JP4346702B2 - 燃料電池システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池に関し、特に、燃料電池の電界質膜に対して適正かつ効率的な水分供給制御に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池特に、常温に近い温度での運転が可能であり、高いエネルギー変換効率及び高い出力効率を達成することができる。このため燃料電池は、移動用電源あるいは電気自動車の動力源として注目されている。
燃料電池は、水素イオン伝導性の電解質膜を白金触媒を担持したカーボン電極で挟み込んで構成される発電素子、すなわち電解質膜−電極接合体及び各電極面にそれぞれの反応ガスを供給するためのガス通路を画成するとともに、発電素子を両側から支持するガス分離部材とを積層した構造を有する。そして、一方の電極に水素ガスすなわち燃料ガスを供給し、他方の電極に酸素あるいは空気すなわち酸化ガスを供給して、反応ガスの酸化還元反応にかかる化学エネルギーを直接電気エネルギーとして抽出するようになっている。すなわち、アノード側では水素ガスがイオン化して電解質中を移動し、電子は、外部負荷を通ってカソード側に移動し、酸素と反応して水を生成する一連の電気化学反応による電気エネルギーを取り出すことができる。電解質膜中を水素イオンは水分子を伴い移動するため電解質膜が乾燥してしまうと、イオン伝導率が低下し、エネルギー変換効率が低下してしまう。このため、良好なイオン伝導を保つために電解質膜に水分を供給する必要がある。電解質膜への水分の供給のために、従来の構造では、燃料ガス及び酸化ガスを加湿するための加湿装置が設けられていた。
【0003】
そして、酸化剤ガスとして空気を使用する場合には、空気を所定の供給圧力まで加圧するためにエアーコンプレッサーが必要となる。
特開平9−63620号公報には、空気のCOを低減した後エアーコンプレッサーによりこれを加圧して空気極に導入するようにした燃料電池が開示されている。
しかし、このように、酸化ガスおよび燃料ガスの加湿装置を設けるとともに、空気圧縮のためのエアーコンプレッサーを備えた燃料電池システムは、極めて大型となり、移動型の電源装置としては不利となる。
自動車のような移動体の動力源として燃料電池を適用する場合には、スペース上の制約のためにコンパクト化する必要があるだけでなく、エアーコンプレッサー、加湿装置等の周辺機器を含む全体の燃料電池システムについてコンパクト化を図ることが望ましい。
【0004】
【本発明が解決しようとする課題】
このような観点から、本件出願人は、特願平9−121982号において、空気用加湿器を不要化することによって、システムのコンパクト化を達成した燃料電池システムを提案している。
このような空気用加湿器を不要化した燃料電池システムにおいては、所望の電解質膜の水分量は、水素ガスへの水分供給により行われることとなる。
この場合、冷間時等の運転初期においては、燃料電池システムの温度は全体として低くなっている。電解質膜に供給される燃料ガスである水素ガスは周囲温度により低温状態で供給されるが、酸化ガスとしての空気は、エアーコンプレッサーにより断熱圧縮された状態で供給されるので温度が上昇する。この結果、冷間運転初期においては、温度の低いスタックの電解質膜に対して温度の高い空気供給と温度の低い水素ガス供給の状態が生じることとなる。
【0005】
すなわち、空気は加湿されることなく高温で電解質膜に対して供給され、水素ガスは比較的飽和水蒸気量の少ない低温状態で電解質膜に対して供給されることになる。このため、電解質膜への水素ガスによる水分供給量は少なくなる一方において電解質膜からの空気側への水分の蒸発量は増大するため、電解質膜の水分量は所望の量よりも少なくなる傾向となり、電解質膜を介しての電解反応効率が低下することとなる。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような事情に鑑みて構成されたもので、燃料電池システムの電解質膜の水分量を常に適正状態に制御できるようにして、冷間運転時であっても電解質膜での電解反応を効率的に行わせることができ、したがって、運転状態にかかわらず高い出力性能を維持することができる燃料電池システムを提供することを目的とする。
本発明の燃料電池システムは、電解質膜の一方の側に配置され燃料ガスが供給されるアノード触媒電極と、
電解質膜の他方の側に配置され、酸化ガスが供給されるカソード触媒電極と、
前記アノード触媒電極に供給される燃料ガスを加湿する燃料ガス加湿手段と、
該加湿された燃料ガスを前記アノード触媒電極に供給する燃料ガス供給手段と、
前記カソード触媒電極に酸化ガスを供給する酸化ガス供給手段と、
を備えた燃料電池において、
前記酸化ガスの供給温度が燃料ガスの供給温度よりほぼ10度以上高温であるとき燃料ガスから電解質膜への水分供給量が増大するように前記燃料ガス供給手段を調整する調整手段とを備えたことを特徴とする。
【0007】
好ましくは、調整手段は、燃料ガスの温度を上昇させることによって電解質膜への水分供給量を増大させるようになっている。
また、別の態様では、前記燃料ガスの供給量を増大させることによって電解質膜への水分量の供給量を増大させるようになっている。
前記酸化ガス供給手段は、酸化ガスを断熱圧縮する圧縮手段を備えている。
たとえば、酸化ガス、典型的には、空気は、コンプレッサーによって断熱圧縮されて温度が上昇する。
【0008】
【発明の実施の形態】
上記したように電解質膜は、含水状態でプロトンすなわち水素イオンの移動を可能とすることによって、電流回路を外部に形成することができ、これによって外部仕事を行う燃料電池が形成される。すなわち、燃料電池を構成するためには、電解質膜が水分を保有していることが必要である。この場合電解質膜のカソード触媒電極側では酸化反応によって水が生成するが、この生成水がカソード触媒電極側で過剰になると、燃料電池の出力性能は低下する。
したがって、出力性能を維持するためには燃料電池反応による生成水が過剰となる場合には、燃料電池から排出することも必要である。つまり膜中水分が不足してもカソード触媒電極の水分の留保が過剰となっても燃料電池の性能劣化を招くことになる。このように電解質膜の含水量は、燃料電池の性能に対して大きく影響するものであり、極めて重要である。
【0009】
したがって、酸化ガスによって供給あるいは除去されて変動する電解質膜の含水量を燃料電池の運転を通じて適正範囲内に維持するための制御が必要となる。
電解質膜中の水分移動は、電気浸透流といわれるプロトン移動にともなうアノード側からカソード側への移動と、反応生成水の逆拡散流といわれるカソード側からアノード側への水分移動がある。
したがって、電解質膜のアノード側またはカソード側の水分の収支は電気浸透流と逆拡散流の量によって決まる。
一般に、電気浸透流が逆拡散流を上回るためにアノード側は水素ガスの加湿により水分を供給する必要がある。一方、カソード側においては、酸化ガスとして空気を使用する場合には、化学量論流量比でアノード側の水素流量の約2.5倍が流通することとなる。このため、同じ反応ガス利用率で運転すると、空気を加湿しない場合には、アノード側の2.5倍の水分量がカソード側から空気に同伴して持ち去られることとなる。
【0010】
カソード側では、生成水が発生し、逆拡散流を上回る電気浸透流が流入することによってアノード側に比較すると水分量は多くなるが上記のようにガスの流通量がアノード側よりも多くなることによって、水分の不足状態が生じることとなる。従来では、空気の加湿装置を設置することによって、カソード側の水分不足の問題に対応していた。
しかし、本発明者らは上記したように空気の加湿装置を省略した燃料電池を提案している。所望の出力性能を維持することができる燃料電池を提供することができたものである。
【0011】
図1には、本発明を適用することができる燃料電池の水分移動モデルが示されている。
固体高分子電解質膜の水分移動は上記から明らかのように電気浸透流と逆拡散流との差が固体高分子電解質膜における見かけの水和量を用いて以下の式で表される。
M =Si/F (1)
ここで、JM :固体高分子電解質膜中の水分移動量
S :見かけの水和量
i :電流密度(A/cm2)
またカソード側で反応により生成する水分量JW は、
W =i/2F (2)
であらわされる。
【0012】
アノード側の加湿による水分供給量(JA )の最大値JA(MAX)は、以下のように表される。
A(MAX)=(PW(T)/(PA −PW(T)))i/2aF (3)
ここで、a:水素ガスの利用率
A :水素の供給圧
W(T):温度T(℃)における飽和水蒸気分圧
カソード側において空気に同伴して排出される水分量(JC )の最大値JC(MAX)は、
C(MAX)=(PW(T)/(PC −PW(T)))5i/4cF (4)
ここで、c:空気の利用率
C :空気の供給圧
で表される。
【0013】
燃料電池における酸化還元反応の反応中において、上記から固体高分子電解質膜をアノード側からカソード側に移動する水分移動量JM と酸化反応によって生成する水分量JW との合計量と、カソード側から空気と同伴して系外に持ち出される水分量JC とが釣り合うこと、及び電解質膜中を移動する水分量JM とアノード側に供給される水分量JA とが釣り合うことが重要である。
もし、カソード側から空気と同伴して系外に持ち出される水分量JC が、電解質膜をアノード側からカソード側に移動する水分移動量JM と酸化反応によって生成する水分量JW との合計量よりも多いと、カソード側において所望の水分量が確保出来なくなる。すなわち、カソード側でドライアウト現象が生じることとなる。
【0014】
また、アノード側に供給される水分量JA が電解質膜中を移動する水分量JM よりも少ない場合には、アノード側がドライアウトを生じることとなる。
いずれの場合にも、全体として燃料電池の出力性能を低下させることとなる。
カソード側において空気の同伴して排出される水分量(JC )の最大値JC(MAX)及びアノード側の加湿による水分供給量(JA )の最大値JA(MAX)は、それぞれ当該温度における飽和水蒸気量である。
したがって、この最大値JC(MAX)及びJA(MAX)は、温度に依存し、温度が上昇すると急激に増大する。したがって、アノード側の水分供給量JA 及びカソード側の水分同伴量JC も同様に温度が上昇すると増大する。この結果、カソード側では供給する空気の温度が高い場合には、ドライアウトが生じ易くなるので、供給する空気への加湿量を低減させるためには運転温度は低い方が望ましい。
【0015】
一方、アノード側では供給ガスの温度が低い場合には、水分供給量JA と膜中の水分移動量JM とが拮抗する。そして、温度がある程度以上低くなった場合には、水分供給量JA が水分移動量JM より低くなってやはりドライアウトの問題が生じる。
ところで、電解質膜の膜厚を薄くすることによって逆拡散流が増大するため全体として電解質膜中の水分移動量JM が減少することが分かっている。この理由は、電解質膜中の水分の濃度勾配がアノード側とカソード側との間で急激になるためであると考えられている。
したがって、低い温度で運転することによってアノード側において水分供給量JA が減少することによって、アノード側でドライアウトの問題が生じるのを防止するためには、電解質膜の厚さを薄くするのが望ましい。
【0016】
【実施例】
図2を参照すると、本発明の1実施例に従う燃料電池システム1の概略図が示されている。
このシステム1では、上記の固体高分子燃料電池を積層した燃料電池スタック2が設けられ、該燃料電池スタック2には、燃料ガスとしての水素が供給管3を介して供給される。水素ガスの供給系は、水素ガス発生源としてのMH水素吸蔵合金4を備えており、本例の水素吸蔵合金4は、加圧によって水素ガスを発生する。発生した高圧(5気圧程度の)水素ガスは供給管3の配管上に設けられた水素ガス調整弁5により供給圧力が調整されるようになっている(約1.5〜3.0気圧程度)。そして、所定量に調整された水素ガスは燃料スタック2に隣接して設置された水素ガス加湿器6に導かれる。燃料電池スタック2からの水素ガスは、水素ガス排出管7を介して燃料電池スタック2から排出され、水分凝縮器8を経て水素ガス戻り管9に導入され、水素循環ポンプ10に導入される。水素ガス戻り管11は、上記の水素ガス圧力調整弁5の下流側で水素ガス供給管3合流して循環経路を構成する。
【0017】
また、酸化剤ガスとしての空気が供給管12を介して該燃料電池スタック2のそれぞれのカソード側に供給される。空気の供給系は、加圧するためのエアーコンプレッサー13を備えており、これによって1.5ないし3.0気圧に昇圧されて、燃料電池スタック2に導入される。燃料電池からの余剰の空気は、空気排出管から水分凝縮器14を経由して大気に開放される。本例の燃料電池システム1は、水素ガスが電解質に持ち込む水分量を調節するためおよび、水素ガスおよび空気が電解質膜から同伴する水分を処理するための水分循環系を備えている。この水分循環系は水の循環エネルギーを与えるための循環水ポンプ15を備えている循環水ポンプ15から吐出された水は配管16aを介してて水素加湿器6内に導入されて水素ガスと半透膜を介して接触して水素ガスを加湿する。そして、本例の水循環系では加湿器6からの配管16bは、酸化ガスの水分凝縮器14に接続されており、ここを介して循環水ポンプ15の吸入側に戻されるようになっている。また、循環水ポンプ15の吸入側の配管16cには、水素ガス用水分凝縮器8からの配管も接続されており、両方の水分凝縮器8、14からの水が加湿器用循環水系に組み込まれるようになっている。
【0018】
また、本例の燃料電池システム1は、冷却水循環配管の経路に一部に組み込まれており、これによって冷却水による所定の冷却効果を得るようになっている。本例の冷却水循環系は、冷却水ポンプ17を備えており、冷却水ポンプ17からの吐出側配管18には、ラジエータ19が配置されており、冷却水はラジエータ19に冷却された後、エアーコンプレッサー13の吐出側の熱交換器20に通され、エアーコンプレッサー13によって断熱圧縮されて温度上昇した圧縮空気を冷却する。そして、熱交換器20を経た冷却水は、水素ガス用加湿器を通って燃料電池スタック2に通され燃料電池スタック2を所定の温度範囲内に調整されるようになっている。
なお、エアーコンプレッサー13の吐出側の配管は、熱交換器20を経由する配管12aと、経由しない配管12bとに分岐しており、これらの熱交換器20を通過する空気量を調整することにより、燃料電池スタック2に導入される空気の温度を制御することができるようになっている。
【0019】
なおこの目的のために燃料スタック2に導入される空気の配管には空気温度をはかる温度センサ21が設けられている。
また、水素ガスの温度を図る温度センサ22も水素ガス循環系に設けられる。
なおこれらの水素及び空気の圧力を計測するために圧力計23、24がそれぞれ設けられる。なお、本例の燃料電池システム1は、空気側の加湿装置は備えていない。
さらに、本例の燃料電池システム1は、水素ガスを所定の運転状態において加熱するためのヒータ25を備えるとともに、このヒータ25および水素ガスコンプレッサ10の電力量を制御するために好ましくは、マイクロコンピュータを含んで構成される電子制御装置(ECU)26を備えている。
【0020】
さらにエアーコンプレッサー13の吐出側において、熱交換器20をバイパスするバイパス通路12bには、流量を調整する流量調整弁27が設けられ、熱交換器20への圧縮空気量を調整できるようになっている。これによって、必要に応じて燃料電池スタック2に供給される空気温度を冷却制御することができる。この目的のためにECU26は、流量調整弁の開度調整を行う制御信号を出力する。
燃料電池の運転温度において、約50℃を下回るとアノード側の水分供給量(最大値)JA(MAX)が上記水分移動量JM に及ばなくなり、アノード側のドライアウトの問題が生じる。このようなドライアウトを防止し、高効率で電解反応を生じさせるためには、約50℃から70℃の範囲で運転するのが望ましい。
【0021】
しかし、実際の運転においては、酸化ガスおよび燃料ガスの温度は外気温等の環境条件に影響され、上記スタックの適正温度を与えるように供給されるとは限らない。
特に、始動時等の非定常状態では、酸化ガスと燃料ガスとの温度差が拡大し、良好な電解反応条件を損なう恐れがある。上記したように電解質膜の湿潤状態は電解反応に重要な影響を及ぼす。酸化ガスである空気は、エアーコンプレッサーによって圧縮されて燃料電池スタックに供給されるのが普通であるが、エアーコンプレッサーによって断熱圧縮されるため、空気温度は吐出側で上昇する。
これに対して燃料ガスである水素ガスが常温で燃料電池スタックに供給される場合には、両者の温度差はスタック内で顕著となる。
【0022】
空気の温度が水素ガスに比して高い場合には、カソード側での水分量が不足がちとなり、適正反応条件を損なう恐れがある。
図3を参照すると、本例の燃料電池システムの運転開始後の燃料電池スタック、空気、水素ガスの温度変化状況が概略的に示されている。上記のように運転開始直後は、燃料電池システムは外気温とほぼ同じ温度になっている。運転開始後、空気は、エアーコンプレッサーによって断熱圧縮されるので、図3の特性線Aで示すように、スタック温度(特性線S)および水素ガス温度(特性線H)よりも温度上昇が顕著である。スタックおよび水素ガスはほぼ同じ傾向で温度上昇する。運転開始後、一定時間経過すると空気、スタック、水素ガスの温度上昇はなくなり温度は定常となる。
【0023】
燃料電池システムの温度状態が定常状態になった後においては、電解質膜の含水量の制御は、比較的容易であり電解反応の効率の良好に維持することができるが、定常状態となるまでの間は、空気の温度が急激に上昇するのに対して、スタックおよび水素ガスの温度上昇はヒータによって温められたとしても比較的緩慢である。このため、空気温度と水素ガスとの温度差が極めて大きくなり、加湿器を備えていない空気側の乾燥状態が、水素ガスによって供給される水分供給量を上回る傾向が強まる。この結果、電解質の最適な水分量を確保することができず特にカソード側で空気に同伴する水分量が増加してドライアウトの傾向となり、良好の電解反応効率を得ることができなくなる。
本発明では、このような事態を解消するため電解質膜に対して空気と水素ガスとの温度差が顕著となり、適正な電解反応条件を損なう恐れがある場合には、燃料電池スタックに供給される空気を冷却制御するようにして、上記電解質膜の湿潤状態を適正に維持するようにしている。
【0024】
本例の燃料電池システムはこの目的のために、上記したように空気供給ライン12に熱交換器20を備えており、水素ガスとの温度差が不当に大きくならないような状態に冷却制御した上で燃料電池スタック2内に導入するようになっている。冷却温度を制御するために、上記したように熱交換器20のバイパス通路12bには、流量調整弁27が設けられており、ECUは、この流量調整弁27の流量を調整することによって、熱交換器20を通過する空気量を制御するようになっており、これによってスタック2への供給空気の温度が適正に制御されるようになっている。ECU26には、水素ガス温度、空気温度、スタック温度、水素ガス供給量、空気供給量、水素ガス供給圧力、空気供給圧力等のシステム運転条件を決定する物理量を表す信号が入力される。そして、ECUは、これらの入力信号に基づいてスタックに導入される空気温度がスタック温度と実質的に同じになるようにバイパス通路12bの空気量をフィードバック制御するようにしている。
【0025】
また、ECU26は、ヒータ25および水素ガス循環ポンプすなわちコンプレッサ10への電力量を制御するようになっている。
図4を参照して、本発明にしたがう燃料電池の運転例について説明する。
ECU26は、まず、空気温度センサの値である現在の空気温TOおよび水素ガス温TH、スタック温度SOを入力する(ステップS1、S2およびS3)。そして空気温TOが第1の所定温度TO0 より高くなっているかどうかを検出する(ステップS4)。つぎに、ECU26は、空気の温度TOが第2の所定温度TO1 より低いかどうかを検出する(ステップS5)。この場合所定酸化ガス温度TO0 =TH+αk(α:定数、k:外気温が高くなるのに応じて増大する係数)として水素ガス温との関係で設定することもできる。
【0026】
また、水素ガスの所定温度TH0 をTH0 =TO−β(β:定数)として空気温度に基づいて設定することもできる。
そして、空気温度が第1の所定温度TO0 より高い場合には、空気温度と水素ガス温度との温度差は大きいと判断する。
そして、この場合には、空気によるカソード側からの水分同伴量を減少させるべく、空気吐出側の流量調整弁27を制御して、スタック供給空気温度がスタック温度に収束するようにバイパス通路12aの空気量を制御する(ステップS6)。
好ましい実施例では、水素ガス温度と空気温度との差がほぼ10℃以上の場合には、ECU26は空気温度が高いと判断して上記空気温度フィードバック制御を実行する。
【0027】
なお、冷間始動時などにおいては、空気、スタック、水素ガスの温度特性は、図3の破線A1、S1、H1で示すように全体に温度が低い状態になっていることがある。このように場合には、燃料電池システムの運転条件は、上記適正な温度範囲になっておらず、反応効率が低くしたがって、出力性能も良好とはいえない状況になっている。このような場合に、上記のような空気の冷却制御を行うと燃料電池システム全体の温度上昇がさらに緩慢となり、最適温度範囲に到達する時間が長くなり、その分、効率の悪い状態での運転が長くなることとなり出力性能上好ましくない。
したがって、このように燃料電池システムの全体の温度が著しく低いと考えられる場合には、電解膜の水分バランスの制御を行うことよりも迅速にスタック温度を適正温度範囲に上昇させることが先決である。
【0028】
このような観点からスタックに供給される水素ガスと空気との温度差が10度以上あっても、空気温度が前記第2の所定温度TO1 に到達していない場合には、上記の空気の冷却制御を行わず、熱交換器20を経由せずに、すべて断熱圧縮されて温度上昇した空気をそのままスタック2に導くようになっている。
これによって、燃料電池システムの温度上昇を促進することができ早急に高い効率の運転条件を達成することができる。
なお、このような場合には、さらにヒータ25を稼働させて、水素ガスを加熱するようにしてもよい。
ヒータ25の作動によって水素ガスが上昇することによって燃料電池システムの温度上昇を促進することができるとともに、水素ガスの飽和水蒸気量は、増大し、これによって、水素ガスを介して燃料電池システム1内に十分な水分量を確保することができる。
【0029】
なお、上記の実施例では、水素ガス発生源として水素吸蔵合金を使用しているが、必ずしもこれに限られるものではなく、水素ボンベ等から直接水素ガスを供給するようにしてもよい。
【0030】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、燃料電池システムの温度が、所望の定常の運転温度状態に達成するまでの過渡的な状況においても、水素ガスによる電解質膜への水分供給を極力最適状態で行うことができる。したがって、環境条件の変化にかかわらず燃料電池システムの全運転状態において高い電解反応効率を維持しつつ燃料電池システムの運転を行うことができる。すなわち、運転条件にかかわらず燃料電池システムの出力性能を良好に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】燃料電池における水分移動モデルを示す説明図、
【図2】本発明の1実施例にしたがう燃料電池システムの全体概略構成図、
【図3】燃料電池システムの運転の1例を示すフローチャート、
【図4】空気、燃料電池スタック、水素ガスの運転始動後の温度変化傾向を示すグラフである。
【符号の説明】
1 燃料電池システム
2 燃料電池スタック
3 供給管
4 水素吸蔵合金
5 水素ガス量調整弁
6 水素加湿器
20 熱交換器
17 循環ポンプ
18 循環水配管。

Claims (5)

  1. 電解質膜の一方の側に配置され燃料ガスが供給されるアノード触媒電極と、
    電解質膜の他方の側に配置され、酸化ガスが供給されるカソード触媒電極と、
    前記アノード触媒電極に供給される燃料ガスを加湿する燃料ガス加湿手段と、
    該加湿された燃料ガスを前記アノード触媒電極に供給する燃料ガス供給手段と、
    前記カソード触媒電極に酸化ガスを供給する酸化ガス供給手段と、
    を備えた燃料電池システムにおいて、
    前記酸化ガスの供給温度が燃料ガスの供給温度より所定温度以上高温であるとき酸化ガスの供給温度燃料ガスの供給温度より前記所定温度上高温とならないように酸化ガスの温度を制御する制御手段を備えたことを特徴とする燃料電池システム。
  2. 請求項1において、前記制御手段は、酸化ガスの温度が前記電解質膜の温度と同じになるように制御することを特徴とする燃料電池システム。
  3. 請求項1において、前記制御手段は、酸化ガスを冷却する冷却手段と、この冷却手段をバイパスするバイパス経路とを有し、バイパス経路内に設けられた流量調整弁を制御することによって酸化ガスの温度を制御するようになっていることを特徴とする燃料電池システム。
  4. 請求項1において、前記酸化ガスの温度が酸化ガスの冷却制御を行うための所定の温度を超えるまでは上記制御手段は、酸化ガスを冷却する制御を行わないことを特徴とする燃料電池システム。
  5. 請求項4において、酸化ガスの温度制御を行わない場合には燃料ガスの温度を上昇させる制御を行うことを特徴とする燃料電池システム。
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