JP4347728B2 - 車両用ドア開扉装置 - Google Patents

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Description

本発明は、モータにより、ドアラッチをラッチ解除させるようにした車両用ドア開扉装置に関する。
従来、上述のような車両用ドア開扉装置において、ドアに設けられた電気的操作スイッチの操作に応じて、ラッチ解除用モータを駆動させ、この駆動力をもって、車体側に設けられたストライカと係合することによりドアを全閉状態に拘束可能なドアラッチをラッチ解除させることにより、ドアラッチとストライカとの係合を離脱させて、ドアの開扉を可能にしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
特公平7−116878号公報
上述のような従来の車両用ドア開扉装置においては、ラッチ解除用モータにより、ドアラッチをラッチ解除させている最中に、例えば電気的故障等によりラッチ解除用モータが停止してしまうと、ドアラッチがラッチ解除状態に拘束されてしまい、それ以後、ドアラッチは、ストライカと係合することができず、ドアを閉じることができなくなる問題点を有する。
本発明は、従来の技術が有する上記のような問題点に鑑み、モータがラッチ解除作動途中で停止する事態が発生しても、ドアを閉じることができるようにした車両用ドア開扉装置を提供することを目的としている。
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
(1)ドアに設けられるとともに、前記ドアの全閉時に車体側と係合することにより、前記ドアを全閉状態に拘束可能なドアラッチと、前記ドアに設けられるとともに、電気的操作手段の操作に応じて駆動可能なモータ、及び前記モータの駆動をもって、前記ドアラッチをラッチ解除させる方向へ移動可能な伝達レバーを有するラッチ解除駆動手段と、該伝達レバーが前記ドアラッチをラッチ解除させる作動位置にあるとき、前記ドアの外面に設けられて前記ドアを開けるときに操作される操作ハンドルの操作に応じて、前記ラッチ解除駆動手段の前記モータと前記伝達レバーとを接続する操作力伝達経路を切断可能なキャンセル手段と、前記操作ハンドル及び前記キャンセル手段にそれぞれ連結されるとともに、前記操作ハンドルの操作に応じて非作動位置から作動位置に移動することにより、前記キャンセル手段を前記操作力伝達経路を切断可能な位置に移動させ得る第1中継レバーと、前記操作ハンドルの操作による前記第1中継レバーの作動位置への移動に伴って非作動位置から作動位置に移動して前記ドアラッチをラッチ解除させるように前記ドアラッチに連結される第2中継レバーと、前記伝達レバーの前記ドアラッチをラッチ解除させる方向への移動を前記ドアラッチに伝達し得るように前記伝達レバーに連結されるとともに、前記伝達レバーの前記ドアラッチをラッチ解除させる方向への移動に連動して非作動位置から作動位置に移動することにより、前記第1中継レバーを非作動位置に保持したまま前記第2中継レバーを非作動位置から作動位置に移動させる第3中継レバーとを備える。
(2)上記(1)項において、前記ラッチ解除駆動手段は、さらに前記モータにより所定の方向へ移動させられる移動体と、該移動体に連結されるとともに、前記伝達レバーに係合可能な係合位置と係合不能なキャンセル位置に移動可能で、かつ前記係合位置にある状態で、前記移動体の移動に伴って前記所定の方向へ移動することにより、前記伝達レバーを前記ドアラッチをラッチ解除させる方向へ移動させ得る連結リンクとを有し、前記キャンセル手段は、前記操作ハンドルの操作に基づいて前記第1中継レバーを介して作動することによって、前記連結リンクを前記キャンセル位置に移動させて前記モータと前記伝達レバーとを接続する操作力伝達経路を切断する。
本発明によれば、次のような効果が奏せられる。
(a)請求項1記載の発明によると、伝達レバーがドアラッチをラッチ解除させる作動位置に移動したとき、ドアに設けられる操作ハンドルの操作に応じて、ラッチ解除駆動手段のモータと伝達レバーとを接続する操作力伝達経路を切断可能としたことにより、モータがラッチ解除作動途中で停止しても、操作ハンドルの操作をもって、ドアラッチをラッチ待機状態に復帰させることができ、ドアを閉じることができる。
さらに、操作ハンドルの操作により、ドアラッチのラッチ解除とキャンセル手段のキャンセル作動とを行なうことができる。また、ラッチ解除駆動手段による伝達レバーの移動による駆動力により、ドアラッチをラッチ解除させたとき、操作ハンドルに対して、伝達レバーの駆動力が伝達されないので、ドアラッチを円滑にラッチ解除させることができる。
(b)請求項2記載の発明によると、ラッチ解除駆動手段に設けた連結リンクにより、ラッチ解除駆動手段のモータと伝達レバーとを接続する操作力伝達経路を切断可能としたことにより、伝達レバーの復帰回動を自由にして、ドアラッチを確実にラッチ待機状態に復帰させることができる。
以下、本発明の一実施形態を、図に基づいて説明する。図1は、本発明が適用される車両用のドアの概略側面図、図2は、図1におけるII−II線に沿う横断面図、図3は、駆動装置(6)の分解斜視図、図4は、ドア(1)が全閉状態にあるときの駆動装置(6)の側面図、図5は、ドアラッチ(4)をラッチ解除させたときの駆動装置(6)の側面図、図6は、ドア(1)を開き方向へ移動させたときの駆動装置(6)の要部の側面図、図7は、キャンセル操作したときの駆動装置(6)の要部の側面図、図8は、キャンセル操作完了後の駆動装置(6)の要部の側面図、図9は、ドア開扉操作中の駆動装置(6)の要部の側面図、図10〜図13は、中継手段(9)の各状態を示す側面図である。なお、図1及び図2における左方を車両の「後方」とし、右方を車両の「前方」とする。
車両用のドア(1)は、前端部が上下のドアヒンジ(2)により、車体(3)に開閉可能に枢支されるとともに、内部の後端部には、ドアラッチ(4)が設けられ、また、前端部には、ドア半開保持手段をなすチェックリンク(5)、及び駆動装置(6)が設けられている。さらには、ドア(1)の車内側を形成するインナーパネル(1a)には、車内側から操作可能な機械的操作手段をなすインサイドハンドル(7)、また車外側を形成するアウターパネル(1b)には、電気的操作手段をなすラッチ解除操作スイッチ(1c)がそれぞれ設けられている。
なお、電気的操作手段は、ドア(1)に設けられるラッチ解除操作スイッチ(1c)のみに特定されるものでなく、運転席近傍に設けられる操作スイッチ、運転者により所持され、所定の操作により赤外線、電波等を発信可能な遠隔操作スイッチ等も含む。また、電気的操作手段をドア(1)に設ける場合には、ドア(1)のアウターパネル(1b)に設けられるハンドル内に内蔵するのが好ましい。
ドアラッチ(4)は、内部に収容されたラッチ機構(4a)が、ドア(1)の全閉時に車体(3)に固着されたストライカ(8)と係合することにより、ドア(1)を閉止状態に拘束するとともに、インサイドハンドル(7)または駆動装置(6)により、ラッチ解除されてラッチ機構(4a)がストライカ(8)から離脱し、ドア(1)の開き方向への移動を可能にする。このドアラッチ(4)は、周知の構造のものであるので詳細な説明は省略するが、一般的に、その構造は、ラッチ解除状態でドア(1)を閉じても、ラッチ機構(4a)がストライカ(8)に対して係合不能で、ドア(1)を全閉状態に拘束することができないものとなっている。したがって、ドア(1)を閉じる場合には、ラッチ解除の操作力を除去して、ラッチ機構(4a)をストライカ(8)に対して係合可能な待機状態にする必要がある。
チェックリンク(5)は、前端部がドアヒンジ(2)の枢軸(2a)より若干側方に外れた車体(3)側に枢着されるとともに、後部がドア(1)内に進入したアーム(52)と、ドア(1)内に固定されるとともに、ドア(1)の開閉に伴ってアーム(52)の上下面に対して摺動可能な摺動体(51)とを有し、ドア(1)が半開位置(図2に想像線で示す位置)にあるとき、アーム(52)に設けられた凹部(52a)に摺動体(51)が所要の押圧力で係合することにより、ドア(1)を所要の保持力をもって半開位置に保持可能な構成を有している。
インサイドハンドル(7)は、その後方に設けられた中継手段(9)を介して、ドアラッチ(4)及び駆動装置(6)に連結され、車内から図2に実線で示す非操作位置から想像線で示す操作位置に操作されることにより、中継手段(9)を介してドアラッチ(4)をラッチ解除させるとともに、駆動装置(6)に設けられた後述のキャンセル手段(18)(19)を作動させる。
中継手段(9)は、主に図10に示すように、ドア(1)のインナーパネル(1a)に固定されるベースプレート(94)に、第1、2及び第3中継レバー(91)(92)(93)が枢軸(95)により枢支されることにより形成されている。
第1中継レバー(91)は、主に図10に示すように、上部に設けられた連結部(91a)が連結部材(27)を介して、インサイドハンドル(7)に連結されることにより、インサイドハンドル(7)の開扉操作に応じて、図10に示すニュートラル位置から図11及び図13に示す作動位置へ移動可能であるとともに、下部に設けられた連結部(91c)が連結部材(29)を介して、駆動装置(6)のキャンセル手段(18)(19)のうちの第2キャンセルレバー(19)に連結される。
第2中継レバー(92)は、連結部(92a)が連結部材(28)を介してドアラッチ(4)のラッチ解除レバー(図示略)に連結されるとともに、第1中継レバー(91)によるニュートラル位置から作動位置への回動に伴って、第1中継レバー(91)の被当接部(91b)が当接部(92b)に当接することにより、図10に示すニュートラル位置から図11及び図13に示す作動位置へ移動させられる。
第3中継レバー(93)は、連結部(93a)が連結部材(30)を介して、駆動装置(6)の後述の伝達レバー(17)に連結され、伝達レバー(17)の後述のニュートラル位置から作動位置への移動に伴って、図10に示すニュートラル位置から図12及び図13に示す作動位置へ移動させられ、この移動により、被当接部(93b)が第2中継レバー(92)に対して当接することにより、第2中継レバー(92)をニュートラル位置から作動位置へ移動させる。
上述により、中継手段(9)は、インサイドハンドル(7)、ドアラッチ(4)、及びキャンセル手段(18)(19)並びに伝達レバー(17)のそれぞれを相互に連結し、インサイドハンドル(7)の操作力を第1中継レバー(91)で入力し、その入力した操作力を、第1中継レバー(91)及び第2中継レバー(92)からドアラッチ(4)及びキャンセル手段(18)(19)へ出力し、また、伝達レバー(17)のニュートラル位置から作動位置への移動、すなわちドアラッチ(4)をラッチ解除させる駆動力を、第3中継レバー(93)で入力し、その入力した駆動力を、第2中継レバー(92)からドアラッチ(4)へ出力可能とし、かつインサイドハンドル(7)へは出力不能な構成となっている。
駆動装置(6)は、主に図4に示すように、インナーパネル(1a)に複数のボルト(10)により固定されるベースプレート(11)を有し、このベースプレート(11)に、正逆回転可能なモータ(12)と、モータ(12)により所定の方向へ回動させられる移動体をなすセクターギヤ(13)と、セクターギヤ(13)の回動に伴って、ドア(1)を開き方向へ移動させる開放力を蓄積可能なコイルスプリング(15)と、コイルスプリング(15)に蓄積された開放力をチェックリンク(5)のアーム(52)に伝達可能なプッシュレバー(14)と、後端部がセクターギヤ(13)に連結された連結リンク(16)と、モータ(12)の駆動力を前述のようにドアラッチ(4)に伝達可能な伝達レバー(17)と、モータ(12)とドアラッチ(4)との間の操作力伝達経路、より具体的には、モータ(12)と伝達レバー(17)とを接続する操作力伝達経路を切断可能なキャンセル手段をなす第1、2キャンセルレバー(18)(19)とが設けられることにより形成される。
なお、本実施形態においては、モータ(12)と、セクターギヤ(13)と、連結リンク(16)と、伝達レバー(17)とにより、本発明に係わるラッチ解除駆動手段が形成され、モータ(12)と、セクターギヤ(13)と、コイルスプリング(15)と、プッシュレバー(14)とにより、本発明に係わるドア開扉駆動手段が形成される。すなわち、モータ(12)及びセクターギヤ(13)は、ドア解除駆動手段とドア開扉駆動手段とに兼用される構成を有している。
モータ(12)は、ラッチ解除操作スイッチ(1c)の操作に応じて正転制御されることにより、減速ギヤ(図示略)を介して、ピニオン(25)を作動方向(図4〜図9において反時計方向)へ回転駆動させる。
セクターギヤ(13)は、枢軸(20)によりベースプレート(11)に枢支されるとともに、歯部(13a)がピニオン(25)に噛合することにより、モータ(12)の正転によるピニオン(25)の回転に伴って、図4、9に示すニュートラル位置と図5、6、7及び図8に示す作動位置へ回動し、またモータ(12)の逆転により作動位置からニュートラル位置に復帰して停止する。
連結リンク(16)は、枢軸(24)によりセクターギヤ(13)の遊端部に枢着されるとともに、前端部がガイドピン(26)を介して、第1キャンセルレバー(18)に設けられた前後方向の長孔(18a)に摺動可能に連結され、かつ第1、2キャンセルレバー(18)(19)が後述のニュートラル位置にある場合には、セクターギヤ(13)のニュートラル位置から作動位置への回動に伴って、図4に示すニュートラル位置から図5、6に示す作動位置へ移動することができる。また第1キャンセルレバー(18)が後述のキャンセル位置に移動した場合には、連結リンク(16)は、ニュートラル位置から図7、9に示すキャンセル位置に移動する。
連結リンク(16)の前端部には、ニュートラル位置から作動位置へ移動する方向に対して、伝達レバー(17)の上部に設けられた係合部(17a)に対して係合可能なフック部(16a)が設けられている。
伝達レバー(17)は、枢軸(22)によりベースプレート(11)に枢着されるとともに、下端部に設けられた連結部(17b)が連結部材(30)を介して、中継手段(9)の第3中継レバー(93)に連結され、連結リンク(16)がニュートラル位置から作動位置へ移動することにより、連結リンク(16)のフック部(16a)が係合部(17a)に係合して、図4に示すニュートラル位置から図5及び図6に示す作動位置へ移動させられ、この移動をもって、連結部材(30)を介して、第3中継レバー(93)を作動位置へ移動させる。
スプリング(31)は、伝達レバー(17)の枢軸(22)に巻装されて、伝達レバー(17)を図4〜図9において時計方向へ付勢する。
第1、2キャンセルレバー(18)(19)は、枢軸(23)によりベースプレート(11)により枢着される。第2キャンセルレバー(19)は、連結部材(29)を介して、中継手段(9)の第1中継レバー(91)に連結され、インサイドハンドル(7)の開扉操作に伴って、図4、5、6及び図8に示すニュートラル位置から図7、9に示すキャンセル位置へ移動する。枢軸(23)に巻装されたスプリング(32)は、第1キャンセルレバー(18)をニュートラル位置へ向けて付勢する。
第2キャンセルレバー(19)がニュートラル位置からキャンセル位置へ移動すると、第2キャンセルレバー(19)の被当接部(19a)が第1キャンセルレバー(18)に対して当接することにより、第1キャンセルレバー(18)は、図4、5及び図6に示すニュートラル位置から図7、9に示すキャンセル位置に移動するとともに、連結リンク(16)をニュートラル位置からキャンセル位置へ移動させる。
第1キャンセルレバー(18)がニュートラル位置にある場合には、連結リンク(16)がニュートラル位置から作動位置への移動に伴って、そのフック部(16a)が伝達レバー(17)の係合部(17a)に対して係合して、伝達レバー(17)をニュートラル位置から作動位置へ移動させることができ、また、第1キャンセルレバー(18)がキャンセル位置にある場合には、連結リンク(16)のフック部(16a)が伝達レバー(17)の係合部(17a)から離脱して、伝達レバー(17)が作動位置に移動させられた状態であっても、モータ(12)と伝達レバー(17)とを接続する操作力伝達経路を切断することにより、スプリング(31)の付勢力をもって、伝達レバー(17)は、ニュートラル位置へ復帰可能となる。
プッシュレバー(14)は、枢軸(21)によりベースプレート(11)に枢着されるとともに、下端部に設けられた折曲片(14a)には、チェックリンク(5)のアーム(52)の後端部に設けられた鍔部(52b)が当接可能に係合されている。
ドアラッチ(4)がラッチ解除された場合には、後述のようにスプリング(15)に蓄積された開放力をもって、プッシュレバー(14)は、図4、5及び図9に示すニュートラル位置から図6、7及び図8に示す作動位置へ移動させられて、折曲片(14a)がアーム(52)の鍔部(52b)に当接してアーム(52)を押し出し、この押し出し力をもって、ドア(1)を全閉状態から開き方向へ移動させる。
スプリング(15)は、プッシュレバー(14)の枢軸(21)にコイル部が巻装されるとともに、一端部(15a)がセクターギヤ(13)に設けられた突部(13b)と枢軸(24)との間に係止され、また他端部(15b)がプッシュレバー(14)の折曲片(14a)に係止される。
モータ(12)の正転により、セクターギヤ(13)がニュートラル位置から作動位置へ向けて移動する場合には、前述のように、連結リンク(16)、伝達レバー(17)等を介して、ドアラッチ(4)をラッチ解除させるとともに、ドアラッチ(4)をラッチ解除させる迄の期間中に、スプリング(15)の一端部(15a)を反時計方向へ捩る。このとき、ドアラッチ(4)のラッチ解除が完了するまでは、ドア(1)は全閉状態に拘束されているため、プッシュレバー(14)はニュートラル位置またアーム(52)は全閉位置(主に図4、5に示す位置)に拘束されて、スプリング(15)の他端部は移動することができない。したがって、スプリング(15)の一端部(15a)が反時計方向へ捩れることにより、スプリング(15)は、ドア(1)を開き方向へ移動させる開放力蓄積することができる。
ドアラッチ(4)のラッチ解除が完了して、ドア(1)の開き方向への移動が可能になった時点で、スプリング(15)に蓄積された開放力は放出されることとなる。これにより、スプリング(15)に蓄積された開放力をもって、プッシュレバー(14)を介して、アーム(52)に伝達することにより、ドア(1)を全閉状態から開き方向へ移動させることができる。
次に、本発明に係わる動作について説明する。
ドア(1)の全閉状態においては、ドアラッチ(4)のラッチ機構(4a)はストライカ(8)に係合し、また駆動装置(6)におけるセクターギア(13)、プッシュレバー(14)、スプリング(15)、連結リンク(16)、伝達レバー(17)、第1、2キャンセルレバー(18)(19)の全ては、図4に示すようにニュートラル位置にある。この状態においては、セクターギヤ(13)がニュートラル位置にあるため、スプリング(15)には開放力が蓄積されていない。
ドア(1)の全閉状態において、ラッチ解除操作スイッチ(1c)が操作された場合には、モータ(12)が正転制御されることにより、セクターギヤ(13)は、ピニオン(25)を介して、ニュートラル位置から作動位置へ向けて回動させられる。
セクターギヤ(13)の回動に伴って、連結リンク(16)は、ニュートラル位置から作動位置へ向けて移動させられる。このとき、第1キャンセルレバー(18)は、ニュートラル位置にあるため、連結リンク(16)のフック部(16a)は、第1キャンセルレバー(18)の長孔(18a)に案内されて伝達レバー(17)の係合部(17a)に対して係合し、伝達レバー(17)をニュートラル位置から作動位置に向けて移動させる。
また、スプリング(15)は、セクターギヤ(13)の回動により、一端部(15a)が反時計方向へ捩れられて開放力を蓄積し、この開放力がプッシュレバー(14)を介して、アーム(52)に対して作用するが、ドアラッチ(4)のラッチ機構(4a)がストライカ(8)に係合した状態では、ドア(1)及びアーム(52)の開き方向への移動が拘束されているため、スプリング(15)の他端部(15b)の位置は変位することがない。したがって、ドアラッチ(4)のラッチ解除が完了するまでの期間中、モータ(12)によるセクターギヤ(13)の回動によって、スプリング(15)は、ドア開放力を蓄積することとなる。
セクターギヤ(13)が作動位置に移動すると、第5図に示すように、連結リンク(16)のフック部(16a)が伝達レバー(17)の係合部(17a)に対して係合し、伝達レバー(17)は、連結リンク(16)を介して作動位置に移動させられる。これにより、連結部材(30)、第3中継レバー(93)、第2中継レバー(92)、連結部材(28)を介して、ドアラッチ(4)は解除作動して、ストライカ(8)から離脱する。このとき、第2中継レバー(92)及び第3中継レバー(93)は、図12に示すように回動するが、第1中継レバー(91)は停止したままであるため、インサイドハンドル(7)に対して、伝達レバー(17)の移動が伝達されることがない。
ドアラッチ(4)のラッチ解除が完了すると、ドア(1)の開き方向への移動が可能になるため、これまでスプリング(15)に蓄積された開放力をもって、図6に示すように、プッシュレバー(14)を作動位置へ移動させて、アーム(52)を前方へ押し出すことにより、ドア(1)は開き方向へ移動する。そして、ドア(1)が所定の半開位置まで開くと、チェックリンク(5)の摺動体(51)がアーム(52)の凹部(52a)に所定の押圧力をもって係合することにより、ドア(1)はその半開位置に停止して保持される。その後、ドア(1)に設けられたハンドル等を握って、チェックリンク(5)の保持力に抗して、ドア(1)を半開位置からさらに開くことができる。
セクターギヤ(13)が作動位置に移動すると、その時点から所定時間経過後に、モータ(12)を逆転制御し、セクターギヤ(13)等をニュートラル位置に復帰させて、駆動装置(6)をニュートラル状態に復帰させる。これにより、ドアラッチ(4)のラッチ機構(4a)は、係合待機状態となり、また、スプリング(15)の開放力は除去される。
図6に示す状態において、何らかの電気的故障等により、モータ(12)の逆転制御が不能になって、セクターギヤ(13)が作動位置からニュートラル位置へ復帰不能になった場合には、伝達レバー(17)が、図6に示す作動位置に拘束されるため、連結部材(30)、第3中継レバー(93)、第2中継レバー(92)、連結部材(28)を介して、ドアラッチ(4)のラッチ機構は、ラッチ解除状態に保持されて、ストライカ(8)と係合することができなくなり、ドア(1)を閉じることができない事態が発生する。
しかし、本実施形態においては、このような事態が発生しても、インサイドハンドル(7)を開扉操作することにより、ドアラッチ(4)のラッチ機構(4a)をラッチ待機状態に復帰させて、ドア(1)を閉じることができる。
すなわち、図6に示す状態において、インサイドハンドル(7)が開扉操作された場合には、インサイドハンドル(7)の開扉操作に応じて、連結部材(27)を介して、第1中継レバー(91)が図13に示すように回動し、この回動をもって、連結部材(29)を介して、第1、2キャンセルレバー(18)(19)をニュートラル位置から作動位置へ移動させる。これにより、第1キャンセルレバー(18)の長孔(18a)に係合しているガイドピン(26)を介して、連結リンク(16)はキャンセル位置へ移動させられる。
連結リンク(16)がキャンセル位置に移動すると、連結リンク(16)のフック部(16a)が伝達レバー(17)の係合部(17a)から離脱するため、伝達レバー(17)の作動位置の拘束が除去されることとなる。これにより、伝達レバー(17)は、ニュートラル位置へ復帰するとともに、ドアラッチ(4)のラッチ機構(4a)は、ラッチ待機状態に復帰する。そして、インサイドハンドル(7)の操作力が除去されると、図8に示すように、連結リンク(16)のフック部(16a)の先端が、伝達レバー(17)の外周縁に乗り上げた状態で停止して、第2キャンセルレバー(19)のみがニュートラル位置に復帰する。そして、モータ(12)の回転が可能になって、プッシュレバー(14)がニュートラル位置に復帰した時点で、第1キャンセルレバー(18)はニュートラル位置に復帰する。
ドアラッチ(4)のラッチ機構(4a)をラッチ待機状態に復帰させた後、ドア(1)を閉じることにより、ドアラッチ(4)のラッチ機構(4a)がストライカ(8)と係合して、ドア(1)は全閉状態に拘束される。
図4に示すドア(1)の全閉状態において、インサイドハンドル(7)が開扉操作された場合には、インサイドハンドル(7)の開扉操作に応じて、連結部材(27)を介して、第1中継レバー(91)及び第2中継レバー(92)が、図10に示す位置から図11に示す位置に回動することにより、連結部材(28)を介して、ドアラッチ(4)をラッチ解除させる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、本実施形態に対して、下記のような種々の変形や変更を施すことが可能である。
(i)前記実施形態において、ドア開扉駆動手段は、モータ(12)、セクターギヤ(13)、スプリング(15)、プッシュレバー(14)によって形成されるものについて説明したが、これに特定されるものでなく、これに代えて、プッシュレバー(14)を省略して、スプリング(15)の他端部(15b)をチェックリンク(5)のアーム(52)に直接係止する。
(ii)前記実施形態において、移動体は、モータ(12)により回動させられるセクターギヤ(13)として説明したが、これに代えて、モータ(12)により直線的に移動可能なラック、リンク等で形成する。
(iii)モータ(12)の駆動により、ドア(1)を開き方向へ移動させる開放力を蓄積可能なスプリング(15)をトーションスプリングとしたが、これに代えて、コイルスプリング、エアシリンダー等の力を蓄積可能な他のものを使用する。
(iv)中継手段(9)を介さないで、伝達レバー(17)とドアラッチ(4)とを連結する。
(v)スプリング(15)に蓄積される開放力を、チェックリンク(5)のアーム(52)に対して作用させるものに代えて、チェックリンク(5)のアーム(52)とは異なる、前端部がドアヒンジ(2)の枢軸(2a)より若干側方に外れた車体(3)側に枢着される押動杆に作用させる。
(vi)チェックリンク(5)を使用しないで、実施すること。この場合には、ドア(1)を半開位置に保持する機能は有しない。
(vii)機械的操作手段を、インサイドハンドル(7)のみに特定しないで、ドア(1)のアウターパネル(1b)に設けられるアウトサイドハンドル、及びドアラッチ(4)に連結される機械式のキーシリンダとする。
(viii)上記(i)〜(vii)を適宜組み合わせて実施する。
本発明が適用される車両用のドアの概略側面図である。 図1におけるII−II線に沿う横断面図である。 駆動装置の分解斜視図である。 ドアが全閉状態にあるときの駆動装置の側面図である。 ドアラッチをラッチ解除させたときの駆動装置の側面図である。 ドアを開き方向へ移動させたときの駆動装置の要部の側面図である。 キャンセル操作したときの駆動装置の要部の側面図である。 キャンセル操作完了後の駆動装置の要部の側面図である。 ドア開扉操作中の駆動装置の要部の側面図である。 ドアが全閉状態にあるときの中継手段の側面図である。 ドア開扉操作中の中継手段の概略側面図である。 駆動装置が作動しているときの中継手段の概略側面図である。 駆動装置の作動中に、キャンセル操作したときの中継手段の概略側面図である。
(1)ドア
(1a)インナーパネル
(1b)アウターパネル
(1c)ラッチ解除操作スイッチ(電気的操作手段)
(2)ドアヒンジ
(2a)枢軸
(3)車体
(4)ドアラッチ
(4a)ラッチ機構
(5)チェックリンク(ドア半開保持手段)
(51)摺動体
(52)アーム(押動杆)
(52a)凹部
(52b)鍔部
(6)駆動装置
(7)インサイドハンドル(操作ハンドル、機械的操作手段)
(8)ストライカ
(9)中継手段
(91)第1中継レバー
(91a)連結部
(91b)被当接部
(91c)連結部
(92)第2中継レバー
(92a)連結部
(92b)当接部
(93)第3中継レバー
(93a)連結部
(93b)被当接部
(94)ベースプレート
(95)枢軸
(10)ボルト
(11)ベースプレート
(12)モータ(ラッチ解除駆動手段、ドア開扉駆動手段)
(13)セクターギヤ(移動体、ラッチ解除駆動手段、ドア開扉駆動手段)
(13a)歯部
(13b)突部
(14)プッシュレバー(ドア開扉駆動手段)
(14a)折曲片
(15)スプリング(ドア開扉駆動手段)
(15a)一端部
(15b)他端部
(16)連結リンク(ラッチ解除駆動手段)
(16a)フック部
(17)伝達レバー(ラッチ解除駆動手段)
(17a)係合部
(17b)連結部
(18)第1キャンセルレバー(キャンセル手段)
(18a)長孔
(19)第2キャンセルレバー(キャンセル手段)
(19a)被当接部
(20)(21)(22)(23)(24)枢軸
(25)ピニオン
(26)ガイドピン
(27)(28)(29)(30)連結部材
(31)(32)スプリング

Claims (2)

  1. ドアに設けられるとともに、前記ドアの全閉時に車体側と係合することにより、前記ドアを全閉状態に拘束可能なドアラッチと、
    前記ドアに設けられるとともに、電気的操作手段の操作に応じて駆動可能なモータ、及び前記モータの駆動をもって、前記ドアラッチをラッチ解除させる方向へ移動可能な伝達レバーを有するラッチ解除駆動手段と、
    該伝達レバーが前記ドアラッチをラッチ解除させる作動位置にあるとき、前記ドアの外面に設けられて前記ドアを開けるときに操作される操作ハンドルの操作に応じて、前記ラッチ解除駆動手段の前記モータと前記伝達レバーとを接続する操作力伝達経路を切断可能なキャンセル手段と
    前記操作ハンドル及び前記キャンセル手段にそれぞれ連結されるとともに、前記操作ハンドルの操作に応じて非作動位置から作動位置に移動することにより、前記キャンセル手段を前記操作力伝達経路を切断可能な位置に移動させ得る第1中継レバーと、
    前記操作ハンドルの操作による前記第1中継レバーの作動位置への移動に伴って非作動位置から作動位置に移動して前記ドアラッチをラッチ解除させるように前記ドアラッチに連結される第2中継レバーと、
    前記伝達レバーの前記ドアラッチをラッチ解除させる方向への移動を前記ドアラッチに伝達し得るように前記伝達レバーに連結されるとともに、前記伝達レバーの前記ドアラッチをラッチ解除させる方向への移動に連動して非作動位置から作動位置に移動することにより、前記第1中継レバーを非作動位置に保持したまま前記第2中継レバーを非作動位置から作動位置に移動させる第3中継レバーとを備えたことを特徴とする車両用ドア開扉装置。
  2. 前記ラッチ解除駆動手段は、さらに前記モータにより所定の方向へ移動させられる移動体と、該移動体に連結されるとともに、前記伝達レバーに係合可能な係合位置と係合不能なキャンセル位置に移動可能で、かつ前記係合位置にある状態で、前記移動体の移動に伴って前記所定の方向へ移動することにより、前記伝達レバーを前記ドアラッチをラッチ解除させる方向へ移動させ得る連結リンクとを有し、前記キャンセル手段は、前記操作ハンドルの操作に基づいて前記第1中継レバーを介して作動することによって、前記連結リンクを前記キャンセル位置に移動させて前記モータと前記伝達レバーとを接続する操作力伝達経路を切断することを特徴とする請求項1記載の車両用ドア開扉装置。
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