JP3828297B2 - 燃料体取扱装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、原子力プラントの原子炉建屋内における燃料集合体の取扱装置に係わり、特にプルトニウム酸化物とウラン酸化物の混合燃料が含まれる混合燃料集合体(以下、MOX燃料体という)を原子炉建屋内で輸送容器から取出した後に燃料集合体の輸送上の振動防止機能として装着されているセパレータを取り外す際に好適な燃料体取扱装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、軽水型原子炉の一例である沸騰水型原子炉では、燃料体としてウラン酸化物燃料集合体(以下、ウラン燃料体という)が用いられる。このウラン燃料体の輸送は、輸送時の燃料健全性の確保のためにセパレータと呼ばれる燃料棒間隔を適性に保持する治具とともに専用の燃料輸送容器に収納されて輸送される。そして、発電所内に搬入された後、ウラン燃料体は輸送容器から取出され所定の燃料検査が行われ、検査後は、チャンネルボックスが取り付けられた状態で一時的に使用済燃料プール等の貯蔵施設に保管され、その後原子炉内に装荷されるのが普通である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ウラン燃料体の場合、燃料体から放出される放射線の線量率が低いため、輸送時に使用したセパレータを取り外す際は、従来の燃料取扱作業においては、特に放射線を防護するための専用設備を使用せずに取扱うことが可能であった。
【0004】
しかし、従来のウラン燃料体の取扱作業に比べて、MOX燃料体の場合は次のような課題が懸念される。すなわち、MOX燃料体は、ウラン燃料体に比べて燃料体から放出される放射線の線量率が比較的高いため、作業者の被ばく低減を考慮する必要がある。
【0005】
被ばくの低減を図る対策として、その作業,すなわちMOX燃料体からセパレータを取り外す作業に従事する時間を限定することが最も有効な策であるが、しかしながら、作業に従事する時間を限定することは、作業性の悪化が余儀なくされる嫌いがある。また、MOX燃料体では発熱による表面温度上昇を考慮し金属セパレータを用いているため、ウラン燃料体で用いている樹脂製セパレータと比較し、燃料体を保持する力が強く、その取り外し作業時には多大な負担が掛かることが懸念される。
【0006】
本発明はこれに鑑みなされたもので、その目的とするところは、MOX燃料体の取扱作業時において、MOX燃料体からセパレータを取り外す際に作業性を悪化させることなく、作業者の被ばく低減および作業労力の軽減を図ることが可能な,すなわち放射線に起因する取扱作業者の環境を改善することが可能なこの種の燃料体取扱装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、燃料体に装着されているセパレータを、燃料体から取外す燃料体取扱装置において、前記装置を、作業床面に設けられたピットと、このピットの底床面に設置されるとともに前記作業床面より上方に延びて設けられ、かつ前記燃料体を上下移動可能に保持する燃料体保持台と、この燃料体保持台の近傍の作業床面に水平移動可能に設置され、かつ前記燃料体のセパレータをチャックする装置を備えたセパレータ取外し装置と、このセパレータ取外し装置の近傍に設置され該セパレータ取外し装置によって取外されたセパレータを離れた位置に移送するコンベアとから構成し、前記燃料体保持台に保持された燃料体の上下方向移動および前記セパレータ取外し装置と前記コンベアの水平移動により燃料体のセパレータを取外して離れた位置に移送するようにし所期の目的を達成するようにしたものである。
【0008】
また、この場合、前記ピットの深さを、前記燃料体の全長と略同一に形成するようしたものである。また、前記燃料体保持台の周囲に複数個の燃料体が保持されるように形成するとともに、前記燃料体保持台が回転できるように形成したものである。また、前記セパレータチャック装置のセパレータチャックは、セパレータの外周部を挟持するようにしたものである。
【0009】
すなわちこのように形成された燃料体取扱装置であると、燃料体保持台に保持された燃料体の上下方向移動,およびセパレータ取外し装置の水平移動により燃料体のセパレータが取外されるので、MOX燃料体からセパレータを取外す際に、作業者が遠隔により、燃料体を上下方向あるいは回転させることにより、MOX燃料体の全長にわたって装着されているセパレータを取り外すことができ、MOX燃料体から放出される放射線からの影響を低く押さえた環境下でセパレータ取り外し作業ができ、燃料体取扱作業者の被ばく低減を図ることができる。さらに、上記燃料取扱装置は、一定の高さで対峙したセパレータを取り外す機能に限定されているので、装置自体がコンパクトなものになり、作業エリアを有効利用することが可能となる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下図示した実施例に基づいて本発明を詳細に説明する。まず、図4にはその燃料体と燃料輸送容器との関係が模式的に示されている。図中100が燃料輸送容器であり、101がMOX燃料体、102が燃料ホルダである。
【0011】
MOX燃料体101は、燃料ホルダ102が装着された状態で、燃料輸送容器100に収納されて、MOX燃料加工工場から発電所まで輸送され、その後発電所内の原子炉建屋内の作業エリアまで運ばれる。MOX燃料体101は、このように燃料ホルダ102と呼ばれる保護具に収納されて運ばれるわけであるが、さらに、このMOX燃料体101には、MOX燃料体の燃料棒の間隔を輸送中に適正に保持するためにセパレータと呼ばれる治具が多数装着されている。
【0012】
図2には、このセパレータの構造が示されている。セパレータ103は、基板103aに所定の間隔をおいて複数の挿入壁103bが設けられており、またセパレータ103の両側面には、MOX燃料体101からの取り外し作業時にチャックするための長溝104が設けられている。このセパレータ103は図3に示されているように、MOX燃料体101の上下左右方向に数十個装着され、さらに燃料ホルダに収納された状態で運ばれ、輸送時及び燃料取扱時におけるMOX燃料体101の損傷が防止されるよう配慮されている。
【0013】
このセパレータ103および燃料ホルダー102は、燃料検査の前にMOX燃料体101から取り外される。この場合、セパレータ103の取り外し作業は、次のような燃料体取扱装置にて行われる。すなわち、図1に示されているように、作業床F1に、燃料体と略同長の深さを有するピット108が設けられ、そしてこのピット内には燃料検査台(燃料体保持台)105が設置される。燃料検査台105は、案内柱105aと燃料体保持装置105bとを備えている。
【0014】
セパレータ103を装着したMOX燃料体101は、燃料ホルダーが取り外された後に、燃料体を上下方向に移動が可能で、かつ回転可能な燃料体保持装置105bに設置される。MOX燃料体101に装着されたセパレータ103を取り外す際には、作業エリアの床面F1に設定されたセパレータ取り外し装置106を使用して取り外す。
【0015】
このセパレータ取り外し装置106は、水平方向に移動可能に形成され、すなわち案内柱105aに対して前後に移動可能に形成され、かつその端部(案内柱側)には、燃料体に装着されているセパレータ103をチャックするチャック装置106aが設けられている。
【0016】
この装置で、燃料体保持装置105bに設置されたMOX燃料体101からセパレータ103を取り外すには、セパレータの位置が対峙するセパレータ取り外し装置の高さにくるようにMOX燃料体101を燃料体保持装置105bで上下方向に移動させる。次に、セパレータ取り外し装置を水平方向に移動させて、チャック装置106aにてセパレータ103を保持した後、再度セパレータ取り外し装置を水平方向に移動させて取り外すのである。
【0017】
取り外されたセパレータ103はコンベア107に乗せられて数メートル離れた位置まで移送され回収される。なお、セパレータ103の取り外し面の変更は、燃料検査台105の燃料体回転機能により行なわれる。
【0018】
このような装置であると、セパレータ取り外し装置の移動によりセパレータは燃料体より取り外されるので、作業者が燃料体に近づく必要がなく、作業性を悪化させることなく作業者の被ばく低減を図ることが可能であり、放射線に起因する取扱作業の環境を改善することができる。なお、この場合、燃料体の上端まで下降可能なようにピット108が設けられているため、セパレータ取り外し装置を燃料体の全長をカバーできなくてもMOX燃料体の全長にわたり装着されているセパレータの取り外しが可能となる。
【0019】
次に、セパレータ取り外し装置についてもう少し詳しく説明する。図5にセパレータ取り外し装置106とMOX燃料体の取合いの模式図が示されている。セパレータ103はMOX燃料体の対向面で上下方向の位置を同じくして装着され、燃料棒110を保持している。セパレータ取り外し装置106は前進後退機構111とクランプヘッド112及びクランプ機構113により構成される。
【0020】
セパレータ103の取り外しの際には、前進後退機構111とクランプ機構113を作動させ、クランプヘッド112の前後退とクランプ機構113の開閉動作により、セパレータ103を取り外すことができる。
【0021】
図6は前進後退機構111を作動させ、クランプヘッド112を前進位置とした後、クランプ機構113を作動させた状態を示す。図7は、セパレータ103をクランプしたまま、前進後退機構111を後退位置に戻した状態を示し、セパレータ103がMOX燃料体から取り外された状態である。
【0022】
図8は、セパレータ103のクランプをより確実なものとするために、クランプヘッド112のセパレータ保持部114にコイルばね115を介してピン116を複数個取り付けた例を示したものである。クランプ機構113の閉動作時には、セパレータ103の両側面に設けられた長溝104にピン116が挿入され、前進後退機構111が後退動作を行い、セパレータ103を取り外す際のセパレータ保持部114の滑りを防止している。
【0023】
また、ピン116はコイルばね115によりピストン動作が可能であり、通常は露出した状態となっている。クランプ機構113の閉動作時にセパレータ103に設けられた長溝104に挿入されないピン116はセパレータ103の平坦部と接触し、セパレータ保持部114に押し込められ、セパレータ103とセパレータ保持部114の間に空間を生じさせない構造としてあるため、セパレータ103の保持を確かなものとしている。
【0024】
MOX燃料体の他の面に取り付けられたセパレータを取り外すには、MOX燃料体を燃料検査台の燃料回転機能により回転させることにより、他の面に取り付けられたセパレータを同様な手順で取り外すことが可能である。
【0025】
また、図9はセパレータ取り外しをより確実なものとするため、セパレータ端部をクランプするためのクランプ爪117を具備した一例である。セパレータ103の取り外しの際には、前進後退機構111を作動し、クランプヘッド112をセパレータ103に接触する位置まで前進させる。その状態ではクランプ爪117はMOX燃料体に対峙して装着されるセパレータ103の間隙位置にあり、その後セパレータ爪117の閉動作により、セパレータ103の端部をクランプした状態で前進後退機構111を作動し、クランプヘッド112を後退させることにより、セパレータ103を取り外すことができる。
【0026】
以上説明してきたようにこのように形成された燃料体取扱装置であると、原子炉建屋内におけるMOX燃料体の取扱作業において、MOX燃料体からセパレータを取り外す際に、専用取り外し装置を使用して作業が行なえるので、MOX燃料から放出される放射線による燃料取扱作業者の被ばく低減を図ることができる。これに伴ってMOX燃料の取扱作業性を悪化させずに済む。
【0027】
また、燃料体を上下方向に移動できる検査装置を使用できる場合には、比較的コンパクトな装置でセパレータを取り外し作業が可能となり、燃料取扱作業者の被ばく低減を図ることができる。
【0028】
【発明の効果】
以上説明してきたように本発明によれば、MOX燃料体の取扱作業時において、MOX燃料体からセパレータを取り外す際に作業性を悪化させることなく、作業者の被ばく低減を図ることが可能であり、放射線に起因する取扱作業の環境を改善することができるこの種の燃料体取扱装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の燃料体取扱装置の一実施例を示す縦断側面図である。
【図2】燃料体のセパレータを示す斜視図である。
【図3】セパレータを装着したMOX燃料体の斜視図である。
【図4】燃料体輸送容器とMOX燃料体の収納関係を示す模式図である。
【図5】本発明によるセパレータ取り外し装置とMOX燃料体の取合図である。
【図6】本発明によるセパレータ取り外し装置のセパレータ保持の模式図である。
【図7】本発明によりセパレータを取外した模式図である。
【図8】本発明の燃料体取扱装置の他の実施例の要部を示す縦断側面図である。
【図9】本発明の燃料体取扱装置の他の実施例の要部を示す縦断側面図である。
【符号の説明】
100…燃料輸送容器、101…MOX燃料体、102…燃料ホルダ、103…セパレータ、105…燃料検査台(燃料体保持台)、106…セパレータ取外し装置、108…検査台ピット、109…ゴンドラ、110…燃料棒、111…前進後退機構、112…クランプヘッド、113…クランプ機構、114…セパレータ保持部、115…コイルばね、116…ピン、117…クランプ爪。
Claims (3)
- 燃料体に装着されているセパレータを、燃料体から取外す燃料体取扱装置において、
前記装置が、作業床面に設けられ深さが前記燃料体の全長と略同一に形成されたピットと、該ピットの底床面に設置されるとともに前記作業床面より上方に延びて設けられ、かつ前記燃料体を上下移動可能に保持する燃料体保持台と、該燃料体保持台の近傍の作業床面に水平移動可能に設置され、かつ前記燃料体のセパレータをチャックする装置を備えたセパレータ取外し装置と、該セパレータ取外し装置の近傍に設置され該セパレータ取外し装置によって取外されたセパレータを離れた位置に移送するコンベアとを備え、前記燃料体保持台に保持された燃料体の上下方向移動および前記セパレータ取外し装置と前記コンベアの水平移動により燃料体のセパレータを取外して離れた位置に移送するようにしたことを特徴とする燃料体取扱装置。 - 前記燃料体保持台の周囲に複数個の燃料体が保持されるように形成するとともに、前記燃料体保持台が回転できるように形成されてなる請求項1記載の燃料体取扱装置。
- 前記セパレータをチャックする装置のセパレータチャックは、セパレータの外周部を挟持するようにしたものである請求項1記載の燃料体取扱装置。
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