、第4の工程で複製しうる低沸点化合物や高沸点化合物を除去する工程であり、通常蒸留プロセスや気液分離が用いられる。
【0022】
以下、図で具体的に本発明プロセスを説明する。
【0023】
(比較プロセス:現行)
図1に、通常のパラキシレン製造プロセスを示す。1はパラキシレンの分離回収工程である。吸着分離と深冷分離のどちらでも良い。吸着分離のほうが好ましく、吸着分離を例にとって説明する。東レのAROMAX法、UOPのPAREX法が使用できる。これらの吸着分離におけるパラキシレンの回収率は97%、パラキシレン純度は99.9%にすることもできる。パラキシレンが抜かれた液は異性化工程3に送られる。原料中に含まれるエチルベンゼンは、ここで転化される。エチルベンゼンを変換する方法は、エチルベンゼンをナフテンを経由してキシレンに異性化する方法(改質型キシレン異性化)とエチルベンゼンを脱アルキルする方法(脱アルキル型キシレン異性化)がある。ここでは、エチルベンゼンを脱アルキルしてベンゼンに変換する方法を例にとって説明する。触媒としてUOPのI−100,MobilのMHAI,MHTIが用いられるが、東レのISOLENE触媒が最もキシレンの損失が小さく好ましく用いられる。反応条件などは特に限定されないが、通常は水素の存在下高温(300℃から400℃)高圧(0.5〜1.5MPa)で酸性ゼオライトを基本とした触媒で異性化する。この工程では、エチルベンゼンは65%転化される。キシレンは平衡組成まで異性化される。この工程でのキシレン損失は、触媒や操作条件を最適化すれば1.5から2.0%である。エチルベンゼンの転化率を上げるとキシレン損失は大きくなり、転化率を下げると系内にエチルベンゼンが蓄積する。異性化後のトータルキシレン中のパラキシレン濃度は、23〜24%である。2の工程は3の工程で生成したC8芳香族以外を蒸留操作や気液分離で分離する工程である。原料キシレン中にはエチルベンゼンを通常15〜18%含まれている。異性化工程でパラキシレン濃度が23%にしかならないので、原料キシレンがパラキシレンに転化されるまでに、約4回異性化工程を通過する必要があり、キシレンの損失は、6〜8%となる。またパラキシレン回収工程に供給されるパラキシレン濃度は約21%であり、理論的にも24%を越えることはなく、本プロセスを新たに建築する以外に増産する方法はない。
【0024】
(本発明プロセス1)
図2に本発明のプロセスの一例を示す。工程3は、エチルベンゼン除去工程としてエチルベンゼン脱アルキル工程を用いることができる。この工程では特公平5−87054に開示された技術を使用できる。この工程でエチルベンゼンを99%以上転化し、エチルベンゼンを1重量%以下にしてから、異性化,膜分離,吸着分離の循環系にエチルベンゼンを1重量%以下しか含まないキシレン混合物を供給する。工程2は、蒸留プロセス、気液分離プロセスであり、エタン、ベンゼン,トルエンなどの低沸点成分やC9+芳香族などの高沸点成分を除去する工程である。工程2の気液分離による除去は、工程3と工程4のすぐ後に設けることが好ましい。この場合工程2の場所には、蒸留塔のみである。低沸点成分・高沸点成分が除去されたキシレン混合物は、パラキシレン回収工程(工程1)に行き、パラキシレンが回収される。パラキシレン回収工程としては、比較プロセスに挙げた吸着分離プロセスが好ましく使用できる。4の工程は、パラキシレンの分離回収工程(工程1)からのパラキシレン成分の少ないキシレン混合物を平衡組成のキシレンに変える異性化工程である。この工程で使う触媒は前述の比較プロセスで使われたものと同じものを使うことができる。残存する少量のエチルベンゼンは更に脱アルキルされるので、系内にたまることは無く、エチルベンゼンは少量であり、工程5でのパラキシレンの膜透過を大きく阻害することはない。工程4で平衡組成になったキシレン混合物は一部は工程5に行くが、一部は工程5を通らず、工程5から出てきた高濃度パラキシレンとともに工程2に通油される。異性化工程での副反応から生じる副生成物、特にC9+芳香族等の高沸点化合物が異性化・膜分離の系内にたまることを防ぐために一部を工程2に流す。工程5は、ゼオライト膜を用いたパラキシレン濃縮工程である。工程4から来た混合キシレンは、最小分子径のもっとも小さいパラキシレンが選択的に透過する分子ふるい膜により濃縮される。分子ふるい膜とは具体的には、分子サイズの均一な細孔を有するゼオライト膜のようなものである。膜を透過した高濃度パラキシレンは工程2に、パラキシレンが選択的に透過した後の低濃度パラキシレンは再度工程4に供給され平衡組成のキシレンまで異性化される。工程5からはパラキシレン濃度24%以上の混合キシレンが、工程4からパラキシレン濃度23%の混合キシレンを混合され、工程3から来たパラキシレン濃度23%の混合キシレンを加えられるので、工程2に供給するキシレン中のパラキシレン濃度は24%より高くなるので最終的には同じ吸着分離設備で増産が可能となる。
【0025】
(本発明プロセス2)
図3に示したプロセスは、異性化工程4にエチルベンゼンの脱アルキル能を持たせずに、異性化能のみを機能を持つ触媒を充填した場合である。例えば、液相で温和な条件で異性化するケースである。この場合、異性化・吸着分離のサイクルには、エチルベンゼンを脱アルキルする機能がないのでエチルベンゼンが系内にたまってくる。そこで、異性化工程に原料を供給する前に、一部を工程3に供給し、エチルベンゼン濃度が系内で一定になるように保つ。工程3の脱アルキル工程は、キシレンの異性化能力も有しているので、パラキシレン濃度の低い工程1から供給されたキシレンは、エチルベンゼンが除去できるだけでなく、パラキシレンも再生できる。このプロセスの利点は、異性化反応が温和な条件でできるので異性化工程4でのキシレンの損失を低減できる事である。
【0026】
(本発明プロセス3)
図4に示したプロセスは、脱エチルベンゼン工程3をパラキシレン回収工程の後に設置するケースである。この場合は、脱エチルベンゼン工程に通油される液中のパラキシレン濃度は低いので、パラキシレンを分離する膜と同様の膜を用いて、エチルベンゼンを除去することができる。勿論、前記した方法と同様に、脱アルキル触媒を用いても良い。脱アルキル反応において、パラキシレンはもっとも多く不均化するのでパラキシレン濃度の低い状態で脱アルキルするほうが、工程3でのキシレン損失は少なくてすむ。この工程ではエチルベンゼンを90%以上除去することが好ましい。エチルベンゼンを除去した後、異性化工程4でキシレンを平衡組成まで異性化する。この段階では、3,4の工程で生成した高沸点生成物、低沸点生成物が含まれているので、蒸留工程2でこれらを除去する。ほぼ、C8成分のみになった混合キシレンを膜分離工程5に供給し、パラキシレン濃度を向上させる。パラキシレンが選択透過された後のパラキシレン濃度の低いキシレンは、3又は4の工程に戻す。3の工程に戻すか、4の工程の戻すかは、4の工程の脱アルキル能と3の工程のエチルベンゼンの除去能力による。3の工程で、100%エチルベンゼンが除去できるならば、4に戻せばよく、4の工程に脱アルキル能が充分に無く、しかも3の工程からの液にエチルベンゼンが含まれているのであれば、3の工程に戻しエチルベンゼンの蓄積を避けなければならない。通常使われている異性化触媒は、エチルベンゼンの脱アルキル能も有しているので、3と4の工程は、ひとつの工程になっていても良い。通常使用されている異性化触媒中の脱アルキル能力の高い触媒成分と異性化能の高い成分を分けて触媒を調製し、別々にそれぞれ工程3,4に充填するほうが、キシレンの損失を少なくする点では優れている。いずれの場合も、エチルベンゼンを高度に脱アルキルし、90%以上エチルベンゼンを除去しておくことが重要である。
【0027】
(本発明プロセス4)
図5に示したプロセスは、原料のエチルベンゼンを含む混合キシレンを直接脱エチルベンゼン工程3に供給する以外は図4のプロセスと同様である。この場合は工程3に供給されるキシレン中のパラキシレン濃度は図4の場合より高いので膜分離によるエチルベンゼン除去は好ましくない。脱エチルベンゼン工程では、90%以上エチルベンゼンを転化することが好ましい。3,4の工程を一緒にして、通常の脱アルキル型異性化触媒を充填すれば、従来のパラキシレン製造設備に膜分離工程5を加えるだけで済み、設備投資を最も少なく済ませることができる。しかしこの場合も、エチルベンゼンを高度に脱アルキルして除去しておくことが重要である。
【0028】
(本発明プロセス5)
図6に示したプロセスは、図2のプロセスと基本的には同じであるが、膜分離と異性化工程が一緒になったメンブレンリアクター方式の工程4を図2の工程4,5の代わりに設置したケースである。この反応器は生成物であるパラキシレンを除去しながら異性化を行うので、非常に効率よく異性化できるのが特徴である。パラキシレンの透過速度と異性化速度をコントロールすることにより、膜を透過してきた液は高濃度パラキシレン、透過せずにリアクター出口から出てきたキシレンは平衡組成にするのが好ましい。このメンブレンリアクターを効率よく操作するためには、原料混合キシレン中のエチルベンゼンを工程3により高度に除去しておくことが重要である。
【0029】
【実施例】
以下、実施例を用いてさらに具体的に本発明プロセスを説明する。
【0030】
(実施例1)
エチルベンゼン水素化脱エチル工程1、疑似移動床方式吸着分離によるパラキシレンの回収工程2、異性化工程3、ゼオライト膜を用いたパラキシレンの膜分離工程4及びキシレンより低沸点、高沸点の化合物を分離除去する工程5から7を組あわせ図7に示すようなパラキシレン製造設備を構成した。各工程の操作条件などを以下に示す。
原料混合キシレンのエチルベンゼン/キシレンの比率はモル比で0.17であった。
【0031】
(1)エチルベンゼンの水素化脱エチル工程
方式:固定層気相流通反応方式
触媒:特公平5−87054実施例3に記載の触媒
エチルベンゼン転化率:99%
(2)パラキシレン回収工程
方式:液相疑似移動床吸着分離方式
吸着剤:AROMAX吸着剤
脱着剤:パラジエチルベンゼン
製品パラキシレン純度:99.4%
(3)キシレン異性化工程
方式:固定相気相流通反応方式
触媒:東レ製ISOLENE触媒
異性化反応後のパラキシレン/キシレン=23.0%
エチルベンゼン転化率:50〜65%
(4)膜分離工程
方式:膜分離方式
膜:MFI型ゼオライト膜(チューブ状αーアルミナ多孔質支持体上に,MFI型ゼオライト膜を成長させたもの)
膜通過後のパラキシレン/キシレン濃度50%
工程3から4に送る液量と工程3から直接気液分離工程5に送られる液の量の比率を変えることにより、パラキシレン回収工程に入るパラキシレン濃度を変えることができる。上記液量比が10:1の時パラキシレン回収工程に入るパラキシレン濃度は約30%となった。約25%のパラキシレンの増産が可能である。
【0032】
(実施例2)
エチルベンゼン水素化脱エチル工程1、疑似移動床方式吸着分離によるパラキシレンの回収工程2、膜分離と異性化工程が一緒になったメンブレンリアクター方式の工程3、及びキシレンより低沸点、高沸点の化合物を分離除去する工程4から6を組あわせ図8に示すようなパラキシレン製造設備を構成した。各工程の操作条件などを以下に示す。
原料混合キシレンのエチルベンゼン/キシレンの比率はモル比で0.17であった。
【0033】
(1)エチルベンゼンの水素化脱エチル工程
方式:固定層気相流通反応方式
触媒:特公平5−87054実施例3に記載の触媒
エチルベンゼン転化率:99%
(2)パラキシレン回収工程
方式:液相疑似移動床吸着分離方式
吸着剤:AROMAX吸着剤
脱着剤:パラジエチルベンゼン
製品パラキシレン純度:99.4%
(3)キシレン異性化および膜分離(メンブレンリアクター)工程
方式:固定相気相流通反応方式
触媒:東レ製ISOLENE触媒
異性化反応後のパラキシレン/キシレン=23.0%
エチルベンゼン転化率:50〜65%
膜:MFI型ゼオライト膜(チューブ状αーアルミナ多孔質支持体上に,MFI型ゼオライト膜を成長させたもの)
膜通過後のパラキシレン/キシレン濃度50%の液からキシレンより低沸点、高沸点化合物を蒸留で除去後、吸着分離工程へ導入した。約100%のパラキシレンの増産が可能である。
【0034】
【発明の効果】
上述した実施例にて明らかなように、本発明のパラキシレンの製造方法によれば、少ない設備投資でパラキシレンの増産が可能であるばかりか、膜分離におけるエチルベンゼンの影響を大幅に低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 現行のパラキシレン製造プロセスの概略を示す図である。
【図2】 本発明のパラキシレンの製造方法を行うのに好適なプロセスフローの一例を示す概略図である。
【図3】 本発明のパラキシレンの製造方法を行うのに好適なプロセスフローの一例を示す概略図である。
【図4】 本発明のパラキシレンの製造方法を行うのに好適なプロセスフローの一例を示す概略図である。
【図5】 本発明のパラキシレンの製造方法を行うのに好適なプロセスフローの一例を示す概略図である。
【図6】 本発明のパラキシレンの製造方法を行うのに好適なプロセスフローの一例を示す概略図である。
【図7】 実施例1のプロセスフローを示す図である。
【図8】 実施例2のプロセスフローを示す図である。

Claims (3)

  1. 次の5つの工程を含み、かつ下記(3)の工程に通油される液が、下記(3)の工程に先んじて下記(4)および(5)の工程に通油されることを特徴とする、エチルベンゼンを含む混合キシレンからパラキシレンを製造する方法。
    (1)パラキシレンを回収する工程
    (2)オルトキシレンとメタキシレンをパラキシレンに異性化する工程
    (3)膜分離により、パラキシレン濃度を上げる工程
    (4)エチルベンゼンを除去する工程であって、エチルベンゼンを除去する工程が、エチルベンゼンを90%以上水素化脱アルキルしてベンゼンとエタンにする工
    (5)キシレン類より低沸点及び高沸点化合物を除去する工程
  2. 前記(4)の工程後、(5)の工程に通油されることを特徴とする請求項1記載のパラキシレンの製造方法。
  3. パラキシレンを回収する工程が、吸着分離方式で行われることを特徴とする請求項1又は2記載のパラキシレンの製造方法。
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