図1を参照して、この発明の一実施例である監視カメラシステム10は、n台のカメラC1〜Cn(ただしnは2以上の任意の整数)と、サーバ12と、複数の端末14,14,…とで構成されている。カメラC1〜Cnの各々は、インターネット16を介してサーバ12と接続され、サーバ12は、イントラネット18を介して端末14,14,…と接続される。
カメラC1〜Cnは、被写体を撮影し、得られた画像信号を圧縮して出力する。カメラC1〜Cnの各々から出力された画像信号は、インターネット16を通じてサーバ12へと伝送され、サーバ12によって記録される。こうして記録・蓄積された画像は、端末14,14,…からの要求に応じてサーバ12から読み出され、イントラネット18を通じて端末14,14,…へと送られる。
カメラC1〜Cnの構成例が図2に示されている。図2を参照して、カメラC1〜Cnの各々は、撮像素子101と、CPU102と、センサ103と、内部メモリ104と、ネットワーク・インターフェース・カード(以下、NIC)105と、ROM106とを備えている。サーバの構成例が図3に示されている。図3を参照して、サーバは、2つのNIC121および126と、ハードディスク(以下、HD)122と、RAM123と、ROM124と、CPU125とを備えている。端末14の構成例が図4に示されている。図4を参照して、端末14は、NIC141と、CPU142と、RAM143と、ROM144と、表示インターフェース(以下、I/F)145と、ディスプレイ146と、入力I/F147と、キーボード148と、マウス149とを備えている。図2〜図4を参照して、カメラC1〜Cn各々のNIC105がインターネット16を介してサーバ12の一方のNIC121と接続され、サーバ12の他方のNIC126はイントラネット18を介して端末14,14,…各々のNIC141と接続される。
カメラの内部メモリ104の内容が図5に示されている。図5を参照して、内部メモリ104内には画像記憶領域104aが設けられており、撮像素子101を通して撮影された画像がこの画像記憶領域104aに一時記憶される。画像記憶領域104aは、領域番号“N”を付された終端領域が領域番号“1”を付された先頭領域と連結されたリングバッファの態様を持つ。また、内部メモリ104には、撮影条件テーブル104bが格納されている。
撮影条件テーブル104bの一例が図6に示されている。図6を参照して、撮影条件テーブル104bには、撮影条件が記述される。撮影条件には、解像度1041,圧縮率1042および送信レート1043が含まれる。
カメラC1〜Cnからサーバ12へ送信される画像信号のフォーマットが図7に示されている。図7を参照して、画像信号20は、画像データ201と、カメラ識別子202と、撮影時刻203と、画像サイズ204と、圧縮率205と、先頭イベントフラグ206と、最終イベントフラグ207とを含む。
カメラC1〜Cnからサーバ12へ送信されるアラーム発生通知信号のフォーマットが図8に示されている。図8を参照して、アラーム発生通知信号26は、カメラ識別子261と、アラーム発生時刻262とを含む。
サーバ12のHD122の内容が図9に示されている。図9を参照して、HD122内には、画像記録領域122aが設けられる。画像記録領域122aの内容が図10に示されている。図10を参照して、通常記録領域122aは、それぞれがカメラC1〜Cnと対応するn個の領域に区分される。
再び図9を参照して、HD122内にはまた、時間軸描画用データ122bが格納されている。HD122内にはさらに、イベント管理テーブル122cが格納されている。イベント管理テーブル122cの一例を図11に示す。図11を参照して、イベント管理テーブル122cには、カメラC1〜Cnとそれぞれ対応するn個の欄1221〜122nが設けられており、これらn個の欄1221〜122nのそれぞれにカメラC1〜Cnで発生したイベントに関する管理情報“イベント1”,“イベント2”,…が登録されている。ここで「カメラCnでイベントが発生する」とは、カメラCnにおいてセンサ103が異常を感知してアラームが発行されることをいい、1つのアラームの発行が開始されてから終了されるまでの持続期間が1つのイベントと対応する。イベントの識別番号1,2,3,…は、カメラ毎に独立して付される。
イベント管理テーブル122cに登録されているイベント管理情報“イベント1”,“イベント2”,…は、画像記録領域122aに記録された画像を読み出して再生する際に参照される情報である。イベント管理情報“イベント1”,“イベント2”,…の各々の内容を図12に示す。図12を参照して、イベント管理情報22は、カメラ番号221,イベント番号222,イベント開始時刻223,アラーム発生時刻224,イベント終了時刻225,フレーム枚数226,フレームレート227,解像度228および記録開始位置229を含む。
サーバ12から端末14へ送信される画像信号のフォーマットが図14に示されている。図14を参照して、画像信号28は、画像データ281と、カメラ識別子282と、撮影時刻283と、画像サイズ284と、圧縮率285と、正規化撮影時刻286と、正規化アラーム発生時刻287と、時間軸描画用データ288とを含む。
以上のように構成された監視カメラシステム10の動作を以下に説明する。カメラC1〜Cnの各々において、CPU102は、撮影条件テーブル104bを参照しつつ撮像素子101を通じて被写体を撮影する。そして、撮影された画像データ201を含む画像信号20をインターネット16経由でサーバ12に送信する。センサ103は、被写体の異常な動きを検出し、異常な動きが検出されたときアラームを発生する機能を持つ。CPU102はまた、センサ103がアラームを発生したとき、アラーム発生時刻262を含むアラーム発生通知信号26をサーバ12に送信する。
サーバ12のCPU125は、画像信号20を受信すると、画像信号20に含まれる画像データ201を画像記録領域122aに記録する。また、アラーム発生通知信号26を受信すると、この信号26に含まれるアラーム発生時刻262を含むイベント管理情報22を作成し、作成されたイベント管理情報22をイベント管理テーブル122cに登録する。
ここで、イベント管理情報22の作成および登録について詳しく説明する。カメラC1〜Cnの各々は、独立してアラーム発生を行う。サーバ12のCPU125は、カメラC1〜Cnでアラーム発生前後の所定期間に撮影された画像をカメラC1〜Cnで発生したイベントとしてそれぞれ管理する。具体的には、カメラC1〜Cnで発生したイベント1つ1つについて図12に示されるような内容を持つイベント管理情報22を作成し、作成したイベント管理情報“イベント1”,“イベント2”,…をカメラC1〜Cn毎に、図11に示されるようなイベント管理テーブル122cに登録する。これらのイベント管理情報“イベント1”,“イベント2”,…は、端末14からの再生要求に応じ、サーバ12のCPU125が画像記録領域122aから指定された画像を読み出す際に参照される。
例えばいま、サーバ12に図11のような内容のイベント管理テーブル122cが保持されているとする。このときカメラC6が新たなアラームを発生したとすると、カメラC6からイベント画像が出力される。このイベント画像は、アラーム発生前に撮影されたプリアラーム画像と、アラーム発生後に撮影されたポストアラーム画像とを含む。
サーバ12では、カメラC6から送られてきたイベント画像が画像記録領域122aに記録される。次いで、この領域122aに記録されたイベント画像に関するイベント管理情報“イベント3”が作成される。そして、作成されたイベント管理情報“イベント3”が、図13に示すように、イベント管理テーブル122c内のカメラC6用領域1226に登録される。これにより、サーバ12のCPU125は、端末14からカメラ番号“6”およびイベント番号“3”の指定を受けたとき、画像記録領域122aからカメラC6が撮影した3番目のイベント画像を読み出すことができる。
なお、サーバ12のCPU125はマルチタスクOSを搭載したCPUであり、複数のタスクを並列的に実行することができる。例えば、複数の端末14からの要求を並列的に処理したり、複数のカメラC1〜Cnからの画像を並列的に記録したりすることができる。
カメラC1〜CnのCPU102は、撮影時、具体的には図15に示されるフロー図を処理する。なお、このフロー図に対応する制御プログラムは、ROM106に記憶されている。図15を参照して、カメラC1〜Cnの電源が投入されると、CPU102は、まずステップS1の初期処理を実行する。初期処理には、内部メモリ104内の画像記憶領域104aの初期化,インターネット16への接続,書込先ポインタWrPおよび読出先ポインタRdPの初期化(WrP←0,RdP←0)などの処理が含まれる。なお、初期状態では、画像信号20の先頭イベントフラグ206および最終イベントフラグ207は共に解除(OFF)される。
画像記憶領域104aの構成、および領域104a内を書込先ポインタWrPおよび読出先ポインタRdPが移動する様子を図16(A)〜図16(C)に示す。図16(A)〜図16(C)を参照して、画像記憶領域104aはN個の領域に区分され、N個の領域の各々に対して、先頭に近いものから順番に領域番号1,2,…,Nが付されている。領域番号Nを付された最終領域は、領域番号1を付された先頭領域と連結されている。書き込み先の領域を指向する書込先ポインタWrPおよび読み出し先の領域を指向する読出先ポインタRdPはそれぞれ、このようにリング状に連結された領域1〜Nに沿って、1→2→…→N→1→…のように循環的に移動する。図16(A)は、アラームが発生する以前の状態と対応し、図16(B)は、アラームが発生した瞬間の状態と対応する。図16(C)はアラーム発生後、最終イベント画像が送信される瞬間の状態と対応する。
再び図15を参照して、次のステップS3でCPU102は、書込先ポインタWrPに1をセットする。ステップS5では、被写体を撮影する。ステップS7では、撮影して得られた画像データを画像記憶領域104a内の書込先ポインタWrPが示す領域に書き込む。ステップS9では、書込先ポインタWrPをインクリメントする。
ステップS11でCPU102は、センサ103がアラームを発生したか否かを判定する。アラームが発生すればステップS13に進み、アラームが発生しなければステップS5に戻る。なお、ステップS5〜S11を巡回するループでは、被写体を撮影して画像記憶領域104aに記録する処理だけが行われ、記録された画像を読み出して送信する処理は行われない。この撮影を行うが画像送信を行わない動作状態をプリアラームモードと呼ぶ。プリアラームモードでは、図16(A)に示されるように、書込先ポインタWrPが画像記憶領域104a内の領域1〜Nを巡回しており、その結果、画像記憶領域104aには常時、所定時間分の直近画像が蓄積されていることになる。
ステップS13では、アラーム発生通知信号26をサーバ12に送信する。アラーム発生通知信号26のフォーマットは、図8に示されている。図8を参照して、アラーム発生通知信号26には、この信号26自身を送信したカメラを識別するカメラ識別子261と、アラームが発生した時刻を示すアラーム発生時刻262とが含まれる。
再び図15を参照して、ステップS15でCPU102は、読出開始位置Rd0を計算する。読出開始位置Rd0は、アラーム発生が検出された瞬間の書込先ポインタWrPから定数nを減算することにより得られる。すなわち、図16(B)に示すように、アラーム発生が検出された瞬間の書込先ポインタWrPからn番地だけ遡った位置が読出開始位置Rd0となる。ここで定数nは、プリアラーム画像の時間的な長さとフレームレートとに基づいて決まる。例えば、アラーム発生に先立つ30秒分のプリアラーム画像を30フレーム/1秒のレートで送信するように設定されている場合、定数nは900となる。
ステップS17でCPU102は、読出先ポインタRdPに読出開始位置Rd0をセットする。ステップS19では、被写体を撮影する。ステップS21では、撮影して得られた画像データを画像記憶領域104a内の書込先ポインタWrPが示す領域に書き込む。ステップS23では、書込先ポインタWrPをインクリメントする。
ステップS25でCPU102は、画像記憶領域104a内の読出先ポインタRdPが示す領域から画像データを読み出す。ステップS27では、読出先ポインタRdPが読出開始位置Rd0に等しいか否かを判定する。その判定結果が否定的であればステップS29に進み、肯定的であればステップS33に進む。ステップS29では、読出先ポインタRdPが読出開始位置Rd0−1に等しいか否かを判定する。ステップS29の判定結果が肯定的であればステップS31に進み、否定的であればステップS35に進む。
ステップS31でCPU102は、ステップS25で読み出された画像データに最終イベントフラグをセットする。ステップS33では、ステップS25で読み出された画像データに先頭イベントフラグをセットする。
ステップS35では、ステップS25で読み出された画像データを含む画像信号20をサーバ12に送信する。画像信号20のフォーマットは、図7に示されている。
図7を参照して、先頭イベントフラグ206および最終イベントフラグ207は、上記ステップS27およびS29の判定結果に応じてON/OFFされる。具体的には、画像データ201が読出開始位置Rd0から読み出された画像である場合、先頭イベントフラグ206がONされ、最終イベントフラグ207はOFFされる。画像データ201が読出開始位置Rd0−1から読み出された画像である場合、先頭イベントフラグ206はOFFされ、最終イベントフラグ207がONされる。それ以外の画像の場合、どちらのフラグもOFFされる。
再び図15を参照して、ステップS37でCPU102は、読出先ポインタRdPが読出開始位置Rd0−1よりも小さいか否かを判定する。その判定結果が肯定的であればステップS39に進み、否定的であればステップS41に進む。ステップS39では、Rpdをインクリメントする。ステップS39を実行した後、ステップ19に戻り、再び撮影および画像送信を行う。ステップS41では、動作を継続するか否かを判断し、継続する場合はステップS5に戻り、再びアラームが発生するまでの期間、プリアラームモードで動作する。
なお、ステップS19〜S39を巡回するループでは、被写体を撮影し、撮影された画像を画像記憶領域104aに記録する処理と、一定時間前に記録された画像を読み出し、読み出された画像を送信する処理とが行われる。この撮影と画像送信とを行う動作状態をアラームモードと呼ぶ。アラームモードは、図16(B)および(C)に示されるように、読出先ポインタRdPが読出開始位置Rd0を起点に画像記憶領域104a内を一巡して読出開始位置Rd0−1に達するまでの期間継続する。その結果、アラームが発生したカメラからは、アラーム発生前に撮影されたプリアラーム画像と、アラーム発生以降に撮影されたポストアラーム画像とを含むイベント画像が一定時間送信されることになる。
サーバ12のCPU125は、画像記録時、具体的には図17に示されるフロー図を処理する。なお、このフロー図に対応する制御プログラムは、ROM124に記憶されている。図17を参照して、最初のステップS51でCPU125は、初期処理を行う。初期処理には、インターネット16への接続、イントラネット18への接続などが含まれる。
初期処理が完了するとCPU125は、ステップS53でアラーム発生通知信号26の有無を判定する。その判定結果が肯定的であればステップS55に進み、否定的であれば待機する。ステップS55では、アラーム発生通知信号26を受信する。ステップS57では、カメラ識別子202に基づいて画像信号20がどのカメラからのものかを特定する。
ステップS59でCPU125は、ステップS57で特定されたカメラに対応するイベント管理情報作成タスク(後述)を起動する。ステップS61では、画像信号20の有無を判定する。その判定結果が肯定的であればステップS63に進み、否定的であればステップS53に戻る。ステップS63では、画像信号20を受信する。ステップS65では、ステップS53で受信された画像信号20から画像データ201を取り出し、取り出した画像データ201を画像記録領域122aに記録する。記録を終えると、ステップS67に進む。
ステップS67でCPU125は、記録動作を継続するかどうかを判断し、継続する場合はステップS53に戻って上記と同様の処理を繰り返す。
上記ステップS59で起動されるイベント管理情報作成タスクは、図18に示すフロー図に従って実行される。なお、このフロー図に対応する制御プログラムは、ROM124に記憶されている。図18を参照して、ステップS71でCPU125は、ステップS55で受信されたアラーム発生通知信号26(図8参照)からカメラ識別子261およびアラーム発生時刻262を取り出し、取り出した時刻262を、取り出したカメラ識別子261と対応するカメラに関する新たなイベント管理情報22(図12参照)に登録する。
ステップS73でCPU125は、画像記録領域122aへの記録が実行されたか否かを判定する。判定結果が肯定的であればステップS75に進み、否定的であれば待機する。ステップS75では、画像信号20内の最終イベントフラグ207がONか否かを判定する。フラグ207がONであればステップS85に進み、OFFであればステップS77に進む。
ステップS77でCPU125は、画像信号20内の先頭イベントフラグ206がONか否かを判定する。フラグ206がONであればステップS79に進み、OFFであればステップS83に進む。
ステップS79でCPU125は、上記のイベント管理情報22にさらに、イベント開始時刻223,フレームレート227,解像度228および記録開始位置229を登録する。ここでイベント開始時刻223として登録される値は、先頭イベントフラグ206がONであると判定された画像信号20に含まれている撮影時刻203である。
ステップS81でCPU125は、フレーム枚数として1を保持し、その後ステップS73に戻る。ステップS83でCPU125は、保持しているフレーム枚数の値をインクリメントし、インクリメント後の値を保持する。その後、ステップS73に戻る。
ステップS85でCPU125は、上記のイベント管理情報22にさらに、イベント終了時刻225およびフレーム枚数226を登録する。ここでイベント終了時刻225に登録される値は、最終イベントフラグ207がONであると判定された画像信号20に含まれている撮影時刻203である。イベント終了時刻225およびフレーム枚数226を登録し終えた時点で、このタスクは終了される。こうして作成されたイベント管理情報22は、イベント管理テーブル122c上の該当カメラ欄に記載される。
サーバ12のCPU125は、画像送出時、具体的には図19に示されるフロー図を処理する。なお、このフロー図に対応する制御プログラムは、ROM124に記憶されている。
図19を参照して、ステップS91でCPU125は、端末14から送信された再生要求パケットを受け付ける。再生要求には、カメラ番号とイベント番号とが添付されている。ステップS93では、再生要求パケットからカメラ番号とイベント番号とを取り出す。ステップS95では、指定されたカメラに対応する画像送出タスク(後述)を起動する。その後、ステップS97に進む。
ステップS97でCPU125は、画像送出タスクが終了したかどうかを判定する。タスクが終了するとステップS99に進み、そうでなければ待機する。ステップS99では、画像送出動作を継続するか否かが判断され、継続する場合にはステップS91に戻り、上記と同様の処理が繰り返される。
上記ステップS95で起動される画像送出タスクは、図20に示すフロー図に従って実行される。なお、このフロー図に対応する制御プログラムは、ROM124に記憶されている。図20を参照して、ステップS111でCPU125は、イベント管理テーブル122cから、このタスクと対応するカメラの、指定されたイベント番号に該当するイベント管理情報22(図12参照)を取得する。次のステップS113では、ステップS111で取得したイベント管理情報22に基づいて、指定されたイベント番号に該当する画像を特定する。
ステップS115でCPU125は、正規化アラーム発生時刻(後述)を計算する。ステップS117でCPU125は、フレーム番号を示す変数Gを初期化する。ステップS119でCPU125は、G番目画像の正規化撮影時刻(後述)を計算する。
ステップS121でCPU125は、実時刻を示す変数Tに再生を開始する実時刻をセットする。ステップS123では、画像を再生する時刻間隔を示す変数t0にフレームレート227の逆数をセットする。ステップS125では、次画像の再生予定実時刻{T+t0}を計算し、計算結果をTにセットする。
ステップS127でCPU125は、現在時刻がTを過ぎたか否かを判定する。判定結果が肯定的であればステップS129に進み、そうでなければ待機する。ステップS129では、ステップS113で特定された画像のうちG番目の画像の実データを含む画像信号28を送出する。画像信号28のフォーマットは、図14に示されている。
図14を参照して、画像信号28には、画像データ281と、画像データ281を撮影したカメラを示すカメラ識別子282と、画像データ281が撮影された時刻を示す撮影時刻283と、画像データ281のサイズを示す画像サイズ284と、画像データ281の圧縮率を示す圧縮率285とが含まれる。これらに加え、画像信号28には、ステップS115の計算結果を示す正規化アラーム発生時刻287と、ステップS119の計算結果を示す正規化撮影時刻286と、時間軸を描画するための時間軸描画用データ288とがさらに含まれる。
再び図20を参照して、ステップS131でCPU125は、Gをインクリメントする。ステップS133では、インクリメント後のGがイベント管理情報22に記載されているフレーム枚数226を超えたか否かを判定する。判定結果が否定的であれば、ステップS125に戻って次の画像を送出し、肯定的であればタスクを終了する。
上記ステップS115の正規化アラーム発生時刻計算処理は、図21に示すサブルーチンに従って実行される。なお、このサブルーチンに対応する制御プログラムは、ROM124に記憶されている。図21を参照して、ステップS151でCPU125は、ステップS111で取得されたイベント管理情報22からイベント開始時刻223,アラーム発生時刻224およびイベント終了時刻225を取り出す。ステップS153では、イベント終了時刻225からイベント開始時刻223を減算し、結果をAとする。ステップS155では、アラーム発生時刻224をAで除算し、結果を正規化アラーム発生時刻とする。
上記ステップS119の正規化撮影時刻計算処理は、図22に示すサブルーチンに従って実行される。なお、このサブルーチンに対応する制御プログラムは、ROM124に記憶されている。図22を参照して、ステップS171でCPU125は、ステップS111で取得されたイベント管理情報22からフレーム枚数226を取り出す。ステップS173では、Gをフレーム枚数で除算し、結果をG番目画像の正規化撮影時刻とする。
端末14のディスプレイ146には、画像再生時、図23のような画面が表示される。図23を参照して、再生画面24は、主領域24aと副領域24bとに区分される。主領域24aには、イベント画像247および時間軸248が表示される。副領域24bには、再生ボタン241,停止ボタン242,逆再生ボタン243,終了ボタン244,カメラ番号を指定するための入力欄245,およびイベント番号を指定するための入力欄246が提示される。
サーバ12からイベント画像を読み出して再生したい場合、ユーザは、まず入力欄245を通じてカメラ番号を指定し、次いで入力欄246を通じてイベント番号を指定し、その後再生ボタン241を押す。応じて、端末14からサーバ12へ再生要求パケットが送信される。再生要求には、カメラ番号とイベント番号とが添付される。
いま、サーバ12が図13のイベント管理テーブル122cに記載されているイベント管理情報と対応する画像を保持しているとし、このとき端末14を通じてカメラ番号“2”およびイベント番号“2”が指定されたとする。この再生要求に応じ、サーバ12は、イベント管理テーブル122cのカメラC2欄1222からイベント管理情報“イベント2”を取り出し、取り出した管理情報に基づいて画像記録領域122aから該当する画像データを読み出す。そして、読み出した画像データを先頭フレームのデータから順番に、正規化撮影時刻や時間軸描画用データなどの関連情報と共に、画像信号28に含めて送信する。
これらの画像信号28が端末14によって受信され、再生画面24の主領域24aには、カメラC2によって撮影された“イベント2”画像247が表示される。イベント画像247は、アラーム発生前に撮影されたプリアラーム画像と、アラーム発生以降に撮影されたポストアラーム画像とを含んでいる。
主領域24aにはさらに、時間軸248が表示される。時間軸248の始点248aがイベント開始時刻と対応し、終点248bがイベント終了時刻と対応している。この時間軸248上に、アラーム発生時刻を示すポインタ249aと、現在表示されている画像の撮影時刻を示すポインタ249bとが提示される。撮影時刻ポインタ249bは、画像再生の進行に従い、時間軸248上を始点248aから終点248bまで移動する。
撮影時刻ポインタ249bがアラーム発生時刻ポインタ248aの左側(始点248a寄り)にあれば、そのときの表示画像はプリアラーム画像であり、右側にあればポストアラーム画像である。撮影時刻ポインタ249bがアラーム発生時刻ポインタ248aを追い越す瞬間の表示画像がアラーム発生時の画像である。
以上の説明からわかるように、この実施例の監視カメラシステム10では、カメラC1〜Cnは、常時被写体を撮影し、かつ撮影画像をリングバッファの態様を有する画像記憶領域104aに記録する動作を行っている。カメラC1〜Cnのいずれかでアラームが発生されると、アラームを発生したカメラからサーバ12に、まずアラーム発生通知信号26が送信される。次いで、アラームを発生したカメラでは、画像記憶領域104aに対し、読出先ポインタRdPが現在の書込先ポインタWrPから定数nだけ遡った読み出し開始位置に設定され、この読出開始位置Rd0を始点に画像データの読み出しが開始される。読み出しは、読出先ポインタRdPが画像記憶領域104a内を巡回して読出開始位置Rd0−1の位置に達するまで継続される。こうして、アラームを発生したカメラからは、アラーム発生時刻よりも前のイベント開始時刻からアラーム発生時刻よりも後のイベント終了時刻までの期間に撮影された複数画面の画像データ201を含む画像信号20が送信されることとなる。
アラーム発生通知信号26にはアラーム発生時刻262が記述され、画像信号20には先頭イベントフラグ206および最終イベントフラグ207が含まれている。サーバ12は、これらの信号を受信すると、上記複数画面の画像データ201を画像記録領域122aに記録し、イベント開始時刻223,アラーム発生時刻224およびイベント終了時刻224を、画像記録領域122aに記録された複数画面の画像信号20に関するイベント管理情報22に登録する。これにより、イベント開始時刻223,アラーム発生時刻224およびイベント終了時刻224が複数画面の画像信号20に割り当てられたことになる。
端末14によってカメラ番号およびイベント番号が指定されると、サーバ12は、画像記録領域122aから該当する複数画面の画像データ281を読み出し、読み出された画像データ281を含む画像信号28を端末14に送信する。この画像信号28には、正規化撮影時刻286、正規化アラーム発生時刻287および時間軸描画用データ288が添付される。
端末14は、画像信号28を受信すると、再生画面24を表示する。再生画面24には、イベント画像247と時間軸248とが含まれる。この時間軸248上にアラーム発生時刻を示すポインタ249aと、現在表示されている画像の撮影時刻を示すポインタ249bとが提示される。撮影時刻ポインタ249bは、画像再生の進行に従い、時間軸248上を始点248aから終点248bまで移動する。こうしてイベント画像247と一緒に時間軸248,アラーム発生時刻ポインタ249aおよび撮影時刻ポインタ249bを表示することによって、ユーザは、表示画像の撮影時刻とアラーム発生時刻との時間的な位置関係を直感的に認識することができる。例えば、いつアラームが発生したかを容易に知ることができるので、アラーム発生時点の近傍の画像を特に注意して観察したり、アラーム発生前後の画像を互いに比較したりすることが可能となる。その結果、異常を発見できる率が高まる。
なお、この実施例では、カメラC1〜Cnは、アラームが発生されたときアラーム通知信号26を送信しているが、代わりに、アラーム発生後最初に送信される画像信号20の中にアラーム発生時刻262を記述してもよい。
また、この実施例では、サーバ12は、正規化アラーム発生時刻287および時間軸描画データ288を画像信号28に含めて端末14に送信しているが、画像信号28に含める代わりに、アラーム発生直後にこれら時刻287および描画データ288を含む別の信号を送信してもよい。
また、この実施例では、サーバ12が正規化アラーム発生時刻287および正規化撮影時刻を計算し、計算結果を端末14に通知しているが、端末14が計算を行うようにしてもよい。
また、この実施例では、ステップS115でGをフレーム枚数で除算することによりG番目画像の正規化撮影時刻を求めているが、イベント管理情報22中に全画像の撮影時刻を記述しておけば、G番目画像の撮影時刻をステップS153で求めたAで除算することによっても正規化撮影時刻を求めることができる。
また、この実施例では、カメラC1〜Cnは、いつも同一の品質で撮影を行っているが、プリアラームモードとアラームモードとで品質を切り換えてもよい。プリアラームモードでは低品質撮影を、アラームモードでは高品質撮影を行えば、情報量の削減が図れる。
また、この実施例では、複数カメラからの画像を記録・再生する際にマルチタスク処理を行っているが、シリアル処理により行うことも可能である。