JP4343405B2 - 振動モータ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、時計等の電子機器に使われる振動モータの構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
特に腕時計を振動させ該腕時計の使用者に振動でアラームを報知する従来の振動アラーム付腕時計においては、振動アラーム用に振動モータが使われているが、該振動モータは腕に振動を伝えるに十分な振動を発生しなければならないので、そのサイズは、腕時計に入れられるぎりぎりの大きさまでになっている。それゆえに、振動モータ付腕時計にさらに機能を付加しようとしても、その機能のための素子(たとえば、近距離無線通信技術であるbluetoothを使って携帯電話の着信を前記腕時計の使用者に振動モータの振動で報知する機能のための通信モジュールとそのアンテナ)を搭載できるスペースを腕時計内に確保できない。そこで、振動モータ付腕時計にさらに機能を付加できるためには、振動モータのさらなる小型化が不可欠である。
【0003】
まず、本出願人による出願の特開平6−235777号公報に開示されている従来の振動モータの構造について説明する。図2は従来の第1の振動モータを示し、(a)は平面図、(b)は(a)の直線B−B断面図である。図2に示す従来の第1の振動モータ11は、ロータ軸2bを有する2極の永久磁石2aから成るロータ2と、該ロータ2が入り、該ロータを保持する保持トルクを発生するための2個の段差13bを有するロータ穴13aを有し該ロータ2に磁気結合する板状の2極で2個のスリット13cを有する二体のステータ13と、該ステータ13に2個のネジ6によって固定され、ワイヤーを巻回したコイル14から成り、前記ロータ軸2bには偏心重り5が固着されている。前記コイル14は、直線状の巻心17に電気的絶縁テープ(図は省略)を巻き、また、両端に2個の巻枠14bを差し込み、その上から通常のワイヤーを一様に巻回して形成された直線状コイルである。なお、図2(a)、(b)において、ロータ軸2aの軸受けは省略してある。
【0004】
図2(b)の直線B−B断面図に示すように、前記偏心重り5は、ステータ13のエッジ13dからコイル14側に突き出ているおり、コイル14と干渉しないようにロータ軸2bに固着されるので、平面図(a)に示すように、ステータ13とコイル14間にスペース18aが生じる。コイル14はスペース18aにワイヤーを巻回していないので、その分コイル長方向18bに長く巻回することにより、振動モータ11はコイル長方向18bに長くなっていた。
【0005】
図3は従来の第2の振動モータを示し、(a)は平面図、(b)は(a)の直線C−C断面図である。図3に示す従来の第2の振動モータ11aは、従来の第1の振動モータ11と同様に、ロータ軸2bを有する2極の永久磁石2aから成るロータ2と、該ロータ2が入り、該ロータ2を保持する保持トルクを発生するための2個の段差23bを有するロータ穴23aを有し該ロータ2に磁気結合する板状の2極で2個のスリット23cを有する二体のステータ23と、該ステータ23に2個のネジ6によって固定されたコイル19から成り、ロータ軸2bには偏心重り20が固着されている。前記コイル19は、直線状の巻心21に電気的絶縁テープ(図は省略)を巻き、また、両端に2個の巻枠19bを差し込み、その上からワイヤーを巻回して形成された直線状コイルである。なお、図3(a)、(b)において、ロータ軸2aの軸受けは省略してある。
【0006】
ここで、振動モータの発生する振動について説明する。振動モータが回転によって発生する振動力を通常、偏心重りにかかる遠心力mrω2(ここで、mは偏心重りの質量、rは偏心重りの重心の半径で、mrは偏心重りの片重り量となる。ωはロータの回転角速度である)で表わす。
【0007】
従来の第2の振動モータの説明に戻る。図3(b)の直線C−C断面図に示すように、前記偏心重り20はコイル19と干渉しないようにロータ軸2bに固着されている。平面図(a)に示すように、ステータ23とコイル19間のスペース24aは、偏心重り20がステータ13のエッジ13dからコイル19側に出ていないので、振動モータ11のスペース18aに比べ十分小さくとれ、その分、ワイヤーをコイル19の幅方向に巻回せるので、振動モータ11aのコイル長方向24bの長さは、本発明の振動モータ1のそれと同程度となる。
【0008】
従来の第1の振動モータ11と異なる点は、偏心重り20の最大半径は偏心重り5のそれに比べ小さく、偏心重り20はステータ13のエッジ13dからコイル19側に出ていない点である。その結果、偏心重り20の重心の半径rは、従来の第1の振動モータ11の偏心重り5のそれよりも小さくなる。振動力(mrω2)を維持するためには、第2の振動モータ11aの片重り(mr)を維持しなければならないので、偏心重りの質量mを偏心重りの重心の半径rの減小に見合って大きくするために偏心重り20の厚みは厚くなる。実際は偏心重り20の最大半径が従来の第1の振動モータ11の偏心重り5の0.8倍になり、片重りは偏心重りの最大半径の3乗に比例し、偏心重りの厚みが同じであると0.5倍になってしまうので、片重りを維持するために、片重りは偏心重りの厚みの1乗に比例することから、図3(b)に示すように従来の第2の振動モータ11aの偏心重り20の厚みを、従来の第1の振動モータ11の偏心重り5の厚みに比べ2倍にも厚くする必要がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
以上の説明から、従来の第1の振動モータ11においては、コイル14が長くなることにより、振動モータはコイル長方向18bで長くなる欠点がある。
【0010】
一方、従来の第2の振動モータ11aにおいては、偏心重り20が厚くなることにより、振動モータのロータ軸方向22が厚くなる欠点がある。
【0011】
本発明の目的は、時計等の電子機器の振動に使用される振動モータの小型化のためのその最適な構造を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明の要旨は、ロータ軸を有する2極の永久磁石から成るロータと、該ロータが入るロータ穴を有するステータと、該ステータに磁気的に結合し、ワイヤーを巻回したコイルから成り、該コイルの幅方向でコイルと断面が重なるように前記ロータ軸に偏心重りを固着した振動モータにおいて、前記コイルは該偏心重り側に凹部を有することを特徴とする。
【0013】
前記偏心重りは、該偏心重りが前記コイルに最接近したとき、該コイルとの干渉をさけるために、該コイルの凹部に入り込むように前記ロータ軸に固着されていることを特徴とする。
【0014】
前記コイルの巻心は凹部を有していることを特徴とする。
【0015】
前記コイルの巻心のワイヤー巻回し部には電気的絶縁膜が形成されていることを特徴とする。
【0016】
前記コイルにおいて、巻心の各部でワイヤーの巻数を異にすることを特徴とする。
【0017】
前記コイルにおいて、巻心の凹部のワイヤーの巻数は他の直線部分より少ないことを特徴とする。
【0018】
巻心の凹部が巻心の長手方向の中心付近にある前記コイルにおいて、該コイルは、巻心の長手の一方の端から他方の端まで一様に所定の層数巻回された後、一方の端付近の直線部に所定の層数巻回し、その後、他方の端の直線部に所定の層数巻回されることによって作製されることを特徴とする。
【0019】
前記ワイヤーは線間融着ワイヤーであることを特徴とする。
【0020】
前記ステータは段差あるいはノッチ付一体ステータであることを特徴とする。
【0021】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の実施形態での第1の振動モータを示し、(a)は平面図、(b)は(a)の直線A−A断面図である。図1により本発明の実施の形態を説明する。図1に示す本発明の振動モータ1は、ロータ軸2bを有する2極の永久磁石2から成るロータ2と、該ロータ2が入り、該ロータ2を保持する保持トルクを発生するための2個の段差3bを有するロータ穴3aを有し、該ロータ2に磁気結合する2極で2個のブリッジ3cを有する加工工数が二体に比べ少なくてすむ一体のステータ3と、該ステータ3に2個のネジ6によって固定されたコイル4から成り、偏心重り5がロータ軸2bに固着され、その最大半径付近はステータ3のエッジ3dからコイル4側に突き出ている。なお、図1(a)、(b)において、ロータ軸2aの軸受けは省略してある。
【0022】
巻心7は、ワイヤー巻回し部、すなわち、巻心7の長手方向の中心に凹部7aとその両側に直線部7bを有し、コイル4は、巻心7のワイヤー巻回し部に電気的絶縁膜を形成した後に、該巻心7に熱風をかけながら線間融着ワイヤーを、巻心7のワイヤー巻回し部分の一方の端から巻き始めコイル長方向4cに一様に巻回した後、一方の直線部7bに巻回し、その後、もう一方の直線部7bに巻回すことによって作製され、凹部4aと直線部4bを有する。
【0023】
図1(a)において、前記偏心重り5はコイル4に最接近したときに(図1(a)では、偏心重り5がコイル4に最接近している)、該コイル4に干渉することなく、前記コイル4の凹部4aに入り込むように前記ロータ軸2aに固定され、また、ステータ3とコイル4の直線部4b間のスペース4eは十分小さくなっている。
【0024】
以上により、本発明の第1の振動モータ1おいては、図2(a)に示す従来の第1の振動モータ11で生じるスペース18aにコイル4を巻回したことになるので、コイル4は同巻数でコイル17に比べ20%短くなった。なお、コイル4の直線部4bの厚みは凹部4aの厚みより大きくなるが、コイル4の直線部4bの最外形は、ロータ軸2aの軸受け(省略)からロータ軸2a方向にはみ出すほどにはならない、つまり、ロータ軸2a方向には、振動モータ1は厚くならない。
【0025】
以上の説明から分かるように、本発明の第1の振動モータの厚みは従来の第1の振動モータ11のそれと同程度ながら、コイル長方向4cの長さは小さくできるので、本発明は振動モータを小型化する効果がある。
【0026】
凹部7aを有する巻心7は、該凹部7aのために、電気的絶縁テープを滑らかに巻回せないので、ワイヤーが該電気的絶縁テープ上に一様に巻回しできない。一方、電気的絶縁膜は塗装あるいは蒸着等によって凹部7aを有する巻心7でも滑らかに形成されるので、前記巻心7には電気的絶縁膜が適している。また、電気絶縁膜の厚さは、電気的絶縁テープの厚さ約50μに比べ、約10μにできるので、その分、ワイヤーの巻数を稼げる効果がある。
【0027】
さらに、コイル4の外形は異形でかつコイル巻枠を使わないので、その外形がくずれないために、ワイヤーの線材としては、通常の線材ではなく、熱風をかけながら線間融着させる線材が必要である。
【0028】
またさらに、従来の第1あるいは第2の振動モータのステータ13あるいは23は二体のステータであるが、本発明の振動モータのステータ3は一体であるので、該ステータ3の加工工数を削減できるので、製造コストを下げられる効果がある。
【0029】
図4は本発明の実施形態での第2の振動モータを示し、(a)は平面図、(b)は(a)の直線D−D断面図である。図4により本発明の実施の形態を説明する。図4に示す本発明の振動モータ10は、図1に示す本発明の第1の振動モータ1とステータ31のロータ穴31aの形状が異なる以外に他は同一なので、該ステータ31のロータ穴31a形状について説明する。振動モータ10においては、ステータ31はブリッジ31cを有し、ロータ穴31aは、振動モータ1の保持トルクを発生する段差3bに対応する構造として2個のノッチ31bを有している。
【0030】
振動モータ10の作用については、振動モータ1と同様なので省略する。
【0031】
【発明の効果】
上記の説明からわかるように、特許請求項1から9に記載の本発明によれば、腕時計等の電子機器の振動に使われる振動モータを小型化でき、他の機能素子(たとえば、近距離無線通信技術であるbluetoothを使った携帯電話の着信を前記腕時計の使用者に振動モータの振動で報知する機能のための通信モジュールとそのアンテナ)を腕時計に搭載できるスペースを作る効果があることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態による第1の振動モータの平面図、断面図である。
【図2】従来の第1の振動モータの平面図、断面図である。
【図3】従来の第2の振動モータの平面図、断面図である。
【図4】本発明の実施形態による第2の振動モータの平面図、断面図である。
【符号の説明】
1、10、11、11a 振動モータ
2 ロータ
3、31、13、23 ステータ
4、14、19 コイル
4a コイルの凹部
7a 巻心の凹部

Claims (9)

  1. ロータ軸を有する2極の永久磁石から成るロータと、該ロータが入るロータ穴を有するステータと、該ステータに磁気的に結合し、ワイヤーを巻回したコイルから成り、該コイルの幅方向でコイルと断面が重なるように前記ロータ軸に偏心重りを固着した振動モータにおいて、前記コイルは該偏心重り側に凹部を有することを特徴とする振動モータ。
  2. 前記偏心重りは、該偏心重りが前記コイルに最接近したとき、該コイルとの干渉をさけるために、該コイルの凹部に入り込むように前記ロータ軸に固着されていることを特徴とする請求項1に記載の振動モータ。
  3. 前記コイルの巻心は凹部を有していることを特徴とする請求項1に記載の振動モータ。
  4. 前記コイルの巻心のワイヤー巻回し部には電気的絶縁膜が形成されていることを特徴とする請求項3に記載の振動モータ。
  5. 前記コイルにおいて、巻心の各部でワイヤーの巻数を異にすることを特徴とする請求項1に記載の振動モータ。
  6. 前記コイルにおいて、巻心の凹部のワイヤーの巻数は他の直線部分より少ないことを特徴とする特徴とする請求項1に記載の振動モータ。
  7. 巻心の凹部が巻心の長手方向の中心付近にある前記コイルにおいて、該コイルは、巻心の長手の一方の端から他方の端まで一様に所定の層数巻回された後、一方の端付近の直線部に所定の層数巻回し、その後、他方の端の直線部に所定の層数巻回されることによって作製されることを特徴とする請求項6に記載の振動モータ。
  8. 前記ワイヤーは線間融着ワイヤーであることを特徴とする請求項1に記載の振動モータ。
  9. 前記ステータは段差あるいはノッチ付一体ステータであることを特徴とする請求項1に記載の振動モータ。
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