JP5185792B2 - ヨーレート制御装置 - Google Patents
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Description
そして、ヨーレート制御装置は、ヨーレート偏差を吸収するように動作することから車両の挙動が不安定になり、運転者が違和感を覚えるという問題がある。
また、前記課題を解決するために本発明は、操向ハンドルの操舵角及び車速に応じて設定される規範ヨーレートとヨーレート検出手段が検出する実ヨーレートの偏差に応じた制御量で車両のヨーレート制御を行うヨーレート制御装置とする。そして、前記車両に備わるバンク角推定部が推定するバンク角度の大きさが所定値以上になったときには、前記ヨーレート制御を休止するとともに、前記ヨーレート制御の休止状態において、前記車両が非直進状態である場合には、前記ヨーレート制御の休止を維持し、前記車両が直進状態であり、かつ、前記バンク角推定部が推定するバンク角度の大きさが前記所定値以上である場合には、前記ヨーレート制御の休止を維持し、前記車両が直進状態であり、かつ、前記バンク角推定部が推定するバンク角度の大きさが前記所定値よりも小さくなった場合には、前記ヨーレート制御の休止を解除することを特徴とする。
また、本発明は、操舵角検出手段から入力される操舵角検出信号に基づいて前記操向ハンドルの前記操舵角を算出し、前記操舵角が所定操舵角以下のとき、前記車両が直進状態であると判定し、前記操舵角が前記所定操舵角よりも大きいとき、前記車両が非直進状態であると判定することを特徴とする。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、適宜図を参照して詳細に説明する。
図1は、ヨーレート制御装置を備える車両の一構成例を示す構成図である。
図1に示すように、参考形態に係る車両Vは、転舵輪である左右の前輪2L,2Rと左右の後輪1L,1Rとを備えており、車両Vが前輪駆動の場合、エンジンEの駆動力は、トランスミッション5及び駆動力配分装置3を介して駆動輪である左右の前輪2L,2Rに任意の比率で配分されて伝達される。
この構成によって車両Vは、駆動力配分装置3で左右の前輪2L,2Rに伝達される駆動力に差を持たせることでヨーモーメントを発生させることができ、ヨーレートを制御できる。
さらに、参考形態に係る車両Vには、車両Vがバンクカーブを走行していることを検出するバンク走行検出部10が備わる。バンク走行検出部10の詳細は後記する。
ヨーレートセンサSyは、車両Vに発生する実ヨーレートを検出してヨーレート信号YSをECU30に入力する。ECU30は、ヨーレート信号YSに基づいて、車両Vに発生しているヨーレート(実ヨーレート)を算出できる。
操舵角センサSsは、操向ハンドル6の操舵角を検出して、操舵角信号δSをECU30に入力する。ECU30は、操舵角信号δsに基づいて操向ハンドル6の操舵角を算出できる。
また、車輪速センサSwは、各車輪1L,1R,2L,2Rの回転速度を検出して、各車輪の車輪速信号ωSをECU30に入力する。ECU30は、車輪速信号ωSに基づいて各車輪1L,1R,2L,2Rの回転速度を算出し、さらに、各車輪1L,1R,2L,2Rの回転速度に基づいて車両Vの車速を算出できる。
規範ヨーレート演算部31、駆動力配分演算部32、及びバンク角補正部33は、例えばそれぞれが図示しないCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを備えるマイクロコンピュータおよび周辺回路などから構成され、それぞれがROMに格納されるプログラムを実行する構成とすればよい。
そして、駆動力配分演算部32には規範ヨーレート演算部31が接続され、駆動力配分演算部32とバンク角補正部33は乗算器34を介して接続するように構成される。
一方、実ヨーレートYawが規範ヨーレートYrefより小さい場合、すなわち車両Vにアンダーステアが発生している場合、駆動力配分演算部32は、エンジンEの駆動力の配分を、旋回内側で低くするとともに旋回外側で高くするように駆動力配分装置3を制御する駆動力配分制御量Imを算出する。
さらに、駆動力配分制御量Imの絶対値が大きいほど、左右の前輪2L,2Rに対するエンジンEの駆動力の配分の差が大きくなる特性とすればよい。
以下、特に記載のない限り、駆動力配分制御量Imの大小や、増大、低減は、駆動力配分制御量Imの絶対値の大小や、増大、低減を示すものとする。
また、駆動力配分制御量Imは請求項に記載の制御量に相当する。
そして、駆動力配分装置3は駆動力配分制御量Imに基づいて動作し、車両Vは、旋回内側、すなわちバンクの低い側の駆動力が高くなるとともに、旋回外側、すなわちバンクの高い側の駆動力が低くなる。その結果、車両Vを旋回外側に回転させるヨーモーメントが車両Vに発生し、車両Vはバンクを駆け上がるように挙動する。
バンク走行検出部10がバンク角度βを推定する方法は限定するものではないが、例えば、車両Vの車速、車両Vに発生する横G、及び車両Vの実ヨーレートからバンク角度βを推定する方法が知られている。
そのため、バンク走行検出部10には、車輪速センサSw、ヨーレートセンサSy、及び横加速度センサSgが接続され、それぞれ、車輪速信号ωS、ヨーレート信号YS、及び横加速度信号GSをバンク走行検出部10に入力するように構成される。
そして、推定したバンク角度βをECU30に入力する。
このようにバンク走行検出部10はバンク角度βを推定する機能を有することから、請求項に記載のバンク角推定部に相当する。
以下、バンク角度βの大小は、バンク角度βの絶対値の大小を示すものとする。
このようなバンク角補正ゲインBgを駆動力配分制御量Imに乗算することで、車両V(図1参照)がバンク角度βの大きいバンクカーブを走行するとき、ECU30は、駆動力配分演算部32が算出する駆動力配分制御量Imを低減することができる。すなわち、ヨーレート制御装置を構成するECU30、及び駆動力配分装置3の制御量を低減できる。
したがって、車両Vを旋回外側に回転させるヨーモーメントの発生を抑制でき、車両Vがバンクを駆け上がる挙動を抑制できる。
このことによって、バンクカーブを走行する車両Vの挙動が安定し、運転者の違和感を低減できる。
図2に示すように、参考形態におけるECU30は、バンク角補正部33を備え、バンク走行検出部10が推定するバンク角度βの大きさに対応して、駆動力配分制御量Imを低減する構成とした。
これに対し、図1に示す車両Vがバンクカーブを走行する場合は、ECU30がヨーレート制御を休止し、左右の前輪2L,2Rに、エンジンEの駆動力を均等に配分する構成としてもよい。
図3は実施形態に係るECUの機能ブロックの一構成例を示す図である。なお、図3に示すECU30aにおいて、図2に示すECU30と同じ構成要素には同じ符号を付し、説明は適宜省略する。
そして、出力判定部35は、バンク走行検出部10から入力されるバンク角度βに基づいてバンク角度βの絶対値を算出するとともに、バンク角度βの絶対値が所定値より小さいときは、駆動力配分演算部32が算出する駆動力配分制御量Imを駆動力配分装置3に入力するように出力制御スイッチ36を切り換え、バンク角度βの絶対値が所定値以上のときは、駆動力配分制御量Imとして「0」を駆動力配分装置3に入力するように出力制御スイッチ36を切り換えるように動作する。
このとき、ECU30aがヨーレート制御の休止を決定するバンク角度βの所定値は、車両Vに求められる運動性能等に基づいて、実験等で適宜設定すればよい。
したがって、実施形態に係るECU30aを備える車両V(図1参照)がバンクカーブを走行するとき、ECU30aは速やかにヨーレート制御を休止でき、運転者の違和感を速やかに低減できるという優れた効果を奏する。
なお、図4に示す手順は、車両Vがバンクカーブを走行し、ECU30aがヨーレート制御を休止しているときに、例えば所定の間隔でECU30aの出力判定部35が実行する構成とすればよい。
そして、このときの所定の間隔は、車両Vに要求される運動性能等に基づいて適宜設定すればよい。
このため、図3に示すように、出力判定部35には操舵角センサSsが接続され、操舵角信号δSが入力される構成が好適である。
なお、出力判定部35がヨーレート制御の休止の解除を判定するバンク角度βの所定値βLIMは、車両Vに求められる運動性能等に基づいて、実験等で適宜設定すればよい。
次に、参考形態の変形例について説明する。
参考形態では、図1に示すECU30と駆動力配分装置3をヨーレート制御装置としたが、ヨーレート制御装置はこれに限定されるものではない。
図5に示すように、変形例1に係る車両Vaには、ECU30(図1参照)の代わりにECU30’が備わり、さらに、制動力配分装置4と制動力配分装置4を制御する制動力配分制御装置(以下、VSAECU)40が備わる。
そして車両Vaは、制動力配分装置4で、左車輪2L(前輪)及び1L(後輪)が発生する制動力と、右車輪2R(前輪)及び1R(後輪)が発生する制動力に差を持たせて車両Vにヨーモーメントを発生させ、車両Vaのヨーレートを制御することができる。
そして、変形例1に係る車両Vaにおいては、駆動力配分装置3、ECU30’、制動力配分装置4、及びVSAECU40を含んでヨーレート制御装置を構成する。
制動力配分装置4は、VSAECU40から入力されるブレーキ制御量Bmに基づいて、各車輪1L,1R,2L,2Rのブレーキ油圧系に供給するブレーキ油圧の比率を設定し、設定した比率に基づいて、各車輪1L,1R,2L,2Rのブレーキ油圧系にブレーキ油圧を供給することで、任意の制動力を各車輪1L,1R,2L,2Rに発生することができる。
この構成によって、バンクカーブを走行する車両Vaを旋回外側へ回転させるヨーモーメントの発生を抑制でき、車両Vaがバンクを駆け上がる挙動を抑制できる。
制動力配分演算部41には、ヨーレートセンサSy、及び車輪速センサSwが接続され、それぞれ、ヨーレート信号YS、車輪速信号ωSを制動力配分演算部41に入力する。
このとき、制動力配分演算部41は、規範ヨーレートYrefと実ヨーレートYawの偏差(ヨーレート偏差)、バンク角度β、車両Va(図5参照)の車速、及び左右の前輪2L,2R(図5参照)への駆動力の配分に対応して、ブレーキ制御量Bmを算出する構成が好適である。
この構成によって、制動力配分装置4は、ヨーレート偏差、バンク角度β、車両Vaの車速、及び左右の前輪2L,2Rへの駆動力の配分に対応した好適な制動力を、旋回内側の車輪に発生させることができる。
そして、ヨーレート偏差、バンク角度β、車速、及びECU30’から入力される駆動力配分制御量Imに対応したブレーキ制御量Bmを算出し、制動力配分装置4に入力する。
VSAECU40の制動力配分演算部41は、ヨーレート偏差、バンク角度β、車速、及び駆動力配分制御量Imに基づいてマップデータを参照することで、ヨーレート偏差、バンク角度β、車速、及び駆動力配分制御量Imに対応したブレーキ制御量Bmを算出できる。
そして、制動力配分演算部41は、車両Vaが低い側を旋回内側と判定する構成にできる。
この場合、ブレーキ制御量Bmの固定値は、実験等で予め設定しておけばよい。
図7は、変形例2に係る車両の一構成を示す図である。なお、図7に示す車両Vbにおいて、図5に示す車両Vaと同じ構成要素については同じ符号を付し、説明は適宜省略する。
図7に示すように、変形例2に係る車両Vbには、図5に示す制動力配分装置4とVSAECU40の代わりに、左右の後輪1L,1Rのトー角(リアトー角)を独立に設定可能なリアトー角制御装置20(20L,20R)と、リアトー角制御装置20を制御するリアトーECU21が備わる。
なお、後輪1L,1Rのトー角を任意に設定するリアトー角制御装置20の技術は公知であり、その詳細な説明は省略する。
リアトー角演算部22には、ヨーレートセンサSy、及び車輪速センサSwが接続され、それぞれ、ヨーレート信号YS、車輪速信号ωSをリアトー角演算部22に入力する。
この構成によって、リアトー角演算部22は、ヨーレート偏差、バンク角度β、車両Vbの車速、及び左右の前輪2L,2Rへの駆動力の配分に対応した好適なヨーモーメントを車両Vbに発生させることができる。
そして、ヨーレート偏差、バンク角度β、車速、及びECU30’から入力される駆動力配分制御量Imに対応したリアトー角制御量RTmを算出し、リアトー角制御装置20に入力する。
具体的に、ヨーレート偏差、バンク角度β、車速、及び駆動力配分制御量Imに対応したリアトー角制御量RTmを実験等で設定してマップデータを作成し、図示しない記憶部に記憶しておけばよい。
リアトーECU21のリアトー角演算部22は、ヨーレート偏差、バンク角度β、車速、及び駆動力配分制御量Imに基づいてマップデータを参照することで、ヨーレート偏差、バンク角度β、車速、及び駆動力配分制御量Imに対応したリアトー角制御量RTmを算出できる。
なお、このようなリアトー角制御量RTmの固定値は、実験等で予め設定しておけばよい。
また、前記した参考形態、実施形態、変形例1、及び変形例2を適宜組み合わせた構成のヨーレート制御装置であっても同様の効果を得ることができる。
さらに、前輪駆動に限らず、後輪駆動の車両をベースにして構成したヨーレート制御装置であっても同様の効果を得ることができる。
さらに、電動パワーステアリング装置の代わりに、例えば油圧を用いたパワーステアリング装置を有する車両をベースにして構成したヨーレート制御装置であっても同様の効果を得ることができる。
2L,2R 前輪
3 駆動力配分装置(ヨーレート制御装置)
4 制動力配分装置(ヨーレート制御装置)
6 操向ハンドル
10 バンク走行検出部(バンク角推定部)
20(20L,20R) リアトー角制御装置(ヨーレート制御装置)
21 リアトーECU(ヨーレート制御装置)
30,30’,30a ECU(ヨーレート制御装置)
40 VSAECU(ヨーレート制御装置)
V,Va,Vb 車両
Sy ヨーレートセンサ(ヨーレート検出手段)
Claims (3)
- 操向ハンドルの操舵角及び車速に応じて設定される規範ヨーレートとヨーレート検出手段が検出する実ヨーレートの偏差に応じた制御量で車両のヨーレート制御を行うヨーレート制御装置であって、
前記車両に備わるバンク角推定部が推定するバンク角度の大きさが所定値以上になったときには、前記ヨーレート制御を休止するとともに、
前記ヨーレート制御の休止状態において、前記バンク角推定部が推定するバンク角度の大きさが前記所定値よりも小さくなった場合には、前記車両が直進状態になったときに前記ヨーレート制御の休止を解除する
ことを特徴とするヨーレート制御装置。 - 操向ハンドルの操舵角及び車速に応じて設定される規範ヨーレートとヨーレート検出手段が検出する実ヨーレートの偏差に応じた制御量で車両のヨーレート制御を行うヨーレート制御装置であって、
前記車両に備わるバンク角推定部が推定するバンク角度の大きさが所定値以上になったときには、前記ヨーレート制御を休止するとともに、
前記ヨーレート制御の休止状態において、
前記車両が非直進状態である場合には、前記ヨーレート制御の休止を維持し、
前記車両が直進状態であり、かつ、前記バンク角推定部が推定するバンク角度の大きさが前記所定値以上である場合には、前記ヨーレート制御の休止を維持し、
前記車両が直進状態であり、かつ、前記バンク角推定部が推定するバンク角度の大きさが前記所定値よりも小さくなった場合には、前記ヨーレート制御の休止を解除する
ことを特徴とするヨーレート制御装置。 - 操舵角検出手段から入力される操舵角検出信号に基づいて前記操向ハンドルの前記操舵角を算出し、
前記操舵角が所定操舵角以下のとき、前記車両が直進状態であると判定し、
前記操舵角が前記所定操舵角よりも大きいとき、前記車両が非直進状態であると判定する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のヨーレート制御装置。
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