JP4343852B2 - 燃料集合体からのシンブル管の取去り方法と取去り用機具 - Google Patents
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Description
この場合、当該燃料集合体そのものは解体し、健全な燃料棒は再使用のために無傷で取去ることとなるが、その作業の一環として燃料集合体からシンブル管を取去るために、最下部支持格子とシンブル管の固定を解除することがなされる。
シンブル管の下部端栓22は、シンブル管20の管本体の下部21に固定されており、さらにその下方(図上左側)の外周に凹部23が形成されている。また、最下部支持格子11の下面(図上左側)には短管状のスリーブ管12が、溶接で取付けられている。そして、最下部支持格子11へのシンブル管20の固定は、最下部支持格子11に溶接で取付けられたスリーブ管12内にシンブル管の下部端栓22を挿入し、その外周部に形成されてある凹部23内にスリーブ管12壁を押圧して入れ込むかしめ止めによる固定でなされている(特許文献1)。
その結果、作業に熟練が必要なだけでなく、多数のシンブル管等を除去せねばならないため、時間もかなりかかっていた。
さらに、MOX燃料では、一度燃やされた燃料から再処理により抽出されたプルトニウム239が配合されているため、ウランのみの新燃料と異なり、かなりの放射性物質が含まれているため、従来のように単に燃料集合体の端面や側面に作業者が位置して電動工具でかしめ止め部の固定を解除することは、作業者の被爆線量が大きくなりすぎるため非常に困難あるいは不可能と推測される。
また、万が一にも燃料棒を傷つける恐れがなく、被爆線量が少ないため、MOX燃料にも容易に適用可能な技術の開発が望まれていた。
また、MOX燃料へ適用するに際しても、簡単な設備で、容易に実施できる技術の開発が望まれていた。
また、ドリルのガイド部とドリルの刃の保持部が部屋を形成するのを利用して、この部屋内の空気を吸引して、固定の解除の際に生じた切粉を吸引するようにしたものである。
以下、各請求項の発明について説明する。
前記位置合せして取付けられているプレートの開口に、プレート側は前記プレートの開口の形状と寸法に合わせた形状と寸法とされ、反プレート側にはドリルの刃の保持部の形状と寸法に合わせたガイド孔が形成されているドリルのガイド部のプレート側を挿入することにより、ドリルのガイド部を位置決めしつつ装着するドリルのガイド部取付けステップと、
前記位置決めして装着されているドリルのガイド部のガイド孔に、ドリルの刃の保持部を挿入するドリル挿入ステップと、
ドリルのガイド部のガイド孔にドリルの刃の保持部が挿入された状態で、ドリルの刃を回転させつつスリーブ管側に進ませて、前記最下部支持格子の反燃料棒側面から凸出したスリーブ管とシンブル管が固定されている部分を切断、除去して、両方の管の固定を解除する解除ステップとを有していることを特徴とする燃料集合体からのシンブル管の取去り方法である。
次に、多数あるプレートの開口のうち、目下シンブル管との固定の解除対象とされているスリーブ管に対応した開口に、ドリルのガイド部が取付けられる。この際、前記プレートの開口の反燃料棒側とドリルのガイド部の挿入方向側の先端部とは、形状と寸法が合わされている。このため、プレートとドリルのガイド部の位置合せは、ドリルのガイド部を開口内に挿入する、あるいは差込むだけで自然になされる。
次に、ドリルのガイド部の後部側(反挿入方向側、反燃料棒側)のガイド孔にドリルの刃の保持部を挿入する。ガイド孔とドリルの刃の保持部は、これまた寸法と形状があわされている。このため、位置合せも自然となされる。
なおここに、「固定が解除される」とは、上部支持格子等他の場所における固定や拘束がなければ、シンブル管を燃料集合体から引抜くことが可能な状態とされることを指す。
また、「ドリル」とは、シンブル管とスリーブ管との固定部の切断、除去に使用される、空気や電気で駆動される工具という意味であり、穴あけに用いられる厳密な意味での工具のドリルには限定されない。
また、シンブル管およびスリーブ管の取付けのピッチあるいは寸法に合わせて複数個の刃とその駆動用モータ等を持ち、このため一人の作業者で同時に複数個の解除が可能とされている工具も含まれる。
なおこの作業は、ケースによっては、複数の作業者により、複数の固定箇所の解除が同時になされることもありえる。
また、プレートの開口箇所しかドリルを挿入できないため、作業者が過誤で他の管を切除することは物理的に防止される。
また同じく、作業者は、燃料集合体の下部ノズル側、即ち燃料棒の端面側にのみ位置して作業することが可能であるため、燃料集合体に対して占める立体角が少なく、この面からも被爆線量が少なくなる。
これらの結果、本発明は、MOX燃料にも容易に適用可能になる。
前記ドリル挿入ステップは、前記複数のドリルのガイド部ごとにドリルの刃の保持部を挿入する複数ドリル挿入ステップであり、
前記解除ステップは、前記複数の各ドリルごとにスリーブ管とシンブル管が固定されている部分の切断、除去がなされる複数解除ステップであることを特徴とする燃料集合体からのシンブル管の取去り方法である。
これにより、作業が迅速化されるだけでなく、MOX燃料においては、一人当たりの被爆線量の軽減が可能になる。
前記解除ステップは、前記シンブル管の下部端栓の外周に凹部が形成された部分の下部を削って、下部端栓の最下部にある鍔を分離する鍔分離ステップであることを特徴とする燃料集合体からのシンブル管の取去り方法である。
なおこの場合、切削あるいは削りだす部分が最小限になるので、作業が短時間ですみ、また作業も楽であり、さらに発生する切粉が少なくてすむだけでなく、MOX燃料においては、一人当たりの被爆線量の軽減が可能になる。
なおここに、「ドリルに一体的に装着されている排出用ホースの排出用孔」とは、吸引機からのホースがドリルの刃の保持部に一体的に組み込まれているようなことを指し、このためドリルのガイド部にドリルの刃とその保持部を挿入するだけで、排出用孔が刃先の方に向くように形成されることとなるため、各シンブル管の固定の解除作業ごとに排出用ホースを取付け、取り外す必要がなくなる。
また、「ドリルのガイド部に形成されている排出用孔」とは、吸引機からのホースがドリルのガイド部に取付け可能とされている、ホースの先端が接続可能とされている場合をも含む。
なお、「排出」とは、吸引機による吸引のみならず、ドリルの駆動源が圧縮空気であるため、ドリルからの排気が排出孔から逃げていく際に切粉を搬出するような構造である場合、即ち搬出をも含む。
前記ガイド部取付けステップに先立って前記栓を前記プレートの開口から取去る栓取去りステップと、
前記解除ステップ終了後に、前記ドリルのガイドを取去った後の前記プレートの開口内に前記栓を再度挿入する栓挿入ステップとを有していることを特徴とする燃料集合体からのシンブル管の取去り方法である。
なお、他の器具類との兼ね合いでプレートの大きさが限定される場合には、別体の遮蔽用の板や防護服等が併用されてもよいのはもちろんである。
前記プレート側はプレートの開口の形状と寸法に合わせた形状と寸法とされ、反プレート側にはドリルの刃の収納部の形状と寸法に合わせたガイド孔が形成され、前記位置合せして取付けられているプレートの開口に前記プレート側を挿入することにより位置決めしつつ装着されるドリルのガイド部とを有していることを特徴とする燃料集合体からのシンブル管の取去り用機具である。
なお、本請求項の発明においては、ドリルのガイド部が複数あり、このため請求項2の発明の方法がなされる場合を含むのはもちろんである。
前記スリーブ管と前記シンブル管の固定は、前記スリーブ管内に挿入された前記シンブル管の下部端栓の外周に形成された凹部内に前記スリーブ管壁を押圧で入れ込ませるかしめ止めによりなされているものであり、
前記ドリルは、前記シンブル管の下部端栓の外周に凹部が形成された部分の下部を削って、下部端栓の最下部にある鍔を分離するようになされていることを特徴とする燃料集合体からのシンブル管の取去り用機具である。
なお、ドリルの刃の直径は、下部端栓の凹部よりは大きいが、スリーブ管の押圧によりかしめた部分の内径よりも小さくするのが、切粉を少なくする、ドリルが軽量になるという面からは好ましい。
前記ドリルは、スリーブ管とシンブル管が固定されている部分を切断、除去する時に発生する切粉を排出するために、排出用ホースが一体的に装着されていることを特徴とする燃料集合体からのシンブル管の取去り用機具である。
前記の燃料集合体からのシンブル管の取去り用機具において、前記プレートに形成されている開口に前記ドリルのガイド部が装着されていないときに、当該開口を遮蔽のために塞ぐための栓を有していることを特徴とする燃料集合体からのシンブル管の取去り用機具である。
また、プレートは、遮蔽を兼ねているのはもちろんである。このため、プレートや栓はSUSの厚板とされたり、鉛が貼られていていたりもする。
なお、MOX燃料集合体は、作業しやすい高さに設置されたり、またそのための台等が準備されたりもされえる。従がって、プレートの大きさは、そのための台やその他の機具類等との兼ね合いにもなり、さらに別体の遮蔽板や防護服等が準備され、用いられてもよいのはもちろんである。
また、複数の作業者による同時並行処理も容易になり、作業が迅速化される。
また、一人の作業者が同時に複数のシンブル管を対象に作業することも可能になり、作業が迅速化される。
また、プレートには予めの開口が形成されているため、作業者の錯誤による不必要な場所の切断作業が防止される。
また、切粉の排出もなされるため、後の清掃も楽になる。
また同じく、同時に複数のシンブル管を対象にしての作業や、多少離れた位置からの作業が可能となるため、作業者の被爆線量が少なくなり、この面からもMOX燃料であっても、容易に適用可能となる。
以上の結果、何らかの理由で解体されることとなった燃料集合体から燃料棒を無傷で取出すのが容易となる。
特に、MOX燃料において、大きな効果が発揮できる。
両方の図において、18は燃料棒であり、30はドリルであり、40はドリルのガイド部であり、50はドリルのガイド部取付け用のプレートである。
図2は、上から順に、最下部支持格子11の反燃料棒側に、前記プレート50、ドリルのガイド部40、ドリル30を、スリーブ管12とシンブル管20とのかしめ止めによる固定を解除するために取付けていく様子を示す。
このプレート50には、各スリーブ管12が凸出している場所に対応する位置に開口51が形成されている。このため、最下部支持格子11にこのプレート50を位置合せしつつ装着することにより、プレート50の各開口51の中心に、対応する各スリーブ管12の凸出部の中心がある、あるいは一致することとなる。
この図に示すように、ドリルのガイド部40は、プレート側、即ちその挿入方向の先端部41がプレート50の開口51に合わせた形状と寸法になっている。このため、この先端部41をプレートの開口51に挿入することにより、ドリルのガイド部40とプレート50との位置決めも自然になされる。
図3において、43は切粉を吸引するため掃除機へ接続されている吸引用ホースである。この場合、ドリル30の刃の保持部32とドリルのガイド部40のガイド孔42とには僅かな隙間があるため、この隙間から侵入してきた空気が吸引用ホース43内に吸引される際に、ドリルの刃31の先端で発生した切粉を他に散らばらすことなく、効率よく吸引用ホース43内に運んでいく。
以上の下で、上部支持格子とシンブル管との固定の解除がなされ、最後にシンブル管は燃料集合体から取去られることとなる。
実施の形態では、ドリルの刃31は細く、このため固定の解除のためには主に下部端栓22の鍔24の中央部と凹部23の下部のみを切断除去するタイプとし、作業量の低減と発生する切粉の減少を図っているが、ドリルの刃31はもう少し太目のものとする。これにより、多少の寸法の相違等が生じていたとしても、下部端栓の凹部23は確実に切断、除去されるようにしている。
またこれにより、他のタイプの固定方法であり、スリーブ管とシンブル管とのかしめ止めの詳細が相違していても、燃料集合体の使用が予定されている原子炉が同じである等のためシンブル管の取付けの位置や寸法が一致している限り、使用可能になる。
またこれにより、ドリルの刃が太目であると座屈し難くなるので、放射能を有するMOX燃料の場合にはドリルの刃等を長くして、作業者は燃料集合体からある程度離れて作業をすることが可能になる。
11 最下部支持格子
12 スリーブ管
13 スリーブ管のかしめ部
18 燃料棒
20 シンブル管
21 シンブル管の管本体の下部
22 シンブル管の下部端栓
23 下部端栓の凹部
24 下部端栓の鍔
30 ドリル
31 ドリルの刃
32 ドリルの刃の保持部
40 ドリルのガイド部
41 ドリルのガイド部の先端部
42 ドリルのガイド部のガイド孔
43 吸引用ホース
50 プレート
51 プレートの開口
Claims (11)
- 燃料集合体の最下部支持格子の反燃料棒側に、前記反燃料棒側の面から凸出した各スリーブに対応する位置にドリルのガイド部が取付けられるための開口が形成されているプレートを、位置合せして取付けるプレート取付けステップと、
前記位置合せして取付けられているプレートの開口に、プレート側は前記プレートの開口の形状と寸法に合わせた形状と寸法とされ、反プレート側にはドリルの刃の保持部の形状と寸法に合わせたガイド孔が形成されているドリルのガイド部のプレート側を挿入することにより、ドリルのガイド部を位置決めしつつ装着するドリルのガイド部取付けステップと、
前記位置決めして装着されているドリルのガイド部のガイド孔に、ドリルの刃の保持部を挿入するドリル挿入ステップと、
ドリルのガイド部のガイド孔にドリルの刃の保持部が挿入された状態で、ドリルの刃を回転させつつスリーブ管側に進ませて、前記最下部支持格子の反燃料棒側面から凸出したスリーブ管とシンブル管が固定されている部分を切断、除去して、両方の管の固定を解除する解除ステップとを有していることを特徴とする燃料集合体からのシンブル管の取去り方法。 - 前記ドリルのガイド部取付けステップは、複数のドリルのガイド部を前記プレートの開口に挿入して位置決めしつつ装着する複数ドリルのガイド部取付けステップであり、
前記ドリル挿入ステップは、前記複数のドリルのガイド部ごとにドリルの刃の保持部を挿入する複数ドリル挿入ステップであり、
前記解除ステップは、前記複数の各ドリルごとにスリーブ管とシンブル管が固定されている部分の切断、除去がなされる複数解除ステップであることを特徴とする請求項1に記載の燃料集合体からのシンブル管の取去り方法。 - 前記スリーブ管と前記シンブル管の固定は、前記スリーブ管内に挿入された前記シンブル管の下部端栓の外周に形成された凹部内に前記スリーブ管壁を押圧で入れ込ませるかしめ止めによりなされているものであり、
前記解除ステップは、前記シンブル管の下部端栓の外周に凹部が形成された部分の下部を削って、下部端栓の最下部にある鍔を分離する鍔分離ステップであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の燃料集合体からのシンブル管の取去り方法。 - 前記解除ステップ時に、発生した切粉をドリルに一体的に装着されている排出用ホースの排出用孔またはドリルのガイド部に形成されている排出用孔から排出する排出ステップを有していることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の燃料集合体からのシンブル管の取去り方法。
- 前記燃料集合体はMOX燃料集合体であり、このため前記プレートは作業者が被爆しないための遮蔽を兼ねるものであり、またこのため前記プレートの開口には放射線の遮蔽のために、着脱自在の栓が挿入されており、
前記ガイド部取付けステップに先立って前記栓を前記プレートの開口から取去る栓取去りステップと、
前記解除ステップ終了後に、前記ドリルのガイドを取去った後の前記プレートの開口内に前記栓を再度挿入する栓挿入ステップとを有していることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の燃料集合体からのシンブル管の取去り方法。 - 燃料集合体の最下部支持格子の反燃料棒側の面から凸出した各スリーブに対応する位置に反燃料棒側からドリルのガイド部が取付けられるための開口が形成され、前記最下部支持格子の反燃料棒側の面に位置合せして取付けられるプレートと、
前記プレート側はプレートの開口の形状と寸法に合わせた形状と寸法とされ、反プレート側にはドリルの刃の収納部の形状と寸法に合わせたガイド孔が形成され、前記位置合せして取付けられているプレートの開口に前記プレート側を挿入することにより位置決めしつつ装着されるドリルのガイド部とを有していることを特徴とする燃料集合体からのシンブル管の取去り用機具。 - 前記位置決めして装着されているドリルのガイド部のガイド孔にドリルの刃の保持部を挿入して、スリーブ管とシンブル管が固定されている部分を切断、除去して、両方の管の固定を解除するドリルを有していることを特徴とする請求項6に記載の燃料集合体からのシンブル管の取去り用機具。
- 前記スリーブ管と前記シンブル管の固定は、前記スリーブ管内に挿入された前記シンブル管の下部端栓の外周に形成された凹部内に前記スリーブ管壁を押圧で入れ込ませるかしめ止めによりなされているものであり、
前記ドリルは、前記シンブル管の下部端栓の外周に凹部が形成された部分の下部を削って、下部端栓の最下部にある鍔を分離するようになされていることを特徴とする請求項7に記載の燃料集合体からのシンブル管の取去り用機具。 - 前記ドリルのガイド部は、ドリルによりスリーブ管とシンブル管が固定されている部分を切断、除去する時に発生する切粉を排出するための排出用孔が形成されていることを特徴とする請求項6ないし請求項8のいずれかに記載の燃料集合体からのシンブル管の取去り用機具。
- 前記ドリルは、スリーブ管とシンブル管が固定されている部分を切断、除去する時に発生する切粉を排出するために、排出用ホースが一体的に装着されていることを特徴とする請求項7または請求項8に記載の燃料集合体からのシンブル管の取去り用機具。
- 前記燃料集合体はMOX燃料集合体であり、
前記プレートに形成されている開口に前記ドリルのガイド部が装着されていないときに、当該開口を遮蔽のために塞ぐための栓を有していることを特徴とする請求項6ないし請求項10のいずれかに記載の燃料集合体からのシンブル管の取去り用機具。
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