JP2002017370A - 遺伝子組換えワクシニアウイルスワクチン - Google Patents

遺伝子組換えワクシニアウイルスワクチン

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JP2002017370A JP2000207140A JP2000207140A JP2002017370A JP 2002017370 A JP2002017370 A JP 2002017370A JP 2000207140 A JP2000207140 A JP 2000207140A JP 2000207140 A JP2000207140 A JP 2000207140A JP 2002017370 A JP2002017370 A JP 2002017370A
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善治 松浦
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Kenzo Kato
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ワクシニアウイルス以外の病原体に対して高
い免疫原性を有する遺伝子組換え弱毒化ワクシニアウイ
ルスワクチンと、このワクチンの有効成分である遺伝子
組換えワクシニアウイルスDIs株を提供する。 【解決手段】 外来性の抗原性タンパク質をコードする
ポリヌクレオチドを染色体DNAの非必須遺伝子領域に
保有し、その抗原性タンパク質を発現する遺伝子組換え
ワクシニアウイルスDIs株と、このウイルスを有効成
分とするワクシニアウイルスワクチン。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この出願の発明は、遺伝子組
換えワクシニアウイルスワクチンに関するものである。
さらに詳しくは、この出願の発明は、ヒトまたは動物の
様々な感染症等に対するウイルスワクチンと、このワク
チンの有効成分である遺伝子組換えワクシニアウイルス
DIs株に関するものである。
【0002】
【従来の技術】この十数年来の遺伝子組換え技術の開
発、向上に伴い、ウイルスや細菌などの微生物を遺伝子
組換えにより改変して、様々な感染症や癌の予防および
治療に対するワクチンベクターとして応用しようという
研究が盛んに行われて来ている。ポリオウイルス、イン
フルエンザウイルス、ライノウイルス、水痘ウイルス、
サルモネラ菌、牛型結核菌弱毒BCG株、リステリア菌
など様々な微生物が研究に用いられて来たが、中でも最
も古い歴史を持つのがワクシニアウイルスである。
【0003】ワクシニアウイルスは天然痘のワクチンと
して利用され、その撲滅に大いに貢献してきた。このウ
イルスはpoxviridaeに属する大型のDNAウイルスであ
り、ゲノムとして約190kbpの線状二本鎖DNAを持ち、
約200種類の蛋白質をコードしている。1982年、Panical
i and Paoletti(Proc. Natl. Acad. Scl. USA 79:492
7, 1982)およびMackettら(Proc. Natl. Acad. Scl. U
SA 79:7415, 1982)は、ワクシニアウイルス遺伝子に単
純ヘルペスウイルスのチミジンカイネース(TK)遺伝
子を組み込んで発現させることが出来ることを初めて報
告した。その後、数多くの組換えワクシニアウイルスが
作製され、免疫学的解析やワクチンへの応用が検討され
てきたが、組換えに用いられた親株の毒性により、人で
は脳炎を起こす可能性があること、復帰突然変異により
ウイルスが強毒化する虞れがあることなどが指摘され、
安全性の観点から、人のワクチン、特にエイズなど免疫
不全を伴う疾患に対するワクチンとしての実用化は困難
であった。
【0004】一方、ワクシニアウイルスDIs株は、安
全な天然痘ワクチン開発を目的として、ワクシニアウイ
ルス大連株(DEI株)を鶏卵胚にて継代培養しするこ
とによって分離された高度に弱毒化されたワクシニアウ
イルス株である(Nature 192:381, 1961)。このDIs
株は、ニワトリ胎児初代培養細胞(CEF)では増殖す
るが、他の哺乳動物細胞ではほとんど増殖しないという
特異な性質を持っている。当時、同時に開発されたLC
16株と共に臨床試行され、日本の小児200人に播種され
た成績があるが、人の細胞での増殖力がないため、天然
痘ワクチンとしては免疫誘導能が弱く、免疫誘導に優れ
たLC16株の方が天然痘ワクチンとして採用された経緯
がある。
【0005】この出願の発明者らは、このDIs株のゲ
ノムに外来遺伝子を組み込むことに成功し、この組換え
DIs株が動物細胞用のウイルスベクターとして利用可
能であることを実証した。しかしながら、前記のとお
り、DIs株は免疫誘導能が弱いため、外来の抗原性タ
ンパク質を発現するように遺伝子組換えしたDIs株を
ワクチンとして使用したとしても効果は期待できないで
あろうと考えられていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前記のとおり、ワクシ
ニアウイルスDIs株は、細胞傷害性が低いことから、
人での安全性に関しては他の株より優れていることが容
易に推測されるにも係わらず、免疫誘導能が弱いため
に、組換えウイルスワクチンとしての利用は考慮されて
いなかった。これに対して、この出願の発明者らは、ワ
クシニアウイルスDIs株に外来遺伝子を導入、発現さ
せ、動物実験で外来遺伝子産物に対する液性並びに細胞
性免疫反応を誘導することができることを見出した。
【0007】また、ワクシニアウイルスDIs株は、動
物細胞では増殖しないため、有用タンパク質等の発現ベ
クターとしては不適切であると考えられてきた。しかし
ながら、この出願の発明者らは、このワクシニアウイル
スDIs株が、細胞傷害性の低さによって宿主細胞を長
期間生存させ、その結果、タンパク質を大量発現させる
ためのベクターとして有望であることを見出した。
【0008】この出願は、発明者らによるこのような新
規な知見に基づいてなされたものであって、安全性の高
い遺伝子組換えワクシニアウイルスワクチンを提供する
ことを課題としている。
【0009】また、この出願は、このワクチンの有効成
分である遺伝子組換えワクシニアウイルスDIs株を提
供することを課題としている。
【0010】さらにこの出願は、レポーター分子を発現
し、組換えウイルス株の作成に利用できる遺伝子組換え
ワクシニアウイルスDIs株を提供することを課題とし
てもいる。
【0011】さらにまた、この出願は、ワクシニアウイ
ルスDIs株をベクターして利用する方法を提供するこ
とを課題としてもいる。
【0012】
【課題を解決するための手段】この出願は、前記の課題
を解決するものとして、以下の(1)〜(19)の発明を提供
する。 (1) 外来性の抗原性タンパク質をコードするポリヌク
レオチドを染色体DNAの非必須遺伝子領域に保有し、
その抗原性タンパク質を発現する遺伝子組換えワクシニ
アウイルスDIs株を有効成分とするワクシニアウイル
スワクチン。 (2) 抗原性タンパク質がヒト免疫不全ウイルス由来で
ある前記発明(1)のワクチン。 (3) ヒト免疫不全ウイルスの抗原性タンパク質がgag遺
伝子産物である前記発明(2)のワクチン。 (4) 抗原性タンパク質がサル免疫不全ウイルス由来で
ある前記発明(1)のワクチン。 (5) サル免疫不全ウイルスの抗原性タンパクがgag遺伝
子産物である前記発明(4)のワクチン。 (6) 外来性の抗原性タンパク質をコードするポリヌク
レオチドを染色体DNAの非必須遺伝子領域に保有し、
その抗原性タンパク質を発現する遺伝子組換えワクシニ
アウイルスDIs株。 (7) 抗原性タンパク質がヒト免疫不全ウイルス由来で
ある前記発明(6)の遺伝子組換えワクシニアウイルスD
Is株。 (8) ヒト免疫不全ウイルスの抗原性タンパク質がgag遺
伝子産物である前記発明(7)の遺伝子組換えワクシニア
ウイルスDIs株。 (9) 抗原性タンパク質がサル免疫不全ウイルス由来で
ある前記発明(6)の遺伝子組換えワクシニアウイルスD
Is株。 (10) サル免疫不全ウイルスの抗原性タンパク質がgag
遺伝子産物である前記発明(9)の遺伝子組換えワクシニ
アウイルスDIs株。 (11) 染色体DNAの非必須遺伝子領域がサイミジンカ
イネース遺伝子領域である前記発明(6)から(10)のいず
れかの遺伝子組換えワクシニアウイルスDIs株。 (12) 染色体DNAの非必須遺伝子領域が、親株と比較
した場合にワクシニアウイルスDIs株おいて欠損して
いる染色体DNA領域に挿入されている前記発明(6)か
ら(10)のいずれかの遺伝子組換えワクシニアウイルスD
Is株。 (13) レポーター分子をコードするポリヌクレオチドを
染色体DNAに保有し、レポーター分子を発現する遺伝
子組換えワクシニアウイルスDIs株。 (14) レポーター分子が、緑色蛍光タンパク質または大
腸菌β−ガラクトシダーゼである前記発明(11)の遺伝子
組換えワクシニアウイルスDIs株。 (15) 染色体DNAの非必須遺伝子領域がサイミジンカ
イネース遺伝子領域である前記発明(13)または(14)の遺
伝子組換えワクシニアウイルスDIs株。 (16) 染色体DNAの非必須遺伝子領域が、親株と比較
した場合にワクシニアウイルスDIs株おいて欠損して
いる染色体DNA領域に挿入されている前記発明(13)ま
たは(14)の遺伝子組換えワクシニアウイルスDIs株。 (17) ワクシニアウイルスDIs株の染色体DNAの非
必須遺伝子領域に外来性タンパク質をコードするポリヌ
クレオチドを組み込み、外来性タンパク質を宿主細胞内
で大量発現することを特徴とするタンパク質発現方法。 (18) 染色体DNAの非必須遺伝子領域がサイミジンカ
イネース遺伝子領域である前記発明(17)のタンパク質発
現方法。 (19) 染色体DNAの非必須遺伝子領域が、親株と比較
した場合にワクシニアウイルスDIs株おいて欠損して
いる染色体DNA領域である前記発明(17)のタンパク質
発現方法。
【0013】
【発明の実施の形態】この出願の発明(1)〜(5)のワクチ
ンは、発明(6)〜(10)の遺伝子組換えワクシニアウイル
スDIs株を有効成分とする高度弱毒化生ワクチンであ
る。発明(6)の遺伝子組換えワクシニアウイルスDIs
株は、ワクシニアウイルス由来の遺伝子プロモーター配
列の下流に、外来性の(すなわち、ワクシニアウイルス
以外の)任意の抗原性タンパク質をコードするポリヌク
レオチドを連結したトランスファーベクターとDIs株
ゲノムDNAとの相同組換えにより得られた組換えウイ
ルスである。なお、以下の記載では、外来性の抗原性タ
ンパク質を「外来ポリペプチド」、これをコードするポ
リヌクレオチドを「外来ポリヌクレオチド」と記載する
ことがある。
【0014】トランスファーベクターに組み込まれるプ
ロモーター配列としては、ワクシニアウイルス自身の遺
伝子にコードされたRNAポリメラーゼにより認識され
るものであれば如何なるものでも使用できる。例えばワ
クシニアウイルスゲノムのinvarted tarminal repeat内
にある7.5kDポリペプチド遺伝子のプロモーターp7.5を
用いることができる(Stunnenberg, H.G. et al. Nucle
ic Acids Res,16,2431, 1988)。
【0015】外来ポリヌクレオチドは、ワクシニアウイ
ルス以外の抗原性タンパク質をコードするポリヌクレオ
チド(例えば、cDNA断片)であり、外来ポリペプチ
ドは生体内で抗原抗体反応を惹起するものであてば如何
なるものであってもよい。具体的にはヒト後天性免疫不
全症候群(AIDS)の原因ウイルスであるヒト免疫不
全ウイルス(HIV)のgag前駆体p55タンパク質、env
タンパク質gp120またはgp160、po1前駆体タンパク質、n
efタンパク質、tatタンパク質、またはサル免疫不全ウ
イルス(SIV)のgag前駆体タンパク質等も対象と
することができる。また、その他の病原体(他の病原性
ウイルスや細菌)、あるいは癌細胞の抗原タンパク質を
コードするポリヌクレオチド等を用いることもできる。
【0016】外来ポリヌクレオチドの取得方法として
は、外来ポリペプチドをコードするゲノム遺伝子または
そのcDNAがクローン化されたプラスミドからその実
質的な配列であるポリヌクレオチドを適当な制限酵素で
切り出すか、適当な配列のプライマーを用いたpolymera
se chain reaction(PCR)により増幅すればよい。
クローン化されていない場合は、その遺伝子を持つ細
菌、動物のゲノムDNAを、ウイルスの場合はウイルス
が感染した動物細胞由来のDNAまたはRNAを鋳型と
して、上記PCR法によりDNAを増幅することにより
得ることができる。
【0017】このようにして取得した外来ポリヌクレオ
チドと前記のプロモーターとを、互いの翻訳枠を一致さ
せて連結し、この融合ポリヌクレオチド(以下、「発現
ユニット」と記載することがある)を任意のプラスミド
ベクターに挿入結合することによって、トランスファー
ベクターを作成することができる。
【0018】次に、相同組換えにより外来ポリヌクレオ
チドをワクシニアウイルスゲノムに導入する方法につい
て説明する。まず、ワクシニアウイルスゲノムDNA
は、ショ糖密度勾配法(Joklik, W.K. Virology 18, 9,
1962)で精製したウイルス粒子からL-laurylsarucosin
eを用いて抽出することができる([Mackett, M. and Ar
chard, L.C.J. Gen, Virol. 45, 683, 1979)。次に抽
出したゲノムDNAの中で、相同組換えを起こす位置と
して、ワクシニアウイルス自身の複製に影響を及ぼさな
い非必須遺伝子領域を選択する必要がある。
【0019】非必須遺伝子領域の第一の候補はチミジン
カイネース(TK)遺伝子領域である。この場合には、
TK遺伝子の領域をpUC18等のプラスミドベクターに
組み込み、その領域内のユニークな制限酵素サイトを利
用して、発現ユニットを挿入結合したものをトランスフ
ァーベクターとして用い、ワクシニアウイルスゲノム中
のTK遺伝子との相同組換えにより外来ポリヌクレオチ
ドをウイルスゲノムに挿入することができる。相同組換
え後、TK欠損細胞株中で組換えウイルスを作らせ、プ
ロモデオキシウリジン存在下で培養することによりTK
を発現していない組換えウイルスを選択することができ
る。
【0020】非必須遺伝子領域の第二の候補は、DIs
株のゲノム遺伝子欠損領域である。DIs株のゲノムD
NAの制限酵素切断パターンを親株のDIE株と比較す
ることにより、ゲノムのどの領域に欠損があるかを調べ
ることができる。その領域はDIs株の複製には基本的
には不必要である。欠損領域前後の領域のDNAをPC
R法で増幅した後、プラスミドベクターに組み込み、そ
のDNA内のユニークな制限酵素サイトに発現ユニット
を挿入結合したものをトランスファーベクターとして用
い、DIs株ゲノムDNAと相同組換えを起こさせるこ
とにより、欠損領域に発現ユニットを挿入することがで
きる。ただこの方法では、組換えウイルスの選択が困難
である。そこで先ず、レポーター分子をコードするポリ
ヌクレオチドをゲノム遺伝子欠損領域に挿入して組換え
ウイルスを作成する。レポーター分子としては、β−ガ
ラクトシダーゼなどの細菌由来の発色酵素や、緑色蛍光
タンパク質(green fluorescence protein, GFP)または
その誘導体(例えば、EGFP)等を利用することがで
きる。例えば、β−ガラクトシダーゼ発現する組換えウ
イルスの場合は、培地中にX-gal(5−ブロモ−4−ク
ロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド)
を加えることにより、β−ガラクトシダーゼを発現して
いるウイルスによるプラーク(青色)を選択する。GF
Pまたはその誘導体の場合は、蛍光顕微鏡下で蛍光を発
しているプラークを選択することができる。そして、こ
のレポーター分子発現ウイルスを親株として、レポータ
ー分子を挿入した領域に目的の外来ポリヌクレオチドを
相同組換えする。これによって、レポーター分子を発現
しないウイルスを選択することによりゲノム遺伝子欠損
領域に外来ポリヌクレオチドが相同組換えされた組換え
ウイルスを得ることができる。
【0021】得られた組換えウイルスはクローニングに
より単一のクローンにまで純化し、PCR法により組み
込んだ遺伝子の有無を確認した後、ウイルスに感染した
CEF細胞の超音波破砕による抽出液を用いて、組み込
んだ外来ポリペプチドに対するモノクローナルまたはポ
リクローナル抗体によるウエスタンプロット法やenzyme
-linked immunosorbent assay (ELISA法) などにより、
外来ポリヌクレオチドの感染細胞内での発現を確認する
ことができる。
【0022】得られた組換えウイルスはCEF細胞で培
養後、ショ糖密度勾配法により部分精製し、動物実験に
用いることができる。動物実験にはマウスの他ウサギや
サルを用いることができる。例えばマウスでの液性免疫
応答は、組換えウイルスを静脈内、筋肉内あるいは腹腔
内等に接種し、血清中の目的の外来ポリペプチドに対す
る抗体価を経時的にウエスタンプロット法やELISA
法により測定することで解析できる。またマウスでの細
胞性免疫応答は、まず第一に、組換えウイルス接種後、
経時的に採取した血液中に含まれるリンパ球を、試験官
内で目的の外来ポリペプチド抗原で刺激し、トリチウム
チミジンのリンパ球への取込みを測定することにより解
析できる。第二に、外来ポリペプチド抗原特異的な細胞
傷害性T細胞(CTL)は、組換えウイルス接種後、一
定期間経過したマウスの脾臓を採取し、これをすり潰し
て得られた脾細胞を、外来ポリペプチド中のCTLエピ
トープに対応する合成ペプチドにより一定期間試験官内
で刺激してエフェクター細胞とする。一方、同系マウス
の細胞株に同じ組換えワクシニアウイルスを感染させる
か、CTLエピトープと同定されたペプチド抗原と共に
培養した細胞株を51Crでラベルしてターゲット細胞
とする。エフェクター細胞とターゲット細胞を比率を変
えて反応させ、培養上清に放出された51Crの放射能
を測定することにより、免疫マウス脾細胞中のCTL活
性の有無を調べることができる。
【0023】この出願の発明(17)〜(19)は、ワクシニア
ウイルスDIs株を用いて有用タンパク質等の外来ポリ
ヌクレオチドを大量発現する方法である。すなわち、ワ
クシニアウイルスDIs株は、挿入する外来ポリヌクレ
オチドの長さや構造等に関係なく、広範なポリヌクレオ
チドを挿入することが可能である。しかも極めて安全に
取り扱うことが可能である。
【0024】ウイルスベクターとしての組換えワクシニ
アウイルスDIs株は、任意の外来ポリヌクレオチドを
対象として、前記のワクチン用組換えウイルスDIs株
と同様の方法で作成することができる。そして、このD
Is株ウイルスベクターは、マウス由来のP813細胞
や線維芽細胞等に常法によりトランスフェクションし、
このトランスフェクタント細胞を培養することによっ
て、組み込まれた外来ポリヌクレオチドにコードされた
タンパク質を長期間に渡って大量に発現することができ
る。例えば、この出願の発明者らの研究によれば、10 p
fuの濃度で組換えワクシニアウイルスDIs株を細胞に
1時間作用させると、6〜12時間後に組換えタンパク
質の顕著な発現が認められた。しかも、トランスフェク
タント細胞は長期間に渡って生存し、タンパク質を発現
し続けた。
【0025】
【実施例】以下、実施例を示してこの出願の発明をさら
に詳細かつ具体的に説明するが、この出願の発明は以下
の例に限定されるものではない。 実施例1:HIV−1 gag遺伝子を発現する組換えワク
シニアウイルスDIs株の作製 DIs株を用いて組換えワクシニアウイルスを作製する
上で、まずDIs株ゲノムのどの位置に欠失があるかを
検討した。親株のDIE株およびDIs株ゲノムDNA
を、HindIIIで消化してできる断片をアガロースゲル電
気泳動で比較した所、AからPまで(大きさの順)の1
6種の断片のうち、N断片(1.5kbp)とM断片(2.2kbp)が
消失し、C断片(25.1kbp)とK断片(4.6kbp)の長さが短
くなっており、C断片の3′側からK断片のほとんどを
含む15.4kbp の領域が欠損していることが判った。そこ
でDIs株の欠失を持つC断片とK断片、およびK断片
の3′側で接しているF断片(13.5kbp)の5′側を含む
領域約1.9kbpをPCRで増幅してpCR2.1 TA cloning ve
ctor(Invitrogen社製)にクローニングした。PCRプラ
イマーはVac H-C(配列番号1のオリゴヌクレオチド)
とVac H-F(配列番号2のオリゴヌクレオチド)であ
る。
【0026】このプラスミドから、増幅した領域を含む
EcoRI断片を切り出し、pUC19のEcoRI siteにサブクロー
ニングし、pUC-DIsベクターを得た。このベクターのD
Is断片中にHindIIi siteが1ケ所存在するので、この
siteを利用して、ワクシニアウイルス後期プロモーター
pilの下流に大腸菌のβ−ガラクトシダーゼ遺伝子のオ
ープンリーディングフレームを含むDNA断片をサブロ
ーニングしてトランスファーベクターとした。
【0027】ワクシニアウイルスDIs株約105pfu
(プラーク形成ユニット)を含む500μlのウイルス液を
CEF細胞(直径6cmのシャーレ)に播き、15分ご
とにシャーレを4回、軽く振盪した。1時間後、2.5ml
の1%FBS/MEM培地を加え、6時間、37℃、5%CO2
条件下にて培養した。培地を取り除きPBSで2回洗浄
した後、トリプシン−EDTA溶液(GIBCO 社製)で細
胞を遊離、回収後、最終的には400μlのPBS(phosph
ate buffered saline)に再懸濁した。この細胞懸濁液
に上記トランスファーベクター20μgを溶かし、0.4c
mキュペット中、250V、500μFDで1回電圧をかけ、
電気穿孔法を行った(BioRad製 Gene Puisar II使
用)。細胞を室温で15分以上放置した後、シャーレに
播き4日間培養した。細胞を遊離、培養液とともに回収
し、10、100、1000倍希釈し、同様にCEF細胞に継代
感染させた。4日後CPEが観察されたら培地を取り除
きX-gal添加寒天培地(4倍濃縮MEM培地 25ml,蒸留
水 20.7, 7.5%NaHCO3 3ml, 2.92% L-gultamine 1.0m
l, 2%X-gal 0.2ml, 30mg/ml硫酸カナマイシン 0.1ml,
2.4% Agar Noble 50.0ml)を加え4時間後、青く発色
したCPE部分の寒天をパスツールピペットでピックア
ップし、500μlの上記と同じ培地に回収した。超音波破
砕機にて寒天を細分化し、同様にCEF細胞に継代感染
させた。以後同じ操作を繰り返し、1つのシャーレ上で
のCPEがすべて青色になるまでクローニングを行っ
た。
【0028】次に、同様のトランスファーベクターのHi
ndIII siteに、ワクシニアウイルスp7.5プロモーターの
下流にHIVsubtype Bのgag前駆体タンパク質遺伝子
を転結した発現ユニットを挿入した。構築の概略を図1
に示す。具体的にはまず、subtype BのHIV分子クロ
ーンpNL432(Adachi, A. et al. J. Virol. 59, 284,19
86)を、制限酵素BssHIとHincIIで完全に消化して得ら
れる約1.8kbの断片をKlenow fragmentを用いて平滑末端
化した。この断片を、プラスミドpAK2より切り出し
たp7.5プロモーター断片をpUC18のPstl-XbaI site
sに挿入したプラスミドpUC-VVp7.5HのBamHI-SmaI sites
にサブクローニングして、pVV7.5-gagBを得た。このプ
ラスミドをHindIIIで部分消化し、約2.18kbpの断片を1
%アガロースゲル電気泳動で分離、精製した後、トラン
スファーベクターpUC-DIsのHindIII siteにサブクロー
ニングして、目的のベクターpUC-DIs-gagBを得た。
【0029】既に作製したβ−ガラクトシダーゼを発現
する組換えワクシニアウイルスDIs株約105pfuを含
む500μlのウイルス液を同様にCEF細胞に感染さ
せ、トリプシン−EDTA溶液で細胞を遊離、回収後、
最終的には400μlのPBSに再懸濁した。この細胞懸
濁液に上記トランスファーベクターpUC-DIs gagB(20
μg)を溶かし、全く同じ条件で電気穿孔法を行った。
細胞を室温で15分以上放置した後、シャーレに播き4
日間培養した。細胞を遊離、培養液とともに回収し、1
0、100、1000倍希釈し、同様にCEF細胞に継代感染さ
せた。4日後CPEが観察されたら培地を取り除き、X-
gal添加寒天培地を加え4時間後、青く発色していない
白色のCPE部分の寒天をパスツールピペットを用い
て、500μlの上記と同じ培地に回収した。超音波破砕
機にて寒天を細分化し、同様にCEF細胞に継代感染さ
せた。以後同じ操作を繰り返し、1つのシャーレ上での
CPEがすべて発色しなくなるまでクローニングを行っ
た。
【0030】得られた組換えウイルスにHIV gag遺伝
子が挿入されているかどうかを、PCR法で確認した。
プライマーは、subtype BおよびEに汎用のSK38(配列
番号3のオリゴヌクレオチド:位置1551-1578)およびS
K89(配列番号4のオリゴヌクレオチド:位置1638-166
5)を用いた。
【0031】得られた白色プラークからの組換えウイル
ス5株はすべて114bpのDNAを増幅し、HIV gag遺
伝子が挿入されていることが確認された。
【0032】次に、これらの組換えウイルスが感染した
CEF細胞でのHIV gag抗原の発現を調べた。図2
は、感染細胞の超音波破砕抽出液をSDS−ポリアクリ
ルアミドゲル電気泳動で分離し、抗gagモノクローナル
抗体(Matsuo,K.et al. J. Gen.Virol, 73, 2445, 199
2)を用いたウエスタンプロット解析を行った結果であ
る。5株中1株でgag前駆体p55タンパク質と思われ
る特異的なバンドが認められ(全ての株で挿入したタン
パク質の分解産物は存在した)、この組換えウイルス
が、gag抗原を発現していることが確認された。この株
をrVV-DIs-gagBと命名した。 実施例2:HIV−1 gag遺伝子を発現する組換えワク
シニアウイルスDIs株の部分精製とウイルス量の測定 rVV-DIs-sagBをCEF細胞に感染させ(5枚の直径10cm
のシャーレ上で)1%PBS/MEM培地10ml中、37℃、5%
CO2存在下で培養した。2−4日後、CPEが観察さ
れた時点で培地を除き、10mM Tris-HCl(pH8.0)15mlで細
胞を壊した後、物理的に遊離、回収し、超音波破砕によ
り細胞片に付着したウイルスを遊離させた。3000rpmで2
0分間遠心した後、その上清をさらに13000rpmで90分間
遠心して、ウイルスを沈殿させる10mM Tris-HCl buffer
8mlにウイルス塊を溶かし、36%シュークロース溶液3
mlを静かに加えて、再度13000rpmで90分間遠心分離し
た。得られたペレットを1mlの10mM Tris-HCl bufferに
溶かし、部分精製ウイルス液とした。このウイルス液を
段階希釈し、CEF細胞におけるウイルス量を測定した
結果、1mlあたり1010 pfuであった。 実施例3:組換えワクシニアウイルスDIs株の増殖宿
主細胞域の検討 ヒト、サル、モルモット由来の各種細胞株を48穴プレー
ト上で単層培養し、実施例2で得られた部分精製ウイル
ス105 pfuを感染させ、4日後の培養上清中のgag p24
抗原量を、p24ELISA キット(Caliuar Products社製)
にて測定し、比較検討した。結果を表1に示す。表1に
おいて、TH−143細胞とHeLa細胞をヒト由来、CV−
1細胞とCOS7細胞はサル由来、SV-13細胞とSV-
apa2細胞はモルモット由来である。表1から明らかなよ
うに、組換えウイルスの増殖宿主細胞域は、親株のDI
s株と変わらず、調べた限りでは、人の細胞では増殖で
きなかった。
【0033】
【表1】
【0034】実施例4:HIV−1 gag遺伝子を発現す
る組換えワクシニアウイルスDIs株を接種したマウス
でのHIV−1 gag抗原に対する細胞性免疫誘導能の解
析 rVV-DIs-gagBをBALB/cマウス1匹当たり107 pfu静脈
内に接種し、2、6、8、12週目に経時的に脾臓を採
取した。孔径70μmのcell strainer(Becton Dickinson
製)に内にて、PBS中ですり潰した脾細胞を、15ml
の遠心管に移して遠心分離した後、細胞のペレットにAC
K buffer(重炭酸カリウム1.0 mM、塩化アンモニウム0.
15M,EDTA 2Na0.1 mM水溶液)5mlを加え、マイルドに
混和して溶血させた。PBS10mlを加えて遠心後、ペレ
ットをPBS10mlで2回洗浄した。ペレットを5×10
-5Mの2−メルカプトエタノールを含む10%FBS/RPMI16
40培地((株)日研生物医学研究所)5mlに懸濁し、生
細胞数を測定した。同じ培地で1×107 cells/mlに濃
度を調整し、2種類のgagエピトープペプチドの水溶液
(1mg/ml濃度)をそれぞれが終濃度10μg/mlになる
ように加えて、37℃、5日間培養した。ペプチド(gagB
253-277、およびgagB287-309)のアミノ酸配列はそれぞ
れ配列番号5および6の通りである。
【0035】5日後、再度生細胞数を測定し、10%FBS/
RPMI1640培地で1×107 cells/mlに細胞濃度を調整して
エフェクター細胞とした。
【0036】一方M12.4.5マウス細胞(H2dハプロタイ
プ)を10%FBS/RPMI1640培地で培養し、80%コンフルエ
ントになった時点でPBSで1回洗浄した後、トリプシン
−EDTA溶液で細胞を遊離、回収した。10%FBS/RPMI1640
培地10mlで懸濁して、生細胞数をカウントした。1×10
7 cells分を遠心して回収し、同様の培地100μlに懸濁
した。この溶液に終濃度がそれぞれ50μg/mlになるよ
うに上記2種のペプチド溶液を加えたものと、ペプチド
を加えないものを調整し、37℃で3時間インキュベート
した。次に、51Crでラペルされたクロム酸ナトリウム水
溶液(New England Biolab)100μl(100μCi)を加え、さ
らに1時間30分、37℃、5%CO2条件下でインキュベ
ートした。10%FBS/RPMI1640培地で細胞を3回洗浄した
後、同じ培地で1×105 cells/mlの濃度に調製し、ター
ゲット細胞とした。
【0037】エフェクター細胞とターゲット細胞の比が
100:1、50:1、25:1、12.5:1になるように、96
穴プレート中で混合し(total volume 200μl/well) 、
37℃、5%CO2条件下で4時間インキュベートした。
また自然放出Crと最大放出Crを測定するため、ター
ゲット細胞液100μlにそれぞれ10%FBS/RPMI1640培地10
0μlまたは1%Triton×100水溶液100μlを加え、同様
に37℃、5%CO2条件で4時間インキュベートした。
4時間後96穴プレートを遠心して細胞を沈澱させ、上
清20μlを取ってIuma plate(Packard 社製)に移し、一
晩放置して風乾させた。ガンマ線カウンター(Packard
社製)で放射能を測定し、以下の式でCTL活性(%)
を算出した。
【0038】CTL活性(%)=(ターゲット細胞によ
る値−自然放出による値/最大放出による値−自然放出
による値)×100 結果を図3に示した。免疫後2週目では、CTL活性は
明確でなかったが、6週目で2匹中1匹、8週目では2
匹とも抗gagCTL活性が検出され、12週目において
もCTL活性が維持されていることが確認された。この
ことから、rVV.Dls-gagがマウスでCTL誘導能を持つ
ことが明らかとなった。 実施例5:HIV−1 gag遺伝子を発現する組換えワク
シニアウイルスDIs株の接種によるマウスでの抗HI
V−1 gag抗体産生誘導能の解析 実施例4で作成したHIV-Dls-gag B免疫マウスの血液
を、免疫後2、6、8、12週目でそれぞれ採取し、血
清を調製した。この内12週目の血清20μlを用いて、
HIV抗原をプロットしたニトロセルロースメンプラン
フィルター(Genelabs Diagnostics社製ウエスタンプロ
ットキット)を用いて、反応性を調べた。
【0039】結果は図4に示したとおりである。免疫群
では、非免疫群では検出されないp55、p24およびp17の
位置にバンドが検出され、マウスにおいて、抗gag抗
体の発生が誘導されることが確認された。 実施例6:GFP誘導体を発現する組換えワクシニアウ
イルスDIs株の作成 プラスミドpEGFP−1(Clontach 社製)をEcoRIで
消化、klenow fragment処理で末端平滑化したDNAを
さらにBamHI消化して得られる約700bpの断片を、実施例
1と同様にpUC-VVp7.5HのBamHI-Smal siteにサブクロ
ーニングした後、HindIIIでp7.5プロモーターとEGF
Pのオープンリーディングフレームを含む断片を切り出
し、pUC−DIsのHindIII siteに導入して、トラン
スファーベクターを構築した。このプラスミドを実施例
1と全く同じ方法で、β−ガラクトシーダーゼを発現す
る組換えワクシニアウイルスDIs株に感染したCEF
細胞に電気穿孔法で導入し、X-gal寒天培地上で白色ブ
ラークを選択することにより、組換えウイルス株を得
た。このウイルスに感染したCEF細胞は蛍光顕微鏡下
で、緑色の蛍光を発色することが観察され、EGFP蛋
白質が発現されることが確認された。
【0040】
【発明の効果】以上詳しく説明したとおり、この出願に
よって、ワクシニアウイルス以外の病原体に対して高い
免疫原性を有する遺伝子組換え弱毒化ワクシニアウイル
スワクチンと、このワクチンの有効成分である遺伝子組
換えワクシニアウイルスDIs株が提供される。この発
明によって提供される組換えワクシニアウイルスDIs
株は、外来ポリプチドに対する液性および細胞性免疫の
両方を誘導することができ、しかも外来ポリペプチドを
遺伝子組換え技術により容易に他のポリプチドと交換可
能なことから、様々な感染症に対する組換えウイルスワ
クチンのベクターとして有用である。また組換えウイル
スは、通常の動物細胞では増殖できないが抗原は発現し
て免疫原性(細胞性免疫および抗体産生誘導能)を発揮
できること、培養が簡単で低コストで製造できるなどの
理由から、エイズワクチン開発などで盛んに用いられて
いる prime and boost法のboost用の安価な抗原として
も用いる事ができる。従って製造コストの高い精製遺伝
子組換えタンパク質の代替抗原として極めて有用であ
る。さらに、人に対する安全性が高いので、CTL活性
測定時にターゲット細胞に感染させる組換えワクシニア
ウイルス株としても、実験者への安全性という観点から
有用である。
【0041】
【配列表】 <110> Japan Science and Technology Corporation <120> Recombinant vaccinia virus vaccine <130> NP00279-YS <160> 6 <210> 1 <211> 30 <212> DNA <213> Artificial sequence <220> <223> Artificial sequence: Synthesized oligonucleotide <400> 1 ATAATGTAGC TCCTTCATCA ATCATACATT 30 <210> 2 <211> 30 <212> DNA <213> Artificial sequence <220> <223> Artificial sequence: Synthesized oligonucleotide <400> 2 AGGAGGTGGT GTAATAGACG AAGATTATAG 30 <210> 3 <211> 28 <212> DNA <213> Artificial sequence <220> <223> Artificial sequence: Synthesized oligonucleotide <400> 3 ATAATCCACC TATCCCAGTA GGAGAAAT 28 <210> 4 <211> 28 <212> DNA <213> Artificial sequence <220> <223> Artificial sequence: Synthesized oligonucleotide <400> 4 TTTGGTCCTT GTCTTATGTC CAGAATGC 28 <210> 5 <211> 25 <212> PRT <213> Artificial sequence <220> <223> Artificial sequence: Synthesized oligopeptide <400> 5 Asn Pro Pro Ile Pro Val Gly Glu Ile Tyr Lys Arg Trp Ile Ile Leu 1 5 10 15 Gly Leu Asn Lys Ile Val Arg Met Tyr 20 25 <210> 6 <211> 23 <212> PRT <213> Artificial sequence <220> <223> Artificial sequence: Synthesized oligopeptide <400> 6 Gln Gly Pro Lys Glu Pro Phe Arg Asp Tyr Val Asp Arg Phe Tyr Lys 1 5 10 15 Thr Leu Arg Ala Glu Gln Ala 20 23
【図面の簡単な説明】
【図1】HIV gag遺伝子をDIs株ゲノムに導入する
ためのトランスファーベクター構築のストラテジーを示
す。
【図2】HIV gag遺伝子を導入した組換えワクシニア
DIs株が感染したCEF細胞抽出液中のgag抗原の発
現を、ウエスタンブロットで解析した結果を示す。
【図3】rVV-Dis gag BによるマウスでのHIV gag特
異的なCTL誘導を調べたCTL assayの結果を示す。
【図4】同じくマウスでの抗HIV gag抗体産生誘導能
を調べたウエスタンプロットの結果を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 39/00 C07K 14/07 C07K 14/07 C12N 7/08 C12N 7/08 C12P 21/02 C C12P 21/02 C12R 1:93) //(C12N 15/09 ZNA (C12N 7/08 C12R 1:93) C12R 1:93) (C12N 7/08 (C12P 21/02 C12R 1:93) C12R 1:93) (C12P 21/02 C12N 15/00 ZNAA C12R 1:93) C12R 1:93) (72)発明者 大洲 竹晃 東京都田無市本町5−9−17 タートルハ イツ105 (72)発明者 宮村 達男 東京都杉並区浜田山4−21−22−113 (72)発明者 松浦 善治 埼玉県志木市館2−3−11−604 (72)発明者 石井 孝司 東京都新宿区高田馬場4−26−15−205 (72)発明者 加藤 賢三 千葉県八千代市大和田新田931−3 Fターム(参考) 4B024 AA01 BA32 BA35 CA04 DA20 EA02 FA20 GA14 HA01 4B064 AG32 CA12 CA19 CC24 DA01 4B065 AA90Y AA93Y AA95X BA03 CA24 CA45 4C085 AA03 BA65 BA69 CC08 DD23 DD62 EE01 4H045 AA11 BA01 BA05 CA01 DA86 EA29 FA74

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外来性の抗原性タンパク質をコードする
    ポリヌクレオチドを染色体DNAの非必須遺伝子領域に
    保有し、その抗原性タンパク質を発現する遺伝子組換え
    ワクシニアウイルスDIs株を有効成分とするワクシニ
    アウイルスワクチン。
  2. 【請求項2】 抗原性タンパク質がヒト免疫不全ウイル
    ス由来である請求項1のワクチン。
  3. 【請求項3】 ヒト免疫不全ウイルスの抗原性タンパク
    質がgag遺伝子産物である請求項2のワクチン。
  4. 【請求項4】 抗原性タンパク質がサル免疫不全ウイル
    ス由来である請求項1のワクチン。
  5. 【請求項5】 サル免疫不全ウイルスの抗原性タンパク
    がgag遺伝子産物である請求項4のワクチン。
  6. 【請求項6】 外来性の抗原性タンパク質をコードする
    ポリヌクレオチドを染色体DNAの非必須遺伝子領域に
    保有し、その抗原性タンパク質を発現する遺伝子組換え
    ワクシニアウイルスDIs株。
  7. 【請求項7】 抗原性タンパク質がヒト免疫不全ウイル
    ス由来である請求項6の遺伝子組換えワクシニアウイル
    スDIs株。
  8. 【請求項8】 ヒト免疫不全ウイルスの抗原性タンパク
    質がgag遺伝子産物である請求項7の遺伝子組換えワク
    シニアウイルスDIs株。
  9. 【請求項9】 抗原性タンパク質がサル免疫不全ウイル
    ス由来である請求項6の遺伝子組換えワクシニアウイル
    スDIs株。
  10. 【請求項10】 サル免疫不全ウイルスの抗原性タンパ
    ク質がgag遺伝子産物である請求項9の遺伝子組換えワ
    クシニアウイルスDIs株。
  11. 【請求項11】 染色体DNAの非必須遺伝子領域がサ
    イミジンカイネース遺伝子領域である請求項6から10
    のいずれかの遺伝子組換えワクシニアウイルスDIs
    株。
  12. 【請求項12】 染色体DNAの非必須遺伝子領域が、
    親株と比較した場合にワクシニアウイルスDIs株おい
    て欠損している染色体DNA領域である請求項5から1
    0のいずれかの遺伝子組換えワクシニアウイルスDIs
    株。
  13. 【請求項13】 レポーター分子をコードするポリヌク
    レオチドを染色体DNAの非必須遺伝子領域に保有し、
    レポーター分子を発現する遺伝子組換えワクシニアウイ
    ルスDIs株。
  14. 【請求項14】 レポーター分子が、緑色蛍光タンパク
    質または大腸菌β−ガラクトシダーゼである請求項11
    の遺伝子組換えワクシニアウイルスDIs株。
  15. 【請求項15】 染色体DNAの非必須遺伝子領域がサ
    イミジンカイネース遺伝子領域である請求項13または
    14の遺伝子組換えワクシニアウイルスDIs株。
  16. 【請求項16】 染色体DNAの非必須遺伝子領域が、
    親株と比較した場合にワクシニアウイルスDIs株おい
    て欠損している染色体DNA領域である請求項13また
    は14の遺伝子組換えワクシニアウイルスDIs株。
  17. 【請求項17】 ワクシニアウイルスDIs株の染色体
    DNAの非必須遺伝子領域に外来性タンパク質をコード
    するポリヌクレオチドを組み込み、外来性タンパク質を
    宿主細胞内で大量発現することを特徴とするタンパク質
    発現方法。
  18. 【請求項18】 染色体DNAの非必須遺伝子領域がサ
    イミジンカイネース遺伝子領域である請求項17のタン
    パク質発現方法。
  19. 【請求項19】 染色体DNAの非必須遺伝子領域が、
    親株と比較した場合にワクシニアウイルスDIs株おい
    て欠損している染色体DNA領域である請求項17のタ
    ンパク質発現方法。
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