JP4346299B2 - 微粉炭の浮選方法、微粉炭表面改質装置及び微粉炭の浮選システム - Google Patents
微粉炭の浮選方法、微粉炭表面改質装置及び微粉炭の浮選システム Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、微粉炭の表面改質方法、微粉炭の浮選方法、微粉炭表面改質装置及び微粉炭の浮選システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
石炭の微粉炭燃焼に使用する微粉炭は、0.5mm以上のものは、比重選別による選別されるが、0.5mm以下のものは、石炭スラリーを形成して、この石炭スラリーから、浮選法(浮遊選炭法)により、良質な不燃分の少ない精炭を得ている。
【0003】
この浮選法は、石炭−水スラリー(石炭スラリー)に、捕集剤及び起泡剤を添加し、機械的あるいは空気の圧入により気泡を形成し、この気泡に可燃成分の多い石炭(微粉炭)を付着させ回収する方法であり、脱灰高濃度石炭−水スラリーの製造方法において、低灰分の石炭微粒子(微粉炭)が浮揚分として回収され、高灰分のいわゆる沈炭スラッジ(灰)が沈降分離される脱灰工程に使用されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
そして、従来の浮選法では、浮選工程の前に微粉原炭(微粉状石炭)の沈降を防ぐためにコンディショニングを行っている。このコンディショニングでは緩攪拌を行って、スラリーの均一化や微粉炭と浮選油の油滴とが会合する確率の増大を図り、この微粉炭と油滴との会合により微粉炭表面の水膜を油膜に置換している。
【0005】
【特許文献1】
特開平7−11268号公報 (第3頁左欄第33行〜第45行)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この緩攪拌を行うコンディショニングでは、石炭化度が低くて含酸素官能基が多く、水膜に被われた微粉炭表面に親水基が過多にある場合や、石炭化度が高くて水素含有量が少なく、微粉炭表面の表面エネルギーが元々低い場合には、微粉炭表面における水膜から油膜への置換が旨く行われないという問題がある。
【0007】
つまり、炭質には種々あり、微粉炭表面の水膜を油膜に置換し難い浮選性(浮選浮遊性)が悪い炭質もある。例えば、図11に炭質図を示すが、この図11において、縦軸の炭素原子に対する水素原子の原子比の100倍の値〔H/C×100〕が80以上で、横軸の炭素原子に対する酸素原子の原子比の100倍の〔O/C×100〕が約7以下の石炭は、極めて浮選性が良好で微粉炭表面の水膜を油膜に置換し易いが、この浮選性の良好な石炭ばかりでなく、〔H/C×100〕が60以下の所謂半無煙炭、無煙炭と呼ばれる浮選性の悪い炭種や、〔O/C×100〕が10以上の所謂亜歴青炭と呼ばれる浮選性の悪い炭種も多く分布している。
【0008】
なお、より詳細には、図11では、含酸素官能基の増減は横軸〔O/C×100〕方向で示され、この〔O/C×100〕は、水酸基やカルボキシル基等親水性の官能基比率と関連するため、この〔O/C×100〕の数値の増加は、親水性の増加即ち親油性の減少を意味し、浮選性が低下することになる。
【0009】
また、炭化水素の鎖状性/芳香環状性の増減は縦軸〔H/C×100〕方向で示されており、この〔H/C×100〕の減少は、炭化水素の飽和(鎖状)炭化水素から不飽和(芳香族)炭化水素への移行を示し、親油性が減少するため浮選性が低下することになる。
【0010】
そして、〔H/C×100〕値が80程度以下の高石炭化度炭では、油脂に特徴的な鎖状性が減じ、芳香環の発達が進むため、親油性が減ずるばかりでなく、表面エネルギーも低くなる。とりわけ、〔H/C×100〕値が60程度以下の所謂半無煙炭、無煙炭と呼ばれる炭種では、この表面エネルギーが低くなる傾向が著しい。そのため、スラリー中で水膜に被われていても、水分子との接合力も弱い。しかし同時に油滴との接合力も弱いため、緩攪拌では油滴と会合しても水膜を油膜に置換することができず、浮選性が悪いので、これらの炭種に対しては浮選法を採用できないという問題がある。
【0011】
一般的に、浮選性のあまり良好でない石炭に対して浮選法を行った場合には、浮選機における微粉炭の回収が悪く、また、浮選浮遊速度が遅く、浮選機で浮遊しきらずに、多量の微粉炭及び過剰に添加された浮選油が多量に排水シックナーに流失し、シックナーで微粉炭が浮遊して表層に微粉炭炭層を形成してしまう。そのため、シックナーの処理能力を超えて過負荷状態となり、周辺環境の汚染の恐れが生じる。
【0012】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、その目的は、微粉炭の選炭において、従来は油滴との接合力が弱く浮選法が適用できなかった、〔H/C×100〕値が60程度以下の所謂半無煙炭や無煙炭と呼ばれる炭種においても、微粉炭に浮選性を付与でき、浮選法の適用を可能にすると共に、使用する油量も少なくて済む微粉炭の浮選方法を提供することにある。
【0013】
また、本発明の更なる目的は、この微粉炭の浮選方法の実施に使用する浮選用前処理装置及び微粉炭の浮選システムを提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための本発明の微粉炭表面改質装置は、横型円筒状のドラム41の一端側に石炭スラリーを導入する入口44と他端側に石炭スラリーを排出する出口45とをそれぞれ備え、ドラム41の内壁41aに、石炭スラリーを堰き止めると共に空気Eを流通させる流通路43が中央部に開口された環状の仕切板42を複数枚間隔を開けて固定し、前記複数の仕切板42の流通路43を貫通してドラム41の両端側で支持される回転軸51に設けた攪拌板52を、2枚の仕切板42,42の間に配置して複数の攪拌室50を形成し、前記回転軸51に直交してドラム41の壁面41aに向かって延長された円盤状の攪拌板52を支持し、この攪拌板52の表面に弧状に放射状に攪拌翼53が形成されると共に回転軸51の近傍に空気Eが流通する流通穴54を開口したことを特徴としている。
【0015】
前記ドラム41の入口44の近傍の内壁41aに、スラリーの攪拌を促進する固定翼48を両面に備えた仕切板42aと、スラリーの攪拌を促進する固定翼48を入口側の片面に備えた仕切板42bとをそれぞれ設け、前記ドラム41の内壁41aおよび仕切板42および固定翼48および攪拌板52および攪拌翼53のそれぞれの表面をセラミックライニングしたことを特徴としている。
【0016】
更に、本発明に係る微粉炭の浮選方法は、前記微粉炭表面改質装置を用いた微粉炭の浮選方法であって、前記ドラム41の入口44に導入される石炭スラリーは浮選油が添加された0.5mm以下の微粉状石炭を含み、この石炭スラリーを攪拌するエネルギーが25kW/m 3 〜100kW/m 3 となる攪拌をし、その石炭スラリーに含まれる微粉炭状石炭の粒子と浮選油の油滴とに剪断力を付与し、剪断力が付与された微粉炭を浮揚させて精炭回収することを特徴としている。
【0017】
前記微粉状石炭に含まれる炭素原子に対する水素原子の比率の100倍の値[H/C×100]が0〜80であることを特徴としている。
【0018】
前記浮選油の添加量が乾原炭に対して0.005〜0.05重量%であることを特徴としている。
【0019】
前記0.5mm以下の微粉状石炭とは、0.5mm角のメッシュを通過する石炭のことをいう。
【0020】
また、微粉炭表面改質装置においてなされる攪拌は、従来のコンディショナーによる緩攪拌に対して高速であり、攪拌エネルギーが10kW/m 3 以上のことをいい、好ましくは、25kW/m 3 〜100kW/m 3 である。
【0021】
即ち、コンディショナーでは、微粉状石炭の沈降防止を目的としたスラリーの均一化のための攪拌であり、緩やか(例えば、攪拌エネルギーが数kW/m 3 程度)に行われるのに対して、本発明の攪拌は、微粉炭の粒子及び浮選油の油滴を容器(ドラム)内の固定部分(ドラムの壁面41a、仕切板42、固定翼48)や移動部分(攪拌板52、攪拌翼53)等に強制的に接触させて、剪断力を付与し、微粉炭の粒子の表面に油滴を付着ないし展着させて、微粉炭の表面の浮選性を改善するために、高い攪拌エネルギーで行われる。
【0022】
この本発明の微粉炭の浮選方法によれば、攪拌のシェアーリング(剪断力付与)により、微粉炭の粒子及び浮選油の油滴に剪断活性面が形成され、この剪断活性面の発生により、過渡的であるが、表面エネルギーが相対的に上がる。この表面エネルギーの増分により、微粉炭と油滴とが会合して微粉炭の表面に油膜が形成できるようになる。
【0023】
そのため、従来技術においては浮選法を適用できなかった[H/C×100]値が60程度以下の所謂半無煙炭、無煙炭に対しても、浮選法を適用することが可能となる。しかも、油膜形成用の浮選油の量も微量で済む。
【0024】
そして、特に、微粉状石炭に含まれる炭素原子に対する水素原子の割合である水素原子比の100倍の値[H/C×100]が0〜80である場合に大きな効果を奏する。この範囲の炭種の浮選性が良くないので、本発明のシェアーリング(剪断力の付与)による改質効果が大きいからである。
【0025】
浮選油の添加量を、乾原炭に対して0.005〜0.05重量%、好ましくは0.007〜0.02重量%とする。特に、半無煙炭や無煙炭等の親油性の悪い炭質では、改質された後であっても付着する油分の量は、元々親油性の良い炭質のものに比べて少ないので、非常に少ない添加量で済む。これにより、効率よく微粉炭の浮選を行うことができ、また、排水処理の負荷を軽減できる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して本発明に係る微粉炭の浮選方法及び浮選用前処理装置と微粉炭の浮選システムの実施の形態について説明する。
【0030】
本発明に係る浮選用前処理装置の概要説明を兼ねて、最初に、微粉炭の浮選方法とこの方法を実施するための微粉炭の浮選システムについて説明する。
【0031】
図1に本発明の微粉炭の浮選方法を実施するための微粉炭の浮選システム1のプロセスフローを示す。また、図2にこの微粉炭の浮選方法で行われる浮選の原理を示す。
【0032】
図1及び図2に示すように、この微粉炭の浮選システム1は、0.5mm以下の石炭スラリーS1から灰分の少ない微粉炭Cの回収(精炭回収)を目的としたシステムであり、表面改質部10と浮選処理部20とから構成される。
【0033】
この表面改質部10は、スラリー調整タンク(石炭スラリー受け槽)11、スラリーポンプ12、浮選油タンク13、浮選油定量供給ポンプ14、微粉炭表面改質装置15、サンプタンク16、スラリーポンプ17等で構成される。
【0034】
また、浮選処理部20は、コンディショニングタンク(条件槽)21、起泡剤タンク22、起泡剤定量供給ポンプ23、粗選用浮選機24、精選用浮選機25、真空濾過機26等で構成される。
【0035】
そして、この表面改質部10では、予め粉砕され粒径が0.5mm以下(実用的には0.5mm角のメッシュを通過したもの)となった微粉状石炭を水と混合した石炭スラリーS1が、スラリー調整タンク11に入り、スラリーポンプ12で、微粉炭表面改質装置15に供給される。また、浮選油Aが浮選油タンク13と浮選油定量供給ポンプ14とからなる浮選油供給システムによって供給され、この微粉炭表面改質装置15に供給される前の石炭スラリーS1に混入され、石炭スラリーS1は浮選油Aとの混合物S2として微粉炭表面改質装置15に供給される。この状態は、図2に示す(混合)の状態であり、微粉炭cと灰dと油滴(浮選油)aが混合している状態である。
【0036】
なお、この浮選油Aとしては、灯油、軽油等の鉱油を主に使用することができ、炭質にもよるが、親油性の少ない半無煙炭や無煙炭では、スラリーS1に対する重量%で0.005%〜0.05%好ましくは0.007%〜0.02%という極少量の浮選油Aの添加で浮選機24、25にて微粉炭フロスを形成することができる。
【0037】
そして、この石炭スラリーS1と浮選油Aの混合物S2が、微粉炭表面改質装置15で、急速攪拌される。即ち、攪拌エネルギーが10kW/m3 以上、好ましくは、25kW/m3 〜100kW/m3 となるような攪拌を行う。
【0038】
この急速攪拌により、石炭スラリーS1と油滴aの混合を行って石炭スラリーS1中に油滴aを高度に分散させると共に、微粉炭の粒子c及び油滴aを、図3〜図7に示す微粉炭表面改質装置15の円筒壁面41a、仕切板42、攪拌板52等の表面に接触させることにより、微粉炭の粒子cと油滴aに強い剪断力を付与し、即ち、シェアーリングを行い、図2の(表面改質)に示すように、微粉炭の粒子cの表面に非常に薄い油膜aを付着乃至展着させる。この油膜展着により、微粉炭cの表面の濡れ性を改質して浮選性を改善する。
【0039】
そして、この微粉炭表面改質装置15で、微粉炭cの表面が改質され、微粉炭cに油膜aが付着した状態の改質された石炭スラリーS3が、図1に示すように、サンプタンク16に入り、スラリーポンプ17により、浮選部20のコンディショニングタンク21に送られる。
【0040】
そして、このコンディショニングタンク21において、改質された石炭スラリーS3に、起泡剤タンク22と起泡剤定量供給ポンプ23とからなる起泡剤システムにより供給される起泡剤Bが添加される。なお、従来技術の通常の浮選工程ではコンディショニングタンク21で起泡剤B及び浮選油Aを添加するが、この浮選システム1においては、微粉炭表面改質装置15の手前で既に浮選油Aを添加しているので、このコンディショニングタンク21では起泡剤Bのみで浮選油Aの添加は行わない。
【0041】
この起泡剤Bは、改質された石炭スラリーS3を発泡させるためのものであり、パイン油、テルピネオール、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、高級アルコール等を使用することができる。
【0042】
そして、このコンディショニングタンク21では、穏攪拌により、改質された石炭スラリーS3の均一化と微粉炭cと起泡剤Bや油滴aとの接触及び結合を図る。この穏攪拌により、調整された石炭スラリーS4は、粗選用浮選機24と精選用浮選機25に順次に送られる。
【0043】
この両浮選機24,25では、油膜aが付着した低灰分の微粉炭cは起泡剤Bによって生じた気泡eに付着した、図2に示す(精炭回収)の状態となり、水面に浮上するので、浮揚分として回収され、更に、この浮上した微粉炭cを図示しないシックナー等で分離し、微粉精炭Cとして回収する。
【0044】
一方の灰dは、微粉炭cよりも親水性が大きいので浮上せずに沈降し、沈炭スラッジDとして分離される。この沈炭スラッジDは真空濾過機26に送られて、水Wと分離され、廃棄又は「低品位石炭−水スラリー」の原料として再利用される。一方、この沈炭スラッジDを分離した水Wは石炭スラリー用の水として再利用される。
【0045】
従って、この微粉炭の浮選システム1によれば、微粉炭表面改質装置15で石炭スラリーS2と浮選油Aの混合物S3を改質することにより、浮選精炭回収率と浮選浮遊速度を大幅に改善することができる。また、回収率の向上により排水中の固形分を減少することができるので、選炭工場の排水負荷を低減できる。
【0046】
その上、本発明に係る微粉炭の浮選方法及び微粉炭の浮選システム1は、濃縮浮選から直接浮選まで、幅広いスラリー濃度に対応可能であり、更に、これまで浮遊法による精炭回収が困難であった浮選性不良の石炭に対しても、この表面改質により浮選性を改善することにより、浮選法を適用できるようになり、浮選法による微粉炭の回収を効率良く行うことができる。
【0047】
次に、本発明の微粉炭の浮選方法及び微粉炭の浮選システム1で重要な役割を果たす微粉炭の表面改質方法とこの方法を実施するための微粉炭表面改質装置15について説明する。
【0048】
この微粉炭表面改質装置15は、その概形を図3に示すように、横型多段高速ミキサーとして構成される。この横型多段高速ミキサー15は、支持脚47で基盤に支持されたドラム41と、モーター61と減速機62とを備えて形成されており、モータ61により駆動される回転軸51に設けられた攪拌板52を高速回転することにより、微粉炭スラリーS2中の微粉炭の粒子c及び油滴aを円筒壁面41a、仕切板42、攪拌板52等に接触させて剪断力付与を行って微粉炭を改質する。
【0049】
より詳細に説明すると、この微粉炭表面改質装置15は、図4にその断面を示すように、ドラム41内に、図5に示すような仕切板(バッフル)42がドラム41の軸方向に略等間隔に設けられている。この仕切板42は、上下2枚の半円板を向かい合わせ配置した円板状に形成され、外周側をドラム41の円筒壁面41aに固定支持されると共に、中央部に石炭スラリーS2と浮選油の混合物S3及び空気Eが流通するための流通路43が設けられている。なお、仕切板42を上下2枚の半円板とするのは、組立及び分解を容易とするためである。
【0050】
また、石炭スラリーS1の入口44の近傍に設けられる仕切板42a,42bでは、帯状又は矩形状の固定翼48が円板から略垂直方向に突設される。図4では、混合物S3の攪拌を促進するため、仕切板42aでは両面に固定翼48が設けられ、仕切板42bでは入口44側の片面にのみに固定翼48がそれぞれ複数個(図5では3個)設けられている。
【0051】
そして、ドラム41の両側の軸受部46,46で枢支される回転軸51が、ドラム41の内部に配設され、この回転軸51には、図6及び図7に示すような攪拌翼53と流通穴54を有する攪拌板52が、ボス部52aを介して嵌合されている。この攪拌板52は回転軸51の軸方向に対して垂直に設けられると共に、回転軸51の軸方向に略等間隔に配置される。これにより、攪拌板52がドラム41内に配設された時に、それぞれの攪拌板52が、仕切板42で仕切られているそれぞれの攪拌室50内に配置される。
【0052】
また、攪拌翼53は、攪拌効率を高めるため、回転方向Rに対して凸で放射状になるように形成された帯状体が、攪拌板52の両面に攪拌板52に対して略垂直になるように、即ち、回転軸51の軸方向になるように設けられる。この攪拌翼53は、回転軸51の回転方向に関しては略等間隔に複数個(図6では4個)設けられる。
【0053】
そして、ドラム41内の混合物S2に接触する部分、即ち、円筒壁面41a、仕切板42、固定翼48、攪拌板52、攪拌翼53の表面には、微粉炭cや油滴aとの接触時に剪断力を効率良く付与するためと、微粉炭cの接触による摩耗を防止するために、アルミナ等のセラミックライニング60を施す。図中の格子状ハッチングは、このセラミックライニング60が施されていることを示し、図では部分的に格子状ハッチングしているが、各表面全体に施されている。
【0054】
そして、回転軸51がチェーンカップリング64により減速機62に連結し、減速機62はチェーンカップリング63によりモータ61に連結しているので、モータ61の駆動により、回転軸51が回転する。
【0055】
なお、微粉炭表面改質装置10の寸法や形状はその処理する炭質や処理量によって大きく変化するが、一例を示すと、図4に示すドラム41の径が1.3mφ程度である。
【0056】
次に、この微粉炭表面改質装置10を使用したシェアーリング工程について説明する。
【0057】
この微粉炭表面改質装置10においては、石炭スラリーS1と浮選油Aの混合物S2が入口44からドラム41内に供給され、回転軸51を高速回転することにより、入口44から供給される石炭スラリーS1と浮遊油Aの混合物S2を高速回転で攪拌する。この高速回転の攪拌により、混合物S2は、回転軸51の回転と共に回転する攪拌板52によって急速攪拌されながら、流通路43、攪拌板52と円筒壁面41aとの隙間等を通過し、順次下流側の攪拌室50に送りだされ、改質された石炭スラリーS3となり出口45から排出される。
【0058】
このドラム41内における急速攪拌により、微粉炭cと油滴aを高度に分散させると共に、微粉炭cと油滴aを、円筒壁面41a、仕切板42、固定翼43、攪拌板52、攪拌翼53等の表面に接触させる。この接触により、微粉炭c及び油滴aに強い剪断力を付与し、微粉炭cの表面に非常に薄い油膜aを展着させる。この油膜aにより、微粉炭cの表面の濡れ性を改質及び改善し、微粉炭cの表面の親油性を上げ、浮選性を画期的に向上させる。
【0059】
この剪断力の付与(シェアーリング)はコンディショニングとは異なり急速攪拌であるため、微粉炭の粒子c、並びに、油滴aに剪断力を与え、剪断面を惹起する。この剪断面が生じた瞬間は、瞬時過渡的に高表面エネルギー性を示すので、油滴aが微粉炭の粒子cに付着し易くなる。つまり、剪断面が生じた瞬間においては、剪断面から水も油も除外されて真空に近い状態になっていると考えられる。
【0060】
そして、この微粉炭表面改質装置15の構造によれば、仕切板42と攪拌板52を交互に配置しているので、この構成により、微粉炭cと油滴aの入口44から出口45へのショートパスを防止でき、効率的な混合と接触による剪断力付与を行うことができる。この混合と接触による剪断力付与により微粉炭cの表面への油滴aの付着を効率的に行うことができる。そのため、少量の浮選油Aで、しかも、短時間で微粉炭cの表面の改質を行うことができる。
【0061】
従って、この構成の微粉炭表面改質装置15は、非常にコンパクトな装置となるので、設置場所が少なくて済む。そのため、既存の微粉炭の浮選システムにおいても、浮選プロセスの前段に容易に組み込むことができる。
【0062】
次に、本発明の実施例について説明する。
【0063】
図8に浮選性の劣る微粉炭に本発明の微粉炭の浮選方法を適用した表面改質効果の例を示す。この図8によれば、本浮選方法の実施例と従来技術の通常の浮選法による比較例との比較により、本浮選方法における精炭の歩留まりと浮選速度に関係する浮選時間が大幅に向上していることが分かる。
【0064】
図9は、実施例と比較例の物質収支を示す。実施例では、比較例に比べて精炭の歩留りが増加している一方で、テーリングの灰分が上昇しており、非常に高い効率で可燃分の石炭と不燃分の灰を分離していることが分かる。これにより、本来回収されるべき石炭のテーリングへの流出が減り、ひいては下流側のシックナーにおける濃縮、濃縮テーリングの脱水、溢流水の循環水使用等を円滑に行えるようになることが分かる。
【0065】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明に係る微粉炭の浮選方法、微粉炭表面改質装置、微粉炭の浮選システムによれば、次のような効果を奏することができる。
【0066】
従来技術の通常の微粉炭の浮選法では、歩留りゼロで回収不能であったような、炭素に対する水素の割合である水素原子比〔H/C×100〕の値が、80以下であるような炭質においても、浮選工程の前のシェアーリング工程で、微粉炭の浮選性を大きく改善できるので、高い精炭回収率を実現することができる。
【0067】
また、シェア−リング工程により、薄い油膜を効率よく石炭に付着できるため、従来の通常の浮選法と比べて、油使用量が少量となる。
【0068】
しかも、浮選浮遊速度が大幅に改善され、浮選機における滞留時間を減らすことができるので、浮選機の台数を減少でき、場合によっては、精選機を使用することなく、粗選機のみでの操業が可能となる。
【0069】
その上、本発明の微粉炭の浮選システムより下流側のシックナーの表層に微粉炭や浮選油が浮遊することがなくなり、排水負荷も低くなるので、シックナーや浮選テールフィルタープレス等を含む下流側の排水処理系で順調な操業を全般に渡り行うことができる。つまり、良好な浮選性達成により排水系の負荷が低減され、順調な工場運転、環境負荷の低減を図ることができる。
【0070】
そして、本発明に係る微粉炭表面改質装置によれば、石炭スラリーと浮選油の混合物を攪拌して、微粉炭等に剪断力を付与して微粉炭の浮選性を改善でき、しかも、複数の仕切板と複数の攪拌板の構成により、非常に効率よく微粉炭を改質できる。そのため、非常にコンパクトな装置となるので、設置場所が少なくて済む。従って、既存の微粉炭の浮選システムにおいても、浮選プロセスの前段に容易に組み込むことができる。
【0071】
また、この微粉炭表面改質装置によれば、微粉炭に高い浮選性を付与できるので、浮選機における滞留時間を短くできる。従って、浮選機の容量や台数を小さく又は少なくでき、また、浮選機運転に要する電力消費量を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る微粉炭の浮選方法を実施するための微粉炭の浮選システムのプロセスフローを示す図である。
【図2】本発明に係る微粉炭の浮選方法で行われる浮選の原理を示す。
【図3】本発明に係る微粉炭表面改質装置の概形を示す図である。
【図4】図3の微粉炭表面改質装置の断面を示す側面図である。
【図5】図4のX−X矢視図である。
【図6】微粉炭表面改質装置の攪拌板と攪拌翼を示す図である。
【図7】図6の上半分は攪拌翼の形状を示すための側断面図であり、下半分は攪拌板の形状を示すための攪拌板の端面図である。
【図8】実施例と比較例の浮遊時間と歩留まりの関係を示す図である。
【図9】実施例(A炭)と比較例(A炭)における歩留まりを示す図である。
【図10】実施例(A炭)における浮選前の原炭と、本発明の微粉炭の浮選方法を適用した後の改質炭の成分の重量割合を示す図である。
【図11】F炭の種類とその元素成分の原子比との関係を示す炭質図である。
【符号の説明】
10 表面改質部
15 微粉炭表面改質装置
20 浮選処理部
41 ドラム
42 仕切板
43 流通路
48 固定翼
50 攪拌室
51 回転軸
52 攪拌板
53 攪拌翼
A 浮選油
C 精炭
D 沈降スラッジ
E 空気
a 油滴
c 微粉炭
d 灰
e 気泡
S1 石炭スラリー
S2 石炭スラリーと浮選油との混合物
S3 改質された石炭スラリー
S4 調整された石炭スラリー
Claims (5)
- 横型円筒状のドラム41の一端側に石炭スラリーを導入する入口44と他端側に石炭スラリーを排出する出口45とをそれぞれ備え、ドラム41の内壁41aに、石炭スラリーを堰き止めると共に空気Eを流通させる流通路43が中央部に開口された環状の仕切板42を複数枚間隔を開けて固定し、
前記複数の仕切板42の流通路43を貫通してドラム41の両端側で支持される回転軸51に設けた攪拌板52を、2枚の仕切板42,42の間に配置して複数の攪拌室50を形成し、
前記回転軸51に直交してドラム41の壁面41aに向かって延長された円盤状の攪拌板52を支持し、この攪拌板52の表面に弧状に放射状に攪拌翼53が形成されると共に回転軸51の近傍に空気Eが流通する流通穴54を開口したことを特徴とする微粉炭表面改質装置。 - 前記ドラム41の入口44の近傍の内壁41aに、スラリーの攪拌を促進する固定翼48を両面に備えた仕切板42aと、スラリーの攪拌を促進する固定翼48を入口側の片面に備えた仕切板42bとをそれぞれ設け、
前記ドラム41の内壁41aおよび仕切板42および固定翼48および攪拌板52および攪拌翼53のそれぞれの表面をセラミックライニングしたことを特徴とする請求項1記載の微粉炭表面改質装置。 - 請求項1又は2記載の微粉炭表面改質装置を用いた微粉炭の浮選方法であって、
前記ドラム41の入口44に導入される石炭スラリーは浮選油が添加された0.5mm以下の微粉状石炭を含み、この石炭スラリーを攪拌するエネルギーが25kW/m 3 〜100kW/m 3 となる攪拌をし、その石炭スラリーに含まれる微粉炭状石炭の粒子と浮選油の油滴とに剪断力を付与し、剪断力が付与された微粉炭を浮揚させて精炭回収することを特徴とする微粉炭の浮選方法。 - 前記微粉状石炭に含まれる炭素原子に対する水素原子の比率の100倍の値[H/C×100]が0〜80であることを特徴とする請求項3記載の微粉炭の浮選方法。
- 前記浮選油の添加量が乾原炭に対して0.005〜0.05重量%であることを特徴と
する請求項3記載の微粉炭の浮選方法。
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