JP4345791B2 - 車両およびその制御方法 - Google Patents

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Description

本発明は、車両およびその制御方法に関する。
従来、この種の車両としては、エンジンと、エンジンのクランクシャフトにキャリアが接続されると共に駆動輪にリングギヤが接続された遊星歯車機構と、遊星歯車機構のサンギヤに接続された第1モータと、リングギヤに接続された第2モータとを備えるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この車両では、停車中にエンジンの始動が要求されたときには、第2モータによってリングギヤをロックさせてから第1モータによってエンジンをクランキングして始動することにより、停車時にエンジンを始動する際に車両にショックや揺れが生じるのを抑制している。
特開2006−81324号公報
ところで、上述のハード構成に加えてリングギヤと駆動輪との間に有段の変速機を有する車両では、シフトレバーが駐車ポジションにあるときには、通常、駆動輪がロックされると共に有段の変速機によってリングギヤが駆動輪から切り離される。この状態のときには、シフトレバーが駐車ポジションから走行用ポジションに変更されて変速機によってリングギヤと駆動輪とを接続する際のショックを抑制するためや、エンジンを始動や停止させるために第1モータによってエンジンをモータリングしたりエンジンを負荷運転したりする際にリングギヤに作用するトルクを受け止めるために、リングギヤができるだけ回転しないようにすることが望まれる。
本発明の車両およびその制御方法は、動力源や電動機から動力が出力される動力軸と車軸側との間の変速段の変更を伴う動力の伝達や動力軸と車軸側との接続の解除を行なう変速機を備えるものにおいて、シフトポジションが駐車ポジションにあるときに、動力軸が回転するのを抑制することを目的とする。
本発明の車両およびその制御方法は、上述の目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明の車両は、
動力軸に動力を出力可能な動力源と、
前記動力軸に回転子が接続され、固定子の回転磁界により該回転子を回転駆動させて該動力軸に動力を入出力可能な電動機と、
少なくとも前記電動機と電力のやりとりが可能な蓄電手段と、
前記動力軸と車軸側との間の変速段の変更を伴う動力の伝達と、該動力軸と該車軸側との接続の解除と、が可能な変速手段と、
シフトポジションが駐車ポジションにあるとき、前記動力源から前記動力軸に出力される駆動力である軸駆動力よりも絶対値が大きい駆動力を前記電動機を制御するための制御用駆動力として設定し、該設定した制御用駆動力に基づいて前記固定子の磁界の向きを固定して前記回転子の回転が制限されるよう前記電動機を制御する回転制限制御を実行する制御手段と、
を備えることを要旨とする。
この本発明の車両では、シフトポジションが駐車ポジションにあるときには、動力源から動力軸に出力される駆動力である軸駆動力よりも絶対値が大きい駆動力を電動機を制御するための制御用駆動力として設定すると共に設定した制御用駆動力に基づいて固定子の磁界の向きを固定して回転子の回転が制限されるよう電動機を制御する回転制限制御を実行する。シフトポジションが駐車ポジションにあるときには、通常、パーキングロック機構などの固定手段によって車軸が固定されると共に動力軸側の動力が車軸側に伝達されないよう変速手段によって動力軸が車軸側から切り離される。このときには、例えばシフトポジションが駐車ポジションから走行用ポジションに変更されて変速手段によって動力軸と車軸側とを接続する際のショックを抑制するために、動力軸の回転をできるだけ抑制するよう望まれる。本発明の第1の車両では、シフトポジションが駐車ポジションにあるときには、軸駆動力よりも絶対値が大きい駆動力が設定される制御用駆動力に基づいて回転制限制御を実行するから、動力軸が回転するのをより適正に抑制することができる。
こうした本発明の車両において、前記動力源は、内燃機関と、該内燃機関の出力軸と前記動力軸とに接続され前記蓄電手段と電力のやりとりが可能で電力と動力の入出力を伴って該出力軸と該動力軸とに動力を入出力する電力動力入出力手段と、を備え、前記制御手段は、前記内燃機関の運転状態および/または前記電力動力入出力手段の駆動状態に基づいて前記軸駆動力よりも絶対値が大きい駆動力を前記制御用駆動力として設定する手段であるものとすることもできる。こうすれば、内燃機関の運転状態や電力動力入出力手段の駆動状態に基づいて制御用駆動力を設定することができ、より適正に回転制限制御を実行することができる。ここで、内燃機関の運転状態には、負荷運転やアイドル運転が含まれる。また、電力動力入出力手段の駆動状態には、内燃機関が負荷運転やアイドル運転されているときの駆動状態や、内燃機関を始動や停止させるために内燃機関をモータリングする際の駆動状態などが含まれる。さらに、軸駆動力は、電力動力入出力手段の目標駆動状態に基づいて設定される駆動力であるものとすることもできる。この場合、制御手段は、絶対値が制御用駆動力の絶対値以下の駆動力が動力軸に作用したときに回転子が回転しないようにすることができる電流を電動機に通電して固定子の磁界の向きが固定されるよう制御する手段であるものとすることもできる。こうすれば、内燃機関や電力動力入出力手段からなる回転系のイナーシャや外乱などによって電力動力入出力手段の目標駆動状態に基づく軸駆動力よりも絶対値が大きい駆動力が動力軸に作用するときでも、より適正に動力軸が回転するのを抑制することができる。
この動力源が内燃機関と電力動力入出力手段とを備える態様の本発明の車両において、前記制御手段は、前記内燃機関の始動時における該内燃機関の初爆の際には、第1所定駆動力を前記制御用駆動力として設定する手段であるものとすることもできる。ここで、第1所定駆動力は、内燃機関の初爆の際に動力軸に作用し得る駆動力に基づいて設定される駆動力であるものとすることもできる。また、第1所定駆動力は、前記内燃機関を始動させるために該内燃機関をモータリングする際に設定される制御用駆動力と同一方向の駆動力であるものとすることもできる。こうすれば、内燃機関をモータリングして始動する際に、制御用駆動力が値0を跨いで変化するのを回避することができる。
また、動力源が内燃機関と電力動力入出力手段とを備える態様の本発明の車両において、前記制御手段は、前記内燃機関がアイドル運転されているときには、第2所定駆動力を前記制御用駆動力として設定する手段であるものとすることもできる。ここで、第2所定駆動力は、内燃機関がアイドル運転されているときに外乱などによって動力軸に作用し得る駆動力に基づいて設定される駆動力であるものとすることもできる。また、前記第2所定駆動力は、前記内燃機関が負荷運転されているときに設定される前記制御用駆動力と同一方向の駆動力であるものとすることもできる。こうすれば、内燃機関の運転状態が負荷運転状態とアイドル運転状態との間で変更される際に制御用駆動力が値0を跨いで変化するのを回避することができる。なお、内燃機関がアイドル運転されているときには、通常、軸駆動力は略値0である。
さらに、動力源が内燃機関と電力動力入出力手段とを備える態様の本発明の車両において、前記制御手段は、前記内燃機関の運転状態が前記アイドル運転と前記負荷運転との間で移行されたとき、該移行されてから第1所定時間が経過するまでは該移行後の運転状態に基づいて設定される前記制御用駆動力に該制御用駆動力と同一方向の駆動力を加えることにより前記制御用駆動力を再設定する手段であるものとすることもできる。ここで、第1所定時間は、内燃機関の運転状態が移行されてから内燃機関や電力動力入出力手段からなる回転系のイナーシャなどに基づく駆動力が動力軸に作用しなくなるまでの時間であるものとすることもできる。
あるいは、動力源が内燃機関と電力動力入出力手段とを備える態様の本発明の車両において、前記制御手段は、前記内燃機関が回転している状態で該内燃機関への燃料カットが開始されたとき、該開始されてから第2所定時間が経過するまでは第3所定駆動力を前記制御用駆動力として設定する手段であるものとすることもできる。ここで、第3所定駆動力は、内燃機関への燃料カットが開始されたときに動力軸に作用し得る駆動力に基づいて設定される駆動力であるものとすることもできる。また、第2所定時間は、内燃機関への燃料カットが開始されてから燃料カットの開始に基づく駆動力の変動が動力軸に作用しなくなるまでの時間であるものとすることもできる。
動力源が内燃機関と電力動力入出力手段とを備える態様の本発明の車両において、前記制御手段は、前記軸駆動力をキャンセルするための駆動力であるキャンセル駆動力を演算し、該演算したキャンセル駆動力の絶対値よりも絶対値が大きい駆動力を前記制御用駆動力として設定する手段であるものとすることもできる。こうすれば、回転制限制御から、電動機からの駆動力の出力を伴って軸駆動力がキャンセルされるよう電動機を制御する軸駆動力キャンセル制御に移行する際に、移行を容易に行なうことができる。
このキャンセル駆動力を用いて制御用駆動力を設定する態様の本発明の車両において、前記制御手段は、前記内燃機関を始動または停止させるために前記電力動力入出力手段により該内燃機関をモータリングする際には、前記キャンセル駆動力に該キャンセル駆動力と同一方向の駆動力を加えることにより前記制御用駆動力を設定する手段であるものとすることもできる。この場合、前記制御手段は、前記内燃機関を停止させるために前記電力動力入出力手段により該内燃機関をモータリングしている最中に前記キャンセル駆動力の方向が反転した以降は、該キャンセル駆動力の方向を該反転前の方向に調整した駆動力である方向調整駆動力に該方向調整駆動力と同一方向の駆動力を加えることにより前記制御用駆動力を設定する手段であるものとすることもできる。こうすれば、内燃機関を停止させるために電力動力入出力手段により内燃機関をモータリングしている最中に制御用駆動力が値0を跨いで変化するのを回避することができる。
また、キャンセル駆動力を用いて制御用駆動力を設定する態様の本発明の車両において、前記制御手段は、前記内燃機関が負荷運転されているときには、前記キャンセル駆動力に値1より大きい補正係数を乗じた駆動力を前記制御用駆動力として設定する手段であるものとすることもできる。
動力源が内燃機関と電力動力入出力手段とを備える態様の本発明の車両において、前記電力動力入出力手段は、前記内燃機関の出力軸と前記動力軸と第3の軸との3軸に接続され該3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段と、前記第3の軸に動力を入出力可能な発電機と、を備える手段であるものとすることもできる。この場合、前記軸駆動力は、前記発電機から出力すべき目標駆動力に基づいて設定される駆動力であるものとすることもできる。
本発明の車両において、前記制御手段は、前記設定した制御用駆動力の絶対値が該制御用駆動力と同一方向の第4所定駆動力の絶対値よりも小さいときには、該第4所定駆動力を前記制御用駆動力として再設定する手段であるものとすることもできる。こうすれば、制御用駆動力の絶対値をある程度の大きさにすることができる。ここで、第4所定駆動力は、内燃機関や電力動力入出力手段からなる回転系のイナーシャや外乱などによって動力軸に作用し得る駆動力に基づいて設定される駆動力であるものとすることもできる。
本発明の車両において、前記電動機の回転子の回転位置を検出する回転位置検出手段と、前記検出された回転位置に基づいて制御用回転位置を設定する制御用回転位置設定手段と、を備え、前記制御手段は、前記設定された制御用回転位置を用いて前記回転制限制御を実行する手段であるものとすることもできる。こうすれば、制御用回転位置を用いて電動機の回転子が回転するのを抑制することができる。この場合、前記電動機は、3相交流電動機であり、前記制御手段は、前記設定された制御用回転位置を用いて前記電動機の各相に通電される電流を3相−2相変換することによりd軸およびq軸の電流を計算し、前記設定した制御用駆動力に基づいて該制御用回転位置におけるd軸の目標電流を設定すると共に該制御用回転位置におけるq軸の目標電流に値0を設定し、該設定したd軸およびq軸の目標電流と該計算したd軸およびq軸の電流とに基づいて前記回転制限制御を実行する手段であるものとすることもできる。こうすれば、制御用駆動力に基づく、制御用回転位置におけるd軸の目標電流を用いて電動機の回転子が回転するのを抑制することができる。
本発明の車両の制御方法は、
動力軸に動力を出力可能な動力源と、前記動力軸に回転子が接続され固定子の回転磁界により該回転子を回転駆動させて該動力軸に動力を入出力可能な電動機と、少なくとも前記電動機と電力のやりとりが可能な蓄電手段と、前記動力軸と車軸側との間の変速段の変更を伴う動力の伝達と該動力軸と該車軸側との接続の解除とが可能な変速手段と、を備える車両の制御方法であって、
シフトポジションが駐車ポジションにあるとき、前記動力源から前記動力軸に出力される駆動力である軸駆動力よりも絶対値が大きい駆動力を前記電動機を制御するための制御用駆動力として設定し、該設定した制御用駆動力に基づいて前記固定子の磁界の向きを固定して前記回転子の回転が制限されるよう前記電動機を制御する回転制限制御を実行する、
ことを要旨とする。
この本発明の車両の制御方法では、シフトポジションが駐車ポジションにあるときには、動力源から動力軸に出力される駆動力である軸駆動力よりも絶対値が大きい駆動力を電動機を制御するための制御用駆動力として設定すると共に設定した制御用駆動力に基づいて固定子の磁界の向きを固定して回転子の回転が制限されるよう電動機を制御する回転制限制御を実行する。シフトポジションが駐車ポジションにあるときには、通常、パーキングロック機構などの固定手段によって車軸が固定されると共に動力軸側の動力が車軸側に伝達されないよう変速手段によって動力軸が車軸側から切り離される。このときには、例えばシフトポジションが駐車ポジションから走行用ポジションに変更されて変速手段によって動力軸と車軸側とを接続する際のショックを抑制するために、動力軸の回転をできるだけ抑制するよう望まれる。本発明の第1の車両では、シフトポジションが駐車ポジションにあるときには、軸駆動力よりも絶対値が大きい駆動力が設定される制御用駆動力に基づいて回転制限制御を実行するから、動力軸が回転するのをより適正に抑制することができる。ここで、軸駆動力は、動力源の目標駆動状態に基づいて設定される駆動力であるものとすることもできる。
次に、本発明を実施するための最良の形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施例としてのハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド自動車20は、図示するように、エンジン22と、エンジン22の出力軸としてのクランクシャフト26にダンパ28を介して接続された3軸式の動力分配統合機構30と、動力分配統合機構30に接続された発電可能なモータMG1と、動力分配統合機構30に接続された動力軸としてのリングギヤ軸32aに接続されたモータMG2と、リングギヤ軸32aの動力を変速して駆動輪39a,39bに連結された駆動軸36に出力する変速機60と、駆動輪39a,39bをロックするパーキングロック機構90と、車両全体をコントロールするハイブリッド用電子制御ユニット70とを備える。
エンジン22は、ガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力する内燃機関であり、エンジン22の運転状態を検出する各種センサから信号を入力するエンジン用電子制御ユニット(以下、エンジンECUという)24により燃料噴射制御や点火制御,吸入空気量調節制御などの運転制御を受けている。エンジンECU24は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によりエンジン22を運転制御すると共に必要に応じてエンジン22の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。
動力分配統合機構30は、外歯歯車のサンギヤ31と、このサンギヤ31と同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤ32と、サンギヤ31に噛合すると共にリングギヤ32に噛合する複数のピニオンギヤ33と、複数のピニオンギヤ33を自転かつ公転自在に保持するキャリア34とを備え、サンギヤ31とリングギヤ32とキャリア34とを回転要素として差動作用を行なう遊星歯車機構として構成されている。動力分配統合機構30は、キャリア34にはエンジン22のクランクシャフト26が、サンギヤ31にはモータMG1が、リングギヤ32には動力軸としてのリングギヤ軸32aがそれぞれ連結されており、モータMG1が発電機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力をサンギヤ31側とリングギヤ32側にそのギヤ比に応じて分配し、モータMG1が電動機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力とサンギヤ31から入力されるモータMG1からの動力を統合してリングギヤ32側に出力する。リングギヤ32に出力された動力は、リングギヤ軸32aから変速機60,駆動軸36,デファレンシャルギヤ38を介して、最終的には車両の駆動輪39a,39bに出力される。
図2は、モータMG1,MG2を中心とした電気駆動系の構成の概略を示す構成図である。モータMG1,MG2は、図1および図2に示すように、いずれも永久磁石が貼り付けられたロータ45a,46aと三相コイルが巻回されたステータ45b,46bとを有し、発電機として駆動できると共に電動機として駆動できる周知の同期発電電動機として構成されており、インバータ41,42を介してバッテリ50と電力のやりとりを行なう。インバータ41,42は、いずれも6個のトランジスタT1〜T6,T7〜T12とトランジスタT1〜T6,T7〜T12に逆並列接続された6個のダイオードD1〜D6,D7〜D12とにより構成されている。各6個のトランジスタT1〜T6,T7〜T12は、バッテリ50の正極が接続された正極母線とバッテリ50の負極が接続された負極母線とに対してソース側とシンク側とになるよう2個ずつペアで配置され、その接続点にモータMG1,MG2の三相コイル(U相,V相,W相)の各々が接続されている。したがって、対をなすトランジスタT1〜T6,T7〜T12のオン時間の割合を調節することにより三相コイルに回転磁界を形成でき、モータMG1,MG2を回転駆動することができる。インバータ41,42とバッテリ50とを接続する電力ライン54は、各インバータ41,42が共用する正極母線および負極母線として構成されており、モータMG1,MG2のいずれかで発電される電力を他のモータで消費することができるようになっている。したがって、バッテリ50は、モータMG1,MG2のいずれかから生じた電力や不足する電力により充放電されることになる。なお、モータMG1,MG2により電力収支のバランスをとるものとすれば、バッテリ50は充放電されない。モータMG1,MG2は、いずれもモータ用電子制御ユニット(以下、モータECUという)40により駆動制御されている。モータECU40は、CPU40aを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU40aの他に処理プログラムを記憶するROM40bと、データを一時的に記憶するRAM40cと、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。モータECU40には、モータMG1,MG2を駆動制御するために必要な信号、例えばモータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ43,44からのモータMG1,MG2のロータ45a,46aの回転位置θm1,θm2や、モータMG1,MG2の三相コイルのU相,V相に流れる相電流を検出する電流センサ45U,45V,46U,46Vからの相電流Iu1,Iv1,Iu2,Iv2などが入力されており、モータECU40からは、インバータ41,42のトランジスタT1〜T6,T7〜T12へのスイッチング制御信号が出力されている。モータECU40は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によってモータMG1,MG2を駆動制御すると共に必要に応じてモータMG1,MG2の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。
変速機60は、図示しないブレーキやクラッチを有し、動力軸としてのリングギヤ軸32aと駆動軸36との接続および接続の解除を行なうと共に両軸の接続をリングギヤ軸32aの回転数を4段に変速して駆動軸36に伝達できるよう構成されている。
パーキングロック機構90は、駆動軸36に取り付けられたパーキングギヤ92と、パーキングギヤ92と噛み合ってその回転駆動を停止した状態でロックするパーキングロックポール94と、から構成されている。パーキングロックポール94は、他のレンジからPレンジへの操作信号またはPレンジから他のレンジへの操作信号を入力したハイブリッド用電子制御ユニット70により図示しないアクチュエータが駆動制御されることによって作動し、パーキングギヤ92との噛合およびその解除によりパーキングロックおよびその解除を行なう。駆動軸36は機械的に駆動輪39a,39bに接続されているから、パーキングロック機構90は間接的に駆動輪39a,39bをロックしていることになる。
バッテリ50は、バッテリ用電子制御ユニット(以下、バッテリECUという)52によって管理されている。バッテリECU52には、バッテリ50を管理するのに必要な信号、例えば、バッテリ50の端子間に設置された図示しない電圧センサからの端子間電圧,バッテリ50の出力端子に接続された電力ライン54に取り付けられた図示しない電流センサからの充放電電流,バッテリ50に取り付けられた温度センサ51からの電池温度Tbなどが入力されており、必要に応じてバッテリ50の状態に関するデータを通信によりハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。なお、バッテリECU52では、バッテリ50を管理するために電流センサにより検出された充放電電流の積算値に基づいて残容量SOCも演算している。
ハイブリッド用電子制御ユニット70は、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU72の他に処理プログラムを記憶するROM74と、データを一時的に記憶するRAM76と、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。ハイブリッド用電子制御ユニット70には、イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号,シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP,アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ88からの車速Vなどが入力ポートを介して入力されている。ハイブリッド用電子制御ユニット70からは、変速機60の図示しないブレーキやクラッチのアクチュエータへの駆動信号やパーキングロック機構90の図示しないアクチュエータへの駆動信号などが出力ポートを介して出力されている。ハイブリッド用電子制御ユニット70は、前述したように、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と通信ポートを介して接続されており、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と各種制御信号やデータのやりとりを行なっている。
なお、実施例のハイブリッド自動車20では、シフトポジションセンサ82により検出するシフトレバー81のポジションとしては、駐車ポジション(Pポジション)や中立ポジション(Nポジション),ドライブポジション(Dポジション),リバースポジション(Rポジション)などがある。シフトレバー81が駐車ポジションの状態のときには、通常、変速機60の図示しないブレーキやクラッチが開放されて動力軸としてのリングギヤ軸32aが駆動軸36から切り離される。
こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20は、運転者によるアクセルペダル83の踏み込み量に対応するアクセル開度Accと車速Vとに基づいて動力軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクを計算し、この要求トルクに対応する要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるように、エンジン22とモータMG1とモータMG2とが運転制御される。エンジン22とモータMG1とモータMG2の運転制御としては、要求動力に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にエンジン22から出力される動力のすべてが動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによってトルク変換されてリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御するトルク変換運転モードや要求動力とバッテリ50の充放電に必要な電力との和に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にバッテリ50の充放電を伴ってエンジン22から出力される動力の全部またはその一部が動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによるトルク変換を伴って要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御する充放電運転モード、エンジン22の運転を停止してモータMG2からの要求動力に見合う動力をリングギヤ軸32aに出力するよう運転制御するモータ運転モードなどがある。
次に、こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20の動作、特にシフトレバー81が駐車ポジションにあるときの動作について説明する。以下、まず、停止状態のエンジン22の始動する際の動作について説明し、その後、エンジン22が運転される際の動作やエンジン22を停止する際の動作について説明する。図3は、ハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される駐車ポジション時始動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、停止状態のエンジン22の始動要求がなされたときに実行される。ここで、エンジン22の始動要求は、実施例では、バッテリ50の充電要求やアイドル学習の要求,暖機運転の要求,エンジン22からの熱を用いて車室内の暖房を行なう暖房機器からの暖房要求などに基づいて行なわれるものとした。
図3の駐車ポジション時始動制御ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、回転制限制御フラグFに値1を設定してモータECU40に送信する(ステップS100)。ここで、回転制限制御フラグFは、モータECU40により、モータMG2のステータ46bの磁界の向きを固定してモータMG2のロータ46a(動力軸としてのリングギヤ軸32a)が回転しないようにする制御(以下、こうした制御を回転制限制御という)を実行するか否かを決定するフラグである。モータECU40は、回転制限制御フラグFに値1が設定されたときには回転制限制御を実行し、回転制限制御フラグFに値0が設定されたときには回転制限制御を実行しない。この回転制限制御について詳細は後述する。実施例では、エンジン22が停止しているときには回転制限制御フラグFに値0を設定するものとし、停止状態のエンジン22のモータリングを開始する際にステップS100の処理により回転制限制御フラグFに値1を設定するものとした。
次に、エンジン22の回転数Neやエンジン22のモータリング経過時間tを入力する(ステップS110)。ここで、エンジン22の回転数Neは、クランクシャフト26に取り付けられた図示しないクランクポジションセンサからの信号に基づいて計算されたものをエンジンECU24から通信により入力するものとした。また、モータリング経過時間tは、停止状態のエンジン22のモータリングが開始されてからの時間として図示しないタイマにより計測された時間を入力するものとした。
こうしてデータを入力すると、エンジン22の回転数やモータリング経過時間tを用いてモータMG1のトルク指令Tm1*を設定する(ステップS120)。モータMG1のトルク指令Tm1*は、実施例では、エンジン22の回転数Neやモータリング経過時間tとモータMG1のトルク指令Tm1*との関係を予め定めてトルク指令設定用マップとして記憶しておき、エンジン22の回転数Neやモータリング経過時間tが与えられると記憶したマップから対応するトルク指令Tm1*を導出して設定するものとした。トルク指令設定用マップの一例を図4に示す。図4のトルク指令設定用マップでは、図示するように、エンジン22の始動指示がなされた時刻t1の直後からレート処理を用いて迅速に比較的大きなトルクをトルク指令Tm1*に設定してエンジン22の回転数Neを迅速に増加させる。続いて、エンジン22の回転数Neが共振回転数帯を通過したか共振回転数帯を通過するのに必要な時間以降の時刻t2に、エンジン22を安定して所定回転数Nref以上でモータリングすることができるトルクをトルク指令Tm1*に設定し、電力消費や駆動軸としてのリングギヤ軸32aにおける反力を小さくする。ここで、所定回転数Nrefは、燃料噴射制御や点火制御を開始する回転数であり、実施例では、共振回転数帯より余裕をもって大きな回転数を設定するものとした。そして、エンジン22の回転数Neが所定回転数Nrefに至った時刻t3からレート処理を用いて迅速にトルク指令Tm1*を値0とし、エンジン22の完爆が判定された時刻t4に終了する。このようにエンジン22の始動指示がなされた直後に大きなトルクをモータMG1のトルク指令Tm1*に設定してエンジン22をモータリングすることにより、迅速にエンジン22を所定回転数Nref以上に回転させて始動させることができる。
続いて、モータMG1のトルク指令Tm1*に基づいて前述の軸トルクTrを計算する(ステップS130)。モータMG1によりエンジン22がモータリングされる際の動力分配統合機構30の回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図を図5に示す。図中、左のS軸はモータMG1の回転数Nm1であるサンギヤ31の回転数を示し、C軸はエンジン22の回転数Neであるキャリア34の回転数を示し、R軸はモータMG2の回転数Nm2であるリングギヤ32(リングギヤ軸32a)の回転数Nrを示す。また、図中、R軸上の太線矢印は、モータMG1から出力されたトルクTm1がリングギヤ軸32aに作用するトルクを示す。式(1)は、図5の共線図から容易に導き出すことができる。なお、以下では、説明の都合上、サンギヤ31,キャリア34,リングギヤ32の回転数は、図5中、値0よりも上側を正の回転数とすると共に値0よりも下側を負の回転数とする。また、エンジン22やモータMG1から出力されるトルクやリングギヤ軸32aに作用する軸トルクTrは、正の回転数を大きくしたり負の回転数を小さくしたりする方向のトルク(図5中、上向きのトルク)を正のトルクとすると共に正の回転数を小さくしたり負の回転数を大きくしたりする方向のトルク(図5中、下向きのトルク)を負のトルクとする。したがって、エンジン22をモータリングして始動する際には、正のトルクがモータMG1のトルク指令Tm1*に設定され、これに伴って負のトルクがリングギヤ軸32aに作用すると言える。
そして、計算した軸トルクTrに値(−1)を乗じることにより、軸トルクTrをキャンセルするためのキャンセルトルクTcを計算し(ステップS140)、エンジン22の回転数Neが所定回転数Nrefに至っているか否かを判定し(ステップS150)、エンジン22の回転数Neが所定回転数Nrefに至っていないと判定されたときには、正のキャンセルトルクTcに正の所定トルクTcrkを加えたトルク、即ちキャンセルトルクTcよりも所定トルクTcrkだけ絶対値が大きいトルクを回転制御用トルクTm2として設定し(ステップS160)、モータMG1のトルク指令Tm1*や回転制限制御用トルクTm2をモータECU40に送信し(ステップ170)、エンジン22が完爆したか否かを判定し(ステップS180)、未だエンジン22の燃料噴射制御や点火制御は行なわれていないため、エンジン22は完爆していないと判定され、ステップS110に戻る。ここで、所定トルクTcrkは、エンジン22やモータMG1からなる回転系のイナーシャや外乱などによってリングギヤ軸32aに作用し得るトルクやそれよりも若干大きなトルクなどに設定され、エンジン22やモータMG1,動力分配統合機構30の特性などに基づいて予め実験などにより定めることができる。また、回転制限制御用トルクTm2は、回転制限制御を実行する際にモータMG2に通電すべき電流値を設定するために用いるトルクである。モータMG1のトルク指令Tm1*や回転制限制御用トルクTm2を受信したモータECU40は、図示しない第1モータ制御ルーチンによりトルク指令Tm1*でモータMG1が駆動されるようインバータ41のトランジスタT1〜T6のスイッチング制御を行なうと共に、図6に例示する駐車ポジション時第2モータ制御ルーチンにより、絶対値が回転制限制御用トルクTm2の絶対値以下のトルクがリングギヤ軸32aに作用したときにリングギヤ軸32aが回転しないようにできる電流がモータMG2に通電されてモータMG2のステータ46bに固定磁界が形成されるようインバータ42のトランジスタT7〜T12のスイッチング制御を行なう。図6の駐車ポジション時第2モータ制御ルーチンについては後述する。
こうしてステップS110〜S180の処理を繰り返し実行している最中にステップS150でエンジン22の回転数Neが所定回転数Nrefに至っていると判定されると、燃料噴射制御や点火制御の開始をエンジンECU24に指示し(ステップS190)、正の所定トルクTfireを回転制限制御用トルクTm2として設定し(ステップS200)、モータMG1のトルク指令Tm1*や回転制限制御用トルクTm2をモータECU40に送信し(ステップS170)、完爆するのを待って(ステップS180)、駐車ポジション時始動制御ルーチンを終了する。ここで、所定トルクTfireは、エンジン22の初爆時にリングギヤ軸32aに作用し得るトルクやそれよりも若干大きいトルクなどに設定され、エンジン22や動力分配統合機構30の特性などに基づいて予め実験などにより定めることができる。なお、実施例では、エンジン22の回転数Neが所定回転数Nrefに至ったときに点火制御を開始するものとしたが、エンジン22のモータリングが開始されたときに図示しないクランクポジションセンサからの信号に基づいて行なわれる気筒判別が完了したときに点火制御を開始するものとしてもよい。
以上、図3の駐車ポジション時始動制御ルーチンの説明について説明した。次に、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの回転制限制御フラグFが値1のときにモータECU40により実行される回転制限制御について説明する。まず、回転制限制御を実行するときの様子の一例を図7に示す。図7に示すように、ステータ46bには、電流が通電されたU相,V相,W相の各々で形成される磁界を合成した合成磁界(図中、実線矢印参照)が形成される。回転制限制御を実行する際には、この合成磁界が回転しないようにモータMG2を制御するのである。以下、こうした回転しない合成磁界を固定磁界という。固定磁界の向きがモータMG2のロータ46aの永久磁石により形成される磁束の向き(d−q座標系におけるd軸の向き)と一致するときには、モータMG2からリングギヤ軸32aにトルクは出力されない。しかしながら、エンジン22が運転される際にエンジン22から動力分配統合機構30を介してリングギヤ軸32aに作用するトルクやエンジン22がモータリングされる際にモータMG1から出力されてリングギヤ軸32aに作用するトルク(以下、これらのトルクを軸トルクTrという)によってモータMG2のロータ46aが回転し、ステータ46bに形成される固定磁界の向きと現在のd軸の向きとがズレると、ステータ46bにより形成される固定磁界の向きと現在のd軸の向きとが略一致する方向にロータ46aにトルクが作用し(以下、このトルクを吸引トルクという)、軸トルクTrと吸引トルクとが釣り合う位置でロータ46aは停止する。実施例では、このようにしてモータMG2のロータ46aが回転しないようにするのである。なお、d−q座標系において、d軸はロータ46aに貼り付けられた永久磁石により形成される磁束の方向であり、q軸はd軸に対して電気角でπ/2だけ進角させた方向である。
次に、こうした回転制限制御を実行する、図6の駐車ポジション時第2モータ制御ルーチンについて説明する。このルーチンでは、回転制限制御フラグFが値1のときには回転制限制御を実行する。このルーチンは、シフトレバー81が駐車ポジションにあるときに所定時間毎(例えば、数msec毎)に繰り返し実行される。なお、シフトレバー81が駐車ポジションにあるか否かは、実施例では、シフトポジションセンサ82から入力されたシフトポジションSPに基づくフラグをハイブリッド用電子制御ユニット70から通信により入力してこのフラグを調べることにより判定するものとした。
駐車ポジション時第2モータ制御ルーチンが実行されると、モータECU40のCPU40aは、まず、回転位置検出センサ44からのモータMG2のロータ46aの回転位置θm2や電流センサ46U,46Vからの三相コイルのU相,V相に流れる相電流Iu2,Iv2,回転制限制御フラグF,回転制限制御用トルクTm2を入力すると共に(ステップS300)、入力したモータMG2のロータ46aの回転位置θm2に基づいて電気角θe2を計算する(ステップS310)。ここで、回転制限制御フラグFや回転制限制御用トルクTm2は、前述の図3の駐車ポジション時始動制御ルーチンにより設定されたものをハイブリッド用電子制御ユニット70から通信により入力するものとした。なお、回転制限制御フラグFには、前述したように、エンジン22が回転しているときには値1が設定され、エンジン22が停止しているときには値0が設定されている。
続いて、入力した回転制限制御フラグFの値を調べ(ステップS320)、回転制限制御フラグFが値0のときには、他の制御を実行して(ステップS330)、駐車ポジション時第2モータ制御ルーチンを終了する。ここで、他の制御としては、例えば、モータMG1のトルク指令Tm1*に基づいて、リングギヤ軸32aに作用する軸トルクTr(=−Tm1*/ρ)をキャンセルするためのキャンセルトルクTc(=−Tr)をモータMG2のトルク指令Tm2*として設定し、設定したトルク指令Tm2*でモータMG2が駆動されるようインバータ42のトランジスタT7〜T12のスイッチング制御を行なう制御(以下、この制御を軸トルクキャンセル制御という)などがある。なお、この他の制御は、本発明の中核をなさないため、これ以上の詳細な説明は省略する。
一方、ステップS320で回転制限フラグFが値1のときには、前回の回転制限フラグ(前回F)の値を調べ(ステップS340)、前回の回転制限フラグ(前回F)が値0のときには、電気角θe2を制御用電気角θesetとして設定し(ステップS350)、前回の回転制限フラグ(前回F)が値1のときにはステップS350の処理は行なわない。前述したように、回転制限フラグFは、停止状態のエンジン22のモータリングが開始される際に値0から値1に変更されるから、ステップS320,S340,S350の処理は、回転制限フラグFが値0から値1に変更されたとき、即ち、停止状態のエンジン22のモータリングが開始される際の電気角θe2を制御用電気角θesetとして設定する処理となる。
続いて、モータMG2の三相コイルのU相,V相,W相に流れる相電流Iu2,Iv2,Iw2の総和を値0として制御用電気角θesetを用いて次式(2)により相電流Iu2,Iv2をd軸およびq軸の電流Id2,Iq2に座標変換(3相−2相変換)し(ステップS360)、回転制限制御用トルクTm2の絶対値に基づいて制御用電気角θesetにおけるd軸の電流指令Id2*を設定すると共にq軸の電流指令Iq2*に値0を設定する(ステップS370)。d軸の電流指令Id2*は、実施例では、絶対値が回転制限制御用トルクTm2の絶対値以下のトルクが動力軸としてのリングギヤ軸32aに作用したときにリングギヤ軸32aが回転しないようにすることができる電流値を回転制限制御用トルクTm2の絶対値に基づいて設定するものとした。
こうして電流指令Id2*,Iq2*を設定すると、設定した電流指令Id2*,Iq2*と電流Id2,Iq2とを用いて次式(3)および式(4)によりd軸およびq軸の電圧指令Vd2*,Vq2*を計算すると共に(ステップS380)、計算したd軸およびq軸の電圧指令Vd2*,Vq2*を制御用電気角θesetを用いて式(5)および式(6)によりモータMG2の三相コイルのU相,V相,W相に通電すべき電圧指令Vu2*,Vv2*,Vw2*に座標変換(2相−3相変換)し(ステップS390)、座標変換した電圧指令Vu2*,Vv2*,Vw2*をインバータ42のトランジスタT7〜T12をスイッチングするためのPWM信号に変換し(ステップS400)、変換したPWM信号をインバータ42のトランジスタT7〜T12に出力することによりモータMG2を駆動制御して(ステップS410)、駐車ポジション時第2モータ制御ルーチンを終了する。ここで、式(3)および式(4)中、「k3」および「k5」は比例係数であり、「k4」および「k6」は積分係数である。
このように、実施例では、モータMG1によってエンジン22をモータリングする際には、キャンセルトルクTcよりも所定トルクTcrkだけ絶対値が大きいトルクを回転制限制御用トルクTm2として設定し、設定した回転制限制御用トルクTm2の大きさに基づいて制御用電気角θesetにおけるd軸の電流指令Id2*を設定すると共に制御用電気角θesetにおけるq軸の電流指令Iq2*に値0を設定し、設定したd軸,q軸の電流指令Iq2*を用いてモータMG2を制御することにより、前述の回転制限制御を実行するのである。また、エンジン22の初爆の際には、所定トルクTfireを回転制限制御用トルクTm2として設定し、この回転制限制御用トルクTm2を用いてエンジン22をモータリングする際と同様にモータMG2を制御することにより、回転制限制御を実行するのである。
図8は、エンジン22をモータリングして始動する際のモータMG1のトルク指令Tm1*と回転制限制御用トルクTm2と制御用電気角θesetにおけるd軸の電流指令Id2*との関係の一例を示す説明図である。時刻t11〜t12でエンジン22をモータリングする際には、図示するように、正のキャンセルトルクTcに正の所定トルクTcrkを加えたトルク、即ちキャンセルトルクTcよりも所定トルクTcrkだけ絶対値が大きいトルクを回転制限制御用トルクTm2として設定すると共にこの回転制限制御用トルクTm2の絶対値に基づいて制御用電気角θesetにおけるd軸の電流指令Id2*を設定して回転制限制御を実行する。エンジン22をモータリングする際には、エンジン22やモータMG1からなる回転系のイナーシャや外乱などに基づくトルクがリングギヤ軸32aに作用するときに、キャンセルトルクTc(=−Tr)の絶対値よりも絶対値が大きいトルクがリングギヤ軸32aに作用することがある。したがって、実施例では、キャンセルトルクTcよりも所定トルクTcrkだけ絶対値が大きいトルクを回転制限制御用トルクTm2として設定して回転制限制御を実行するものとした。これにより、こうしたイナーシャや外乱に基づくトルクがリングギヤ軸32aに作用したときでも、より適正にリングギヤ軸32aが回転するのを抑制することができる。また、図8に示すように、時刻t12以降のエンジン22の初爆の際には、エンジン22が完爆する時刻t13まで正の所定トルクTfireを回転制限制御用トルクTm2として設定すると共にこの回転制限制御用トルクTm2の絶対値に基づいて制御用電気角θesetにおけるd軸の電流指令Id2*を設定して回転制限制御を実行する。動力分配統合機構30を介してエンジン22とモータMG1とリングギヤ軸32aとは互いに接続されているため、エンジン22の初爆時には、モータMG1から出力されるトルクが小さかったとしても、モータMG1のロータ45aの質量(マス)などによりエンジン22からのトルクの一部はリングギヤ軸32aに出力される。このトルクは、エンジン22をモータリングする際に回転系のイナーシャや外乱などに基づいてリングギヤ軸32aに作用するトルクよりも大きくなることがあるため、実施例では、キャンセルトルクTcや所定トルクTcrkを用いずに、所定トルクTfireを回転制限制御用トルクTm2として設定するものとした。これにより、エンジン22の初爆時でも、リングギヤ軸32aが回転するのを抑制することができる。
次に、エンジン22の始動が完了した後の動作について説明する。エンジン22の始動が完了すると、ハイブリッド用電子制御ユニット70は、図9の駐車ポジション時運転制御ルーチンを実行する。このルーチンは、エンジン22が始動された後に所定時間毎(例えば、数msec毎)に繰り返し実行される。駐車ポジション時運転制御ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、エンジン22の回転数Neやバッテリ50が要求する充放電要求パワーPb*を入力する(ステップS500)。ここで、エンジン22の回転数Neについては前述の図3の駐車ポジション時始動制御ルーチンと同様に入力するものとした。また、充放電要求パワーPb*は、バッテリ50の残容量SOCに基づいて設定されたものをバッテリECU52から通信により入力するものとした。
続いて、エンジン22に対して負荷運転が要求されているかアイドル運転が要求されているかを判定する(ステップS510)。この判定は、バッテリ50の充放電要求パワーPb*に基づくバッテリ50の充電要求の有無や、アイドル学習の要求の有無,暖機運転の要求の有無,エンジン22からの熱を用いて車室内の暖房を行なう暖房機器からの暖房要求などに基づいて行なわれる。実施例では、バッテリ50の充電要求がなされているときに負荷運転されていると判定され、アイドル学習の要求や暖機運転の要求,暖房要求がなされているときにアイドル運転が要求されていると判定するものとした。エンジン22に対して負荷運転が要求されていると判定されたときには、充放電要求パワーPb*に基づいてエンジン22の目標回転数Ne*や目標トルクTe*を設定すると共に(ステップS520)、設定したエンジン22の目標回転数Ne*とリングギヤ軸32aの回転数Nr(モータMG2の回転数Nm2)と動力分配統合機構30のギヤ比ρとを用いて次式(7)によりモータMG1の目標回転数Nm1を計算すると共に計算したモータMG1の目標回転数Nm1*と現在の回転数Nm1とに基づいて式(8)によりモータMG1のトルク指令Tm1*を計算する(ステップS530)。ここで、式(7)は動力分配統合機構30の回転要素に対する力学的な関係式である。エンジン22が負荷運転される際の動力分配統合機構30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図を図10に示す。式(7)は、この共線図を用いれば容易に導くことができる。式(8)は、エンジン22から出力されてサンギヤ31に作用するトルクに対して釣り合いを取るためのトルクと、モータMG1の目標回転数Nm1*と回転数Nm1との差を打ち消すためのトルクと、の和としてモータMG1のトルク指令Tm1*を設定する式である。式(8)中、右辺第1項は図10の共線図から容易に導き出すことができる。また、式(8)中、右辺第2項および第3項はモータMG1を目標回転数Nm1*で回転させるためのフィードバック制御の項であり、右辺第2項の「k1」は比例項のゲインであり、右辺第3項の「k2」は積分項のゲインである。そして、モータMG1のトルク指令Tm1*に基づいて前述の式(1)により軸トルクTrを計算すると共に(ステップS540)、計算した軸トルクTrに値(−1)を乗じてキャンセルトルクTcを計算し(ステップS550)、計算したキャンセルトルクTcに値1より大きい補正係数βdrvを乗じたトルクを回転制限制御用トルクTm2として設定する(ステップS560)。ここで、補正係数βdrvは、エンジン22が負荷運転されているときにリングギヤ軸32aに出力され得るトルク変動やそれよりも若干大きいトルクなどに基づいて設定され、エンジン22や動力分配統合機構30の特性などに基づいて予め実験などにより定めることができる。この場合、キャンセルトルクTcより所定トルクだけ絶対値が大きいトルクではなく、キャンセルトルクTcに補正係数βdrvを乗じたトルクを回転制限制御用トルクTm2として設定するのは、エンジン22から出力されるトルクが大きいほどリングギヤ軸32aに作用するトルク変動も大きくなると考えられるためである。シフトレバー81が駐車ポジションにあるときにバッテリ50の充電のためにエンジン22が負荷運転されるときには、通常、エンジン22の回転数やトルクは急変しないため、図10に示すように、モータMG1からは負のトルクが出力され、キャンセルトルクTcや回転制限制御用トルクTm2には負のトルクが設定されることになる。
一方、ステップS510でエンジン22に対してアイドル運転が要求されていると判定されたときには、エンジン22の目標回転数Ne*にアイドル回転数Nidlを設定すると共に目標トルクTe*に値0を設定し(ステップS570)、モータMG1のトルク指令Tm1*に値0を設定し(ステップS580)、負の所定トルクTidlを回転制限制御用トルクTm2として設定する(ステップS590)。ここで、所定トルクTidlは、外乱などによってリングギヤ軸32aに作用し得るトルクやそれよりも絶対値が若干大きいトルクなどに設定され、エンジン22や動力分配統合機構30の特性などに基づいて予め実験などにより定めることができる。ここで、所定トルクTidlに負のトルクを設定するのは以下の理由による。エンジン22が負荷運転されるときには、通常、前述したように、回転制限制御用トルクTm2に負のトルクが設定される。また、後述するが、エンジン22を停止させるためにモータMG1によってエンジン22をモータリングするときにも回転制限制御用トルクTm2には負のトルクが設定される。したがって、エンジン22がアイドル運転されるときに正のトルクを回転制限制御用トルクTm2として設定すると、エンジン22の運転状態を負荷運転からアイドル運転に移行する際やアイドル運転から負荷運転に移行する際,アイドル運転からエンジン22を停止する際に回転制限制御用トルクTm2が値0を跨いで変化することになる。回転制限制御では、前述したように、回転制限制御用トルクTm2の絶対値に基づいて制御用電気角θesetにおけるd軸の電流指令Id2*を設定するため、回転制限制御用トルクTm2が値0を跨ぐ際には、d軸の電流指令Id2*が非常に小さくなり、リングギヤ軸32aが回転するのを十分に抑制することができない。実施例では、こうした不都合を回避するために、エンジン22がアイドル運転されているときには、負の所定トルクTidlを回転制限制御用トルクとして設定するものとした。
次に、エンジン22の現在の運転状態(負荷運転またはアイドル運転)が所定時間tref1以上に亘って継続されているか否かを判定し(ステップS600)、エンジン22の現在の運転状態が所定時間tref1以上に亘って継続されていると判定されたときには、モータMG1のトルク指令Tm1*や回転制限制御用トルクTm2をモータECU40に送信して(ステップS620)、駐車ポジション時運転制御ルーチンを終了し、エンジン22の現在の運転状態が未だ所定時間tref1に亘って継続されていないと判定されたときには、ステップS560,S590で設定した回転制限制御用トルクTm2に負の所定トルクTtraを加えたトルク、即ちトルク(Tc・βdrv)やトルクTidlよりも所定トルク(−Ttra)だけ絶対値が大きいトルクを回転制限制御用トルクTm2として再設定し(ステップS610)、モータMG1のトルク指令Tm1*や回転制限制御用トルクTm2をモータECU40に送信して(ステップS620)、駐車ポジション時運転制御ルーチンを終了する。ここで、所定時間tref1は、エンジン22の運転状態が移行されてからエンジン22やモータMG1からなる回転系のイナーシャがリングギヤ軸32aに作用しなくなるまでの時間やそれよりも若干長い時間などに設定され、エンジン22やモータMG1の特性などに基づいて予め実験などにより定めることができる。また、所定トルクTtraは、こうしたイナーシャによってリングギヤ軸32aに作用するトルクやそれよりも絶対値が若干大きいトルクなどに設定され、エンジン22やモータMG1,動力分配統合機構30の特性などに基づいて予め実験などにより定められる。いま、エンジン22の運転状態が負荷運転状態からアイドル運転状態に変更されたときを考える。エンジン22の回転数Neを負荷運転時の回転数からアイドル運転時の回転数に変化させる際には、エンジン22やモータMG1からなる回転系のイナーシャがリングギヤ軸32aに作用する。したがって、実施例では、所定トルクTidlよりも所定トルク(−Ttra)だけ絶対値が大きいトルクを回転制限制御用トルクTm2として用いて回転制限制御を実行するものとした。これにより、エンジン22の運転状態が負荷運転とアイドル運転との間で変更されたときでも、より適正にリングギヤ軸32aが回転しないようにすることができる。
図11は、エンジン22を始動した後にエンジン22を負荷運転し、その後、アイドル運転する際のモータMG1のトルク指令Tm1*と回転制限制御用トルクTm2との関係の一例を示す説明図である。図11の例では、時刻t13でエンジン22の始動が完了した後に、時刻t13〜t14でエンジン22が負荷運転されている際には、負のキャンセルトルクTcに補正係数βdrvを乗じたトルク(Tc・βdrv)を回転制限制御用トルクTm2として設定すると共にこの回転制限制御用トルクTm2の絶対値に基づいて制御用電気角θesetにおけるd軸の電流指令Id2*を設定して回転制限制御を実行する。そして、時刻t14でエンジン22の運転状態が負荷運転からアイドル運転に移行されると、所定時間tref1が経過するまではトルク(Tidl+Ttra)、即ち略値0のキャンセルトルクTcよりも絶対値がトルク(−Tidl−Ttra)だけ大きいトルクを回転制限制御用トルクTm2として設定して同様に回転制限制御を実行し、所定時間tref1が経過した時刻t15以降は所定トルクTidl、即ち略値0のキャンセルトルクTcよりも絶対値がトルク(−Tidl)だけ大きいトルクを回転制限制御用トルクTm2として設定して同様に回転制限制御を実行する。このように、エンジン22の運転状態(負荷運転やアイドル運転)や運転状態が変更された直後か否かなどに基づいてキャンセルトルクTcよりも絶対値が大きいトルクを回転制限制御用トルクTm2として設定して回転制限制御を実行することにより、より適正にリングギヤ軸32aが回転しないようにすることができる。しかも、エンジン22が運転されているときには、その運転状態に拘わらず、回転制限制御用トルクTm2に負のトルクを設定することにより、エンジン22が運転されている最中に回転制限制御用トルクTm2が値0を跨いで変化するのを抑制することができる。
次に、図9の駐車ポジション時運転制御ルーチンが繰り返し実行されている最中にエンジン22の停止要求がなされたときの動作について説明する。このときには、ハイブリッド用電子制御ユニット70は、図9のルーチンに代えて、図12の駐車ポジション時停止制御ルーチンを実行する。このルーチンは、運転状態のエンジン22の停止要求がなされてからエンジン22が停止するまで所定時間毎(例えば、数msec毎)に繰り返し実行される。ここで、エンジン22の停止要求は、バッテリ50の充電要求の有無や、アイドル学習が完了したか否か,暖機運転の要求の有無,エンジン22からの熱を用いて車室内の暖房を行なう暖房機器からの暖房要求などに基づいて行なうことができる。
駐車ポジション時運転制御ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、前述の図3の駐車ポジション時始動制御ルーチンと同様にエンジン22の回転数Neを入力し(ステップS700)、入力したエンジン22の回転数Neを調べ(ステップS710)、エンジン22の回転数Neが値0でないときには、エンジン22は未だ停止していないと判断し、エンジン22の燃料カット指令をエンジンECU24に送信し(ステップS720)、エンジン22の回転数Neに基づいてモータMG1のトルク指令Tm1*を設定する(ステップS730)。燃料カット指令を受信したエンジンECU24は、エンジン22の燃料噴射を停止するよう図示しない燃料噴射弁を制御する。また、トルク指令Tm1*は、実施例では、図13のエンジン22を停止する際のモータMG1のトルク指令Tm1*とエンジン22の回転数Neとの関係の一例に示すように、エンジン22の回転数Neが停止直前回転数Nstpに達するまでエンジン22の回転を抑制するトルクをトルク指令Tm1*に設定し、回転数Neが停止直前回転数Nstpに達したタイミング(時刻t5)でピストンを保持するトルクに切り替わるよう設定されている。ここで、停止直前回転数Nstpは、エンジン22が停止する直前の回転数として予め設定されたものであり、実施例では、およそエンジン22の圧縮工程間の角度(例えば、4気筒のエンジンの場合には180°CAなど)を回転して停止するようエンジン22の回転数(例えば、300rpmなど)を実験などにより求めて予め設定しておくものとした。
続いて、設定したモータMG1のトルク指令Tm1*を用いて前述の式(1)により軸トルクTrを計算し(ステップS740)、計算した軸トルクTrに値(−1)を乗じてキャンセルトルクTcを計算し(ステップS750)、エンジン22の燃料カットが開始されてから所定時間tref2が経過したか否かを判定する(ステップS760)。ここで、所定時間tref2は、エンジン22の燃料カットを行なうことによる影響がリングギヤ軸32aに作用しなくなるまでの時間やそれよりも若干長い時間などに設定され、エンジン22の特性などに基づいて予め実験などにより定められる。エンジン22が運転されている状態からエンジン22の燃料カットが開始されるときには、エンジン22から急にトルクが出力されなくなることによってリングギヤ32に作用するトルクが大きく変動することがある。こうした理由により、実施例では、ステップS650でエンジン22の燃料カットが開始されてから所定時間tref2が経過したか否かを判定するものとした。
エンジン22の燃料カットが開始されてから所定時間tref2が経過していないと判定されたときには、負の所定トルクTfcを回転制限制御用トルクTm2として設定し(ステップS770)、モータMG1のトルク指令Tm1*や回転制限制御トルクTm2をモータECU40に送信して(ステップS780)、駐車ポジション時停止制御ルーチンを終了する。ここで、所定トルクTfcは、エンジン22の燃料カットが開始されたときにリングギヤ軸32aに作用し得るトルクやそれよりも絶対値が若干大きいトルクなどに設定され、エンジン22や動力分配統合機構30の特性などに基づいて予め実験などにより定めることができる。
ステップS760でエンジン22の燃料カットが開始されてから所定時間tref2が経過したと判定されたときには、キャンセルトルクTcの値を調べ(ステップS790)、キャンセルトルクTcが負の値のときには、キャンセルトルクTcに負の所定トルクTstpを加えたトルクを回転制限制御用トルクTm2として設定し(ステップS800)、モータMG1のトルク指令Tm1*や回転制限制御用トルクTm2をモータECU40に送信して(ステップS780)、駐車ポジション時停止制御ルーチンを終了する。一方、キャンセルトルクTcが値0以上のときには、キャンセルトルクTcに値(−1)を乗じたものに負の所定トルクTstpを加えたトルクを回転制限制御用トルクTm2として設定し(ステップS810)、モータMG1のトルク指令Tm1*や回転制限制御用トルクTm2をモータECU40に送信して(ステップS780)、駐車ポジション時停止制御ルーチンを終了する。ここで、所定トルクTstpは、エンジン22やモータMG1からなる回転系のイナーシャや外乱などによってリングギヤ軸32aに作用し得るトルクやそれよりも絶対値が若干大きなトルクなどに設定され、エンジン22やモータMG1の特性などに基づいて予め実験などにより定めることができる。また、ステップS800,S810の処理では、キャンセルトルクTcよりも所定トルク(−tstp)だけ絶対値が大きいトルクを回転制限制御用トルクTm2として設定することになる。さらに、ステップS800,S810の処理で設定される回転制限制御用トルクTm2は、キャンセルトルクTcの値に拘わらず負のトルクとなる。これにより、エンジン22を停止させるためにモータMG1によってエンジン22をモータリングしている最中に回転制限制御用トルクTm2が値0を跨ぐのを回避することができる。この結果、エンジン22をモータリングしている最中にd軸の電流指令Id2*に非常に小さくなるのを回避することができ、より適正にリングギヤ軸32aが回転するのを抑制することができる。
こうしてステップS710でエンジン22の回転数Neが値0に至ったと判定されると、エンジン22が停止したと判断し、回転制限制御フラグFに値0を設定してモータECU40に送信し(ステップS820)、駐車ポジション時停止制御ルーチンを終了する。こうして回転制限制御フラグFに値0が設定されると、モータECU40では、回転制限制御は実行されない。実施例では、停止状態のエンジン22のモータリングが開始されるときに回転制限制御フラグFに値1が設定され、エンジン22が停止したときに回転制限制御フラグFに値0が設定されるため、回転制限制御は、エンジン22が回転している間に亘って実行されることになる。そして、この回転制限制御を実行する際には、キャンセルトルクTcよりも絶対値が大きいトルクを回転制限制御用トルクTm2として設定することにより、軸トルクTrと同一符号のトルクを回転制限制御用トルクTm2として設定するものに比して回転制限制御から前述の軸トルクキャンセル制御(キャンセルトルクTcをモータMG2のトルク指令Tm2*として設定し、設定したトルク指令Tm2*でモータMG2が駆動されるようインバータ42のトランジスタT7〜T12のスイッチング制御を行なう制御)など他の制御に移行する際に、移行を容易に行なうことができる。
図14は、エンジン22を停止する際のモータMG1のトルク指令Tm1*と回転制限制御用トルクTm2との関係の一例を示す説明図である。図14の例では、エンジン22のモータリングおよびエンジン22の燃料カットが開始された時刻t16から所定時間tref2が経過するまでは負の所定トルクTfcを回転制限制御用トルクTm2として設定すると共にこの回転制限制御用トルクTm2の絶対値に基づいて制御用電気角θesetにおけるd軸の電流指令Id2*を設定して回転制限制御を実行し、所定時間tref2が経過した時刻t17以降はキャンセルトルクTcが負の値の間(時刻t17〜t18)はキャンセルトルクTcに所定トルクTstpを加えたトルクを回転制限制御用トルクTm2として設定して同様に回転制限制御を実行し、キャンセルトルクTcが値0以上のとき(時刻t18以降)にはキャンセルトルクTcに値(−1)を乗じたものに所定トルクTstpを加えたトルクを回転制限制御用トルクTm2として設定して同様に回転制限制御を実行し、エンジン22が停止した時刻t19に回転制限制御の実行を終了する。このように、燃料カットが開始された直後か否かなどに基づいてキャンセルトルクTcよりも絶対値が大きいトルクを回転制限制御用トルクTm2として設定して回転制限制御を実行することにより、より適正にリングギヤ軸32aが回転しないようにすることができる。しかも、エンジン22を停止させるためにモータリングする際には、キャンセルトルクTcの値に拘わらず回転制限制御用トルクTm2に負のトルクを設定することにより、エンジン22を停止させるためにモータリングしている最中に回転制限制御用トルクTm2が値0を跨いで変化するのを回避することができる。
以上説明した実施例のハイブリッド自動車20によれば、シフトレバー81が駐車ポジションにあるときには、モータMG1から出力されてリングギヤ軸32aに作用する軸トルクTr(−Tm1*/ρ)をキャンセルするためのキャンセルトルクTcよりも絶対値が大きいトルクを回転制限制御用トルクTm2として設定してモータMG2のステータ46bの磁界の向きを固定してロータ46a(リングギヤ軸32a)が回転しないようモータMG2を制御するから、キャンセルトルクTcをそのまま回転制限制御用トルクTm2として設定してモータMG2のステータ46bの磁界の向きを固定してロータ46aが回転しないようモータMG2を制御するものに比してより適正にロータ46aが回転するのを抑制することができる。しかも、実施例のハイブリッド自動車20によれば、エンジン22の運転状態(アイドル運転状態や負荷運転状態)やモータMG1の駆動状態(エンジン22を始動や停止させるためにモータリングする際の駆動状態や、エンジン22がアイドル運転や負荷運転される際の駆動状態)に基づいてキャンセルトルクTcよりも絶対値が大きいトルクを回転制限制御用トルクTm2として設定するから、エンジン22の運転状態やモータMG1の駆動状態に応じてより適正にロータ46aが回転しないようにすることができる。
また、実施例のハイブリッド自動車20によれば、エンジン22が運転される際やエンジン22を停止させるためにモータMG1によってエンジン22をモータリングする際には、キャンセルトルクTcの値に拘わらず回転制限制御用トルクTm2に負のトルクを設定するから、エンジン22が運転されている最中やエンジン22をモータリングしている最中に回転制限制御用トルクTm2が値0を跨いで変化するのを回避することができ、より適正にリングギヤ軸32aが回転するのを抑制することができる。
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22を始動させるためにモータMG1によってエンジン22をモータリングする際には、正のキャンセルトルクTcに正の所定トルクTcrkを加えたトルクを回転制限制御用トルクTm2として設定するものとしたが、キャンセルトルクTcよりも絶対値が大きくなるトルクであれば、キャンセルトルクTcに値1より大きい補正係数を乗じたトルクを回転制限制御用トルクTm2として設定するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22の初爆の際には、所定トルクTfireを回転制限制御用トルクTm2として設定するものとしたが、キャンセルトルクTcなどに基づくトルク、例えば、キャンセルトルクTcに正の所定トルクTcrkを加えたトルクを回転制限制御用トルクTm2として設定するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22が負荷運転されているときには、負のキャンセルトルクTcに補正係数βdrvを乗じたトルクを回転制限制御用トルクTm2として設定するものとしたが、負のキャンセルトルクTcに負の所定トルクを加えたトルクを回転制限制御用トルクTm2として設定するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22が負荷運転されているときには、負のキャンセルトルクTcに補正係数βdrvを乗じたトルクを回転制限制御用トルクTm2として設定するものとしたが、負のキャンセルトルクTcに補正係数βdrvを乗じたトルクが所定トルクTref1より大きいとき、即ちキャンセルトルクTcに補正係数βdrvを乗じたトルクの絶対値が所定トルクTref1の絶対値より小さいときには、所定トルクTref1を回転制限制御用トルクTm2として再設定するものとしてもよい。こうすれば、軸トルクTrが非常に小さいとき、即ちキャンセルトルクTcに補正係数βdrvを乗じたトルクの絶対値が非常に小さいときに、外乱などによってリングギヤ軸32aが回転してしまうのをより適正に抑制することができる。なお、エンジン22が負荷運転されているときに限られず、キャンセルトルクTcよりも絶対値が大きくなるよう設定されたトルクの絶対値がキャンセルトルクTcと同一符号の所定トルクTref2の絶対値よりも小さいときには、所定トルクTref2を回転制限制御用トルクTm2として再設定するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22がアイドル運転されているときには、負の所定トルクTidlを回転制限制御用トルクTm2として設定するものとしたが、正の所定トルク(例えば、所定トルク(−Tidl)に相当するトルクなど)を回転制限制御用トルクTm2として設定するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22の運転状態がアイドル運転と負荷運転との間で移行されたときには、移行されてから所定時間tref1が経過するまでは移行後の運転状態に基づいて設定されるトルクTidlやトルク(Tc・βdrv)に負の所定トルクTtraを加えたトルクを回転制限制御用トルクTm2として設定し、移行されてから所定時間tref1が経過した以降は移行後の運転状態に基づいて設定されるトルクTidlやトルク(Tc・βdrv)を回転制限制御用トルクTm2として設定するものとしたが、移行されてから所定時間tref1が経過したか否かに拘わらず、トルクTidlやトルク(Tc・βdrv)を回転制限制御用トルクTm2として設定するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22を停止させるためにモータMG1によってエンジン22をモータリングする際には、キャンセルトルクTcが負の値のときにはキャンセルトルクTcに負の所定トルクTstpを加えたトルクを回転制限制御用トルクTm2として設定し、キャンセルトルクTcが値0以上のときにはキャンセルトルクTcに値(−1)を乗じたものに負の所定トルクTstpを加えたトルクを回転制限制御用トルクTm2として設定するものとしたが、キャンセルトルクTcが負の値のときには値1より大きい補正係数を乗じたトルクを回転制限制御用トルクTm2として設定し、キャンセルトルクTcが値0以上のときにはキャンセルトルクTcに値(−1)を乗じたものに値1より大きい補正係数を乗じたトルクを回転制限制御用トルクTm2として設定するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22を停止させるためにモータMG1によってエンジン22をモータリングする際にキャンセルトルクTcが値0以上のときには、キャンセルトルクTcに値(−1)を乗じたものに負の所定トルクTstpを加えたトルクを回転制限制御用トルクTm2として設定するものとしたが、キャンセルトルクTcに正の所定トルク(例えば、所定トルク(−Tstp)に相当するトルクなど)を加えたトルクを回転制限制御用トルクTm2として設定するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22を停止させるためにモータMG1によってエンジン22をモータリングする際に、エンジン22の燃料カットが開始されてから所定時間tref2が経過するまでは負の所定トルクTfcを回転制限制御用トルクTm2として設定するものとしたが、負のキャンセルトルクTcに負の所定トルクを加えたトルクや負のキャンセルトルクTcに値1より大きい補正係数を乗じたトルクなどを回転制限制御用トルクTm2として設定するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、キャンセルトルクTc(=−Tr)よりも絶対値が大きいトルクを回転制限制御用トルクTm2として設定するものとしたが、キャンセルトルクTcに代えて、軸トルクTrよりも絶対値が大きいトルクを回転制限制御用トルクTm2として用いるものとしてもよい。この場合でも、実施例と同様に、回転制限制御用トルクTm2の絶対値に基づいて制御用電気角θesetにおけるd軸の電流指令Id2*を設定して回転制限制御を実行することにより、リングギヤ軸32aが回転するのを抑制することができる。
実施例のハイブリッド自動車20では、停止状態のエンジン22のモータリングが開始されたときの電気角θe2を制御用電気角θesetとして設定するものとしたが、停止状態のエンジン22のモータリングが開始されたときの電気角θe2に限られず、例えば、エンジン22が停止状態であるとき即ちエンジン22のモータリングが開始される前の電気角θe2などを制御用電気角θesetとして設定するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22が停止しているときには、他の制御を実行するものとしたが、エンジン22が運転されているときやモータリングされているときと同様に、モータMG2のステータ46bの磁界の向きを固定してロータ46aが回転しないようモータMG2を制御するものとしてもよい。この場合、制御用電気角θesetとしては、例えば、エンジン22が停止状態のときの電気角θe2を用いることができる。
実施例のハイブリッド自動車20では、d−q座標系に対して回転制限制御用トルクTm2に基づいて制御用電気角θesetにおけるd軸の電流指令Id2*を設定すると共にq軸の電流指令Iq2*に値0を設定し、設定したd軸およびq軸の電流指令Id2*,Iq2*に基づいてモータMG2を制御するものとしたが、回転制限制御用トルクTm2に基づく電流をモータMG2に通電してモータMG2のステータ46bの磁界の向きを固定するものであれば、3相−2相変換することなくモータMG2を制御するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、4段の変速段をもって変速可能な変速機60を用いるものとしたが、変速段は4段に限られるものではなく、2段以上の変速段をもって変速可能な変速機であればよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、駆動輪39a,39bに連結された駆動軸36に変速機60を介して接続された動力軸としてのリングギヤ軸32aにエンジン22からの動力を動力分配統合機構30を介して出力するものとしたが、図15の変形例のハイブリッド自動車120に例示するように、エンジン22のクランクシャフト26に接続されたインナーロータ132と駆動輪39a,39bに動力を出力する駆動軸36に変速機60を介して接続された動力軸32bに接続されたアウターロータ134とを有し、エンジン22の動力の一部を動力軸32b,変速機60,駆動軸36を介して駆動輪39a,39bに伝達すると共に残余の動力を電力に変換する対ロータ電動機130を備えるものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22や動力分配統合機構30,モータMG1を動力源として備えるものとしたが、動力源としては、エンジンだけを備えるものとしてもよいし、モータだけを備えるものとしてもよい。
ここで、実施例や変形例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、エンジン22とエンジン22のクランクシャフト26にキャリア34が接続されると共に動力軸としてのリングギヤ軸32aにリングギヤ32が接続された動力分配統合機構30と動力分配統合機構30のサンギヤ31に接続されたモータMG1とが「動力源」に相当し、動力軸としてのリングギヤ軸32aにロータ46aが接続されステータ46bの回転磁界によりロータ46aを回転駆動させてリングギヤ軸32aに動力を入出力するモータMG2が「電動機」に相当し、モータMG1,MG2と電力をやりとりするバッテリ50が「蓄電手段」に相当し、動力軸としてのリングギヤ軸32aと駆動輪39a,39bに連結された駆動軸36との間の変速段の変更を伴う動力の伝達とリングギヤ軸32aと駆動軸36との接続の解除を行なう変速機60が「変速手段」に相当し、エンジン22の運転状態(負荷運転やアイドル運転)やモータMG1の駆動状態(エンジン22を始動や停止させるためのモータリング時における駆動状態やエンジン22が負荷運転やアイドル運転されているときにおける駆動状態)に基づいて軸トルクTr(=−Tm1*/ρ)をキャンセルするためのキャンセルトルクTcよりも絶対値が大きいトルクを回転制限制御用トルクTm2として設定してモータECU40に送信するS160,S170,S200,S560,S590,S610,S620,S770,S780,S800,S810の処理を実行するハイブリッド用電子制御ユニット70やハイブリッド用電子制御ユニット70からの回転制限制御フラグFが値1のときに回転制限制御用トルク指令Tm2に基づいて制御用電気角θesetにおけるd軸の電流指令Id2*を設定すると共にq軸の電流指令Iq2*に値0を設定するS370の処理とd軸,q軸の電流指令Iq2*,Iq2*を用いてモータMG2を制御するS380〜S410の処理とを実行するモータECU40が「制御手段」に相当する。また、モータMG2のロータ46aの回転位置θm2を検出する回転位置検出センサ44や検出した回転位置θm2に基づいて電気角θe2を計算するS310の処理を実行するモータECU40が「回転位置検出手段」に相当し、停止状態のエンジン22のモータリングを開始するときの電気角θe2を制御用電気角θesetとして設定するS320,S340,S350の処理を実行するモータECU40が「制御用回転位置設定手段」に相当する。なお、実施例や変形例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための最良の形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
実施例では、ハイブリッド自動車の形態として用いるものとしたが、自動車以外の車両の形態としてもよいし、こうした車両の制御方法の形態としてもよい。
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、車両の製造産業などに利用可能である。
本発明の一実施例であるハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。 モータMG1,MG2を中心とした電気駆動系の構成の概略を示す構成図である。 ハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される駐車ポジション時始動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。 トルク指令設定用マップの一例を示す説明図である。 モータMG1によりエンジン22がモータリングされる際の動力分配統合機構30の回転要素を力学的に説明するための共線図の一例を示す説明図である。 モータECU40により実行される駐車ポジション時第2モータ制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。 回転制限制御を実行するときの様子の一例を示す説明図である。 エンジン22をモータリングして始動する際のモータMG1のトルク指令Tm1*と回転制限制御用トルクTm2と制御用電気角θesetにおけるd軸の電流指令Id2*との関係の一例を示す説明図である。 ハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される駐車ポジション時運転制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。 エンジン22が負荷運転される際の動力分配統合機構30の回転要素を力学的に説明するための共線図の一例を示す説明図である。 エンジン22を始動した後にエンジン22を負荷運転し、その後、アイドル運転する際のモータMG1のトルク指令Tm1*と回転制限制御用トルクTm2との関係の一例を示す説明図である。 ハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される駐車ポジション時停止制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。 エンジン22を停止する際のモータMG1のトルク指令Tm1*とエンジン22の回転数Neとの関係の一例を示す説明図である。 エンジン22を停止する際のモータMG1のトルク指令Tm1*と回転制限制御用トルクTm2との関係の一例を示す説明図である。 変形例のハイブリッド自動車120の構成の概略を示す構成図である。
符号の説明
20,120 ハイブリッド自動車、22 エンジン、24 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、26 クランクシャフト、28 ダンパ、30 動力分配統合機構、31 サンギヤ、32 リングギヤ、32a リングギヤ軸、32b 動力軸、33 ピニオンギヤ、34 キャリア、36 駆動軸、38 デファレンシャルギヤ、39a,39b 駆動輪、40 モータ用電子制御ユニット(モータECU)、40a CPU、40b ROM、40c RAM、41,42 インバータ、43,44 回転位置検出センサ、45a,46a ロータ、45b,46b ステータ、45U,45V,46U,46V 電流センサ、50 バッテリ、51 温度センサ、52 バッテリ用電子制御ユニット(バッテリECU)、54 電力ライン、60 変速機、70 ハイブリッド用電子制御ユニット、72 CPU、74 ROM、76 RAM、80 イグニッションスイッチ、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルポジションセンサ、88 車速センサ、90 パーキングロック機構、92 パーキングギヤ、94 パーキングロックポール、130 対ロータ電動機、132 インナーロータ 134 アウターロータ、MG1,MG2 モータ、D1〜D12 ダイオード、T1〜T12 トランジスタ。

Claims (17)

  1. 動力軸に動力を出力可能な動力源と、
    前記動力軸に回転子が接続され、固定子の回転磁界により該回転子を回転駆動させて該動力軸に動力を入出力可能な電動機と、
    少なくとも前記電動機と電力のやりとりが可能な蓄電手段と、
    前記動力軸と車軸との間の変速段の変更を伴う動力の伝達と、シフトポジションが駐車ポジションの状態のときの該動力軸と該車軸との接続の解除と、が可能な変速手段と、
    シフトポジションが駐車ポジションにあるとき、前記動力源から前記動力軸に出力される駆動力である軸駆動力よりも絶対値が大きい駆動力を前記電動機を制御するための制御用駆動力として設定し、該設定した制御用駆動力に基づいて前記固定子の磁界の向きを固定して前記回転子の回転が制限されるよう前記電動機を制御する回転制限制御を実行する制御手段と、
    を備える車両。
  2. 請求項1記載の車両であって、
    前記動力源は、内燃機関と、該内燃機関の出力軸と前記動力軸とに接続され前記蓄電手段と電力のやりとりが可能で電力と動力の入出力を伴って該出力軸と該動力軸とに動力を入出力する電力動力入出力手段と、を備え、
    前記制御手段は、前記内燃機関の運転状態および/または前記電力動力入出力手段の駆動状態に基づいて前記軸駆動力よりも絶対値が大きい駆動力を前記制御用駆動力として設定する手段である
    車両。
  3. 前記制御手段は、前記内燃機関の始動時における該内燃機関の初爆の際には、第1所定駆動力を前記制御用駆動力として設定する手段である請求項2記載の車両。
  4. 前記制御手段は、前記内燃機関がアイドル運転されているときには、第2所定駆動力を前記制御用駆動力として設定する手段である請求項2または3記載の車両。
  5. 前記第2所定駆動力は、前記内燃機関が負荷運転されているときに設定される前記制御用駆動力と同一方向の駆動力である請求項4記載の車両。
  6. 前記制御手段は、前記内燃機関の運転状態が前記アイドル運転と前記負荷運転との間で移行されたとき、該移行されてから第1所定時間が経過するまでは該移行後の運転状態に基づいて設定される前記制御用駆動力に該制御用駆動力と同一方向の駆動力を加えることにより前記制御用駆動力を再設定する手段である請求項2ないし5いずれか記載の車両。
  7. 前記制御手段は、前記内燃機関が回転している状態で該内燃機関への燃料カットが開始されたとき、該開始されてから第2所定時間が経過するまでは第3所定駆動力を前記制御用駆動力として設定する手段である請求項2ないし6いずれか記載の車両。
  8. 前記制御手段は、前記軸駆動力をキャンセルするための駆動力であるキャンセル駆動力を演算し、該演算したキャンセル駆動力の絶対値よりも絶対値が大きい駆動力を前記制御用駆動力として設定する手段である請求項2ないし7いずれか記載の車両。
  9. 前記制御手段は、前記内燃機関を始動または停止させるために前記電力動力入出力手段により該内燃機関をモータリングする際には、前記キャンセル駆動力に該キャンセル駆動力と同一方向の駆動力を加えることにより前記制御用駆動力を設定する手段である請求項8記載の車両。
  10. 前記制御手段は、前記内燃機関を停止させるために前記電力動力入出力手段により該内燃機関をモータリングしている最中に前記キャンセル駆動力の方向が反転した以降は、該キャンセル駆動力の方向を該反転前の方向に調整した駆動力である方向調整駆動力に該方向調整駆動力と同一方向の駆動力を加えることにより前記制御用駆動力を設定する手段である請求項9記載の車両。
  11. 前記制御手段は、前記内燃機関が負荷運転されているときには、前記キャンセル駆動力に値1より大きい補正係数を乗じた駆動力を前記制御用駆動力として設定する手段である請求項8ないし10いずれか記載の車両。
  12. 前記電力動力入出力手段は、前記内燃機関の出力軸と前記動力軸と第3の軸との3軸に接続され該3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段と、前記第3の軸に動力を入出力可能な発電機と、を備える手段である請求項2ないし11いずれか記載の車両。
  13. 前記軸駆動力は、前記発電機から出力すべき目標駆動力に基づいて設定される駆動力である請求項12記載の車両。
  14. 前記制御手段は、前記設定した制御用駆動力の絶対値が該制御用駆動力と同一方向の第4所定駆動力の絶対値よりも小さいときには、該第4所定駆動力を前記制御用駆動力として再設定する手段である請求項1ないし13いずれか記載の車両。
  15. 請求項1ないし14いずれか記載の車両であって、
    前記電動機の回転子の回転位置を検出する回転位置検出手段と、
    前記検出された回転位置に基づいて制御用回転位置を設定する制御用回転位置設定手段と、
    を備え、
    前記制御手段は、前記設定された制御用回転位置を用いて前記回転制限制御を実行する手段である
    車両。
  16. 請求項15記載の車両であって、
    前記電動機は、3相交流電動機であり、
    前記制御手段は、前記設定された制御用回転位置を用いて前記電動機の各相に通電される電流を3相−2相変換することによりd軸およびq軸の電流を計算し、前記設定した制御用駆動力に基づいて該制御用回転位置におけるd軸の目標電流を設定すると共に該制御用回転位置におけるq軸の目標電流に値0を設定し、該設定したd軸およびq軸の目標電流と該計算したd軸およびq軸の電流とに基づいて前記回転制限制御を実行する手段である
    車両。
  17. 動力軸に動力を出力可能な動力源と、前記動力軸に回転子が接続され固定子の回転磁界により該回転子を回転駆動させて該動力軸に動力を入出力可能な電動機と、少なくとも前記電動機と電力のやりとりが可能な蓄電手段と、前記動力軸と車軸との間の変速段の変更を伴う動力の伝達とシフトポジションが駐車ポジションの状態のときの該動力軸と該車軸との接続の解除とが可能な変速手段と、を備える車両の制御方法であって、
    シフトポジションが駐車ポジションにあるとき、前記動力源から前記動力軸に出力される駆動力である軸駆動力よりも絶対値が大きい駆動力を前記電動機を制御するための制御用駆動力として設定し、該設定した制御用駆動力に基づいて前記固定子の磁界の向きを固
    定して前記回転子の回転が制限されるよう前記電動機を制御する回転制限制御を実行する、
    車両の制御方法。
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