JP4345466B2 - フランシス型水車ランナ - Google Patents

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Description

本発明は、フランシス型水車ランナに係り、特にランナに働く水圧力の軸方向成分である水力軸スラストの軽減のためにバランスホールを有するフランシス型水車ランナに関する。
従来一般に流体機械に採用されているフランシス型水車ランナでは、主軸とランナからなる回転部の自重,ランナに働く静水圧力,ランナを流れる水の動的圧力,ランナ背圧室に働く圧力とランナ側圧室に働く圧力の差圧により、軸方向の圧力である水力軸スラストが発生する。水力軸スラストの増大は、発電機のスラスト軸受及び冷却装置の大型化によるコストの増大に繋がる。その為、水力軸スラストの軽減化を目的に、ランナボスに孔を設置し、ランナ背圧室と吸出管側とを連絡することにより、ランナ背圧室に働く圧力とランナ側圧室に働く圧力の差圧を僅少とする、バランスホールが実用化されている。
また、昨今の電力負荷変動の多様化に伴い、水力発電所は系統安定確保への寄与が要求されており、水力発電所の部分負荷運転のニーズは非常に多く、水車ランナの部分負荷運転の効率向上が強く要求されている。フランシス型水車ランナにおいて、水車ランナの体格や外形を変えることなく部分負荷運転の効率を向上させる為には、ランナ出口をランナ回転中心方向へ伸ばすことが有効である。その為、クラウンとシュラウドとの間に互いに隣接する主翼と、前記主翼の間に設けられかつ前記主翼よりも短い翼長を有する中間羽根により、複数の流体流路を形成する中間羽根付水車ランナが実用化されている。中間羽根付水車ランナは、ランナ出口側において羽根枚数を相対的に減少させることができ、従来のフランシス型水車ランナと比較すると、ランナ出口をより内周側へ伸ばす事が可能となる。
尚、背圧室とランナ出口側を連通するバランスホールをクラウン部に形成したものとして例えば特許文献1に記載のようなものがある。
特開2001−165024号公報
しかしながら、バランスホールの流水面側開口部付近は、相対的に圧力が低い為、流水面の流れとバランスホールからの流れの干渉に伴うキャビテーションによるキャビテーション壊食が発生し易く、補修工事が必要となる。
また、中間羽根を有するものについては、バランスホールのランナ背圧室側開口部の位置は、水車主軸の径に依存する為、バランスホールの流水面側開口部の位置とランナ背圧室側開口部の位置は径方向に相対的に離れる。これに伴い、バランスホール内の流体に働く遠心力が増大し、ランナ上部に働く圧力とランナ下部に働く圧力の差圧を僅少とする効果が減少する。
本発明の目的は、中間羽根付水車ランナにおいて、ランナ上部に働く圧力とランナ下部に働く圧力の差圧を僅少とし、バランスホールにより水力軸スラストを低減することである。
バランスホールの流水面側開口部付近に発生するキャビテーション壊食の防止と、中間羽根付水車ランナにおいて、ランナ上部に働く圧力とランナ下部に働く圧力の差圧を僅少とし、バランスホールにより水力軸スラストを低減する為に、本発明では、クラウンとシュラウドとの間に、互いに隣接する主翼と、前記主翼の間に設けられかつ前記主翼よりも短い翼長を有する中間羽根により複数の流体流路を形成するフランシス型水車ランナで、水車ランナに働く水圧力の軸方向成分である水力軸スラストの軽減の為に、ランナ背圧室と流水面を連絡する孔であるバランスホールを有するものにおいて、主翼出口径をD2m、中間羽根出口径をD2sとした場合、前記流路のD2s〜D2mの範囲に分布する複数の流路領域の全てもしくは数路に、バランスホールの流水面側開口部を設置する。
バランスホールの流水面側開口部付近に発生するキャビテーション壊食の防止と、中間羽根付水車ランナにおいて、ランナ上部に働く圧力とランナ下部に働く圧力の差圧を僅少とし、バランスホールにより水力軸スラストを低減する為に、本発明では、クラウンとシュラウドとの間に、互いに隣接する主翼と、前記主翼の間に設けられかつ前記主翼よりも短い翼長を有する中間羽根により複数の流体流路を形成するフランシス型水車ランナで、水車ランナに働く水圧力の軸方向成分である水力軸スラストの軽減の為に、ランナ背圧室と流水面を連絡する孔であるバランスホールを有するものにおいて、中間羽根入口径をD1s、中間羽根出口径をD2sとした場合、主翼の圧力面,中間羽根の負圧面により形成される流体流路の(D1s+D2s)/2〜D2sの範囲に分布する複数の流路領域の全てもしくは数路に、バランスホールの流水面側開口部を設置する。
バランスホールの流水面側開口部付近に発生するキャビテーション壊食の防止と、中間羽根付水車ランナにおいて、ランナ上部に働く圧力とランナ下部に働く圧力の差圧を僅少とし、バランスホールにより水力軸スラストを低減する為に、本発明では、クラウンとシュラウドとの間に、互いに隣接する主翼と、前記主翼の間に設けられかつ前記主翼よりも短い翼長を有する中間羽根により複数の流体流路を形成するフランシス型水車ランナで、水車ランナに働く水圧力の軸方向成分である水力軸スラストの軽減の為に、ランナ背圧室と流水面を連絡する孔であるバランスホールを有するものにおいて、中間羽根入口径をD1s、中間羽根出口径をD2sとした場合、主翼の負圧面、中間羽根の圧力面により形成される流体流路の(D1s+D2s)/2〜D2sの範囲に分布する複数の流路領域の全てもしくは数路に、バランスホールの流水面側開口部を設置する。
本発明によれば、バランスホールの流水面側開口部付近の圧力が相対的に高くなり、バランスホールの流水面側開口部付近におけるキャビテーションの発生が抑制される。
また、バランスホールの流水面側開口部の位置とランナ背圧室側開口部の位置は径方向において接近し、バランスホール内の流体に働く遠心力は減少する。これに伴い、ランナ上部に働く圧力とランナ下部に働く圧力の差圧を僅少とし、前記バランスホールによる水力軸スラストの低減が可能となる。
以下本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
バランスホールを有する中間羽根付水車ランナにおいて、主翼出口径をD2m、中間羽根出口径をD2sとした場合、互いに隣接する主翼により形成される流体流路のD2s〜D2mの範囲に分布する複数の流路領域にバランスホールの流水面側開口部を設置した水車ランナを図1,図2に示す。1がクラウン、2がシュラウド、3が主翼、3′が中間羽根、4が水車主軸、5がランナ背圧室、6がバランスホールである。図1に示すように、主翼3と中間羽根3′はクラウン1とシュラウド2の間に備えてあり、バランスホール6はランナ背圧室5とクラウン1の流水面を連絡している。図2に示すように、主翼3と中間羽根3′は周方向に所定の間隔をおいて交互に配置されている。また、図2ハッチング部に示すように、バランスホール6の流水面側開口部は、図2のハッチングで示す互いに隣接する主翼により形成される流体流路のD2s〜D2mの範囲にある。
この時、バランスホールの流水面側開口部付近の圧力が相対的に高くなり、バランスホールの流水面側開口部付近におけるキャビテーションの発生が抑制される。また、バランスホールの流水面側開口部の位置とランナ背圧室側開口部の位置は径方向において接近し、バランスホール内の流体に働く遠心力は減少する。これに伴い、ランナ上部に働く圧力とランナ下部に働く圧力の差圧を僅少とし、バランスホールによる水力軸スラストの低減が可能である。
バランスホールを有する中間羽根付水車ランナにおいて、中間羽根入口径をD1s、中間羽根出口径をD2sとした場合、互いに隣接する主翼の圧力面と中間羽根の負圧面により形成される流体流路の(D1s+D2s)/2〜D2sの範囲に分布する複数の流路領域にバランスホールの流水面側開口部を設置した水車ランナを図3,図4に示す。1がクラウン、2がシュラウド、3が主翼、3′が中間羽根、4が水車主軸、5がランナ背圧室、6がバランスホールである。図3に示すように、主翼3と中間羽根3′はクラウン1とシュラウド2の間に備えてあり、バランスホール6はランナ背圧室5とクラウン1の流水面を連絡している。図4に示すように、主翼3と中間羽根3′は周方向に所定の間隔をおいて交互に配置されている。また、バランスホール6の流水面側開口部は、図4のハッチングで示す互いに隣接する主翼の圧力面と中間羽根の負圧面により形成される流体流路の(D1s+D2s)/2〜D2sの範囲にある。
この時、バランスホールの流水面側開口部付近の圧力が相対的に高くなり、バランスホールの流水面側開口部付近におけるキャビテーションの発生が抑制される。また、バランスホールの流水面側開口部の位置とランナ背圧室側開口部の位置は径方向において接近し、バランスホール内の流体に働く遠心力は減少する。これに伴い、ランナ上部に働く圧力とランナ下部に働く圧力の差圧を僅少とし、バランスホールによる水力軸スラストの低減が可能である。
バランスホールを有する中間羽根付水車ランナにおいて、中間羽根入口径をD1s、中間羽根出口径をD2sとした場合、互いに隣接する主翼の負圧面と中間羽根の圧力面により形成される流体流路の(D1s+D2s)/2〜D2sの範囲に分布する複数の流路領域にバランスホールの流水面側開口部を設置した水車ランナを図5,図6に示す。1がクラウン、2がシュラウド、3が主翼、3′が中間羽根、4が水車主軸、5がランナ背圧室、6がバランスホールである。図5に示すように、主翼3と中間羽根3′はクラウン1とシュラウド2の間に備えてあり、バランスホール6はランナ背圧室5とクラウン1の流水面を連絡している。図6に示すように、主翼3と中間羽根3′は周方向に所定の間隔をおいて交互に配置されている。また、バランスホール6の流水面側開口部は、互いに隣接する主翼の負圧面と中間羽根の圧力面により形成される流体流路の(D1s+D2s)/2〜D2sの範囲にある。
この時、バランスホールの流水面側開口部付近の圧力が相対的に高くなり、バランスホールの流水面側開口部付近におけるキャビテーションの発生が抑制される。また、バランスホールの流水面側開口部の位置とランナ背圧室側開口部の位置は径方向において接近し、バランスホール内の流体に働く遠心力は減少する。これに伴い、ランナ上部に働く圧力とランナ下部に働く圧力の差圧を僅少とし、バランスホールによる水力軸スラストの低減が可能である。
流体流路の主翼出口径D2m〜中間羽根出口径D2sの範囲にバランスホールの流水面側開口部を設置した水車ランナの縦断面図ある。 流体流路の主翼出口径D2m〜中間羽根出口径D2sの範囲にバランスホールの流水面側開口部を設置した水車ランナの平面図ある。 中間羽根入口径D1s,出口径をD2sとした時、主翼圧力面と中間羽根負圧面により形成される流体流路の(D1s+D2s)/2〜D2sの範囲にバランスホールの流水面側開口部を設置した水車ランナの縦断面図ある。 中間羽根入口径D1s,出口径をD2sとした時、主翼圧力面と中間羽根負圧面により形成される流体流路の(D1s+D2s)/2〜D2sの範囲にバランスホールの流水面側開口部を設置した水車ランナの平面図ある。 中間羽根入口径D1s,出口径をD2sとした時、主翼負圧面と中間羽根圧力面により形成される流体流路の(D1s+D2s)/2〜D2sの範囲にバランスホールの流水面側開口部を設置した水車ランナの縦断面図ある。 中間羽根入口径D1s,出口径をD2sとした時、主翼負圧面と中間羽根圧力面により形成される流体流路の(D1s+D2s)/2〜D2sの範囲にバランスホールの流水面側開口部を設置した水車ランナの平面図ある。
符号の説明
1…クラウン、2…シュラウド、3…ブレード(主翼)、3′…中間羽根、4…水車主軸、5…ランナ背圧室、6…バランスホール。

Claims (3)

  1. クラウンとシュラウドとの間に、互いに隣接する主翼と、前記主翼の間に設けられかつ前記主翼よりも短い翼長を有する中間羽根により複数の流体流路を形成するフランシス型水車ランナで、ランナ背圧室と流水面を連絡するバランスホールを有するものにおいて、主翼出口径をD2m、中間羽根出口径をD2sとした場合、前記流路のD2s〜D2mの範囲に分布する複数の流路領域に、前記バランスホールの流水面側開口部を設置したフランシス型水車ランナ。
  2. クラウンとシュラウドとの間に、互いに隣接する主翼と、前記主翼の間に設けられかつ前記主翼よりも短い翼長を有する中間羽根により複数の流体流路を形成するフランシス型水車ランナで、ランナ背圧室と流水面を連絡するバランスホールを有するものにおいて、中間羽根入口径をD1s、中間羽根出口径をD2sとした場合、主翼の圧力面、中間羽根の負圧面により形成される流体流路の(D1s+D2s)/2〜D2sの範囲に分布する複数の流路領域に、前記バランスホールの流水面側開口部を設置したフランシス型水車ランナ。
  3. クラウンとシュラウドとの間に、互いに隣接する主翼と、前記主翼の間に設けられかつ前記主翼よりも短い翼長を有する中間羽根により複数の流体流路を形成するフランシス型水車ランナで、ランナ背圧室と流水面を連絡するバランスホールを有するものにおいて、中間羽根入口径をD1s、中間羽根出口径をD2sとした場合、主翼の負圧面、中間羽根の圧力面により形成される流体流路の(D1s+D2s)/2〜D2sの範囲に分布する複数の流路領域に、前記バランスホールの流水面側開口部を設置したフランシス型水車ランナ。
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