JP4347320B2 - 車両挙動安定化装置 - Google Patents
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また、第1目標ヨーレートと第2目標ヨーレートとのうち、絶対値が小さい方の目標ヨーレート(車両目標ヨーレート)と検出したヨーレート(実ヨーレート)との偏差に応じた第2舵角設定値を演算する手段と、舵角が第1舵角設定値と第2舵角設定値との和である目標舵角に対応するように、操舵用アクチュエータを制御する手段と、その偏差を打ち消すように、車輪の制動力および車輪の駆動力の中の少なくとも一方を制御する手段とをさらに備えている(例えば、特許文献1参照)。
一方、第2目標ヨーレートは、車両の横方向加速度に応じて演算される。そのため、例えば摩擦係数の低い路面における旋回走行等により、前輪(もしくは、4輪)の横力が限界に達して飽和した際に、第2目標ヨーレートは飽和する。このとき、車両は、実ヨーレートが飽和したアンダーステア状態を示している。
なお、前輪の横力が線形特性を示す場合には、実ヨーレートは、舵角にほぼ比例する。また、車両目標ヨーレートよりも実ヨーレートが大きくなる場合に、車両は、オーバーステア状態を示し、スピンする。
そこで、前輪の横力が飽和した状態では、第1目標ヨーレートよりも絶対値が小さく、車両の挙動を反映した第2目標ヨーレートを車両目標ヨーレートとして採用し、舵角が不必要に増加しないようにしている。
図9は、上記従来装置において、車両がアンダーステア状態を示す場合の第1目標ヨーレート、第2目標ヨーレート、および実ヨーレートと、時間との関係を示す説明図である。また、図10は、上記従来装置において、車両がオーバーステア状態を示す場合の車両目標ヨーレートおよび実ヨーレートと、時間との関係を示す説明図である。
ここで、上記従来装置では、第2目標ヨーレートを車両目標ヨーレートとして採用するので、車両がアンダーステア状態を示す場合の実ヨーレートと、車両目標ヨーレートとが一致する。このとき、実ヨーレートと車両目標ヨーレートとの差がないので、車両は、車両目標ヨーレートを発生していると判断する。
そのため、上記従来装置では、実ヨーレートが車両目標ヨーレートよりも小さくなるアンダーステア状態を検出することができず、アンダーステア抑制制御を実施することができない。
ここで、上記従来装置では、第1目標ヨーレートよりも第2目標ヨーレートの方が大きい場合に、第1目標ヨーレートを車両目標ヨーレートとして採用する。また、第2目標ヨーレートよりも第1目標ヨーレートの方が大きい場合に、第2目標ヨーレートを車両目標ヨーレートとして採用する。
また、上記従来装置では、車両目標ヨーレートと実ヨーレートとの差に基づいて、車両のオーバーステア状態を検出し、オーバーステア抑制制御を実施することも可能である。
なお、車両がオーバーステア状態を示す場合には、車両は、自身の重心を回転中心として自転するので、横方向加速度は発生しない。しかしながら、回転中心は、前輪の車軸中央になることが多いので、横方向加速度が発生することもある。したがって、車両がオーバーステア状態を示す場合に、横方向加速度が発生しているか否かは不明である。
そのため、従来の車両用操舵装置では、上記のように、車両目標ヨーレートよりも実ヨーレートが大きくなるオーバーステア状態を検出することはできるものの、車両目標ヨーレートよりも実ヨーレートが小さくなるアンダーステア状態を検出することができないという問題点があった。
そのため、実ヨーレートが飽和した直後は、車両目標ヨーレートが第1目標ヨーレートに追従し、実ヨーレートの飽和から一定時間が経過した後は、車両目標ヨーレートが第2目標ヨーレートに追従するので、車両のオーバーステア状態とともに、アンダーステア状態を検出することができる。
図1は、この発明の実施の形態1に係る車両挙動安定化装置を含む車両1を示す構成図である。
図1において、車両1は、ステアリングホイール2と、入力側ステアリング軸3と、操舵角検出手段4と、操舵角変更ギア5と、出力側ステアリング軸6と、操舵アシスト手段7と、ステアリングギア8と、実舵角制御手段9(車両制御手段)と、操舵力制御手段10と、エンジン11と、駆動力分配手段12と、駆動力制御手段13(車両制御手段)と、制動力分配手段14と、制動力制御手段15(車両制御手段)と、車速検出手段16と、横方向加速度センサ17(横方向加速度検出手段)と、ヨーレートセンサ18(実ヨーレート検出手段)と、車輪19とを備えている。
また、制動力制御手段15には、目標ヨーレート演算手段20(後述する)が設けられている。
入力側ステアリング軸3の他端には、車両1の実舵角δ(後述する)を制御する実舵角制御手段9からの指令によって動作する操舵角変更ギア5を介して、出力側ステアリング軸6の一端が連結されている。操舵角変更ギア5は、操舵角θhdlに所定の操舵角を付加し、出力側ステアリング軸6の操舵角として出力する。
出力側ステアリング軸6の他端には、回転方向の運動を直線方向の運動に変換するステアリングギア8を介して、車輪19が連結されている。
実舵角検出手段は、操舵角θhdlと操舵角変更ギア5によって付加される操舵角とを加算した出力側ステアリング軸6の操舵角に、ステアリングギア8のギア比を乗算した値を、実舵角δとして検出する。
また、車両1の各車輪19には、車両1の制動力を制御する制動力制御手段15からの指令によって、各車輪19に制動力を分配する制動力分配手段14が接続されている。
図2において、目標ヨーレート演算手段20には、それぞれ実舵角検出手段35、車速検出手段16、および横方向加速度センサ17から出力される実舵角δ、車速V、および横方向加速度Gyが入力される。また、目標ヨーレート演算手段20は、上記の入力に基づいて、車両目標ヨーレートYobjを演算し、車両目標ヨーレートYobjを車両制御手段29(実舵角制御手段9、駆動力制御手段13、制動力制御手段15)に出力する。車両制御手段29は、車両目標ヨーレートYobjと、ヨーレートセンサ18から出力される実ヨーレートγとが一致するように車両1の挙動を制御する。
また、目標ヨーレート演算手段20は、CPUとプログラムを格納したメモリとを有するマイクロプロセッサ(図示せず)で構成されている。目標ヨーレート演算手段20を構成する各ブロックは、メモリ内にソフトウェアとして記憶されている。
また、第2目標ヨーレート演算手段22は、横方向加速度Gyおよび車速Vに基づいて、第2目標ヨーレートYGyを演算する。
ヨーレート偏差ローパスフィルタ処理手段24は、目標ヨーレート偏差ΔYをローパスフィルタ処理する。
第3目標ヨーレート演算手段25は、第1目標ヨーレートYhdlと、ヨーレート偏差ローパスフィルタ処理手段24を介した目標ヨーレート偏差ΔYとの偏差を、第3目標ヨーレートYtgtとして演算する。
目標ヨーレート選択手段26は、第1目標ヨーレートYhdlおよび第3目標ヨーレートYtgtのうち、絶対値の小さい方を車両目標ヨーレートYobjとして選択し、車両目標ヨーレートYobjを車両制御手段29に出力する。
まず、実舵角δ、車速V、および横方向加速度Gyは、それぞれ実舵角検出手段35、車速検出手段16、および横方向加速度センサ17で検出され、目標ヨーレート演算手段20に入力される。
このとき、目標ヨーレート偏差演算手段23は、式(1)を用いて第1目標ヨーレート演算手段21で演算された第1目標ヨーレートYhdlと、式(2)を用いて第2目標ヨーレート演算手段22で演算された第2目標ヨーレートYGyとを用いる。
ここで、ヨーレート偏差ローパスフィルタ処理手段24は、式(3)を用いて目標ヨーレート偏差演算手段23で演算された目標ヨーレート偏差ΔYに、式(4)に示したローパスフィルタの伝達関数を乗算する。
このとき、第3目標ヨーレート演算手段25は、式(1)を用いて第1目標ヨーレート演算手段21で演算された第1目標ヨーレートYhdlと、ヨーレート偏差ローパスフィルタ処理手段24において、目標ヨーレート偏差ΔYを式(4)でローパスフィルタ処理した値(1/(T2s+1))ΔYとを用いる。
一方、第2目標ヨーレートYGyは、横方向加速度Gyの増加に応じて増加し、前輪(もしくは、4輪)の横力が飽和した際に、第2目標ヨーレートYGyも飽和する。このとき、車両1は、実ヨーレートγが飽和したアンダーステア状態を示している。
車両1がニュートラルステア(車両目標ヨーレートYobjと実ヨーレートγとが一致する)状態を示す場合には、車両1は、所定の横滑り角をもって旋回する。
一方、車両1がアンダーステア状態を示す場合には、車両1が旋回しにくくなる。そのため、ニュートラルステア状態に比べて、車両1の進行方向と車両1の向きとが一致する方向に近づく。すなわち、車両1がアンダーステア状態を示す場合には、前輪の横力が飽和しているにもかかわらず、横滑り角がニュートラルステア状態よりも小さくなる。
そのため、車両1のオーバーステア状態とともに、アンダーステア状態を検出することができる。また、車両1のアンダーステア状態、あるいはオーバーステア状態を検出することにより、車両制御手段29は、アンダーステア抑制制御、あるいはオーバーステア抑制制御を実施し、車両1の挙動を安定化させることができる。
図4は、この発明の実施の形態2に係る車両挙動安定化装置を詳細に示すブロック図である。
図4において、目標ヨーレート演算手段20Aは、第1目標ヨーレートローパスフィルタ処理手段30をさらに含んでいる。
第1目標ヨーレートローパスフィルタ処理手段30は、次式(6)を用いて第1目標ヨーレートYhdlをローパスフィルタ処理する。
ここで、第1目標ヨーレートローパスフィルタ処理手段30は、式(1)を用いて第1目標ヨーレート演算手段21で演算された第1目標ヨーレートYhdlに、式(6)に示したローパスフィルタの伝達関数を乗算する。
その他の構成および動作については、前述の実施の形態1と同様であり、その説明は省略する。
なお、第1目標ヨーレートローパスフィルタ処理手段30によるローパスフィルタ処理を実施しない場合には、実際の車両1で発生するヨーレートよりも、位相の進んだ第1目標ヨーレートYhdlが得られる。そのため、例えば実舵角制御手段9のような、操舵系のアクチュエータを用いて車両1の挙動を制御する場合には、リードステアのような効果を得ることができる。
図5は、この発明の実施の形態3に係る車両挙動安定化装置を詳細に示すブロック図である。
図5において、車両挙動安定化装置は、切り替え平滑化手段31をさらに備えている。
切り替え平滑化手段31は、例えばローパスフィルタである。切り替え平滑化手段31は、目標ヨーレート選択手段26おいて、車両目標ヨーレートYobjが第1目標ヨーレートYhdlから第3目標ヨーレートYtgtに(第3目標ヨーレートYtgtから第1目標ヨーレートYhdlに)切り替わる際に、急峻な車両目標ヨーレートYobjの変化を平滑化する。
その他の構成および動作については、前述の実施の形態2と同様であり、その説明は省略する。
図6は、この発明の実施の形態4に係る車両挙動安定化装置を詳細に示すブロック図である。
図6において、目標ヨーレート演算手段20Bは、第1目標ヨーレート演算手段21と、第2目標ヨーレート演算手段22と、第1目標ヨーレートハイパスフィルタ処理手段32と、第2目標ヨーレートローパスフィルタ処理手段33と、第3目標ヨーレート演算手段34と、目標ヨーレート選択手段26とを含んでいる。
第3目標ヨーレート演算手段34は、第1目標ヨーレートハイパスフィルタ処理手段32を介した第1目標ヨーレートYhdlと、第2目標ヨーレートローパスフィルタ処理手段33を介した第2目標ヨーレートYGyとの加算値を、第3目標ヨーレートYtgtとして演算する。
ここで、式(5)を次式(7)に示すように変形することにより、目標ヨーレート演算手段20Bの構成を図6に示すように変更することができる。
すなわち、式(7)の(T2s/(T2s+1))の部分は、第1目標ヨーレートハイパスフィルタ処理手段32に相当する。また、式(7)の(1/(T2s+1))の部分は、第2目標ヨーレートローパスフィルタ処理手段33に相当する。
その他の構成および動作については、前述の実施の形態1と同様であり、その説明は省略する。
図7は、この発明の実施の形態5に係る車両挙動安定化装置を詳細に示すブロック図である。
図7において、目標ヨーレート演算手段20Cは、第1目標ヨーレートローパスフィルタ処理手段30をさらに含んでいる。
第1目標ヨーレートローパスフィルタ処理手段30は、前述の式(6)を用いて第1目標ヨーレートYhdlをローパスフィルタ処理する。
ここで、第1目標ヨーレートローパスフィルタ処理手段30は、式(1)を用いて第1目標ヨーレート演算手段21で演算された第1目標ヨーレートYhdlに、式(6)に示したローパスフィルタの伝達関数を乗算する。
その他の構成および動作については、前述の実施の形態4と同様であり、その説明は省略する。
図8は、この発明の実施の形態6に係る車両挙動安定化装置を詳細に示すブロック図である。
図8において、車両挙動安定化装置は、切り替え平滑化手段31をさらに備えている。
切り替え平滑化手段31は、例えばローパスフィルタである。切り替え平滑化手段31は、目標ヨーレート選択手段26おいて、車両目標ヨーレートYobjが第1目標ヨーレートYhdlから第3目標ヨーレートYtgtに(第3目標ヨーレートYtgtから第1目標ヨーレートYhdlに)切り替わる際に、急峻な車両目標ヨーレートYobjの変化を平滑化する。
その他の構成および動作については、前述の実施の形態2と同様であり、その説明は省略する。
この場合も、上記実施の形態1〜6と同様の効果を奏することができる。
Claims (6)
- 車両のステアリング機構におけるタイヤ切れ角を実舵角として検出する実舵角検出手段と、
前記車両の車速を検出する車速検出手段と、
前記車両の横方向への加速度である横方向加速度を検出する横方向加速度検出手段と、
前記実舵角、前記車速、および前記横方向加速度に基づいて、前記車両の車両目標ヨーレートを演算する目標ヨーレート演算手段と、
前記車両の実ヨーレートを検出する実ヨーレート検出手段と、
前記車両目標ヨーレートと前記実ヨーレートとが一致するように前記車両の挙動を制御する車両制御手段とを備え、
前記目標ヨーレート演算手段は、
前記実舵角および前記車速に基づいて、第1目標ヨーレートを演算する第1目標ヨーレート演算手段と、
前記横方向加速度および前記車速に基づいて、第2目標ヨーレートを演算する第2目標ヨーレート演算手段と、
前記第1目標ヨーレートと前記第2目標ヨーレートとの偏差を目標ヨーレート偏差として演算する目標ヨーレート偏差演算手段と、
前記目標ヨーレート偏差をローパスフィルタ処理するヨーレート偏差ローパスフィルタ処理手段と、
前記第1目標ヨーレートと前記ヨーレート偏差ローパスフィルタ処理手段を介した目標ヨーレート偏差との偏差を、第3目標ヨーレートとして演算する第3目標ヨーレート演算手段とを含み、
前記第1目標ヨーレートおよび前記第3目標ヨーレートに基づいて、前記車両目標ヨーレートを演算することを特徴とする車両挙動安定化装置。 - 車両のステアリング機構におけるタイヤ切れ角を実舵角として検出する実舵角検出手段と、
前記車両の車速を検出する車速検出手段と、
前記車両の横方向への加速度である横方向加速度を検出する横方向加速度検出手段と、
前記実舵角、前記車速、および前記横方向加速度に基づいて、前記車両の車両目標ヨーレートを演算する目標ヨーレート演算手段と、
前記車両の実ヨーレートを検出する実ヨーレート検出手段と、
前記車両目標ヨーレートと前記実ヨーレートとが一致するように前記車両の挙動を制御する車両制御手段とを備え、
前記目標ヨーレート演算手段は、
前記実舵角および前記車速に基づいて、第1目標ヨーレートを演算する第1目標ヨーレート演算手段と、
前記横方向加速度および前記車速に基づいて、第2目標ヨーレートを演算する第2目標ヨーレート演算手段と、
前記第1目標ヨーレートをハイパスフィルタ処理する第1目標ヨーレートハイパスフィルタ処理手段と、
前記第2目標ヨーレートをローパスフィルタ処理する第2目標ヨーレートローパスフィルタ処理手段と、
前記第1目標ヨーレートハイパスフィルタ処理手段を介した第1目標ヨーレートと前記第2目標ヨーレートローパスフィルタ処理手段を介した第2目標ヨーレートとの加算値を、第3目標ヨーレートとして演算する第3目標ヨーレート演算手段とを含み、
前記第1目標ヨーレートおよび前記第3目標ヨーレートに基づいて、前記車両目標ヨーレートを演算することを特徴とする車両挙動安定化装置。 - 前記目標ヨーレート演算手段は、前記第1目標ヨーレートおよび前記第3目標ヨーレートのうち、絶対値の小さい方を前記車両目標ヨーレートとして選択する目標ヨーレート選択手段をさらに含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両挙動安定化装置。
- 前記目標ヨーレート演算手段は、前記第1目標ヨーレートをローパスフィルタ処理する第1目標ヨーレートローパスフィルタ処理手段をさらに含み、
前記目標ヨーレート偏差演算手段または前記第1目標ヨーレートハイパスフィルタ処理手段は、前記第1目標ヨーレートローパスフィルタ処理手段を介した第1目標ヨーレートを用いることを特徴とする請求項1から請求項3までの何れか1項に記載の車両挙動安定化装置。 - 前記車両目標ヨーレートの変化を平滑化するための切り替え平滑化手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1から請求項4までの何れか1項に記載の車両挙動安定化装置。
- 前記車両制御手段は、前記車両の実舵角、制動力および駆動力の少なくとも一つを制御することを特徴とする請求項1から請求項5までの何れか1項に記載の車両挙動安定化装置。
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