JP4344805B2 - 遺伝子組換えワクシニアウイルスワクチン - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この出願の発明は、遺伝子組換えワクシニアウイルスワクチンに関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明は、ヒトまたは動物の様々な感染症等に対するウイルスワクチンと、このワクチンの有効成分である遺伝子組換えワクシニアウイルスDIs株に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この十数年来の遺伝子組換え技術の開発、向上に伴い、ウイルスや細菌などの微生物を遺伝子組換えにより改変して、様々な感染症や癌の予防および治療に対するワクチンベクターとして応用しようという研究が盛んに行われて来ている。ポリオウイルス、インフルエンザウイルス、ライノウイルス、水痘ウイルス、サルモネラ菌、牛型結核菌弱毒BCG株、リステリア菌など様々な微生物が研究に用いられて来たが、中でも最も古い歴史を持つのがワクシニアウイルスである。
【0003】
ワクシニアウイルスは天然痘のワクチンとして利用され、その撲滅に大いに貢献してきた。このウイルスはpoxviridaeに属する大型のDNAウイルスであり、ゲノムとして約190kbpの線状二本鎖DNAを持ち、約200種類の蛋白質をコードしている。1982年、Panicali and Paoletti(Proc. Natl. Acad. Scl. USA 79:4927, 1982)およびMackettら(Proc. Natl. Acad. Scl. USA 79:7415, 1982)は、ワクシニアウイルス遺伝子に単純ヘルペスウイルスのチミジンカイネース(TK)遺伝子を組み込んで発現させることが出来ることを初めて報告した。その後、数多くの組換えワクシニアウイルスが作製され、免疫学的解析やワクチンへの応用が検討されてきたが、組換えに用いられた親株の毒性により、人では脳炎を起こす可能性があること、復帰突然変異によりウイルスが強毒化する虞れがあることなどが指摘され、安全性の観点から、人のワクチン、特にエイズなど免疫不全を伴う疾患に対するワクチンとしての実用化は困難であった。
【0004】
一方、ワクシニアウイルスDIs株は、安全な天然痘ワクチン開発を目的として、ワクシニアウイルス大連株(DEI株)を鶏卵胚にて継代培養しすることによって分離された高度に弱毒化されたワクシニアウイルス株である(Nature 192:381, 1961)。このDIs株は、ニワトリ胎児初代培養細胞(CEF)では増殖するが、他の哺乳動物細胞ではほとんど増殖しないという特異な性質を持っている。当時、同時に開発されたLC16株と共に臨床試行され、日本の小児200人に播種された成績があるが、人の細胞での増殖力がないため、天然痘ワクチンとしては免疫誘導能が弱く、免疫誘導に優れたLC16株の方が天然痘ワクチンとして採用された経緯がある。
【0005】
この出願の発明者らは、このDIs株のゲノムに外来遺伝子を組み込むことに成功し、この組換えDIs株が動物細胞用のウイルスベクターとして利用可能であることを実証した。しかしながら、前記のとおり、DIs株は免疫誘導能が弱いため、外来の抗原性タンパク質を発現するように遺伝子組換えしたDIs株をワクチンとして使用したとしても効果は期待できないであろうと考えられていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前記のとおり、ワクシニアウイルスDIs株は、細胞傷害性が低いことから、人での安全性に関しては他の株より優れていることが容易に推測されるにも係わらず、免疫誘導能が弱いために、組換えウイルスワクチンとしての利用は考慮されていなかった。これに対して、この出願の発明者らは、ワクシニアウイルスDIs株に外来遺伝子を導入、発現させ、動物実験で外来遺伝子産物に対する液性並びに細胞性免疫反応を誘導することができることを見出した。
【0007】
また、ワクシニアウイルスDIs株は、動物細胞では増殖しないため、有用タンパク質等の発現ベクターとしては不適切であると考えられてきた。しかしながら、この出願の発明者らは、このワクシニアウイルスDIs株が、細胞傷害性の低さによって宿主細胞を長期間生存させ、その結果、タンパク質を大量発現させるためのベクターとして有望であることを見出した。
【0008】
この出願は、発明者らによるこのような新規な知見に基づいてなされたものであって、安全性の高い遺伝子組換えワクシニアウイルスワクチンを提供することを課題としている。
【0009】
また、この出願は、このワクチンの有効成分である遺伝子組換えワクシニアウイルスDIs株を提供することを課題としている。
【0010】
さらにこの出願は、レポーター分子を発現し、組換えウイルス株の作成に利用できる遺伝子組換えワクシニアウイルスDIs株を提供することを課題としてもいる。
【0011】
さらにまた、この出願は、ワクシニアウイルスDIs株をベクターして利用する方法を提供することを課題としてもいる。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この出願は、前記の課題を解決するものとして、以下の(1)〜(19)の発明を提供する。
(1) 外来性の抗原性タンパク質をコードするポリヌクレオチドを染色体DNAの非必須遺伝子領域に保有し、その抗原性タンパク質を発現する遺伝子組換えワクシニアウイルスDIs株を有効成分とするワクシニアウイルスワクチン。
(2) 抗原性タンパク質がヒト免疫不全ウイルス由来である前記発明(1)のワクチン。
(3) ヒト免疫不全ウイルスの抗原性タンパク質がgag遺伝子産物である前記発明(2)のワクチン。
(4) 抗原性タンパク質がサル免疫不全ウイルス由来である前記発明(1)のワクチン。
(5) サル免疫不全ウイルスの抗原性タンパクがgag遺伝子産物である前記発明(4)のワクチン。
(6) 外来性の抗原性タンパク質をコードするポリヌクレオチドを染色体DNAの非必須遺伝子領域に保有し、その抗原性タンパク質を発現する遺伝子組換えワクシニアウイルスDIs株。
(7) 抗原性タンパク質がヒト免疫不全ウイルス由来である前記発明(6)の遺伝子組換えワクシニアウイルスDIs株。
(8) ヒト免疫不全ウイルスの抗原性タンパク質がgag遺伝子産物である前記発明(7)の遺伝子組換えワクシニアウイルスDIs株。
(9) 抗原性タンパク質がサル免疫不全ウイルス由来である前記発明(6)の遺伝子組換えワクシニアウイルスDIs株。
(10) サル免疫不全ウイルスの抗原性タンパク質がgag遺伝子産物である前記発明(9)の遺伝子組換えワクシニアウイルスDIs株。
(11) 染色体DNAの非必須遺伝子領域がサイミジンカイネース遺伝子領域である前記発明(6)から(10)のいずれかの遺伝子組換えワクシニアウイルスDIs株。
(12) 染色体DNAの非必須遺伝子領域が、親株と比較した場合にワクシニアウイルスDIs株おいて欠損している染色体DNA領域に挿入されている前記発明(6)から(10)のいずれかの遺伝子組換えワクシニアウイルスDIs株。
(13) レポーター分子をコードするポリヌクレオチドを染色体DNAに保有し、レポーター分子を発現する遺伝子組換えワクシニアウイルスDIs株。
(14) レポーター分子が、緑色蛍光タンパク質または大腸菌β−ガラクトシダーゼである前記発明(11)の遺伝子組換えワクシニアウイルスDIs株。
(15) 染色体DNAの非必須遺伝子領域がサイミジンカイネース遺伝子領域である前記発明(13)または(14)の遺伝子組換えワクシニアウイルスDIs株。
(16) 染色体DNAの非必須遺伝子領域が、親株と比較した場合にワクシニアウイルスDIs株おいて欠損している染色体DNA領域に挿入されている前記発明(13)または(14)の遺伝子組換えワクシニアウイルスDIs株。
(17) ワクシニアウイルスDIs株の染色体DNAの非必須遺伝子領域に外来性タンパク質をコードするポリヌクレオチドを組み込み、外来性タンパク質を宿主細胞内で大量発現することを特徴とするタンパク質発現方法。
(18) 染色体DNAの非必須遺伝子領域がサイミジンカイネース遺伝子領域である前記発明(17)のタンパク質発現方法。
(19) 染色体DNAの非必須遺伝子領域が、親株と比較した場合にワクシニアウイルスDIs株おいて欠損している染色体DNA領域である前記発明(17)のタンパク質発現方法。
【0013】
【発明の実施の形態】
この出願の発明(1)〜(5)のワクチンは、発明(6)〜(10)の遺伝子組換えワクシニアウイルスDIs株を有効成分とする高度弱毒化生ワクチンである。発明(6)の遺伝子組換えワクシニアウイルスDIs株は、ワクシニアウイルス由来の遺伝子プロモーター配列の下流に、外来性の(すなわち、ワクシニアウイルス以外の)任意の抗原性タンパク質をコードするポリヌクレオチドを連結したトランスファーベクターとDIs株ゲノムDNAとの相同組換えにより得られた組換えウイルスである。なお、以下の記載では、外来性の抗原性タンパク質を「外来ポリペプチド」、これをコードするポリヌクレオチドを「外来ポリヌクレオチド」と記載することがある。
【0014】
トランスファーベクターに組み込まれるプロモーター配列としては、ワクシニアウイルス自身の遺伝子にコードされたRNAポリメラーゼにより認識されるものであれば如何なるものでも使用できる。例えばワクシニアウイルスゲノムのinvarted tarminal repeat内にある7.5kDポリペプチド遺伝子のプロモーターp7.5を用いることができる(Stunnenberg, H.G. et al. Nucleic Acids Res,16,2431, 1988)。
【0015】
外来ポリヌクレオチドは、ワクシニアウイルス以外の抗原性タンパク質をコードするポリヌクレオチド(例えば、cDNA断片)であり、外来ポリペプチドは生体内で抗原抗体反応を惹起するものであてば如何なるものであってもよい。具体的にはヒト後天性免疫不全症候群(AIDS)の原因ウイルスであるヒト免疫不全ウイルス(HIV)のgag前駆体p55タンパク質、envタンパク質gp120またはgp160、po1前駆体タンパク質、nefタンパク質、tatタンパク質、またはサル免疫不全ウイルス(SIV)のgag前駆体タンパク質等も対象とすることができる。また、その他の病原体(他の病原性ウイルスや細菌)、あるいは癌細胞の抗原タンパク質をコードするポリヌクレオチド等を用いることもできる。
【0016】
外来ポリヌクレオチドの取得方法としては、外来ポリペプチドをコードするゲノム遺伝子またはそのcDNAがクローン化されたプラスミドからその実質的な配列であるポリヌクレオチドを適当な制限酵素で切り出すか、適当な配列のプライマーを用いたpolymerase chain reaction(PCR)により増幅すればよい。クローン化されていない場合は、その遺伝子を持つ細菌、動物のゲノムDNAを、ウイルスの場合はウイルスが感染した動物細胞由来のDNAまたはRNAを鋳型として、上記PCR法によりDNAを増幅することにより得ることができる。
【0017】
このようにして取得した外来ポリヌクレオチドと前記のプロモーターとを、互いの翻訳枠を一致させて連結し、この融合ポリヌクレオチド(以下、「発現ユニット」と記載することがある)を任意のプラスミドベクターに挿入結合することによって、トランスファーベクターを作成することができる。
【0018】
次に、相同組換えにより外来ポリヌクレオチドをワクシニアウイルスゲノムに導入する方法について説明する。まず、ワクシニアウイルスゲノムDNAは、ショ糖密度勾配法(Joklik, W.K. Virology 18, 9, 1962)で精製したウイルス粒子からL-laurylsarucosineを用いて抽出することができる([Mackett, M. and Archard, L.C.J. Gen, Virol. 45, 683, 1979)。次に抽出したゲノムDNAの中で、相同組換えを起こす位置として、ワクシニアウイルス自身の複製に影響を及ぼさない非必須遺伝子領域を選択する必要がある。
【0019】
非必須遺伝子領域の第一の候補はチミジンカイネース(TK)遺伝子領域である。この場合には、TK遺伝子の領域をpUC18等のプラスミドベクターに組み込み、その領域内のユニークな制限酵素サイトを利用して、発現ユニットを挿入結合したものをトランスファーベクターとして用い、ワクシニアウイルスゲノム中のTK遺伝子との相同組換えにより外来ポリヌクレオチドをウイルスゲノムに挿入することができる。相同組換え後、TK欠損細胞株中で組換えウイルスを作らせ、プロモデオキシウリジン存在下で培養することによりTKを発現していない組換えウイルスを選択することができる。
【0020】
非必須遺伝子領域の第二の候補は、DIs株のゲノム遺伝子欠損領域である。DIs株のゲノムDNAの制限酵素切断パターンを親株のDIE株と比較することにより、ゲノムのどの領域に欠損があるかを調べることができる。その領域はDIs株の複製には基本的には不必要である。欠損領域前後の領域のDNAをPCR法で増幅した後、プラスミドベクターに組み込み、そのDNA内のユニークな制限酵素サイトに発現ユニットを挿入結合したものをトランスファーベクターとして用い、DIs株ゲノムDNAと相同組換えを起こさせることにより、欠損領域に発現ユニットを挿入することができる。ただこの方法では、組換えウイルスの選択が困難である。そこで先ず、レポーター分子をコードするポリヌクレオチドをゲノム遺伝子欠損領域に挿入して組換えウイルスを作成する。レポーター分子としては、β−ガラクトシダーゼなどの細菌由来の発色酵素や、緑色蛍光タンパク質(green fluorescence protein, GFP)またはその誘導体(例えば、EGFP)等を利用することができる。例えば、β−ガラクトシダーゼ発現する組換えウイルスの場合は、培地中にX-gal(5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド)を加えることにより、β−ガラクトシダーゼを発現しているウイルスによるプラーク(青色)を選択する。GFPまたはその誘導体の場合は、蛍光顕微鏡下で蛍光を発しているプラークを選択することができる。そして、このレポーター分子発現ウイルスを親株として、レポーター分子を挿入した領域に目的の外来ポリヌクレオチドを相同組換えする。これによって、レポーター分子を発現しないウイルスを選択することによりゲノム遺伝子欠損領域に外来ポリヌクレオチドが相同組換えされた組換えウイルスを得ることができる。
【0021】
得られた組換えウイルスはクローニングにより単一のクローンにまで純化し、PCR法により組み込んだ遺伝子の有無を確認した後、ウイルスに感染したCEF細胞の超音波破砕による抽出液を用いて、組み込んだ外来ポリペプチドに対するモノクローナルまたはポリクローナル抗体によるウエスタンプロット法やenzyme-linked immunosorbent assay (ELISA法) などにより、外来ポリヌクレオチドの感染細胞内での発現を確認することができる。
【0022】
得られた組換えウイルスはCEF細胞で培養後、ショ糖密度勾配法により部分精製し、動物実験に用いることができる。動物実験にはマウスの他ウサギやサルを用いることができる。例えばマウスでの液性免疫応答は、組換えウイルスを静脈内、筋肉内あるいは腹腔内等に接種し、血清中の目的の外来ポリペプチドに対する抗体価を経時的にウエスタンプロット法やELISA法により測定することで解析できる。またマウスでの細胞性免疫応答は、まず第一に、組換えウイルス接種後、経時的に採取した血液中に含まれるリンパ球を、試験官内で目的の外来ポリペプチド抗原で刺激し、トリチウムチミジンのリンパ球への取込みを測定することにより解析できる。第二に、外来ポリペプチド抗原特異的な細胞傷害性T細胞(CTL)は、組換えウイルス接種後、一定期間経過したマウスの脾臓を採取し、これをすり潰して得られた脾細胞を、外来ポリペプチド中のCTLエピトープに対応する合成ペプチドにより一定期間試験官内で刺激してエフェクター細胞とする。一方、同系マウスの細胞株に同じ組換えワクシニアウイルスを感染させるか、CTLエピトープと同定されたペプチド抗原と共に培養した細胞株を51Crでラベルしてターゲット細胞とする。エフェクター細胞とターゲット細胞を比率を変えて反応させ、培養上清に放出された51Crの放射能を測定することにより、免疫マウス脾細胞中のCTL活性の有無を調べることができる。
【0023】
この出願の発明(17)〜(19)は、ワクシニアウイルスDIs株を用いて有用タンパク質等の外来ポリヌクレオチドを大量発現する方法である。すなわち、ワクシニアウイルスDIs株は、挿入する外来ポリヌクレオチドの長さや構造等に関係なく、広範なポリヌクレオチドを挿入することが可能である。しかも極めて安全に取り扱うことが可能である。
【0024】
ウイルスベクターとしての組換えワクシニアウイルスDIs株は、任意の外来ポリヌクレオチドを対象として、前記のワクチン用組換えウイルスDIs株と同様の方法で作成することができる。そして、このDIs株ウイルスベクターは、マウス由来のP813細胞や線維芽細胞等に常法によりトランスフェクションし、このトランスフェクタント細胞を培養することによって、組み込まれた外来ポリヌクレオチドにコードされたタンパク質を長期間に渡って大量に発現することができる。例えば、この出願の発明者らの研究によれば、10 pfuの濃度で組換えワクシニアウイルスDIs株を細胞に1時間作用させると、6〜12時間後に組換えタンパク質の顕著な発現が認められた。しかも、トランスフェクタント細胞は長期間に渡って生存し、タンパク質を発現し続けた。
【0025】
【実施例】
以下、実施例を示してこの出願の発明をさらに詳細かつ具体的に説明するが、この出願の発明は以下の例に限定されるものではない。
実施例1:HIV−1 gag遺伝子を発現する組換えワクシニアウイルスDIs株の作製
DIs株を用いて組換えワクシニアウイルスを作製する上で、まずDIs株ゲノムのどの位置に欠失があるかを検討した。親株のDIE株およびDIs株ゲノムDNAを、HindIIIで消化してできる断片をアガロースゲル電気泳動で比較した所、AからPまで(大きさの順)の16種の断片のうち、N断片(1.5kbp)とM断片(2.2kbp)が消失し、C断片(25.1kbp)とK断片(4.6kbp)の長さが短くなっており、C断片の3′側からK断片のほとんどを含む15.4kbp の領域が欠損していることが判った。そこでDIs株の欠失を持つC断片とK断片、およびK断片の3′側で接しているF断片(13.5kbp)の5′側を含む領域約1.9kbpをPCRで増幅してpCR2.1 TA cloning vector(Invitrogen社製)にクローニングした。PCRプライマーはVac H-C(配列番号1のオリゴヌクレオチド)とVac H-F(配列番号2のオリゴヌクレオチド)である。
【0026】
このプラスミドから、増幅した領域を含むEcoRI断片を切り出し、pUC19のEcoRI siteにサブクローニングし、pUC-DIsベクターを得た。このベクターのDIs断片中にHindIIi siteが1ケ所存在するので、このsiteを利用して、ワクシニアウイルス後期プロモーターpilの下流に大腸菌のβ−ガラクトシダーゼ遺伝子のオープンリーディングフレームを含むDNA断片をサブローニングしてトランスファーベクターとした。
【0027】
ワクシニアウイルスDIs株約105pfu(プラーク形成ユニット)を含む500μlのウイルス液をCEF細胞(直径6cmのシャーレ)に播き、15分ごとにシャーレを4回、軽く振盪した。1時間後、2.5mlの1%FBS/MEM培地を加え、6時間、37℃、5%CO2条件下にて培養した。培地を取り除きPBSで2回洗浄した後、トリプシン−EDTA溶液(GIBCO 社製)で細胞を遊離、回収後、最終的には400μlのPBS(phosphate buffered saline)に再懸濁した。この細胞懸濁液に上記トランスファーベクター20μgを溶かし、0.4cmキュペット中、250V、500μFDで1回電圧をかけ、電気穿孔法を行った(BioRad製 Gene Puisar II使用)。細胞を室温で15分以上放置した後、シャーレに播き4日間培養した。細胞を遊離、培養液とともに回収し、10、100、1000倍希釈し、同様にCEF細胞に継代感染させた。4日後CPEが観察されたら培地を取り除きX-gal添加寒天培地(4倍濃縮MEM培地 25ml,蒸留水 20.7, 7.5%NaHCO3 3ml, 2.92% L-gultamine 1.0ml, 2%X-gal 0.2ml, 30mg/ml硫酸カナマイシン 0.1ml, 2.4% Agar Noble 50.0ml)を加え4時間後、青く発色したCPE部分の寒天をパスツールピペットでピックアップし、500μlの上記と同じ培地に回収した。超音波破砕機にて寒天を細分化し、同様にCEF細胞に継代感染させた。以後同じ操作を繰り返し、1つのシャーレ上でのCPEがすべて青色になるまでクローニングを行った。
【0028】
次に、同様のトランスファーベクターのHindIII siteに、ワクシニアウイルスp7.5プロモーターの下流にHIVsubtype Bのgag前駆体タンパク質遺伝子を転結した発現ユニットを挿入した。構築の概略を図1に示す。具体的にはまず、subtype BのHIV分子クローンpNL432(Adachi, A. et al. J. Virol. 59, 284, 1986)を、制限酵素BssHIとHincIIで完全に消化して得られる約1.8kbの断片をKlenow fragmentを用いて平滑末端化した。この断片を、プラスミドpAK2より切り出したp7.5プロモーター断片をpUC18のPstl-XbaI sitesに挿入したプラスミドpUC-VVp7.5HのBamHI-SmaI sitesにサブクローニングして、pVV7.5-gagBを得た。このプラスミドをHindIIIで部分消化し、約2.18kbpの断片を1%アガロースゲル電気泳動で分離、精製した後、トランスファーベクターpUC-DIsのHindIII siteにサブクローニングして、目的のベクターpUC-DIs-gagBを得た。
【0029】
既に作製したβ−ガラクトシダーゼを発現する組換えワクシニアウイルスDIs株約105pfuを含む500μlのウイルス液を同様にCEF細胞に感染させ、トリプシン−EDTA溶液で細胞を遊離、回収後、最終的には400μlのPBSに再懸濁した。この細胞懸濁液に上記トランスファーベクターpUC-DIs gagB(20μg)を溶かし、全く同じ条件で電気穿孔法を行った。細胞を室温で15分以上放置した後、シャーレに播き4日間培養した。細胞を遊離、培養液とともに回収し、10、100、1000倍希釈し、同様にCEF細胞に継代感染させた。4日後CPEが観察されたら培地を取り除き、X-gal添加寒天培地を加え4時間後、青く発色していない白色のCPE部分の寒天をパスツールピペットを用いて、500μlの上記と同じ培地に回収した。超音波破砕機にて寒天を細分化し、同様にCEF細胞に継代感染させた。以後同じ操作を繰り返し、1つのシャーレ上でのCPEがすべて発色しなくなるまでクローニングを行った。
【0030】
得られた組換えウイルスにHIV gag遺伝子が挿入されているかどうかを、PCR法で確認した。プライマーは、subtype BおよびEに汎用のSK38(配列番号3のオリゴヌクレオチド:位置1551-1578)およびSK89(配列番号4のオリゴヌクレオチド:位置1638-1665)を用いた。
【0031】
得られた白色プラークからの組換えウイルス5株はすべて114bpのDNAを増幅し、HIV gag遺伝子が挿入されていることが確認された。
【0032】
次に、これらの組換えウイルスが感染したCEF細胞でのHIV gag抗原の発現を調べた。図2は、感染細胞の超音波破砕抽出液をSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動で分離し、抗gagモノクローナル抗体(Matsuo,K.et al. J. Gen. Virol, 73, 2445, 1992)を用いたウエスタンプロット解析を行った結果である。5株中1株でgag前駆体p55タンパク質と思われる特異的なバンドが認められ(全ての株で挿入したタンパク質の分解産物は存在した)、この組換えウイルスが、gag抗原を発現していることが確認された。この株をrVV-DIs-gagBと命名した。
実施例2:HIV−1 gag遺伝子を発現する組換えワクシニアウイルスDIs株の部分精製とウイルス量の測定
rVV-DIs-sagBをCEF細胞に感染させ(5枚の直径10cmのシャーレ上で)1%PBS/MEM培地10ml中、37℃、5%CO2存在下で培養した。2−4日後、CPEが観察された時点で培地を除き、10mM Tris-HCl(pH8.0)15mlで細胞を壊した後、物理的に遊離、回収し、超音波破砕により細胞片に付着したウイルスを遊離させた。3000rpmで20分間遠心した後、その上清をさらに13000rpmで90分間遠心して、ウイルスを沈殿させる10mM Tris-HCl buffer8mlにウイルス塊を溶かし、36%シュークロース溶液3mlを静かに加えて、再度13000rpmで90分間遠心分離した。得られたペレットを1mlの10mM Tris-HCl bufferに溶かし、部分精製ウイルス液とした。このウイルス液を段階希釈し、CEF細胞におけるウイルス量を測定した結果、1mlあたり1010 pfuであった。
実施例3:組換えワクシニアウイルスDIs株の増殖宿主細胞域の検討
ヒト、サル、モルモット由来の各種細胞株を48穴プレート上で単層培養し、実施例2で得られた部分精製ウイルス105 pfuを感染させ、4日後の培養上清中のgag p24抗原量を、p24ELISA キット(Caliuar Products社製)にて測定し、比較検討した。結果を表1に示す。表1において、TH−143細胞とHeLa細胞をヒト由来、CV−1細胞とCOS7細胞はサル由来、SV-13細胞とSV-apa2細胞はモルモット由来である。表1から明らかなように、組換えウイルスの増殖宿主細胞域は、親株のDIs株と変わらず、調べた限りでは、人の細胞では増殖できなかった。
【0033】
【表1】
【0034】
実施例4:HIV−1 gag遺伝子を発現する組換えワクシニアウイルスDIs株を接種したマウスでのHIV−1 gag抗原に対する細胞性免疫誘導能の解析
rVV-DIs-gagBをBALB/cマウス1匹当たり107 pfu静脈内に接種し、2、6、8、12週目に経時的に脾臓を採取した。孔径70μmのcell strainer(Becton Dickinson製)に内にて、PBS中ですり潰した脾細胞を、15mlの遠心管に移して遠心分離した後、細胞のペレットにACK buffer(重炭酸カリウム1.0 mM、塩化アンモニウム0.15M,EDTA 2Na0.1 mM水溶液)5mlを加え、マイルドに混和して溶血させた。PBS10mlを加えて遠心後、ペレットをPBS10mlで2回洗浄した。ペレットを5×10-5Mの2−メルカプトエタノールを含む10%FBS/RPMI1640培地((株)日研生物医学研究所)5mlに懸濁し、生細胞数を測定した。同じ培地で1×107 cells/mlに濃度を調整し、2種類のgagエピトープペプチドの水溶液(1mg/ml濃度)をそれぞれが終濃度10μg/mlになるように加えて、37℃、5日間培養した。ペプチド(gagB253-277、およびgagB287-309)のアミノ酸配列はそれぞれ配列番号5および6の通りである。
【0035】
5日後、再度生細胞数を測定し、10%FBS/RPMI1640培地で1×107 cells/mlに細胞濃度を調整してエフェクター細胞とした。
【0036】
一方M12.4.5マウス細胞(H2dハプロタイプ)を10%FBS/RPMI1640培地で培養し、80%コンフルエントになった時点でPBSで1回洗浄した後、トリプシン−EDTA溶液で細胞を遊離、回収した。10%FBS/RPMI1640培地10mlで懸濁して、生細胞数をカウントした。1×107 cells分を遠心して回収し、同様の培地100μlに懸濁した。この溶液に終濃度がそれぞれ50μg/mlになるように上記2種のペプチド溶液を加えたものと、ペプチドを加えないものを調整し、37℃で3時間インキュベートした。次に、51Crでラペルされたクロム酸ナトリウム水溶液(New England Biolab)100μl(100μCi)を加え、さらに1時間30分、37℃、5%CO2条件下でインキュベートした。10%FBS/RPMI1640培地で細胞を3回洗浄した後、同じ培地で1×105 cells/mlの濃度に調製し、ターゲット細胞とした。
【0037】
エフェクター細胞とターゲット細胞の比が100:1、50:1、25:1、12.5:1になるように、96穴プレート中で混合し(total volume 200μl/well) 、37℃、5%CO2条件下で4時間インキュベートした。また自然放出Crと最大放出Crを測定するため、ターゲット細胞液100μlにそれぞれ10%FBS/RPMI1640培地100μlまたは1%Triton×100水溶液100μlを加え、同様に37℃、5%CO2条件で4時間インキュベートした。4時間後96穴プレートを遠心して細胞を沈澱させ、上清20μlを取ってIuma plate(Packard 社製)に移し、一晩放置して風乾させた。ガンマ線カウンター(Packard社製)で放射能を測定し、以下の式でCTL活性(%)を算出した。
【0038】
CTL活性(%)=(ターゲット細胞による値−自然放出による値/最大放出による値−自然放出による値)×100
結果を図3に示した。免疫後2週目では、CTL活性は明確でなかったが、6週目で2匹中1匹、8週目では2匹とも抗gagCTL活性が検出され、12週目においてもCTL活性が維持されていることが確認された。このことから、rVV.Dls-gagがマウスでCTL誘導能を持つことが明らかとなった。
実施例5:HIV−1 gag遺伝子を発現する組換えワクシニアウイルスDIs株の接種によるマウスでの抗HIV−1 gag抗体産生誘導能の解析
実施例4で作成したHIV-Dls-gag B免疫マウスの血液を、免疫後2、6、8、12週目でそれぞれ採取し、血清を調製した。この内12週目の血清20μlを用いて、HIV抗原をプロットしたニトロセルロースメンプランフィルター(Genelabs Diagnostics社製ウエスタンプロットキット)を用いて、反応性を調べた。
【0039】
結果は図4に示したとおりである。免疫群では、非免疫群では検出されないp55、p24およびp17の位置にバンドが検出され、マウスにおいて、抗gag抗体の発生が誘導されることが確認された。
実施例6:GFP誘導体を発現する組換えワクシニアウイルスDIs株の作成
プラスミドpEGFP−1(Clontach 社製)をEcoRIで消化、klenow fragment処理で末端平滑化したDNAをさらにBamHI消化して得られる約700bpの断片を、実施例1と同様にpUC-VVp7.5HのBamHI-Smal siteにサブクローニングした後、HindIIIでp7.5プロモーターとEGFPのオープンリーディングフレームを含む断片を切り出し、pUC−DIsのHindIII siteに導入して、トランスファーベクターを構築した。このプラスミドを実施例1と全く同じ方法で、β−ガラクトシーダーゼを発現する組換えワクシニアウイルスDIs株に感染したCEF細胞に電気穿孔法で導入し、X-gal寒天培地上で白色ブラークを選択することにより、組換えウイルス株を得た。このウイルスに感染したCEF細胞は蛍光顕微鏡下で、緑色の蛍光を発色することが観察され、EGFP蛋白質が発現されることが確認された。
【0040】
【発明の効果】
以上詳しく説明したとおり、この出願によって、ワクシニアウイルス以外の病原体に対して高い免疫原性を有する遺伝子組換え弱毒化ワクシニアウイルスワクチンと、このワクチンの有効成分である遺伝子組換えワクシニアウイルスDIs株が提供される。この発明によって提供される組換えワクシニアウイルスDIs株は、外来ポリプチドに対する液性および細胞性免疫の両方を誘導することができ、しかも外来ポリペプチドを遺伝子組換え技術により容易に他のポリプチドと交換可能なことから、様々な感染症に対する組換えウイルスワクチンのベクターとして有用である。また組換えウイルスは、通常の動物細胞では増殖できないが抗原は発現して免疫原性(細胞性免疫および抗体産生誘導能)を発揮できること、培養が簡単で低コストで製造できるなどの理由から、エイズワクチン開発などで盛んに用いられている prime and boost法のboost用の安価な抗原としても用いる事ができる。従って製造コストの高い精製遺伝子組換えタンパク質の代替抗原として極めて有用である。さらに、人に対する安全性が高いので、CTL活性測定時にターゲット細胞に感染させる組換えワクシニアウイルス株としても、実験者への安全性という観点から有用である。
【0041】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】HIV gag遺伝子をDIs株ゲノムに導入するためのトランスファーベクター構築のストラテジーを示す。
【図2】HIV gag遺伝子を導入した組換えワクシニアDIs株が感染したCEF細胞抽出液中のgag抗原の発現を、ウエスタンブロットで解析した結果を示す。
【図3】 rVV-Dis gag BによるマウスでのHIV gag特異的なCTL誘導を調べたCTL assayの結果を示す。
【図4】同じくマウスでの抗HIV gag抗体産生誘導能を調べたウエスタンプロットの結果を示す。
Claims (6)
- 外来性の抗原性タンパク質をコードするポリヌクレオチドを染色体DNAの非必須遺伝子領域に保有し、その抗原性タンパク質を発現する遺伝子組換えワクシニアウイルスDIs株を有効成分とするワクシニアウイルスワクチンであって、このワクチンを接種した動物体内において抗原性タンパク質に対する免疫反応の誘導が可能であることを特徴とする組換えワクシニアウイルスワクチン。
- 抗原性タンパク質がヒト免疫不全ウイルス由来である請求項1のワクチン。
- ヒト免疫不全ウイルスの抗原性タンパク質がgag遺伝子産物である請求項2のワクチン。
- 抗原性タンパク質がサル免疫不全ウイルス由来である請求項1のワクチン。
- サル免疫不全ウイルスの抗原性タンパク質がgag遺伝子産物である請求項4のワクチン。
- 染色体DNAの非必須遺伝子領域が、親株と比較した場合にDIs株において欠損している染色体DNA領域であり、配列番号1の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドプライマーと配列番号2のオリゴヌクレオチドプライマーとを用いてDIs株のゲノムDNAからPCR増幅されるDNA領域である請求項1のワクチン。
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