JP4343705B2 - 歯周疾患の罹患感受性を推定するためのデータの収集方法 - Google Patents
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Description
本発明は、歯周疾患の罹患感受性を推定するためのデータの収集方法およびそのデータ収集に使用される核酸配列に関する。詳しくは、抗菌ペプチドの1種であるデフェンシンの発現を制御するデフェンシン遺伝子プロモーター領域の変異配列部分を含む核酸配列ならびにこの核酸配列を用いてデフェンシン遺伝子の発現能力を制御する該プロモーター活性の変動を調べることにより、歯周疾患の罹患感受性を推定するためのデータを得ることを特徴とするデータの収集方法に関する。
【背景技術】
歯周疾患は、デンタルプラークの細菌により歯周組織に惹起される慢性の炎症性疾患であり、この疾患に直接または間接的に関与するいくつかの歯周病関連細菌が特定されている。歯周炎の発症に対して、防御機能を発揮する歯肉上皮細胞の自然免疫に関与する因子、例えばサイトカイン、接着因子、抗菌物質などが、歯周病関連細菌の活動に介入する。そのような抗菌物質の一つにデフェンシンという殺菌ペプチドが知られている。
デフェンシンはグラム陽性菌、グラム陰性菌、真菌、エンベロープウイルスに対して抗菌活性を持つペプチド類であり、α型とβ型に分類される。α型はヒトでは好中球アズール顆粒に局在するHNP−1〜4と小腸パネート細胞に局在するヒトデフェンシン−5,−6の計6種類が報告されている。一方、β型は牛において舌と気道にLAP(lingual antimicrobial peptide)とTAP(trancheal antimicrobial peptide)として存在することが見出され、ともに上皮由来の感染防御因子として機能している。
最近、生体内に存在する特定の物質を検査することにより、ある疾患に罹患しやすいか否かを予測する技術が提唱されている。しかし、これらの技術の多くは疾患を惹起する物質または疾患に関連する物質を検出するものであるか、疾患に関係する遺伝子を何らかの方法により検出するものである。このような方法においては、対象とする疾患と原因と目される遺伝子との関係、さらにその遺伝子発現の調節機構を物質レベルで明確にされなければ、将来の罹患可能性を予測できる有効な方法とはならない。
このような状況にある疾患の一つに上記歯周疾患があり、関連する細菌の遺伝子推定を行う方法はあるものの、それらは関連細菌を特定するに過ぎない。歯周病の発現に関わる遺伝子の分析により、将来的に歯周疾患に罹患する可能性についての評価を可能とする技術の開発が待たれていることは、他の疾患と同様である。
歯周疾患に関係する遺伝子についてもこれまで研究が進められてきた。デフェンシンのα型、β型は、ともに第8染色体にそれらの遺伝子が存在しており、発現の調節が行われている。
これまでにLFA−1遺伝子の変異(例えば、非特許文献1参照。)、あるいはカテプシンC遺伝子の変異(例えば、非特許文献2参照。)が原因で重度歯周炎が起こると指摘している報告もみられる。
また、FcγRIIIa(CD16)(例えば、非特許文献3参照。)、HLA−DRやDQ(例えば、非特許文献4参照。)、IL−1(例えば、非特許文献5参照。)、TNF−β、アンジオテンシン変換酵素、エンドセリン(例えば、非特許文献6参照。)などの遺伝子が歯周疾患と関係している可能性があると推測する報告もみられる。
しかし、これらの知見だけでは歯周疾患の発症予測方法につながらない。またヒトのβ−デフェンシンに関しては、その遺伝子における特異的なDNA塩基配列を調べる方法により、β−デフェンシンの発現の有無や発現量を推定し、これにより歯周疾患などバクテリアに起因する疾患に対するリスクの推定を行おうとする方法は存在しない。
【非特許文献1】
スプリンガーTA(Springer TA),トンプソンWS(Thompson WS)ら,:Inherited deficiency of the Mac−1,LFA−1,p150,95 glycoprotein family and its molecular basis."J.Exp.Med",1984年,第160巻,p.190
1−1908
【非特許文献2】
トームズC(Toomes C),ジェームスJ(James J)ら:Loss of function mutations in the cathepsin C gene results in periodontal disease and palmoplantar keratosis,"Nature Genetics",1999年,第23巻,p.421−424
【非特許文献3】
小林T(Kobayashi T),ウェスターダールNA(Westerdaal NA)ら:Relevance of immunoglobulin G Fc receptor polymorphism torecurrence of adult periodontitis in Japanese patients,"Infect.Immun.",1997年,第65巻,p.3556−3560
【非特許文献4】
高柴S(Takashiba S),大山H(Ohyama H)ら:HLA genetics for diagnosis of susceptibility to early−onset periodontitis,"J.Periodont.Res.",1999年,第34巻,p.374−378
【非特許文献5】
コーンマンKS(Kornman KS),クレインA(Crane A)ら:The interleukin−1 genotype as a severity factor in adult periodontal disease,"J.Clin.Periodontol.",1997年,第24巻,p.72−77
【非特許文献6】
ホラLI(Holla LI),ファスマンA(Fassmann A)ら:Interactions of lymphotoxin alpha(TNF−beta),angiotensin−converting enzyme(ACE),and endothelin−1(ET−1)gene polymorphisms in adult periodontitis,"J.Periodontol.",2001年,第72巻,p.85−89
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、抗菌性ペプチドであるデフェンシン産生の消長が歯周疾患の発病に密接に関わることに着目し、その発現のもととなる遺伝子の塩基配列について研究を進めた。その結果、樹立された細胞株からのデフェンシン遺伝子のうち、その発現を調節する遺伝子の塩基配列中に変異塩基の存在を見出し、その部位を決定することができた。これに基づき歯周疾患に罹患する感受性を推定する方法などに関する本発明を完成するに至った。
本発明の目的は、抗細菌能力の低下が一因となって歯周疾患に罹患する感受性を患者および/または歯科医師に知らしめるための新しい検査方法・評価データの収集方法を提供することにある。
さらに本発明は、上記方法を実施するために必要とされる、試薬類(プローブおよびプライマー)、検査材料(キットおよびDNAチップ)なども提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
本発明の概要は、以下の通りである。
本発明による歯周疾患の罹患感受性を推定するためのデータの収集方法は、試料中のヒトデフェンシン遺伝子のプロモーター領域内に存在する遺伝子変異の存在および/または変異部位を検出するために、デフェンシン遺伝子のプロモーターの一部であって変異塩基を含む核酸配列をプローブ用の配列として用い、
(i)試料中のデフェンシン遺伝子プロモーター核酸配列と該プローブとの、ハイブリダイゼーションにおけるハイブリダイズの部位、および/または
(ii)該プローブを含むプライマーを使用する遺伝子増幅における増幅能力を測定することを含み、このようにして検出された遺伝子変異の存在および/または変異部位に基づき、デフェンシンプロモーターによるデフェンシン遺伝子の発現調節能力の変化を明らかにすることを特徴としている。
本発明による上記方法の好ましい態様は、試料中のヒトβ−デフェンシン2遺伝子のプロモーター領域内に存在する遺伝子変異の存在および/または変異部位を検出するために、β−デフェンシン2遺伝子のプロモーターの一部であって変異塩基を含む核酸配列をプローブ用の配列として用い、
(i)試料中のβ−デフェンシン2遺伝子プロモーターの核酸配列と該プローブとのハイブリダイゼーションにおけるハイブリダイズの部位、および/または
(ii)該プローブを含むプライマーを使用する遺伝子増幅における増幅能力を測定することを含み、このようにして検出された遺伝子変異の存在および/または変異部位に基づき、ヒトβ−デフェンシン2プロモーターによるβ−デフェンシン2遺伝子の発現調節能力の変化を明らかにするものである。
本発明に係る、歯周疾患の罹患感受性の推定用データを得るための核酸配列は、ヒトβ−デフェンシン2遺伝子のプロモーター領域変異型を検出するために用いられる核酸配列であって、該プロモーター塩基配列のうちで、変異塩基部位を中心とした上下流おのおの少なくとも5個の塩基配列、あるいは変異部位を3'末端とする少なくとも10個の塩基か
らなる塩基配列を含むことを特徴としている。
前記塩基配列が、
プライマーセット 1:
【数1】
により増幅されるDNA塩基配列で
ヒトβ−デフェンシン2遺伝子の転写開始点より上流の部位、−1431(変異部位1)がGからCに変異したDNA塩基配列
および/または
プライマーセット 2:
【数2】
により増幅されるDNA塩基配列で
部位−1035(変異部位2−1)がGからTに変異したDNA塩基配列および/または部位−1027(変異部位2−2)がAからGに変異したDNA塩基配列および/または部位−936(変異部位2−3)がGからAに変異したDNA塩基配列および/または部位−923(変異部位2−4)がCからTに変異したDNA塩基配列および/または
同じプライマーセットにより増幅されるDNA塩基配列で
部位−912(変異部位2−5)がTからCに変異したDNA塩基配列および/または部位−874(変異部位2−6)がGからAに変異したDNA塩基配列および/または
プライマーセット 3:
【数3】
により増幅されるDNA塩基配列で
部位−539(変異部位3−1)がCからTに変異したDNA塩基配列および/または部位−472(変異部位3−2)がAからGに変異したDNA塩基配列および/または
プライマーセット 4:
【数4】
により増幅されるDNA塩基配列で
部位−108(変異部位4)がTからCに変異したDNA塩基配列
のいずれかであるプローブ用核酸配列が好ましい。
さらに上記核酸配列は、検出用のマーカー、および/または増幅用の塩基配列で修飾されていてもよい。
本発明に係るプライマーは、
プライマーセット 1:
【数5】
の両塩基配列を含み、ヒトデフェンシン遺伝子に由来するDNAを増幅するために用いられるプライマーである。
本発明に係るプライマーは、また
プライマーセット 2:
【数6】
の両塩基配列を含み、ヒトデフェンシン遺伝子に由来するDNAを増幅するために用いられるプライマーである。
本発明に係るプライマーとして、さらに
プライマーセット 3:
【数7】
の両塩基配列を含み、ヒトデフェンシン遺伝子に由来するDNAを増幅するために用いられるプライマーがある。
本発明に係るプライマーは、
プライマーセット 4:
【数8】
の両塩基配列を含み、ヒトデフェンシン遺伝子に由来するDNAを増幅するために用いられるプライマーである。
さらに本発明のプライマーには、上記のプローブのいずれかを含み、遺伝子増幅における増幅能力を測定するために使用されるプライマーも含まれる。
本発明に係るキットは、歯周疾患罹患の感受性を推定するためのキットであり、ヒトデフェンシン遺伝子のプロモーター領域変異型を検出するために、上記のプローブ用核酸配列から選択される核酸配列を含むものをプローブとして少なくとも1種有し、さらに必要に応じて上記のいずれかのプライマーを含むことを特徴としている。
本発明に係るDNAチップは、少なくとも上記プローブ用核酸配列から選択される核酸配列のプローブを少なくとも1種組み込んでおり、さらに必要に応じて上記のいずれかのプライマーを含むことを特徴としている。
本発明による歯周疾患の罹患感受性を推定する方法は、アレル特異的PCR(Allele Specific PCR)法を用いて、ヒトのアレルを分析し、その塩基配列から歯周疾患の罹患感受性を推定する方法である。
本発明による上記の方法において、ハイブリダイゼーションが、ストリンジェントな条件下で行われることを特徴としている。
本発明に係るデータ処理システムは、上記キットに関わる検出装置またはDNAチップから発せられる検出信号を取り込んで、ヒトβ−デフェンシン2プロモーターによるβ−デフェンシン2発現調節能力を調べ、歯周疾患の罹患感受性を推定することができるデータを提示することを特徴とするシステムである。
ヒトβ−デフェンシン2遺伝子の全塩基配列には、コーディング領域(2732位置から始まる)とともに、プロモーター領域も含まれる。
なお、ヒトβ−デフェンシン2遺伝子のDNA配列は、次の文献に記載されている:
Diamond,G.,Kaiser,V.,Rhodes,J.,Russell,J.P.,and Bevins,C.L.Transcriptional regulation of beta−defensin gene expression in tracheal epithelial cells.Infect.Immun.68(1),p113−119(2000)
以下、本発明を、デフェンシン遺伝子の発現、その発現を調節するプロモーター、プロモーター領域における遺伝子変異の検出、変異塩基を含むプローブ、プローブを利用することによる歯周疾患罹患への感受性推定用データの収集法、得られたデータの処理法について説明する。
なお、本明細書において「核酸」とは、DNAおよびRNAなどを含むポリヌクレオチドであり、「核酸配列」とは、核酸のヌクレオチド配列の意味で使用しており、ヌクオチド塩基の配列である。本明細書では単に「塩基配列」ということもある。また「変異」とは、例えば突然変異によりデフェンシン遺伝子本来の塩基が他の種類の塩基に置き換わっていることをいい、置換された塩基を「変異塩基」という。他の種類の塩基には、その塩基がメチル化などにより修飾されている場合も含まれる。本明細書では、「遺伝子変異」を、遺伝子のヌクレオチド塩基における変異の意味で使用している。
以下の記載において遺伝子中の塩基位置の特定は、慣例に従い、ヒトデフェンシン遺伝子の転写開始点(atg)を基点として、その上流側の位置を負の番号、下流側の位置を正の番号で表示する。また「歯周疾患」とは、歯肉炎、歯周病、歯槽膿漏などを含む疾患の総称である。
(A)ヒトデフェンシンの発現およびその調節
α−デフェンシン、β−デフェンシンに共通した特徴として、細菌、真菌、ウイルスなどに対し広範囲の抗菌スペクトルをもつことが挙げられる。(Ganz T:defensins and host defense,Science 1999;286;420−421.)
歯肉の割れ目にある組織液(GCF)の観察から、歯肉はα−デフェンシンとβ−デフェンシンによって保護されていると示唆される。これは、凹窩がα−デフェンシンによって保護され、腸絨毛の上皮がβ−デフェンシンを発現しているという、腸での観察と全く同様である。
β−デフェンシンの口腔での発現
β−デフェンシンは、歯肉、舌、唾液腺、そして他の口腔内で発現している。3種のβ−デフェンシン類(hBD−1、hBD−2、hBD−3)は、ヒトの口腔内上皮あるいは口腔内ケラチン産生細胞で発現される。ヒトのβ−デフェンシン1(hBD−1)は、腎臓、消化管、呼吸器、口腔窩の中の重層上皮などを含む多くの上皮組織において発現されている。それらは炎症、グラム陰性菌のリポポリサッカライド、前炎症性サイトカインによって誘導される。ヒトのβ−デフェンシン2(hBD−2)とヒトのβ−デフェンシン3(hBD−3)が乾癬症患者の皮膚から分離され、正常な皮膚よりもその産生が亢進していることが示された。hBD−2もまた、口腔内上皮において発現し、その発現は炎症に依存して誘導されていた。予備的なデータでは、hBD−3も口腔内のケラチン産生細胞で発現されることが示唆されている。
正常な歯肉組織では、上記抗菌ペプチドは上部有棘細胞層、顆粒細胞層、角質層に検出されるが、とくに有棘細胞層にhBD−1とhBD−2双方のmRNAが強く発現している。最も強い発現は、歯質表面にプラークが形成されている領域や、炎症状態の歯肉溝に接した歯肉マージンに見られる。これらの位置は該ペプチドが上皮抗菌性障壁としての役割を発揮する部位に相当している。しかし、hBD−1およびhBD−2は、細胞が比較的分化していない結合上皮には検出されない。したがって、結合上皮における発現の欠如、層状上皮ではその基底層に局在すること、生体外(インビトロ)実験からの分化の知見など、これらすべてが層状上皮でのβ−デフェンシンの発現が正常な分化に依存していることを示している。
炎症を起こしていない正常な歯肉はhBD−1およびhBD−2の両方を発現している。産生物として存在する、または誘導されるβ−デフェンシンは、実質的に健康で非炎症状態でも、または炎症状態でもすべての歯肉の尖刺試料中に検出される。これらのことは、正常な表皮、気管、消化管とは対照的に、正常な非炎症状態の口腔上皮は活性化され、hBD−2を発現していることを意味している。hBD−2の亢進は、宿主本来の免疫応答のマーカー、例えばIL−8の亢進を伴わず、口腔上皮の正常な障壁作用の一部と思われる。
口腔内でのβ−デフェンシン発現の調節
現在までの証拠から、ヒトβ−デフェンシン2(hBD−2)生成がバクテリアおよび炎症性の刺激によって亢進することが示唆され、おそらくNF−κB転写因子を経て、信号が送られていると推測されている。さらに、hBD−2プロモーター領域は、3種のNF−κB結合配列を持っている。(LiuL,Zhao C,Heng HHA,Ganz T,:The human beta defensin−1 and alpha defensin are encoded by adjacent genes;two families with differing disulfide topology share a common ancestry.Genomics 1997;43;316−320.)(Liu L,Wang L,Jia HP,et al.:Structure and mapping of the human beta−defensin gene and its expression at sites of inflammation,Gene 1998;222;237−244.)そして、この信号経路は炎症性の刺激に対する細胞応答に重要である。(Kopp EB,Ghosh S,:NF−κB and Rel proteins in innate immunity,Adv Immunol 1995;58;1−27)もっとも、NF−κBを経由する経路の制御だけでは、hBD−2の転写制御を完全に説明するためには不充分である。
本発明者らは、これまでにRT−PCR(Reverse−Transcriptase Polymerization Chain Reaction)アッセイを利用して、口腔上皮細胞が、KB細胞を除きhBD−2 mRNAを発現していることを示した(Cancer Lett.143:37−43,1999)。KB細胞株は、口腔内細菌に対する感受性があるためにインビトロの歯根膜炎モデル実験にしばしば利用されている。そこで本発明者らは、本発明の研究の一環として、KB細胞におけるhBD−2 mRNAの発現喪失の原因となっている転写制御因子および転写制御配列要素について、以下のような実験によりその検索を試みた。
全DNAを抽出し、hBD−2のプロモーター領域の塩基配列を、ABI PRISM310 Genetic Analyzer(Applied Biosystem社、CA,米国)を用いて直接決定し、変異があることが明らかとなった(表1)。この領域における遺伝子変異が、hBD−2転写の喪失に関係しているか調べるためにルシフェラーゼ酵素活性アッセイ(ルシフェラーゼ発現ベクターの利用)を行った。KB細胞のプロモーターの部位はGeneEditor in vitro Site−Direct Mutagenesisにより変異から回復され、ルシフェラーゼ活性の変化を比較した。変異からの回復により、プロモーター活性を表すルシフェラーゼ活性が上昇した。また変異部位への核タンパク質(トランス因子)の結合を、細胞の核抽出液を用いてゲルシフトアッセイにより調べた。
ダイレクトシーケンス法により変異は4つの領域の部位で存在することが判明した。それらの領域は、C/EBPβ、TATA boxまたはSox5というシス配列が含まれていた。さらに遺伝子変異を有するオリゴヌクレオチドは、KB細胞からの核抽出液との結合親和性が低下していた。これらの結果は、hBD−2遺伝子プロモーターにおける配列上の変異は、KB細胞のhBD−2 mRNA発現の喪失と関係があることを示している。
炎症を起こしていない正常な歯肉では、β−デフェンシン、とりわけヒトβ−デフェンシン2(hBD−2)が常態的に発現されており、口腔上皮の正常な障壁作用の一部を構成すると思われる。しかしながら、hBD−2プロモーター領域に遺伝子変異が生じると、感染菌による侵襲に対し、hBD−2発現の亢進が充分に生起しない可能性がある。
(B)歯周疾患の罹患感受性に関する推定方法
上記の知見から、デフェンシン遺伝子の発現不全が、歯周疾患の罹患もしくはその発症に密接に関係していることが示される。翻ってその発現が不調となる可能性を、その原因である遺伝子レベルの変化、具体的には、遺伝子変異における変異塩基によるプロモーター機能の変化の検出を通じて推定することができたならば、歯周疾患の発病、進行を予測することも可能となる。このような遺伝子変異の影響は、細胞や組織における遺伝子の転写活性、例えば細胞内で転写されているmRNAの発現量を、DNAプロープを用いるノーザンブロッティングを行なって測定することによっても調べることができる。しかし、mRNA量だけでは、歯周疾患の罹患感受性を推定するためのデータとして副次的意義にとどまる。
本発明による方法は、デフェンシン遺伝子の発現制御に着目した歯周疾患の罹患感受性を推定するためのデータの収集方法である。具体的には、試料中のヒトデフェンシン遺伝子のプロモーター領域内に存在する遺伝子変異の存在および/または変異部位を検出するために、デフェンシン遺伝子プロモーターの一部であってその変異塩基を含む核酸配列をプローブ用配列として用い、
(i)試料中のデフェンシン遺伝子のプロモーター核酸配列と該プローブとの、ハイブリダイゼーションにおけるハイブリダイズ能力の程度、および/または
(ii)該プローブを含むプライマーを使用する遺伝子増幅における増幅能力を測定することを含む。このようにして検出された遺伝子変異の存在および/または変異部位に基づき、デフェンシンプロモーターによるデフェンシン発現調節能力の変化を明らかにすることを特徴としている。
検出プローブとの相同性、デフェンシン遺伝子プロモーター領域における遺伝子変異の検出および歯周疾患の罹患感受性との間を結びつける本発明の方法は、次の原理に基づく。被験者から採取された試料中のDNAあるいは増幅されたデフェンシン遺伝子由来のDNAまたはそのフラグメントが、変異配列を含む検出プローブとのハイブリダイゼーションで充分にハイブリダイズするならば、あるいは検出プローブの塩基配列を有するプライマーを用いる遺伝子増幅において増幅が良好に行われるならば、その検出プローブとは塩基配列の相同性が高いことが示される。そうした場合には、検出プローブ内の塩基配列と同様の配列が試料DNAにも含まれ、それゆえデフェンシン遺伝子プロモーター領域に遺伝子変異が含まれる可能性が高い。デフェンシン発現活性を制御する機能を担うプロモーター領域に変異塩基が含まれるならば、その発現は正常に機能せず、デフェンシン産生・分泌に影響を及ぼし、ひいては歯周疾患関連細菌の活動に介入できないためにその疾患に罹患するリスクは高まる。
デフェンシンは、ヒトデフェンシンファミリーに属するものであればよく、具体的にはα−デフェンシンでもヒトβ−デフェンシンいずれであってもよいが、β−デフェンシンが好ましい。
プロモーター活性に影響を及ぼす塩基配列の変異の検出は、上記方法によれば、該当する遺伝子の全部または一部の配列を決定する必要がないため、極めて簡便にしかも迅速に行うことができる。このことは、強調されなければならない本発明の特徴の1つである。
(C)ヒトβ−デフェンシン2
上記の方法を、特にヒトβ−デフェンシン2を例にとって、さらに具体的に以下に説明する。
試料
本発明の方法が適用される対象は、口腔内の粘膜などの組織または歯肉組織などから採取される核酸を含有する試料、血液であれば特に限定されない。
上記の血液は、通常の末梢血、動脈血、静脈血またはこれらに遠心処理等を施してから採取した有形成分、バフィコート(白血球フラクション)であってもよい。全血、血液の有形成分を対象とする場合、溶血操作を行うことが好ましい。
遺伝子またはDNAの分離
DNAは、検体から常法に従い、フェノール・クロロホルム抽出およびエタノール沈殿により、分離精製できる。核酸を遊離するために、飽和濃度に近いグアニジン塩酸塩、イソチオシアン酸塩のような高濃度カオトロピック試薬を使用することは一般的に知られている。これらカオトロピック試薬は、タンパク質を変性させ、および/または可溶化することにより、核酸の遊離を実現する。このようなカオトロピック試薬は、高い濃度で使用されることから、得られる核酸遊離液の中には遊離された核酸以外にも、タンパク質など多くの可溶性成分も含まれる。
それゆえ得られた核酸遊離液を再度精製し、可溶性タンパク質などを除去しなければ、PCR(Polymerization chain reaction)のような酵素反応に基づく核酸増幅法を適用できない。核酸遊離液の精製方法として、エタノールやイソプロピルアルコールを加えて核酸を沈澱させる方法、核酸をシリカビーズに吸着させる方法、限外ろ過、カラムクロマトグラフィーなどが例示される。
上記のフェノール−クロロホルム抽出法などを適用せず、代わりに検体を、界面活性剤を含むタンパク質分解酵素液で直接処理する方法(斉藤隆、「PCR実験マニュアル」HBJ出版局、1991年、p309)は簡便で迅速な方法である。
遺伝子の増幅およびフラグメント化
PCR法による増幅ならびに後述するDNAプローブによるスクリーニングを行なうことにより、抽出された遺伝子、DNAまたはそのフラグメントの混合物から、目的とするデフェンシン遺伝子、そのプロモーターまたはそれらのDNAフラグメントを効率的に得ることができる。増幅の際に使用するプライマーは、後記する4つのプライマーセットのすべて、または少なくとも1つのプライマーセットを適宜使用すればよい。なおこれらのプライマーセットにおいて、塩基配列が示された2つのオリゴヌクレオチドを、通常は一緒に使用する。
得られたゲノムDNAまたは遺伝子が大きい場合には、適当な制限酵素、例えばBamHI、BgLII、DraI、EcoRI、EcoRV、HindIII、PvuIIなどを用いて常法に従い、フラグメント化してもよい。スクリーニングおよび増幅の組み合わせにより、罹患感受性の推定のためのデータを収集する試料用のDNAおよびそのフラグメントの集合体を調製することができる。
図1A〜1Eは、ヒトβ−デフェンシン2遺伝子の塩基配列を示す。その塩基配列には、コーディング領域(2732位置から始まる)とともに、プロモーター領域も含まれる。当業者であれば、このような与えられた塩基配列を基にして、増幅に使用するプライマー、スクリーニングに用いるプローブなどを化学合成などにより調製し、設定することは可能である。
デフェンシン遺伝子のプロモーターにおける遺伝子変異の検出
デフェンシン発現制御の変化を調べるためには、発現制御に関わる調節遺伝子に何らかの異常が存在することを検出することが有効なアプローチとなる。具体的にはヒトのデフェンシンの遺伝子のコーディング領域よりも上流領域、すなわちプロモーター領域の塩基配列上に変異が存在するかを調べることが望ましい。図1A〜1Eには、ヒトβ−デフェンシン2遺伝子の塩基配列が示され、これにはコーディング領域(2732位置から始まる)とともに、プロモーター領域も含まれる。
ヒトβ−デフェンシン2遺伝子の変異の有無については、9種類の樹立された細胞株(Cell line)、すなわちKB細胞;ヒト鼻咽腔癌由来株化細胞、SCC−9;ヒト舌癌由来株化細胞、SAS;ヒト舌癌原発巣由来株化細胞、HSC−2;ヒトロ底癌リンパ節転移巣由来株化細胞、HSC−3;ヒト舌癌リンパ節転移巣由来株化細胞、HSC−4;ヒト舌癌リンパ節転移巣由来株化細胞、Ca9−22;ヒト下顎歯肉癌原発巣由来株化細胞、OSC−19;ヒト舌癌頚部転移巣由来株化細胞、OSC−20;ヒト舌癌頚部転移巣由来株化細胞を用いて調べた。まず上記セット1から4の4種類のプライマーセットを用いて、デフェンシンの遺伝子のうちコーディング領域よりも上流域をDNA増幅した。続いて、おのおのの増幅された範囲において遺伝子の変異を調べた。遺伝子の変異を調べる方法として、ダイレクトシークエンス法と、DNAの電気泳動において一本鎖DNAの僅かな配列の違いで移動度に差が生じることを利用して遺伝子変異の有無を調べるSSCP(single strand conformational polymorphism)法の2種類を用いた。
その結果、試料によって頻度は異なるが、プライマーセット1で増幅した範囲では−1431位置にGからCの変異が、プライマーセット2で増幅した範囲では−1035位置にGからTの変異が、−1027位置にAからGの変異が、−936位置にGからAの変異が、−923位置にCからTに変異が、−912位置にTからCの変異が、および−874位置にGからAの変異が認められた。プライマーセット3で増幅した範囲では−539位置にCからTの変異が、および−472位置にAからGの変異が認められ、プライマーセット4で増幅した範囲では−108位置にTからCの変異が認められた。
この中で、−1035位置での変異から−472位置までの変異が、β−デフェンシン2の発現を抑制することになる可能性が強く、歯肉においては、その抗菌作用を弱め、歯周疾患のリスクを高めることになるため、特に重要である。
このように遺伝子の変異がデフェンシン遺伝子プロモーター領域に存在することが明らかになった。しかもこれらの変異部分を含む領域のいくつかはいわゆるシス領域を含むために、転写調節に与える影響は大きいと考えられる。したがって変異部位を検出することによって、ヒトの口腔内においてデフェンシンなどによる抗菌作用の強さを知り、歯周疾患などバクテリアに起因する疾患の罹患感受性、あるいは発症に関するリスクを推定することが可能になった。
これらの遺伝子変異は、下記に示すようにハイブリダイゼーションにおけるマッチングの程度、あるいは遺伝子増幅における増幅能力を調べることにより検出することができる。
【発明を実施するための最良の態様】
(A)検出プローブ
上記遺伝子変異の検出に利用できるプローブは、本発明に含まれ、別の側面を形成する。
目的のDNAを効率的に検出するために、そのDNAの塩基配列を部分的に含んでハイブリダイズできる分子が、「検出プローブ」として好ましく用いられる。これは、プローブの塩基配列とDNA鎖との相補性に基づく。一般にデフェンシンの調節遺伝子であるプロモーターの塩基配列に対し、相補的な1つ以上の塩基配列を含むか、あるいは実質的に相同である塩基配列をプローブとして有用な形に設定することは、従来技術を利用することにより可能である。
これらの核酸分子は、PCRプライマーとして、あるいは実質的に相同性を有する部分を探索するためのハイブリダイゼーション・プローブとして利用することができる。ここでは「ハイブリダイゼーション・プローブ」とは、デフェンシン遺伝子のプロモーターの部分配列を有するDNAフラグメントで、ハイブリダイゼーションによる検出に用いるものを指す。
「実質的に相同」である配列には、約50%以上、例えば60%以上の配列同一性を有する配列、機能的に等価な対立遺伝子変異体の配列、および単一または複数の塩基の置換、付加、および/または削除により修飾された関連配列が包含される。
本発明が対象とする当該プロモーターは、正常型の他に、塩基が置換された変異型10種である。それらのプロモーターの塩基配列をプローブとしてそのまま使用することは長大すぎて実用的でないため、そのプロモーター配列の一部と相同であるオリゴヌクレオチドを使用する。プローブ用のオリゴヌクレオチドとして、プロモーターに存在する遺伝子変異点を中心とした上下流少なくとも5個の塩基配列部分があれば充分である。特異的なハイブリダイズを一層確実とするためには、10個以上、好ましくは15個以上の鎖長を備えていることが望ましい。
これらのプローブ用オリゴヌクレオチドは、DNAシンセサイザーによる化学合成により容易に調製することができる。さらに、このプロモーター配列の一部であるオリゴヌクレオチドに、ハイブリダイゼーション後の検出用マーカーを付すことにより、使用時の検出感度を上げることができ、ハイブリダイゼーション用プローブとして好ましく利用される。あるいは遺伝子増幅のためのプライマーとして使用できるように適切な修飾が施される。なお、上記プローブの配列と実質的に相同な配列あるいは機能的に等価な配列とハイブリダイズする核酸分子もまた、本発明の範囲に含まれる。
ヒトβ−デフェンシン2遺伝子のプロモーター領域に変異塩基が存在する変異型を検出するために用いられるオリゴヌクレオチドは、次のような配列を有するものである。該プロモーター塩基配列のうちで、好ましくは変異塩基部位を中心とした上下流おのおの少なくとも5個の塩基配列、あるいは変異部位を3'末端とする少なくとも10個の塩基からなる塩基配列を含むことを特徴とする核酸配列として、以下の本発明に係る塩基配列が挙げられる。
プライマーセット 1:
【数9】
により増幅されるDNA塩基配列(図1Bの塩基配列で、1176〜1606の配列部分)で、ヒトβ−デフェンシン2遺伝子の転写開始点より上流の部位、−1431(変異部位1)がGからCに変異したDNA塩基配列、
および/または
プライマーセット 2:
【数10】
により増幅されるDNA塩基配列(図1Bの塩基配列で、1561〜2031の配列部分)で、部位−1035(変異部位2−1)がGからTに変異したDNA塩基配列および/または部位−1027(変異部位2−2)がAからGに変異したDNA塩基配列および/または部位−936(変異部位2−3)がGからAに変異したDNA塩基配列および/または部位−923(変異部位2−4)がCからTに変異したDNA塩基配列
および/または
同じプライマーセットにより増幅されるDNA塩基配列で(図1Bの塩基配列で、1561〜2031の配列部分)、部位−912(変異部位2−5)がTからCに変異したDNA塩基配列および/または部位−874(変異部位2−6)がGからAに変異したDNA塩基配列、
および/または
プライマーセット 3:
【数11】
により増幅されるDNA塩基配列(図1B、1Cの塩基配列で、1987〜2470の配列部分)で、部位−539(変異部位3−1)がCからTに変異したDNA塩基配列および/または部位−472(変異部位3−2)がAからGに変異したDNA塩基配列、
および/または
プライマーセット 4:
【数12】
により増幅されるDNA塩基配列(図1Cの塩基配列で、2421〜2760の配列部分)で、部位−108(変異部位4)がTからCに変異したDNA塩基配列。
これらのプローブ用核酸は、DNAシンセサイザーにより化学合成できる。さらにこれらの塩基配列を、ハイブリダイゼーション・プローブとしてまたは遺伝子増幅用のプライマーとして使用するために、好ましくは、常法に従って、検出用および/または増幅用のマーカーを付し、さらに取り扱いに便利な形態に修飾される。
通常プローブは、放射性アイソトープか、より好ましくは蛍光色素、化学発光用色素など非アイソトープの検出マーカーを利用して、5'末端ラベル、ニックトランスレーション法、ランダムプライマー法などにより標識することができる。より具体的には、アルカリホスファターゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)酵素を標識して化学発光法により、あるいはフィコエリスリン(Phycoerythrin)、フルオレセイン(FITC)といった蛍光標識を用いる蛍光法により、高感度の検出が可能となる。
上記プローブとハイブリダイズしたDNAを効率よく分離し検出できるように、好ましくは該プローブを固相支持体に固定化する手法が一般に用いられる。一例を示すならば、適当な検出マーカーを付したプローブをビオチン化し、これをビーズ、プレート、シート、メンブレン、フィルターなどの適当な固相に付したストレプトアビジンに結合させることにより固定化できる。ビーズとしてマグネットビーズを用いれば、操作上さらに好都合である。
本発明では、さらに上記プローブのほかに、必要により「DNAプローブ」を使用してもよい。かかるプローブも、上記検出プローブの概念に包含されるものである。具体的には、DNAプローブは、デフェンシンのプロモーターとハイブリダイズすることができるように、それらの配列と相補的な塩基配列を有するDNA断片またはそれを含む誘導体である。しかしながら、DNAプローブとハイブリダイゼーション・プローブとは、含有する塩基配列は同じであるか、一部重複していてもよい。
このDNAプローブは、ゲノムライブラリーまたはDNAライブラリーから、ハイブリダイゼーションにより目的DNAの検索に使用される。本発明では、DNAプローブは検体より得たDNA混合物から、デフェンシン遺伝子を含むDNAを特異的に検索する際に利用される。
なお、上記核酸プローブ(検出プローブ、DNAプローブなど)は、図1A〜1Eの塩基配列に基づき、DNAシンセサイザーによる化学合成、PCRによる遺伝子増幅技術など公知の技術を利用して調製し、プローブとして有用な塩基配列を設定することは、当業者には自明である。
(B)歯周疾患の罹患感受性の推定用データの収集
DNA試料の調製
細胞を含む組織から、上記のように遺伝子またはDNAを抽出し、増幅およびスクリーニングを行なって得られたDNAおよびそのフラグメント混合物を以下の分析試料とする。遺伝子またはDNA量が微量で不足する場合、または標的DNA(デフェンシン遺伝子プロモーター領域に由来し、変異部位の配列を含むDNA)の量が微量で解析に不足する場合には、適当に増幅すればよい。なお、得られたDNAが大きい場合には、適当な制限酵素などを用いてさらにフラグメント化してもよい。
ハイブリダイゼーションによる推定用データの作成
ヒトデフェンシン遺伝子プロモーター領域の遺伝子変異を含有する上記ハイブリダイゼーション・プローブと、測定対象となるDNA試料(歯周疾患の罹患感受性を調べる被験者から得た検体より調製したDNAおよびそのフラグメント混合物)中に含まれるヒトデフェンシン遺伝子プロモーター領域DNAとの間の相同性を調べる手法として、次のサザン・ハイブリダイゼーションが用いられる。
サザン解析におけるハイブリダイゼーション
標識された「ハイブリダイゼーション・プローブ」を、適当な解析用のプレート、スライドまたはニトロセルロース膜上にある試料の標的DNA(デフェンシン遺伝子プロモーター領域に由来し、変異部位の配列を含むDNA)とストリンジェントな条件下でハイブリダイズさせる。あるいは、逆にプレート、チップなどにあらかじめ固定されている標識プローブに試料DNAを反応させてもよい。ハイブリダイゼーションは、セルロース膜、ニトロセルロース膜、ナイロンメンブレンフィルターなどの適当な固相担体上でおこなうことができる。
ここでいう「ストリンジェントな条件」とは、いわゆる特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない(換言すると、配列相同性の低いポリヌクレオチドとのクロスハイブリダイゼーションが有意に生じない)条件をいう。特異的なハイブリッドとは、「ハイブリダイゼーション・プローブ」の大多数が、標的DNAの相補的配列において、典型的なワトソン・クリック型の塩基対を正しく形成することである。この場合、塩基の変異により塩基対のミスマッチを引き起こしている部分が存在する場合には、ハイブリダイズが起きにくいようになっていなければならない。この条件を一般的に数値として明確にすることは困難であり、実際の系で具体的に条件(反応温度、塩濃度など)を個々に設定する。
一例を示せば、配列相同性が高いDNA同士、例えば90%以上の相同性を有するDNA同士がハイブリダイズし、それより相同性が低いDNA同士がハイブリダイズしない条件、あるいは通常のサザン・ハイブリダイゼーションの「洗浄」の条件に相当するSSC塩濃度(SSC;Standard Saline Citrateの略で、0.15M NaCl,0.015Mクエン酸ナトリウムpH7.2を意味する。)でハイブリダイズする条件が挙げられる。
特に考慮しなければならない条件として、温度、陰イオン濃度などが挙げられる。反応温度は、通常DNAのメルト温度より15〜25℃低い温度が至適とされているが、ハイブリッドの形成は核酸の種類、長さなどにより影響を受けるため、好適な条件を個々に設定する必要がある。また、陰イオン濃度によっても影響されるため、塩化ナトリウム濃度で、例えば0.15から1Mの範囲で調整する。
サザン・ハイブリダイゼーションは、DNAを制限酵素で切断して得られたDNAフラグメントおよび/または試料から採取したDNAについて、アガロースゲル電気泳動(1kb以下のフラグメントの場合には、ポリアクリルアミドゲル電気泳動が適する。)を実施し、ゲル上にあるDNAをメンブレンフィルター(主にニトロセルロースフィルター)に固定する。この際ゲルをアルカリ(例えば、水酸化ナトリウム)で処理することによりゲル中でDNAの変性も行う。アスピレーターなどによって吸引することにより、DNAはゲルからフィルター上に移動して固定される。適当な標識を有する上記ハイブリダイゼーション・プローブをふりかける。フィルターを洗浄して遊離したままのハイブリダイゼーション・プローブを除去する。
ハイブリダイズしたプローブの量を標識(マーカー)の分析により定量する。蛍光色素による標識の場合にはスキャナーにかけて、プローブの蛍光強度をレーザー光線などで走査して数値化すればよい。化学発光による標識の場合も発光量を定量化すればよい。放射性同位元素で標識した場合には、オートラジオグラフィーもしくはシンチレーションカウンターにより結合量を測定する。対照として、変異していないDNAを用いればよい。
試料中にあった標的DNA(デフェンシン遺伝子プロモーター領域に由来し、変異部位の配列を含むDNA)と、ヒトデフェンシン遺伝子プロモーター領域の遺伝子変異を含有する上記ハイブリダイゼーション・プローブとのハイブリダイズ形成の程度もしくは強度は、検出手段により提示される固有信号を、電気的強度に変換して最終的に数値化されたハイブリダイゼーションの規模もしくは強さにより表示される。これに基づき、試料中にあった標的DNAは、以下の3群に大別できる。このようなハイブリダイゼーション分析は、検体中にあった標的DNAと変異型プロモーターとの相同性を示すものであることから、直接、塩基配列決定を実施して比較する面倒な方法と違い、迅速かつ簡便にプロモーター部分の変異の存在を検出することが可能である。プロモーター領域での変異の有無はデフェンシンの発現能力と関わることから、その検出に基づいて将来的な歯周疾患への感受性を予測することができる。
(i)低リスク型
標的DNA(デフェンシン遺伝子プロモーター領域に由来し、変異部位の配列を含むDNA)が、ヒトデフェンシン遺伝子プロモーター領域の遺伝子変異を含有する上記ハイブリダイゼーション・プローブとはハイブリダイズしにくいが、正常型の核酸配列を有するハイブリダイゼーション・プローブとはハイブリダイズする。そうした場合のプロモーター部分には変異はほとんどないと考えられ、この場合の標的DNAは今後デフェンシンが正常に発現されるため低リスクに分類することができる。
(ii)高リスク型
標的DNAが、ヒトデフェンシン遺伝子プロモーター領域の遺伝子変異を含有する上記ハイブリダイゼーション・プローブのいずれかとハイブリダイズする。そうした標的DNAはプロモーター部分に何らかの変異が存在すると考えられ、今後デフェンシンが正常に発現される可能性が高くないため高リスクに分類することができる。
(iii)未確定型
標的DNAがヒトデフェンシン遺伝子プロモーター領域の遺伝子変異を含有する上記ハイブリダイゼーション・プローブのみならず、正常型の核酸配列を有するハイブリダイゼーション・プローブとも実質的にハイブリダイズしないことがある。すなわち、これはプロモーター部分の変異に関する情報は与えないため、上記の(i)(ii)のいずれにも分類することができない群である。
増幅法による推定用データの収集
遺伝子増幅法は、テンプレートDNA(鋳型DNA)と相補的な配列を有するプライマーを使用する。このためプライマーの種類によりその増幅効率が大きく変動する。この点に着目し、デフェンシン遺伝子プロモーターにおける変異塩基を含む塩基配列を含有するプライマーを作成する。このプライマーには、前記DNAプローブが用いられる。このプライマーとともに検体から得られたDNA試料(歯周疾患の罹患感受性を調べる被験者から得た検体より調製したDNAおよびそのフラグメント混合物)をテンプレートDNAとして遺伝子増幅法による増幅を行うことにより、その増幅結果から推定用データを得ることができる。具体的には見出された変異型のいずれかの配列を含ませたプライマーを使用して増幅を行う。正常型の配列を有するDNA試料では、正常型の配列を含むプライマーを使用した場合と比較すると、正常型テンプレートと変異型のプライマーとの相補性が少ないことに起因してその増幅効率が低下するという結果を与える。このような遺伝子変異を分析するための一般的なPCR技術が報告されている(S.Kwokmら、Nucl.Acids Res.18:999−1005,1990)。
変異を検出するために、上記のように変異部位を組み込んだプライマーを用いる以外に、さらに別のプライマーを用いて増幅効率を調べるというアレル特異的(allele specific)PCR法を行なうこともできる。
染色体遺伝子は両親に由来するため、母親由来のものと父親由来のものとが存在する。この双方が同じものをホモ、異なるものをヘテロと呼ぶ。そのうち、頻度が高い遺伝子型をアレル1(正常型)、頻度が低いものをアレル2(変異型)とする。アレル1(正常型)には反応せずにアレル2(変異型)に反応する、あるいはその逆にアレル2(変異型)には反応せずにアレル1(正常型)に反応するというように遺伝子型に特異的にPCR(アレル特異的PCR)を行なうと、PCRによる増幅が高効率で行なえるか否かによって、その遺伝子型がアレル1であるかアレル2であるかを決定できる。
アレル特異的PCRには、アレル1(正常型)、アレル2(変異型)双方に共通のプライマー(アレル共通プライマー)と、各々のアレルに特異的なプライマー(アレル特異的プライマー)の2種類、計3種類を組み合わせて用いることになる。アレルに特異的なプライマーには、アレル1(正常型)および/またはアレル2(変異型)の変異部分を含むオリゴヌクレオチド、より好ましくは、アレル1(正常型)および/またはアレル2(変異型)の変異部分に相当する部位を3'末端とするオリゴヌクレオチドを用いることが必要であり、その各々の長さは10以上30以下の程度が好ましい。またアレル1(正常型)とアレル2(変異型)とを識別するには、アレル2(変異型)検出用プライマーは、アレル1(正常型)検出用プライマーよりも長くすることが精度を高めるために有用である。
そのような例として、次のようなプライマーセットを挙げることができる。
−1027部位検出用プライマーセット
共通プライマー
【数13】
変異型検出用プライマー
【数14】
正常型検出用プライマー
【数15】
−912部位検出用プライマーセット
共通プライマー
【数16】
変異型検出用プライマー
【数17】
正常型検出用プライマー
【数18】
−874部位検出用プライマーセット
共通プライマー
【数19】
変異型検出用プライマー
【数20】
正常型検出用プライマー
【数21】
allele specific PCR法において、3'末端に変異位置の変異型の塩基または正常型の塩基をもつ2種類のプライマーと1種類の共通プライマーとでPCRを行ない、ヘテロの場合にはどちらのプライマーを使っても同じ増幅効率が見られ、ホモの場合はどちらかのプライマーで増幅効率が低下することなる。
これらのプライマーを用いて「ライトサイクラー」(Roche Diagnostic社)などを利用し、増幅がどの程度行なえるかを調べることにより、遺伝子のDNA塩基配列のホモ、ヘテロの識別をも可能となる。
したがって、allele specific PCR法によれば、ホモ、ヘテロの識別が可能となり、前記のハイブリダイゼーション法によるよりも短時間に詳細な遺伝子解析が行え、抗菌性の能力がより確実に判定できることとなり、本発明の好ましい実施態様の一つを構成する。
核酸増幅検査(NAT;nucleic acid amplification test)として、例えば、ロシュ(株)社のPCR(Polymerization chain reaction)法、ジェン・プローブ社のTMA(Transcription Mediated amplification−hybridization protection assay)法、アボット(株)社のLCR(Ligase chain reaction)法、栄研化学(株)社のLAMP(Loop−mediated isothermal amplification of DNA)法、宝酒造(株)社のICAN(Isothermal and chimeric primer−initiated amplification of nucleic acid)等を利用することができる。
通常プライマーは、15〜40個、好ましくは15〜30個前後の核酸塩基からなるオリゴヌクレオチドが使用されるが、これらのプライマー用オリゴヌクレオチドは、DNAシンセサイザーによる化学合成により容易に調製することができる。本発明の好適なプライマーの例として、上記に掲げた変異部位を含むプライマーセット1〜4により増幅される範囲が、PCR技術を利用した遺伝子変異分析用のプライマーとして、適宜使用することができる(なお、これらのプライマーセットは、通常は、塩基配列が示された2つのオリゴヌクレオチドを一緒に使用する。)。これらのプライマーセットおよびこれらの配列を含むプライマー用オリゴヌクレオチドは本発明の範囲に包含される。
これらの遺伝子増幅のおける具体的な操作は、製造者の指示に従って、必要ならば好適な条件を設定することにより当業者であればルーチンにおこなうことができる。DNA増幅の程度は、増幅産物をアガロースゲル電気泳動にかけて、エチジウムブロミドによる蛍光検出などにより決定される。泳動バンドの濃度を簡便には増幅の有無について目視推定してもよく、精確にはデンシトメーターで走査して数値化することによる。
またPCR装置「ライトサイクラー」(Roche Diagnostic社)を用いれば増幅反応時に増幅の有無またはその程度を数値化することが可能であり、有用である。
上記ハイブリダイゼーションの場合と同様に、DNA増幅が高いと、標的DNA(デフェンシン遺伝子プロモーター領域に由来し、変異部位の配列を含むDNA)は、変異ヌクレオチドを含むプライマーによく適合している、換言すると相補性が高いために変異型プロモーターとの高い配列相同性を示すものである。増幅効率の比較から、試料中にあるプロモーターDNAの変異の存在を検出することができる。このような変異の存在は、デフェンシンの発現能力と関わることから、これに基づいて将来的な歯周疾患の発病リスクを予測することができ、次のように便宜的に2群に分類することができる。
(i)低リスク型
この型には、テンプレートDNAに対し、ヒトデフェンシン遺伝子プロモーター領域の遺伝子変異を含有する核酸配列を含むプライマーを用いたとき、実質的に遺伝子増幅が行われないか、増幅の量が少ない場合が該当する。これはテンプレートDNAである試料中の核酸配列が、変異型配列を含むプライマーとよく適合しないためである。したがって、この場合の試料遺伝子のプロモーター部分に変異はほとんどないと考えられ、今後デフェンシンが正常に発現されるため低リスクに分類することができる。
(ii)高リスク型
(i)とは逆に、ヒトデフェンシン遺伝子プロモーター領域の遺伝子変異を含有する核酸配列を含むプライマーを用いたとき、遺伝子増幅が充分に行われる場合である。テンプレートDNAである試料中の核酸配列が、変異型配列を含むプライマーとよく適合するためである。プロモーター部分に何らかの変異が存在すると考えられ、今後デフェンシンが正常に発現される可能性が高くないため高リスクに分類することができる。
混合法
歯周疾患の罹患感受性の推定用データの収集方法として、必ずしも上記の2つの方法に限定されない。ハイブリダイゼーション法とPCR遺伝子増幅法とを組み合わせたもので、関心のあるDNA配列上の遺伝子変異を検出し同定する手法も利用することができる。その詳細は、公開特許公報2001−57892号に開示されている。
また、変異部位を含む範囲を配列に有するDNAを、DNAプローブを用いるスクリーニングにより得てから、これをPCR法により増幅し、得られた増幅産物をゲル電気泳動にかけて、DNAの移動度の違いから、変異の有無を調べる方法も用いることができる。
推定
上記の方法によって得られたデータを基に、歯周疾患罹患についての感受性の推定が行われる。その場合に用いられるデータは、上記のいずれか1つの方法を用いて得たデータであってもよいし、何通りかの方法を併用して得られたデータであってもよい。罹患感受性の推定は、下記のデータ処理システムを利用することにより効率よく行うことができる。
歯周疾患の罹患リスクの推定は、最終的には医師により他の臨床データ、被験者個々の事情(年齢、性別、既往歴、齲歯の存在、歯肉の状態、生活習慣など)も総合的に勘案してなされる。そうした判断に基づく予測は、一層信頼度を増すこととなる。
(c)検査試薬類
本発明に係る歯周疾患罹患の感受性を推定するためのキットは、ヒトデフェンシン遺伝子のプロモーター領域変異型を検出するために、少なくとも上記のプローブ用核酸配列から選択される核酸配列を含むものをプローブとして少なくとも1種有し、さらに必要に応じて上記プライマーを含むことを特徴としている。
本発明は具体的には、上記検出方法を実施するために必要とされる各種資材、すなわちハイブリダイゼーションを実施するためのプローブ類、試薬および/または遺伝子増幅を実施するためのプライマー類、試薬を含むキットを提供する。
このようなキットは、さらに必要に応じて他の試薬類、検査材料などの組み合わせの態様であってもよい。例えば、試料検体から核酸を分離するために使用される試薬類、およびマイクロタイタープレート、ハイブリダイゼーション用具、PCR用具などの器材一式などをキット要素とすることもできる。これらの試薬の中には、上記プローブ類以外に、プライマー、各種酵素類、緩衝液、洗浄液、溶解液なども含まれる。さらに、必要に応じて電気泳動装置、検出手段をキットに組み入れてもよい。もっとも、すでに使用されている汎用型のこれらの装置を使用するのが一般的である。
DNAチップ
上記ハイブリダイゼーションまたは遺伝子増幅法のいずれを用いるにしても、多くの処理を経て進められる多段階からなる分析である。このため、検体の処理条件、分析条件、検出条件を均一化したり、測定誤差・操作のブレなど検査精度の管理、変質・汚染の問題などを解消したり、さらに処理・分析・解析の迅速化、簡便化を図るためには、これらすべての操作を同一のプレート上で行うDNAチップの形で推定用データの収集が行うことが実現できれば、習熟、データのバラツキなども回避され、データの精度も改善される。また上記キットを使用してもこれらの問題はかなりの部分において解決されるが、チップ化すればキットのように多数の試薬、機材などを取り扱う煩雑さからも解放される。
本発明は、少なくとも上記のプローブ用核酸配列から選択される核酸配列のプローブを少なくとも1種組み込んでおり、さらに必要に応じて上記プライマーを有することを特徴とする、DNAチップを提供する。
特に好適な態様の1つとしてのDNAチップとは、前記キットのうち必須の試薬および成分類を一つの担体に収容し、検体をチップ上の所定の区画にある穴に適用すれば、その中の核酸分離から検出信号の発信までを同一担体で行うことができることを特徴とするDNAチップである。すなわち、遺伝子発現のプロファイルとして、本発明の方法においては、多数のDNA断片を固相基盤上に固定する必要はなく、むしろ試料からのDNA抽出・精製作業の工程、DNA増幅工程を組み込むことが望ましい。好ましくは、これらの工程と、ハイブリダイゼーション工程および/または増幅反応工程、ならびに検出工程とを1つのチップ上に組み込んだものである。これはアフィメトリクス型でもスタンフォード型のいずれも用い得る。
さらに別の態様として、多数の疾病検索用のDNAマイクロアレイまたはDNAチップにも応用できる。DNAチップは、本来は大多数(数千〜数万個)のDNAと大容量のデータ処理を身上とするツールであるため、β−デフェンシン2のみならず複数の疾患関連遺伝子について適用するならば、多数の遺伝子発現に関する情報を網羅的に解析することが可能であるために、包括的に疾患を追跡する観点からの遺伝子発現モニタリングの形態であってもよい。
データ処理システム
本発明に係るシステムは、上記キットまたはDNAチップから得られる信号についての数値化されたものを取り込み、ファイルを作成し、コンピュータ上の所定のディレクトリに保存する。数値データを統計的に処理し、ヒトβ−デフェンシン2プロモーターによるβ−デフェンシン2発現調節能力を調べ、歯周疾患の罹患感受性を推定することができるシステムである。データ処理は、必要な補正、正規化を経て、統計的解析を可能とする好適なソフトウェアを使用して行われる。このようなデータ処理のためのシステム構築は、当業者であれば既存の技術、方式、手順を利用して行うことができる。
データは、連続量であってもよく、離散的な定性的データであってもかまわない。これらは、適切な統計的手法を用いて処理される。単純で容易に行い得る方式は、正常な核酸配列の場合との比較であり、これを対照として用いることに基づく。
臨床データの集積あるいは他の臨床データとの組み合わせに基づくデータ処理により、相関性指標の信頼性を増すことができるならば、発症確率の精度を向上させることは可能である。発症予測の的中率として最低で5割、望ましくは7割程度あれば、一般的には臨床現場で充分に実用性が確保されると考えられる。
本発明によれば、歯周疾患のキー物質ともいうべきデフェンシン発現を調節制御するデフェンシン遺伝子プロモーターにおける遺伝子変異が同定されたため、これを利用して簡便、迅速かつ安価にそのプロモーター能力を測定することが可能となった。
デフェンシン発現能力を、デフェンシン遺伝子プロモーター部位の変異の検出に基づいて予測するため、将来的な歯周疾患の発病可能性を、精度よく予測することが可能である。
本発明による方法を利用することにより、歯周疾患の予防的観点からのテーラーメード治療が実現可能となる。
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいてさらに説明するが、本発明の範囲は、これらの記載に限定されるものではない。
[実施例1]
・βデフェンシン2プロモーター領域における遺伝子変異についてダイレクトシークエンス法による検索
前記9種類の培養細胞からDNAの抽出を行なった。培養細胞からの抽出はSepa Gene(三光純薬)にて行なった。抽出されたDNAをAmpliTaq Gold Master Mix(ABI PRISM)を用い、Thermalcycler(TaKaRa)にて遺伝子増幅を行なった。プライマーには変異部位を含む配列を構成するオリゴヌクレオチドで、コアとなる40個前後の塩基配列(即ち、4種類の上記プライマーセット)を用いた。その後、SeePlaque agarose(1.5% Agarose gel)(BMA)で電気泳動を行ない、バンドを切り出し65℃にてゲル溶解後、再度同様の方法でPCRによる増幅を行なった。このPCR産物をNuSieve 3:1 agarose(1.5% Agarose gel)(BMA)で再度電気泳動をして、バンドを切り出した後、QIAEX II Gel Extraction Kit(QIAGEN)にてDNAを抽出した。その後、Big Dye Terminators Cycle Sequecing Ready Reaction Kit(ABI PRISM)にて反応させ、カラムによる精製、真空凍結乾後、ホルムアミド(ABI PRISM)で溶解した。95℃で5分熱変性し、急冷した後、オートシークエンサーABI 310Genetic Analyzer(ABI PRISM)にてシークエンシングを行なった。上記シークエンシングの結果から表1に示す遺伝子変異があることを認めた。
【表1】
[実施例2]
・SSCP法による検索
前記9種類の培養細胞からDNAの抽出を行なった。培養細胞からの抽出はSepa Gene(三光純薬)にて行なった。抽出されたDNAをAmpliTaq Gold Master Mix(ABI PRISM)を用い、FITC標識のプライマー(ダイレクトシークエンスの時と同じプライマーにFITCを標識したもので、同じく4種類。)でThermalcycler(TaKaRa)にて遺伝子増幅を行なった。このPCR産物の一部をNuSieve 3:1 agarose(1.5% Agarose gel)(BMA)で電気泳動をして、シングルバンドであることを確認した後、PCR産物を95℃で5分熱変性し、急冷した。これを6%Long Ranger Gel Solution(BMA)で作成したゲルで電気泳動を行なった。その後、FMBIO ReadImage(FMBIO Analysis V8.0)一本鎖DNAのバンドの位置の違いから遺伝子変異の有無について検討した。
その結果、バンドの位置の違いが認められ、表1に示す遺伝子変異があることがわかった。
[実施例3]
・ダイレクトシークエンス法によるヒトの遺伝子変異の検索
遺伝子の採取および検査に同意した被験者61人の頬内側の粘膜から遺伝子を採取し、そのシークエンシングを行なった。
実施例1において、培養細胞の代わりに、ヒトの頬内側の粘膜を綿棒で擦り、QIAamp DNA Mini Kit(QIAGEN)により得られた細胞を用いた以外は、実施例1と同様に操作を行なった。
上記シークエンシングの結果から、次の表2に示す遺伝子変異が存在することを認めた。
【表2】
[実施例4]
・ダイレクトシークエンス法によるヒトの遺伝子変異の検索
遺伝子の採取および検査に同意した被験者55人の頬内側の粘膜から遺伝子を採取し、そのシークエンシングを行なった。
実施例1において、培養細胞の代わりに、ヒトの頬内側の粘膜を綿棒で擦り、QIAamp DNA Mini Kit(QIAGEN)により得られた細胞を用いた以外は、実施例1と同様に操作を行なった。
その結果、シーケンサーのシグナルの高さが、他の部位に比べて50〜90%と小さい部位を見出した。そこでその部位について、A、T、G、Cの各塩基の高さを調べ、その高さが第2順位である塩基は第1順位の塩基とともに遺伝子の塩基配列の同位置に含まれると判断した。その部位と塩基および55検体中の出現数を表3に示す。
[実施例5]
・allele specific PCR法によるヒトの遺伝子変異の検索
遺伝子の採取および検査に同意した被験者55人の頬内側の粘膜から遺伝子を採取し、その遺伝子変異の有無をallele specific PCRを用いて検索した。本方法の詳細は次の文献に記載されている:Hamajima,N.,Saito,T.,Matsuo,K.,Kozaki,K.,Takahashi,T.,Tajima,K.,「多型性の遺伝子タイピングのための対向2ペアプライマーによるPCR」,Japanese Journal of Cancer Research,91巻,9号,p865−868(2000年)
DNAの採取は、実施例1において、培養細胞の代わりに、ヒトの頬内側の粘膜を綿棒で擦り、QIAamp DNA Mini Kit(QIAGEN)により得られた細胞を用いた以外は、実施例1と同様に操作を行なった。
得られたDNA0.005μg/μlに、Light Cycler Kit DNA(Roche Diagnostic社)、QuantiTect SYBR Green PCR(Roche Diagnostic社)を用いて表4に示すPCR反応条件下で、「ライトサイクラー」(Roche Diagnostic社)により、−1027、−912、−874の各位置の塩基を検出するためのプライマーセットを各々、別個に反応させた。
その増幅度合いの経時変化から表3に示す、−1027、−912、−874の位置のアレルの塩基と出現数が確認できた。
その結果、表3に示す変異形式が存在することを確認できた。
【表3】
【表4】
−1027部位検出用プライマーセット
【数22】
−912部位検出用プライマーセット
【数23】
−874部位検出用プライマーセット
【数24】
[実施例6]
・ルシフェラーゼ酵素活性アッセイ(Luciferase reporter assay)
KB細胞のプロモーター遺伝子の−1027の位置、あるいは−472の位置に変異を持つものに対し、下記のプライマーセットおよびGeneEditor in vitro Site−Direct Mutagenesis(invitrogen,CA)をその使用説明書に従って使用し、−1027の位置、あるいは−472の位置の変異を正常に置換した遺伝子を調製した。
−1027用のプライマーセット:
【数25】
−472用のプライマーセット:
【数26】
この遺伝子部分を含む転写開始点上流1.2kbpとluciferase gene constructのプライマーセット:
【数27】
とで、ルシフェラーゼベクターpGL3−Basic Vector(Promega)に組み込み、それぞれKB細胞に導入し、ルシフェラーゼ活性を測定した。KB細胞のプロモーター遺伝子の−1027の位置、あるいは−472の位置に変異を持つものに対してもルシフェラーゼ活性を測定した。
ルシフェラーゼ活性の測定は、それぞれ遺伝子導入した細胞からタンパク質を抽出し、ルミノメーター(Mini lumat LB9506、Berthold Technolgies GmbH、ドイツ)により計測した。ルミノメーターで蛍光が検出された場合には、プロモーター領域に転写活性があると判断される。
この結果、−1027の位置および−472の位置の変異を正常に戻すと、変異のある遺伝子ではなかったルシフェラーゼ活性が回復し、とくに−1027の位置の変異を正常に戻すと顕著に転写活性が回復することがわかった。したがって、この部位の変異がデフェンシン2の発現を特に阻害することがわかった。
【図面の簡単な説明】
図1Aは、ヒトβ−デフェンシン2遺伝子の塩基配列の一部(1020個の塩基を示す。)を表す。
図1Bは、図1Aの続きであり、ヒトβ−デフェンシン2遺伝子の塩基配列の一部(1020個の塩基)を示す。
図1Cは、図1Bの続きであり、ヒトβ−デフェンシン2遺伝子の塩基配列の一部(1020個の塩基)を示す。
図1Dは、図1Cの続きであり、ヒトβ−デフェンシン2遺伝子の塩基配列の一部(1020個の塩基)を示す。
図1Eは、図1Dの続きであり、ヒトβ−デフェンシン2遺伝子の塩基配列の一部(719個の塩基)を示す。
Claims (6)
- 試料中のヒトβ−デフェンシン2遺伝子のプロモーター領域内に存在する、ヒトβ−デフェンシン2遺伝子の転写開始点より上流の部位、−1027がAからGに変異した遺伝子変異あるいは−472がAからGに変異した遺伝子変異の存在および/またはこれらの変異部位を検出するために、β−デフェンシン2遺伝子のプロモーターの一部であって変異塩基を含む塩基配列からなるプローブを用い、
(i)試料中のβ−デフェンシン2遺伝子プロモーター配列と該プローブとのハイブリダイゼーションにおけるハイブリダイズの部位、および/または
(ii)該プローブの塩基配列を含むプライマーを使用する遺伝子増幅における増幅能力を測定することを含み、
このようにして検出された遺伝子変異の存在および/または変異部位に基づき、ヒトβ−デフェンシン2プロモーターによるβ−デフェンシン2遺伝子の発現調節能力の変化を明らかにするデータの収集方法であって、
前記プローブの塩基配列が、ヒトβ−デフェンシン2遺伝子のプロモーター領域のDNA配列のうち、
プライマーセット 2:
および/または
プライマーセット 3:
- ヒトβ−デフェンシン2遺伝子のプロモーター領域変異型を検出するために用いられ、歯周病疾患の罹患感受性の推定用データを得るためのプローブであって、
該プロモーターの塩基配列のうちで、当該塩基配列が、ヒトβ−デフェンシン2遺伝子のプロモーター領域のDNA配列のうち、
プライマーセット 2:
および/または
プライマーセット 3:
- 請求項2に記載のプローブの塩基配列を有し、遺伝子増幅における増幅能力を測定するために使用されるプライマー。
- ヒトデフェンシン遺伝子2のプロモーター領域変異型を検出するために、請求項2に記載のプローブを含むことを特徴とする、歯周疾患罹患の感受性を推定するためのキット。
- 請求項2に記載のプローブが組み込まれていることを特徴とするヒトβ―デフェンシン2遺伝子のプロモーター領域変異型を検出するために用いられ、歯周病疾患の罹患感受性の推定用データを得るためのDNAチップ。
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