JP4344779B2 - 鉄錯体及び該鉄錯体を触媒とする重合体の製造方法 - Google Patents

鉄錯体及び該鉄錯体を触媒とする重合体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、トリアザシクロノナン鉄錯体とラジカル発生剤の存在下、ラジカル重合性単量体を重合する重合体の製造方法に関する。より詳しくは、本発明はラジカル重合性単量体の種類、組み合わせに対して幅広い範囲で適用可能な特定の鉄触媒、並びに、かかる鉄錯体を使用し、分子量、分子構造を制御しつつ、生成した重合体の化学変換を可能にする末端官能基をもつ重合体を製造する方法、及び重合に用いた鉄錯体を回収し、再び重合反応に再利用できる重合体の製造法に関する。
従来のラジカル重合と異なり、ポリマー成長末端が化学変換可能な活性を有するリビングラジカル重合、例えば、原子移動ラジカル重合(ATRP)(非特許文献1参照)、ニトロキシドが介するラジカル重合(NMP)(非特許文献2参照)、硫黄類化合物経由可逆付加チェイントランスファーラジカル重合(RAFT)(非特許文献3参照)などは、ポリマーの分子量、モノマー残基序列、次元構造などを任意に制御できることから、この10年以来多くの注目を集めて来た。その中で、特に、金属錯体とハロゲン化合物との組み合わせによる原子移動ラジカル重合系はその広範に渡るモノマー種類の適応性が示され、それを用いるポリマーの精密制御方法は、ポリマーの合成だけではなく、基材表面・界面の化学修飾、デバイス構築にも広がるようになった。
ATRP法で用いられる金属触媒は、通常その中心金属は銅、又はルテニウムであり、それらは明確な金属錯体構造を有するものではなく、金属イオンとそれの配位子となる化合物(例えばアミン類)を重合反応系に混合してから用いることが多い。このような重合系では、金属の触媒活性は系内の配位子と結合し、錯体を形成してから発現される。配位子と金属イオンを重合反応系に混合して用いた場合、すべての金属が錯体を形成することはできない。これら錯体を形成してない金属は、触媒活性を示すことができなくなる。
従って、金属の触媒効率は低下し、金属濃度増加の必要性や、高分子量ポリマー製造に不適合となるなどデメリットが生じる。金属濃度向上は、重合反応後の金属除去工程に多くの負荷をもたらし、また、金属毒性による環境汚染の可能性も生じる。また、アミン類配位子などを余分に使うことが要求される(例えば特許文献1および2参照)。余分のアミン類配位子の使用により、重合反応において、モノマーの種類などが変わると反応制御が困難となること、モノマー以外の化合物の混入によるポリマー精製が煩雑になることなど、多くの問題が提起されている。
金属錯体によるリビングラジカル重合において、安全かつ安価な鉄触媒による重合体製造は環境に優しい視点から多くの注目を集めている(非特許文献4)。
ATRP法において、鉄イオンと配位子(アミン類、フォスフィン類化合物、亜リン酸エステル類)を重合性モノマーと混合して行う重合体の製造法や、又は合成した鉄錯体と重合性モノマーを混合して行う重合体製造法が開示されている(非特許文献5)。例えば、2価の鉄イオンとアミン系配位子をモノマーと混合し、それにハロゲン開始剤を用いたメチルメタクリレートの重合法(非特許文献6)、又は、2価の鉄イオンとリン化合物を配位子とする鉄錯体及びハロゲン開始剤を用いるメチルメタクリレートの重合法が報告されている(例えば非特許文献7、特許文献3)。しかし、これらの鉄触媒系でのATRP法では、分子量が10万台にのぼる高分子量ポリマーの合成例がほとんどない。また、鉄錯体を回収し、それを重合反応に再利用することもできなかった。
金属触媒を用いるリビングラジカル重合系では、重合後ポリマーからの金属除去が大きな課題となっている。ある意味では、重合反応それ自体より、残存金属をポリマーから除去することがリビングラジカル重合実用化への現実的な問題でもある。金属を除くため、ポリマーの精製工程では、錯化剤を利用するなどの方法(特許文献4及び5)が検討されている。環境に優しい鉄イオン化合物を触媒として用いることは、銅、コバルト、ルテニウムなど他の金属イオンに比べ、無毒性であり、後処理など工程を含めて、重合体製造全プロセスでのメリットが大きい。しかしながら、鉄イオンを用いるリビングラジカル重合では、銅イオン錯体系に比べて、重合効率が低いなどの問題以前に、鉄触媒の不安定性、鉄触媒の再利用困難など製造プロセスにおける問題点も問われている。
リビングラジカル重合反応において、高い触媒活性を有する鉄錯体を使用して重合反応を行い、かつその鉄錯体を重合反応系から除去し、廃棄することなく、単純な方法で回収しそれを再び重合反応触媒として利用できるような重合体の製造法の開発は工業的な視点から見ても、極めて重要な課題であると考えられる。
特開平8−41117号公報 特開2002−80523号公報 特許第2946497号公報 特開2002−356510号公報 特開2005−105265号公報 J.Wangら、Macromolecules,1995年、28巻、7901頁 C.J.Hawkerら、Macromolecules,1996年、29巻、5245頁 Chiefariら、Macromolecules, 1998年、31巻、5559頁 Matyjaszewskiら、 Chem. Rev. 2001年, 101巻, 2921頁 澤本ら、第54回高分子学会年次大会予稿集、2004年、1Pb022,136頁 Matyjaszewskiら、 Macromolecules, 1997年、30巻、8161頁 安藤ら, Macromolecules, 1997年、30巻、4507頁
本発明が解決しようとする課題は、ラジカル重合性単量体を比較的短時間で定量的に重合が可能で、高分子量でありながら末端に化学変換可能な官能基を有する重合体およびブロック共重合体を製造できる方法を提供することであり、さらに、重合反応後、ポリマーを汎用性溶剤中単純再沈殿することで、用いた鉄錯体を溶剤中に回収し、それを再利用した重合体製造方法を提供することである。
また、本発明が解決しようとする課題は、かかる重合体の製造方法に用いる鉄錯体を提供することである。
本発明では、触媒活性を示す金属錯体として、特定のトリアザシクロノナン鉄系錯体に注目し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
下記一般式(1)で表される鉄化合物に対して、下記一般式(2)で表される環状アミン化合物が配位した、2価鉄錯体を提供する。
Figure 0004344779
(式(1)中、Feは2価であり、Xはハロゲンイオン、RCOO−(Rは炭素原子上の水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基、又は炭素原子上の水素原子が炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよいフェニル基を示す。)及びRSO−(Rは炭素原子上の水素原子がフッ素原子以外のハロゲン原子又は1〜2個のフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基、又は炭素原子上の水素原子が炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよいフェニル基を示す。)からなる群より選ばれる1を示す。)
Figure 0004344779
(式(2)中、R、R及びRは、水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、又は芳香環上に炭素数1〜40の置換基を有していてもよいベンジル基を示す。ただし、R、R及びRのすべてが水素原子、又はすべてがメチル基である場合を除く。)
一般式(2)で表される環状アミン化合物は前記鉄化合物に対して配位して配位子となる。
より具体的には、
Figure 0004344779
(式(3)中、Feは2価であり、Xはアニオン性官能基を示し、R、R及びRは、水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、又は芳香環上に炭素数1〜40の置換基を有していてもよいベンジル基を示す。ただし、R、R及びRのすべてがメチル基である場合を除く。An−はアニオンを示す。nは1〜3の整数を示す。)
上記式(3)で表される鉄錯体、
Figure 0004344779
(式(4)中、Feは2価であり、Xはアニオン性官能基を示し、R、R及びRは、水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、又は芳香環上に炭素数1〜40の置換基を有していてもよいベンジル基を示す。ただし、R、R及びRのすべてがメチル基である場合を除く。An−はアニオンを示す。nは1〜3の整数を示す。)
上記式(4)で表される鉄錯体、
Figure 0004344779
(式(7)中、Feは2価であり、R、R及びRは、炭素数1〜20の炭化水素基、又は芳香環上に炭素数1〜40の置換基を有していてもよいベンジル基を示し、Xはハロゲンイオン、RCOO−(Rは炭素原子上の水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基、又は炭素原子上の水素原子が炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよいフェニル基を示す。)及びRSO−(Rは炭素原子上の水素原子がフッ素原子以外のハロゲン原子又は1〜2個のフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基、又は炭素原子上の水素原子が炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよいフェニル基を示す。)からなる群より選ばれる1を示す。)
上記式(7)で表される鉄錯体、
Figure 0004344779
(式(8)中、Feは2価であり、R、及びRは、炭素数1〜20の炭化水素基、又は芳香環上に炭素数1〜40の置換基を有していてもよいベンジル基を示し、Xはアニオン性官能基を示す。)
上記式(8)で表される鉄錯体、などを提供するものである。
また、本発明は、下記一般式(9)で表される鉄化合物に対して下記一般式(10)で表される環状アミン化合物が配位した2価鉄錯体を重合触媒とし、有機ハロゲン化合物の存在下で、少なくとも一種のラジカル重合性単量体を重合することを特徴とする重合体の製造方法である。
Figure 0004344779
(式(1)中、Feは2価であり、Xはアニオン性官能基を示す。)
Figure 0004344779
(式(10)中、R、R及びRは、水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、又は芳香環上に炭素数1〜40の置換基を有していてもよいベンジル基を示す。ただし、R、R及びRのすべてがメチル基又はエチル基である場合を除く。)
上記環状アミン化合物は前記錯体における配位子となり、前記有機ハロゲン化合物はラジカル重合開始剤として働く。
本発明は、上記鉄錯体とラジカル発生剤を用いることで、他の配位子など要らず、重合反応系が極めて単純化となり、かつその鉄錯体の優れた触媒活性により、そのラジカル重合反応が定量的に進行する。また、得られた重合体は通常のラジカル重合では得られない活性末端を形成しているので、定量重合後、他のラジカル重合性単量体を加えることで、ブロック共重合体を簡便に製造することができる。さらに、これらの鉄錯体は重合反応終了後、ポリマーを再沈殿させる単純な作業過程で、錯体を効率的に溶剤相へ溶かすことにより容易に回収され、これを触媒として再使用することができる。
即ち、本発明は、上記鉄錯体を従来のラジカル重合系に用いることで、工業プロセスでの重合反応の制御に多くのメリットをもたらすことができる。
本発明の効果として、鉄錯体を用いることで、銅錯体など有毒な金属イオン系と比較し、環境汚染を抑制することもでき、また、得られたポリマーの後処理過程も単純化することができることも挙げられる。
実施例11における鉄錯体6(式(39))のORTEP図である。 実施例11における鉄錯体6(式(40))のORTEP図である。 実施例12における鉄錯体7(式(41))のORTEP図である。 実施例14における重合一回目のGPCチャートである。 実施例14における重合2回目のGPCチャートである。 実施例17におけるブロック共重合前後のポリマーGPCチャートである。 実施例18におけるブロック共重合前後のポリマーGPCチャートである。 実施例26におけるブロック共重合前後のポリマーGPCチャートである。 実施例27における鉄錯体10(式(45))のORTEP図である。 実施例28における鉄錯体11(式(46))のORTEP図である。 実施例29における鉄錯体12(式(48))のORTEP図である。 実施例30における鉄錯体13(式(50))のORTEP図である。 実施例40におけるブロック共重合前後のポリマーGPCチャートである。 実施例42における鉄錯体14(式(51))のORTEP図である。 実施例45におけるブロック共重合前後のポリマーGPCチャートである。
まず、本発明の鉄錯体について説明する。
本発明の鉄錯体は、下記一般式(1)で表される鉄化合物
Figure 0004344779
(式(1)中、Feは2価であり、Xはアニオン性官能基を示す。)
が、一般式(2)で表される環状アミン化合物を配位子として有することを特徴とする。
Figure 0004344779
(式(2)中、R、R及びRは、水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、又は芳香環上に炭素数1〜40の置換基を有していてもよいベンジル基を示す。ただし、R、R及びRのすべてがメチル基である場合を除く。)
前記鉄錯体は、2価の鉄イオンに、窒素原子に水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、又は芳香環上に炭素数1〜40の置換基を有していてもよいベンジル基を有するトリアザシクロノナン基が配位され、かつアニオンを有する。鉄錯体を形成するのに要される鉄化合物及び環状アミン化合物の数などは特に問題のない限り必要に応じて選択できる。
であるアニオン性官能基としては、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン又はヨウ素イオン等のハロゲンイオン、RCOO−(Rは炭素原子上の水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基、又は炭素原子上の水素原子が炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよいフェニル基を示す。)、又はRSO−(Rは炭素原子上の水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基、又は炭素原子上の水素原子が炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよいフェニル基を示す。)のいずれかであることが好ましい。さらに、ハロゲンイオン、CHCOO−、CCOO−、CFCOO−、CHSO−、CSO−及びCFSO−からなる群より選ばれる1を示すことがより好ましく、触媒活性の長期安定化のためには、それが塩素イオン、臭素イオンであることが特に好ましい。
一般式(2)で表される環状アミン化合物は、置換基としてR、R及びRを有するトリアザシクロノナン類である。ここで、R、R及びRは、水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、又は芳香環上に炭素数1〜40の置換基を有していてもよいベンジル基を示すが、本発明では全てがメチル基である場合を除く。具体的には、
1)水素原子、
2)炭素数1〜20のアルキル基、並びに
3)芳香環の水素原子が炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基及び炭素数1〜40のポリオキシアルキレン基からなる群より選ばれる1以上で置換されていてもよいベンジル基
からなる群より選ばれる1であることが好ましい。より好ましくは、
1)水素原子、
2)炭素数1〜8のアルキル基、並びに
3)芳香環の水素原子が炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されていてもよいベンジル基
からなる群より選ばれる1である。特に好ましくは、炭素数1〜3のアルキル基、芳香環の水素原子が炭素数1〜2のアルコキシ基で置換されていてもよいベンジル基であり、もっとも好ましくはエチル基、ベンジル基、又は4−メトキシベンジル基である。R、R及びRは、同一でも異なっていてもよいが、すべてがメチル基である場合を除く。nは1〜3の整数を示し、1又は2であることが好ましい。
上記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−オクタデシル基等の直鎖状アルキル基;i−プロピル基、i−ブチル基、i−ヘキシル基、i−オクタデシル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等の分岐状アルキル基が挙げられる。上記ベンジル基としては、例えば、ベンジル基、4−メチルベンジル基、4−エチルベンジル基、4−n−プロピルベンジル基、4−イソプロピルベンジル基、4−n−ブチルベンジル基、4−イソブチルベンジル基、4−t−ブチルベンジル基、4−メトキシベンジル基、4−エトキシベンジル基、4−n−プロポキシベンジル基、4−イソプロポキシベンジル基、4−n−ブトキシベンジル基、4−イソブトキシベンジル基、4−t−ブトキシベンジル基、4−トリフルオロメチル基等が挙げられる。
本発明の鉄錯体は、より具体的例としては、下記一般式(3)で表される構造のものが挙げられる。
Figure 0004344779
(式(3)中、Feは2価であり、Xはアニオン性官能基を示し、R、R及びRは、水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、又は芳香環上に炭素数1〜40の置換基を有していてもよいベンジル基を示す。ただし、R、R及びRのすべてがメチル基である場合を除く。An−はアニオンを示す。nは1〜3の整数を示す。)
であるアニオン性官能基は、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン又はヨウ素イオン等のハロゲンイオン、RCOO−(Rは炭素原子上の水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基、又は炭素原子上の水素原子が炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよいフェニル基を示す。)、又はRSO−(Rは炭素原子上の水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基、又は炭素原子上の水素原子が炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよいフェニル基を示す。)のいずれかであることが好ましい。それらに由来する基やイオンも好ましい。さらに、ハロゲンイオン、CHCOO−、CCOO−、CFCOO−、CHSO−、CSO−及びCFSO−からなる群より選ばれる1を示すことがより好ましく、触媒活性の長期安定化のためには、それが塩素イオン、臭素イオンであることが特に好ましい。
また、R、R及びRは、水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、又は芳香環上に炭素数1〜40の置換基を有していてもよいベンジル基を示すが、本発明では全てがメチル基である場合を除く。具体的には、
1)水素原子、
2)炭素数1〜20のアルキル基、並びに
3)芳香環の水素原子が炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基及び炭素数1〜40のポリオキシアルキレン基からなる群より選ばれる1以上で置換されていてもよいベンジル基
からなる群より選ばれる1であることが好ましい。より好ましくは、
1)水素原子、
2)炭素数1〜8のアルキル基、並びに
3)芳香環の水素原子が炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されていてもよいベンジル基からなる群より選ばれる1である。特に好ましくは、炭素数1〜3のアルキル基、芳香環の水素原子が炭素数1〜2のアルコキシ基で置換されていてもよいベンジル基であり、もっとも好ましくはエチル基、ベンジル基、又は4−メトキシベンジル基である。このとき、R、R及びRが同一であることも好ましい。R、R及びRは、同一でも異なっていてもよいが、すべてがメチル基である場合を除く。nは1〜3の整数を示し、1又は2であることが好ましい。
上記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−オクタデシル基等の直鎖状アルキル基;i−プロピル基、i−ブチル基、i−ヘキシル基、i−オクタデシル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等の分岐状アルキル基が挙げられる。上記ベンジル基としては、例えば、ベンジル基、4−メチルベンジル基、4−エチルベンジル基、4−n−プロピルベンジル基、4−イソプロピルベンジル基、4−n−ブチルベンジル基、4−イソブチルベンジル基、4−t−ブチルベンジル基、4−メトキシベンジル基、4−エトキシベンジル基、4−n−プロポキシベンジル基、4−イソプロポキシベンジル基、4−n−ブトキシベンジル基、4−イソブトキシベンジル基、4−t−ブトキシベンジル基、4−トリフルオロメチル基等が挙げられる。
また、一般式(4)で表される構造のものが挙げられる。
Figure 0004344779
(式(4)中、Feは2価であり、Xはアニオン性官能基を示し、R、R及びRは、水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、又は芳香環上に炭素数1〜40の置換基を有していてもよいベンジル基を示す。ただし、R、R及びRのすべてがメチル基である場合を除く。An−はアニオンを示す。nは1〜3の整数を示す。)
式(4)中、Xは、ハロゲンイオン、シアノ基、フェニルチオニル基、RCOO(Rは炭素原子上の水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基、又は炭素原子上の水素原子が炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよいフェニル基を示す。)、又はRSO (Rは炭素原子上の水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基、又は炭素原子上の水素原子が炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよいフェニル基を示す。)からなる群より選ばれる1であることが好ましい。それらに由来する基やイオンも好ましい。ハロゲンイオンがより好ましく、塩素イオン、臭素イオンが特に好ましい。
、R及びRは、上記一般式(3)の場合と同様である。nは1〜3の整数を示し、1又は2であることが好ましい。
上記一般式(3)及び(4)において、An−は、アニオンを表す。具体例としては、An−は、下記一般式(5)又は一般式(6)で表される。
Figure 0004344779
(式(5)中、Feは2価であり、Xはアニオン性官能基を示し、R、R及びRは、水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、又は芳香環上に炭素数1〜40の置換基を有していてもよいベンジル基を示す。ただし、R、R及びRのすべてがメチル基である場合を除く。)
Figure 0004344779
(式(6)中、Xはアニオン性官能基を示し、mは0又は1であり、mが0のときnは1であり、mが1のときnは1又は2を示す。)
上記式(5)中、Xは、ハロゲンイオン、シアノ基、フェニルチオニル基、RCOO(Rは炭素原子上の水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基、又は炭素原子上の水素原子が炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよいフェニル基を示す。)、又はRSO (Rは炭素原子上の水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基、又は炭素原子上の水素原子が炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよいフェニル基を示す。)からなる群より選ばれる1であることが好ましく、ハロゲンイオンがより好ましく、塩素イオン、または臭素イオンが特に好ましい。Xが臭素イオンであるとき、mとnは1である事が好ましい。
、R及びRは、上記一般式(3)の場合と同様である。nは1〜3の整数を示し、1又は2であることが好ましい。
上記式(6)中、Xは、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオンであることが好ましく、塩素イオン、臭素イオンであることが特に好ましい。
かかる鉄錯体のうち、以下のものが最も好ましい。
(i)一般式(3)及び一般式(5)において、R、R及びRがエチル基であり、X及びXが塩素イオンであり、nが1である鉄錯体。
(ii)一般式(3)において、R、R及びRがエチル基であり、Xが臭素イオンであり、nが1であり、一般式(6)において、Xが臭素イオンであり、mが1であり、nが1である鉄錯体。
(iii)一般式(3)において、R、R及びRがベンジル基であり、Xが臭素イオンであり、nが1であり、一般式(6)において、Xが臭素イオンであり、mが1であり、nが1である鉄錯体。
(iv)一般式(1)において、R、R及びRが4−メトキシベンジル基であり、Xが塩素イオンであり、nが1であり、一般式(6)において、Xが塩素イオンであり、mが0であり、nが1である鉄錯体。
(v)一般式(3)において、R、R及びRが4−メトキシベンジル基であり、Xが塩素イオンであり、nが1であり、一般式(6)において、Xが塩素イオンであり、mが1であり、nが2である鉄錯体。
(vi)一般式(3)において、R、R及びRがn−ブチル基であり、Xが塩素イオンであり、nが1であり、一般式(6)において、Xが塩素イオンであり、mが1であり、nが1である鉄錯体。
本発明によれば、窒素原子上に種々の置換基を有するトリアザシクロノナン化合物と、FeCl又はFeBrを適宜組み合わせて使用することにより、上記一般式(3)〜(6)で表されるようなアニオン部分(A)が異なるカチオン型二核鉄錯体(Y)を良好な収率で得ることができる。かかる合成法により、上記一般式(3)〜(6)中のR、R及びRの炭素数を増大させることで、重合性モノマーや有機溶剤に対して高い溶解性を有する鉄錯体(Y)を提供することができる。
さらに、一般式(7)で表される構造のものが挙げられる。
Figure 0004344779
(式(7)中、Feは2価であり、R、R及びRは、炭素数1〜20の炭化水素基、又は芳香環上に炭素数1〜40の置換基を有していてもよいベンジル基を示し、Xはアニオン性官能基を示す。)
、R及びRは、上記一般式(3)の場合と同様であるが、好ましくは、イソプロピル基、シクロヘプチル、又はフェニルエチル基等の2級アルキル基である置換基が特に好ましい。
は、ハロゲンイオン、シアノ基、フェニルチオニル基、RCOO(Rは炭素原子上の水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基、又は炭素原子上の水素原子が炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよいフェニル基を示す。)、又はRSO (Rは炭素原子上の水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基、又は炭素原子上の水素原子が炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよいフェニル基を示す。)からなる群より選ばれる1であることが好ましく、ハロゲンイオンがより好ましく、塩素イオン、臭素イオンが特に好ましい。
さらに、一般式(8)で表される構造のものが挙げられる。
Figure 0004344779
(式(8)中、Feは2価であり、R及びRは、炭素数1〜20の炭化水素基、又は芳香環上に炭素数1〜40の置換基を有していてもよいベンジル基を示し、Xはアニオン性官能基を示す。)
上記一般式(1)および(2)で表されるような、2価の鉄イオンにトリアザシクロノナン環が配位し、かつ鉄周辺にハロゲン基を有する鉄錯体としては、Inorganic Chemistry 2000年、39巻、3029頁に記載されているように、N,N’,N”−トリメチル−1,4,7−トリアザシクロノナンと無水塩化鉄(II)からカチオン型の二核錯体が合成されているが、N,N’,N”−トリメチル−1,4,7−トリアザシクロノナン以外のトリアザシクロノナン環が配位した類似のカチオン型二核鉄錯体の合成は報告されていない。
本発明によれば、窒素原子上に種々の置換基を有するトリアザシクロノナン化合物と、FeCl又はFeBr等を適宜組み合わせて使用することにより、上記一般式(3)〜(8)、及び一般式(11)〜(21)で表されるような2価鉄錯体を良好な収率で得ることができる。かかる合成法により、上記一般式(3)〜(8)、及び(11)〜(21)中のR、R及びRの炭素数を増大させることで、重合モノマーや有機溶剤に対して高い溶解性を有する鉄錯体を提供することができる。より具体的には、Fe(Xと溶媒の懸濁液にN−R,N‘−R,N“−R−1,4,7−トリアザシクロノナン溶液を室温で加えて撹拌し、エーテル等を加えて静置することにより調製することができる。
次に本発明の製造方法について説明する。
これから説明する化合物の幾つかには、なお説明を容易にするために、上述の化合物とほぼ同じであっても異なる番号を用いて説明を行った。具体的には、上記式(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)は、これより説明される式(9)、(10)、(11)、(12)、(18)、(19)、(13)及び(14)とほぼ同じである。
本発明の重合体の製造方法は、重合触媒となる鉄錯体として、鉄周辺に、窒素原子に特定の置換基を有するトリアザシクロノナン基が配位され、かつ特定のアニオン性官能基を有する鉄錯体を使用して、これと重合開始剤とを組み合わせることで、ラジカル重合性モノマーの重合をリビングラジカル重合形式のATRPで進行させることにより、その重合を定量的に進行させることができると同時に、末端に化学変換可能な機能性残基が結合したポリマーが得られる。
本発明の重合体の製造方法において使用する鉄錯体は、以下の一般式(9)で表される鉄化合物
Figure 0004344779
(式(9)中、Feは2価であり、Xはアニオン性官能基を示す。)
が、下記一般式(10)で表される環状アミン化合物を配位子として有することを特徴とする2価鉄錯体である。
Figure 0004344779
(式(10)中、R、R及びRは、水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、又は芳香環上に炭素数1〜40の置換基を有していてもよいベンジル基を示す。ただし、R、R及びRのすべてがメチル基である場合を除く。)
より詳しくは、一般式(11)〜(17)構造の鉄錯体により、ラジカル重合性モノマーを定量的に重合させて、ATRP型重合体を製造することができる。
であるアニオン性官能基としては、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン又はヨウ素イオン等のハロゲンイオン、RCOO−(Rは炭素原子上の水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基、又は炭素原子上の水素原子が炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよいフェニル基を示す。)、又はRSO−(Rは炭素原子上の水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基、又は炭素原子上の水素原子が炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよいフェニル基を示す。)のいずれかであれることが好ましい。さらに、ハロゲンイオン、CHCOO−、CCOO−、CFCOO−、CHSO−、CSO−及びCFSO−からなる群より選ばれる1を示すことがより好ましく、触媒活性の長期安定化のためには、それが塩素イオン、臭素イオンであることが特に好ましい。
一般式(10)で表される環状アミン化合物は、置換基としてR、R及びRを有するトリアザシクロノナン類である。ここで、R、R及びRは、水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、又は芳香環上に炭素数1〜40の置換基を有していてもよいベンジル基を示すが、本発明では全てがメチル基である場合を除く。具体的には、
1)水素原子、
2)炭素数1〜20のアルキル基、並びに
3)芳香環の水素原子が炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基及び炭素数1〜40のポリオキシアルキレン基からなる群より選ばれる1以上で置換されていてもよいベンジル基
からなる群より選ばれる1であることが好ましい。より好ましくは、
1)水素原子、
2)炭素数1〜8のアルキル基、並びに
3)芳香環の水素原子が炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されていてもよいベンジル基
からなる群より選ばれる1である。特に好ましくは、炭素数1〜3のアルキル基、芳香環の水素原子が炭素数1〜2のアルコキシ基で置換されていてもよいベンジル基であり、もっとも好ましくはエチル基、ベンジル基、4−メトキシベンジル基である。R、R及びRは、同一でも異なっていてもよいが、すべてがメチル基である場合を除く。nは1〜3の整数を示し、1又は2であることが好ましい。
上記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−オクタデシル基等の直鎖状アルキル基;i−プロピル基、i−ブチル基、i−ヘキシル基、i−オクタデシル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等の分岐状アルキル基が挙げられる。上記ベンジル基としては、例えば、ベンジル基、4−メチルベンジル基、4−エチルベンジル基、4−n−プロピルベンジル基、4−イソプロピルベンジル基、4−n−ブチルベンジル基、4−イソブチルベンジル基、4−t−ブチルベンジル基、4−メトキシベンジル基、4−エトキシベンジル基、4−n−プロポキシベンジル基、4−イソプロポキシベンジル基、4−n−ブトキシベンジル基、4−イソブトキシベンジル基、4−t−ブトキシベンジル基、4−トリフルオロメチル基等が挙げられる。
本発明の製造方法で使用される鉄錯体の例としては、具体的には、下記一般式(11)で表される構造のものが挙げられる。
Figure 0004344779
(式(11)中、Feは2価であり、Xはアニオン性官能基を示し、R、R及びRは、水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、又は芳香環上に炭素数1〜40の置換基を有していてもよいベンジル基を示す。ただし、R、R及びRのすべてがメチル基である場合を除く。An−はアニオンを示す。nは1〜3の整数を示す。)
であるアニオン性官能基は、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン又はヨウ素イオン等のハロゲンイオン、RCOO−(Rは炭素原子上の水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基、又は炭素原子上の水素原子が炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよいフェニル基を示す。)、又はRSO−(R4は炭素原子上の水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基、炭素原子上の水素原子が炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよいフェニル基を示す。)のいずれかであれることが好ましい。さらに、ハロゲンイオン、CH3COO−、CCOO−、CFCOO−、CHSO−、CSO−及びCFSO−からなる群より選ばれる1を示すことがより好ましく、触媒活性の長期安定化のためには、それが塩素イオン、臭素イオンであることが特に好ましい。
また、R、R及びRは、水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、又は芳香環上に炭素数1〜40の置換基を有していてもよいベンジル基を示すが、本発明では全てがメチル基である場合を除く。具体的には、
1)水素原子、
2)炭素数1〜20のアルキル基、並びに
3)芳香環の水素原子が炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基及び炭素数1〜40のポリオキシアルキレン基からなる群より選ばれる1以上で置換されていてもよいベンジル基
からなる群より選ばれる1であることが好ましい。より好ましくは、
1)水素原子、
2)炭素数1〜8のアルキル基、並びに
3)芳香環の水素原子が炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されていてもよいベンジル基
からなる群より選ばれる1である。特に好ましくは、炭素数1〜3のアルキル基、芳香環の水素原子が炭素数1〜2のアルコキシ基で置換されていてもよいベンジル基であり、もっとも好ましくはエチル基、ベンジル基、4−メトキシベンジル基である。R、R及びRは、同一でも異なっていてもよいが、すべてがメチル基である場合を除く。nは1〜3の整数を示し、1又は2であることが好ましい。
上記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−オクタデシル基等の直鎖状アルキル基;i−プロピル基、i−ブチル基、i−ヘキシル基、i−オクタデシル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等の分岐状アルキル基が挙げられる。上記ベンジル基としては、例えば、ベンジル基、4−メチルベンジル基、4−エチルベンジル基、4−n−プロピルベンジル基、4−イソプロピルベンジル基、4−n−ブチルベンジル基、4−イソブチルベンジル基、4−t−ブチルベンジル基、4−メトキシベンジル基、4−エトキシベンジル基、4−n−プロポキシベンジル基、4−イソプロポキシベンジル基、4−n−ブトキシベンジル基、4−イソブトキシベンジル基、4−t−ブトキシベンジル基、4−トリフルオロメチル基等が挙げられる。
また、下記一般式(12)で表される構造のものが挙げられる。
Figure 0004344779
(式(12)中、Feはいずれも2価であり、Xはアニオン性官能基を示し、R、R及びRは、水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、又は芳香環上に炭素数1〜40の置換基を有していてもよいベンジル基を示す。ただし、R、R及びRのすべてがメチル基である場合を除く。An−はアニオンを示す。nは1〜3の整数を表す。)
上記一般式(11)及び(12)において、An−は、アニオンを表す。具体例としては、下記一般式(18)
Figure 0004344779
(式(18)中、Feは2価であり、Xはアニオン性官能基を示し、R、R及びRは、水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、又は芳香環上に炭素数1〜40の置換基を有していてもよいベンジル基を示す。ただし、R、R及びRのすべてがメチル基である場合を除く。)
又は一般式(19)である。
Figure 0004344779
(式(19)中、Xはアニオン性官能基を示し、mは0又は1であり、mが0のときnは1であり、mが1のときnは1又は2を示す。)
式(18)中、Xは、ハロゲンイオン、シアノ基、フェニルチオニル基、RCOO(Rは炭素原子上の水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基、又は炭素原子上の水素原子が炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよいフェニル基を示す。)、又はRSO (Rは炭素原子上の水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基、又は炭素原子上の水素原子が炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよいフェニル基を示す。)からなる群より選ばれる1であることが好ましく、ハロゲンイオンがより好ましく、塩素イオン、臭素イオンが特に好ましい。
、R及びRは、上記一般式(3)の場合と同様である。nは1〜3の整数を示し、1又は2であることが好ましい。
式(19)中、Xは、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオンであることが好ましく、塩素イオン、臭素イオンであることが特に好ましい。
(式(19)中、Xはアニオン性官能基を示し、mは0又は1であり、mが0のときnは1であり、mが1のときnは1又は2を示す。)で表される鉄錯体である。
さらに、一般式(13)で表される構造のものが挙げられる。
Figure 0004344779
(式(13)中、Feは2価であり、R、R及びRは、炭素数1〜20の炭化水素基、又は芳香環上に炭素数1〜40の置換基を有していてもよいベンジル基を示し、Xはアニオン性官能基を示す。)
、R及びRは、上記一般式(3)の場合と同様であるが、好ましくは、イソプロピル基、シクロヘプチル、フェニルエチル基等の2級アルキル基である置換基が特に好ましい。
は、ハロゲンイオン、シアノ基、フェニルチオニル基、RCOO(Rは炭素原子上の水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基、又は炭素原子上の水素原子が炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよいフェニル基を示す。)、又はRSO (Rは炭素原子上の水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基、又は炭素原子上の水素原子が炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよいフェニル基を示す。)からなる群より選ばれる1であることが好ましく、ハロゲンイオンがより好ましく、塩素イオン、臭素イオンが特に好ましい。
さらに、一般式(14)で表される構造のものが挙げられる。
Figure 0004344779
(式(14)中、Feはいずれも2価であり、R、及びRは、炭素数1〜20の炭化水素基、又は芳香環上に炭素数1〜40の置換基を有していてもよいベンジル基を示し、Xはアニオン性官能基を示す。)
一般式(11)は、具体的には、以下の一般式(11’)及び一般式(11”)で表される。
Figure 0004344779
(式(11’)中、Feはいずれも2価であり、Xはフッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオンのいずれかを表し、Xはハロゲンイオン、CN、S−C、RCOO(Rは炭素原子上の水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基、又は炭素原子上の水素原子が炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよいフェニル基を示す。)、又はRSO (Rは炭素原子上の水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基、又は炭素原子上の水素原子が炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよいフェニル基を示す。)からなる群より選ばれる1を表し、R、R及びRは、式(5)の場合と同じである。)
このうち、X、Xは塩素イオン又は臭素イオンであることが好ましい。
Figure 0004344779
(式(11”)中、Feはいずれも2価であり、Xはフッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオンのいずれかを表し、Xはハロゲンイオンを表し、R、R及びRは、式(5)の場合と同じである。mは0又は1であり、mが0のときnは1であり、mが1のときnは1又は2を示す。)
このうち、X、Xは塩素イオン又は臭素イオンであることが好ましい。
一般式(15)は、
Figure 0004344779
(式(15)中、Feはいずれも2価であり、Xはアニオン性官能基を示し、R、R及びRは、水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、又は芳香環上に炭素数1〜40の置換基を有していてもよいベンジル基を示す。ただし、R、R及びRのすべてがメチル基又はエチル基である場合を除く。Lは、鉄原子に配位可能で鉄の価数を変化させない配位子を示し、Aはアニオンを示す。)
このうち、Xは、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン等のハロゲンイオン、RCOO(Rは炭素原子上の水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基、又は炭素原子上の水素原子が炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよいフェニル基を示す。)、又はRSO (Rは炭素原子上の水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基、炭素原子上の水素原子が炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよいフェニル基を示す。)であることが好ましい。Lは、CHCN、CO、ArP(Arは炭素原子上の水素原子が炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよいフェニル基、又は炭素原子上の水素原子が炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよいナフチル基を示す。)、又は炭素数6〜24の3級アミンであることが好ましい。
上記各式のAは、下記一般式(20)、一般式(21)で表されるものも好ましい。
Figure 0004344779
(式(20)中、Feは2価であり、Xはアニオン性官能基を示し、R、R及びRは、水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、又は芳香環上に炭素数1〜40の置換基を有していてもよいベンジル基を示す。ただし、R、R及びRのすべてがメチル基である場合を除く。)
Figure 0004344779
(式(21)中、Xはアニオン性官能基を示し、mは0又は1であり、mが0のときnは1であり、mが1のときnは1又は2を示す。)
また、PF 、SbF ,BF ,BrO ,NO ,Cl,Br,Fなどの無機アニオンを使用してもよい。また、有機系アニオンとして、CFCOO−,CHCOO−,CCOO−、長鎖アルキルスルホニル基、長鎖アルキルカルボキシ基などの脂肪族又は芳香族の対アニオンを使用してもよい。
一般式(16)で表されるカチオン型鉄錯体は、その構造的な特徴として、2価の鉄イオンに、窒素原子にアルキル基等が結合したトリアザシクロノナンキレートが配位し、その錯体中には少なくとも一つのハロゲン、シアノ基や、フェニルチオ基、メチルチオ基(S−CH)やエチルチオ基(S−C)等が結合したものである。
一般式(16)は、以下の式で表される。
Figure 0004344779
(式(16)中、Feは2価であり、Xはアニオン性官能基を示し、R、R及びRは、水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、又は芳香環上に炭素数1〜40の置換基を有していてもよいベンジル基を示す。ただし、R、R及びRのすべてがメチル基又はエチル基である場合を除く。Dは、カチオン性基を示す。)
このうち、Xは塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、CN、S−C又はS−R(Rは炭素数1〜4のアルキル基を示す。)のいずれかであることが好ましい。Dは一価のカチオンであり、アンモニウム、フォスフォニウム、スルフォニウムの如く有機オニウムイオン、又はアルカリ金属イオンなどの一価のカチオンであればよい。2価の鉄からなるカチオン性錯体又は有機オニウムカチオン、例えば、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、テトラフェエニルアンモニウム、トリメチルオクチルアンモニウム、トリメチルドデシルアンモニウム、テトラエチルフォスフォニウム、テトラブチルフォスフォニウム、テトラフェニルフォスフォニウム、又はトリフェニルスルフォニウムであることが好適である。
一般式(17)は、以下の式で表される。
Figure 0004344779
(式(17)中、Feは2価であり、X10はアニオン性官能基を示し、R、R及びRは、水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、又は芳香環上に炭素数1〜40の置換基を有していてもよいベンジル基を示す。ただし、R、R及びRのすべてがメチル基又はエチル基である場合を除く。Lは、鉄原子に配位可能で鉄の価数を変化させない配位子を示す。)
このうち、X10は塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、CN、S−C又はS−R(Rは炭素数1〜4のアルキル基を示す。)のいずれかであり、Lは、CHCN、CO、ArP(Arは炭素原子上の水素原子が炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよいフェニル基、又は炭素原子上の水素原子が炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよいナフチル基を示す。)、又は炭素数6〜24の3級アミンであることが好ましい。
上記一般式(17)で示される鉄錯体は、その構造的な特徴として、2価の鉄イオンに窒素原子にアルキル基等が結合したトリアザシクロノナンキレートが配位している。また、かかる鉄に結合しているハロゲンイオンとしては、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオンであればよく、触媒活性の長期安定化のためには、それが塩素イオン、臭素イオンであることが好ましい。またシアノ基、フェニルチオ基、メチルチオ基、エチルチオ基などが結合しても良い。さらにかかる鉄に結合した配位子として、アセトニトリル、一酸化炭素であってもよい。
一般式(14)は、以下の式で表される。
Figure 0004344779
(式(14)中、Feは2価であり、R及びRは、炭素数1〜20の炭化水素基、又は芳香環上に炭素数1〜40の置換基を有していてもよいベンジル基を示す。)
上記一般式(11)〜(17)で示される触媒を用いて、ラジカル重合性モノマーの重合反応を行う場合、その重合反応において使用する有機ハロゲン化合物(Z)としては、活性ハロゲン化合物、例えば、α−ハロゲノカルボニル化合物類、α−ハロゲノカルボン酸エステル化合物類、ハロゲン化スルホニル類、α−ハロゲノアルキルアレーン類又はポリハロゲン化アルカン化合物類であることが好ましい。より詳しくは、1,1−ジクロロアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトン、1,1−ジブロモアセトフェノン、1,1−ジブロモアセトン、などのカルボニル類化合物、又は、2−ブロモ−2−メチルプロパン酸エチル、(2−ブロモ−2−メチルプロパン酸ンアントラセニルメチル、2−クロロ−2,4,4−トリメチルグルタル酸ジメチル、1,2−ビス(α−ブロモプロピオニルオキシ)エタンの如くエステル類、ベンゼンスルホン酸クロリド、p−トルエンスルホニルクロリド、などのハロゲン化スルホニル類、クロロメチルベンゼン、ブロモメチルベンゼン、ヨードメチルベンゼン、ジクロロメチルベンゼン、ジブロモメチルベンゼン、1−フェニルエチルクロライド、1−フェニルエチルブロマイド如くα−ハロゲノアルキルアレーン類又は四塩化炭素、四臭化炭素の如くポリハロゲン類の化合物などがあげられる。
有機ハロゲン化合物(Z)として、三つ以上の活性点を有する活性ハロゲン化合物を用いることで、星型ポリマーを簡単に合成することできる。例としては、1,3,5−トリスクロロメチルベンゼン、1,3,5−トリスブロモメチルベンゼン、1,2,4,5−テトラキスクロロメチルベンゼン、1,2,4,5−テトラキスブロモメチルベンゼン、1,2,3,4,5,6−ヘキサキスクロロメチルベンゼン、1,2,3,4,5,6−ヘキサキスブロモメチルベンゼン如くα−ハロゲノアルキルアレーン類化合物などがあげられる。
また、上記活性ハロゲン化合物残基をポリマーの末端又は側鎖に有するポリマーを重合開始剤として用いることもできる。例えば、ポリメタアクリレート類、ポリアクリレート類、ポリアクリルアミド類、ポリスチレン類、ポリビニルピリジン類、ポリエチレングリコール類、ポリエーテル類ポリマーの片末端又は両末端に上記活性ハロゲン化合物残基、例えば、α−ハロゲノカルボニル、α−ハロゲノカルボン酸エステル残基が結合したポリマーを好適に用いることができる。また、例えば、エポキシ樹脂類、ポリビニルアルコール類、多糖類などポリマーの如く側鎖に水酸基を持ち、その水酸基に活性ハロゲン化合物残基、例えばα−ハロゲノカルボン酸残基が結合したポリマーを取り上げることもできる。このようなポリマーを重合開始剤として用いた場合、ブロックポリマー又は櫛型ポリマーを容易に得ることができる。
上記一般式(11)〜(17)で示される鉄錯体と、有機ハロゲン化合物とを組み合わせて使用する場合には、錯体/有機ハロゲン化合物で表されるモル比が1〜0.5範囲での割合で使用することができるが、鉄触媒活性の高さから考えた場合、有機ハロゲン化合物が錯体より過剰であることが好ましい。
本発明の鉄錯体によるATRP重合系は、ラジカル重合性モノマー全般に適応できる。ラジカル重合性モノマーの例としては、(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリアミド類、スチレン類、ビニルピリジン類などを取りあげることができる。より詳しくは、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ジメチルアミノエチルメタクリレートなどのメタクリレート類モノマー、又は、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ジメチルアミノエチルアクリレートなどのアクリレート類モノマー、又は、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミドなどアクリルアミド類モノマー、又は、スチレン、2−クロロメチルスチレン、3−クロロメチルスチレン、4−クロロメチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−ビニル安息香酸エステル、p−ビニルフェニルスルホン酸エステルなどスチレン類モノマー、又はp−ビニルピリジン、o−ビニルピリジンなどのビニルピリジン類モノマーを用いることができる。
これらのモノマーは単独又は二種類以上のモノマーを同時に用いることもできる。本発明では、必要に応じて2種類以上のラジカル重合性単量体を用いてランダム共重合やブロック共重合することが可能である。
また、二種類以上のモノマーを重合反応の一定時間毎に加えて使用することもできる。第一モノマーが消費されてから次のモノマーを加えることで、得られるポリマーをジブロック、又はトリブロック、あるいはそれ以上のブロック共重合体の構造とすることができる。
ブロック共重合体での合成において、重合性モノマーをスチレン系と(メタ)アクリレート系から選定することで、その二つのポリマー骨格からなるブロック共重合体を得ることができる。また、親水性モノマーと疎水性モノマーを用いることで、親水性ポリマー骨格と疎水性ポリマー骨格からなる両親媒性ブロック共重合体を得ることができる。
また、ブロック共重合体を得る方法として、末端に活性ハロゲン残基を有するポリマーを開始剤として用いることで、重合性モノマーを重合させることもできる。
ブロック共重合体を得る際に、重合性モノマーとして塩基性モノマーを用いた場合、塩基性ポリマー骨格と他のポリマー骨格から構成されるブロック共重合体を得ることができる。
重合性モノマーと有機ハロゲン化合物(Z)を混合し、重合を行う際、重合性モノマー/活性ハロゲン化合物で表されるモル比は10〜10000であればよく、重合度をよりよく制御するためには、そのモル比50〜1000であれば更に好ましい。
本発明での重合開始剤系を用いて重合反応を行う際、反応温度を室温以上に設定できるが、30〜120度の温度範囲で反応を行うことが好ましい。
反応時間は、1〜48時間の範囲で十分であるが、開始剤の種類、オレフィンモノマーの種類及び反応温度によりその反応時間を短く又は長く設定することができる。更に、反応時間の設定は、得られる共重合体の分子量制御に合わせて、設定することが望ましい。
本発明における共重合反応においては、溶媒は必要に応じて選択でき、使用してもしなくても良い。溶媒なしでのバルク重合、又は溶媒存在下での溶液重合、又はアルコール類溶剤、水性媒体中の重合などの異なる重合方法が適用できる。
本発明の重合反応に用いることができる溶剤としては、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、アニソール、シアノベンゼン、ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール等が挙げられる。
また、水性媒体中での重合では、水と任意の割合で混合できる有機溶剤類であることが好ましい。具体的には、メタノール、エタノール、アセトン、アセトニトリル、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフランなどを取り上げることができる。
さらに、完全水中にて、水溶性モノマーの重合を行うこともできる。また、水中にて疎水性モノマーを分散して重合を行うこともできる。
本発明での上記一般式(11)〜(17)で示された2価鉄錯体中、特にイオン性鉄錯体は疎水性ポリマーを溶解させない溶剤類、例えば、メタノール、水中に可溶である。このことから、2核鉄錯体を用いた重合系では、その重合が終了後、得られた混合物をメタノール、アルコール、水などの媒体にて沈殿させることで、混合物中の鉄錯体はこれらの極性溶剤中に溶解し、その一方、ポリマーは沈殿する。このような単純な方法により、2核鉄錯体を回収、そして濃縮し、再び重合触媒として用いることができる。
この回収において、他の錯化剤の使用は一切なしに、ポリマーにとっては貧溶剤となる溶剤類、例えば、メタノール、エタノール、水などを用いることで好適に回収できる。
回収した混合物を濃縮し、それをメタノール、エタノール又は水などの溶剤で洗浄し、可溶性錯体だけを回収、純化することができる。
本発明の製造方法では、目的の重合体を製造した後、重合体を水及び/又は水溶性有機溶媒で洗浄して鉄錯体を容易に回収することができ、また回収した鉄錯体を用いて再度重合を行う事ができる。回収及び使用の工程は複数回繰り返すことも出来て有益である。
本発明の製造方法においては、一般式(11)〜(17)で表される鉄錯体を用いることにより、銅錯体など有毒な金属イオン系と比較し、環境汚染を抑制することもでき、また、得られたポリマーの後処理過程も単純化することができる。また、一般式(11)〜(17)で表される鉄錯体は重合反応終了後、ポリマーを再沈殿させる単純な作業過程で、錯体を効率的に溶剤相へ溶かすことにより容易に回収され、これを触媒として再使用することができる。
また本発明の製造方法においては、上記鉄錯体とラジカル発生剤を用いることで、他の配位子など要らず、重合反応系が極めて単純化となり、かつその鉄錯体の優れた触媒活性により、そのラジカル重合反応が定量的に進行する。また、得られた重合体は通常のラジカル重合では得られない活性末端を形成しているので、定量重合後、他のラジカル重合性単量体を加えることで、ブロック共重合体を簡便に製造することができる。
このような本発明の製造方法により得られた重合体及びブロック共重合体は、種々の用途、例えばインキ、顔料分散、カラーフィルター、フィルム、塗料、成形材料、接着剤、電気・電子品部材、医療用部材など広範に使用することができる。
以下に実施例および比較例を以って本発明をより詳しく説明する。
実施例中における測定は、以下の方法により行った。
(GPC測定法)
高速液体クロマトグラフィー(東ソー株式会社製HLC−8020)、UV及びRI検出器、TSKgel 2000xl+3000Hxl+5000Hxl+guardcolumnHxl−H、溶媒THF、流速:1.0mL/min、温調:40度にて測定した。
(NMR測定)
H−,13C−NMRの測定は、日本電子(株)製のLambda600にて行った。
(実施例1)
<鉄錯体1の合成>
20mLのシュレンク管に、無水FeCl 127mg(1.0mmol)とアセトニトリル3mLを加えて懸濁させた溶液に、Journal of Chemical Society Dalton Tans.1996年、353頁記載の方法に従い合成した1,4,7−トリエチル−1,4,7−トリアザシクロノナン213mg(1.0mmol)のアセトニトリル溶液1mLを室温でゆっくりと加え、12時間撹拌した後、ジエチルエーテル5mLを加えて更に攪拌した。静置後、上澄み溶液をデカンテーションで除き、残渣をジエチルエーテルで洗浄し、減圧乾燥後、313mgの微細な白色粉末状の鉄錯体1(式(33))を得た。収率92%。錯体の構造はH-NMR、イオンスプレーマススペクトルにより確認した。
(ESI−MS)m/z:643.2(カチオン部分)、m/z:374.1(アニオン部分)
Figure 0004344779
(実施例2)
<鉄錯体2の合成>
無水FeClの代わりに、無水FeBr 216mg(1.0mmol)を用いた以外は実施例1に従い、実施し、微細白色粉末の錯体2(式(34))を得た(収量:410mg、収率96%)。
錯体の構造はH-NMR、イオンスプレーマススペクトルにより確認した。
(ESI−MS)m/z:757.1(カチオン部分)、m/z:292.7(アニオン部分)
Figure 0004344779
(実施例3)
<鉄錯体3の合成>
20mLシュレンク管に、無水FeCl 127mg(1.0mmol)とTHF5mLを加えて懸濁させた溶液に、Organometallics 1996年、15巻、491頁記載の方法に従い合成した1,4,7−トリベンジル−1,4,7−トリアザシクロノナン399mg(1.0mmol)のTHF溶液5mLを室温でゆっくりと加え、10時間撹拌した。静置後、上澄み溶液をデカンテーションで除き、残渣をジエチルエーテルで2回洗浄し、減圧乾燥後、500mgの白色粉末状の鉄錯体3(式(35))を得た。イオンスプレーマススペクトル測定の結果、錯体3はカチオン型二核鉄錯体であった。(ESI−MS)m/z:1015.3(カチオン部分)
Figure 0004344779
(実施例4)
<鉄錯体4の合成>
無水FeClの代わりに、無水FeBr 216mg(1.0mmol)を用いた以外は実施例3に従い実施し、白色粉末状の錯体4(式(36))を得た(収量:410mg、収率96%)。
(ESI−MS)m/z:1147.2(カチオン部分)、m/z:292.7(アニオン部分)
Figure 0004344779
(実施例5)
<錯体5の合成>
(1−n−オクチル−4,7−ジメチル−1,4,7−トリアザシクロノナンの合成)
冷却管を取り付けた200mLの三口フラスコに、Journal of Chromatography A 2002年、954巻、247頁記載の方法に従い合成した4級アンモニウム塩(A)9.96g(30mmol)、ホルマリン水溶液50mL、98%蟻酸50mLを加え、攪拌しながら90度までゆっくりと加熱し、さらに90度で18時間攪拌した。放冷後、反応混合物を氷浴にて0度に冷却した後、48%水酸化ナトリウム水溶液にて反応混合物のpHを14以上とした。反応混合物を室温にまで温め、100mLのヘキサンにより有機物の抽出を三回行い、ヘキサン溶液を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濃縮後、得られた粗生成物を蒸留により精製し、6.46gの1−n−オクチル−4,7−ジメチル−1,4,7−トリアザシクロノナンを得た。(24mmol、収率80%)。
Figure 0004344779
(鉄錯体5の合成)
20mLのシュレンク管に、無水FeCl50mg(0.39mmol)とアセトニトリル10mLを加えて懸濁させた溶液に、1−n−オクチル−4,7−ジメチル−1,4,7−トリアザシクロノナン127mg(0.47mmol)を加え、2時間撹拌した後、減圧下で反応溶液の体積が2mL程度になるまで濃縮した後、20mLのジエチルエーテルを加えると、白色の固体が沈殿した。この固体をジエチルエーテル10mLで洗浄し、鉄錯体5(式(38))を得た(144mg)。錯体の構造はH−NMR、およびイオンスプレーマススペクトルにより確認した。
(ESI−MS)m/z:755.3(カチオン部分)、m/z:160.8(アニオン部分)
Figure 0004344779
(実施例6)
<ポリメタクリル酸メチルの合成>
窒素雰囲気下で、スリ付き試験管に攪拌子、鉄錯体3(21.1mg、0.02mmol)、2−ブロモイソブタン酸エチル(7.8mg、0.04mmol)を入れ、メタクリル酸メチル(2.0g、20mmol)を加えた。容器を密閉して80度の油浴で20時間攪拌した。転化率は95%以上であり、生成したポリメタクリル酸メチル(pMMA)は、Mn=59,000、Mw/Mn=1.9であった。
(実施例7)
<ポリメタクリル酸メチルの合成>
窒素雰囲気下で、スリ付き試験管に攪拌子、鉄錯体4(28.9mg、0.02mmol)、2−ブロモイソブタン酸エチル(7.8mg、0.04mmol)を入れ、メタクリル酸メチル(2.0g、20mmol)を加えた。容器を密閉して80度の油浴で55時間攪拌した。転化率は95%以上であり、生成したポリメタクリル酸メチル(pMMA)は、Mn=99,000、Mw/Mn=1.4であった。
(実施例8)
<ポリスチレンの合成>
窒素雰囲気下で、スリ付き試験管に攪拌子、鉄錯体5(16.7mg、0.02mmol)、1−クロロエチルベンゼン(5.6mg、0.04mmol)を入れ、スチレン(1.02g、10mmol)を加えた。容器を密閉して120度の油浴で20時間攪拌した。転化率は93%であり、生成したポリスチレン(pSt)は、Mn=20,000、Mw/Mn=1.2であった。
(実施例9)
<水性媒体中でのポリメタクリル酸(N,N−ジメチルアミノエチル)の合成>
20mLのシュレンク管に攪拌子、鉄錯体5(4.2mg、0.005mmol)を入れ、アルゴン気流下で脱気した蒸留水0.4mLとメタノール0.4mLを加え錯体を溶解させた後、トリクロロ酢酸メチル(1.77mg、0.01mmol)とメタクリル酸(N,N−ジメチルアミノエチル)(DMAEMA)(786mg、5mmol)の混合物を加えて、2回凍結脱気を行い、アルゴンで常圧に戻した。容器を密閉して80度の油浴に浸け15時間攪拌した。転化率は81%であり、生成したポリメタクリル酸(N,N−ジメチルアミノエチル)(pDMAEMA)は、Mn=21,000、Mw/Mn=1.6であった。
(実施例10)
<水性媒体中でのポリメタクリル酸(N,N−ジメチルアミノエチル)の合成>
蒸留水0.4mLとメタノール0.4mLの代わりに、水0.8mLを用いた以外は実施例9に従い、重合反応を実施した。転化率は69%であり、生成したポリメタクリル酸(N,N−ジメチルアミノエチル)(pDMAEMA)は、Mn=20,000、Mw/Mn=1.6であった。
Figure 0004344779
(実施例11)
<鉄錯体6の合成>
20mLのシュレンク管に、無水FeCl26mg(0.2mmol)とアセトニトリル10mLを加えて懸濁させた反応溶液に、Journal of American Chemical Society 1996年、118巻、11575頁記載の方法に従い合成した1,4,7−トリス(4−メトキシベンジル)−1,4,7−トリアザシクロノナン100mg(0.2mmol)を加え、14時間撹拌した後、減圧下で反応溶液の体積が5mL程度になるまで濃縮した。15mLのジエチルエーテルを加えると、白色の固体が沈殿した。この固体をアセトニトリル/ジエチルエーテルから再結晶して、2種類の混合物として鉄錯体6(式(39)及び(40))を得た(86mg)。錯体の構造は単結晶X線構造解析により確認した。それらを図1、図2に示す。
Figure 0004344779
Figure 0004344779
(実施例12)
<鉄錯体7の合成>
20mLのシュレンク管に、無水FeBr108mg(0.50mmol)とアセトニトリル10mLを加えて懸濁させた反応溶液に、Journal of American Chemical Society 1996年、118巻、11575頁記載の方法に従い合成した1,4,7−トリス(4−メトキシベンジル)−1,4,7−トリアザシクロノナン270mg(0.55mmol)を加え、2時間撹拌した後、15mLのジエチルエーテルを加えると、白色の固体が沈殿した。この固体をアセトニトリル/ジエチルエーテルから再結晶して、鉄錯体7(式(41))を得た(240mg、0.17mmol、収率68%)。錯体の構造は単結晶X線構造解析により確認した。それを図3に示す。
Figure 0004344779
(実施例13)
<ポリスチレンの合成>
窒素雰囲気下で、スリ付き試験管に攪拌子、鉄錯体6(12mg、0.01mmol)、1−クロロエチルベンゼン(2.8mg、0.02mmol)を入れ、スチレン(0.52g、5mmol)を加えた。容器を密閉して120度の油浴で20時間攪拌した。転化率は92%であり、生成したポリスチレン(pSt)は、Mn=21,000、Mw/Mn=1.23であった。
(実施例14)
<触媒回収、再利用実験>
〔重合1回目〕
窒素雰囲気下で、シュレンク管に攪拌子、鉄錯体6(24mg、0.02mmol)、1−クロロエチルベンゼン(5.6mg、0.04mmol)を入れ、スチレン(1.04g,10mmol)、内部標準としてベンジルメチルエーテル(0.15g、1.25mmol)を加えた。容器を密閉して120度の油浴で26時間攪拌した。転化率は95%以上であり、生成したポリスチレン(pSt)は、Mn=23,000、Mw/Mn=1.27であった。
〔ポリマーと触媒の分離及び回収〕
上記重合1回目で合成したポリマーを4mLのTHFに溶解させて、20mLのメタノールに滴下して再沈殿精製を行った。沈殿したポリマーと、触媒を含む溶液部分をそれぞれ減圧下で乾燥させると、ほぼ無色の精製ポリマーが1.0g得られ、鉄錯体を含む溶液部分からは黄色の32mgの固体が回収された。
〔重合2回目〕
上記回収された鉄錯体を含む黄色の固体32mgを用いた以外は、重合1回目と同様の条件で重合反応を行った。重合は速やかに進行し、32時間後の転化率は95%以上であり、生成したポリスチレン(pSt)は、Mn=15,000、Mw/Mn=1.18であった。
図4Aと図4Bに、重合反応で得られた物のGPCチャートを示す。重合一回目が図4Aで示され、重合2回目が図4Bで示される。このように、本発明の製造方法によれば、回収した鉄錯体を再度重合に使用でき、再利用したものであっても好適に重合が可能であった。
(実施例15)
<ポリスチレンの合成>
窒素雰囲気下で、スリ付き試験管に攪拌子、鉄錯体6(62mg、0.05mmol)、1−クロロエチルベンゼン(13mg、0.1mmol)を入れ、スチレン(0.52g、5mmol)を加えた。容器を密閉して120度の油浴で20時間攪拌した。転化率は95%以上であり、生成したポリスチレン(pSt)は、Mn=6,000、Mw/Mn=1.36であった。
(実施例16)
<ポリスチレンの合成>
鉄錯体6の使用量を15mg(0.0125mmol)とした以外は実施例15に従い、実施した。転化率は95%以上であり、生成したポリスチレン(pSt)は、Mn=5,000、Mw/Mn=1.26であった。このように、本発明の製造方法によれば、触媒量を低減させても重合制御性を損なうことなく、定量的な重合が可能であった。
(実施例17)
<ポリスチレンとポリメタクリル酸メチルのブロック共重合体の合成>

窒素雰囲気下で、スリ付き試験管に攪拌子、鉄錯体6(15mg、0.0125mmol)、1−クロロエチルベンゼン(14mg、0.1mmol)を入れ、スチレン(0.52g、5mmol)を加えた。容器を密閉して120度の油浴で20時間攪拌した。転化率は95%以上であり、生成したポリスチレン(pSt)は、Mn=5,000、Mw/Mn=1.26であった。この反応混合物に、メタクリル酸メチル(3.0g、30mmol)とトルエン(2mL)を添加し、更に100度で24時間攪拌した。このときのモノマーの転化率は95%以上であり、生成したポリマーはMn=53,000、Mw/Mn=1.38であった。この反応混合物をTHF(4mL)/MeOH(60mL)にて再沈殿精製、乾燥を行いブロックポリマー(pSt−b−pMMA)を単離した。
図5はブロック共重合前後のポリマーのGPCチャートである。ブロック共重合進行の結果、ポリマーは高分子量側へ大きくシフトした。このように本発明の製造方法によれば、ブロック共重合体を容易に合成することが可能であった。
(実施例18)
<得られたポリマーをマクロイニシエーターとしたブロック共重合体の合成>
窒素雰囲気下、シュレンク管に鉄錯体6(7mg、0.006mmol)、実施例17により合成したマクロイニシエーター(225mg、0.0042mmol)、及びTHF(0.5mL)を加え、溶解させた。そこにスチレン(1.04g、10mmol)を加えた。容器を密閉して120度の油浴で20時間攪拌した。このときモノマーの転化率は95%以上であり、生成したトリブロックポリマー(pSt−b−pMMA−b−pSt)は、Mn=91,000、Mw/Mn=1.86であった。
ブロック共重合前後のGPCチャートを図6に示す。右はブロック共重合前、左はブロック共重合後のGPCチャートである。このように本発明の製造方法によれば、ジブロック共重合体をマクロイニシエーターとしてトリブロック共重合体を容易に合成することが可能であった。(実施例19)
<ポリメタクリル酸メチルの合成>
窒素雰囲気下で、スリ付き試験管に攪拌子、鉄錯体7(2.8mg、0.002mmol)、2−ブロモイソブタン酸エチル(3.9mg、0.02mmol)を入れ、メタクリル酸メチル(0.5g、5mmol)を加えた。容器を密閉して100度の油浴で2時間攪拌した。転化率は83%であり、生成したポリメタクリル酸メチル(pMMA)は、Mn=21,000、Mw/Mn=1.3であった。
(実施例20)
<ポリメタクリル酸メチルの合成>
2−ブロモイソブタン酸エチルの代わりに、ジブロモ酢酸エチル(5.2mg、0.02mmol)を用いた以外は実施例19に従い、重合反応を実施した。転化率は90%であり、生成したポリメタクリル酸メチル(pMMA)は、Mn=26,000、Mw/Mn=1.23であった。
(実施例21)
<ポリアクリル酸ブチルの合成>
窒素雰囲気下で、スリ付き試験管に攪拌子、鉄錯体7(6.0mg、0.004mmol)、2−ブロモイソブタン酸エチル(7.8mg、0.04mmol)、を入れ、アクリル酸ブチル(1.3g、10mmol)、を加えた。容器を密閉して100度の油浴で50時間攪拌した。転化率は51%であり、生成したポリアクリル酸ブチル(pBA)は、Mn=18,000、Mw/Mn=1.3であった。
(実施例22)
<ポリアクリル酸ブチルの合成>
窒素雰囲気下で、スリ付き試験管に攪拌子、鉄錯体7(16.0mg、0.01mmol)、ジブロモ酢酸エチル(4.9mg、0.02mmol)、を入れ、アクリル酸ブチル(0.64g、5mmol)、を加えた。容器を密閉して100度の油浴で50時間攪拌した。転化率は82%であり、生成したポリアクリル酸ブチル(pBA)は、Mn=21,000、Mw/Mn=1.23であった。
(合成例1)
<鉄錯体8の合成>
シュレンク管に、FeBr(270mg、1.25mmol)とアセトニトリル9mLを加えて懸濁させた反応溶液に1,4,7−トリメチル−1,4,7−トリアザシクロノナン(220mg、1.28mmol)のアセトニトリル(1mL)溶液を加え、2時間撹拌した後、濾過で不溶物を除去した。10mLのエーテルを乗せると、白色の固体が沈殿した。この固体をアセトニトリル/エーテルから再結晶して、258mgの鉄錯体8(式(42))を得た(収率53%)。
Figure 0004344779
(比較例1)
<錯体8を用いたポリメタクリル酸メチルの合成>
窒素雰囲気下で、スリ付き試験管に攪拌子、鉄錯体8(3.0mg、0.004mmol)、ジブロモ酢酸エチル(9.8mg、0.04mmol)、を入れ、メタクリル酸メチル(1.0g,10mmol)を加えた。容器を密閉して100度の油浴で20時間攪拌した。転化率は72%であり、ポリメタクリル酸メチル(pMMA)は、Mn=16,000、Mw/Mn=1.40であった。
(比較例2)
<錯体8を用いたポリアクリル酸ブチルの合成>
窒素雰囲気下で、スリ付き試験管に攪拌子、鉄錯体8(15.0mg、0.02mmol)、ジブロモ酢酸エチル(9.8mg、0.04mmol)、を入れ、アクリル酸ブチル(1.28g、10mmol)を加えた。容器を密閉して100度の油浴で50時間攪拌した。転化率は79%であり、生成したポリアクリル酸ブチル(pBA)は、Mn=21,000、Mw/Mn=1.62であった。
このように、本発明の製造方法によれば、4−メトキシベンジル基のような脂溶性の高い置換基を配位子に導入することにより、鉄錯体が高い触媒活性を有し、反応時間の短縮や触媒量の低減、重合制御性の向上が可能であった。
表2に1,4,7−トリス(4−メトキシベンジル)−1,4,7−トリアザシクロノナンを配位子にもつ鉄錯体を触媒とした重合反応の結果を示す。
Figure 0004344779
(実施例23)
<鉄錯体9の合成>
20mLのシュレンク管に、無水FeCl 50mg(0.39mmol)とアセトニトリル10mLを加えて懸濁させた反応溶液に、Macromolecules 2000年、33巻、1986頁に記載の方法に従い合成した1,4,7−トリブチル−1,4,7−トリアザシクロノナン140mg(0.47mmol)を加え、2時間撹拌した後、減圧下で反応溶液の体積が2mL程度になるまで濃縮した後、20mLのジエチルエーテルを加えると、白色の固体が沈殿した。この固体をジエチルエーテル10mLで洗浄し、2種類の混合物として鉄錯体9(式(43)、(44))を得た(132mg)。錯体の構造は1H-NMR、およびイオンスプレーマススペクトルにより確認した。
(式(43)のESI−MS)m/z:811.4(カチオン部分)、m/z:160.8(アニオン部分)
(式(44)のESI−MS)m/z:1236.5(カチオン部分)、m/z:160.8(アニオン部分)
Figure 0004344779
Figure 0004344779
(実施例24)
<ポリスチレンの合成>
窒素雰囲気下で、スリ付き試験管に攪拌子、鉄錯体9(22.4mg、0.02mmol)、1−クロロエチルベンゼン(5.6mg、0.04mmol)を入れ、スチレン(1.04g、10mmol)を加えた。容器を密閉して120度の油浴で20時間攪拌した。転化率は95%以上であり、生成したポリスチレン(pSt)は、Mn=20,000、Mw/Mn=1.21であった。
(実施例25)
<ポリメタクリル酸ブチルの合成>
窒素雰囲気下で、スリ付き試験管に攪拌子、鉄錯体9(22.4mg、0.02mmol)、トリクロロ酢酸メチル(8.9mg、0.05mmol)を入れ、メタクリル酸ブチル(1.42g、10mmol)を加えた。容器を密閉して100度の油浴で3時間攪拌した。転化率は95%以上であり、生成したポリメタクリル酸ブチル(pBMA)は、Mn=31,000、Mw/Mn=1.28であった。
(実施例26)
<ポリスチレンとポリメタクリル酸メチルのブロック共重合体の合成>
窒素雰囲気下で、スリ付き試験管に攪拌子、鉄錯体9(11.2mg、0.01mmol)、1−クロロエチルベンゼン(14.0mg、0.1mmol)を入れ、スチレン(0.5g、5mmol)を加えた。容器を密閉して120度の油浴で16時間攪拌した。転化率は95%以上であり、生成したポリスチレン(pSt)は、Mn=6,000、Mw/Mn=1.22であった。この反応混合物に、メタクリル酸メチル(4.0g、40mmol)とトルエン(4mL)を添加し、更に100度で24時間攪拌した。このときのモノマーの転化率は95%以上であり、生成したポリマーは、Mn=48,000、Mw/Mn=1.42であった。この反応混合物をTHF(4mL)/MeOH(60mL)にて再沈殿精製、乾燥を行いブロックポリマー(pSt−b−pMMA)を単離した。
図7はブロック共重合前後のポリマーのGPCチャートである。ブロック共重合進行の結果、ポリマーは高分子量側へ大きくシフトした。このように本発明の製造方法によれば、ブロック共重合体を容易に合成することが可能であった。
表3に、1,4,7−トリブチル−1,4,7−トリアザシクロノナンを配位子にもつ鉄錯体を触媒とした重合反応の結果を示す。
Figure 0004344779
(実施例27)
<錯体10の合成>
20mLのシュレンク管に、無水FeCl 70mg(0.55 mmol)とアセトニトリル5mLを加え、Inorganic Chimica Acta 1994年、216巻、89頁記載の方法により合成した、1,4,7−トリイソプロピル−1,4,7−トリアザシクロノナン155mg(0.60 mmol)を加え、42時間撹拌した後、析出した白色結晶を、THF/塩化メチレンを加えて溶解させ、ジエチルエーテルを加え再結晶することにより、鉄錯体10(式(45))を得た(75mg、0.20mmol、収率36%)。錯体の構造は単結晶X線構造解析により確認した。それを図8に示す。
Figure 0004344779
(実施例28)
<鉄錯体11の合成>
無水FeClの代わりに、無水FeBr(120mg、0.47 mmol)を用いた以外は、実施例27に従い、合成反応を実施した。錯体の構造は単結晶X線構造解析により確認した。それを図9に示す。
Figure 0004344779
(実施例29)
<錯体12の合成>
(1,4,7−トリス−(1−フェニルエチル)−1,4,7−トリアザシクロノナンの合成)
冷却管を取り付けた50mLのフラスコに、トリアザシクロノナン250mg(1.9mmol)、1−クロロエチルベンゼン1mL (7.6mmol)、炭酸カリウム1.31 g (9.5mmol)をアセトニトリル(7mL)に懸濁させ、16時間還流を行った。反応溶液にエーテルを加え、セライトにて濾過し、得られた濾液を減圧下溶媒留去すると、1,4,7−トリス−(1−フェニルエチル)−1,4,7−トリアザシクロノナンが淡黄色液体として得られた(699mg、収率82%)。錯体合成には、これをさらに精製することなく用いた。
Figure 0004344779
(鉄錯体12の合成)
20mLのシュレンク管に、無水FeCl70 mg(0.55 mmol)とアセトニトリル5 mLを加えて懸濁させた溶液に、1,4,7−トリス−(1−フェニルエチル)−1,4,7−トリアザシクロノナン220 mg(0.5 mmol)のTHF溶液(1mL)を加え、14時間撹拌した後、10mLのジエチルエーテルを加えると、黒色の沈殿が生じた。この上澄みをとり、減圧下濃縮を行うと、淡黄色の固体がえられた。ここれをヘキサンで洗浄した後、塩化メチレン/ヘキサンより再結晶を行い、鉄錯体12(式(48))を得た(195 mg, 収率53%)。錯体の構造はX線結晶構造解析により明らかとした。それを図10に示す。
Figure 0004344779
(実施例30)
<錯体13の合成>
(1,4,7−トリシクロヘプチル−1,4,7−トリアザシクロノナンの合成)
冷却管を取り付けた50mLのフラスコに、トリアザシクロノナン120mg(0.9mmol)、シクロヘプチルブロミド0.58mL(4.2mmol)、炭酸カリウム690mg(5mmol)をアセトニトリル(5mL)に懸濁させ、24時間還流を行った。反応溶液にジエチルエーテルを加え、セライトにて濾過し、得られた濾液を減圧下溶媒留去すると、1,4,7−トリシクロヘプチル−1,4,7−トリアザシクロノナンが、淡黄色液体として得られた(75mg、収率19%)。錯体合成には、これをさらに精製することなく用いた。
Figure 0004344779
(鉄錯体13の合成)
20mLのシュレンク管に、無水FeCl21mg(0.16 mmol)とアセトニトリル3mLを加えて懸濁させた溶液に、1,4,7−トリシクロヘプチル−1,4,7−トリアザシクロノナン75mg(0.18 mmol)のTHF溶液(1mL)を加え、14時間撹拌した後、10 mLのジエチルエーテルを加えると、黒色の沈殿が生じた。この上澄みをとり、減圧下濃縮を行うと、淡黄色の固体がえられた。これをヘキサンで洗浄し、鉄錯体13(式(50))を得た(65 mg, 収率67%)。錯体の構造はX線結晶構造解析により明らかとした。それを図11に示す。
Figure 0004344779
(50)
(実施例31)
<ポリスチレンの合成>
窒素雰囲気下で、スリ付き試験管に攪拌子、鉄錯体10(17mg、0.04mmol)、1−クロロエチルベンゼン(5.6mg、0.04 mmol)を入れ、スチレン(1.04g、10 mmol)を加えた。容器を密閉して120度の油浴で重合反応を実施した。5時間後の転化率は95%以上であり、生成したポリスチレン(pSt)は、Mn=25,000、Mw/Mn=1.23であった。
(実施例32)<ポリスチレンの合成>
鉄錯体10の使用量を3mg(0.0008 mmol)とした以外は実施例31に従い、実施した。24時間後の転化率は74%であり、生成したポリスチレン(pSt)は、Mn=16,000、Mw/Mn=1.15であった。
(実施例33)<ポリメタクリル酸メチルの合成>
窒素雰囲気下で、スリ付き試験管に攪拌子、鉄錯体11(3.8mg、0.008mmol)、2−ブロモイソブタン酸エチル(7.8mg、0.04mmol)を入れ、メタクリル酸メチル(1.0g、10mmol)を加えた。容器を密閉して100度の油浴で3時間攪拌した。転化率は90%であり、生成したポリメタクリル酸メチル(pMMA)は、Mn=25,000、Mw/Mn=1.28であった。
(実施例34)<ポリメタクリル酸メチルの合成>
2−ブロモイソブタン酸エチルの代わりに、ジブロモ酢酸エチル(9.8mg、0.04mmol)を用いた以外は実施例33に従い、重合反応を実施した。転化率は95%以上であり、生成したポリメタクリル酸メチル(pMMA)は、Mn=26,000、Mw/Mn=1.23であった。
(実施例35)<ポリアクリル酸ブチルの合成>
窒素雰囲気下で、スリ付き試験管に攪拌子、鉄錯体11(19.0mg、0.04mmol)、ジブロモ酸エチル(9.8mg、0.04mmol)を入れ、アクリル酸ブチル(1.3g、10mmol)を加えた。容器を密閉して100度の油浴で攪拌した。20時間後の転化率は82%であり、生成したポリアクリル酸ブチル(pBA)は、Mn=37,000、Mw/Mn=1.22であった。
(実施例36)
<ポリアクリル酸ブチルの合成>
鉄錯体11の使用量を3.5 mg(0.007mmol)とした以外は実施例35に従い、実施した。20時間後の転化率は66%であり、生成したポリアクリル酸ブチル(pBA)は、Mn=24,000、Mw/Mn=1.22であった。
(実施例37)
<ポリスチレンの合成>
窒素雰囲気下で、スリ付き試験管に攪拌子、鉄錯体12(23 mg、0.04mmol)、1−クロロエチルベンゼン(5.6mg、0.04 mmol)を入れ、スチレン(1.04g、10 mmol)を加えた。容器を密閉して120度の油浴で重合反応を実施した。4時間後の転化率は93%であり、生成したポリスチレン(pSt)は、Mn=25,000、Mw/Mn=1.19であった。
(実施例38)
<ポリスチレンの合成>
鉄錯体12の使用量を11 mg(0.02 mmol)とした以外は実施例37に従い、実施した。16時間後の転化率は95%以上であり、生成したポリスチレン(pSt)は、Mn=24,000、Mw/Mn=1.18であった。
(実施例39)
<ポリスチレンの合成>
鉄錯体12の使用量を11 mg(0.02 mmol)とし、1−クロロエチルベンゼンの使用量を17.5mg(0.124mmol)とした以外は実施例37に従い、実施した。16時間後の転化率は95%以上であり、生成したポリスチレン(pSt)は、Mn=7,000、Mw/Mn=1.18であった。
(実施例40)
<ポリスチレンとポリメタクリル酸メチルのブロック共重合体の合成>
窒素雰囲気下で、スリ付き試験管に攪拌子、鉄錯体12(11 mg、0.02mmol)、1−クロロエチルベンゼン(11.7mg、0.083mmol)を入れ、スチレン(1.04g、10mmol)を加えた。容器を密閉して120度の油浴で重合反応を実施した。16時間後の転化率は95%以上であり、生成したポリスチレンはMn=13,000、Mw/Mn=1.16であった。この反応混合物に、メタクリル酸メチル(4.5g、45mmol)とトルエン(4.5mL)を添加し、更に100度で24時間攪拌した。このときのモノマーの転化率は95%以上であり、生成したポリマーはMn=64,000、Mw/Mn=1.35であった。この反応混合物をTHF(4mL)/MeOH(60mL)にて再沈殿精製、乾燥を行いブロックポリマー(pSt−b−pMMA)を単離した。
ブロック共重合前後のGPCチャートを図12に示す。右はブロック共重合前、左はブロック共重合後のGPCチャートである。このように本発明の製造方法によれば、ブロック共重合体を容易に合成することが可能であった。
(実施例41)
<ポリスチレンの合成>
窒素雰囲気下で、スリ付き試験管に攪拌子、鉄錯体13(22 mg、0.04mmol)、1−クロロエチルベンゼン(5.6mg、0.04mmol)を入れ、スチレン(1.04g、10mmol)を加えた。容器を密閉して120度の油浴で重合反応を実施した。9時間後の転化率は95%以上であり、生成したポリスチレン(pSt)は、Mn=28,000、Mw/Mn=1.10であった。
Figure 0004344779
(実施例42)
<鉄錯体14の合成>
20mLのシュレンク管に、無水FeCl50mg(0.39mmol)とアセトニトリル10mLを加えて懸濁させた反応溶液に、Zeitschrift fuer anorganische und allgemeine Chemie 1998年、608巻、60頁記載の方法に従い合成した1,4−ジメチル−1,4,7−トリアザシクロノナン80mg(0.47mmol)を加え、2時間撹拌した後、減圧下で反応溶液の体積が2mL程度になるまで濃縮した。20mLのジエチルエーテルを加えると、白色の固体が沈殿した。この固体をアセトニトリル/ジエチルエーテルから再結晶して、鉄錯体(式(51))を白色結晶として得た(80mg、収率72%)。錯体の構造はX線結晶構造解析により確認した。それを図13に示す。
Figure 0004344779
(実施例43)
<ポリスチレンの合成>
窒素雰囲気下で、スリ付き試験管に攪拌子、鉄錯体14(11.3 mg、0.02mmol)、1−クロロエチルベンゼン(5.6mg、0.04mmol)を入れ、スチレン(1.04g、10mmol)を加えた。容器を密閉して120度の油浴で重合反応を実施した。20時間後の転化率は93%であり、生成したポリスチレン(pSt)は、Mn=20,000、Mw/Mn=1.55であった。
(実施例44)
<ポリメタクリル酸エチルの合成>
窒素雰囲気下で、スリ付き試験管に攪拌子、鉄錯体14(11.3mg、0.02mmol)、トリクロロ酢酸メチル(8.9mg、0.05mmol)を入れ、メタクリル酸エチル(1.14g、10mmol)を加えた。容器を密閉して100度の油浴で3時間攪拌した。転化率は95%以上であり、生成したポリメタクリル酸エチル(pEMA)は、Mn=24,000、Mw/Mn=1.28であった。
(実施例45)<ポリメタクリル酸メチルとポリスチレンのブロック共重合体の合成>
窒素雰囲気下で、スリ付き試験管に攪拌子、鉄錯体14(22.6mg、0.04mmol)、トリクロロ酢酸メチル(17.8mg、0.1mmol)を入れ、メタクリル酸メチル(0.5g、5mmol)を加えた。容器を密閉して100度の油浴で3時間攪拌した。転化率は95%以上であり、生成したポリメタクリル酸メチル(pMMA)は、Mn=6,000、Mw/Mn=1.24であった。この反応混合物に、スチレン(4.2g、40mmol)とトルエン(4mL)を添加し、更に100度で24時間攪拌した。このときのモノマーの転化率は90%であり、生成したポリマーはMn=46,000、Mw/Mn=1.56であった。この反応混合物をTHF(4mL)/MeOH(60mL)にて再沈殿精製、乾燥を行いブロックポリマー(pMMA−b−pSt)を単離した。
ブロック共重合前後のGPCチャートを図14に示す。右はブロック共重合前、左はブロック共重合後のGPCチャートである。このように本発明の製造方法によれば、ブロック共重合体を容易に合成することが可能であった。
表5に、1,4−ジメチル−1,4,7−トリアザシクロノナンを配位子にもつ鉄錯体を触媒とした重合反応の結果を示す。
Figure 0004344779
本発明により、ラジカル重合性単量体を重合する重合体の製造方法に有用な鉄錯体、及び該鉄錯体を用いた重合体の製造方法が提供される。具体的には、新規鉄錯体、該鉄錯体を重合触媒としたラジカル重合開始剤の存在下での重合体の製造方法、該重合体の重合後のブロック共重合体の製造方法、及び鉄錯体を簡便に回収する方法が提供される。これらにより、ラジカル重合性単量体から末端に化学変換可能な官能基を有する重合体およびブロック共重合体を製造する方法、及び、重合反応後、鉄錯体を溶剤中に高い回収率で回収する方法が可能となる。

Claims (63)

  1. 下記一般式(3)で表される鉄錯体。
    Figure 0004344779
    (式(3)中、Feは2価であり、Xはハロゲンイオンを示し、R、R及びRは、
    1)水素原子、
    2)炭素数1〜20のアルキル基、並びに
    3)芳香環の水素原子が炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基及び炭素数1〜40のポリオキシアルキレン基からなる群より選ばれる1以上で置換されていてもよいベンジル基
    からなる群より選ばれる1を示す。ただし、R、R及びRのすべてがメチル基である場合を除く。An−はアニオンを示す。nは1〜3の整数を示す。)
  2. 下記一般式(4)で表される鉄錯体。
    Figure 0004344779
    (式(4)中、Feは2価であり、Xはハロゲンイオンを示し、R、R及びRは、
    1)水素原子、
    2)炭素数1〜20のアルキル基、並びに
    3)芳香環の水素原子が炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基及び炭素数1〜40のポリオキシアルキレン基からなる群より選ばれる1以上で置換されていてもよいベンジル基
    からなる群より選ばれる1を示す。ただし、R、R及びRのすべてがメチル基である場合を除く。An−はアニオンを示す。nは1〜3の整数を示す。)
  3. n−が、下記一般式(5)
    Figure 0004344779
    (式(5)中、Feは2価であり、Xはハロゲンイオンを示し、R、R及びRは、
    1)水素原子、
    2)炭素数1〜20のアルキル基、並びに
    3)芳香環の水素原子が炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基及び炭素数1〜40のポリオキシアルキレン基からなる群より選ばれる1以上で置換されていてもよいベンジル基
    からなる群より選ばれる1を示す。ただし、R、R及びRのすべてがメチル基である場合を除く。)
    又は下記一般式(6)
    Figure 0004344779
    (式(6)中、Xはハロゲンイオンを示し、mは0又は1であり、mが0のときnは1であり、mが1のときnは1又は2を示す。)
    で表される請求項1に記載の鉄錯体。
  4. n− が、下記一般式(5)
    Figure 0004344779
    (式(5)中、Feは2価であり、X はハロゲンイオンを示し、R 、R 及びR は、
    1)水素原子、
    2)炭素数1〜20のアルキル基、並びに
    3)芳香環の水素原子が炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基及び炭素数1〜40のポリオキシアルキレン基からなる群より選ばれる1以上で置換されていてもよいベンジル基
    からなる群より選ばれる1を示す。ただし、R 、R 及びR のすべてがメチル基である場合を除く。)
    又は下記一般式(6)
    Figure 0004344779
    (式(6)中、X はハロゲンイオンを示し、mは0又は1であり、mが0のときnは1であり、mが1のときnは1又は2を示す。)
    で表される請求項2に記載の鉄錯体
  5. 一般式(3)において、R、R及びRは、
    1)水素原子、
    2)炭素数1〜8のアルキル基、並びに
    3)芳香環の水素原子が炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されていてもよいベンジル基
    からなる群より選ばれる1を示す、請求項1に記載の鉄錯体。
  6. 一般式(3)において、Xが塩素イオン又は臭素イオンであり、R、R及びRが同一であって、エチル基、n−ブチル基、ベンジル基及び4−メトキシベンジル基からなる群より選ばれる1を表し、nが1である請求項1に記載の鉄錯体。
  7. 一般式(4)において、Xが塩素イオン又は臭素イオンであり、R、R及びRが同一であって、エチル基、n−ブチル基、ベンジル基及び4−メトキシベンジル基からなる群より選ばれる1を表し、nが1である請求項2に記載の鉄錯体。
  8. 一般式(5)において、Xが塩素イオン又は臭素イオンであり、R、R及びRがエチル基であり、nが1である請求項3に記載の鉄錯体。
  9. 一般式(5)において、Xが塩素イオン又は臭素イオンであり、R、R及びRがエチル基であり、nが1である請求項4に記載の鉄錯体。
  10. 一般式(6)において、Xが臭素イオンであり、mが1であり、nが1である請求項3に記載の鉄錯体。
  11. 一般式(6)において、Xが臭素イオンであり、mが1であり、nが1である請求項4に記載の鉄錯体。
  12. 下記一般式(7)で表される鉄錯体。
    Figure 0004344779
    (式(7)中、Feは2価であり、R、R及びRは、
    1)炭素数1〜20のアルキル基、又は
    2)芳香環の水素原子が炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基及び炭素数1〜40のポリオキシアルキレン基からなる群より選ばれる1以上で置換されていてもよいベンジル基を示し、Xはハロゲンイオンを示す。)
  13. 下記一般式(8)で表される鉄錯体。
    Figure 0004344779
    (式(8)中、Feは2価であり、R、及びRは、
    1)炭素数1〜20のアルキル基、又は
    2)芳香環の水素原子が炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基及び炭素数1〜40のポリオキシアルキレン基からなる群より選ばれる1以上で置換されていてもよいベンジル基を示し、Xはハロゲンイオンを示す。)
  14. 下記一般式(11)で表される少なくとも一種の鉄錯体を重合触媒とし、有機ハロゲン化合物の存在下で、少なくとも一種のラジカル重合性単量体を重合することを特徴とする重合体の製造方法。
    Figure 0004344779
    (式(11)中、Feはいずれも2価であり、Xはハロゲンイオンを示し、R、R及びRは、
    1)水素原子、
    2)炭素数1〜20のアルキル基、並びに
    3)芳香環の水素原子が炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基及び炭素数1〜40のポリオキシアルキレン基からなる群より選ばれる1以上で置換されていてもよいベンジル基
    からなる群より選ばれる1を示す。ただし、R、R及びRのすべてがメチル基又はエチル基である場合を除く。An−はアニオンを示す。)
  15. 下記一般式(12)で表される少なくとも一種の鉄錯体を重合触媒とし、有機ハロゲン化合物の存在下で、少なくとも一種のラジカル重合性単量体を重合することを特徴とする重合体の製造方法。
    Figure 0004344779
    (式(12)中、Feはいずれも2価であり、Xはハロゲンイオンを示し、R、R及びRは、
    1)水素原子、
    2)炭素数1〜20のアルキル基、並びに
    3)芳香環の水素原子が炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基及び炭素数1〜40のポリオキシアルキレン基からなる群より選ばれる1以上で置換されていてもよいベンジル基からなる群より選ばれる1を示す。An−はアニオンを示す。)
  16. 下記一般式(13)で表される少なくとも一種の鉄錯体を重合触媒とし、有機ハロゲン化合物の存在下で、少なくとも一種のラジカル重合性単量体を重合することを特徴とする重合体の製造方法。
    Figure 0004344779
    (式(13)中、Feは2価であり、R、R及びRは、
    1)炭素数1〜20のアルキル基、又は
    2)芳香環の水素原子が炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基及び炭素数1〜40のポリオキシアルキレン基からなる群より選ばれる1以上で置換されていてもよいベンジル基を示し、Xはハロゲンイオンを示す。)
  17. 下記一般式(14)で表される少なくとも一種の鉄錯体を重合触媒とし、有機ハロゲン化合物の存在下で、少なくとも一種のラジカル重合性単量体を重合することを特徴とする重合体の製造方法。
    Figure 0004344779
    (式(14)中、Feはいずれも2価であり、R、及びRは、
    1)炭素数1〜20のアルキル基、又は
    2)芳香環の水素原子が炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基及び炭素数1〜40のポリオキシアルキレン基からなる群より選ばれる1以上で置換されていてもよいベンジル基を示し、Xはハロゲンイオンを示す。)
  18. 下記一般式(16)で表される少なくとも一種の鉄錯体を重合触媒とし、有機ハロゲン化合物の存在下で、少なくとも一種のラジカル重合性単量体を重合することを特徴とする重合体の製造方法。
    Figure 0004344779
    (式(16)中、Feは2価であり、Xはハロゲンイオンを示し、R、R及びRは、
    1)水素原子、
    2)炭素数1〜20のアルキル基、並びに
    3)芳香環の水素原子が炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基及び炭素数1〜40のポリオキシアルキレン基からなる群より選ばれる1以上で置換されていてもよいベンジル基
    からなる群より選ばれる1を示す。ただし、R、R及びRのすべてがメチル基又はエチル基である場合を除く。Dは、カチオン性基を示す。)
  19. n−が、下記一般式(18)
    Figure 0004344779
    (式(18)中、Feは2価であり、Xはハロゲンイオンを示し、R、R及びRは、
    1)水素原子、
    2)炭素数1〜20のアルキル基、並びに
    3)芳香環の水素原子が炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基及び炭素数1〜40のポリオキシアルキレン基からなる群より選ばれる1以上で置換されていてもよいベンジル基
    からなる群より選ばれる1を示す。ただし、R、R及びRのすべてがメチル基である場合を除く。)
    又は一般式(19)
    Figure 0004344779
    (式(19)中、Xはハロゲンイオンを示し、mは0又は1であり、mが0のときnは1であり、mが1のときnは1又は2を示す。)
    で表される鉄錯体を重合触媒とする、請求項1に記載の重合体の製造方法。
  20. n−が、下記一般式(18)
    Figure 0004344779
    (式(18)中、Feは2価であり、Xはハロゲンイオンを示し、R、R及びRは、
    1)水素原子、
    2)炭素数1〜20のアルキル基、並びに
    3)芳香環の水素原子が炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基及び炭素数1〜40のポリオキシアルキレン基からなる群より選ばれる1以上で置換されていてもよいベンジル基
    からなる群より選ばれる1を示す。ただし、R、R及びRのすべてがメチル基である場合を除く。)
    又は一般式(19)
    Figure 0004344779
    (式(19)中、Xはハロゲンイオンを示し、mは0又は1であり、mが0のときnは1であり、mが1のときnは1又は2を示す。)
    で表される鉄錯体を重合触媒とする、請求項1に記載の重合体の製造方法。
  21. n−が、下記一般式(18)
    Figure 0004344779
    (式(18)中、Feは2価であり、Xはハロゲンイオンを示し、R、R及びRは、
    1)水素原子、
    2)炭素数1〜20のアルキル基、並びに
    3)芳香環の水素原子が炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基及び炭素数1〜40のポリオキシアルキレン基からなる群より選ばれる1以上で置換されていてもよいベンジル基
    からなる群より選ばれる1を示す。ただし、R、R及びRのすべてがメチル基である場合を除く。)
    又は一般式(19)
    Figure 0004344779
    (式(19)中、Xはハロゲンイオンを示し、mは0又は1であり、mが0のときnは1であり、mが1のときnは1又は2を示す。)
    で表される鉄錯体を重合触媒とする、請求項1に記載の重合体の製造方法。
  22. n−が、下記一般式(18)
    Figure 0004344779
    (式(18)中、Feは2価であり、Xはハロゲンイオンを示し、R、R及びRは、
    1)水素原子、
    2)炭素数1〜20のアルキル基、並びに
    3)芳香環の水素原子が炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基及び炭素数1〜40のポリオキシアルキレン基からなる群より選ばれる1以上で置換されていてもよいベンジル基
    からなる群より選ばれる1を示す。ただし、R、R及びRのすべてがメチル基である場合を除く。)
    又は一般式(19)
    Figure 0004344779
    (式(19)中、Xはハロゲンイオンを示し、mは0又は1であり、mが0のときnは1であり、mが1のときnは1又は2を示す。)
    で表される鉄錯体を重合触媒とする、請求項1に記載の重合体の製造方法。
  23. n−が、下記一般式(18)
    Figure 0004344779
    (式(18)中、Feは2価であり、Xはハロゲンイオンを示し、R、R及びRは、
    1)水素原子、
    2)炭素数1〜20のアルキル基、並びに
    3)芳香環の水素原子が炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基及び炭素数1〜40のポリオキシアルキレン基からなる群より選ばれる1以上で置換されていてもよいベンジル基
    からなる群より選ばれる1を示す。ただし、R、R及びRのすべてがメチル基である場合を除く。)
    又は一般式(19)
    Figure 0004344779
    (式(19)中、Xはハロゲンイオンを示し、mは0又は1であり、mが0のときnは1であり、mが1のときnは1又は2を示す。)
    で表される鉄錯体を重合触媒とする、請求項1に記載の重合体の製造方法。
  24. が、下記一般式(20)
    Figure 0004344779
    (式(20)中、Feは2価であり、Xはハロゲンイオンを示し、R、R及びRは、
    1)水素原子、
    2)炭素数1〜20のアルキル基、並びに
    3)芳香環の水素原子が炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基及び炭素数1〜40のポリオキシアルキレン基からなる群より選ばれる1以上で置換されていてもよいベンジル基
    からなる群より選ばれる1を示す。ただし、R、R及びRのすべてがメチル基である場合を除く。)
    又は一般式(21)
    Figure 0004344779
    (式(21)中、Xはハロゲンイオンを示し、mは0又は1であり、mが0のときnは1であり、mが1のときnは1又は2を示す。)
    で表される鉄錯体を重合触媒とする、請求項1に記載の重合体の製造方法。
  25. が、下記一般式(20)
    Figure 0004344779
    (式(20)中、Feは2価であり、Xはハロゲンイオンを示し、R、R及びRは、
    1)水素原子、
    2)炭素数1〜20のアルキル基、並びに
    3)芳香環の水素原子が炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基及び炭素数1〜40のポリオキシアルキレン基からなる群より選ばれる1以上で置換されていてもよいベンジル基
    からなる群より選ばれる1を示す。ただし、R、R及びRのすべてがメチル基である場合を除く。)
    又は一般式(21)
    Figure 0004344779
    (式(21)中、Xはハロゲンイオンを示し、mは0又は1であり、mが0のときnは1であり、mが1のときnは1又は2を示す。)
    で表される鉄錯体を重合触媒とする、請求項1に記載の重合体の製造方法。
  26. が、下記一般式(20)
    Figure 0004344779
    (式(20)中、Feは2価であり、Xはハロゲンイオンを示し、R、R及びRは、
    1)水素原子、
    2)炭素数1〜20のアルキル基、並びに
    3)芳香環の水素原子が炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基及び炭素数1〜40のポリオキシアルキレン基からなる群より選ばれる1以上で置換されていてもよいベンジル基
    からなる群より選ばれる1を示す。ただし、R、R及びRのすべてがメチル基である場合を除く。)
    又は一般式(21)
    Figure 0004344779
    (式(21)中、Xはハロゲンイオンを示し、mは0又は1であり、mが0のときnは1であり、mが1のときnは1又は2を示す。)
    で表される鉄錯体を重合触媒とする、請求項1に記載の重合体の製造方法。
  27. が、下記一般式(20)
    Figure 0004344779
    (式(20)中、Feは2価であり、Xはハロゲンイオンを示し、R、R及びRは、
    1)水素原子、
    2)炭素数1〜20のアルキル基、並びに
    3)芳香環の水素原子が炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基及び炭素数1〜40のポリオキシアルキレン基からなる群より選ばれる1以上で置換されていてもよいベンジル基
    からなる群より選ばれる1を示す。ただし、R、R及びRのすべてがメチル基である場合を除く。)
    又は一般式(21)
    Figure 0004344779
    (式(21)中、Xはハロゲンイオンを示し、mは0又は1であり、mが0のときnは1であり、mが1のときnは1又は2を示す。)
    で表される鉄錯体を重合触媒とする、請求項1に記載の重合体の製造方法。
  28. が、下記一般式(20)
    Figure 0004344779
    (式(20)中、Feは2価であり、Xはハロゲンイオンを示し、R、R及びRは、
    1)水素原子、
    2)炭素数1〜20のアルキル基、並びに
    3)芳香環の水素原子が炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基及び炭素数1〜40のポリオキシアルキレン基からなる群より選ばれる1以上で置換されていてもよいベンジル基
    からなる群より選ばれる1を示す。ただし、R、R及びRのすべてがメチル基である場合を除く。)
    又は一般式(21)
    Figure 0004344779
    (式(21)中、Xはハロゲンイオンを示し、mは0又は1であり、mが0のときnは1であり、mが1のときnは1又は2を示す。)
    で表される鉄錯体を重合触媒とする、請求項1に記載の重合体の製造方法。
  29. 前記有機ハロゲン化合物が、α−ハロゲノカルボニル化合物、α−ハロゲノカルボン酸エステル、ハロゲン化スルホニル、α−ハロゲノアルキルアレーン及びポリハロゲン化アルカンの活性ハロゲン化合物からなる群から選ばれるいずれかのものである請求項1に記載の重合体の製造方法。
  30. 前記有機ハロゲン化合物が、α−ハロゲノカルボニル化合物、α−ハロゲノカルボン酸エステル、ハロゲン化スルホニル、α−ハロゲノアルキルアレーン及びポリハロゲン化アルカンの活性ハロゲン化合物からなる群から選ばれるいずれかのものである請求項1に記載の重合体の製造方法。
  31. 前記有機ハロゲン化合物が、α−ハロゲノカルボニル化合物、α−ハロゲノカルボン酸エステル、ハロゲン化スルホニル、α−ハロゲノアルキルアレーン及びポリハロゲン化アルカンの活性ハロゲン化合物からなる群から選ばれるいずれかのものである請求項1に記載の重合体の製造方法。
  32. 前記有機ハロゲン化合物が、α−ハロゲノカルボニル化合物、α−ハロゲノカルボン酸エステル、ハロゲン化スルホニル、α−ハロゲノアルキルアレーン及びポリハロゲン化アルカンの活性ハロゲン化合物からなる群から選ばれるいずれかのものである請求項1に記載の重合体の製造方法。
  33. 前記有機ハロゲン化合物が、α−ハロゲノカルボニル化合物、α−ハロゲノカルボン酸エステル、ハロゲン化スルホニル、α−ハロゲノアルキルアレーン及びポリハロゲン化アルカンの活性ハロゲン化合物からなる群から選ばれるいずれかのものである請求項1に記載の重合体の製造方法。
  34. 前記ラジカル重合性単量体が、スチレン系単量体、ビニルピリジン系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体及び(メタ)アクリルアミド系単量体からなる群から選ばれる少なくとも1種のラジカル重合性単量体である請求項1に記載の重合体の製造方法。
  35. 前記ラジカル重合性単量体が、スチレン系単量体、ビニルピリジン系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体及び(メタ)アクリルアミド系単量体からなる群から選ばれる少なくとも1種のラジカル重合性単量体である請求項1に記載の重合体の製造方法。
  36. 前記ラジカル重合性単量体が、スチレン系単量体、ビニルピリジン系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体及び(メタ)アクリルアミド系単量体からなる群から選ばれる少なくとも1種のラジカル重合性単量体である請求項1に記載の重合体の製造方法。
  37. 前記ラジカル重合性単量体が、スチレン系単量体、ビニルピリジン系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体及び(メタ)アクリルアミド系単量体からなる群から選ばれる少なくとも1種のラジカル重合性単量体である請求項1に記載の重合体の製造方法。
  38. 前記ラジカル重合性単量体が、スチレン系単量体、ビニルピリジン系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体及び(メタ)アクリルアミド系単量体からなる群から選ばれる少なくとも1種のラジカル重合性単量体である請求項1に記載の重合体の製造方法。
  39. 前記ラジカル重合性単量体として、2種類以上のラジカル重合性単量体を用いてランダム共重合する請求項1に記載の重合体の製造方法。
  40. 前記ラジカル重合性単量体として、2種類以上のラジカル重合性単量体を用いてランダム共重合する請求項1に記載の重合体の製造方法。
  41. 前記ラジカル重合性単量体として、2種類以上のラジカル重合性単量体を用いてランダム共重合する請求項1に記載の重合体の製造方法。
  42. 前記ラジカル重合性単量体として、2種類以上のラジカル重合性単量体を用いてランダム共重合する請求項1に記載の重合体の製造方法。
  43. 前記ラジカル重合性単量体として、2種類以上のラジカル重合性単量体を用いてランダム共重合する請求項1に記載の重合体の製造方法。
  44. 前記ラジカル重合性単量体として、2種類以上のラジカル重合性単量体を用いてブロック共重合する請求項1に記載の重合体の製造方法。
  45. 前記ラジカル重合性単量体として、2種類以上のラジカル重合性単量体を用いてブロック共重合する請求項1に記載の重合体の製造方法。
  46. 前記ラジカル重合性単量体として、2種類以上のラジカル重合性単量体を用いてブロック共重合する請求項1に記載の重合体の製造方法。
  47. 前記ラジカル重合性単量体として、2種類以上のラジカル重合性単量体を用いてブロック共重合する請求項1に記載の重合体の製造方法。
  48. 前記ラジカル重合性単量体として、2種類以上のラジカル重合性単量体を用いてブロック共重合する請求項1に記載の重合体の製造方法。
  49. 無媒体で重合を行う請求項1に記載の重合体の製造方法。
  50. 無媒体で重合を行う請求項1に記載の重合体の製造方法。
  51. 無媒体で重合を行う請求項1に記載の重合体の製造方法。
  52. 無媒体で重合を行う請求項1に記載の重合体の製造方法。
  53. 無媒体で重合を行う請求項1に記載の重合体の製造方法。
  54. 水媒体中で重合を行う請求項1に記載の重合体の製造方法。
  55. 水媒体中で重合を行う請求項1に記載の重合体の製造方法。
  56. 水媒体中で重合を行う請求項1に記載の重合体の製造方法。
  57. 水媒体中で重合を行う請求項1に記載の重合体の製造方法。
  58. 水媒体中で重合を行う請求項1に記載の重合体の製造方法。
  59. 請求項1の製造方法で重合体を製造した後、該重合体を水及び/又は水溶性有機溶媒で洗浄して前記鉄錯体を回収し、回収した鉄錯体を用いて重合を行う請求項1に記載の重合体の製造方法。
  60. 請求項1の製造方法で重合体を製造した後、該重合体を水及び/又は水溶性有機溶媒で洗浄して前記鉄錯体を回収し、回収した鉄錯体を用いて重合を行う請求項1に記載の重合体の製造方法。
  61. 請求項1の製造方法で重合体を製造した後、該重合体を水及び/又は水溶性有機溶媒で洗浄して前記鉄錯体を回収し、回収した鉄錯体を用いて重合を行う請求項1に記載の重合体の製造方法。
  62. 請求項1の製造方法で重合体を製造した後、該重合体を水及び/又は水溶性有機溶媒で洗浄して前記鉄錯体を回収し、回収した鉄錯体を用いて重合を行う請求項1に記載の重合体の製造方法。
  63. 請求項1の製造方法で重合体を製造した後、該重合体を水及び/又は水溶性有機溶媒で洗浄して前記鉄錯体を回収し、回収した鉄錯体を用いて重合を行う請求項1に記載の重合体の製造方法。
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